燃料/薪について

燃料/薪について
薪ストーブの燃料である薪作りはユーザーにとって最も大切な作業です。
良い薪作りは、快適な薪ストーブライフを獲得する上で必要不可欠です。
そして『薪ストーブライフは、薪作りに始まり薪作りに終わると私は訴え続けています。
其れ程燃料である薪作りは、快適薪ストーブライフを獲得する上で重要なファクターとなります。
(樹種)
★薪に適した木・・・広葉樹・・・・ナラ・ブナ・樫・楠・ケヤキなど
★薪に適さない木・・針葉樹・・・・檜・杉・銀杏・松・リンゴ・梨 など
★燃やしてはいけない燃料・・・・・紙(新聞紙、雑誌など)・ゴミ・建築廃材・ビニール・プラスチック
化学処理またはペイントされた木材など
薪は上記の通り広葉樹が適しています。針葉樹と比較した場合、熾き火燃焼の時間が長く維持されます。熾き火燃焼は遠赤外線を多く含んだ
安定した放熱を行います。この放熱は、人にとって最も心地良く感じる優しい熱です。
又針葉樹は樹脂分が多いため煤やクレオソートの発生が多くなり、煙突内部が汚れやすくなります。
これは煙突効果を著しく低下させる原因となり、逆流を引き起こすこともあります。
しかし針葉樹は着火性に優れているため、細割りされた最初の焚き付け用の薪として使うと、着火が円滑に行えます。
ストーブを使い易くするには、それぞれの薪の長所短所を理解した上で、適材適所に使い分けることが達人への第一歩です。
(薪の確保)
薪の確保は皆千差万別!
自分で立ち木から伐採して薪作りをする強者から、薪屋さんで乾燥薪を購入される人までそれぞれです。
自分で薪を確保する場合は、造園業者・森林組合・果樹園農家・山持ち主・製材所など、とにかく彼方こちら、誰にでも声をかけます。
又車で走っている時など伐採された木を見たら、迷わず声をかける!もしそこに誰もいなかったら、連絡先を書いた紙や名刺などを木に張っ
てくる。以外と後から連絡が入って来ます。
とにかく考えられることは全てやる!!これは薪集めの極意です!!
私は薪を取りに行くとき家族で出かけます。帰り温泉に入ったり、海の近くなら釣りや海水浴を楽しんで来たり、渓流が近くにあれば渓流釣
りやデイキャンプを楽しんだりします。
お弁当を持って行けば、ピクニック気分が楽しめます。家族皆が喜しめ、薪集めがとても楽しくなります。
また薪ストーブ仲間と一緒に出かけるのも、お互いに協力し合ったり情報交換などが出来、楽しく時間が過せます。
尚立ち木の伐採を行う時期は、落葉後が適しています。
木は冬の準備の為に葉を落とし冬眠に入ります。そのため年間で水を最も吸い上げていない時期なのです。
従って乾燥時間も自ずと短くなります。
また伐採には危険が伴うため、専門的な知識と技術が必要です。正しい伐採方法(労働災害防止協会チェンソー刈払い機講習会)を受講され
ることをお薦めします。チェンソーの取扱いに於いて大変役立ちます。
(玉切り)
玉切りはチェンソーを使って、丸太を使い易い長さにカットします。(写真参照)
TL社のストーブの場合33㎝が最も使い易い長さです。最高50㎝程の長さでも投入できますが、非常に使い辛いです。 薪の長さは投入で
きるギリギリの長さでなく、其れよりも短めにカットした方が使い易いです。
(チェンソー)
チェンソー作業は大変危険が伴う作業なので、安全に充分配慮して作業を行って下さい。
作業者の近くに立つことは非常に危険です。数名で作業を行う場合は、お互い両手を広げても当たらない位離れて作業をして下さい。作業者
が切り終わった時、片手でチェンソーを持つことがあります。其れまで身体の正面で作業していた状態から横へチェンソーが振られますの
で、近くにいるとソーチェンが当たることがあります。玉切りされた木を拾い上げようとして近寄った時に事故が起きやすいので、くれぐれ
も安全に配慮して作業を行って下さい。
<機種>
チェンソーは是非エンジンチェンソーを購入したい!!山の中など電気のない所でも使え、場所を選びません。薪が確保できる場所の多く
は、電気が使えません。
私のお気に入りメーカーは、コマツゼノア。愛用品はG3700P。(写真)バーの長さは40㎝。メンテナンスが行いやすく、長く愛用できる
機種のひとつです。
メーカーの選択は個人によって基準が違いますから、一概にどこのメーカーが最も良いとは言えません。
しかしゼノアの小型機種(40ccクラスまで)は、バランス(重心)・エンジンとチェンとのマッチングなど、均整が取れており、実際に使
