外貨投資の視点 (No.208) リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作 2015年3月11日 ユーロドル予測を下方修正:前代未聞の金融緩和が強烈な重石に ポイント ユーロドル相場の予測を大幅に下方修正。新しい下値目処として2016年末1ユーロ=1.000ドル前後を想定 世界二大通貨圏の金融政策格差が鮮明になる中、従来の想定よりも深いレベルへユーロ安・ドル高が進行 ユーロドル相場の予測変更に合わせ、ドル円相場の上値目処も2016年末1ドル=127.0円に若干上方修正 ユーロドル相場の見通し を大幅に下方修正、2016 年末にかけて、「パリティ ー界隈」に到達へ ユーロドル相場の見通しを下方修正する。これまで提示していた我々の従来のユーロ ドル相場予測では2016年末(10-12月期)の下値目処を1ユーロ=1.08ドル(1.01~1.15ド ル)に設定していたが、年明け以降のユーロドル相場を取り巻く金融環境の急激な変化と 現実のプライス・アクションから得られる啓示に鑑み、これを大幅に引き下げるのが妥当だ と判断した。新しい予想では、2016年末のユーロドル相場が1ユーロ=1.00ドルの「パリテ ィー界隈」に到達するパターンを想定する。「欧米金融政策サイクルのズレ」に趨勢判断 の軸足を置いたユーロ安・ドル高の大局観は不変だが、下値目処はこれまで考えていた よりも深くなりそうだ。判断変更のポイントは以下の通り。 ユーロ圏において「マイナ ス金利の是認」と「事実上 のオープン・エンドの量的 緩和」を組み合わせた前 代未聞の強力な金融緩和 政策が始動 第一に、ユーロ圏において前代未聞と言える強力な金融緩和が稼働し始めている。3 月5日(木)に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、大方の予想通り、政策金利 は全て据え置かれたが、その後の定例会見でドラギ総裁は前回1月22日(木)の理事会 で決定された資産購入計画(ユーロ圏版の量的緩和)を3月9日(月)から開始する方針を 明らかにした。既に実施している「担保付証券(カバードボンド)」、「資産担保証券 (ABS)」の買入れに加え、ユーロ圏加盟国の国債や欧州機関債などの購入も条件付き ながら遂に開始され、「月間600億ユーロ」の資産購入プログラムがいよいよ本格的に稼 働し始めた。ECB及び各国中銀による域内民間債及び公債の具体的な購入金額等の詳 細については、随所において「柔軟性」が強調されているため、実際の運用には不透明 な部分も多い。だだ、ドラギECB総裁の会見内容から受ける印象では、今週から始める毎 月600億ユーロの量的緩和に「デフレ回避」の命運を託し、それを遂行しようとする当局の 意志は非常に強そうだ。今回の定例会見でドラギ総裁はマイナス利回りの国債について も、「現在▲0.2%に設定している中銀預金ファシリティー金利を下回らない限りは購入対 象になる」との見解を示したほか、「少なくとも2016年9月まで」としている毎月600億ユーロ の資産購入の継続期間についても、ECBの物価目標である「2%未満、2%近く」の達成 軌道への復帰の目処が立つまで、事実上のオープン・エンドに近いイメージで続ける覚 悟を示している。「政策金利の一部マイナス化の是認」と「多様な官民資産を対象とする 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 -1- 外貨投資の視点 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒112-8688 東京都文京区目白台3-29-20 目白台ビル 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 リサーチ部 (商号) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2336号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA), Inc.が配布致します。 -9- 外貨投資の視点
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