工業力学 (A コース) 中間テスト 解答例・解説

工業力学 (A コース) 中間テスト
茨城大学 工学部 知能システム工学科
解答例・解説
井上 康介
2014/12/16 10:30∼12:00 実施
全体的なできぐあい・総評
ば,(9:反力) の方向は ( 10:接触面に垂直 ) と
なる.
• 鉄橋や鉄塔などのような骨組み構造を単純化し
たモデルに ( 11:トラス ) がある.(11:トラス)
は,棒状の要素である ( 12:部材 (メンバ) ) が,
( 13:節点 (ジョイント) ) と呼ばれる回転自由
‫ ع ع ع ع ع ع ع ع ع ع‬
平均点 74.5 点.最高点は 99 点.受験者 61 名 (欠試者
4 名).それなりに理解度はあるとは思われたが,必ず出
すと宣言した 4 番の問題 (Newton-Eulre 法) の得点率が
52% と低迷した.
各設問について
1. 以下の文章の空欄に入る言葉・数式を記せ.
• 複数の力が同時に作用したときの効果と同じ効果
を持つ単一の力を ( 1:合力 ) という.逆に,単
一の力を同じ効果を持つ複数の力に変換すること
を力の ( 2:分解 ) といい,その際のそれぞれの
力を ( 3:分力 ) という.
なピンで結合され,相対運動ができない構造と
なっている.(11:トラス) の内部ではそれぞれの
(12:部材) が引張力や圧縮力という内力を受け
るが,その解析に利用できる 2 つの方法のうち,
( 14:節点法 ) と呼ばれる方法では,まず (11:ト
ラス) 全体のつりあい条件を用いて (11:トラス)
が受ける (9:反力) などの外力を導出し,続いて
各 (13:節点) が受ける力のつりあいの条件を用
いて各 (12:部材) の内力を計算していく.平面
上の (11:トラス) の解析では,作用している未
知力が ( 15:3 ) つ以上の (13:節点) については
まだ計算が解けないため,解ける (13:節点) か
ら順次計算していかなければならない.
• 物体に作用する重力の作用線は物体上のある一点
を常に通る.この点を物体の ( 16:重心 ) とい
う.物体上に微小部位をとり,その位置を x,そ
(16:重心)
の微小質量を dm とするとき,物体の
dm ) のように積分計
の位置は ( 17: x dm
算により求められる.
• 物体上で作用する力の作用線が物体上のある点
A を通らない時,力は物体を点 A まわりに回転
させる作用をもつ.この作用を ( 4:力のモーメ
ント ) といい,その大きさは,力の大きさと ( 5:
点 A と力の作用線の距離 ) との積である.その
• (16:重心) は物体のすわりのよさ,つまり安定性
値の正負については,回転させる作用の方向が反
時計回りの時,( 6:正 ) である.
• 物体が現在の速度を維持しようとする傾向,つま
• 大きさが等しく,向きが反対の 2 つの平行力を
( 7:偶力 ) という.(7:偶力) は物体を回転させ
る作用はもつが並進運動させる作用はない.2 つ
の力の作用線の間隔を d とし,それぞれの力の大
きさを F とするとき,(7:偶力) がもつ (4:力の
モーメント) の大きさは ( 8:F d ) と計算できる.
• 物体 A が他の物体 B を押す時,作用・反作用の
法則により,A は B により同じ大きさの逆向き
の力で押し返される.この力を ( 9:反力 ) とい
う.このとき,接触面がなめらかで摩擦がなけれ
の重要な指標となる.水平面上にある物体を少し
傾けた時,(16:重心) の位置が最初の位置より上
る場合の安定性は ( 18:安定なすわり ) と呼ば
れる.
り並進運動に関する慣性に対応する量を質量とす
れば,現在の角速度を維持しようとする傾向,つ
まり回転運動に関する慣性に対応する量は ( 19:
慣性モーメント ) と呼ばれる.物体の (19:慣性
モーメント) を I とし,この物体にトルク N を
加えた時の物体の角加速度を ω˙ とすると,これ
らの間には ( 20:N = I ω˙ ) のような式で表され
る関係が成り立つ.この式を ( 21:角運動方程式
(Euler の運動方程式) ) という.
