1 藤崎農場のリンゴを収穫祭で販売する学生 農学生命科学部前同収穫

藤崎農場のリンゴを収穫祭で販売する学生
農学生命科学部前同収穫祭にて
分子生命科学科のオリエンテーション
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弘前大学農学生命科学部後援会の紹介
弘前大学農学生命科学部後援会長
吉村
弥志孝
ご在学の方もおられるでしょうが、まずは新入会員の方にご挨拶させていただきます。この度は、
ご子弟様の弘前大学合格おめでとうございます。さぞかしお慶びのことと存じます。弘前大学での
学生生活が、ご子弟様が将来飛躍される大きな礎となるようご祈念申し上げます。
弘前は、お城と桜とりんごのほかに、弘前大学を中心とした文教の地ですが、近年は市内に点在
する洋館も見直され、季節を問わず訪れる人もあるようです。弘前大学構内にも、その一つである
旧制官立弘前高等学校外国人教師館が移築されています。太宰治は旧制弘前高校を卒業し、今年生
誕 100 年にあたりますが、毎日この建物を目にしたことでしょう。大学の近くに太宰の下宿した建
物も保存されています。
地元紙では、弘前大学の経済効果や学外機関との連携、研究叢績などと並び学生の立派な成績が
報じられ目を惹きます。農学生命科学部には、日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定する履
修コースもあるということです。学生の努力は勿論ですが、諸先生方の熱心なご指導を始め、関係
各位のご尽力の賜物であり、深く感謝するとともに羨ましくも誇らしくもあります。
さて、農学生命科学部後援会は、主に学生の保証人を会員とし構成されております。後援会費は、
以前は先生方の研究費にも支出されておりましたが、限られた予算の中、18 年度からは学生支援
に限定して支出されております。厳正な使用が求められるという戒めでもありますが、不況に関わ
らずみなさまにご協力をお願いする所以でもあります。全学生を広く支援する一方で、特に熱心な
学生にはそれなりに支援することができるようにメリハリのある使い方を認めていただいている
ところです。例えば、中国視察ツアーや学部公認サークル「りんごの会」等への支援です。「弘前
大学農学生命科学部後援会」のホームページにも掲載されていますが、その一端をご紹介すること
とします。
中国視察ツアーは中国農業大学との交流事業として、大学および農業事情見学を目的に互いに 1
年ごとに行き来しているものです。平成 18 年は、弘前大学側が訪問しました。この報告会が、学
祭期間中に農学生命科学部「保護者懇談会」終了後、関係する先生方の見守るなか行われました。
英語と中国語により調査してきたということであり、綺麗な中国語を披露する学生もおりました。
多くの質疑応答があり、「興味深いテーマであり、引き続き研究したら良い」といったお褒めの言
葉を頂戴したりといった状況で、先生方と学生のご努力により多くの協力をしたいものとあらため
て強く思いました。
「りんごの会」は、授業である大学付属農場での農業実習の他に、進んで土日に付属農場でりん
ご栽培に携わり農業技術を学んだり、りんごの加工を見学しているということです。学祭では、収
穫したりんごを販売しています。このような体験が、その後の研究にも役立っているようです。
繰り返しになりますが、ホームページや機会があれば大学での学生の様子もご覧頂き、今後とも
弘前大学農学生命科学部後援会の趣旨にご理解と温かいご協力をお願い申し上げます。
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学生の勉学環境向上のための後援会事業
農学生命科学部長 鈴 木 裕 之
農学生命科学部後援会の活動に日頃よりご理解を賜り誠に有り難くお礼申し上げます。この4月,農
学生命科学部長に就任いたしました。専門は家畜繁殖学で,1988 年(昭和 63 年)に畜産学教室に着任
以来 20 年あまりが経ちました。ここでは,本学部における学生の勉学環境の整備状況を会員の皆様に
ご紹介させていただきたいと思います。
学部後援会からお預かりした事業費は,学生の勉学環境を向上することに限定して,有益に活用させ
