霊的成長のための第１ステップどのようにして神と意義ある時を持つかｂｙリック・ウォレン（拙訳：沙部汎）毎日の静思の時（quiet time）が霊的成長のために必要なことだと確信しているあなたは、その時間をどのように持とうとしていますか？そのような思いを抱いていても、その方法を知らないかもしれません。良き静思の時のための 4 つの必須の要素に留意しなければなりません。 ● 適切な心構えで始める ● 一定の時間を選ぶ ● 特定の場所でする ● 単純な計画で実行するふさわしい心構えで始める神の目には、あなたが何をするかより、なぜそれをするか、のほうがはるかに重要なのです。あるとき神はサムエルに言いました、「人はうわべを見るが、主は心を見る」（１ｻﾑｴﾙ 16:7）不心得な態度でも正しい事をすることができるのです。これがアマツヤの問題でした。「彼は主の目にかなう正しいことを行ったが、心からそうしたのではなかった。」（2 歴 25:2）静思の時間に神の前に出る時、以下のふさわしい態度（心構え）をとることが大切です。 ● 期待を持って・・期待と飢え渇きをもって神の前に出ましょう。よき交わりの時を持てること、その時間に祝福を受けることを期待しなさい。 ● 畏敬の念を持って・・神の臨在をせっついてはいけません。神の前に静まり、そうすることでこの世の思いを追い払い、心の準備をしなさい。預言者ハバククの声を聞きなさい。「主はその聖なる神殿におられる。全地よ、御前に沈黙せよ」（ﾊﾊﾞｸｸ 2:20、詩編 89:7 参照）主の臨在の前に出ることは、フットボールの試合をみたり、何かの娯楽をするようなことではないのです。 ● 気を張って・・はっきりと目を覚ましなさい。天と地を造られた創造主、人類の贖い主にお目にかかるのだということを思いなさい。全く力を抜いて、目覚めていなさい。朝の静止の時の最善の準備は前夜から始まります。朝に良い状態で神に会えるように早く就寝しなさい。あなたの備えに主は応えてくださいます。 ● 従順する意志を持って・・この態度はきわめて重要です。何をして何をしないかを自分で選 1 択するために静止の時を持ってはなりません。神があなたに何か期待すること、そして神が期待する全てを行う目的をも持って静止の時を迎えなさい。主イエスは言っています。「この方の御心を行おうとする者は、わたしの教えが神から出たものか、わたしが勝手に話しているのか、分かるはずである。」（ﾖﾊﾈ 7:17）だからどんなことであれ、神の御心をすでに選び取られた主にお会いしなさい。一定の時間を選ぶ一定の時間とは、いつ静思の時を持つか、どのくらいの時間であるべきか、ということです。一般的な決まりは、あなたが最も冴えている時が最適の時間です。神に一日の中の最高の時・・最も新鮮で冴えている時・・を捧げなさい。余った時間を神に捧げるのではありません。また、あなたの最高の時間は他の人たちのそれとは違うことを覚えていなさい。しかし、私たち多くの者にとって早朝が最高のときのようです。朝早く起きて祈り神に会うことは、イエスご自身の習慣でした。「朝早くまだ暗いうちに、イエスは起きて、人里離れたところへ出て行き、そこで祈っておられた。」（ﾏﾙｺ 1:35）聖書に、多くの敬虔な男や女が神に会うために朝早く起きたとあります。アブラハム・・創世記 19:27、ハンナとエルカナ・・1 ｻﾑｴﾙ 1:19 モーセ・・出エ 34:4 ヨブ・・ﾖﾌﾞ 1:15、ヤコブ・・創世記 28:18、ダビデ・・詩編 5:3、57:7-8 （詩編 143:8、イザヤ 5:3、エゼキエル 12:8 も参照）教会の歴史を通して神に最も用いられた多くのクリスチャンは、神に早朝に会っていました。ハドソン・テイラーは言いました、「コンサートが終わってから楽器の調律をするな。それは愚かなことだ。演奏を始める前に調整することが理にかなっている。」英国の 19 世紀末の大学生の間に起こったリバイバルは、このような歴史的言葉で始まった。「朝の当直を忘れるな！」そこで私たちは、朝の当直を忘れないように毎日 1 日のはじめに自分自身を調律する必要があります。もし、主イエスが本当に私たちの生活の中で最高位におられるなら、１日の最初の部分を主イエスに捧げるべきです。私たちは神の国を第一に求めなければなりません。（ﾏﾀｲ 6:33 参照） 1 日の内で最も重要な食事は朝食である、と医者は言っています。