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A net
Vol.11 No.3 2007
田 中
誠 筑波大学大学院人間総合科学研究科機能制御医学専攻
麻酔・蘇生学分野 教授
Makoto Tanaka
1986年:筑波大学医学専門学群卒業
同 年:筑波大学附属病院麻酔科 医員(研修医)
1989年:ジョンズ・ホプキンス大学麻酔科 レジデント
1996年:筑波大学臨床医学系麻酔科 講師
1998年:秋田大学医学部麻酔科学講座 助教授
2005年:筑波大学大学院人間総合科学研究科機能制御医学専攻麻酔・蘇生学分野 教授
現在に至る
マイ・ブーム:
活字中毒(重松 清、吉田修一、向田邦子など)
TOEIC の e-Learning
尊敬する人:國弘正雄(同時通訳の草分け)
座右の銘:「太平洋の架け橋とならん」
喜び:志ある学生に奉仕するとき(国際交流委員長として)
ブログ:「教授室のつぶやき」 http://tsukuba-accm.cocolog-nifty.com/blog/
のに果たす役割は、交感神経反射による血管抵抗の調
【はじめに】
節が重要であるのに対し、仰臥位では心臓―迷走神経
一世紀近くに及ぶ研究史を有する心臓―迷走神経反
射は、ATRAMI( autonomic tone and reflexes after
反射による心拍数や心拍出量の調節が血圧維持に果た
す役割が増大してくる。
myocardial infarction)study 1)に代表されるように、重
頚動脈洞や大動脈弓の血管外膜側にある圧受容器が
篤な疾患予後の予測因子として近年注目されている。
血圧の上昇に伴って伸展されると、それぞれ舌咽神経、
また本研究分野における過去10年間の最も大きな進展
迷走神経を介して延髄の循環中枢へ情報が伝達される
の 1 つは、性差の発見であろう。本稿では、動脈圧受
(Fig.1)3)。ここで情報が統合・制御され、遠心路であ
容体反射の基礎、心臓―迷走神経反射の測定方法やそ
る迷走神経活動は亢進し、交感神経活動は抑制される。
れに影響を及ぼす因子について概説し、臨床的意義に
交感神経活動の変化は反射性に血管抵抗と心拍数を調
ついて考察する。
節・制御するのに対し、迷走神経活動の変化は心臓の
【圧受容体反射の分類と反射弓】
みに影響を与える。動脈圧受容体反射の反射弓の求心
路は共通であるが、遠心路は交感神経と迷走神経に分
心臓・大血管からの反射性圧入力は、baroreceptor
かれるため、各々の神経伝達速度の違いや、神経伝達
(圧受容器=mechanoreceptor、stretch receptor)の解剖
物質(neurotransmitter)放出から心拍数の変化が生じ
学的部位により、高圧系(動脈圧受容体反射=arterial
るまでの時間差が、心臓が反応する際の時定数(time
baroreflex)と低圧系(心肺反射=cardiopulmonary
constant)の違いをもたらしている。具体的には、細い
reflex)に大別することができる。前者は短時間におけ
有髄線維である迷走神経の神経伝達速度は10m/secで
る血圧制御に重要な役割を担っており、遠心路の違い
あるのに対し、無髄線維である交感神経のそれは約
により交感神経反射(sympathetic baroreflex)と心臓―
1 m/secである。さらに、アセチルコリンの放出から
迷走神経反射(cardiovagal
baroreflex)に分類される2)。
体位変換時に血圧変動を抑制し、正常血圧を維持する
18
心拍数が減少し始めるまでの時間は300msであるが、
ノルエピネフリン放出から心拍数の上昇が始まるまで
基礎から学ぶ麻酔科学ノート
ARTERIAL
BARORECEPTORS
Glossopharyngeal or vagal nerve
CARDIOPULMONARY
BARORECEPTORS
Vagal
Afferents
MEDULLARY
CV
CENTERS
Vagal
Efferents
Pulmonary Receptors
HEART
Sympathetic
Afferents
Atrial & Vena
Caval Receptors
Sympathetic
Efferents
BLOOD
VESSELS
Ventricular Receptors
Fig.1. 動脈圧受容体反射、心肺反射の求心路と遠心路
の時間は 2 秒以上かかる 4)。それらの結果、迷走神経
2 秒以内に起こるのに対し、交感神経を経由した心拍
数の変化は約10秒以降に生じる。こうした交感神経―
副交感神経の違いによる反応時間の差異を理解してお
くと、様々な測定手法により計算された反射の感受性
に、それぞれの自律神経がどのように関与しているか
を理解することができる。
また、cardiopulmonary receptor(低圧系)を伸展す
ると心臓―迷走神経反射の感受性が抑制されることか
ら、高圧系―低圧系反射の間には相互作用が存在する
が5)、交感神経―迷走神経反射の間に相互作用は認め
R−R Interval (msec)
を介する心拍数の最大変化は、圧受容器への刺激から
(文献3より引用)
960
940
920
900
880
860
840
820
y=21.2x-2223.7, (R=0.99)
800
780
760
141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151
Systolic Blood Pressure (mmHg)
られない6)。即ち、交感神経反射の感受性の高い人は、
Fig.2.