ていただいております。これまでに学生が頻繁に利用する学部1階にある「学生控え室」の模様替えと
施設整備をしてきました。その際には,学生の希望を取り入れるため,学生からの提案を募集いたしま
した。今後も,学生の希望に添った整備を進めていきたいと考えております。この他に,毎年の学部行
事として,以下の主な事業に支出しております。
1)学生のオリエンテーション
各学科が学生との交流を含めて行う学科説明会等の開催費の一部を補助しています。
2)学生用図書費補助
学生が利用したい図書の購入費としています。
3)優秀学生表彰
卒業研究・修士研究発表会において発表内容が優秀と判断された学生に対して表彰状と副賞として
図書券を贈与しています。
4)図書閲覧室利用時間延長のためのアルバイト経費
学生からの要望が高い図書閲覧室の時間外利用のためのアルバイト経費を支出しています。対象者
は大学院生です。
5)構内環境整備
学部周辺の花壇の整備と維持のために,学生のアルバイト経費を支出しています。
6)外国大学等との交流経費
本学部と中国農業大学との間で学生が相互に訪問し合い,交流を深めるという平成 18 年度から始
まったプログラムのことです。平成 18 年度に本学部の学生 12 名と教員3名が中国農業大学を訪問し
たのを皮切りに,平成 19 年度には中国農業大学の学生6名と教員2名を弘前にお迎えしました。そ
して,平成 20 年度は本学部の学生5名と教員2名が中国農業大学に派遣されています。平成 21 年度
はまた中国からの学生を受け入れる番となります。学生を派遣する場合には,その航空運賃を,中国
から学生を迎える場合には弘前滞在時の経費の一部を後援会事業費から補助していただいておりま
す。
上記の経費以外にも学生の学会発表の補助などにも活用させて頂いております。なお,平成 19 年度
には他の学内補助が得られましたので,後援会事業費を節約することができました。今後,節約分は効
果的な学生支援に活用したいと考えております。現在,若手教員が中心となって,学生の学習や実習に
どのような設備が必要か,学生の意見も聞きながら検討を重ねているところです。具体的な提案が出来
上がりましたら,後援会理事会にご相談したいと考えております。後援会事業費の執行について概略を
ご説明して参りましたが,万一,ご理解いただけない部分がありましたら,何なりとお聞きいただけれ
ば幸いです。
これまで会員の皆様から頂いた貴重な事業費により学生の勉学環境が年々改善されてきております。
今後とも,後援会会員の皆様のなお一層のご理解を頂き,ご協力とご支援をお願い申し上げます。
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生物学科オリエンテ‐ション
生物学科長 (生物機能科学科学科長を兼任) 葛西身延
平成20年度は不肖,葛西身延が生物学科の学科長を担当することになりました。本年度は農学生命
科学部が4学科から5学科の新体制になり,はじめての学生が入学した年度であります。新学科である
生物学科の1年生の上には新体制になる前の関連する学科(生物機能科学科,生物生産科学科)とそれ
らの大学院の修士課程の学生が在籍しております。私は生物機能科学科の教員でもあるので,生物機能
科学科の学科長も兼任することになりました。教員の学部,大学院における教育研究内容や教員の研究
室の指導学生(卒業研究を行っている学生や大学院修士課程の学生)の研究内容について,討論を含め
て,教員学生間で交流をもつことは非常に大切なことです。このような一つの交流の場として7月にオ
リエンテ‐ションを開きました。オリエンテ‐ションには学科のほとんどの教員と1年生および各教員
の研究室に配属している学生(主に卒業研究を行っている学生や大学院修士課程の学生)が集まり,教
員のみならず指導学生の方からも研究室の特徴や教育研究内容についての説明,紹介がなされ,懇談,
交流が行われました。後援会費の一部は,このオリエンテ‐ションの経費の一部に使わせていただきま
した。学生は教室内で行われる授業のほかに,自然環境に実際に出て,生物や環境について調査や研究
