平成25年度 北杜市事業仕分け 【出産祝金支給事業】議事録

平成25年度 北杜市事業仕分け
【出産祝金支給事業】議事録
実施日時:平成25年10月19日(土)
実施場所:北杜市役所北館3階
コーディネーター:伊藤
午後1時40分
大会議室
伸(構想日本
政策担当ディレクター)
仕分け人:石井
聡(逗子市秘書広報課広報係長)、川嶋幸夫(構想日本政策アナリスト)、
河野
巧(元内閣官房行政改革推進本部事務局主査)、白石久也(ヤフー株式会
社プロデューサー)、小川昭二(北杜市行政改革推進委員会会長)
説 明 者:茅野子育て支援課長、津金少子化対策担当リーダー、鳥原少子化対策担当
(コーディネーター)
それでは事業番号 1-5「出産祝金支給事業」について説明をお願いします。
(説明者)
「平成25年度北杜市事業仕分け(第1日目)」資料に基づき説明。
(仕分け人)
北杜市において少子高齢化となっている理由を教えてください。
(説明者)
北杜市には働く場所が少ないという事と、子どもが進学で都心へいった結果、そのまま
就職し帰ってこないという事もあると思います。
(仕分け人)
その状況が変われば少子化は止まると思いますか。
(説明者)
市でも企業誘致を行い雇用対策に力を入れていますが、子どもの出生があまり増えてい
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ない状況です。
(仕分け人)
問題が解決する方法にお金を使うべきだと思います。祝い金については貰った方がうれ
しいのは理解できますが、現金に付加価値を与えずに右から左へ流すだけなので、財政的
に厳しい公共団体が実施する事なのか疑問です。
(説明者)
企業誘致は他部署で行っています。他には就職祝金支給事業があり、市内に就職する方
を増やすための施策を行っています。
(仕分け人)
ただし、人はどんどん減ってきているので、それらの施策は功を奏していないのだと思
います。それは別の問題として分析する必要はありますが、根本的な問題が分かっている
のであれば、まずはそこに対応するべきであって、お祝い金を配るという考えにはならな
いと思います。全体の少子化対策としての位置付けがわからないので教えてください。
(説明者)
この事業だけで少子化に歯止めがかけられるとは思っていません。これに加えて他の事
業を包括的に行う事によって子育て対策と考えています。
(仕分け人)
これに加えてという必要はあるのでしょうか。これを止めてという方法はないのでしょ
うか。色々なところに資源を少ない量で投入しても、あまり効果はないと思います。まず
は根本原因に対処する事に取り組むべきだと思います。そのような時に祝い金をベースに
政策を組み立てていくと、財源に余裕がない中で新しい政策が出来ないと思います。
(説明者)
出産祝金事業を第1段階とし、その後保育園に入る場合、保育料第2子以降は無料とし
ています。また医療費の無料も行っているため、段階的に支援をしながら子育て支援に取
り組んでいます。
(コーディネーター)
この事業の最終的な目標は定住促進や少子化対策であると思います。対象としては5年
以上本市に定住する意思を持っている者となっており、要綱には偽りがあった時には返還
を請求できると記載されています。今まで支給した方が1,911件あり、その内5年以
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内に転出した方が194件ありますが、その方々は返還されていますか。
(説明者)
返還はしていただいていません。
(コーディネーター)
本当に定住促進や少子化対策になっているのか疑問です。事業名に祝い金という名前が
入っているため、結果的にはお祝いのための事業だと感じてしまいます。第2子で50,
000円貰えるから北杜市に来るという方はいますか。
(説明者)
50,000円貰えるから北杜市に来るという方は、恐らく少ないと思います。しかし、
子育て世代のアンケートの結果、多くの方がこの制度を知っていると回答しています。ま
た48%程度の方が定住促進に効果があると回答しています。
(コーディネーター)
産まれた時に50,000円いただけるのは、本当にありがたいと思いますが、産む前
にこの制度があるからこの市へ行こうというインセンティブにはならないと思っています。
(説明者)
この事業だけでは恐らくならないと思いますが、この後段階的に子育てを支援する事に
よって、北杜市に来たいという方もいると思います。
(コーディネーター)
このようなサービスは他の自治体でも行っており、子育てという全体の施策で見た時に、
