詩人吉増剛造氏(高9) 文化功労者に選出

No.16
2013.12.1.発行
紫芳会だより ~輝く先輩達~
詩人吉増剛造氏(高9)
文化功労者に選出
立高9期のOBで、日本の現代詩界の第一
人者と評価されてきた詩人の吉増剛造(よし
ます・ごうぞう)さんが、2013年の文化功労
者に選ばれました。おめでとうございます。
撮影/忠地裕子
吉増さんは、立高から慶応大学国文科に進み『三田詩人』同人として詩
作を開始し、卒業後処女詩集『出発』を発表。その後『黄金詩篇』(第1回
高見順賞)、『熱風a thousand steps』(藤村記念歴程賞)ほか多彩な詩集
を発表して受賞も多く、とりわけ『「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」』で
1999年に第49回芸術選奨文部大臣賞を受賞されました。その後も2003
年には紫綬褒章を受章し、本年2013年には文化勲章に次ぐ文化功労者
に選出され、旭日小綬章受章の運びとなりました。
立高OBとしても、1988年に旧校舎改築の際に出版された私家本『さら
ば「心のふるさと」』(都立立川高校校舎写真集)に、高校10期卒業の写真
家中村太郎氏の写真とのコラボレーションで、ご自身の立高時代のさまざ
まな思い出の文章を寄せておられます。その一部を紹介します。
会報誌『紫芳44号』より
そして巨きな空とぶコンクリートの
絨毯に似た屋上が、屋上が立高の旧
校舎の特徴なのだ。いまもわたした
ちの身体の奥にはあの屋上に立って
居る目があって。
みつめている。
丸窓、階段、山岳部。
そうしてあの天文台のドームが何
処かへ行ってしまうと思うと心が騒
ぐ。土星の輪に驚いた目、その目に
立川基地が映っていた。どうしてあ
んなことをしたのだろう。空に向か
う(
四インチの)
天体望遠鏡で米軍
基地のグローブマスターを覗き込ん
でいたのだ。
僕の目が覗き込んだという気がし
ない。空中の立高の眼が注視してい
たのだ。何を。或る不思議な距離を。
会報誌『紫芳』 前編集長 岩野 浩二郎氏 (高16) ©