CST S U C C E S S S T O R Y 富士ゼロックス株式会社様 デジタル複合機の EMC 対策設計に CST STUDIO SUITE を採用 1962 年創立の富士ゼロックス株式会社（Fuji Xerox Co., Ltd.） 最新のデジタル複合機には多くの電子部品が組み込まれ はドキュメントサービス＆コミュニケーションの領域に ています（図 1）。電子部品は往々にして部品共通化のた おけるリーディングカンパニーです。同社が開発製造する めにモジュール化されていますが、それらが互いに干渉し、 プリンターやプロダクションプリンターなどの多機能な 電磁両立性（EMC）問題を起こす可能性があります。また、 オフィス機器は、その卓越した性能によって世界中で使用 静電気放電（ESD）によって部品の性能が損なわれるおそ されています。 れがあります。製品テストの間に EMC 問題が生じた場合 も、原因の特定が困難な場合があります。問題の背後にあ るメカニズムをよりよく理解し、有効な対策を講じるため に、富士ゼロックスは CST STUDIO SUITE による EM シ ミュレーションを行うことにしました。 図 1： 富士ゼロックス製 デジタル複合機 ｗｗｗ.aetjapan.com CST S U C C E S S S T O R Y 大型で複雑なモデルの EMC と ESD シミュレーションを 効果的に行うには あるプリンターのプロトタイピング過程で、ユーザーイン ターフェイス（UI）ユニットに EMC 問題が確認されまし た。テストの結果、UI ユニットとフレームの接触箇所を 増減すると EMC が改善することが判明しましたが、問題 が生じている結合パスを特定することはできませんでし た。現象を適切に解析するためには、UI の PCB とプリン ターのフレームを一括でシミュレーションすることが必 要でした。PCB とフレームの大きさの違いが、この問題を 難しくしています。 CST STUDIO SUITE では、PCB を 3D モデルとしてイン ポートし、CAD ソフトウェアからインポートしたメタル フレームと統合することができます。東京工業大学の GPU 搭載クラスタ型スーパーコンピュータ TSUBAME を 利用し、MPI 並列シミュレーションを実行しました。計算 の結果、部品内の電流の流れが示され、接触箇所を変える と性能が改善される理由が明らかになりました。シミュレ ーション結果の EMC スペクトラムを測定結果と比較対照 したところ、両者はよく一致しました（図 3）。得られた知 見を基に、EMI を抑制する新しい対策を講じることができ ました。このようにして将来の低ノイズ設計の指針づくり に有用な情報を得ることができました。 シミュレーションを使用して、LED プリントヘッドの ESD 耐性テストも行われました。ESD テストのセットアップ を CST STUDIO SUITE で再現し、いくつかの PCB 設計を 解析しました。シミュレーションの結果は測定結果とよく 一致し、PCB を修正して ESD 感受性を低減することがで きました。 シミュレーションによる設計プロセスの短縮 測定の一部がシミュレーションに置き換えられ、物理プロ トタイプの削減と設計プロセスの短縮が実現しました。シ ミュレーションにより、プロトタイプ作成前に EMC 問題 を予測することができ、また問題の発生後にはそのメカニ ズムを特定して、容易に対策を講じることができます。 図 2: プリンター部品の大きさの違い。メタルフレーム（最上 段）から PCB トレース（最下段）まで。 ｗｗｗ.aetjapan.com CST S U C C E S S S T O R Y 図 3: 測定距離 3m の EMI スペクトラム: 修正前（上）と修正後（下）。シミュレーション（左）と測定結果（右）。 »CST STUDIO SUITE は、それ自身の利便性だけではなく、EDA import module や GPGPU な どの強力なモジュール群が開発部門にとって非常に有用である。これらのツールのおかげ で、手戻りの減少、開発スピードの向上が得られている。« 富士ゼロックス株式会社 大門 デバイス開発部 デバイスシステムプラットフォーム開発部 真様 ｗｗｗ.aetjapan.com CST S U C C E S S S T O R Y 富士ゼロックスについて 1962 年の創立以来、富士ゼロックスは、より良いコミュ ニケーションを通して顧客と社会の相互理解を進めるこ とを基本理念としてきました。紙に記された情報の複製を 可能にする技術、ゼノグラフィーはオフィスワークに大変 革をもたらしました。富士ゼロックスは製品よりもむしろ ユーティリティを提供することにより、レンタルサービス に注力する新しいビジネスモデルを確立したばかりでな く、広範にわたる製品群とサービスを提供して顧客のコミ ュニケーションと価値創造を支援しています。 CST について CST はダルムシュタット工科大学の研究者達が創業 現在の高度に複雑なシステムが抱える問題はひとつ した数値解析専門のソフトウェア開発会社です。 のカテゴリに収まるものではなく、複数の解析法を 1992 年に最初の電磁界ソフトウェア MAFIA を発表し 連携させて解く必要があります。CST STUDIO SUITE て以来、開発設計の第一線に向けて革新的な数値解 ではさまざまな解析技術がひとつのユーザーインタ 析技術を提供して来ました。電子機器が飛躍的な進 ーフェイスに統合されており、複雑なシステムの解 歩を遂げる裏で、設計開発にかかる課題は高度化と 析をスムーズなワークフローで進めることができま 多様化の一途をたどり、しかもプロセスの改善や加 す。 速化が常に求められています。そうしたなかで電磁 界シミュレーションは、技術者を支援するツールと して瞬く間に広く使われるようになりました。 確立した解析技術と使い勝手の良さはそのままに、 効率の良いシステムシミュレーションを可能とする 連携機能を加えた CST STUDIO SUITE は、技術者のニ 数値解析の発展と歩調を合わせてハードウェアも長 ーズに応える解析ツールとして好評を得て、世界中 足の進歩を遂げ、現在では汎用のコンピューターで の研究機関と企業で通信、防衛、自動車、電子機器 大規模演算が行えるようになりました。シミュレー をはじめとする広範な分野に応用されています。 ションの認知度が上がるにつれて、システムレベル のシミュレーションに期待が寄せられています。 Trademarks CST, CST STUDIO SUITE, CST MICROWAVE STUDIO (CST MWS), CST EM STUDIO, CST PARTICLE STUDIO, CST CABLE STUDIO, CST PCB STUDIO, MPHYSICS, CST MICROSTRIPES, CST DESIGN STUDIO, CST EMC STUDIO, CST BOARDCHECK, PERFECT BOUNDARY APPROXIMATION (PBA), and the CST logo are trademarks or registered trademarks of CST in North America, the European Union, and other countries. Other brands and their products are trademarks or registered trademarks of their respective holders and should be noted as such. CST STUDIO SUITE® is a CST® product. CST – Computer Simulation Technology AG, Bad Nauheimer Str. 19, 64289 Darmstadt, Germany 株式会社エーイーティー 〒215-0033 神奈川県川崎市麻生区栗木 2-7-6 TEL (044) 980 – 0505 （代)
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