を行う実習にも参加することができます。学生は実習で学んだことや実習経験の伝授を通じて,自然環
境に関する知識や課題を共有し,さらに一層自然環境について考察力や知識を深めていくことができる
と考えられます。本年度は夏休みの集中授業として深浦で行われた臨海実習の経費の一部にも後援会費
の一部を使わせていただきました。また,本年度は総合文化祭の一環として学科の研究室紹介を一般の
訪問者に対してパネルを使って行いました。他方,これと同じ時期に学部,各学科で行われた保護者懇
談会に出席した父兄の希望者に対しても学科の研究室公開を行いました。このときに研究室の研究内容
の説明,紹介に協力してくれた学生に謝礼(図書券)をしましたが,これにも後援会費を使わせていた
だきました。後援会の皆様方には厚く御礼申し上げます。生物学科は授業カリキュラムとして基礎生物
学コ‐スと生態環境コ‐スがあり,その大まかな内容はホ‐ムペ‐ジにある通りですが,生物学科では
本年度10月に生態環境コ‐スの教員として森林生態学をご専門にする先生(石田清先生)が着任され
ました。世界遺産の白神山地を含め,森林生態系の維持,保全等は21世紀の重要な課題です。平成2
1年度からは,この森林生態学分野の関連の授業,実習も開講される予定となっております。なお,添
付の写真はオリエンテ‐ションのときの様子を写したものです。
オリエンテーションの一コマ
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分子生命科学科オリエンテーション(白神山地)
分子生命科学科長(応用生命工学科長を兼任) 菊池英明
大学入学後、高校までとは異なる、大学における自主的な勉強方法について学ぶ科目として、少人数
のゼミナール方式による「基礎ゼミナール」があります。担当の先生の説明を一方的に聞くのではなく、
学生の積極的な授業活動や、課外学習が中心になります。この科目を担当する教員が、その年度入学の
分子生命科学科のクラス担任になり、学習につまずく学生や、生活や進路に悩んでいる学生の相談窓口
になっています。また、基礎ゼミナールの一環として、担当教員と面識を持つようになり、学生間の交
流を深めることを目的として、20年度は白神山地へのバスハイクに行って来ました(写真参照)。
学生が一番悩むのが、自分の進路を決める研究室の選択です。学部のホームページで調べても、なか
なか研究室の雰囲気まではわかりません。学生は先輩の学生から聞くのが一番聞きやすいし、実際にや
っている先輩から研究の話しを聞くことにより本当のことを知ることができます。このような機会を設
けるため、当学科では春にソフトボール大会を行っています。1年生から大学院生まで教員も含めてチ
ームを編成し、激烈な賞品争いを行い、夕方には中庭で盛大に懇親会を開催し、先輩学生や教員と交流
する場を設けております。(写真参照)
卒業というのは大きな区切りのひとつですから、卒業研究発表は、それまでの研究をまとめて整理し、
自分の研究成果を他の学生や教員にプレゼンテーションする重要な教育のひとつと位置付けられてい
ます。4年生はポスター発表、大学院修士卒業生はスライドを用いた口頭発表が行われます。年々発表
が上手になってきている理由のひとつは、発表優秀賞を設けるようになったのも理由のひとつと思われ
ます。この研究発表会には、学部の1年生や2年生も招待され先輩学生の研究内容を知る機会となり、
発表会後の懇親会では直接話しをすることもできます。
後援会からの援助金は、このような催しの一部(「バスハイク」「発表優秀賞」)に当てられておりま
す。ここに保護者の皆様からの御援助に感謝いたします。
白神山地へバスハイク、滝壷の前にて
ソフトボール大会(1 年生)
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生物資源学科オリエンテーション(ミニ白神とベンセ湿原)
生物資源学科長 齊藤 寛
生物資源学科では基礎ゼミナールの一環として鰺ヶ沢町のミニ白神とつがる市(旧木造町)のベンセ
湿原で自然観察会を行いました。6月14日9時,岩手・宮城内陸地震(8時43分)が発生したこと
