現金を対価とする米国上場企業の買収:「合併」対

MERGERS & ACQUISITIONS
CLIENT PUBLICATION
2011 年 4 月 13 日
現金を対価とする米国上場企業の買収:「合併」対
「公開買付」
本ニュースレターで取り扱
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合には、貴殿が普段コンタ
クトをお取りになっている
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Counsel
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(Gordon Palmquist)
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現金を対価とする米国上場企業の買収にはどのようなストラクチャ
ーが利用できるか?
一般的に、現金を対価とする米国上場企業の買収では、以下の二通りの方法のいずれかが利用
される。
 合併により行われる「一段階取引」、または
 公開買付とその後の合併により行われる「二段階取引」
取引が成功した場合の結果はどちらのストラクチャーを利用した場合でも全く同じであ
り、買収する側(買収者)は対象会社株式を 100%取得することになる。
一段階取引
一段階取引では、対象会社は買収者が新設した完全子会社と合併する。その結果、存続会社
(対象会社あるいは買収者の新設完全子会社のいずれか)が、買収者の完全子会社となり、対
象会社株主が保有していた株式は現金と交換される。1
合併には、対象会社の取締役会の決議および株主総会の決議(デラウェア州の会社の場合には
出席株主の 50%超が決議要件)を得る必要がある。合併に際して、対象会社の全株主が保有
するすべての対象会社株式が現金と交換されることになるが、反対株主は一定の状況下におい
て、合併対価ではなく裁判所が決定する公正価格を受領する買取請求権を有することがある。
二段階取引
二段階取引は以下の二段階から成る。
第一段階:第二段階の合併の決議に必要な最低株式数(通常は過半数)を買い付けることを条件とする公開買付。買収者と
対象会社の間で締結される合併契約では、通常、公開買付が成功した場合に買収者が対象会社の取締役会の支配権を獲得す
ることを規定している。
第二段階: 対象会社の残存株主が保有する全ての対象会社株式を現金と引き換えに取得する合併。買収者が公開 買付後
に対象会社株式の 90%以上を保有する場合(追加された買付期間における取得分またはトップアップ・オプション2の行使
1
日本とは異なり米国では株式交換は利用できないが、その代わりに、株式交換と同様の結果を得る
ために、三角合併(triangular mergers)が利用される。
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により取得する株式を含む)、第二段階の合併に対する株主の承認を得る必要はない。この場合、買収者は公開買付のクロ
ージング後、迅速に第二段階の合併を完了できる。
一段階取引と二段階取引の類似点は?
 買収者が対象会社株式を 100% 確実に取得するために合併が利用される。
 取引成立に必要とされる、二段階取引の第一段階の公開買付における最低限の応募株式数の割合と、一段階取引におけ
る賛成株式の割合とは、同じである(デラウェア州の会社の多くは 50%超)。
 友好的取引において、買収は買収者と対象会社間の合併契約に基づいて行われる。公開買付に関する詳細な記載を除け
ば、二段階取引の合併契約は、一段階取引の合併契約と殆ど同じである。
 海外の買収者(および殆どの国内の買収者)は、買収用ビークル (acquisition vehicle) として米国デラウェア州法人
を新設する。
最近の動向:公開買付利用の増加
公開買付の利用は、2006 年には上場企業を対象とする友好的買収案件のうちの 7.59% に限定されていたのに対して、2010
年の上半期においては 22.95% にまで増加した。3 この増加の背景事情としては以下が挙げられる。
 トップアップ・オプションは対象会社株式の 100%取得に要する時間を削減し、公開買付のための資金調達をより容易に
するために利用されるが、スリーエム・カンパニー (3M Company) によるコジェント・インク(Cogent Inc.) の買収に関
連して、デラウェア州裁判所がトップアップ・オプションはデラウェア州法のもとで有効である旨を確認した最近の判決
に伴い、その利用が増加したこと。
 合併に比べ、公開買付には取引の最終段階においてより柔軟性があることが、買収者およびそのアドバイザーの一般的
な認識となったこと(日本の公開買付制度のような買付期間の上限はなく、買収者は、合併が承認されるために必要な
最低株式数の応募があるまで何回でも公開買付を延長することができる)。
 公開買付において、応募した株主への対価について平等な扱いが求められる「ベスト・プライス/オール・ホルダー
ズ」ルール (“best price/all-holders” rule 。) が改正されたこと。同ルール改正前は、買収者は、 買収に際して対象会社
の創業者や経営陣に対して雇用等に関する特別な条件を提示する場合に、同ルールに基づく重大な訴訟を回避するため、
公開買付を用いるストラクチャーの使用を避けていた。
最近の買収案件においては、買収者が、一段階取引と二段階取引のスキームの開示書類を同時並行で SEC に提出するもの
が見られる。この方法は、案件が複雑になり費用も高くなるが、略式合併を用いた二段階取引で買収を行うことを目指しつ
つ、公開買付やトップアップ・オプションの行使で十分な株式を取得できない場合に備え、一段階取引のスキームに移行す
ることになっても、SEC による開示書類のレビューで時間をロスしないようにするためのものである。
公開買付
(および第二段階の合併)
2
一段階取引
買収者が、略式合併の実施に必要となる数の対象会社株式を公開買付において取得できなかった場合に、不足分を新規発行株式 として対象会
社から取得できる権利。詳細は、当事務所の 2010 年 12 月 13 日付ニュースレター「米国企業の公開買付におけるトップアップ・オプション」を
ご参照下さい。
3
“Behind Growing Number of Tender Offers”, October 14, 2010, The New York Times Deal Book.
2
スピード