必ずしも心臓―迷走神経反射の感受性も高いとは限ら
ないことが知られている。
【心臓迷走神経反射の測定】
(1)Oxford法
フェニレフリンやニトロプルシドのように、心拍に
で表すことが出来るが、Oxford法を用いることによっ
てoperational point(安静時の血圧、R−R間隔)近傍の
傾きしか計測することが出来ないことや、血管作動薬
を 1 回投与するごとに 1 つの計測値しか得ることが出
来ない点が欠点である。
直接影響の無い血管作動薬を投与し、血圧を15〜
20mmHg上昇あるいは低下させ、反射性に変化する最
(2)Spontaneous sequence法
初の数拍のR−R間隔を y 軸に、血圧を x 軸にプロット
1980年代に考案された。血管作動薬の投与を必要と
し、最小二乗法を用いて直線部分の傾き(gain, sensi-
せず、安静時における血圧と R −R 間隔の変動から
tivity, baroslope)を計算する方法である(Fig.2)。心
baroreflex gainを求めることが出来る7)。まず安静時
臓―迷走神経反射は、S 字状を呈する刺激―反応曲線
の血圧・心電図のチャートから、連続して 3 拍以上に
19
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わたり血圧とR−R間隔が同期して上昇、または下降す
るsequenceのみを抽出する(up-or down-sequence)。
次にそれぞれのsequenceに対し、Oxford法と同様に
【心臓―迷走神経反射に影響を及ぼす生理的因子】
(1)年齢
血圧、R −R 間隔をプロットし、最小二乗法を用いて
交感神経反射と異なり9)、心臓―迷走神経反射の感
gainを計算し、最後に全てのgainを平均する。この手
受性は年齢に逆相関して低下することが古くから知ら
法の最大の利点は、非侵襲的なことと、数分のチャー
れている。即ち、高齢者ほど血圧の変動に対する心拍
トから多くのgainを計測できることであるが、Oxford
反応の変化が小さい10)。
法と同様gainしか求めることが出来ない欠点もある。
(2)性別、性周期
(3)Neck chamber法
1994年、Abdel-Rahman らは若年成人において、
頚動脈洞の圧受容器のみ刺激して動脈圧反射を惹起
Oxford 法を用い心臓―迷走神経反射の感受性に男女
する方法である。この方法で測定する場合をcarotid-
差が存在することを最初に示した11)。またHuikuriら
cardiac baroreflex と呼ぶのに対して、Oxford 法や
は、閉経後の女性は同年代の男性に比べ、バルサルバ
Sequence 法は頚動脈洞と大動脈弓両方の圧受容器を
法により解析した心臓―迷走神経反射が有意に低いこ
刺激することから、integrated baroreflexと呼び区別
とを報告している 12)。さらにこの研究では、エスト
している。Neck chamber法の最大のメリットは、心
ロゲンホルモンの補充療法を受けている女性は、同年
臓―迷走神経反射のみならず、chamber内圧や測定時
代の男性と同等の反射感受性を有していることも観察
期を工夫することによって交感神経反射も測定するこ
している。その後、エストラダイオール(E2)が迷走神
とが出来る点である。Eckberg s sequenceと呼ばれる
経活動に影響を及ぼすことは動物実験においても証明
特殊な刺激方法を用いると、約10秒間に心臓―迷走
された 13)。しかし、心臓―迷走神経反射における性
神経反射のgainのみならず、baroreflex range, satura-
差の影響は単純ではなく、性周期のどの時点において
tion, threshold, operational pointなど、S 字状の刺激―
男女を比較するか、どの検査方法を用いて反射を解析