に気づかずに,大学を出発しました。ミニ白神は白神山地に連なるブナを主とした自然林で,藩政時代
から伐採が禁止され現在に至っています。 また,ベンセ湿原は屏風山地区のベンセ沼周辺の湿原(標
高20m)で,ニッコウキスゲ,ノハナショウブ,カキツバタ等が群生することで知られています。
ミニ白神では2班に分かれ,それぞれガイドに案内され約1時間半で一周しました。自然にふれる機
会の少なかった学生が多く,ブナの巨木や植生の豊富さに驚かされたようです。また,ガイドの説明を
熱心に聞いていました。昼食後,ベンセ湿原にむかいました。ベンセ湿原ではニッコウキスゲとノハナ
ショウブが咲いていました。これらの植物を最初に見る学生がほとんどで群生している様に感嘆の声を
あげていました。感想文を書いてもらいましたが,皆満足したことが読みとれました。このオリエンテ
ーションの経費(ガイド料,昼食代)は後援会からの援助によるもので,後援会の皆様にお礼申し上げ
ます。
当学科は平成20年度から既存の学科から全く独立して編成されたため,2年次以上の学生はおりま
せん。基礎ゼミナールを担当した4名の教員がクラス担任となり,研究室に所属する(3年後期)まで
の間,それぞれ8名の学生の相談役を勤めます。各学期末に学生と面談し,学業,私生活についての相
談を受け,適切な指導,アドバイスをすることになっております。
ミニ白神でのオリエンテーション
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園芸農学科の「新入生歓迎会」と生物生産科学科の卒論・修論発表会
園芸農学科長(生物生産学科長を兼任)
荒川修
学科改組によって誕生した園芸農学科では今年から新入生を迎え、前期の基礎ゼミナールと後期
の園芸農学基礎演習を学科の教員が担当しました。4 月から始まった基礎ゼミナールは、学生が 6
つのグループに分かれ、各グループを担当する教員の指導を受けながら、自分たちで決めた課題に
ついて調査等を行い、最後にプレゼンテーションを行うものです。発表は 7 月 10 日と 17 日の 2 回
に分けて行われました。その後、7 月 17 日には「新入生歓迎会」を開催し、学科所属の教員と学生
が交流を深めることが出来ました。学生の負担を軽減するために、後援会からの補助を使わせて頂
きました。もちろんアルコールはありませんが、基礎ゼミで発表した内容などについて話が盛り上
がり、大変和やかな交流会となりました。その後、先生と一緒にカラオケに行ったグループもあっ
たようです。後期の園芸農学基礎演習では、基礎ゼミと同じように 7 人ずつのグループに分かれて、
各自がそれぞれ課題を決め、自ら調べてそれをレポートにまとめることを最終目標として取り組み
ました。この基礎演習の時間を利用して学外施設見学を行い、附属生物共生教育センターの藤崎農
場を見学しました。
後援会からの補助は、旧生物生産科学科における卒業研究および修士研究の優秀発表彰の副賞
(図書券)にも使わせて頂きました。優秀卒論には金澤展嗣、岡部有紀、渋谷充、秋元真理、斉藤
貴大,二瓶亜美,上田浩人の 7 名が、優秀修論には磯野清香,赫英紅,高谷了,山谷彩子の 4 名が
選ばれ、卒業式後の祝賀会の時に紹介されて副賞が手渡されました。
後援会からの援助に感謝します。
卒業研究発表会の様子
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地域環境工学科オリエンテ‐ション
地域環境工学科長
(地域資源科学長を兼任)
泉
完(まったし)
はじめに,後援会の学部支援事業につきまして心から感謝いたします。平成 20 年4月から学科改組
によりまして,従来の4学科体制から5学科体制へと移行し,2年生から4年生までは地域環境科学科,
1年生は地域環境工学科の在籍となっています。
後援会からの援助は,おもに21世紀教育科目の「基礎ゼミナ‐ル」の一環で実施される現地見学(オ
リエンテ‐ション)の必要経費とお弁当代,学部と大学院の成績優秀者への表彰など,有効に使わせて
いただいております。
地域環境工学科の新入生のオリエンテ‐ションは,今年度も昨年度学生から好評であった白神山地の
国土交通省津軽ダム工事事務所見学と西目屋村で運営している砂川学習館で実施しました。「基礎ゼミ
