CIEEJ-1420 大島 恵の園 大島 第 2 恵の園 2014 年 8 月 19 日~9 月 2 日 1 1.参加者紹介 右:P フランス出身。23 歳。 7 月に看護学校を卒業、8 月前半から 3 か月間日本に滞在予定。日本滞在中、伊東温泉にてインターン、日本 語学研修を行います。帰国後、看護師として働きます。 日本の文化が大好きで、映画鑑賞や読書、旅行が趣味で、ジブリが大好きです。 チャレンジ精神に溢れ、何事にも真剣に取り組んでくれます。優しく、思いやりの心を持っていて、C や私の お姉さん的存在でした。 真ん中:C イギリス出身。18 歳。 9 月から大学生になります。 カップを集めたり、美術品を見ることが大好きで、創作活動時はまさにアーティストでした。 とても好奇心旺盛で、明るく、常にベストを目指そうとする野心家です。 2 週間大島の大自然に興奮していました。自国ではパレスチナ問題など政治に強い関心があり、書道では「パ レスチナに自由を」という言葉を描いていました。 左:S 東京都出身。21 歳。 今回リーダーを務めさせていただきました。 埼玉大学にて、経済や国際開発、労働問題について勉強しています。 2 2.活動スケジュール ◆1 日のスケジュール 06:30 起床 07:30 朝食 10:00~12:00 活動(午前) 12:00 昼食 13:00~15:30 活動(午後) 18:30 夕食 24:00 就寝 ◆2 週間のスケジュール 8/19(火) 大島 来島 施設見学、大島観光、暑気払い会(BBQ) 8/20(水)~23(土) 活動(2 園) 8/24(日) 大島観光、ビーチクリーン活動、ウォーキングクラブ 8/25(月)~27(水) 活動 (2 園) お茶会(8/27 のみ、旧北の山小学校)、ボーリング大会、BBQ パーティー(8/27 のみ) 8/28(木)~29(金) 活動(1 園) 音楽祭準備(8/29 のみ) 8/30(土) 音楽祭 準備・音楽祭 本番、音楽祭打ち上げ・懇親会 8/31(日) 大島観光 9/1(月) 活動(1 園)、荷造り、掃除 9/2(火) 離島 3.活動記録(一日の記録) 8 月 19 日(火) 浜松町にて 6:45 に待ち合わせ。意気込んで早めに来たつもりが、既に C がいました。他の参加者を目印とな る看板を持ちながら待っていると P が合流。もう一人、メキシコ人も参加予定でしたが残念ながら来ず、3 人で 竹芝ターミナルへ。 ジェット船の中では、既に日本に 10 日ほど滞在していた P の東京観光の写真を見ながら盛り上がっていまし た。その後、昨年の大島を襲った台風のことを話すと真剣に聞いてくれました。イギリス人の C は本場のブリテ ィッシュイングリッシュを話す為、言葉が早すぎて理解が追い付かず戸惑いまし たが、東京、そして大島への憧れを語っていました。 あっという間に大島へ到着。恵の園のスタッフさんが迎えに来て下さり、 大島の大自然を紹介して頂きながら車で施設へ向かいました。途中、「バームク ーヘン」と呼ばれる「間伏地層切断面」の前で写真を撮りました。 そして大島恵の園に到着。課長の F さんと挨拶をし、施設の場所を確認し、そ の後宿舎へ。昼食まで時間があったため、荷物の整理が終わり、ゴキブリホイホ イを一緒に組み立てました。2 人とも興味津々で、組み立て終わったあと、 3 「Well done!」とハイタッチをしました。これが私たちの初めての共同作業となりま した。 そして、昼食。暫くお世話になる 2 園へ向かいました。2 園で初めてお会いしたある 利用者さんは、ワンピースという漫画のキャラクター、チョッパーが描かれた T シャ ツを着ており、P と C が「これ知ってる!」と喜び、その利用者さんも「あ、国際ボラ の人だ!」と笑顔で出迎えて下さいました。 そして 2 園に入り、食堂へ。食事の始まる時間、食堂の前は、いつも利用者さんで 沢山。その時も、食事を待つ沢山の利用者さんがいて、私たちを見ると、利用者さん 全員が笑顔で「こんにちはー!」 「ハロー」 「握手!」 「名前はなんですか?」と声を掛 けて下さったり、手を握って下さったりしました。正直、利用者さんの皆さんは私た ちとは顔の作りが違う外国の人を警戒したり怖がるのではないか、と思っていました。 しかし、そんな心配や不安を消し去るかのように、利用者の皆さんは満面の笑みで出迎えて下さいました。この 2 週間、楽しく活動できると確信しました。 そしていよいよ食堂が空き、食事の大好きな利用者さんたちが一斉に食堂へ入りました。利用者さんの中には、 「ここに座って!」