• 物体上に微小部位をとり,その質量を dm,ある
回転軸と微小部位の距離を r とするとき,この
回転軸まわりの物体の (19:慣性モーメント) は
( 22: r2 dm ) のような積分で計算できる.
• ある回転軸まわりの物体 A の (19:慣性モーメン
ト) が I であり,この物体の一部分 B の回転軸ま
わりの (19:慣性モーメント) が I であるとする
と,A から B を除去した残りの部分の (19:慣性
モーメント) は ( 23:I − I ) となる.
配点・部分点
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
46 点 (各 2 点).
スカラーが太字・ベクトルが細字:−1
(2) 分割:NG
(3) 直角分力:1
(4) トルク:(ホントはダメだけど) OK.
(5)「作用線からの距離」「点 A からの距離」「距
「腕」
:1
離」
:1,「モーメントアーム」
(8) F d:1,2F d:1
(10)「垂直」のみ:1
(14)「接点法」:1
(18)「安定」のみ:OK
(21) Euler (オイラー) の運動方程式:OK
(22) r dm:NG, r2 dm:1
多かった間違い・補足
が受けている力を全て列挙し,次に力および力のモー
メントのつりあい条件を定式化して解けば良い.ここ
で,平面上で考える場合は力のつりあい条件は直交す
る 2 方向についてそれぞれ成り立ち,この問題では水
平方向のつりあいと鉛直方向のつりあいを式にすれば
良い.一方,力のモーメントはどの点まわりで考える
かにより値が変わるが,力がつりあっている場合,ど
の点まわりで式を立てても等価な式となるため,任意
の点まわりで計算して良い.したがって,未知力 2 つ
の作用線が貫いているジョイントの点を基準に計算す
ることで (式 (2.3)),計算を簡略化してミスの可能性
を減らすべきである.
なお,斜面から受ける反力 (Fig.2 の R2 ) が持つジョ
イントまわりの力のモーメントは,教科書 p.8 の
例題 1.3 のように N = fy x − fx y の式を用いて求
める場合,ジョイントを原点とした斜面との接触点
の座標 (l cos 30◦ , l sin 30◦ )T と反力ベクトル R2 =
(−R2 cos 30◦ , R2 sin 30◦ )T から求められる.あるい
は,R2 が棒と 60◦ の傾きをもつことから,R2 のう
ちの棒に垂直な成分の大きさが R2 sin 60◦ であり,こ
れにモーメントアーム l をかけてもよい.重力のモー
メントを求める方法についても同様である.
解答例
• (5) でモーメントアームを OK にしなかったのは
「この場合,モーメントアームとはどこか」を問
うているから.(10) で「垂直」のみがダメなのも
同様で「何と何が垂直なのか」を問うている.
• (10) で「押したのと逆」だけなら,滑らかでない
面でも同様 (作用・反作用の法則).
できぐあい 平均得点率 83%.(5), (10), (17) のでき
が 60% を切った.
2. Fig.1 に示すように,質量が 400 [g],長さが 20 [cm]
の細い棒の一端を地面上の自由回転ジョイントに固定
し,他端を地面からの傾き 60 [deg] のなめらかな斜面
に乗せたところ,棒の傾きは地面から 30 [deg] となっ
た.このとき,棒がジョイントおよび斜面から受ける
反力を求めよ.
棒の質量を m (= 0.4 [kg]),長さを l (= 0.2 [m]) と
表記する.
水平右,鉛直上方向にそれぞれ x 軸,y 軸をとる.
斜面と棒の接触はなめらかなので,棒が斜面から
受 け る 反 力 は 斜 面 に 垂 直 で あ る .こ れ を 踏 ま え ,
棒がジョイントおよび斜面との接触点において受
け る 反 力 を そ れ ぞ れ R1 = (R1x , R1y )T ,R2 =
(−R2 cos 30◦ , R2 sin 30◦ )T とする.棒はこれら反力
の他に,重心 (中点) において y 軸負の方向に重力 mg
を受けている (Fig.2).
