一橋大学 経済学部/経済学研究所 三井住友銀行寄附講義 「EUにおけるガバナンスと経済運営」 欧州債務危機の発生、対応策、今後の展望 2015年5月13日 三井住友銀行 経営企画部金融調査室長 森口 善正 © Copyright Sumitomo Mitsui Banking Corporation 本日のトピックス 欧州債務危機の発生 欧州債務危機の背景 欧州債務危機への対応策 欧州経済の現状と今後の展望 おわりに 1 前回の振り返り 欧州における通貨統合までの流れ 第二次大戦後の通貨体制 欧 州 世 界 1945 1971 ブレトン・ウッズ体制 ・対ドル固定、変動幅:±1% (1958年より欧州通貨は±0.75%) ニクソン・ショック ⇒ ブレトン・ウッズ体制崩壊 ・対ドル固定、変動幅:±2.25% スミソニアン体制 欧州為替相場同盟(スネーク) ・参加国間の相互変動幅を2.25%に 1973 1979 1992 変動相場制へ移行 トンネルを出たスネークに移行 欧州通貨制度(EMS) ・参加国間の相互変動幅:2.25% ・参加国通貨の加重平均値(ECU)を使用 ポンド危機、英国離脱 ⇒ 翌年、変動幅を15%に拡大 マーストリヒト条約 ⇒ 欧州連合創設、ユーロ導入を決定 1999 単一通貨ユーロ導入 経済の収斂、通貨統合 2 前回の振り返り ユーロ参加するための条件 ユーロに参加するための4つの条件 マーストリヒト条約において課せられた条件 ①物価 過去1年間、消費者物価上昇率が、消費者物価上昇率の最も低い 3カ国の平均値から1.5%以上高くならないこと ②金利 過去1年間、長期金利が消費者物価上昇率が最も低い3カ国の 平均長期金利より2%以上高くならないこと ③為替 2年間、独自に通貨の切り上げを行わず、欧州通貨制度に深刻な 緊張状態を与えることなく、通常の変動幅を尊重すること ④財政 過剰財政赤字状態でないこと (財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下) 金融政策の 一本化に 不可欠 財政の 安定化 安定・成長協定 (1996年12月合意) ユーロ参加国に財政規律の基準の遵守を義務付け 財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下 ⇒財政赤字基準に違反した場合に制裁 3 本日のトピックス 欧州債務危機の発生 欧州債務危機の背景 欧州債務危機への対応策 欧州経済の現状と今後の展望 おわりに 4 (1)欧州債務危機の発生 危機の発端 ~ ギリシャ債務危機 ギリシャ長期金利(10年物国債金利)の推移 粉飾発覚 再建計画 格下げ相次ぐ 支援要請 実現可能性に疑念 支援姿勢を巡り対立 他国へ波及 市場の不安感高まり (%) 13 EFSF創設 12 11 ギリシャ政府 財政健全化 10 ギリシャ政府 支援要請 9 8 7 政権交代 6 5 4 09/10 09/11 09/12 10/1 10/2 10/3 10/4 10/5 10/6 10/7 10/8 (年/月) (資料)Bloomberg 5 (1)欧州債務危機の発生 危機の伝染(Contagion) ~ アイルランド、ポルトガル アイルランド・ポルトガルの 長期金利(10年物国債金利)の推移 (%) 15 (背景) アイルランド ・リーマンショックによる不動産バブル崩壊 →不良債権の増加による金融機関救済 ⇒政府による救済コストの増大 13 2010年11月 アイルランド支援要請 11 9 ポルトガル [ ポルトガル支援要請 (2011/4) ] (背景) 7 ・構造改革の遅れ、輸出競争力の低下 →長期の景気低迷 →経常収支赤字の持続 ⇒ユーロ圏最大の対外純債務 2011年4月 ポルトガル支援要請 5 3 10/4 [ アイルランド支援要請 (2010/11) ] 10/7 10/10 11/1 11/4 11/7 (年/月) (資料)Bloomberg 6 (1)欧州債務危機の発生 大国への波及 ~ スペイン、イタリア スペイン・イタリアの 長期金利(10年物国債金利)の推移 (%) 8 2011年11月 ベルルスコーニ 政権退陣 2012年6月 スペイン支援要請 7 [ スペイン支援要請 (2012/6) ] (背景) ・リーマンショックによる不動産バブル崩壊 →不良債権の増加による金融機関救済 ⇒政府による救済コストの増大 ・景気回復のための財政支出拡大 ⇒財政赤字の拡大 6 [ イタリア危機 ] スペイン 5 4 (背景) ・構造改革の遅れ、輸出競争力の低下 →長期の景気低迷 →財政赤字の持続 ⇒政府債務残高の高止まり イタリア 3 10/4 10/8 10/12 11/4 11/8 11/12 12/4 (年/月) ・政治的スキャンダル頻発 ⇒投資家の不安感増大 (資料)Bloomberg 7 (1)欧州債務危機の発生 長期金利上昇による経済への影響 長期金利上昇 財政再建圧力の 高まり 緊縮財政 金融機関の保有 国債の価値下落 自己資本比率(※)低下 マーケットの 流動性低下 金融機関の 資金繰り悪化 不良債権増加 マクロ経済 の低迷 信用収縮 ※自己資本比率=自己資本÷リスクアセット 8 本日のトピックス 欧州債務危機の発生 欧州債務危機の背景 欧州債務危機への対応策 欧州経済の現状と今後の展望 おわりに 9 (2)欧州債務危機の背景 ①金融政策の一本化 ユーロ圏諸国のインフレ率とECBの政策金利 6 (%) アイルランド 5 ギリシャ スペイン ECB 政策金利 4 3 2 1 フランス ドイツ 0 00 01 02 03 04 05 06 07 (年/期) (資料)Eurostat、ECB 10 (2)欧州債務危機の背景 ①金融政策の一本化 ~弊害 (不動産バブル) 欧州主要国の 住宅価格の推移 欧州主要国の 商業用不動産価格の推移 (2003年=100) 180 (2003年=100) 180 アイルランド スペイン 160 140 イタリア 120 アイルランド 160 スペイン 140 120 イタリア 100 100 ドイツ 80 ドイツ 80 60 60 03 04 05 06 07 08 (資料)Thomson Datasteream、Hypoport group 09 (年) 40 03 04 05 06 07 08 (年) 09 (資料)Investment Property Databank(IPD Index) 11 (2)欧州債務危機の背景 ②財政規律の緩み ユーロ圏主要国の 財政収支対GDP比 ユーロ圏主要国の 政府債務残高対GDP比 (%) 2 (%) 120 イタリア ドイツ 1 100 0 ギリシャ 「安定・成長協定」 基準 ▲1 イタリア フランス ▲2 80 違 反 ▲4 ポルトガル ▲5 ▲6 ▲8 (資料)IMF 02 03 60 40 ポルトガル 「安定・成長協定」 基準 20 ギリシャ 2000 01 違 反 フランス ▲3 ▲7 ドイツ 04 05 06 (年) 07 0 2000 01 02 03 04 05 06 07 (年) (資料)IMF 12 (2)欧州債務危機の背景 ③競争力の格差 ~ 労働生産性(Unit Labor Cost) ユーロ圏諸国の単位当たり労働コスト(Unit Labor Cost) 低 (2000年=100) 150 単位当たり労働コスト(ULC : Unit Labor Cost) 競 争 力 アイルランド ULCが低い → 少ない労働コストで 多くの生産が可能 140 スペイン ギリシャ イタリア ポルトガル 130 120 フランス 110 高 100 ドイツ 90 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 (年) (資料)通商白書 13 (2)欧州債務危機の背景 ③競争力の格差 ~ 輸出競争力 自国通貨建のケース ドイツ 競争力上昇 自国通貨高 輸出競争力低下 GIIPS 競争力低下 自国通貨安 輸出競争力上昇 輸出競争力収斂 単一通貨ユーロのケース ドイツ 競争力上昇 GIIPS 競争力低下 単一通貨「ユーロ」 割安な相場環境 割高な相場環境 輸出競争力上昇 輸出競争力低下 輸出競争力格差拡大 14 (2)欧州債務危機の背景 ④域内不均衡 ~ 経常収支 ユーロ圏諸国の経常収支 (億ユーロ) 3,000 ユーロ導入 その他 ベネルクス 2,000 1,000 ドイツ 0 フランス イタリア ▲ 1,000 スペイン ポルトガル ギリシャ ▲ 2,000 