と一緒に食事を食べようと誘って下さる方もいて、一緒に食事を食べました。 その後、施設を見学し、F さんと一緒に車で大島を観光しました。天気も良く、牧場、ビーチへ行ったり、台 風による三原山の土砂崩れの跡を観ることが出来ました。C は日本に来て 1 日目で、時差ボケによりかなりの疲 れがたまっていたのか、車内では転寝をしていましたが、大島の大自然を見るたび興奮していました。私も東京 での生活では体験できない大自然に圧倒されるばかりでした。 夕飯は暑気払い会として、1 園の前にある交流広場にて利用者の皆さんと一緒に BBQ をしま した。昼食時に声を掛けて下さった利用者さんたちが私たちの名前を覚えていて下さって、2 人も簡単な挨拶を日本語で話していました。 又、そこで食べた「肉よし」の BBQ ソースが C の大のお気に入りになり、この 2 週間毎日、 話題の中には「Yakiniku no tare」が必ず登場するほどでした。 宿舎へ戻ると、利用者さんの特徴や持ち物と名前を一致させようと必死で覚えていました。 また、日本語教室も開きました。50 音を書いたり読み合ったり。「日本語難しい!」と言って いましたが、 「明日、利用者の皆に挨拶するんだ!」と意気込んで挨拶も覚えていました。部屋 には沢山の日本語の紙が貼られました。 8 月 20 日(水) いよいよ活動スタートの日。2 園での活動となります。午前中は、オリエンテーション、 外出した利用者さんを迎えに車で大島を回り、施設に帰ってきてから利用者さんの洋服を 分ける活動をしました。大型の洗濯機と利用者さんの洋服のおいてある部屋での活動で、 利用者さんの洋服にはマジックで名前が書いてあり、それを利用者さん各々の名前の書い てある棚へたたみ、しまうという作業でした。一見簡単な作業ですが、日本語のわからな い 2 人にとってはとても難しく、棚に書いてある名前は漢字なのに、洋服に書いてある名 前は平仮名であったり、平仮名を逆さまに見ていたりで、悪戦苦闘していました。中には棚も洋服も平仮名表記 であるものもあったので、そうしたものを一生懸命分類していました。見つからない時には少しイライラする様 子も見受けられましたが、見事一致出来た時にはとても喜んでいました。作業をさせて頂いた担当の職員の皆様 のサポートもあり、終わった後は「日本語の勉強になった!」と言っていました。 4 午後はクッキングクラブ。ところてんを栄養士さんと利用者さん 2 人と作る 作業を行いました。一緒に買い物へ行き、その後レシピを見ながらところてん を作りました。残念ながらその日は固まらなかったので、明日食べることに。 この際、 「ところてん」を知らない 2 人に説明をするのに悪戦苦闘。器具の名前 や混ぜ方を伝えるのに必死。しかし、説明はいりませんでした。利用者さんが P と C に見せて教えており、終えてから「彼女達(利用者さん)はサイコよりも良 い先生だったよ!」と笑いながら言われてしまいました。利用者さんから良い コミュニケーション方法を教えて貰いました。反省です。 宿舎の前に、 「太平洋」というカフェと小さなお店があり、その小さなお店には 利用者さんの作った陶芸作品や洋服、文具が売っていました。たまたま空いていた ので入ったところ、C が「全部可愛い!」と興奮しながら、洋服と大好きな陶芸作 品をいくつか買い占めていました。 夕食後、昨夜の BBQ で仲良くなった利用者さんと一緒にトランプと折り紙をしま した。 8 月 21 日(木) 活動 2 日目。この日の活動は午前・午後とも創作活動をしました。職員の H さんと利用者さんと一緒に、音楽 祭と国際現代美術展の「太平洋」に出展する作品創りを行いました。 大きな紙と和紙に絵具でペイントを行う作業。その際に筆だけでなく、植物を筆代わりに使 ったり、チューブごと絞って描いたりしました。芸術的センスのある C が途中に消えてしまい、 どこに行ったかと思ったら、葉っぱを摘み、それを筆代わりにして絵を描いていました。P も積 極的に利用者さんと一緒に絵を描いたり、利用者さんの顔についた絵具を拭いていたりと、利 用者さんと共に活動を楽しんでいました。作成前はどのような作品になるのか、想像もつきま せんでしたが、出来上がるととても素敵な作品に。 活動後、P と一緒に波浮郵便局まで郵便物を出しに歩きました。帰りに、近くに保育 園があり、園児が珍しい外国人を見て沢山駆け寄ってきてくれました。子供達は「見て 見て!」と言いながら鉄棒で逆上がりをしてくれたり、一緒に写真を撮り、撮った写真 を「見せて見せて!」