高品質ダブル塗工紙生産のコスト削減コンセプト 第2部 ブレード

高品質ダブル塗工紙生産のコスト削減コンセプト
第2部
GuillermoBluvol,
ブレード-ブレード塗工システム
PeterDahlvik
Omya, Research & Technology Services, CH-4665, Oftringen, Switzerland
Alexander Hipp, Pekka Salminen
Dow Europe S.A., CH-8810 Horgen, Switzerland
Greg Welsch
The Dow Chemical Company, 1604 Building, Midland, Michigan 48674, USA
要約
この研究はダブル塗工でのコストと品質の最適な研究を紹介します。
コンセプトは非常
に高い固形分濃度で通常より高い量を下塗りに応用する事に基づいています。
ー濃度は塗工で不動化点を早め、バインダーの削減を可能にします。
高いカラ
更に、紙表面で優
れた被覆性と均一性が得られ、より高品質でコストの高いトップコートの量の削減を可能
にします。
簡単でコストの安い下塗りの部分を増やす塗工量の配分の変化は重要なコス
ト削減を意味します。
トップコートでの新しいラテックスの使用は適切なインクと塗料
の相互作用を提供します。
カラーでの低濃度の構成要素の削減によって得られる下塗りでの高濃度コンセプトは塗工
強度と他の物性に積極的なインパクトを持つ事が紹介されています。
パイロットコータ
ー試験とミルトライアルに基づいて、このコンセプトは最終紙物性とコーターのランナビ
リティーに関して現在の一般的な方法と比較しました。
安価な下塗り部分を増やす事でコスト削減は乾燥エネルギーの削減により更に完全になり、
コスト削減の更なる追加、或いは乾燥に成約がある場合、塗工速度を上げる事に転化され
ます。 関係する製造コストの定量化(塗料配合と乾燥エネルギー)が提案されたコンセプ
トでかなりの潜在的削減を示します。
紹介
上質高級塗工紙の製造での標準的なやり方は 2 つの方法で行われています。 北米では主
にシングル塗工で欧州では多層塗工です。
を踏襲しています。
アジアでの新しい需要は一般的に欧州の傾向
原材料コスト、生産性、工場での効率或いは市販パルプ、研究開発
費、資本コストのような経済的要因は品質評価と同様それぞれの市場がどの方法を採るか
を決定します。
多層塗工の技術は業界では良く知られており、出版物でも紹介されています。
表面物性
の改善と並んで多層塗工での原料のコスト削減はベースコートでの簡単で安価な配合の使
用から起こり、シングル塗工の効果な要素の量を削減します。
更に、高い塗工量は通常
同じ重量を維持するのに必要な高価なパルプの量も削減します。
世界的な生産過剰は成熟した激しい競争市場での需給のインバランスをもたらしています。
急速で確実な生産コスト、エネルギーコスト、原材料コストの上昇は塗料配合を最適に導
き、大きな改善の余地は少なくなっています。
コストをコントロール或いは削減する第一義の解決とコンセプトは必須であり、利益を守
る為には最善の回答です。
この研究はダブル塗工紙生産で表面品質を維持或いは改善し、且つコスト削減のコンセプ
トを紹介します。
コンセプトはトップコートに新しい高強度ラテックスを使用し、水溶
性のバインダーを削減する事で、固形分濃度を最大にする事に関して下塗りを調整する事
に基づいています。
更に、全体の塗工量は一定にして下塗りとトップコートの間の塗工
量の変更の効果も評価されています。
その結果は簡単な下塗りの部分を増やす事で比較の品質がよりコスト効果のあるシステム
を作り出し、導く事を示しています。
更に、この今までにないアプローチは全体の品質
を高める為にトップコート配合により良い性能の顔料或いはラテックスを使用する事への
関心を集めています。
この研究では新しいラテックス技術がインクと塗料の相互作用を
改善する為、トップコートに使用されました。
現在の研究はダブルコーティング上質塗工光沢紙に集中していますが、コンセプトはマッ
ト、シルク、ダブル塗工板紙にも適用されます。
実験
この研究はパイロットコーターでのもので、パイロットコーターとミル規模トライアルで
塗工した紙に商業印刷に基づいています。
58g/㎡の 上質 紙が 使用さ れま す。
パイロットトライアルでは表面サイズされた
紙は 下塗り 、ト ップ コート 共に硬 いブ レー ドで