用していく上で非常に使い易いメーカーと言えます。
大型の機種はハスクバーナが良いようですが、玉切りを行うだけならば大型チェンソーは必要ありません。
チェンソーは高価なものですが、ここは無理をしてでも良いチェンソーを購入することをお薦め致します。また専門店で購入することをお薦
めします。チェンソーについての知識や情報が豊富で、ユーザーにとって頼もしい存在となります。
又安価なものは、作業性が極めて悪く、振動が手に直に伝わって来ます。僅かな時間の作業でも手が痺れたり、疲労度が大きい為、仕事が捗
らないばかりか身体にも負担がかかります。 <ガイドバーの長さ>
推奨するガイドバーの長さは、40㎝です。太めの丸太でも一発でカットできますし、このサイズの長さまでなら取扱いも楽です。
長時間の使用でも疲れず、誰にでも使い易く、最も薪作りに適したガイドバーの長さだと思います。
またバーが短すぎるとバーの先が丸太の中に入り込みキックバックを起こしやすくなります。長過ぎる場合も本体が重くなり取扱い辛くなり
ます。体力に自信のない方にはお薦めできません。
最初40㎝のガイドバーが長すぎると感じたら、35センチの長さから初めてもいいです。慣れて来たら40㎝のガイドバーに変えることも
出来ます。(互換性があるか、購入前に専門店で確認して下さい。)
<チェンソーのアクセサリー>
付属工具の他に、ガソリン専用タンク・混合ガソリン専用タンク・目立てゲージ・丸ヤスリ・平ヤスリ・エンジンオイル(40:1又は50:
1)・チェンオイル・革のグローブ・防塵眼鏡・帽子・安全靴は必需品として是非用意しておきたい。(写真参照)
その他に誤ってソーチェンが身体に当たっても切れないような安全防護服なども売られています。詳しくは各メーカーのWEBSITEを参照す
るか、専門店に御尋ね下さい。
<混合ガソリン・エンジンオイル>
混合ガソリンは、チェンソーを使用する前に必要な量だけを混合ガソリンタンクを使って作ります。オイルは必ず40:1又は50:1のオイ
ルを使用して下さい。25:1の混合ガソリンは、キャブが詰まってエンジントラブルの原因になります。絶対に使用しないで下さい。
専用の混合ガソリンタンクは、タンクにガソリンとオイルの目盛りが、それぞれ刻まれています。
例えば40:1のオイルを使って2リッターの混合ガソリンを作るであれば、オイルの40:1用の目盛りの2の位置までオイルを入れ、次にガソ
リンの目盛りの2の位置までガソリンを入れます。(正確に計測して下さい。)(写真参照)50:1のオイルを使用の場合は、50:1用の目
盛りを使用します。共にタンクに目盛りが刻まれているので、誰にでも簡単に混合ガソリンを作ることが出来ます。
後はしっかり蓋がされていることを確認して、逆さまにしてお互いを混ぜ合わせます。
これで混合ガソリンの出来上がりです。作った混合ガソリンは長期間の保存は出来ませんので、使い切る様にして下さい。作ってからもし半
年以上経過した混合ガソリンは、ガソリンスタンドなどで適切な処理のもとに処分する様にして下さい。
古い混合ガソリンはエンジントラブルを引き起こしますので、絶対に使用しないで下さい。
<チェンオイル>
植物性の環境に優しいチェンオイルがお勧めです。
<チェンソーワーク>
使用に関しては、付属の取り扱い説明書を良く読み、正しくお使い下さい。自分勝手な使用は重大な事故を招きます。
安全上の注意以外で気をつけることは、丸太に土や泥がついてないことを確認して下さい。もし付いていたらワイヤーブラシなどで必ず取り
除いて下さい。そのままの状態で玉切り作業を行うと、すぐに刃が切れなくなります。
チェンソーは刃物です。刃物を土に当てては、当然刃が傷みます。ナイフと同じと思って下さい。チェンソーは、ナイフの刃が沢山付いてい
る刃物として、認識した方が良いでしょう。
切る時の立つ場所は、足元がしっかりしていること!足元が石などで不安定な状態ではいけません。
体に対してチェンソーの位置は正面より若干右側になりますが、気持ちとしては正面になるような感覚です。
そしてチェンの刃は良く研げている事。
後はチェンソーを木の上に乗せ、力を抜いてチェンソーの重みで切っていく感じです。力を抜くと言ってもチェンソー本体はしっかり持って
いなければなりません。
ちょうどバイオリン奏者が無駄な力を抜いてボウイングに最低限必要な力だけで手の重みを利用して弾くような感じに似ているかも?
