・PPP(Public Private Partnership)について PPP とは公共サービスを

・PPP(Public Private Partnership)について
PPP とは公共サービスを行政のみならず、民間企業や住民などと連携しながら、提供し
ようとする概念や手法である。つまり、今までの「公共サービス=行政サービス」という
考え方を新たに「公共サービス≠行政サービス」とするものである。
このような手法が生まれたのは、海外における公共サービスの民間開放の流れと国内の
「骨太の推進」改革や地方分権の進展、行政プロセスに対する評価などが背景に存在する
ためである。故に、官民分担の見直しは、企業、NPO、個人が公共サービスの多元的な提
供者として重要な役割を担うということも意味している。
PPP の効果は、①サービス産業の振興・雇用創出、②行政コストの削減による財政再建、
③サービス水準の向上が期待される。つまり「量だけでなく、質の変化」が起き、多様な
手法を活用し、最も効率良く、質の高い公共サービスを提供することが可能になる。Best
VFM が実現できるのである。
PPP の分類・形態には様々な場合がある。例えば、新たな社会資本整備・公共サービス
の提供として、管理運営・建設を全て行政が担当していた公設公営という立場から、公設
民営や民設公営、民設民営という形態に移行することができる。
公共サービス全般において、今までの概念を取り除き、PPP の活用を検討しながら、シ
ステム化を進めるべきである。また、完全に市場に任せることはせず、「ガバナンス」の主
体・形態を見直し、各事業は経営の採算を確保、適切な PPP の手法を選択することが重要
である。そして、多様な主体の参加と対等なパートナーシップを組むため、情報を共有し、
民間と行政の責任の明確化、手続きの透明性に務めなければならない。そこで、PPP の受
け皿となる民間主体の創出・コーディネート機能を充実させる必要が求められている。
・コミュニティビジネス
コミュニティビジネスとは、地域の人々が、地域に眠っている労働力、原材料、技術力
などの資源を活用して行う小規模ビジネスであり、利益の追求に加え、地域問題の解決を
目指すものである。ただし、利益の追求を第一にせず、地域性と事業性の 2 つの要素を持
つことが必要条件である。また、変革性や市民性、貢献性を含んでいるものも存在し、地
域を豊にするものとして、全国的に広がっている。
この背景には、民間企業や地方自治体による公共サービスではカバーしきれない問題が
近年増加し、これを受けて地域住民自らがコミュニティの課題に取り組む必要があるとい
う動きが出てきたためである。
実施主体は、NPO(民間非営利活動団体)を中心に、企業組合、農業法人のほか、社会
貢献を謳う企業(合資会社、合名会社、有限会社、株式会社)などにより運営されている。
特に NPO は、政策型の NPO と事業型の NPO という 2 つの性格に分けることができる。
このうちコミュニティビジネスは、事業型 NPO に近いものとして見ることができる。2 つ
の NPO は事業目的や事業主体・展開、経営収支、対象についてそれぞれ特徴を持っている
が、事業型 NPO であるコミュニティビジネスは、地域のニーズに合わせた事業を進め、費
用は事業からの収入で賄い、生活需要を目標として活動している公益セクターとして存在
している。政策型 NPO の共生セクターとは異なるものである。
コミュニティビジネスを実施することで、経済が活性化されることにより地域の雇用創
出が見込まれることや地域で問題となっている案件が解決されることが大いに期待される。
また、地域住民のコミュニケーションの増進とそれに伴う生きがいの創出という効果があ
げられ、高齢社会に入った日本では今後の成長と役割は大きいものとなるだろう。
・地域と国際化
地域の国際化施策には、地域住民の国際感覚を養い、ボランティア精神を育てることが
でき、地域の活性化はもちろん、住民が自分たちの住む街を見直すきっかけとなり、地域
のアイデンティティーの確立が期待される。それにより国内にとどまらず、世界に向けた
情報発信を促し、歴史や文化の相互理解を達成することができる。また、地域の在住外国
人へのサービスの向上、地域レベルでの国際貢献も望まれる。
国際化には姉妹都市交流や国際協力・支援事業を含めた「外への国際化」と、国内での
国際活動を意味する「内なる国際化」という 2 つの概念が存在する。
「外への国際化」としては、姉妹都市交流が 1955 年に長崎市とミネソタ州セントポール
市の間に締結され、その後も海外の自治体との交流が盛んに行われた。姉妹都市交流は「交
流と親善」を目的とし、最近の傾向としては、アジア諸国への交流締結が多く見られるよ
うになり、地理や気候だけでなく、産業・経済政策の類似点で交流することや姉妹都市締
結をせずに交流している場合もある。
その他には JET プログラムなどがある。これは、世界最大規模の人的交流プロジェクト
の一つで、地域における国際交流活動や中学校・高等学校での語学指導などに参加し、帰
国後は日本理解の促進に貢献する役割を持つものである。
昨今では、地方自治体の国際交流活動は多様化し、
「交流から協力へ」と転換するような
厚みのある活動展開を見せる自治体も多数存在し、地域の様々なノウハウ・技術を利用し
た国際協力が進んでいる。
「内なる国際化」としては、様々な人々が移住をするようになったため、外国人との共
生が重要な問題となっている。産業面では、労働者の確保などプラスの効果があるが、文
化面では、まだ差別などがあり、解決しなければならない点も多い。このようなことから
も地域レベルの国際化を推進するためには、行政が積極的に活動するだけでなく、民間国
際交流組織の活動も不可欠になっている。
・観光政策
国内や海外に向け観光振興として様々な取り組みがなされている。そこには観光が、そ
の国や地域に大きな利益をもたらすという背景がある。経済の活性化、魅力ある国や地域
の形成、それによる歴史と文化の再発見、国際相互理解の促進、そして生きがいなど多く
の意義が観光の中には含まれている。それ故、観光振興に国や自治体は力を注いでいるの
である。中でも観光政策として、「魅力ある地域づくり」は重要である。
前提として言えることは、地域の連携を強め、住民が誇りなど、アイデンティティを持
って生活していくための基盤を造り、地域活性化に務めなければならない。さらに、地域
の置かれている状況を把握し、経済への危機感を持つことが大切である。そして、マスツ
ーリズムから脱却しなければならない。大衆化された観光は、観光地文化を悪変させ、地
元事業者の疲弊も問題となっている。また、それに伴う自然破壊や旅行者の規律が失われ
る結果をも引き起こし、ますます「魅力ある地域づくり」の必要性は重視されている。
例えば「魅力ある地域づくり」としてあげるならば、フィルムコミッションという映画
やドラマのロケーション撮影を誘致する機関を組織することにより、観光客の増加に伴う
経済効果、情報発信ルートの増大、映像制作に関わることで、地域文化の創造や向上も期
待される。また、産業観光という形態も増えている。これは歴史的、文化的価値の高い産
業遺産や工場などを観光資源として位置づけ、それらを介してものづくりの個々に触れ、
人的交流を促進することが可能である。さらに、エコツーリズムがあげられる。これは、
旅行者に魅力的な地域資源との触合いの機会が永続的に提供され、地域の暮らしが安定し、
資源が守られていくことを目的とされ、環境保全・観光振興・地域振興という効果が望め
る。これら様々な手法を使い、
「魅力ある地域づくり」を目指さなければならない。