「月刊人事マネジメント」2009年10月号インタビュー記事

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頂点の人間の言行一致度より,
下の人間の言行一致度が高いな
「結局,大切なのは正直さ,
誠実さ,愚直さなんだと思いま
す。グローバリズムとよく言わ
れましたけれど,アメリカは日
んてことはあり得ない。そうい
う女性の会社は,トップが言行
一致していないんでしょうね」
この「言行一致」は,信頼に
もつながる。
本に比べて歴史が短い。言って
みれば今まで,短い期間をだま
しだましやってきた国です。だ
から,日本がアメリカから会社
を存続させるすべを学ぶのは間
「IBMを立て直したルイス・
ガースナーは口下手,無口でぶ
違っていると思います。100メ
ートルダッシュを学ぶならいい
けれど,長期戦を勝ち抜く方法
を学ぶなら,その教師はアメリ
カではなかったと思います」
そういう女性は多くいるでしょ
う? 組織はピラミッドです。
「存続」させる トップと
「潰す」トップはどこが,何が違
うのか。千田氏の言葉は明快だ。
「言行一致しているかどうか
です。トップの言っていること
とやっていることが一致してい
れば,
その組織は活性化します。
コンサルタント会社にいた時
に,取締役以上クラスの方々
3,300人と仕事をしました。そ
のうち,成功する人と失敗する
員の業績結果をきちんと給与や
昇格に反映させた。最初は愛想
がない社長を敬遠していた社員
も,1 年経って社長が自分たち
をよく見てくれていたことが分
かった。それで 2 年目には大ブ
レイクです。社員から本当の信
本書は「誠実・愚直」と
「言行一致」の観点から,存続
社長と潰す社長の行動について
一つひとつ検証していく。タイ
トルには「社長」とあるが,ト
人,まっぷたつに分かれている
のが分かるようになりました。
だから今年の 1 月,独立した時
に真っ先にこういう本を書きた
いと思ったんですよ。ですから
頼を勝ち取ったわけですね。言
葉ばかりが立派で行動が伴わな
い人ほど口がうまい。それはウ
「自分は誠実に愚直に仕事を
しているけれど,業績が上がら
この本は,私の今までの出会い
の集大成のようなものですね」
ソをついているからですよ。コ
ンサルタントだってそうです。
講演で口がうまいだけの人ほど
業績は上げられない。ごまかさ
なければいけないからです。こ
の法則に,今のところ例外はな
ないと悩んでいる人もいるでし
ょう。そんな人には,まず自分
自身が素直になることを勧めま
す。自分は本当に誠実なのかを
振り返り,本当はただ頑固なだ
けではないのか,本当に言行一
いですね」
できることを口に出し,それ
致しているのかと考え,表現方
トップだけではない。言行一
致の会社か,それともそうでは
ないかは社内の雰囲気からもよ
く分かるという。
「例えば受付の女性です。笑
顔が違うんですよ。訓練されて
いる笑顔と,その人本来の美し
さがにじみ出ている笑顔との違
いです。本当は笑っていない,
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っきらぼうな人でした。
けれど,
愛想笑いをしない代わりに,社
人事マネジメント
2009.10
い人とは対極の例です。セール
スパーソンも同じ。長続きしな
を真面目に実行する。言葉でそ
の場をごまかさない。これは昔
ながらの日本の価値観でもある。
ップのみならず,中間管理職や
セールスパーソンにも十分に参
考となる内容だ。
法を学んでみるのもいいでしょ
うね。外部から良い刺激や影響
を受けるのも変わるきっかけに
なると思います。器や知識量が
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せんだ たくや
東北大学教育学部教育学科卒,日系保険
会社本部,経営コンサルティング会社を
経て独立。次代創造館代表,イノベーシ
ョン・クリエイター。執筆,コンテンツ
ビジネス展開,講演,ビジネスコンサル
ティング活動を行う傍ら,非営利組織の
監事を務める。著書に『社長!この直言
が聴けますか?』
『「あなたから保険に入り
たい」とお客様が殺到する保険代理店』
『こんなコンサルタントが会社をダメにす
る!』
(日本実業出版社)『継続的に売れる
セールスパーソンの行動特性88』
『尊敬
される保険代理店―「家業」から「企業」
への脱皮』
(マネジメント社)など。
圧倒的に違う人からの影響,特
に良い上司の存在は大きいので
はないでしょうか」
大学卒業後は損保会社に就職
● マネジメント社
● 税込価格
1,260円 ● 2009年8月
れどね」
いたみたいなんですよ。いわば
そんな時,後輩から「コンサ
ルタント」という仕事があると
教えられる。
「東京の大学を出たヤツでし
た。そいつが言うんです。アメ
リカではエリートは大企業に入
補欠採用だったんですね。それ
からコンサルタントとして,い
ろいろな企業とお付き合いをし
て,本当に勉強になりました。
勉強の場としては最高でしたね。
この世界を教えてくれた後輩に
いと思ったのは中学の時です。
高校受験の時期に,父親が脱サ
ラしたんですよ。サラリーマン
時代の父は,毎朝つらそうでし
たね。それが脱サラしてからは
った後にコンサル会社で 2 ∼ 3
はいまだに感謝していますよ」
コンサルタントとして高い評
価を受け,のちに独立。これか
らはコンサルタントとして学ん
だ多くの知識や考え方を多くの
幸せそうに仕事をしている。今
は妹の夫に後を継がせています
けれど,いまだに幸せそうに仕
サルタントという職業に興味を
持って,いろいろと本を読み始
めたんです。あるコンサルタン
事をしているみたいですよ。そ
んな父親の姿を見て,自分もい
トさんの本を読んだ翌日です。
朝起きて,日経新聞を開いてみ
ずれは独立する,会社を興すと
決めたんです。ですから,就職
活動をしている時は,まずはど
ると,その著者のコンサルタン
ト会社が求人しているじゃあり
ませんか。運命だと思いました
よ。すぐに転職を決めました」
した千田氏。その後,コンサル
タント会社へ転職,そして独立,
現在に至るわけだが,そんな氏
の人生も周囲から様々な影響を
受けている。まずは父親だ。
「会社を作りたい,独立した
こでもいいから,辞めるのに未
練の起きないような会社,大き
くて組織も古い,そんな会社に
入ろうと思ってました。そこで
サラリーマンをして,社会の仕
組みを学ぼうとね。でも実際は
目の前の仕事に必死で,そんな
に甘いものじゃなかったですけ
年修行して,それから独立する
んですよ,って。へえ,東京のヤ
ツはいろんなことを知ってるん
だなあって(笑)
。それからコン
転職を決めて 即,退職。
それもコンサルタント会社に採
用される前に退職してしまった
というから驚きだ。
「しかも,そのコンサルタン
ト会社に私,最初は落とされて
人に伝えたいという。
「究極の目標は95歳までに
1,000冊くらい本を書くことで
す。クライアントを何十社も持
つとか,講演を年に200本とか,
そんなことは望んではいませ
ん。ただ,いい本を書いて,自
分の思う正しいこと,本当のこ
とを訴えていきたい。自分の思
ったことをカタチにしていきた
い。そして世の中のタブーに挑
戦して,挑んで,次の時代を作
っていきたい。多くの人にいい
影響を与えられるような存在に
なりたいですね」
(土屋)
2009.10 人事マネジメント
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