ナ‐ル」では3人の教員が1班当たり10人程度のクラスを担当しています。そして,白神山地,西目
屋村の暮らしとまたぎ,岩木川の水循環とダムなど班別に大きな研究テ‐マを選び,各個人でさらに自
主的個別テ‐マを設定し,オリエンテ‐ションを通してさらに内容を深めることにしています。
オリエンテ‐ションは6月5日に行われ,津軽ダムの概要について工事事務所担当者から説明を受け
ました。その後,砂川学習館でこの地域の歴史や文化を勉強し,白神山地に自生している森林の散策と
染め物・そば打ち・木工などの体験学習を行いました。その後,大学に戻り本学科教員との交流会を行
い,教員と新入生とのコミュニケ‐ションを図りました。基礎ゼミナ‐ルと交流会は,毎年,学科新入
生と教員との親交を深める良い機会となっております。
また,これらの体験を基礎ゼミの自主研究に活かしながら,各自がまとめたものを7月にプレゼンテ
‐ションしました。
当学科は,「創造性と深い洞察力を兼ね備え,自主的な問題解決や論理的な思考を行える人材を育て
ること」を教育理念としています。成長していく学生の姿を期待しつつ,今後とも本学部へのご支援を
よろしくお願い申し上げます。
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りんごの会とは
リンゴの会学生代表3年
工藤秀平
りんごの会とは藤崎農場からりんごの樹を借りて栽培体験を行うサークルで、今年で設立6年目
となります。農学生命科学部内サークルということでメンバーのほとんどは農学生命科学部生であ
り、現在は100名を超える大所帯となっています。
活動は主に土日に行い、春の摘花作業から秋の収穫まで、冬の作業を除けば1年間のほとんどの
作業を行っています。収穫したりんごは10月の文化祭で生食用としてや、アップルパイやクレー
プといった加工品にして販売します。昨年はどら焼きにも挑戦し、りんご形の焼印が好評でした。
今年はこれまでの活動に加え、他大学の農業系サークルが行っている勉強会や交流会へ積極的に
参加し、ネットワークを外に広げていきたいと考えています。これからも後援会の皆様から温かい
目で見守っていただけるとうれしく思います。
りんごの会の活動支援のお願い
顧問 生物資源学科(生物機能科学科) 石川隆二
りんごの会では農場を利用して学生が自主的に運営をしております。学生間の交流も行いながら、楽し
く勉強しており農学生命科学部の学部内サークルとして活動しています。農学生命科学部の後援会から
も援助を受けており、他学科の学生ともふれあうことができる縦にも横にも強いサークルになっていま
す。今後とも後援会からの活動支援をよろしくお願い申し上げます。
収穫祭にて
手作り製品を販売しています
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『中国の大学および農学事情の見学旅行』の事業報告
分子生命科学科
教授
菊池英明
2008 年 9 月 21 日から 27 日までの 7 日間、農学生命科学部国際交流委員会は学部後援会の援助を受け
て上記事業を行いました。2005 年に部局間協定を締結した中国農業大学農学・生物技術学院にて学生
間交流を実施するにあたり、 6 月に学生の募集を行って最終的に 4 名の学生が中国を訪問することにな
りました。7 月から数回にわたる事前学習会では、参加学生の訪問先の中国での研究調査テーマの設定、
中国農業大学の状況や組織を留学生から講演してもらって学習などを行い、中国訪問への準備を進めて
いきました。
本旅行一行は、学生引率と通訳の係りをお願いした園芸農学科張樹槐准教授、国際交流委員としての
私を含め、今回は 6 名でした。9 月 21 日早朝のバスで弘前を出発し、仙台空港から上海空港を経由し
て北京空港に当日の夜到着しました。空港には、李天忠教授と学生が出迎えてくれました。李教授には、
旅行のスケジュールの設定から案内までお世話いただきました。翌日は中国農業大学西キャンパスの本
部 3 階会議室にて Ni Lihong 国際交流委員長から中国農業大学全体の説明を受けた後、農学・生物技
