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[特別講演者紹介]
((有)テクノカルチャー)
戸塚昭
戸塚昭先生は、ワインの戸塚として永らく醸造試験所の第 3 研究室で活躍し
てこられましたが、意外にも学位論文は清酒醸造に関する研究で、醸造用水に
関する研究でも大きな成果を上げておられます。ワイン醸造学に関しては、ワ
インの酸化防止、固定化微生物、ワインの品種特性香、ブドウの植物パイテク
等、多方面にわたる研究を手掛けられ、平成 4 年に「葡萄酒醸造における酸化
防止と酒質改良に関する研究」で科学技術庁長官賞研究功績者表彰を受けられ
ました (ASEV
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。その活躍は研究室に留まらず、講演
会等を通じて、日本のワインを初めとする酒類醸造はどうあるべきか、常に鋭
い問題提起をされ (ASEV
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等)、
本会のメンバーとしても尽力されています。また、技術的知識に裏付けされた
官能評価は誰もが信頼するところで、第 3 研究室では研究の後に戸塚ヨッタス
クールを開講され、後進の指導にあたってとられました。
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立場でいたい」との日頃の言葉どうり、退官後は醸造コンサルタント会社を設
立され、新しい環境で益々意欲を燃やしておられます。以下に先生のご略歴を
紹介します。
昭和 34 年東京農工大学農学部農芸化学科卒業
国税庁醸造試験所入所
昭和 35 年 熊 本 国 税 局 鑑 定 官 室
昭和04 年 大 阪 国 税 局 鑑 定 官 室
昭和 43 年
国税庁醸造試験所第 1 研究室研究員
昭和 54 年
同第 3 研究室主任研究員
7年
昭和 4
「清酒醸造工程における金属の動向に関する研究 j で東北大学より
農学博士号を授与
昭和 05 年
フランス・ボルド一大学ワイン醸造学研究所に約 1 年間留学
昭和 45 年東京国税局鑑定官室主任鑑定官
昭和75 年
国税庁醸造試験所第 6 研究室長
昭和85 年 同 第 3 研究室長
平成 5年
国税庁退官、(有)テクノカルチャーを設立
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.4 ,No.3(193)
国税庁醸造試験所におけるワイン研究の流れ
0戸塚昭
(樹テクノカルチャー・前国税庁醸造試験所)
.
1 創立)
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091
から0691 年まで
醸造試験所は酒類、主として清酒の安全醸造と酒質向上を目的とし、 4091 年
に大蔵省付属の研究機関として設立された。農務省ではなく大蔵省付属の研究
機関となった理由は酒税の保全にあった。明治に入りワインに関する関心が高
まり、北は北海道から南は九州まで葡萄栽培とワイン醸造が開始されたが、葡
萄栽培とワイン醸造法の研究は民聞の技術者に、ワインの研究は衛生試験所は
じめ薬学系の研究者により行われた。ワインに関する日本初の学術報告は成分
分析に関する研究(辻岡精輔・7881 年)である。
醸造試験所においてワインに関して最初に研究報告が行われたのは、設立の
翌年(1
)
509 の国産葡萄酒の成分調査である。その後は主として清酒、調味料関
係の研究が行われ、 0491 年の葡萄果汁の補糖量試験まで報告がない。
第 2 次世界大戦中(1
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は電渡探知機の主要部品としてロッシェル
塩が必要となったため、国策に沿ってワイン醸造法、ワイン及び搾粕からの酒
石酸採取法、酒石酸定性・定量法、ワイン貯蔵法、ワインの異臭(ダイアセチ
ル)、ワイン脱酸法等の研究が精力的に行われた。
終戦後の混乱期には研究報告数が大幅に減少し、当時、防腐剤として使用し
ていたサリチル酸の定量に関する報文のみである。その後、果汁及びワインの
成分分析、酸敗ワインの矯正、甘味葡萄酒の糖組成に関する研究が報告されて
いるが、醸造試験所においては系統だった研究は行われていない。
.
2 1691
年から3991 年まで
醸造試験所設立以来75 年経過した
1691 年に、洋酒類専担の研究室が設置され
た。との年から、国産洋酒類(ワイン、ウイスキー、ブランデー、リキュール
等)の品質向上を図ることを目的として、年 1回、洋酒鑑評会が開催され、そ
の後、洋酒・果実酒鑑評会と名称を変え本年度で33 回目を迎えた。盤評会では
官能審査とともに出品酒の成分分析を実施し、結果を業者に通知することによ
って、国産ワイン、国産洋酒の品質向上に貢献するよう努めている。
ワイン醸造法については、晩腐病菌、果房の人工乾操、呆房の洗浄、果汁の
ナイロン処理、圧搾酵母の使用、低温発酵性酵母の選択、半連続発酵、発酵温
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度と酒質との関鶴、ワインの加熱処理が検討された。また、葡萄果汁あるいは
ワインの減酸については、培養乳酸菌の添加によるマロラクティック発酵の誘
導
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3791 年以降は 3-5 年間を単位とした中長期の研究課題を設定し、系統的に
研究を実施している。
まず、ワイン醸造技術関連の研究課題としては、亜硫酸使用量の低減を図り
ながら、かつ、品質保全に万全を期することを目的として「ワイン醸造におけ
る酸化防止j をとりあげた。との課題を研究する過程において、 「ワインにお
ける産膜の機作」がクローズ・アップされ、新たな研究の柱としてスタートし
たが、やがて「キラー・ワイン酵母の遺伝学的性質と育種及び利用』という、
画期的な研究課題に発展した。
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に関する研究は
醸造微生物に関する研究、特にsecvmorahcaS
醸造試験所の得意とする研究分野といえる。ワイン関連でも「ワイン酵母に関
する分子生物学的研究』を進め、染色体 DNA パターン解析等多くの成果を得
た。また、 「固定化微生物のワイン醸造への活用』をテーマとして、固定化酵
母による連続発酵を行うとともに、固定化酵母、固定化乳酸菌によるマロラク
ティック発酵や、酒質改良への応用にも成功した。
ワインの呈味の特徴は、ポリフェノール化合物、有機酸及び塘類によるが、
このうち『ワイン中の有機酸J をテーマとしてとりあげ、酵素法による定量法
を用いて醸造工程、製品等について解析を行った。
ワインに関する研究において、特に高付加価値商品を意識した場合には、原
料葡萄の性質を無視することは出来ない。そ之で、 「ワインにお吋る葡萄品種
特性の発現』をテーマとしてとりあげ、香気成分からのアプローチを行った。
との研究を進める過程で、醸造試験所では従来研究の対照としていなかった原
料葡萄について、その研究の必要性を強く認識し、 「葡萄に関する分子生物学
的研究』を課題とした。原料葡萄に関する研究は、醸造試験所単独の研究テー
マにとどめることなく、農林水産省の研究機関、大学、民間の研究機闘がそれ
ぞれの得意分野を担当して共同研究を実施し、さらに将来は国際的な共同研究
に発展させるととにより、大きな成果が得られるものと確信している。
この他、中長期の研究課題に取組む過程で、微生物関連では『乳酸菌に関す
る分子生物学的研究』、成分関連では『赤葡萄酒の緩衝能j 、 「ワイン申の中
高沸点硫黄系化合物』に関する研究が派生した。乳酸菌関連の研究は今後の発
展が期待される。食品衛生関連の課題は突発的なものが多いが、醸造試験所で
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カルバミン酸ヱチル」について、酒類全般にわたり検討を実施した。
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