第1回 ワークショップ概要書

上大貫地区コミュニティ防災強化計画作成調査
第1回
ワークショップ概要書
上大貫地区コミュニティ防災強化計画作成調査のうち、同地区自治会との第一回ワークシ
ョップを 10 月 22 日(金)に実施いたしました。概要は下記のとおり。
記
1.日時:
10 月 22 日 (金)
19 時 30 分〜21 時 30 分
2.場所:
川越生活改善センター
3.参加者:
上大貫地区の自治会の代表者
(計 14 名)
江津市役所
国土交通省浜田河川国道事務所
4.議事次第:
(1)本調査及びワークショップの概要説明
(2)参加者自己紹介
(3)上大貫地区の白地図(A1 サイズ)を使っての自治会体制の確認
(4)地域防災に対する意識と構えの確認
(5)上大貫地区の白地図を使って洪水被害、避難所、後背地の状況確認
(6)防災意識に関する質問票調査への協力依頼
(7)次回ワークショップの日時の決定
5.ワークショップ概要:
(1)本調査及びワークショップの概要説明
本調査の目的や活動、同日のワークショップの目的や手順に関する説明を行った。
なお、ワークショップへの参加者全員の参加度を高め、積極的かつ親密な雰囲気で話
し合いを進めるため、近距離で互いの顔を見ながら話ができるように畳の上に小さめの
テーブルを取り囲んで座り会合を進めた。
(2)参加者自己紹介
参加者の自己紹介。8 組に分かれている自治会からは、6 組以外の各組からの代表者
の参加が得られた。
自己紹介の際に、今年に入って特に頻発する豪雨及び台風災害に関連して、自分たち
の地域で防災体制を整えることが重要であること、そのため本調査に期待しているとの
コメントが数人から挙げられた。
(3)上大貫地区の白地図(A1 サイズ)を使っての自治会体制の確認
テーブル上に広げた A1 サイズの上大貫地区の白地図(住宅表示あり)を用いて、自
1
治会 8 組の区分け、組ごとの戸数、参加者の自宅の位置について確認した。
(4)地域防災に対する意識と構えの確認
参加者全員に、地域防災に関して以下の4つの項目について、各組で相談して考えを
取り纏め、カードに記載してもらった。各組とも1項目につき最低1枚のカードを出し
てもらうことをお願いした。
①
地域防災で行政側に期待すること
②
地域レベルの防災で不安に思っていること
③
各人の家庭で不安に思っていること
④
地区又は家庭で防災のためにやっていること(心がけていること)
各組の意見を記入してもらったカードを、正面のホワイトボードに入りつけた大判ク
ラフト紙に項目ごとに分けて貼り付けた。その結果は添付資料に示す通り。
カードを全て貼り出した後に、カードを一枚ずつ読みながら、その内容を確認すると
ともに、問題点について協議を行い、さらに重要な情報があった場合は、その情報を記
入したカードを追加した。
「ワークショップでこうした活動を行う旨を事前に知らせてくれれば準備してきた
のに」という参加者からの声もあったが、
「事前に仲間や家族と検討しないでワークシ
ョップの場で考え、取りまとめていただくこと。最初に思いついたことを纏めていただ
いて、日ごろの意識や構えを見る目的があるために事前にお願いをしなかった」ことを
コンサルタント側から説明し、
「ワークショップで気づかなかった細かな点については
別途行う世帯別の質問票調査で回答して欲しい」とお願いし、了解していただいた。
各項目に対する自治会メンバーからの主な意見は以下の通り。
①
地域防災で行政側に期待すること
[築堤について]
K
K
大貫地区の江の川築堤を早期に着工してほしい。
(これは全組から要望あり)
水から家を守って欲しい。
[情報提供について]
L
町役場からもらっている浜原ダムからの放流量情報では洪水の予想や、避難の必
要性の判断がつきにくい。
L
上流の堤防工事や環境の変化で以前と江の川の状況が異なっており、浜原ダムの