朝食はしばしばエネルギーレベルや、注意力、そしてその日の気分さえも決めるからです。同様に、１日を正しく始めるために、“霊的朝食”が必要です。 2 最後に、朝の内は私たちの心は日々の活動に煩わされません。思考はフレッシュで休養十分です。まだ緊張感に襲われません。そして朝は通常最も静かな時です。ある母親は目覚まし時計を午前 4 時にセットし、静思の時を持っています。そしてベッドに戻り、家の中の皆が起きてきたときに、また起床します。彼女によると、家の中で終日子どもと一緒にいると、早朝が唯一の静かな時であり、ひとりで神と共にいられる時であるというのです。彼女にとって大切な時です。あなたにとって最適の時を見つける必要があります。１日 2 回（朝と夜に）静思の時を持ってもよいでしょう。ナビゲーターの創始者であるドーソン・トロットマンは、夜の静思の時のために HWLW という符丁を言っていました。夜、グループで人と過ごしたり、または自宅で妻と共にいて会話が終わろうとする時、いつでも彼は、「では、 HWLW」と言っていました。HWLW とは “His Word Last Word” （主の言葉が[その日の] 最後の言葉）という意味です。彼は主に固く結びついた思いをもって、何年間もその流儀で 1 日を終えていました。（”Daws” ベティ・リー・スキナー著 1974 Zondervan 発行 p104）偉大なクリスチャンでニューヨークで長年牧師を務めたステファン・オルフォードは、「朝、誰か人の声を聞く前に神の声を聞きたい。夜は神の声を最後に聞きたい。」と言っています。ダビデとダニエルは毎日、神に 3 回も会いました。（詩 55:17、ﾀﾞﾆｴﾙ 6:10 参照）どんな時間を設定しても、その時間に集中しなさい。カレンダーに書き込みなさい。誰かと約束するように、神と約束しなさい。主イエスとデートしなさい！そしてその時を待ち望み、すっぽかしてはいけません。デートがすっぽかされるのは、私たちにとって楽しい経験ではありません。主イエスもすっぽかされることを好みません。だから主とデートの約束をし、どんな犠牲を払ってもその約束を守りなさい。よくある質問です。「どのくらいの時間を主と過ごせばよいのですか？」もし、これまで集中した静思の時を持ったことがないなら、7 分から始めてもよいでしょう。そして徐々に長くしていきましょう。やがては、１日 15 分以上を主と共に過ごすことを目指すべきです。神と交わるために私たちは造られたことを思うと、私たち皆に与えられている 1 週間 165 時間のうち 1 時間 45 分は極端に少なく見えます。いくつかの目安があります。 ●最初は静思の時を 2 時間持とうとしてはいけません。ただ落ち込んでしまうだけです。他のことをするのと同じように、少しずつ増やしていかなければなりません。そこで 7 分間を継続することから始め、増やしていきなさい。1 週間おきに 1 時間会うことより、短い時間でも継続するほうがいいでしょう。 ●時計を見てはいけません。時計を見ることは、他の何事にも増して早く静思の時をダメにし 3 てしまうでしょう。あなたが選択した時間に、御言葉と祈りにおいて何ができるかを決定しなさい。それを行ないなさい。時々、あなたが聖別した時間が延びることがあり、また短いときもあります。でも、時計を気にしてはいけません。 ●量を重視するのではなく、質を重んじなさい。静思の時を 2 時間持つことが、超霊的であるとは限りません。あなたの時間にあなたが行うことが霊的なのです。15 分か 2 時間、またはその中間の時間であっても、その時間が重要なのです。神との質の高い関係を目指しなさい。特別な場所を選ぶ静思の時を持つ場所もまた重要です。アブラハムは神と会う定まった場所があった、と聖書は示しています。（創世記 19:27）イエスはオリーブ山のゲッセマネの園で神に祈ることを常としていました。「イエスがそこを出て、いつものようにオリーブ山に行かれると、弟子たちも従った。」（ﾙｶ 22:39）そこは隠れた場所でなければなりません。そこは自分だけになれる所、静かな所、妨げられない、邪魔されない所なのです。今日の騒々しい西側世界においては、その場所を見つけるのは、工夫を要しますがそこが必要です。その場所が備えているべき条件は・・・ ○他の人を気にせず、声を出して声で祈れる ○読書用の適切な照明がある（通常は机） ○快適な所（警告：ベッドの中で静思の時を持ってはいけません。