第 2 学年 国語科学習指導案

第 2 学年 国語科学習指導案
平成 24 年 12 月 6 日(木)
指導者 教諭 山﨑 敦夫
活動場所 2 年教室
1 単元名
「詩を書こう
~自分にとってスペシャルな詩を書こう~」
本単元は、学習指導要領第 1 学年及び第 2 学年「書くこと」の指導事項「ア」「エ」「オ」
及び言語活動例「ア」
「エ」
「オ」を受けて、下記のような目標を設定する。
2 単元の目標
○自分が決めたテーマに関する言葉を集めて、それらを並べ替えたり繰り返したりして、詩を書くこ
とができる
○「テーマ」や「言葉の連なり」または「作品全体」から、様々な発想や連想をし、伝え合うことが
できる
3 単元の構想
(1) 「自由に詩を書ける環境」から実態を把握する
4 月から、
「自由に詩を書ける環境」を作ってきた。教室の隅に置かれた白紙に自由に詩を書けるよ
うにしたことにより、次のような児童の実態が分かった。
良い傾向として、自分で題材を決めて詩を書く児童の増加が挙げられる。しかし、それらの多くは
散文的な表現で同じような作品が多い。また、思いついた順に事柄を並べて完成としてしまい、そこ
からさらに工夫する姿は見られない。
このように、
「自由に詩を書ける環境」は、児童の良い傾向や課題を把握するのに大いに活用できる。
そこで、今単元の学習は、ここから把握した傾向や課題を考慮して計画を立てることにした。そして、
単元終了後も「自由に詩を書ける環境」を継続して、学びがどのように生かされているかを評価して
いく。
(2) 「文字数を変えてリズムを楽しむ言葉遊びの機会」をつくる
児童の書く詩に散文的な表現が多い原因として、作文指導の多さが推測できる。自らの指導を振り
返った時、主語を明確にしたり、述語と主語がねじれないようにさせたりして、自分の考えや体験が
読む人に正しく伝わることを第一に指導してきたことに気付いた。このこと自体は誤りではないが、
「書くこととは自分の考えを正確に伝えること」という認識が、児童の全体を占めることになっては
いないかという懸念を抱くようになったのである。
一方で、詩は韻文とほぼ同義であり、抽象的な書き方や比喩や反復などを用いて読み手の余剰を誘
う表現である。つまり、助詞や主語、修飾語などを取り除いて文字数を変えて、おもしろいリズムを
生み出すことができることが、詩のもつ魅力の一つである。そこで、今単元では「文字数を変えてリ
ズムを楽しむ言葉遊びの機会」をつくる。そして、そこから生み出された作品を読んで、リズムを楽
しんだり、様々な解釈をしたりする楽しさを味わわせたい。
(3) 「テーマについて深く考える機会」をつくる
児童の書く詩に同じような作品が多い原因は、2つ考えられる。一つは、思い付きを順に並べてい
く習性である。この思い付きの多くは、誰もが真っ先に挙げるような当たり前の事柄が多い。例えば、
「アイス」に対しては「冷たい」
「甘い」などである。このように、誰もが思い付く事柄を順に並べて
しまえば、同じような作品が多くなることは自明の理である。
もう一つの原因は、無個性なテーマ設定である。児童が今まで設定したテーマの多くは名詞であり
単語が多い。例えば、
「アイス」
「トイレ」
「インコ」などである。このようなテーマはあまりにも一般
的すぎて、みんなが気付かないような発想はなかなか生まれない。
そこで、今単元では「テーマについて深く考える機会」をつくる。ここでは、一人で考えるだけで
なく、仲間との話し合いによって視野を広げていく場面もつくる。そして、
「思い付き」を整理しなが
ら、自分が本当に書きたいことを探ることができるようにしていく。
(4) 「自分にとってスペシャルな詩を書く機会」をつくる
単元の最後に、
「自分にとってスペシャルな詩を書く機会」をつくる。そこでは、上記(2)
(3)
の経験を生かした詩が完成されると予想する。出来上がった詩は、児童がじっくり鑑賞できるように
