食物アレルギーを抑えるワクチン

■欄■モコントロールして,
アレルギーをI川陣せた
有効な治療法がない食物アレ
ルギーの患者にとって.食事
の中にどのような食物が含ま
れているかは重要な問題だ。
アメリカの研究者が開発した
「食物アレルギ1のワクチン」
は,食物アレルギー患者が食
事のたびに感じている不安を
将来取り除いてくれるかもし
れない。
多くの人がとくに何の問題もなく
加鼓したリステリア■棚えたワクチン
とることができる食事を.とれない
アメリカ.スタンフォード大学小
児科のウメツ博士らは,科学雑誌
かんじゃ 人がいる。食物アレルギーの患者だ。
「アレルギー」のオンライン版2004
血く 食物アレルギーの患者が食物に含
まれるアレルギー原因物質(アレル
めんえ苦 ゲン)を食べてしまうと,体の免疫
システムがそれを異物と認識し,
年11月1e;日号で∴食物アレルギー
のワクチンをイヌで開発したと発表
した。ピーナッツアレルギーのイ剥こ
はいじよ 排除しようとしてアレルギー反応を
あらかじめワクチンを接種しておいた
しんしょうじよう おこす。腹痛やじんま疹などの症状
ところ,ピーナッツによるアレルギー
があらわれ.重症の場合には死に至
ー8串はば 反応が大幅に軽減されたという。
る。患者にとって∴食事の中にどの
博士らの開発したワクチンは,ア
レルゲンに対する樹状細胞の反応を
ような食物が含まれているかは非常
に重要な問題だ。
コントロールするためのものだ。樹
しんにゆう
状細胞は,体に侵入してきた異物の
ヤギやヒツジの■職示をれない 情報を休止丁細胞に伝え.休止丁細
胞を2種類のヘルパーT細胞(Thl
国立成育医療センター研究所免疫
たなかわlすこ
アレルギー研究部の田中和子博士,
細胞とTh2珊胞)のどちらに分化さ
案謎撞島博士らは.牛乳にアレルギ
せるかにかかわっている。Thl細胞
ー反応をおこす人のほとんどが,ヤ
さい置ん は細菌などの侵入防御に,Th2細胞
ギやヒツジの乳にもアレルギー反応
はアレルギー反応に関与している。
をおこす可能性があることを明らか
アレルギー反応を軽減させるために
にした。このように,ある食物にア
は,Th2細胞の割合を減らせばいい。
レルギー反応をおこす患者が,ほか
博士らは,ピーナッツ崩描成分
の食物にもアレルギー反応をおこす
に.加熱して無毒化したリステリア
のは,患者の抗体がことなった食物
菌を加えてワクチンをつくり,イヌ
に含まれている共通のアレルゲンに
に接種した。すると,ピーナッツの
反応するためだ。
成分に対してもリステリア菌が侵入
協力
えいせし1
松本健治 司立成育医療センター研究所
日本の食品衛生法では,とくにア
免疫アレルギー研究部 レルギーをおこしやすい「卵,乳.
アレルギー研究室室長
したときと同じような情報が樹状細
胞から休止丁縄胞に伝えられ.細菌
小麦,そば.ピーナッツ(落花生)」
の臥を防御するThl細胞の割合が
を加工品の原材料として使う場合.
増え,Th2細胞の割合が減った。そ
その表示が義務づけられている。し
の結果.イヌがピーナッツを食べて
師他州止
T軒胞の将来を決めている
争⇒縁晰鵬
のことで,ヤギやヒツジの乳は含ま
もアレルギー反応が軽減した。
もしこのワクチンがヒトでも有効
れない。現在の表示では,牛乳にア
ならば.食物アレルギーの患者にと
レルギーをもつ患者が,ヤギやヒツ
って崩顎だろう。旅行先での食事な
かし,ここでいう「乳」とは「牛乳」
ジの乳を含む加工品を知らずに食べ
どの際.もしアレルゲンを含ぢ食物
■言誤願
てしまう可能性が高く,問題となっ
ている。
を食べてしまっても.軽い症状です
むはずだ。
●
アレルギー反応を軽減させるためには.Th2維胸の割合を減らせばいい。
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