放流量情報をもらっても、それによって、どれくらいの時間で、またどれくらい
の量で、上大貫地区の川が増水するのかを過去の経験を踏まえて判断することが
2
難しい。
L
江の川の上流地域は広範囲で広島県側に位置しており、そちらの雨量、増水状況
などがわからないと不安である。
K
地域限定(桜江町、または上大貫地区単位)での気象情報、雨量、河川の増水情
報、そして防災関連情報が欲しい。
L 車で巡回して洪水情報を提供してもらった場合は、豪雨の際には聞き取りにくい。
補足
添付資料では、「②地域レベルの防災で不安に思っていること」に分類されている
意見の中には「①行政側に期待すること」に入ると考えられる意見がある。ここでは
わかりやすく整理するため「①行政側に期待すること」に含めた。
国土交通省からは、現在入手している情報はすべて住民へ提供しているとのコメン
トがあった。現状では、ダムの放流量についての情報は出すことができるが、ダム関
係者・専門家に聞いても、放流よって各地域ごとで川の水かさが増すタイミングやそ
の増加量、さらには洪水の可能性等については正確な予測ができないとのことであっ
た。
②
地域レベルの防災で不安に思っていること
[情報・連絡について]
L
現在、役場からもらっている浜原ダムの放流量や河川の計測ポイントごとの水位
に関する情報だけでは、洪水の危険度や避難のタイミングなどがわからない。
L
近隣地区と上大貫地区を結ぶ唯一の国道が地区間では土地が低くなっており、水
が出ると水没してしまい、他の地域への避難経路が断たれ、上大貫地区が孤立し
てしまう。
L
自治会長のところにのみ双方向の無線装置があるが、それ以外のところでは災害
時の双方向の連絡は電話でしかとれない。携帯電話は若い世代が持っているので
家庭にはあるが、年配者は個人的には使わない。インターネットも同様である。
L
各家庭に防災用無線機が配布・設置されているが、受信のみで、上大貫地区から
緊急支援の要請や被害状況報告などを行うことはできない。また、防災用無線機
の電源が入っていないケースもある。
L
上大貫地区は江の川に沿って家々が細長く点在する集落であり、洪水になると、
地区内の連絡がつかなくなり、自治会内の避難状況、被害状況がわからない。
[高齢化について]
L
前回の洪水時(昭和 47 年、58 年)より地区メンバーの高齢化が進んでおり、今
度大きな水害が起きたらどうなるか不安である。
3
L
住民の高齢化により、災害発生時の対処が迅速にできない。独居世帯もあるが、
どのように対応していいかわからない。
[避難所・経路・手段について]
L
避難施設(家屋と神社)は指定されているが、電気、水、燃料はなく、トイレも
ない。また、一部屋のみある避難所家屋は板張りで、床が腐っており、たけのこ
が生えている。冬季は寒い。
L
避難所に、非常食・水、炊き出し用大なべ、調理用燃料、食器などがない。また、
無線機や懐中電灯、応急手当用の医薬品や寝具等もない。
L
避難所への道が低いため水につかりやすく、前回は自宅から泳いで避難所へ避難
した。
L
避難所よりご近所で比較的高台にあるお宅に避難する人が大部分である。ただし、
一時避難には使えても長期の避難所(水が引いて家の片づけがすむまで)には使
えない。
L
L
水が引いて、家の片づけがすむまでの数日を過ごせるような施設がない。
後背地の山側は急傾斜であり、避難することが難しい。また、豪雨になると急斜
面から地下水が噴出してくる。
L
前回の洪水時は、地区に鮎取りの舟があったことから、その舟を活用して避難、
救助を行った。現在はそうした舟はなくなってしまったので、水が出た場合の移
動手段がない。
[自主防災組織について]
L
自主防災組織は設置されているが、自治会メンバーや防災組織メンバーに情報が
伝わっておらず、それぞれの役割や責務、防災のあり方、避難の手順などが理解