快適すぎるから！）そこは特別な場所でなければなりません。主に会う所と決めた場所はどこであれ、あなたと主との特別な場所としなさい。日にちが経つにつれて、その場所はあなたがイエス・キリストと素晴らしい時を過ごしたという大きな意味を持つでしょう。そこは聖別された場所でなければなりません。そこは生ける神に会う所です。あなたが神に会う所は、アブラハムが神にあった聖なる場所と、まさに同じです。教会の建物の中に入る必要はありません。静かな場所に止めた自動車の中、自宅の空き小部屋、裏庭、野球場のダグアウトでもよいのです。これらのそれぞれの場所が、聖なる所となるのです。単純な計画に従うある人は言います。「狙わなければ、きっと当たるでしょう！」意義ある静思の時を持つには、実行すべき計画や、ある種のガイドラインが必要です。主たるルールは、計画を単純にすることです。 4 計画された静思の時のために、以下の物が必要です。 ○聖書・・現代語訳の聖書（意訳でないもの）。読みやすい書体で、注釈のないものが望ましい。 ○ノート主が示されたことを書きとめたり、祈りのリストのため・・ ○賛美歌/聖歌・・時には賛美の時を持ちたくなるでしょう。（ｺﾛｻｲ 3:16） ●神を待つ（リラックスして）しばし静まりなさい。性急に神の前に行き、直ぐ話し始めてはいけません。神の忠告に従いなさい。「静まって、わたしこそ神であることを知れ」（詩 46:10、ｲｻﾞﾔ 5:10、 40:31 参照）敬虔な気持ちになるために、しばらく静まりなさい。 ●短く祈りなさい（願う）まだ本番の祈りではなく、自分の心を清めていただき、神との時間に導いて下さるよう願うはじめ短い祈りです。記憶すべき、2 つの良い聖句があります。 ○「神よ、わたしを究めわたしの心を知ってください。わたしを試し、悩みを知って下さい。ご覧ください、わたしの内に迷いの道があるかどうかを。どうかわたしをとこしえの道に導いてください。」（詩 139:23-24、１ﾖﾊﾈ 1:9 参照） ○「わたしの目の覆いを払ってください。あなたの律法の驚くべき力にわたしは目を注ぎます。（詩 119:18、ﾖﾊﾈ 16:13 も参照）聖書を理解できるようになる前に、その作者に気持ちを一致させなければなりません。 ●聖書の章を読みなさい。ここから神との会話が始まります。神は御言葉を通して語られ、あなたは祈りをもって応答します。聖書を読む・・ゆっくりと・・急いではいけません。たくさん読み過ぎはいけません。競争してはいけません。くりかえし・・心の中に情景が浮かんでくるまで、文章を何度も何度も読みなさい。多くの人が聖書を読んでもより多くのことを得られない理由は、聖書を繰り返し読まないからです。止まらないで・・横道に逸れたり、教義的なことを調べるために、文の途中で停止してはいけません。その章を、喜びを持って、神に話していただくという思いをもって、読み進みなさい。目的は、知識を得るのではなく、御言葉によって養われ、キリストをさらに知るためであることを心にとめましょう。声を出して、でも静かに・・声を出して読むことは、失いがちな集中力を高めます。声に出し 5 て読むことによって、それを目で見て耳で聞くことによって、内容の理解をさらに深めます。でも、他の人を妨げないように、そっと読みなさい。系統立てて・・毎回、順序だった方法で読みなさい。ここの節、あの章、好きな箇所はここ、関心のある部分はそこ、などと“行き当たりばったり”のやり方ではいけません。文書や手紙がその時に書かれたとおりに読めれば、さらによく聖書を理解できるでしょう。書巻を通読する・・ある時にはその書巻全体を概観したくなります。その場合は全体の啓示を把握するために速く読みましょう。その時はゆっくりと読んだり、繰り返し読む必要はありません。 ○瞑想し記憶する・・聖書に意味のあることを語らせるために、読んだことを瞑想し、特別にあなたに語られた聖句を覚えなさい。瞑想とは「心の中で、ある考えを繰り返し真剣に熟考する」ことです。瞑想をとおして、特別に意味のある聖句を選んで覚えるでしょう。 ○神が示されたことを書きとめる。神が御言葉をとおして語られる時、あなたが発見したことを記録しなさい。書きとめることは、神が明らかにされた事を記憶に残し、聖書的発見をチェックしてくれるでしょう。