工夫し、そこから感じたことを伝え合ったり、声に出して一緒に読んだりできるようにする。
4 指導の工夫
(1)
「文字数を変えてリズムを楽しむ言葉遊びの機会」をつくるために
◎「○マスシート」の活用
児童が自由に詩を書く際、原稿用紙より白紙を選ぶ傾向がある。これは、白紙には「びっしりと
並ぶマスを埋める」という圧迫感がないことが理由ではないかと考える。一方で、マスがないこと
により、せっかくできた詩が他人にとって読みにくいことを気にする児童もいる。そこで発案した
のが、下記の「○マスシート」である。
○○
(名前
)
○○○ ○○○○
○○○○○
○○○ ○○○○
)
○○○ ○○○○
○○○○○○○
(名前
○○ ○○○○
○○ ○○○○
○○ ○○ ○○
)
○○○○ ○○○
○○○
(名前
○○○ ○○○
○○○○ ○○○
○○○○ ○○○
○○○○ ○○○
○○○ ○○○
○○○○○
これらのシートを、児童に選ばせる。そして、○の中には、一文字を入れるというルールを設定
する。文字数は、児童の中にはない観点の一つであり、
「文字をぴたりと当てはめる快感」は未経験
である。この快感を味わわせながら、
「書くこと」の新たな魅力に気づかせたい。
また、このシートを使ってできた作品は読みやすくなるという利点があるため、児童の困り感を
解消すると考える。さらに、このシートは音楽的なリズムを自然と生み出すため、みんなでリズム
にのって楽しく読めようになる。この、韻文でしか味わえない「読む楽しさ」も、児童に十分に味
わわせたい。
(2)
「テーマについて深く考える機会」をつくるために
◎「連想シート」の活用
下記のようなシートを考案した。
(テーマ
名前
(
(
)
)
)
)
(
このシートは、一つのテーマに対して思い付いたことを、複数の仲間と一行ずつ順に書けるよう
になっている。ここに「すでに出たことは書けない」というルールを設定する。これは、詩の表現
方法の一つである「反復」をあえて封じることで、児童の発想をまだ誰も気付いていない方向へ自
然に導くことがねらいである。一人目が書いた事柄を受けて、次の人が思いついた事柄を書く。そ
のまた次の人は、前に出た事柄以外の事柄を書かなければならない。これをゲーム感覚で進めてい
く。もちろん思いつかない時は、パスをすることも可能である。様々なテーマで連詩シートを挑戦
させながら、テーマに対してより深く思考する経験ができると考える。
◎「おみくじテーマ BOX」の活用
これは、箱の中にテーマについての条件を書いた紙を入れ、それを児童がひくというシステムで
ある。箱の中に入れる紙には「大好きな○○○」や「ぼくだけの○○○」などである。この、○○
○は児童が自由に設定できる。何が出るか分からないという演出は児童を魅了するため、自分でテ
ーマを決められない不自由さを楽しませる効果があると考える。また、同じ紙も何枚か入れておく
ことで、同じテーマでも全く異なる作品ができあがり、互いの感性の違いを楽しむこともできる。
この BOX は、テーマをより身近なものに設定でき、しかも自分との関係性を振り返る契機になる
と考える。そして、それらの思考は「自分にしか書けない独創性」につながっていくと考える。
(3)
「自分にとってスペシャルな詩を書く機会」をつくるために
◎「ミニ詩集」の活用
今まで自分が書いてきた詩を綴じた「ミニ詩集」は、自分の学習の足跡であり、詩に対する自信
の表れでもある。これを手元に置くことで、今までの学習を自由に振り返ることができるようにす
る。そして、自分が一番書きたいテーマは何かを考え、設定する際の参考にさせる。
◎「連想シート」のさらなる活用
上記の「連想シート」を、取材として活用させる。自分が一番書きたいテーマを設定した後、そ
れについて仲間から連想シートを書いてもらう。そこで挙げられた言葉も参考にして、
「自分にとっ