反応曲線を規定する全ての変数を計測することが出来
するかを考慮する必要がある(Fig.3)。純粋に迷走神
る8)。ここで重要なのは、迷走神経と交感神経の時定
経活動のトーヌスの変化を反映するフェニレフリン昇
数の違いである。交感神経活動の変化が心拍数に影
圧試験の感受性は、E2 の血中濃度が最も低い月経時に
響を与えるのは、約10秒間の刺激が終わった後のこ
は女性は男性に比べ低く、排卵直前のE2 ピーク時には
とであり、Eckberg s sequenceに対し反射性に変化し
男女差は認められない14)。一方、迷走神経活動の減弱
たR −R 間隔はほぼ迷走神経活動の変化によると考え
と交感神経活動の亢進を反映する降圧試験では、月経
られる。
時の女性は男性より感受性が高い。
90
40
Sensitivity (ms/mmHg)
Sensitivity (ms/mmHg)
80
70
60
50
40
30
20
30
20
10
10
0
0
Early Follicular
Pre-Ovulation
Mid-Luteal
Men
Women
Pressor test sensitivities for individual male and female subjects during
3 phases of the menstrual cycle ; ○ and error bars (dashed lines)
represent means ± SE. *P < 0.05. **P < 0.01.
Early Follicular
Pre-Ovulation
Fig.3. 卵胞初期、排卵直前および黄体中期における健常女性と健常男性の
フェニレフリン昇圧およびニトロプルシド降圧試験
20
Mid-Luteal
Men
Women
Depressor test sensitivities for individual male and female subjects during
3 phases of the menstrual cycle ; ○ and error bars (dashed lines)
represent means ± SE. *P < 0.05. **P < 0.01.
(文献13より引用)
基礎から学ぶ麻酔科学ノート
(3)低体温
神経活動を比較的良く保つことと関係しているのかも
ボランティアを対象にセボフルラン麻酔中の低体温
しれない 24)。しかし、プロポフォールの血中濃度が
の影響を調べたところ、麻酔中は昇圧試験、降圧試
高いと昇圧試験の感受性も降圧試験と同様に抑制され
験ともにその感受性が低下することを観察した 15)。
る25)。
さらに麻酔覚醒後、深部体温が正常に復した後も、麻
酔中低体温に維持したグループでは正常体温に維持し
たグループに比べ、心臓―迷走神経反射の回復が遅延
する15)。
(3)硬膜外麻酔
上位胸椎レベルでの硬膜外麻酔により交感神経遠心
路の心臓枝を遮断し、心臓―迷走神経反射を調べた過
去の研究では、異なった結果が報告されている26,27)。
(4)血液希釈
覚醒中の健康成人に頚部硬膜外麻酔を行い、Oxford法
全身麻酔の導入時や硬膜外・脊椎麻酔直後には、血
を用いて心臓―迷走神経反射を調べたところ、昇圧試
圧維持の目的から急速輸液することが多い。ペントバ
験のみ抑制された 26)。別の報告では、全身麻酔中の
ルビタール麻酔下のイヌにおいて、中等度(Hgb= 7 g/
手術患者における上位胸椎レベルでの硬膜外麻酔の
dL)あるいは高度(Hgb= 4 g/dL)の血液希釈によって
影響を調べたところ、降圧試験の感受性のみ抑制され
も心臓―迷走神経反射の感受性に変化が生じないこと
た27)。筆者らはspontaneous sequence法を用い28)、up-
が報告されている 16)。血液希釈は自律神経機能に与