されていない。
L
炊き出しについては、女性陣の協力が必要であり、防災組織メンバーとなってい
るが、情報が十分伝わっていない。
L
L
③
防災訓練を行っていない。
低い家の避難を助けていると、途中の道が水に使ってしまって家に帰れなくなる。
各人の家庭で不安に思っていること
[高齢化について]
L
L
L
L
L
自宅は高齢化で、一人暮らしの人がご近所に多く、避難が不安である。
高齢の障害者がいるため、緊急の場合の行動ができない。孤立するのではないか。
お年寄りや障害者をどうやって避難させるべきかわからない。
高齢化で災害後のことが心配である。自宅の後片付けをどうすればよいのか。
少人数の高齢者が広すぎる家に住んでいるので不安である。
[洪水被害への不安]
4
L
L
L
長雨が続くと昭和 47 年、58 年のことがよみがえり不安になる。
家が低いところに位置するので不安である。
裏山が急斜面で、地すべりが心配である。
[避難のタイミング・場所・経路について]
L
L
L
L
L
L
L
L
④
避難経路がわからない。
避難場所がない。
避難場所、避難のタイミングがわからない。
避難するかどうかの判断基準が自分たちでわからない。
避難するかしないかは個別に判断するしかないのか。
裏山へ逃げるしか避難経路がない。
ダムの放流量が 4 千トン以下でも水が冠水することがあり、避難が難しくなる。
放流量 5 千トンで近くの甘南備寺の旧道が浸かった。
地区又は家庭で防災のためにやっていること(心がけていること)
[地区又は自分の家で心がけていること]
J
J
J
J
J
J
J
水が出たときにお互いに助け合いをしている。
災害時の飲み水の確保を心がけている。
浸水住宅の荷造りの手伝いをしている。
家を浸水から守るように心がけている。
ご近所でお互い声を掛け合うようにしている。
家族内で防災についての話し合いを行っている。
上大貫地区では自主防災会が組織されている(組織図と規約あり)。
[実践できてないこと]
L
K
自主防災組織での話し合いが行われていない。
結成当時の平成8年には消防団による消火・避難訓練も行われたが、その後は活
動が停滞している。
[今後の活動]
J
このワークショップを期に、防災組織を活性化させたい。
(5)上大貫地区の白地図を使って洪水被害、避難所、後背地の状況確認
上記の作業により、地域内においても組・世帯ごとに被災・防災状況が異なることがわ
かった。地図を参考にしながら、昭和 47 年の洪水当時の状況を以下のように振り返った。
1-4 組: 水に浸かりにくいところに家が建っており、大部分の家が浸水しなかった。
浸水の恐れのある数件は高台にある家に避難した。
5 組:
浸かった場所はあるが、高台の家に避難した。
6 組:
一部浸かった。町営住宅(住人あり)が避難場所になっている。
(町営住宅は S47 の洪水で流された家の補償で建設された)
5
7 組:
家は全部浸水した。裏山に逃げた。
8 組:
家は全部浸水した。裏山に逃げたが最後は宮も浸かった。
さらに、ここでの話を受けて、避難手段について以下の不安が再度述べられた。
L
昭和 47 年の洪水時は鮎取り舟を使って7組や8組まで消防団が助けに来てくれ
た。現在は、舟はなくなった。対岸の川越小学校(廃校)にボートがあるが、使
えるかどうか不明。いざ洪水の時に誰が「助け舟」を出してくれるのか。
L
また、対岸の川越地区はより洪水被害が大きいが、彼らとの連絡が取れないこと
も心配であるとの意見も寄せられた。
L
コンサルタントには、夜間、地区内に街灯がなく真暗なことが不安に思われた。
(6)防災意識に関する質問票調査への協力依頼
本調査では、今回ワークショップの結果等を踏まえて、上大貫地区の全戸に対して防災
意識・構えに関する質問票調査を行う。自治会代表者に、質問票を各組代表者へ必要部数