そしてバーの手元に近いところを木に乗せることです。
時々力を入れてゴリゴリやっている人がいますが、これはまったく刃が切れていない証拠です。すぐに研いで下さい。
良く研がれている刃は、チェンソーを木の上に置いただけで勝手に切れていきます。
後チェンソーワークで危険なことは、刃の先で切ろうとした時になどに起こるキックバックです。
この時にソーが体に当たり大怪我をすることがあります。慣れないうちは刃先を使うことは避け、バーの手元で切るように心がけましょう。
(写真参照)
私がチェンソーワークで気を付けていることはザットこんなところです。
特に気を付けていることは刃の研ぎです。
常に刃が切れる状態を維持することが大切です。
刃を研ぐ時間を惜しまず、切れなくなったら直ちに研ぐ癖を付けてください。
チェンソーはあくまで刃物であると自覚しましょう。
ただの鎖ではありません。ただの鎖では切れません。
良く切れるチェンソーでの作業は疲労度がまるで違ってきます。
(メンテナンス)
<使用直後>
使用後は必ずガソリンを抜き、もう一度エンジンをかけてガス欠になるまでエンジンを回して下さい。
混合ガソリンが中に残っていると、エンジントラブルの原因になります。エンジンがかからなくなったり、回転を上げるとエンストしたり
することがあります。
使用後は必ずガス欠させた後、保管して下さい。
其れともう一つ、次使用する時の為に、目立てを行って下さい。
<目立て>
良く切れないソーチェンは作業性が極めて悪く、疲れるばかりです。また、チェンソー本体へダメージを与えかねません。刃を良く研ぎ、常
に良く切れる状態にしておきましょう。刃が切れなくなると、カッタの上部に垢が付きます。この垢が付いたら刃を研ぐ様にして下さい。
(写真参照)
刃の研ぎ方は説明書を良く読み正確な研ぎをマスターして下さい。
目立てゲージを使って行うと、簡単で正確な目立てが行えます。(写真参照)
尚カッタ部のみでなく、デプスゲージも付属の治具を使って平ヤスリで削って下さい。刃が短くなり、デプスゲージを削らず使用し続ける
と、刃の食い込みが悪くなり切れなくなります。
その他のメンテナンスは、取り扱い説明書を良く読んで行って下さい。
(薪割り)
チェンソーで玉切りされた丸太を、ストーブに投入するために適切な大きさに割って行く作業が薪割りです。
使う道具としては、与岐、丸太の台2個、革のグローブ、安全靴です。(写真参照)
日本製の与岐が私の愛用品。外国製のアックスもありますが、これらの道具は身体の大きな欧米人に使いこなせても、体格の比較的小さい日
本人には重すぎて使い辛いと思います。全体のバランスも、私には合っていないような気がします。やはり体格のいい欧米人向きに作られて
いる為でしょうか?
日本製の与岐であれば、私のような身長160センチの小柄な者でも、一日中振る事が出来ますし、全体のバランスが実に良く心地良く割れま
す。
柄は木で出来ているので、衝撃も幾分和らげてくれます。
軍手は手が滑り易く、また細かい棘が編み目に入り、手に棘が刺さり易いので、軍手の使用は避けましょう。
足下は安全靴で守りたいです。割った薪を運んでいるときに足の上に落としただけでも、怪我をします。
先ず大きめの丸太を2本並べます。(写真参照)
これは万一手元が狂って空振りした時など、与岐が自分の足に当たる事を防ぐ為です。この方法なら空振りしたとしても、手前の丸太に与岐
が当たるので、自分の足を与岐が直撃する事は避けられます。
そして割る薪は奥の丸太の上に置きますが、この時、木元(根元)を上にします。上下を木が立っていた状態と同じ状態において割ると、繊
維が絡んで剥がれが悪かったり、二股の木は割れません。二股はYの字に割れるように下から与岐を入れます。(写真参照)
比較的割り易い楢材であれば、大方はOKです。
木元と末口が分らない場合は、玉切りする時ならよくわかりますので、木口の角(木元側)をチェンソーで印を入れておくといいでしょう。
昔から先人の知恵の中に『木元竹先』と言って、木は木元から割り、竹は先から割るといいと言う教えがあります。この方が繊維に沿って割
れ易い事を昔の人たちはよく知っていたようです。
振り下ろす時は、与岐の自重を上手く利用して振り下ろします。
細い木は別ですが、一回で割れると気持ちがいいので、勢い良く振り下ろします。力の入れ方は、振り下ろす瞬間に力を入れること!