公開買付が最短期間である 20 営業日の
間のみ行われると仮定した場合、
買収者は合併契約締結後わずか 30 日で、
対象会社の支配権を獲得することができる。
但し、規制当局等の許認可が理由で公開
買付が迅速に終了しない場合に、
当該利点の価値が失われる可能性もある。

米国証券取引委員会(「SEC」)による委
任勧誘状 (proxy statement) のレビュー
に要する期間、および株主 への委任勧
誘状発送と合併決議のための株主総会開催 の通
知期間の確保ため、通常、一段階合併には合併契
約締結後 2~4 ヶ月を要する。
競合する

公開買付は合併より早く完了しうるため、
競合買収者が介入する余地が比較的小さい。

進行のスピードが遅いため、競合買収者
に買付けの準備の時間を比較的多く与えることと
なる。
複雑さ

公開買付にかかる書類作成および仕組みは、
買収者の立場からすると比較的複雑である。

開示書類を SEC に提出するのは、買収者では
なく対象会社である。書類作成および仕組みは、
比較的シンプ
ルである。
資金調達

対象会社の株式または資産を担保として資金調達
できない可能性があるため(米国の「証拠金規
則」(margin rules)では、金融機関が対象会社株式
を担保と して資金を貸すことを禁止している)、
資金調達 はより困難である。

取引のための資金調達に対象会社の株式
および資産 を担保として利用できる。
柔軟性

買収者は、対象会社の支配権を獲得するために必
要となる最低株式数を取得するため何回でも、
また必要な期間にわたって、公開買付を延長す
ることができる。

対象会社取締役会は、反対株主の賛同を得るため
に より時間が必要な場合には、株主 総会の開
催を遅らせることができるが、買収者はタイミン
グについて あまりコントロールを及ぼすこ
とができない。
買収
2 つのストラクチャーの利点および欠点
本ニュースレターは、上記トピックに関する一般的な考察を行うことのみを目的としており、したがいまして、当事務所の
正式なアドバイスではございません。当事務所は、ご要望に応じて、特定の状況に関する詳細な説明またはアドバイスを提
供させて頂くことが可能です。 本ニュースレターで取り扱うトピックに関して更に詳しい情報をご希望される場合には、
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