と言ってきたのですが、P にとってとても興味深かったようで、 「見て」と「見せて」を覚えて「明日利用者さんと遊ぶ時に使う!」と言っていました。 8 月 22 日(金) 活動 3 日目。本日も昨日の続きで創作作業を行いました。 午前中は、切ってあるペットボトルの中に絵具をぬる作業でした。ぬり終えて乾いたペットボトルを紐に通し たりしました。昨日描いた作品に、参加した利用者さんの名前を英語でサインすることもしました。P も C も利 用者さんの手を取って、一緒に名前を書いていました。 午後はまた新たな絵を描くことになりました。H さんから、「好きなものを自由に書い て!」と言われ、芸術的センスのある C は「黒い鳥の写真出して!」と言い、何をし始め るのかと思いきや、カラスを書き始めました。そして最後に「I wish you happiness!っ てなんて言うの?」と聞いてきたので「幸あれ」という言葉を教えたら、それを日本語で書き始めました。書き 終えてから、 「大島の皆さんへのメッセージね!」と言っていました。この頃、自分の英語力不足に悩み少し落 5 ち込んでいた私にとって、彼女の言葉は私を元気づけました。 午後の活動後、待ちに待ったところてんを食べに行きました。実は昨日食べる予定でしたが、栄養士さんがお 休みだったこともあり、食べるのが今日になってしまいました。一緒に作った利用者さんは「なんで今日食べら れないの?」と会う度、言っていて、ショックを受けていました。その利用者さんとは、今日の作業も一緒に行 ったため、午後の作業後、ルンルンで「早くところてん食べに行こう!」と P、 C を誘い、3 人ルンルンで施設へ向かいました。作ったところてんは上手く固ま っており、麺の形にする器具を使いながら固まったところてんを切りました。C の口にはあまり合わなかったようでしたが、P は美味しい!と言って食べていま した。ところてんが昨日食べられずショックを受けていた利用者さんの一人を、 この 2 週間 P と C は「とろこてん」と呼んでいました。”ところてん”さんも 「ところてんさん!」と呼ぶと恥ずかしがるように満面の笑みで笑ってくれるのでした。 夕食後、利用者さんと一緒にカラオケをしました。P や C は初め恥ずかしがっていましたが、楽しんでいた様 です。 8 月 23 日(土) 活動 4 日目。午前中は描いた絵を縁にはめる作業と、H さんが「幸あれ」という言葉 を気に入って下さり、習字をさせて貰えることになりました。P は「友情」という言葉 を、C は「幸あれ」と「パレスチナに自由を」の 2 作品を書きました。習字では一筆書 きと行うことを伝えましたが、C は自分の文字に納得がいかず、何度も細かく絵を描く ように直していました。 午後は H さん、利用者さんと一緒に、音楽祭で配布する栞作りを行いました。鯛が描 かれた絵を透明なファイルに挟み、機械を使って透明なシートにする作業で、アーティ スト C は、先日利用者さんに教えて貰った折り紙で花を作り、そのシートに挟んで花の 栞を作っていました。この栞を作る際に、紙を切る人、スタンプを押す人、紙をシート に挟む人、シートを機械に入れる人、シートを切る人、リボンを通す人に分かれていた のですが、2 人も利用者さんも皆、向き不向きがあるようで、上手く作業が出来た時に は参加者全員で「いいね!Good!」と言いあっていました。そして P は自分が切り取り、 リボンを通した作品を持ち「見て見て!」と覚えた日本語を使っていました。日々、外国人 2 人の成長を感じ、 ほっこりすることが多くなりました。 8 月 24 日(日) 活動はお休みで、観光の日。この 1 週間、疲れが溜まっていたのか、みんな 9:00 に起床。昨日買った食パン をフライパンで焼いたり、食パンにチョコレートを乗せて温めて食べたりしました。 午前中は 2 園の S さんと利用者さん 2 人と一緒に大島観光へ行きました。野田浜へ行き、海に足をつけたりし ました。気付くと自由人 C がおらず、探していたら浜辺の遠くまで行き、貝殻を探していた様です。 その後、S さんが予約して下さった「まんだて」というレストランへ行きました。豚肉の食べられない C に必 死にメニューを説明するのに一苦労。おまけにお刺身も食べられないということで、限られたメニューの中、C はチキンカツを選び、P は大島名物のべっこう丼を注文していました。 その後、ビーチクリーンをしに行きました。昨年の台風により、ゴミや木々が流 れてきてしまい、ビーチが汚くなってしまっていたので、ゴミ拾いの活動を現地の 6 方と一緒に行いました。約 1 時間、クリーン活動をしたのですが、P と C が大活躍。