アイルランド ▲ 3,000 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (年) (資料)Eurostat 15 (2)欧州債務危機の背景 小括 ~ 欧州債務危機の原因(概要) 身の丈に合わない 低金利環境 不動産バブルの発生 ・マイナスの実質金利 ・長期金利の収斂 財政規律の緩み 参加国間の 競争力格差拡大 ・南欧諸国における 構造改革の遅れ ・単一通貨導入による 輸出競争力格差 経常収支不均衡 欧州債務危機へ 16 (2)欧州債務危機の背景 リーマンショックの影響 2008年9月 リーマンショック 景況感の悪化 金融機関の 資金繰り逼迫 財政赤字拡大 不動産価格下落 欧州債務危機へ 17 本日のトピックス 欧州債務危機の発生 欧州債務危機の背景 欧州債務危機への対応策 欧州経済の現状と今後の展望 おわりに 18 (3)欧州債務危機への対応 欧州債務危機への対応策 財政危機 GIIPS諸国のデフォルト危機 <必要となる対応策> ① 新たな財政協定 ② 財政支援の枠組み GIIPS諸国の長期金利上昇 ③ 市場の安定化 銀行の資金繰り不安 ④ 流動性の供給 銀行の不良債権問題 ⑤ 銀行監督等の統一 金融危機 19 (3)欧州債務危機への対応 ①新たな財政協定 安定・成長協定 (1996年12月合意) ユーロ参加国の財政規律の基準の遵守を義務付け 財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下 ⇒財政赤字基準に違反した場合に制裁 違反国相次ぐも、制裁実施せず 財政規律基準は形骸化 新たな財政協定 (2012年1月合意、3月署名) ・ユーロ参加国の財政規律の基準の遵守を義務付け 財政赤字対GDP比:3%以下、債務残高対GDP比:60%以下 ・財政均衡ルールについて、国内法(できれば憲法レベル)で規定 構造的財政収支の均衡化、黒字化義務 (構造的財政赤字対GDP比:0.5%以内) ⇒過剰財政赤字に対し一定期間内に十分な対応をとらない場合、制裁 (制裁発動に係る裁量の余地を制限) ⇒ 2013年1月発効 20 (3)欧州債務危機への対応 ②財政支援の枠組み整備 制度が未整備(二国間融資などで対応) 2010/5 ギリシャ一次支援 ギリシャとユーロ圏諸国との二国間融資とIMFからの支援 スロバキアが国内世論の反発で救済参加を見送るなどの問題も 暫定的な財政支援制度 2010/6 欧州金融安定ファシリティ(EFSF)、欧州金融安定化メカニズム(EFSM)創設 恒久的な財政支援制度 2012/10 恒久的な支援メカニズムとして欧州安定メカニズム(ESM)発足 21 (3)欧州債務危機への対応 ②財政支援の枠組み ~ EFSM、EFSF、ESM 欧州における財政支援の枠組み 欧州金融安定化メカニズム 欧州金融安定ファシリティー EFSM: European Financial EFSF : European Financial Stabilisation Mechanism Stability Facility 欧州安定メカニズム ESM : European Stability Mechanism 法的地位 法的根拠 リスボン条約に基づく EUの機能 ルクセンブルグ法に基づく 非公開(民間)企業 国際法に基づく 政府間機関 継続期間 一時的 (2010年6月~2013年6月) 一時的 (2010年6月~2013年6月) 恒久的な機関 融資上限 600億ユーロ 4,400億ユーロ 5,000億ユーロ ユーロ圏参加国の政府保証を もとに、EFSFが債券を発行 (EFSF債)し、重債務国へ金 融支援。 債権の弁済順位は、他の債権 者と同列の地位。 ESMが債券発行し、金融支 援(ESM参加国が資本金を 拠出)。 債権の弁済順位は、IMFに 次ぐ優先的な地位。 