sequenceおよびdown-sequence baroreflex sensitivity
える影響が小さいことを反映しているのであろう。
を解析したところ、頚部硬膜外麻酔によっていずれも
【麻酔薬、および関連薬物が心臓―迷走神経反
射に及ぼす影響】
(1)吸入麻酔薬
有意に抑制された29)。
腰部硬膜外麻酔は覚醒下のヒトにおいて、Oxford法
による昇圧試験、降圧試験ともにその感受性を亢進さ
せる 30)。これは腰部交感神経遮断による静脈還流の
揮発性麻酔薬が濃度依存性に心臓―迷走神経反射を
低下がcardiopulmonary receptorのunloadingをもたら
抑制するのに対し 17)、亜酸化窒素は抑制作用を示さ
し、低圧系反射との相互作用の結果、心臓―迷走神経
ない18)。揮発性麻酔薬の中で、抑制の強さはハロセン
反射が亢進したものと考えられる5)。一方、spontaneous
が最も強く19)、セボフルランやイソフルラン、デスフ
sequence 法による心臓―迷走神経反射の感受性は、
ルランによる抑制は同程度で比較的弱い 17)。一方、
腰部硬膜外麻酔により影響を受けなかった 29)。この
術後に心臓―迷走神経反射の回復過程を調べた研究で
ように、硬膜外麻酔による心臓―迷走神経反射の変化
は、エンフルラン麻酔後よりもイソフルラン麻酔後の
を調べた研究では、測定・解析手法により異なった結
方が回復は早い 20)。また、体表の小手術をイソフル
果が報告されている。少なくとも上位胸椎レベルでの
ラン麻酔とセボフルラン麻酔で受けた健康成人を対象
硬膜外麻酔が、心臓―迷走神経反射を亢進するとは考
に心臓―迷走神経反射の回復を調べたところ、セボフ
え難く、逆に腰部硬膜外麻酔が反射を抑制することも
ルラン麻酔後の方が回復は早い21)。
ないであろう。
揮発性麻酔薬は、圧受容器を除く反射弓全ての部位
(求心路:減圧神経〈depressor nerve〉)、中枢神経、遠
(4)
α−2 アゴニスト
心路交感神経・副交感神経およびその神経節、効果
麻酔前投薬としてα−2 アゴニストであるクロニジン
器の反応性)を抑制するが、中でも遠心路自律神経節
を投与すると、術中の麻酔薬必要量を減少させ、血圧
における神経伝達が最も強く抑制されることが知られ
の安定化をもたらす31,32)。また、クロニジンは交感神
ている22)。
経の抑制と副交感神経の亢進をもたらし、心臓―迷走
神経反射の感受性を亢進させる 33)。高血圧を有する
(2)プロポフォール
プロポフォール200μg/kg/minは、フェニレフリン昇
圧試験の感受性を抑制しないのに対し、ニトロプル
患者に術前・術中クロニジンを投与すると、プラセボ
を投与された患者に比べ術後の心臓―迷走神経反射の
回復が有意に早くなる34)。
シド降圧試験の感受性を揮発性麻酔薬同様強く抑制す
る 23)。降圧試験は迷走神経活動の低下に加え、交感
(5)アトロピン
神経活動の亢進を反映することを考慮すると、プロポ
アトロピンはムスカリン受容体を遮断するため、心
フォールが選択的に交感神経活動を強く抑制し、迷走
臓―迷走神経反射や心拍変動を強く抑制する 35)。覚
21
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醒直前にアトロピンを用いた場合、グリコピロレート
2 )Ogoh S, Fadel PJ, Monteiro F, et al.:Haemody-
に比べ、術後心臓―迷走神経反射の感受性(177 ± 22
namic changes during neck pressure and suction
vs. 82 ± 8 min)や心拍変動(212 ± 16 vs. 111 ± 14min)
in seated and supine positions. J Physiol 540:707−
が基礎値に復するまでの時間が約 2 倍に延長する36)。
716, 2002.