神が示されたことを書きとめることは、聖書の中で知ったことをあなたの人生に適用する１つの方法です。 ○祈りの時を持つ。御言葉をとおして神が語られた後、祈りをもって神に語りかけなさい。それが主との会話でのあなたの役目です。結びもし静思の時を持ち損なったら？たまにそうなるのでしたら心配はいりません。罪に苛まれることは無用です。「従って、今や、キリスト・イエスに結ばれている者は、罪に定められることはありません。」（ﾛｰﾏ 8:1）律法的にならないで、というのは、１日しなかったことは破綻することではありません。けれども、あきらめてはいけません。もし食事を食べ損なったとしても、うっかりしていただけで食べることを諦めたという意味ではないからです。次の食事の際に、少し多く食べてもちなおせばいいのです。同じ原則が、静思の時についても当てはまります。何か新しい仕事や習慣に慣れるには通常 3 週間かかる、と心理学者は言っています。そして、それが習慣として身につくには、さらに 3 週間かかる、と。多くの人たちが静思の時に成功できないのは、その人達はこの “6 週間の壁”を越えられないからです。静思の時を習慣にするためには、毎日少なくとも 6 週間それを実行しなければなりません。 6 ウイリアム・ジェームスによる「習慣を身につけるための有名な公式」があります。（「哲学に関する特別資料」 E. P. Dutton & Co., 2000pp, 60-62） ○強い決意を持つ（宣言）いつも強い決意を持って始めなければならない。もし中途半端な気持ちで始めるなら、けっして成功できない。自分の決意を、周りの人たちに公表し宣言すること。 ○新しい習慣が、あなたの生活にしっかりと根付くまで、例外を許してはならない。習慣は糸玉のようだ。それを落とすたびに糸がほどけてしまう。だから、「この１回だけ」を許してはならない。許容する行動は意志を弱くし、自制心の不足を強める。 ○新しい習慣を励行するため、あらゆる機会をとらえよ。新しい習慣を始めようと少しでも思い立った時はいつでも、直ちに始める。待ってはいけない。習慣を強化するためにあらゆる機会を用いよ。はじめて開始する時に新しい習慣のやり過ぎということはない。これらの教訓に、一つ加えます（by リック・ウォレン） ○神の力に頼りなさい。いろいろ言ったりしたりするとき、あなたは霊的戦いの中にいることを認識しなければなりません。そして、聖霊の力によってのみ成功することができるのです。だから、神があなたを強くしてくださるように祈りなさい。神の栄光のためのこの習慣を発展させるために助けてくださるよう神に寄り頼みなさい。 ―――――――――――――――― 以上述べたことが、あなたのなすべきことであると納得されたなら、つぎのように祈っていただけますか？誓約の祈り「主よ、私は、どんな犠牲を払っても毎日定まった時間をあなたと共に過ごすために、自分自身をあなたに捧げます。継続できるよう助けてくださいますように、あなたのお力におすがりいたします。」 ―――――――――――――――― This article was adopted from Dynamic Bible Study Methods (Chariot Victor 7 Books, 1989) by Rick Warren. (c)Copyright 2004. Used by permission. All rights reserved. You may use this study guide for yourself or share it with friends, but please keep the copyright information within the document, and please don't sell it. ************************** ★本稿は、”First Step to Spiritual Growth” (*)から、上記の注意書きの下に、沙部汎が和訳したものです。（一部意訳）誤訳または不適切な訳に気づかれた際は、訳者：沙部までお知らせいただければ幸いです。 (*)本稿原典： http://www.purposedrivenlife.com/en- US/FreeTools/spiritualGrowth/FirstStepsToSpiritualGrowth.htm 2010.9.4 〔完〕 8