男性が持っても重いくらい の沢山のゴミを集めて来てくれました。 そのあと、梵天というたい焼きで有名なお店へ。そこのお店には駄菓子などがあり、興味津々で見ていました。 夜は、スターウォッチングの予定でしたが、天気が悪い為、地域の方々と利用者 の方と一緒に裏砂漠と呼ばれる三原山の麓を上ることに。急な坂道を利用者さんが 登りやすいようにと、C が利用者さんの背中を支えていました。風も強かったので すが、登ったところから見る景色は素晴らしいもので、「ヨーロッパの景色に似て いる!」と興奮していました。その後、キャンプ場へ行き、参加者の皆さんとカップラーメンを食べ、その後、 利用者さんが普段ホースセラピーで通う場所にいる馬を見に行きました。とても寒く、暗かったせいか、2 匹し か馬が見られませんでしたが、動物好きの P はとても喜んでいました。普段ホースセ ラピーをする利用者さんが馬について教えて下さり、P もその馬を可愛がって名前を呼 んでいました。 夜は、恋愛トークで盛り上がりました。日本人男性はどういう恋愛をするのか、と いうことに特に C が興味津々で久々に夜更かしをしてしまいました。 8 月 25 日(月) 活動 5 日目。昨晩、P と C から朝食について相談がありました。自国では朝食をあまり食べないこと、早起き が体力的に厳しいという理由で、朝食を抜きたいとのことでした。確かに彼女たちもかなり疲れが見えていたの で、どうにもアドバイスが出来ず、今朝、S さんに相談しました。S さんは「食事もボランティアの一環だから、 少し遅くても良いから朝食を取るようにしてほしい」とアドバイスを頂きました。朝食後、彼女たちに伝えると、 「確かにそうだ」と納得してくれました。正直私も彼女たちも、利用者さんのサポートをするという作業ではな く、創作活動や洋服を分別するような作業しかしておらず、「本当にボランティア活動が出来ているのか?」と いった不安がありました。しかし今回の S さんのアドバイスは少し私のその不安が解消できた気がします。彼女 たちも「食事を一緒に取るだけでもボランティア活動になるのであれば、頑張って早起きしなきゃ!」と言って いました。 午前の活動は島の名物である、栽培している島唐辛子を摘む作業。自宅でも野菜を栽培して いる C はとても楽しんでいました。その後、利用者さんを職員の方と一緒に 2 園までお散歩を しながら戻りました。昼食までまだ時間があったので、活動初日と同じように洋服の分別を行 いました。初めてやった時よりも、分別できるようになっており、毎日平仮名カタカナ 50 音 を見ている成果が出てきたと思いました。 昼食がクリームチャウダーで、C の口に合った様で「Yakiniku no tare (BBQ ソース)、チキ ンカツ、たい焼きと同じくらい美味しい!私のお気に入りの大島食だわ!」と興奮していまし た。 午後は先日と同じように栞作り。又、先日書いた書道の作品を食堂の前に展示して頂けることになり、H さん と一緒に展示しました。 7 夕方頃から職員の方とボーリング大会。P、C 共に「ボーリングだけは苦手…」 、と言っていたので、見て見る と、C の投球がパワフルすぎて職員の方も一緒に驚いてしまいました。 「床が壊れなくて良かった」と P と笑い合 いました。 ボーリング大会の後は交流広場にて BBQ。大好きな BBQ ソースが出て C は大喜びでした。 8 月 26 日(火) 活動 6 日目。午前中は C がやってみたいと言っていた浴槽掃除をすることに。イギリスでは こんなにも大きい風呂場を見たことがないと言っていました。掃除をする機械の使い方にはコ ツが必要で、初心者には扱いが難しいとの事でしたが、難なく熟練していました。職員の方に も上手と言って頂き、喜んでいました。その後、3 回目の洋服の分類作業。回数を重ねるごと に、スムーズに分類できるようになっていました。 午後の作業は、昨日の午後と同じ作業。今回は、利用者さんの描いた絵が印刷されたものを 使って栞を作りました。切ったりスタンプを押したりといくつか分担を分けながらやったので すが、昨日よりも仕事分担が上手く行き、スムーズに終わりました。 夕方、ケーキ作りのために買い出しへ行ったのですが、これがきっかけで私にとって一番反省すべき日になっ てしまいました。チョコレートケーキを作る予定になっていたので、利用者さんがレシピを調べて下さっていた にも関わらず、そのレシピ通りでなく P と C が自分の好きなように材料を選んでしまいました。そこで、私が「利 用者さんが調べてくれたレシピにしよう。