配布し、次回ワークショップまでに収集の上、持参していただくことを依頼した。
(7)次回ワークショップの日時の決定
次回ワークショップは、12 月 17 日(金)午後 7 時 30 分を予定。
以上
6
添付資料:
①
地域防災で行政側に
期待すること
築堤を早急に着工しても
らいたい
大貫地区築堤の早期完成
堤防(宅防)を早く
②
自治会メンバーにより作成した「上大貫地区の地域防災に対する意識と構え」
第1回ワークショップ(2004 年 10 月 22 日開催)にて作成
地域レベルの防災で不安に思っていること
近隣地区との間の国道に低い
ところがあり、水没して避難
経路が立たれ孤立してしまう
堤防工事や環境変化で以前と
状況が異なり、洪水判断に従
来の経験が使えない
現在もらっているダムからの
放流量の情報では洪水の予想
がつかない
水から家を守って欲しい
広島側にある江の川の上流部
分の増水状況がわからないと
不安である
上流水しよう部(水の当た
るところ)堤防公示の完成
を急ぐ
桜江町、又は上大貫地区単位
での気象情報、防災情報が欲
しい
堤防を早く
各家庭に無線器(受信のみ)
が設置されている
ただし、無線機の電源がはい
っていないケースあり
自治会長のところにのみ双方
向の無線機あり
上大貫地区の上流端の築
堤を早期完成(治水計画に
沿った事業進行の中で)
江の川に沿って細長く点在す
る集落であり、洪水になると
地区内で連絡できなくなる
車による洪水情報の提供は豪
雨の際に聞き取りにくい
低い家の避難を助けていると
自分の家に帰れなくなる
③
各人の家庭で不安に思っていること
④
地区及び家で防災のため
に行っていること
助け合い
水の確保
浸水住宅の荷送りの手伝い
家を浸水から守る
前 回 洪 水 時 より 高 齢 化 が進ん
だ。今度大きな水害が起きたら、
どうなるか不安
住民の高齢化により災害発生時
の対処が迅速にできない。独居
世帯もある
避難施設(家屋と神社)に電気、
水、トイレがない
板張りの床は痛んでいる
冬季は寒い
避難所に、非常食・水、炊き出
し用大鍋、燃料、食器、無線機、
懐中電灯、応急手当用医薬品、
寝具等がない
避難所への道が低く、前回は泳
いで避難所へたどりついた
避難所よりご近所で高いところ
にある家に避難する人が大部分
前回は鮎取りの船を避難用に使
ったが、もう船がなくなったの
で避難手段がない
避難経路が定かでない
高齢化と一人暮らしも多く、
避難が不安
避難場所がない
避難場所、避難時期がわ
からない
高齢の障害者がいるため、緊
急の場合の行動ができない
単独孤立する恐れがある
お年寄りや障害者をどうやっ
て避難させるか
裏山へ逃げるしか避難経
路がない
高齢化で災害後のことが心配
自宅の片付けのことなど
上大貫地区自主防災組織がで
きているが諸事情により防災
活動をしていない
ダム放流量が 4 千トン以
下でも道が冠水してしま
い、避難が難しくなる
少人数で住んでいるのに、家
が広すぎて不安
浸水住宅の荷送りの手伝い
放流量 5 千トンで近くの
甘南備寺の旧道が浸かる
昼・夜でいる人いない人の連
絡がとれない
自主組織での話し合い
水が引くまでの数日を過ごせる
ような避難所がない
避難をするかどうかの判
断基準がわからない
長雨が続くと 47 年、58 年の
ことがよみがえり不安
家族での話し合い
山側は急傾斜で避難が難しい
急斜面から豪雨になると地下水
が噴出してくる
自主防災組織は設置されている
が、メンバーに役割と手順が伝
わっていない(特に炊き出し)
防災訓練を行っていない
避難するかしないかは
個々に判断するしかない
家が低いので心配
避難は自分で判断してい
る
裏山が急斜面で地すべりが心
配
(*カードの中身は類似或いは重複しているケースもあるが、カードの内容と枚数の両方が重要な情報であり、ここにはそのまま記載した。
)
7
お互い声を掛け合う