術学院の劉慶昌副学院長、李志紅副書記、 他 1 名の教授から学院の説明、中国政府の農学への研究資
金の提供状況、遺伝子組換え作物の研究状況などの説明を受けました。その後、農大の学部学生のため
の学生実験室、温室などを見学、さらに李天忠先生の案内で 100 周年記念館、生物学院、農学・生物技
術学院を案内していただきました。3 日目は、大学院生2人(2008 年 10 月より弘前大学に留学中の羅
さんと白松齢さん)の案内で、市内観光(オリンピック公園見学、天安門広場,故宮博物館)を行いま
した。4 日目は李天忠、劉国傑先生の案内で、昌平区果樹研究所を訪問し、試験場の施設、圃場の見学
をしました。さらに、旧板柳町と友好関係を結んでいる中日友好観光示范果園を訪問し、張文和園長に
よる説明を受け、林檎育成技術の普及基地としての役割と、北京近郊の観光果樹園のモデルケースとし
ての役割の説明を受けました。5 日目は、北京市林業果樹研究所を訪問し、研究所実験室、圃場の見学
し、北京市の景観、環境改善の植林計画と、近郊農家の果樹の育種、桃の原種の保存栽培、苺の品種改
良研究、残留農薬検査などの説明を受けました。 6 日目は北京最後の滞在となるので、農大学生 4 名が
北京市内を案内してくれました。このころになると、弘大の学生も慣れてきて、中国語、英語を駆使し
てお互いコミュニケーションを積極的に取れるようになってきていたようです。9 月 28 日の早朝、ホ
テルを出発しその日の夜には全員無事に弘前まで帰ってくることができました。
訪問した学生は、各々高い問題意識を持って会見に臨み、学生からの積極的な質問に、対応してくれた
教員から専門的な質問に驚きの表情が読み取れる場面が何回かありました。郊外の果樹園への移動中で
も、農家の状況や圃場の様子などの観察、質問などからも、今回の視察旅行に対する積極的な姿勢が窺
われました。また、中国農業大学の学生との交流も活発であり、中国語、英語、日本語を交えた会話が
飛び交い、若者独自の心からの交友関係が築かれ、短期間に学生の意識が改革されたことを確信できま
した。中国訪問の報告会は、本学総合文化祭 10 月 25 日に行われました。学生による発表内容は、「中
国の農村風景に見る食糧生産の形態」、
「中国・北京市におけるリンゴ、ナシの流通事情」、
「中国の果樹
栽培技術の研究の状況」、
「中国におけるバイオテクノロジーの取組と現状」など、最近の日本の食糧事
情に由来する、中国の様々な食糧、農業問題からも興味深い内容の発表でした。学生のレポートからも、
今回の中国訪問がもたらした自分のなかでの変革を感じさせる文章が読み取れます。報告会での発表か
らも、何かを掴んだという意識と自信が感じられました。
すでに、中国農業大学からは留学生が本大学大学院で学んでおり、さらに 2008 年10月から3人の
農大学生が来日して本学部大学院で勉学を始めるなど、具体的な研究面での交流へと進みつつあり、本
学の学生にとっても教員の研究活動にとっても大きな効果をもたらしはじめており、『中国農業大学と
農業事情の見学旅行』は有意義な企画であったと思われます。
以上、本事業が大きな成果を挙げたことを報告いたします。そして、本事業に対して多大な援助をい
ただきましたことに御礼申し上げます。
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中国農業大学での学生国際交流補助
(後援会に加盟している学生に対して旅費の一部を補助しています)
交流会にて
天安門広場にて
保護者懇談会での後援会活動報告
学部懇談会での後援会からの報告を聞く保護者の方々
編集後記ならびに幹事からのお知らせ
農学生命科学部後援会では学生の勉学環境の向上のために支援を行ってきました.学生や教員などから
事業費の適切な支出のありかたなど幅広くご意見をいただいていくことにしております.お昼を食べる
場所としての中庭設備の充実や学生控え室の給湯器の配置などを積極的に進める予定です.今後ますま
すのご支援,ご意見を頂戴いただきますようお願い申し上げます.(幹事:石川隆二)
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