これでは高すぎるし、レシピには書いてない食材は買う必要はない」 と提案しましたが、当人達は気に入らなかったらしく、構わず食材を選んでいたので、少し私が不機嫌になって しまいました。その雰囲気を察知したのか、 「だったらもっと安く済むレシピにしよう!」と P が提案してくれ たのですが、私が「好きなようにして」と振り払うように言ってしま いました。施設に帰ってからケーキを作りますが、雰囲気が気まずく、 利用者さんにも気を遣わせてしまいました。結局、P と C がほぼ作り、 チョコヨーグルトケーキが完成。職員の皆様にもおすそ分けし、みん なで食べました。味はとても美味しかったのですが、嫌な雰囲気が漂 っていました。帰ってからもこの日はあまり口を聞くことがなく、布 団に入りました。 8 月 27 日(水) 活動 7 日目。昨晩の雰囲気の悪さを作ってしまったことを、朝一で謝りました。彼女たちは「より美味しいも のをみんなに食べてほしいから、沢山の食材を買おうとしてしまったの。レシピも調べてくれていたのを知らな かった。ごめんなさい。」と言っていました。何故そんなに食材を買うのかという理由も聞かず、より美味しい ものを作りたいという彼女たちの思いに気付かず、利用者さんがレシピを調べていてくれた ことを彼女たちに伝えなかった、私が全ての原因を作ってしまったことに対して、思わず涙 が溢れそうになりました。謝ると彼女たちは笑顔で「大丈夫!気にしないで!Smile!」と 言ってくれました。今まで悩んでいたことも全て吹き飛ぶくらい気持ちが晴れた気がします。 より彼女たちと距離が縮んだ気がしました。 昨晩練習するはずだった、今日午後に発表する歌を、朝食前後、詰めに詰めて練習しまし た。選んだ曲は、 「London’s burning」 「Kookoburra」そして「いつも何度でも」。P が「千 と千尋の神隠し」が好きであったこと、昨日利用者さんがピアノで弾いてくれたことがきっ 8 かけで、 「いつも何度でも」を日本語で歌うことにしました。 今日で 2 園での活動は最後。あまり実感の湧かないまま、午前中の活動は利用者さんと石鹸作り。今年 6 月か ら始めた作業のようで、昨年までは薬品と油を使っていましたが、今年から石鹸粉と水のみで作ることに。水の 分量がとても難しいのですが、P と C は気にせずに黙々と作っていました。ある程度固まったら型に合わせて形 作り。「一つずつ持って帰って良いよ」と言って頂いたので、ハート形を作って持ち帰ることにしました。利用 者さんには水と石鹸粉を合わせた段階のものを手渡し、丸めて貰う作業を行ってもらいました。終わってから、 少し離れた作業棟へ行き、今まで作った石鹸を見せてもらいました。大島名産の明日葉と石鹸を混ぜたものには、 彼女たちも興味津々でした。昼食まで時間があったので、4 回目の洋服の分類作業。2 園での活動が最後だった のもあり、お世話になった選択担当の職員の方と沢山お話をしました。又、午後に発表予定だった歌の練習をし ながら洋服の分類を行いました。 午後、旧北の山小学校の仮設住宅にて、地域の方が開くお茶会に参加させてもらいました。その仮設住宅には、 昨年の台風で被害に遭った方々が定期的に集まりお話をするといった会のようで、昨年の台風の被害についてお 話を伺いました。会の初め、今朝から必死に練習した歌を披露させて頂き、参加者の皆さんから拍手を頂きまし た。またそのお返しとして、大島の歌を披露して頂きました。とても楽しく素敵な時間になりました。その後、 台風の被害のお話になり、死ぬ直前だったとお話しする方や、未だに行方不明の御家族がいる方にお話を頂きま した。当時の話を聞き複雑な気持ちになったことと同時に、英語にすることが上手く出来ず、とても悔しい思い をしました。英語力の不足で、参加者の方々の思いを伝えるのは帰ってからにしました。最後に何人の方が被害 に遭われたのかという、C からの質問では、この台風で亡くなった方は合計 37 名でその内 36 名が大島の方であ ったこと、現在も 3 人が行方不明であることを伺いました。自然の力に逆らうことは出来ないことですが、今私 たちが出来ることは、自由に生きることが出来るのだから何事にも一生懸命やろうと思いました。 帰ってから明日からお世話になる 1 園へご挨拶に伺いました。担当 の M さんが案内して下さり、明日からのスケジュールについてお話し ました。 最後の 2 園での夕飯。いつも仲良くして下さった利用者の皆さんと ハイ、チーズ! 8 月 28 日(木) 活動 8 日目。1 園での活動スタート。