3 )Smith JJ, Kampine JP:Circulatory Physiology:
【迷走神経機能評価の臨床的意義】
the essentials, 2nd ed. Williams & Wilkins, 1984,
心臓―迷走神経反射などの迷走神経機能を調べるこ
161−169.
とに、はたして臨床的意義があるのだろうか?この質
4 )Eckberg DL, Fritsch JM:How should human
問に明快に答えてくれたのが1998年のATRAMI study
baroreflexes be tested. News Physiol Sci 8:7−12,
であろう1)。この研究は、international,
prospective,
1993.
multi-center studyであり、1,284人の急性心筋梗塞患
5 )Vatner SF, Boettcher DH, Heyndrickx GR, et al.:
者を 2 年間経過観察し、迷走神経機能の指標である
Reduced baroreflex sensitivity with volume loading
SDNN(standard deviation of normal-to-normal beats)
in conscious dogs. Circ Res 37:236−242, 1975.
およびフェニレフリン昇圧試験の結果と心臓死との
6 )Rudas L, Crossman AA, Morillo CA, et al.:Human
関連を追跡調査、検討している。その結果、SDNNと
sympathetic and vagal baroreflex responses to
フェニレフリン昇圧試験の感受性いずれも高い人の方
sequential nitroprusside and phenylephrine. Am J
が低い人よりも 2 年生存率が有意に高いことが判明し
Physiol 276:H1691−H1698, 1999.
た。換言すれば、心筋梗塞後の迷走神経機能を調べる
7 )Parlow J, Viale JP, Annat G, et al.:Spontaneous
ことにより、その予後をある程度推測できることが分
cardiac baroreflex in humans. Comparison with
かった。一方、2003年Strokeに掲載された論文では37)、
drug-induced responses. Hypertension 25:1058−
123人の脳梗塞後の患者を1,500日余りにわたってフォ
1068, 1995.
ローし、迷走神経反射の 1 つの指標であるα−indexと
8 )Sprenkle JM, Eckberg DL, Goble RL, et al.:Device
心臓合併症との関連を調べているが、迷走神経機能が
for rapid quantification of human carotid barorecep-
高いほど生命予後は良く、改めて致死的疾患予後を推
tor-cardiac reflex responses. J Appl Physiol 60:
測する上で迷走神経機能が役立つことが証明された。
【まとめ】
ATRAMI study以降、迷走神経活動の指標である心
727−732, 1986.
9 )Mancia G, Grassi G, Ferrari A, et al.:Reflex cardiovascular regulation in humans. J Cardiovasc
Pharmacol 7:S152−S159, 1985.
臓―迷走神経反射や心拍変動が、重篤な疾患の予後に
10)Laitinen T, Hartikainen J, Vanninen E, et al.:Age
与える影響について関心が高まりつつある。特に、周
and gender dependency of baroreflex sensitivity
術期における心臓合併症の発現頻度に迷走神経活動が
in healthy subjects. J Appl Physiol 84:576−583,
いかなる影響を与えるかなど、今後麻酔科医が解明し
1998.
なければいけない重要な研究課題は沢山ある。こうし
11)Abdel-Rahman AR, Merrill RH, Wooles WR:Gen-
た研究結果は、麻酔方法の選択を含め、我々の日常診
der-related differences in the baroreceptor reflex
療に直接影響を及ぼす可能性があるからである。本稿
control of heart rate in normotensive humans. J
を通じ、一人でも多くの麻酔科医が心臓―迷走神経反
射を含む生理的循環調節機構に興味を抱いてくれるこ
とを望んでいる。
引用文献
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Baroreflex sensitivity and heart-rate variability in
flex-mediated bradycardia in young rats:role of
prediction of total cardiac mortality after myocar-
cardiac sympathetic and parasympathetic compo-
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22
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基礎から学ぶ麻酔科学ノート
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sympathectomy by epidural blockade in awake
23