その一部としてこの事業があると言われていましたが、この事業がなかったら子育ての施
策は欠落するのかを考えなければ駄目だと思います。この事業としての効果を考えなけれ
ばいけないと思います。もしかしたら無くても効果は変わらないかもしれません。30,
000,000円程度の費用が掛かっているので、第2ステップや第3ステップの事業に
選択して集中投資した方が良いのかもしれません。少なくともこの事業だけをみると定住
促進や少子化対策には役立っているようには見えません。
(仕分け人)
平成22年度末に第1子への支給を廃止するという制度変更を行っています。この制度
を変更するに当たり恐らく庁内で検討がされて、第1子を廃止し第2子、第3子は残すと
いう結論を出したのだと思いますが、この時の議論の経過を教えてください。
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(説明者)
第1子は10,000円を支給していました。10,000円で定住に繋がるという事
はないので、第1子を廃止しファミリーサポートセンター利用者への補助事業を創設する
など、削減した費用を他の事業へ振り分けました。
(仕分け人)
制度を存続させたという事は、制度の必要性が十分あると判断したのでしょうし、第2
子以降については、ある程度の効果が見込めると判断したのだと思いますが、考えを教え
てください。
(説明者)
アンケート調査からもこの事業が経済的な支援になるという回答を得ているので、利用
者からも評価をいただいています。
(仕分け人)
そのような経過で2年前に制度変更がされたのであれば、効果を見る必要がありますが、
今後この事業を続けていくに当たり、どのような視点で見直しをしていこうと思っていま
すか。
(説明者)
市では今年度から定住促進策として広い分野で検討をしています。その中でこの事業の
位置付けも再検討していく必要もあると思いますが、現在は他自治体でも色々な施策を行
っており、どれも似たような事業となっています。その中で北杜市に来ていただき、残っ
ていただくためにはインパクトのある事業が必要だと思います。子育て支援課としてもこ
の事業はその一つだという認識です。
(仕分け人)
この制度は転入を促進する事なのか、転出を防止する事なのか、第1子は儲けたが第2
子、第3子を産むのを迷っている人の背中を押す意味合いなのか、目的をはっきり持つ必
要があると思いますので、この事業の目的を教えてください。
(説明者)
この制度は平成4年に高根町が始めて、合併前に4町村が実施していました。金額は高
根町に合せました。恐らく当時は転出者を抑制する事が大きな目的だったと思います。
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(仕分け人)
事業の自己評価に「特色ある施策等をアピールし、自治体間の競争に勝っていかなけれ
ばならない。
」と記載されており、先程そのためのインパクトを与えなければならないと言
われていましたが、そのインパクトが第3子300,000円とか第4子以降500,0
00円という事なのでしょうか。もし他自治体が1,000,000円なら1,000,
000円にしなければならないと思いますが、そのような競争を望んでいるのでしょうか。
(説明者)
他自治体が行えば真似をするという状況の中で、インパクトは必要だと思います。そう
した場合、額はインパクトになると思います。
(仕分け人)
そのインパクトは子育て世代や子どもを産む世代に知られていますか。例えば、結婚式
場にチラシが置いてあり、出産祝金の額に対するインパクトで北杜市に定住するのであれ
ば話はわかりますが、そのインパクトは誰に対して、いつ発信されていますか。
(説明者)
市のホームページに子育て支援課で独自のページ(やまねっと)を開設しています。民
間でも子育てをする場所に悩まれる方の比較サイトがあるので、そこでも情報発信してい
ます。またアンケートでも出産祝金については、ほとんどの方が知っていました。
(仕分け人)
市内の人が知っているという事は当たり前の事なのですが、これから結婚しようという
方が、このまちで子育てをしたいからと転入してくる事がインパクトだと思いますが、な
かなか出産祝金や子ども医療費の比較だけで、その土地で子育てをしようとする原因にな
るのか疑問です。
また、合計特殊出生率を成果に挙げていますが、合計特殊出生率とは15歳から49歳
までの一人の女性が一生に産む子どもの数なので、若年層が転出したから数値が下がると