朝食を取るために 1 園へ行くと、私たちの分は昼食からの用意であった ことを知り、先日買っておいた食パンを使ってフレンチトーストを作ることに。フランス出身の P がフレンチト ーストについて語ってくれました。暫くすると M さん方が朝食を持ってきて下さり、 「ビッグブレックファスト だ!!」と朝から騒いでいました。 午前、ホースセラピー。残念ながら天気が悪く、いつも行っている ホースセラピーを体験することは出来ませんでしたが、馬たちに餌を あげることが出来ました。何故ホースセラピーを行うのか、ホースセ ラピーによって社会を変えたいという想いをオーナーの方からお話 を頂きました。この馬たちは全国で 100 頭強し かいない珍しい「与那国馬」という品種で、大 きさが小さいことに乗馬経験のある P は驚いていました。 1 園にて初めての食事。中華丼でしたが、量の多さにびっくり。とても美味しくいただ きました。 9 午後は C が懇願していた陶芸作成。 陶芸の仕方を S さんに伺いますが、 ここでも私の英語力不足を感じました。 特に陶芸を楽しみにしていた C が、私の英語力に困ってしまい、黙り込んでしまいました。しかし P が上手く説 明をしてくれたりして何とかなりましたが、陶芸を楽しみにしていた C に申し訳ないことをしてしまいました。 帰ってからホースセラピーのこと、それに関連した日本の精神病のこと、陶芸のこと、今日一日のことについ て熱く語り合いました。 夕食後は 2 園へ行き、トランプを利用者さんとしました。大富豪とウノを気に入ってくれたようです。 8 月 29 日(金) 活動 9 日目。午前は昨日に引き続き、陶芸を行いました。形を整える作業で、昨日機嫌の悪かった C は、今日 は真剣に取り組んでいました。私も昨日わからなかった単語を予めいくつか調 べていたので、昨日よりは上手く説明できたと思います。 午後は明日に控えた音楽祭の準備をしに、会場へ。約 300 個くらいの風船を 膨らましました。膨らませた風船を合わせて花を作ったり、利用者さんが作っ た鶴の折り紙を会場に貼り付けたりしました。 夕食後はまた 2 園へ行き、利用者さんに折り紙を教えて貰いました。24 面 体やメダル、手裏剣などの作り方を教えて貰い、P や C も真剣だったため、静かな作業でした。 8 月 30 日(土) 活動 10 日目。いよいよ音楽祭の日です。午前中に会場へ向かうと、昨日頑張って膨らませた風船が萎んでい たり、割れていたりしました。風船を作り直したり、風船で花を作ったりしました。 午後になり、いよいよ音楽祭の始まり。開演前は 3 日ぶりに会う 2 園の利用者さ んが挨拶して下さり、写真を撮りました。なんと!特別なことに、大島の伝統的な 着物を着せて頂くことになりました。P、C もまさか着ることが出来ると思わず、興 奮していました。彼女たちの着物姿は本当に素敵でした。 音楽祭はプロの歌手や楽器を使ったお笑いを披露して下さる方のステージだけで なく、今まで一生懸命練習していた利用者さんたちの歌や演奏を見ることが出来ま した。1 園の利用者さんで、 「僕は指揮をやるんです」と、いつも指揮の練習風景を 見せて下さった方がいたのですが、本番その方の指揮はとても大きく、出演者の皆 さんとその音楽をリードする素晴らしい指揮でした。又、いつもニコニコしている 利用者さんも、本番の舞台では緊張している様子でしたが、真剣な眼差しで練習の 成果を発揮していました。ステージに乗らない利用者さんも、本当にノリノリで音楽を楽しんでいました。自分 が感じたことを体で表現し、伝えている利用者の皆さんを見て、心がほっこりしました。利用者の皆さんがとて も音楽が好きだということ、そして音楽は人を笑顔にさせるものであることを改めて感じた瞬間でした。皆さん の楽しそうに踊り、歌う姿は忘れられません。 音楽祭の後は、職員の皆様と音楽祭にいらしたゲストパフォーマーの 2 人と一緒に打ち上げをしました。ここ で、1 園の M さんが持ってきて下さったテキーラで乾杯したのですが、C が酔ってしまい、交流広場を走り回っ てピアスをなくしてしまうという大参事が起こりました。職員の皆様には大変ご迷惑をお掛け致しました。 また、M さんから今まで CIEE から派遣された国際ボランティアのメンバーのサインが入った壁を見せて頂き、 今までの国際ボランティアのお話も伺うことが出来ました。昔はもう少し多くの国際ボランティアの人が参加し ていたこと、しかし東日本大震災後から海外からの参加者が減ってしまっていることを伺いました。