第12章 - 学校法人東洋英和女学院

第12章 Word の応用3
 著作権
 引用の書式と注のつけ方
1. 法律・倫理
インターネットやコンピューターを利用すると、情報を簡単に複製できてしま
うため、他人の権利を侵してしまうことがある。他人が創造したものは知的所有
物と呼ばれ、著作
権 法 で 守 ら れて い
る 。 代 表 的 な 知 的 著作権
所有権には表に示
すものがある(☞
付録4)。
著作者人格権
著作財産権
特許権
工業所有権
著作隣接権
実用新案権
意匠権
商標権
表1 代表的な知的所有権
2. 著作権法上やってはいけないことの例
 書籍やウェブサイトにある他人が書いた文章、絵、写真を無断で自分の
文章中に利用して公表すること。
 他人が描いた絵をまねて描いて公表すること。
 音楽CDやソフトウェアを複製して友人にあげること。
 音楽CDをMDやテープに録音して友人にあげること。
 録画したテレビ番組や音楽CDを個人利用以外の目的で複製すること。
 受信したメールを送信者の許可なく第三者に転送すること。
 他人の顔写真を無許可で利用すること。ただし、書籍、論文、ウェブサイト
など、著作権のあるものでも、学術利用の場合には許可されている。
 レポートに著作物の内容を利用する場合には、はっきり引用であるとわか
るように書き、写し取るのは、その内容の一部に限る。また、どの著作物か
ら引用したのか書くこと。これを、出典を明らかにするという。
 新聞記事は事実の記述であり著作物とみなされないが、利用する場合に
は出典を明らかにする。
 学校内での教育目的の複製・配布等は特別に許可されている。
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第3部 文字表現による思考
3. ソフトウェアの入手例
 パソコンを購入したら、ソフトウェアも一緒に梱包されていた。
(合法。パソコンの代金にそのソフトウェアの代金が含まれているから)
 パソコンショップなどに行って、気に入ったソフトウェアを購入した。
(合法。商品に対して正しくお金を払っているから)
 信頼できる1 ウェブページ上に「無償ダウンロード」とあったソフトウェアを
使った。(合法。無償=ただ。提供先がただで配っているため)
 ウェブページ上で「フリーウェア」と書いてあるソフトウェアを使った。
(合法。フリーウェアとは、代金を支払わなくてよいソフトウェアのこと。)
 ウェブページ上で「シェアウェア」と書いてあるソフトウェアを使った。
(期限が切れると違法。シェアウェアというソフトウェアは、最初一定期間
無料で試用でき、その後、継続して使用する場合にはお金を払う。)
 友人から複製してもらったソフトウェアを使った。
(違法。たとえソフトウェアを購入した人でも、それを複製して他人に配る
権利はない。)
 コンピューターを2台持っているので、一つのソフトウェアを2台で使った。
(原則違法。たいていのソフトウェアは1台のコンピューターでのみ使う許
可しか与えていない)
 これ以外にも様々な方法で流通されている。どういう場合に合法でどうい
う場合に違法なのかを判断するためには、ソフトウェアの説明書の中など
にある 「License Agreement 」や「ご使用の前に」といった説明を読み、そ
れに同意することが使用者に求められている。
4. 引用の書式と注の付け方
(1) 引用の書式
他の文献から文章を引用して、議論を進めることがある。このとき、自分
の考えと、出典から引用や要約をした部分は明確に区別するとともに、注
を付けて元となっている典拠を示さなければならない。大学で提出するレ
ポートにおいても、他人の創作物(友達のレポート、ウェブサイトにある記
事も含む)を利用する場合は、引用部分を明確にし、必ず注を付け、出典
1
信頼できないサイトにあるプログラムにはウイルスが混入している危険性もある。
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第12章 Word の応用3
を明記しなければ、盗作になる。このことは、レポートの内容を問う以前の
モラルの問題である。
書き方は、以下に示す書式だけではなく、学問分野によって数種類あ
る。学会誌などの専門分野の論文を見て参考にしよう。
① 短い引用は「 」で示す。
② 長い引用は、行を改め、2 文字分行頭を下げて揃える(インデント ☞
12章6節)。この場合「 」は要らない。
③ 引用する場合は、加筆訂正してはいけない。
④ 引用の中にさらに引用がある場合は『』で示す。
⑤ 引用文の前後の関係が不明なときは( )で補う。
例)「これ(会議の議事録)が提出された。」
⑥ 引用文中省略がある場合は・・・で示す。
例)「会議の結果である。・・・・・・
⑦ 引用した場合は注を付ける。
(2) 注欄の書式例
注には引用注と内容注がある。引用注は引用あるいは参考にした文献
資料名とページを書く。文章を直接引用しなくても、参考文献から考え方
を引用した場合も、注を付けて、自分の意見とは区別する必要がある。一
方、内容注は、本文に直接挿入すると、本文の理論がわかりにくいときに、
注としてより詳しい説明をする。
注は、各ページの下に付ける脚注と、本文の最後に付ける後注(こう
ちゅう)(尾注、文末注とも言う)がある。
本文における注の位置は、普通、字またはレターの右肩に付ける。注の
番号は章ごとに付ける場合と、文章全体に通し番号を付ける場合がある。
Word の脚注機能を使えば、自動的に、番号も振られる
し、脚注か後注かを選べる。文末や章末に参考文献リス
トがある場合は、引用した文献をその文のすぐ後の丸
カッコの中に記述する。
① 右肩に付ける引用例
・・・といわれている1。しかし・・・
② カッコ方式の引用例
・・・といわれている(有田 2004、pp.11-13)。しかし・・・
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第3部 文字表現による思考
(3) 引用文献の書式
和文文献 書名・雑誌名・新聞名には二重カギ『』、論文・記事名にはカギ