いう計算ではないと思います。全国の推移と北杜市の推移を比べて、原因を考えて手を打
つのが少子化対策だと思います。
(説明者)
北杜市は第3子以降の出生割合が県内でも非常に高いです。
(仕分け人)
5年間満たず転出してしまった方の理由は把握されていますか。
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(説明者)
転勤や離婚、子どもの死亡等が理由です。
(仕分け人)
一番重要な年代である15歳から29歳は転入者よりも転出者の方が多くなっています。
逆にそれ以外の年齢の方は転出者より転入者の方が多いという状況ですが、どうお考えで
すか。
(説明者)
就職や就学、結婚による転出が多いと思います。
(仕分け人)
その方々が市外へ転出しないためには、どうすれば良いと思いますか。
(説明者)
大学等へ進学する方の転出を防ぐためには、北杜市に大学などの学校があれば、ある程
度の転出は防げると思います。その上の年代は勤め先があれば良いと思います。結婚に伴
う転出に対する対策は思いつきません。
(仕分け人)
出ていかれる方よりも入ってくる方が多くなれば、この現象は解消されると思います。
という事は、定住対策を実施しなければ転入者は増えていかないという事になります。市
はこれから定住対策として何に力を入れていくのですか。
(説明者)
子育て対策としては、子育て支援住宅の建設を来年度から進めており、若い子育て世代
が北杜市に住めるような環境を整備していきたいと思います。
(仕分け人)
少子化対策で一番大きなニーズがあるのが、子ども達を育てるための経済的な支援であ
り、多くの自治体が実施しています。次に住宅などの子育てに対する環境づくりとなりま
す。しかし、すでに子育てをしていくための経済的な支援が必要だということで、医療費
や保育料の対策を行っています。国では児童手当を実施しています。子どもに対する経済
的な支援は国も行っているし、市も色々な施策を行っています。現在必要な事は子育て環
境だと思います。良い住宅環境がある家に住みたいというニーズがあるのであれば、この
30,000,000円からのお金は、そのニーズに振り分けて市に転入してもらうよう
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にするべきであり、転入してくれれば市としても良い子育て支援のメニューがあるので、
それを活用して住み続けてくださいと言えると思います。このような施策をトータルで行
わなければ北杜市の人口は更に減っていく可能性が高いと思います。
(説明者)
今年度から全庁的に定住促進対策について検討を始めており、職員からもどうすれば定
住が図られるかの意見を取りまとめています。それを基に定住促進を行う考えです。
(仕分け人)
どの事業にプライオリティーを付けるのかが重要です。あれもこれも出来る時代ではあ
りません。上位概念である児童福祉の充実、定住対策という色々なメニューがある中で、
どこを重点的に行ったら本当に効果がある事業なのかを庁内でよく検討をしていただきた
いと思います。
(コーディネーター)
昨年度事業仕分けで実施した結婚祝金支給事業とかなり似ていると感じています。結婚
祝金事業については廃止の判定となり、その後市が様々な観点から検討した結果、事業廃
止となったと思いますが、出産祝金支給事業はなぜ継続する事になったのか教えてくださ
い。
(説明者)
結婚祝金支給事業の目的は定住となっていました。出産祝金支給事業については、定住
と乳児の健やかな成長に寄与する事を目的としているため、出産祝金支給事業は継続して
います。
(コーディネーター)
評価シートのご記入をお願いします。この事業の論点としては、他の施策の中で重点的
に行うべき、もしくはゼロベースで見直すべきだという方は「不要・凍結」、このような祝
金は広域で行うべきという方は「国・県・広域」、継続するべきだが、支給額や方法を改善
するべきと思う方は「要改善」、今まで通りという方は「現行通り」へ丸を付けてください。
(コーディネーター)
それでは判定をします。
仕分け人
「不要・凍結」=5人
市民判定人
「不要・凍結」=12人、「国・県・広域」=1人、「要改善」=7人
「現行通り」=1人
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この事業の判定は「不要・凍結」となりました。
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