R2
30r
R1
30r
mg
60r
3
l
4
30r
60r
Fig.1
Fig.2
棒が受ける水平方向の力のつりあい式は,
R1x − R2 cos 30◦ = 0,
考え方
物体のつりあいの解析 (教科書 2.3 節) では,まず物体
(2.1)
鉛直方向の力のつりあい式は,
R1y + R2 sin 30◦ − mg = 0,
(2.2)
y [cm]
ジョイントまわりの力のモーメントのつりあい式は,
R2 sin 60◦ · 0.2 − mg sin 60◦ · 0.1 = 0.
6
(2.3)
3
式 (2.3) より
R2 =
x [cm]
1
mg .
2
O
3
これを式 (2.1),式 (2.2) に代入して,
R1x
√
3
1
3
mg , R1y = mg − R2 = mg
=
4
2
4
mg = 4 [N] なので,ジョイントから受ける反力は水
√
平右方向に 3 1.73 [N],鉛直上方向に 3 [N] であ
り,斜面から受ける反力は斜面に垂直な方向に 2 [N]
である.
配点・部分点 18 点.水平力・鉛直力・モーメントの
つりあい式:各 4 点,変数設定等・残りの計算:6 点.
•
•
•
•
正負のミス:−1∼−2
斜面からの反力の方向のミス:−2
単位変換ミス (1[N] = 1[g·m·s−2 ]):−1
最初の設定の段階で,ジョイント反力の要素・壁
反力の方向を指定していない:−2
Fig.3
取り除いた際の重心 xG は,
(mA − mB )xG = mA xA − mB xB
により求まる (教科書 p.36 例題 3.2).
回転体の体積については教科書 3.2.2 項のパップス・
ギュルダンの定理を愚直に適用すれば良い.
解答例
平面図形を正方形の物体 1 から直角二等辺三角形の
物体 2 を除去したものと考え,物体 1 の面積・重心
を A1 ,x1 = (x1 , y1 )T ,物体 2 の面積・重心を A2 ,
x2 = (x2 , y2 )T とする (Fig.4).
y [cm]
6
多かった間違い
• 力のモーメントの計算ができていない例が非常
に多かった.ジョイントまわリで計算するなら,
方法は 2 つある.ひとつはジョイントを原点と
して水平右向き・鉛直上向きに xy 座標軸をと
り,壁との接点の座標は (l cos 30◦ , l sin 30◦ )T ,
力ベクトルは (−R cos 30◦ , R sin 30◦ )T だから,
N = fy x − fx y を適用して
◦
6
A2
3
x2
x1
A1
O
3
x [cm]
6
Fig.4
◦
N = R sin 30 · l cos 30
−(−R cos 30◦ ) · l sin 30◦
−mg · (l/2) cos 30◦
とする方法.もう一つは,2 つの力,mg ,R の
うちの棒に直交する成分を求め,棒に沿ったモー
メントアーム (l/2 と l) をかける方法 (力のうち
の棒に沿った成分はモーメントを作らないので).
できぐあい
平均得点率は 76%.
3. Fig.3 に示すように,一辺が 6 [cm] の正方形から斜辺
が 6 [cm] の直角二等辺三角形を切り取った形状の平
面図形を考え,図のように座標軸をとった時,この図
形を x 軸および y 軸まわりに一回転させてできる回
転体の体積をそれぞれ求めよ.
考え方
物体の重心 (図心) を考える時,質量 mA ,重心位置
xA の物体 A から質量 mB ,重心位置 xB の物体 B を
物体 1,2 はそれぞれ直線 x = 3 に関して線対称なの
で,x1 = x2 = 3 であり,物体 1 は y = 3 に関して
対象なので y1 = 3 である.物体 2 は三角形なので,
重心は上の水平な辺の中点へ頂点から下ろした線分を
2:1 に内分した点であることから,y2 = 5 である.
よって平面図形の重心を xG = (xG , yG )T とすると,
xG = 3, yG =
7
36 · 3 − 9 · 5
=
36 − 9
3
と求まる.
平面図形を x 軸および y 軸まわりに一回転させてで
きる回転体の体積をそれぞれ Vx ,Vy とし,平面図形
の面積を S = 36 − 9 = 27 とすると,Vx = 2πyG S =
126π 396 [cm3 ],Vy = 2πxG S = 162π 509
[cm3 ] である.