「」を付け、ページは単独の場合「p.120」、複数は「pp.22-25」となる。
①
書籍の場合:著・編者名 (刊行年) 『書名』 出版社 ページ (複数
②
あるときは、年号の後に、a,b,c を付けて区別)
有田富美子他(2006) 『基礎情報科学 2006 年版』 東京:日本
教育訓練センター、p.53
論文の場合:著者名 (刊行年) 「論文名」 『収録書名(雑誌名)』
③
号数、ページ 発行者名を丸括弧で入れてもよい。
有田富美子他 (2004) 「東洋英和女学院大学卒業生のライフ
コースについて」 『人文・社会科学論集』 (東洋英和女学院大
学)第 21 号、pp.23-107
翻訳の場合:原著者名(原綴) (訳書の刊行年) 訳書名 訳者名
④
⑤
出版地 出版社 ページ (原書名)
Johnson, Seila K. (1986)『アメリカ人の日本人観』(鈴木健次
訳) 東京:サイマル出版会.(原書名: American attitude
toward Japan)
新聞の場合:表題 新聞名 年月日 ページ
「ビッグデータで提携」 『日本経済新聞』 2013.2.13 p.1
ネット検索の場合:著者名 発行年 タイトル <URL> [訪問日付]
指宿 信 (2000) ネット文献の引用方法について
<http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/054.html>
[2001.1.17]
外国文献 書名・雑誌名はイタリックまたは下線を付け、論文・記事名には
クォーテーション・マーク “ ” を付ける。 著者名はセカンドネーム(姓)
が冒頭になる。
① 書籍の場合:著者(刊行年).書名. 刊行地:出版社, ページ
Crystal, D. (2001). Language and the Internet. Cambridge:
Cambridge Univ. Press.
② 論文の場合:著者名(刊行年).“論文名,” 雑誌名, 巻・号数, ページ
Warschauer, M., . L. Turbee, and B. Roberts (1996).
“Computer learning networks and student
empowerment” System, 24:1, 1-14.
Vol. 24, No1, pp.1-14. と書いてもよい。
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第12章 Word の応用3
引用と脚注の例
基礎情報科学の学習目標は、「21 世紀は、みな同
← かぎカッコを使っ
た引用
じ人間になるのではなく、『自分らしさ』が求められる。
自分に備わった素質を大切にし、さらに伸ばしていく
ように努めよう。」1 と掲げられている。
第 12 章では、著作権について学ぶ。
収集した情報をあたかもあなた自身の発想である
かのように文書にすることは、真に慎まなければなら
ない。もしあなたが安易にインターネットなどで手に
入れた文書を相手に無断で利用するならば、これは
引用部分が多いときは
← 前後に行間をあけ
る
← 本文よりもフォントサ
イズを小さくする
←
本文よりも行間を狭く
設定する。
←
インデントを使って左
(または右)に空白を
とる。
犯罪行為であり情報を活用できなかった方が良かっ
たことになる。絶対にしてはならない行為である。2
このことからみても、基礎情報科学 3 では、コ
ンピュータースキルもさることながら、情報の管
理についても学ぶ科目であることがわかった。
1 有田富美子他(2006)
『基礎情報科学
2006 年版』東
京:日本教育訓練センター、p.1
2 同上、p.231
3 この科目は
1 年生の必修科目に位置付けられている。
行間を詰めたいときは、
[ページレイアウト]/[段落]
の右下にある ➘ で現れる
「段落ダイアログボックス」の
[インデントと行間隔]をク
リックし、行間の枠内に固定
値を選択すると行間隔はポ
イント単位で指定できる。
注のうち1,2は引用注、3は内容注である。
上の例は、同一ページの下の部分に注を付ける場合で、脚注という。これ
に対して章の後にまとめて注を付ける場合を文末脚注という。
(4) 注の付け方
① 脚注を付けたい場所にキャレッ
トをおく。
② [参考資料]
/[脚注の挿入]
を選ぶ。
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第3部 文字表現による思考
③ 詳細な設定をしたいと
1
XXXXX
きは、
[参考資料]の右下
にある ➘ で脚注と文末
脚注のダイアログ ボッ
クスが開くので、脚注か
文末脚注かを選択し、挿
1
入ボタンをクリックす
○○○○
る。
④ ページ下に注を入力する部分ができるので注を入力する。
⑤ キャレットを本文に戻す。
本文と注に対応した番号が振られる。注の番号は、途中に注が増えたり
減ったりしても、自動的に振りなおされる。
引用を使用したレポート
各自興味のあるテーマについて調べ、Word を使って 1500 字程
度(雑誌または新聞・書籍・ウェブサイトから引用を含む)でレポー
トする。
注意
1. 引用の部分と自分の意見の部分が明確に区別されていること。
2. 引用する内容・範囲は必要最小限にとどめる。
3. あくまで、自分の意見を補足するための引用であるから、レポー
トの大半が引用で占められることは許されない。
4. 参考文献を使ったときは、その旨記載すること。ウェブサイトの
場合は引用したサイトの URL を書く。
5. 引用部分がわかるように規則にのっとって書くこと。引用部分は
修正しないこと。
体裁:1行目:「基礎情報科学Ⅰ ○曜 ○限」を左寄せとする。
2行目:タイトル 各自で設定する。内容を的確に表していること。
中央揃え、字の大きさ、形は自由。
3行目:学籍番号と氏名を右寄せとする。
4行目:空行。
5行目~:本文開始。
提出期限:[
月
日]の授業時間内(提出期限厳守)
提出先:担当教員
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