1200m/min の速度でジェットアプリケーションを使って塗工されました。 紙は総てのパ
イロットトライアルに同一条件でスーパーカレンダー処理されました。
下塗り最適化(パイロットトライアル PartA)
研究の最初の部分では、下塗りでの乾燥固形分が評価された。
3つの異なった固形分で
3つのラテックス水準が続けて一定のトップコートに用いられた。 8 部、6 部、4 部の異
なったラテックスで 3 つのグループで紙が下塗りされました。 低剪断力粘度を一定にす
る為、合成増粘剤が使用されました。 各グループ内の固形分濃度は 73、70、67%と変化
します。 下塗り塗料の他の総ての要素は一定です。(第 1 表)
下塗りの塗工量は総て片面 15g/㎡です。 その上に片面 8g/㎡の一般的な光沢グレードのト
ップコートが塗られました。 配合は GCC95 80、微分クレー 20、SB ラテックス 10、
PVOH 0.4、CMC 0.35、OBA 0.6、でスーパーカレンダー処理しました。
FS (フィージビリth-スタディー) (パイロット トライアル Part B)
研究の第 2 部では、コンセプトの実用が下塗りで高い固形分濃度で高い塗工量を用いバイ
ンダー水準を下げる事が示されました。
度のラテックス技術を紹介します。
トップコートが低塗工量で塗られ、新しい高強
紙はスーパーカレンダー処理され、商業シートフェ
ドオフセット印刷されました。
第 2 表は FS で使用された配合です。 P1 は標準の下塗り塗料で業界でごく一般的に使わ
れているシステムです。 塗工量は片面 12g/㎡で固形分濃度は 67%です。 P2 と P3 は最
適のコンセプトの下塗り塗料で、スターチレベルが5から2部に下げられ、片面 15g/㎡で
73%濃度で塗られました。
T1 は P1 の上に塗られ、SB ラテックス 10 部で片面 11g/㎡で塗られました。 T2 は P2 の
上に塗られ SB ラテックス 12 部で片面 8g/㎡が塗られました。 T3 は P3 の上に塗られ 10
部の新しい SB ラテックスが使われ、片面 8g/㎡が塗られました。 総てのトップコートの
固形分は 68%です。
ミルトライアル
工業的な実験が提案されたコンセプトの潜在性を評価する為に、また、長時間規模で生じ
る可能な問題を見つける為に実施されました。
トライアルは欧州のダブル塗工上質紙の
重塗工の生産者で行われました。
塗工機は4ブレードステーション付きオフラインコーターで塗工速度は 600m/min で下塗
り、トップコート共にベントブレードを使いました。 原紙は 178g/㎡で仕上がりは 250g/
㎡です。 マットとグロスの両グレードが生産されました。
第 3 表は実験のパラメーターです。 塗工量は下塗りで片面 16 から 22g/㎡に増やし、トッ
プコートは片面 16 から 10g/㎡に減らしました。 下塗りでの目標固形分濃度は 72%ですが、
顔料スラリー濃度の関係から、71%にしか到達できませんでした。
ブレードのセッティングはトップコートでは僅かに高いブレード負荷が必要とされますが、
下塗りではほとんど同じ状態を示しました。
値はなお比較的低い(低マシンスピード)。
0.5mm のブレード厚がトライアルでは殆ど理想的ですが、トライアルの時点ではそのよう
なブレードが得られませんでした。
結果と考察
パイロットトライアル Part A – 下塗り
PPS 値は紙の平滑性で適用した濃度の顕著な効果を示しています。 総ての3つのグルー
プで高濃度で塗工された紙のラフネスが低くなっている事をしめしており、見事な相関関
係が見られます。(図1)
IGT テスターによる表面強度に関する下塗りサンプルの評価はドライピック値がカラーの
濃度とラテックス水準の両方に関係がある事を示しました。
表面強度の低下は低ラテッ
クス水準で観察されましたが、高濃度での下塗りが表面強度で有利であるのは明らかです。
(図2)
パイロットトライアル Part A – トップコート
高濃度下塗りの紙でトップコートされた紙の高いシートグロスの傾向は僅かですが明らか
です。
(図3) IGT のドライピックで評価された表面強度は3つのグループで高濃度下塗
りの場合より高いピック抵抗への濃度の傾向が示されていました。
パイロットトライアル Part B–
Feasibility Study (FS) - 下塗り