別解 図形的に考えると,x 軸まわりに回転してでき
る回転体は,上面が半径 3,底面が半径 6,高さが 3
の円錐台を 2 つつなげた物体の体積として計算でき,
2 · (π/3)(216 − 27) = 126π となる.
y 軸まわりに回転してできる回転体は,半径 3,高さ 6
の円柱から上記の円錐台の分をくりぬき,半径 3,高さ
3 の円錐を乗せたとみなせるので,(216 − 63 + 9)π =
162π と計算できる.
※ 試験において,重心を利用して計算せよと指示す
るのを忘れていたため,この解法で正解した場合も満
点とします.試験中はこの解法をやめて欲しかった
ので「こっちの方が面倒だぞ」的なことを言っていた
わけですが,実際には労力は同程度.だけど…それを
やっちゃったらもう工業力学じゃねーじゃん,とい
う….かといって,途中までこれで計算しちゃった人
にいきなり「それだと 0 点です」というのも,その人
達が不利になるのでできないと判断しました.
まず Fig.6 のように物体に作用する力をもれなく列挙
すると,物体は 300 [N] の力 F の他に,重心 (中心軸
上) に鉛直下に作用する重力 mg ,地面との接地点で
鉛直上方向に作用する垂直抗力 R,地面との接地点
で水平右もしくは左方向に作用する摩擦力 F を受け
ている.ここで,摩擦力が左右どちらを向くかは分か
らなくてよく,反対を正として定義した場合は値がマ
イナスになるだけである.物体は鉛直方向に運動しな
いので,mg と R,および F の鉛直方向成分はつり
あい状態であり,ここでは問題にしなくて良い.
F
45r
配点・部分点 18 点.重心で解く場合は,各部位の重
心:計 8 点,全体の重心:6 点,変数設定等・残りの
計算等:4 点.図形的に解く場合は,考え方の説明:6
点,それぞれの軸まわりの体積:各 6 点.
• 部位ごとの重心の導出過程が抜けている:−4
• 部分・全体の重心の導出過程がまるごと抜けてい
る:−8
• x 軸まわりと y 軸まわりの取り違え:−1
できぐあい 平均得点率 72%.まあ理解できている
みたい.ただし,こちらのミスのせいもあって,重心
を使ってない解答例が多かった.図形的にやる場合に
ついて,この程度の計算をミスなくやれないのでは困
るという認識をもつこと.
4. Fig.5 に示すように,質量 100 [kg],直径 1 [m] の均
一な円柱を水平な地面におき,図の位置において斜め
下 45 [deg] 方向に 300 [N] の力を加えたところ,円
柱は地面との間に滑りを生じずに右方向に転がった.
この際の円柱中心の加速度を求めよ.ただし,質量
m,半径 r の円柱の中心軸まわりの慣性モーメントは
I = mr2 /2 である.
300 [N]
45r
Fig.5
mg
R
F’
Fig.6
あとは水平方向に受けている力を用いて運動方程式
を,重心周りに受ける力のモーメントを用いて角運動
方程式を立てれば良い.
ただし,未知数は円柱の加速度 a,角加速度 ω˙ ,摩擦
力の大きさ F の 3 つなのに対して,これでは拘束条
件が 2 つしかない.もう一つの条件は「滑らずに転が
る」ということである.物体が転がらずに右に距離 x
進むため回転しなければならない角度を θ とすると,
回転が時計回りであることを踏まえて x = −rθ が成
り立つ.この式を 2 階微分すると,a = −r ω˙ となり,
これが 3 つ目の拘束条件となる.
解答例
円柱に加える 300 [N] の力を Fig.6 に示すように F
と表記し,円柱の質量を m (= 100 [kg]),半径を r
(= 0.5 [m]) と表記する.円柱の加速度は右向きで,
その大きさを a [m/s2 ] とし,円柱の角加速度を反時
計回りを正として ω˙ [rad/s2 ] とする.
図に示す通り円柱が受ける力は F ,重心における鉛直
下向きの重力 mg ,地面との接触点で水平方向に作用
する摩擦力 F (ここでは右を正とする),接触点で鉛
直上に作用する垂直抗力 R である.