てスペシャルな詩」を書く。
5 単元の指導計画(5時間 本時5/6)
次
過
1
1
新しい経験をする
程
時
◎学習内容 『 』予想される児童の声
※支援
●評価
◎「○マスシート」の使い方を知る
※多種のシートを用意する。
『繰り返すと入るぞ。
』
●文字数を変えられる自由に気
『「が」、
「を」、
「に」をとっちゃえば入るよ!』
◎できた詩をみんなで読む
付いたか。
●文字数によってリズムが生ま
『歌みたいで、読んでいると楽しくなる!』
2
◎「連想シート」の使い方を知る。
『言おうと思っていたことが言われちゃった!』
『他に何があるかな・・・。
』
れることに気付いたか。
※連想シートは2~4人組で使
わせる。
※なるべく多くの人と連想シー
『そうだ、これならまだ出てないぞ!』
◎できた詩をリレーのように読む。
『うまくつながるとおもしろい!』
3
◎「おみくじテーマ BOX」の使い方を知る
トに取り組むように勧める。
●テーマについて、深く考える
ことができたか。
※テーマは「自分とのつながり」
『何がでるんだろう?ドキドキ。
』
に目を向けられるように設定
『わ、
「ぼくだけの○○」だって! 書けるかな?』
する。
◎できた詩をみんなで読む
●自分との関わりについて考え
『同じテーマだけど、いろいろな詩ができるね!』
ながら詩を書くことができた
か。
4
『ぼくは、○○が書きたい!
※「ミニ詩集」を手元におく。
テーマはこれにする!』
◎連想シートを使って取材する
●テーマを設定できたか。
『なるほど。これは気がつかなかった。
』
●連想シートで取材ができた
『この言葉とこの言葉はリズムがいいなあ。
』
5
自分にとってスペシャルな詩を書く
2
◎「自分にとってスペシャルな詩」のテーマを設定する
◎自分にとってスペシャルな詩を書く
『ぼくは「ぼくの家族」という詩を書いたよ。リズムもいい
※ほぼ白紙のシートを用意す
る。
(行を表す点線あり。
)
●言葉を並べ替えたり繰り返し
たりしてスペシャルな詩を書
いているか。
6
3
鑑賞する
からみんなで読んでほしいなあ。
』
か。
◎それぞれのスペシャルな詩を鑑賞する。
『また詩が書きたいな。
』
『いろんな詩が読みたいな。
』
『○○さんは、なんか詩の感じが今までと変わってきたね。
』
『○○さんの詩、~のところがすごくいいと思う。
』
●学習を振り返りながら、詩の
鑑賞を楽しんでいるか。
6 本時の学習(5/6)
(1)ねらい
○集めた言葉やミニ詩集を参考にしながら、自分が一番書きたい詩「自分にとってスペシャルな詩」
を書くことができる。
○仲間と読み合い、誤字などを見つけて直すことができる。
(2)展開
時間
5
◎学習活動 ☆確認事項
◎今日の流れとねらいを確認する。
①一番書きたい「自分にとってスペシャルな詩」を書く。
※支援
●評価
※今日の流れを明記して学習の
見通しをもたせる。
☆スペシャルな詩とは・・・
1
自分が一番書きたいことを書いた詩
2
読んで楽しくなるように工夫した詩
②仲間と読み合って誤字などをチェックする。
③できた詩を、みんなで声を出して読む。
自分にとってスペシャルな「し」を書こう。
25
◎連想シートやミニ詩集を参考にしながら、
「自分にとっ
てスペシャルな詩」を書く。
◎仲間と読み会い、誤字等をチェックする。
※連想シートやミニ詩集を手元
に置かせる。
※書き終わった人から、他の詩
をどんどん書けるように○マ
スシートなどのシートを多種
置いておく。
●誤字を見つけて直すことがで
きたか。
15
◎できた詩をみんなで鑑賞し、それぞれの解釈を楽しむ。 ※できた詩は、視聴覚機器で拡
・リズムに乗ってみんなで読む。
・できた詩からどんな感想をもったかを話し合う。
大して提示する。
※様々な解釈をよしとする雰囲
気を大切にする。
●リズムにのって読むことを楽
しんでいるか。
●感想を伝え合うことを楽しん
でいるか。