私たちはた 10 った 3 人なので、恵の園の皆さんへ貢献できているのか、大島の生活も残りわずかでしたが少し不安になってし まいました。 宿舎に帰ってから、C を寝かし、久々に満天の星が見えるということで P と交流広場へ行き、地面に寝っ転が り、色々なことを話しました。M さんに伺った過去のボランティアの話、大島での生活の話、語学の話…。沢山 語り合いました。すると、流れ星が!長くゆっくりとした流れ星を見て思わず大騒ぎ。そのあとは短く早いもの でしたがいくつか流れ星を見ることが出来ました。P は、 「フランスではこんなにも綺麗な星空は滅多に見られな い。大島は日本で一番星がきれいなのかもね!」と言っていました。恐らく 1 時間以上はいたと思いましたが、 大島の美しい星空は時間を忘れさせるものでした。 8 月 31 日(日) C は昨晩のことを覚えておらず、朝から P とからかい合いました。 今日は休日だったので、1 園の M さんと利用者さん 3 人で、三原山登山、浜の湯(温泉)、お土産探し、さくら 株、梵天でたい焼き(2 回目)を食べました。 登山は、来島時から P、C が希望しており、やっと登れたのですが、残念ながら天気が悪く、ひたすら霧の中 登山をしました。その為、火口も山頂から見える景色も何も見えませんでしたが、三原山の自然のパワーを体で 感じました。次回来たときは必ず晴れた日に行きたいです。また、途中まで、ホースセラピーの一環で、馬と一 緒に登山が出来るツアーもあるそうです。 今回入った温泉は、水着を着用して入浴したのですが、大島にはもう 1 つ温泉があり、水着は着用せずに入浴するものでした。2 人にとっては、誰 かと裸で入浴することが信じられなかった様で、 「水着を着用して入る温泉 に行きたい!」との一点張りでした。 宿舎に帰ってから、お世話になった 1 園 2 園の職 員の皆様、利用者の方々へ何かお礼をしようという ことで、クッキーを作りました。 「日本人は(海外のお菓子のように)甘すぎるものがあま り好まないから!」と伝えたのですが、出来上がったクッキーに砂糖を振りかける C に、 P と私は驚くばかりでした。しかし「こっちの方が絶対にみんな気に入るから♪」とルン ルンしていたので、C に任せることにしました。 9 月 1 日(月) ついに活動最終日 11 日目。天気のせいで何度も諦めたホースセラピー。残念ながら今日も餌やりのみになっ てしまいました。しかしオーナーの方から、群れで生活する馬の中にも、強弱・優劣があり、例えば 3 番目に偉 い馬でも、けがをしたら群れの中の最下位の地位に下がってしまうことなど、 興味深い話を沢山伺いました。フランスやイギリスへ帰ってから、日本のホー スセラピーについて話を広めてもらうだけでも、社会に大きな役割を果たすと いうことも P と C に伝えました。 宿舎に帰ってから、2 週間お世話になった宿 舎を掃除したり、荷造りをしたり。そして昨日 作ったクッキーと、皆さんへのメッセージを書 いた手紙を持ち、最後の夕飯へ向かいました。美味しい給食を作って下さった 食堂のおじさん、おばさん達にも挨拶をし、最後に、職員の方々の下へ。そこ 11 で、P と C に修了証書が渡されました。2 人からもそれぞれ言葉を貰い、こ の 2 週間の 2 人の思いを聞くことが出来ました。そして私たちからも、一生 懸命作ったクッキーと手紙を渡し、職員の方々に喜んで頂けました。 そして 2 園へ向かい、特に仲良くして下さった 2 園の利用者さんたちと最 後の遊び。カラオケをし、大いに盛り上がりました。みんなで作ったキーホ ルダーや手紙を渡したり、園長の金沢さんに 2 園の皆様宛てに書いた手紙と クッキーを渡しました。最後にみんなで写真も撮り、最後の夜をあとにしました。 9 月 2 日(火) ついに最後の日が来てしまいました。最後の朝食を 1 園で済ませ、宿舎に帰り、最後 の片づけを行いました。来島初日に初めての作業として作った、ゴキブリホイホイを確 認すると、 「何か」が住んでいました。 時間も余ってしまった為、交流広場を回ったり、カフェ太平 洋へ行ったり、2 園に行き最後の挨拶を行いました。久しぶり に 2 園の利用者さんたちに会い、「明日も来る?」という問い に、何故か答えるのに詰まってしまいました。 「ごめんなさい、 もう帰ります。 」と時間をかけて答えると、 「大島にまた遊びに 来てね!」と言って頂けました。 M さん、利用者さん 3 人が見送りに元町港まで来て下さいました。大島の大自然を 見渡しながら、長い様で短かった大島での生活を思い返すと、涙を堪えるのに必死だ ったのは誰にも言えませんでした。