また太過ぎる木は一回では難しいので、辺材を剥ぐようにして割って行きます。
丸太の中心(随)は、固く割れにくいのでこのようにして割ります。何処か一箇所割れると後は比較的簡単に割れてくれるもんです。
それでも割れそうにない丸太は、予めチェンソーで縦にカットしておいてから与岐を使います。
割る時に注意したい事は、割られた薪が意外と遠くまで飛びます。写真のように広い場所で割りたいです。また小さな子供さんは、近寄らせ
ない様にして下さい。
また空振りした時、与岐が滑って横に流れる事があるので、近くに人を近づけないようにして、安全に充分気配りしながら作業を行って下さ
い。
私はこの方法で一日約3㎥から4㎥の薪を割っています。疲れますが、性格的に一気にやり終えたい性分なので、丸一日かけてパンパンやっ
ています。この後の温泉&ビールが一日の疲れを癒してくれます。
(薪棚)
薪棚は、風通しの良い場所に設置しましょう。日当たりが良ければ尚よろしい。日が当たらなくても風がよく通るところならOKです。
日当たりが良くても、風が通らないところはNG。
地下室やガレージのような風が通りにくい所は、薪棚を設置してはいけません。薪が乾燥しないからです。既に乾燥している薪であればOK
です。
又薪棚の床は地面から最低30㎝以上離して下さい。そして床や壁は板などの風が通りにくい素材で作らないこと。床は棒が2本通っていれ
ばOK! その上に橋を架ける様に積んでいきます。壁は薪が崩れない様に両サイドに1本又は2本の棒が立っていれば問題なし!
後はトタンで屋根を設けます。上からの雨対策が出来ていれば問題なし。横からの雨は薪の乾燥に悪影響を与えません。
ビニールシートで覆ってしまうことは絶対にしないで下さい。薪が腐ってしまいます。 青い空の薪棚
着火用細割り薪かご
(薪の乾燥1)
木材の乾燥は当初一気に進みます。表面は乾燥しているようでも内部はまだ乾燥していません。
内部までしっかり乾燥させるには2年という長い時間が必要です。
薪ストーブに適した薪の含水率は15%∼18%です。日本は湿度が高いので天然乾燥では18%∼20%の含水率が限界値です。従ってカラカラ
に乾燥されている状態。ただし完全に乾いた薪を室内に入れ、ストーブの近くで更に乾燥させる方法は好ましくありません。
何故ならば、乾燥しすぎてストーブに投入した時、一気に大量の可燃性ガスが発生し、酸素の供給量が不足し不完全燃焼を起こします。薪ス
トーブの燃焼に使われる酸素は、少量で燃焼される様に設計されているものが多い為です。
薪の乾燥は、割ることによって初めて乾燥が始まると認識するべきです。丸太の状態では乾燥が極めて遅くなります。例え細い丸太であって
も割って下さい。薪は導管に沿って裂かれ、そこから乾燥が進みます。
そして割られた薪は薪棚に積んで保管しますが、この保管の意味は乾燥させるという重要な意味があります。また乾燥させるには、ただ薪棚
に積み上げれば勝手に乾燥する訳ではありません。
適度なすき間(掌が入る程度)を作りながら樹皮を下にして積み上げて行きます。時々井桁にして積むと良いでしょう。一本一本の薪に風を
当てるような気持ちで積み上げることが、薪を乾燥させる為には極めて重要です。
薪は風で乾燥します。
薪屋さんで購入した薪は針金などで束ねてあることが多いですが、必ず解いて一本一本の薪に風を当てる様にして下さい。薪屋さんの乾燥薪
として販売されている薪でも、充分に乾燥していないことが多いです。
また一年で最も良く乾燥する時期は冬です。12月までに薪を割って冬を2シーズン超した薪は非常に良い燃料になります。冬の乾いた風が
薪に含まれている水分を取り去り拡散してくれる為、薪の乾燥に最も適しています。
ログハウスや日本古来の校倉造りの建物が、梅雨の湿度の高い時は湿気を吸い、冬の乾燥している時は水分を発散してくれ自然の保湿調整を
行ってくれることは良く知られていることです。
木材中の水分は冬に排出されます。そして其れを風で運び出し拡散することによって、薪は乾燥します。風がなければ折角排出された水分
が、再び薪の表面に付着しカビや腐敗の原因になります。時にはキノコが生えていることも・・・。
薪の乾燥に必要な条件は、冬に整っています。
ユザーの最も重要な仕事は、薪を充分乾燥させる事です!!!