以上から,円柱の運動方程式は
F sin 45◦ + F = ma,
考え方
剛体の動力学解析 (教科書 6.6 節) では,並進運動の
基本式である Newton の運動方程式と回転運動の基
本式である Euler の運動方程式 (角運動方程式) を連
立させて解く (Newton-Euler 法).
(4.1)
角運動方程式は
(F − F )r =
である.
mr2
ω˙
2
(4.2)
• 最終的な答えは有効数値 3 桁で数値化しなければな
また,円柱は滑ることなく転がることから,
a = −rω.
˙
(4.3)
式 (4.3) を式 (4.2) に代入し,
F − F =
1
ma.
2
(4.4)
式 (4.1) と式 (4.4) を両辺足しあわせて,
√ 2
3
1+
F = ma
2
2
これを解いて,
√
2+ 2
F
a=
3m
これに m = 100,F = 300 を代入し,a = 2 +
3.41 [m/s2 ].
√
2
配点・部分点 18 点.運動方程式・角運動方程式・転
がり拘束の式:各 4 点,変数設定等・残りの計算:6
点.
•
•
•
•
r = 1 とした:−1
摩擦力をそもそも設定していない:−3
摩擦力の位置・方向を設定していない:−1
ω˙ を時計回りを正として定義しているがその旨を
明記していない:−1
• 転がり拘束の式 a = −rω˙ の符号が逆:−2
多かった間違い・補足
• 興味深いこととして,2 +
√
2 3.14 とした計算
ミスがすごい勢いで多発した.これをやってし
まった人は,エンジニアとしての神経質さが足り
ないという自覚を持つこと.
できぐあい
らないが,その計算は最後の最後に行うこと.途中途
中で何度も四捨五入を行うと,そのたびに四捨五入に
よる誤差 (丸め誤差) が累積していき,最終回答にズ
レが出ます.
• 変な計算ミスがやたら多いようです.いつも言ってい
るように,我々は少しでもややこしい問題につきあた
ると,ほぼ必ずミスをします.これはプログラミング
でも,機械設計や電子回路製作でも全く同じです.そ
して,ミスを徹底的になくすチェックの努力を惜しむ
ことによって,後々,チェックすることの数倍の努力
をかけてデバッグする結果につながることもしばしば
です (井上研の卒論でも例年起こっている事態で,と
きには数ヶ月スパンのロス (金額にして数十万) にな
ります).特に,早めに試験会場を退出したにも関わ
らず凡ミスが残っていた学生は反省して下さい.
• 技術的な内容を相手に説明するための方法が理解でき
ていないように思われる解答例が多いことが気がか
り.例えば変数をきちんと定義しなければ,いくら式
を書いても相手にはそれがどういう式なのかが理解で
きません.一般的な説明の方法については,例えば以
下の書籍などの安価な入門書があります.
また,今後 (研究室でも会社でも) プレゼンなどの機
会が増えていくことを考えれば,プレゼンの参考書な
ども今から読んで,パワポをどう作れば相手に伝わる
のかの訓練を自分でこなしていくことも重要.森先生
の講義はあるものの,こういうのはいちいち大学教員
が手取り足取り細かいところまで教えてくれるもの
ではないということが,のちのち分かってくると思い
ます.
説明の厳密性と,説明に必要な情報をもれなく提示
することを神経質に実施することが求められるわけ
です.
参考文献
平均得点率が 52% と低迷.
「必ず出す」と宣言して
おいた Newton-Euler 法であり,またこの講義での中
心的な項目であるだけに,教員としてはかなり残念.
できなかった人はきちんと Newton-Euler 法 (教科書
6.6 節) を復習しておいてください.もしかしたら期
末にも出すかもしれない.
全体的な注意点
• 力の表示方法を理解していない例が多い.平面上の力
学では,力は 2 次元ベクトルである.ということは,
力を記述するには (1) 2 つの直角分力を提示する,あ
るいは (2) 力の大きさと方向を提示する,のいずれか
を行う必要があります.この 2 つは情報量として等
価ですから,いずれかだけを行えば良いです (両方や
るのは冗長).(1) を行っているなら力の大きさを示
す必要はないし,力の大きさを示したのであれば力の
方向もあわせて表示しなければ意味がありません.
• 藤沢 晃治:
「分かりやすい説明」の技術,講談社ブルーバッ
クス,864 円
以上