みんなで写真を撮り、最後まで手を振って下さっ た M さん、利用者さんたちへ見えなくなるまで手を返し、大島をあとにしました。 竹芝ターミナルへ着き、改めて大島を離島してしまったことを実感するのでした。今日の夕飯を一緒にとる予 定だったので、待ち合わせ時間を決め、別れました。 夕食後、別れの駅へ向かうまで、大島での 2 週間の思い出を語り合いました。 「日本人は人が好きだね!でも 大島の人達はもっと人が好きだね」と大島の皆さんの優しさを P、C は話していました。 大島の思い出を語りながら、私たちの 2 週間のボランティア活動は終了しま した。 4.まとめ 来島初日は「あと 2 週間もあるのか…」と思ってしまったのが正直なところ でしたが、今思い返せば大島での生活は、長い様で短いものでした。そして今では、一緒に過ごした皆さんとの 一瞬一瞬の思い出が宝物です。 海外から参加した P と C にとって、食事も言葉も違う日本の文化へ、いきなり切り替えて生活を始めるという のは、とても酷なことだったと思います。必死に日本の文化を理解し、触れ合おうとしていました。2 週間経て ば、上手に使えなかったお箸も、上手く使えるようになり、苦手だった食べ物も調理法が違えば「これ美味しい」 と言ってくれたり、すっかり日本文化に溶け込んでいた気がします。 私の役目は、利用者さんや職員の方々と、P と C の間に立ち、コミュニケーションの仲介役になることでした。 お互い伝えたいことをその相手に完璧に伝えられたかどうかを考えれば、正直「出来なかった」としか言えない 12 気がします。自分の語学力の無さに落ち込み、笑顔が消えそうになることもありました。私が間に立ってよりコ ミュニケーションを築かなければならないのに、上手く伝えられずに、逆にコミュニケーションの壁を造ってし まったのではないか、と毎日不安でした。私がもっと英語が話せれば、もっともっと恵の園の皆様と P や C を繋 ぐことが出来たのに、仲良くしたがる利用者さんの質問に全て答えられたのに、と悔いが残っています。しかし、 利用者さんはいつも笑顔で「こんにちは~!」と手を振って下さったり、P や C が率先して利用者さんの手を握 ったり、そうした小さな行為の積み重ねに、たくさんの元気をもらいました。言葉が通じなくてもコミュニケー ションが取れるということに、改めて気付かされた気がします。職員の方々にも、いつも声を掛けて頂きそれが 私の支えになりました。そして P や C の大島を楽しむ姿が、私の不安を消し去ってくれたのでした。 そして、P、C と私たちの役目は「ボランティアであること」。その役目を果たせたのかどうかについて、正直 なところ自信を持つことが出来ません。参加前は、利用者さんの生活を支える職員の方々と同じような活動であ ると考えていました。しかし実際は利用者さんと一緒に創作活動をしたり、会場設営、衣類の分類、陶芸だった りで、それが「ボランティアとして働いた」といえるのか、ただただ不安が募るばかりでした。その不安に対し て M さんは「食事をすることだけでも、利用者さんたちにとっては喜ばしいことだから。 」と言って下さいまし た。振り返れば、利用者さんが私たちに声を掛けて下さるときはいつも笑顔でした。利用者さんはもう既に私た ちのことを忘れてしまっているかもしれませんが、この 2 週間、私たちが利用者さんに 1 つでも多く笑顔になっ て頂けたなら、これ以上嬉しいことはありません。 通訳を行ったことも、日本の文化を伝えたこともない私が、今回のボランティアを通して経験を積めたことは、 私の人生における大きな経験となりました。私は 2015 年 2 月から 1 年間 5 ヶ国の地域をインターンやボランテ ィア活動をしながら留学をします。その際に、インドで障がい者の社会進出を斡旋する企業でインターン活動を 行います。今回の大島の恵の園での活動は、この活動への大きなステップとなるはずです。今回の活動、そして これからの留学経験を通じて私は、世界中に、恵の園の利用者の皆様のような満面の笑みで微笑んでくれる人が 溢れる様な社会活動をしたいと思います。 大島恵の園、第 2 大島恵の園の職員の皆様、利用者の皆様、大変お世話になりました。P、C、私が大島での生 活を思いっきり楽しめたのも、最高の思い出・宝物になったのも、職員の皆様の温かいお言葉が支えになり、利 用者の皆様の笑顔があってのものです。大島での生活全てに心より御礼申し上げます。本当に有難う御座いまし た。 13
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