再び私の格言集より。『薪ストーブライフは、薪作りに始まり薪作りに終わる』
充分に乾燥している薪とそうでない薪とは、燃え方・暖かさ・ガラスの汚れ・熾き火の燃焼・煙突の汚れ・煙の量・煤の量・クレオソートの
発生など全ての機種で全てが全く違います。
くどい様ですが、充分に薪が乾燥するように薪作りに精を出して下さい。このことは、極めて重要な事です。
(薪の乾燥2)
薪の乾燥には風が重要な働きをすることは(薪の乾燥1)で述べましたが、乾燥をより早める方法として水で乾燥させる方法があります。
木の木口を見ると、中心部は色が濃く、樹皮に近い所は色が薄いです。色の濃い部分を心材、薄い部分を辺材といいます。中心部は随といい
ます。実際に木が成長している所は辺材の部分で、水分を大量に含んでいます。心材の部分は木の成長が止まり、枯れている状態といえま
す。そのまま放置してしまうと腐りやすく、木が長く生きながらえていく上で不都合が生じます。そこで木は自分で腐りにくくする為に樹脂
分を蓄えて、長い時間を生き抜いていこうとします。中には1000年以上もの時間を生き続けます。
木が自分自身で身につけた、生き抜く為の知恵です。
しかしこの樹脂分は木を乾燥させていく上で非常に邪魔になります。
この樹脂分を短時間で抜く方法が水中で乾燥させる方法です。
水の中に木材を入れておくと木は水を吸います。其れと同時に樹脂分を排出していき、樹脂は水と入れ替わります。水に入れ替わった木材は
立てて置いておくだけで水が下に落ちていき乾燥が短時間で可能になります。木材中から水が抜けるだけでしたら簡単に早く抜けてしまいま
す。
この方法は昔から杣人の間で行われていました。昔は木材の搬出運搬は筏を組み川で下っていました。川の中に木材を浸けることによって乾
燥を早め、運搬と同時に乾燥もさせていたのです。この方法は木材の色つやも良くなり、木材としての価値も上がり一石三鳥というわけで
す。
先人達の知恵に脱帽です。
実際には水の中で乾燥させる方法は装置が大掛かりになり、非現実的です。しかし、雨に打たせることによって可能となります。
丸太の状態で半年程放置してから割ると、既に木材はかなり乾燥が進んでいます。ただし乾燥しすぎると、硬くなって割りにくくなります
が・・・。
割ってから雨に打たせることもありますが、お勧めは丸太の状態で雨に打たせ、割ったらすぐに薪棚で乾燥させる方法がいいでしょう。
(丸太の運び方­薪集め)
薪を持ち帰る時、現場でチェンソーが使えるのであれば、玉切りをしてから持ち帰ると良いです。何故ならその方が長いままよりトラックに
積むより、安定した状態で積載が可能となります。また正確な量も把握しやすくなります。
そして乱雑な積み方は、荷崩れの原因になるので絶対に避けること!!
正確な積載量の把握は、適切な薪の量を持ち帰ることが出来ます。無駄な手間をかけない意味でも有効です。
積み込まれた丸太(玉切り)は、ロープ又はベルト荷締め機などでしっかり固定すること!(写真参照)更にシートでしっかりと固定する
と、尚よろしい。
(シーズンアウト)
シーズンが終わりましたら、必ず薪の年間使用量をチェックして下さい。何故ならば次シーズンの薪確保の目安になるからです。
そして使用量の把握は、薪の節約に役立てることができます。また、薪集め・玉切り・薪割り・薪棚の設置(大きさ)など全ての作業が無駄
なく適切な量だけ行えます。薪の確保は、重労働です。その労力を節約する上でも大切です。
余った時間を、家族や自分の余暇のために使えます。
シーズンの終わりと共に薪棚を整理し、再来年の薪をすぐに確保することをお薦めします。
薪の乾燥には、2年の時間が必要であることを思い出して下さい。もし充分な保管場所があるのなら、再来年用の薪は、シーズン前に用意す
るといいでしょう。薪の乾燥は冬の乾いた風が、最も適していることを忘れないで下さい。
その他薪作りに関してご質問がある場合は、青い空まで御気軽にお尋ね下さい。
尚ここに記載されていることは、私が長年薪作りを行って来て会得したことに基ずいて書かれています。従って道具に関しては、個人の好
み、体力、使い心地は異なります。自分の体力や技量または環境に合った道具選びをして下さい。
ただ薪作りを全くの白紙からスタートされる場合、参考にしていただければと思います。御一読下さり有り難うございました。