欧州委員会がEUに予算を裏 支援の方法 付けに資金調達し、重債務国 へ金融支援 (資料)ESM等資料より作成 22 (3)欧州債務危機への対応 ③市場の安定化 ~ ECBによる国債買入れ ECBによる国債買入れプログラム SMP (Securities Markets Programme) OMT (Outright Monetary Transactions) 2010年5月導入 2012年9月導入 ・条件 特になし (ECBが必要と判断した場合実施) ・規模 不明(明示なし) ・ECBの優先弁済権 事実上あり ・条件 EFSF/ESMに財政支援要請 それに伴う財政再建などの 厳格な条件の受入れ ・規模 無制限 ・ECBの優先弁済権 なし 重債務国の長期金利の高騰を抑制し、 財政再建、構造改革を実施するための「時間を買う」政策 23 (3)欧州債務危機への対応 ④流動性の供給 ~ ECBによるLTRO LTROとは ECBによる域内金融機関向けの 期間3年の資金供給オペレーション (Long-Term Refinancing Operation) LTROの効果 (%) 1.2 (10億ユーロ) 1,400 第2回 LTRO 1,200 1.0 (第1弾) 2011年12月21日入札、22日供給 ⇒約4,900億ユーロ (第2弾) 2012年2月29日入札、3月1日供給 ⇒5,300億ユーロ Euribor-OIS スプレッド (ユーロ建て) 0.8 1,000 800 0.6 600 0.4 第1回 LTRO 400 0.2 200 ECBの 金融機関向け貸出 総額1兆ユーロの資金供給 0.0 11/1 11/4 11/7 11/10 12/1 12/4 0 (年/日) (資料Bloomberg、ECB 24 (3)欧州債務危機への対応 ⑤銀行監督等の統一 ~ 銀行同盟 銀行同盟 ( Banking Union ) (背景) ユーロ圏の銀行は、国境を越えて 自由に活動出来る一方、 銀行の監督制度やセーフティネットが 各国によって相違 銀行危機が他国にも波及する リスクが存在 (実現に向けて必要となる制度) ①共通の銀行監督制度 単一監督制度 ( SSM ) 2012年12月、EU財務相会合にて、 ユーロ圏の銀行監督体制を一元化する 単一監督メカニズム ( SSM:Single Supervisory Mechanism) 創設に合意 →2014年11月以降、導入。 「重要度の高い」銀行に関する監督権限 をECBに委譲 (SSMによる効果) SSMを前提に、ESMから経営上問題のある 銀行に対して、直接資本注入を実施すること が可能に ②共通の破綻処理制度 ③共通の預金保険制度 銀行の経営危機によって、 財政が悪化するリスクを軽減 25 (3)欧州債務危機への対応 政策対応を受けた市場の反応 ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの長期金利推移 ECB 2度のLTRO (%) 40 ギリシャ国債 元本削減 35 30 25 EU 新たな財政協定 ECB イタリア スペイン 国債買取開始 ECBドラギ総裁 「ユーロ防衛のために 何でもやる」発言 ECB OMT導入 EU ESM発足 20 15 ポルトガル ギリシャ 10 5 0 11/01 EU SSM合意 アイルランド 11/07 12/01 12/07 13/01 13/07 14/01 (年/月) (資料)Bloomberg 26 本日のトピックス 欧州債務危機の発生 欧州債務危機の背景 欧州債務危機への対応策 欧州経済の現状と今後の展望 おわりに 27 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 好転しつつある経済環境 ユーロ圏諸国の実質GDP成長率 ユーロ圏貸出残高 (前年同月比・寄与度%) (前期比・%) 4 2.0 3 1.5 家計向け 2 1.0 合計 ドイツ 1 0.5 ユーロ圏 フランス 0 0.0 ▲1 0.5 ▲2 イタリア ▲4 1.5 2011 2012 非金融企業向け ▲3 スペイン 1.0 金融機関向け 2013 2014 (年/期) ▲5 (年/月) 11 (資料)Eurostat 12 13 14 15 (資料)ECB 28 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 欧州経済に残存するリスク要因 ユーロ圏諸国の財政収支 (対GDP比・%) 2 ユーロ圏諸国の失業率 (%) ギリシャ 見込み ギリシャ 25 スペイン 0 ▲2 20 イタリア ▲4 スペイン ポルトガル ▲6 15 イタリア ユーロ圏 ▲8 10 フランス 5 ドイツ ▲ 10 ▲ 12 アイルランド ▲ 14 2011 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (資料)IMF (年) 0 09 10 11 12 13 14 15 (年/月) (資料)Eurostat 29 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 高まるデフレ懸念 ~ ユーロ圏の日本化? ~ ユーロ圏の消費者物価指数 ECBによる量的緩和策の概要 (前年同月比・%) 3.5 3.0 対象資産 消費者物価指数 2.5 ・ユーロ圏各国国債 ・政府機関債 ・欧州機関債 ・カバードボンド ・ABS(資産担保証券) 2.0 ECB目標上限 1.5 コア消費者物価指数 1.0 0.5 資産買入額 月600億ユーロ (総額1兆ユーロを超える規模) 政策金利 期間 0.0 2015年3月~2016年9月 (注) ▲ 0.5 ▲ 1.0 11 (資料)Eurostat 12 13 14 15 (年/月) (注)「2016年9月末まで」、または、 「インフレ率が、ECBの中期物価目標に達するまで」 とされている (資料)ECB 30 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 政治リスク ~ ギリシャ情勢 ギリシャ危機の再燃懸念 トロイカ (EU、IMF、ECB) ギリシャ 1月の総選挙 反緊縮を掲げる「急進左派連合(SYRIZA)」が勝利 ツィプラス首相率いる新政権誕生 金融支援の延長を巡り 債務減免や緊縮財政の緩和を要望 ギリシャへの金融支援の条件として、緊縮財政を 含む構造改革を同国に義務付け ギリシャ新政権の要望には強硬姿勢 ギリシャ支援は暫定的に延長するも、緊縮策を巡っては意見の隔たりあり ⇒ 「Grexit」 懸念の高まり 欧州における政治リスク等 <重債務国における総選挙> ポルトガル:9月~10月 スペイン :11月~12月 (その他) ポーランド:10月 <反EU政党の台頭> フランス:「国民戦線」(右派) 英国:「英国独立党」(右派) スペイン:「ポデモス」(左派) フィンランド :「真のフィンランド人党」(右派) <テロ> 1月 フランス その他、地理的に近い中東、 北アフリカでもテロが頻発 31 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 危機の解決に向けて求められること ユーロ圏統合深化のため求められる4つの統合 金融 目的:ユーロ圏の金融安定化 手段:銀行同盟 ~ 監督制度、破綻処理、預金保険制度 財政 目的:ユーロ圏の持続可能な財政メカニズムの構築 手段:財政規律の遵守 → 予算制度の統一 経済 目的:ユーロ圏の競争力格差の是正 手段:南欧諸国の構造改革、競争力強化 政治 目的:ユーロ圏の統一した意見の表明(国際会議等) 手段:EU諸機関の機能強化 32 (4)欧州経済の現状と今後の方向性 ユーロは崩壊するか? ~ 欧州債務問題から見えてくるもの ~ 欧州債務危機の構図 ドイツ、北欧諸国 ユーロ導入によるメリットを享受 労働市場改革による高い競争力 ユーロを維持するためには、 南欧諸国において、厳しい緊縮財政、 構造改革が必要不可欠との立場 重債務国の救済にあたり、 自国の財政負担を極力抑制 フランス ドイツとの格差 景気循環:経済成長、失業率 経済構造:労働生産性 大国としてドイツとは歩調を合わせる GIIPS諸国 ユーロ導入によりバブルを経験 労働市場改革が進まず、低い競争力 支援条件とされる、厳しい緊縮財政、 構造改革に強い反発 民衆の不満蓄積から、政治的にも 不安定な状況が持続 意見の対立はありながらも、 ユーロ圏が瓦解するまでには至らず。 危機が深刻化しても、 結局は自律的に対処している状況。 (欧州の問題解決のスタイル?) 33 本日のトピックス 欧州債務危機の背景 欧州債務危機の発生 欧州債務危機への対応 欧州経済の現状と今後の方向性 おわりに 34
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