PartA で下塗りされた紙に関して PPS ラフネスは高濃度の下塗りで高塗工量の方が低かっ
た(図5)
。 IGT でのドライピック抵抗は P2,P3 の下塗りはかなり高濃度だけれど 3 部の
スターチ減で僅かに下がっています。(図6) この結果はある程度はラフネスの違いで偏
っており、同じ実際の強さで粗い表面が平滑な物より IGT ドライピックで高い値を示す。
パイロットトライアル Part B–
Feasibility Study (FS) - トップコート
トップコートでドライピック強度の結果は T1 で 10 部に代えて 12 部という高レベル、T3
では新しいラテックスで同レベル(10 部)、T2,T3 のトライアルで高い値を示した。
(図7)
これらの結果はインクタック測定で確認された。 このテストの”pass to failure”は T2 と
T3 が僅かに高かった。
(図8)
第 4 表はトップコートに新しいラテックス技術を使った最適化されたコンセプトと従来の
手法との主な違いのまとめです。“↑”は性能向上を示し、“↓”は性能低下、”0”は変化無
しを意味します。
提案されたコンセプトには不透明性で僅かに利点が認められ、白色度には変化はありませ
ん。
僅かに白紙光沢が高くなる傾向が認められます。また、ラボでも商業印刷でも顕著
な印刷光沢の上昇を認めており、ラボでは表面強度の向上とモトリングの減少も確認して
います。
予想しましたように、下塗りでのスターチの減少が提案しましたコンセプトで
僅かに剛性が下がっています。
パイロットコーター ランナビリティー
1200m/min でのコーターのランナビリティーは総てのトライアルポイントで何ら問題はあ
りませんでした。
図9はブレード負荷が下塗り、トップコート共に提案したコンセプト
では幾分高くなっていました。
通常範囲内です。
然し、この差は警告ではなく、ブレードセッティングが
乾燥需要
一見したところ、高い下塗り(15 vs 12g/㎡)高い乾燥容量を要求しているように見えます。
濃度での上昇(73 vs 67%)は、図 10 で示されていますように実際は低い乾燥需要を意味
します。
パイロットトライアル Part B–
コスト評価
第 5 表は P1/T1(標準手順)と T1/T3(新しいラテックスを含む最適コンセプト)を比較した場
合の塗工材料と乾燥エネルギーのコスト定量化を示しています。
使用される材料には平均市場価格が適用され、塗工量の異なった比率は塗料コストを見積
もる為に考慮されました。
トップコートでの新しいラテックスとの最適コンセプトで、6.4%のコスト削減が塗工顔料
で計算されました。
このコストの利点は新しいラテックスがこの計算で高い価格として
計算して得られたものです。
配合コストに加えて、両方のシステムでの乾燥需要の差もまた定量化し、紙が要求するk
Wh/ton に換算して計算されました。 乾燥エネルギーで潜在的には 12%の節約が最適コン
セプトでは得られます。
バインダーレベルと塗工量の配分に基づいて標準の紙 P1/T1 が既に全く最適のシステムで
あると言う事ができます。
ミルトライアル
グロスとマットのミルトライアルから総てのサンプルのラボ評価は表面物性での重要な違
いを明らかにしませんでした。
紙はまた印刷プレスランナビリティーや、印刷品質に関
して大きな違いも無く印刷されました。 コスト削減の見積りは、塗工材料で 13%、乾燥
エネルギー全体で 10%の削減を示しています。(第 6 表)
結論
この研究はダブルコーティングでのコスト/品質のコンセプトを提案しています。 コンセ
プトは下塗りで可能な最も高い濃度とその結果潜在バインダーの削減、最適塗工量分布と、
インクと塗料の相互作用を改善したトップコートに新しい高強度のラテックスを使用する
事です。
パイロットスケールでこのコンセプトを行い、ミルスケールでこのコンセプトを証明する
事で次の利点が確認されました。

塗工材料の大幅な削減(6.4%或いは実機の場合それ以上)

乾燥エネルギーで大幅削減(12%)

紙の品質は維持或いは向上
提案しましたコンセプトの予想される欠点は僅かに紙の剛性が落ちる事(主に軽量紙)と
塗工量の調整の為に僅かにブレード負荷がかかる事です。
塗工量の比率を変える可能性は多層塗工では更に可能性は高くあり、そこから更に多くの
利点が得られると説明しています。
潜在的なコスト削減は各々の塗工層の特定の性能を
最適にする夫々の評価を管理する為に強いインセンティブであるべきです。