新求道期間の道 規 約 - Cammino Neocatecumenale

新求道期間の道
規
約
[ 最 終 承 認 ]
2008年5月13日 聖霊降臨の大祝日
新求道期間の道の規約
目次
第一編:新求道期間の道の本質と実施
...................4
第1条:新求道期間の道の本質 ..................4
第2条:新求道期間の道の実施 ..................5
第3条:道の国際責任者チームの権限 ...............5
第4条:物的財産 ........................6
第二編:新求道期間 ............................7
第一章:新求道期間の基本的要素 ....................7
第5条:対象者 .........................7
第6条:新求道期間は小教区において実施される ..........7
第7条:新求道期間は小さな共同体において実施される .......8
第8条:入信のカテケージス、新求道期間の道程、三本柱、カテキスタ
チーム ........................ 8
第二章:入信のカテケージス .................... .9
第9条:ケリグマと祭儀
................... .9
第10条:新求道共同体の誕生 ................. 10
第三章:みことばと典礼と共同体 .................. 11
第1節:神のことば
....................... 11
第11条:毎週のみことばの祭儀 ................. 11
第2節:典礼 ................... .......12
第12 条 :復活徹夜祭
.....................12
第 13 条:感謝の祭儀
.....................13
第14 条:ゆるしの秘跡、祈り、典礼年、信心業
.........14
第3節:共同体 .........................14
第 15 条:共同体の特徴と集い
.................14
第 16 条:兄弟的一致の体験と共同体の実り ...........15
第 17 条:宣教入門 ......................15
第 18 条:司祭職への召命と養成 ................16
2
第四章:新求道期間の道程・期間・時期・段階
第19条:第一期間、予備求道期間の再発見
第20条:第二期間、求道期間の再発見
............17
............17
..............18
第21条:第三期間、選びの再発見
................20
第三編:信仰の継続養成:小教区刷新の道
................20
第22 条:小共同体における継続養成 ...............20
第 23 条:小教区刷新の道
第四編:洗礼求道期間
....................21
........................22
第24 条:求道者
........................22
第 25 条:新信者
........................23
第五編:カテケージス奉仕の方式
第26条:教区司教
....................24
.......................24
第 27 条:主任司祭及びその他の司祭たち
第28条:カテキスタ
.............24
......................25
第29条:カテキスタの養成
...................25
第30条:新求道期間教区センター
第31条:旅人カテキスタ
................26
....................27
第32条:旅人司祭
.......................27
第33条:宣教家族
.......................27
第六編:道の国際責任者チーム
.....................28
第34条:道の国際責任者チームの実体
..............28
第35条:道の国際責任者チームの選出
..............28
最終追加規定
............................29
3
新求道期間の道
規約
第一編
新求道期間の道の本質と実施
第1条
「新求道期間の道の本質」
1.
新求道期間の道の本質は教皇ヨハネ・パウロ二世の次の言葉に示されている。
「われわれの社会、またわれわれの時代において、新求道期間の道はカトリック養成
の道として有効なものであると私は認めます。」1
2.
新求道期間の道は教区において実施される、キリスト教入信と信仰の継続養成
の一つの方式として司教に提供されるものである。
3.
公の法人格を有する2新求道期間の道は次に掲げる精神的財産からなる3。
① 本規約第二編に定める「新求道期間」4あるいは洗礼後の求道期間5。
ヨハネ・パウロ二世、書簡「Ogniqualvolta」、1990 年 8 月 30 日:AAS82(1990)1515。
「教皇庁信徒評議会」、2004 年 10 月 28 日 (Prot. N. 1761/04 AIC-110)参照。
3
教会法、115 条 (3):財団法人は、すなわち自治基金会は、精神的もしくは物質的な財産又は事物から
成り立っている 参照。
4
「新求道期間―現代のための福音宣教とカテケージスの体験。その根本的思想」、ローマの新求道期間
センター発行。ローマ 1976 年(手書き)参照。
5
「初代教会時代に求道者が洗礼を受ける前に歩んだすべての段階を歩む求道期間的道程」、(「受洗後求
道期間」:Notitiae 95-95、1974、229 参照)(ヨハネ・パウロ二世、書簡「Ogniqualvolta」、1990 年 8
月 30 日:AAS82<1990>1514)
受洗後の求道期間は使徒聖座発行の次の書類に影響を受けて発生したものである。
•
典 礼 省 、「 成 人 の キ リ ス ト 教 入 信 式 」、 (Ordo initiationis christianae adultorum, editio
typica [Typis Polyglottis Vaticanis 1972])の 4 章によれば洗礼を受けた成人の回心と信仰の
成長を助けるためにも求道期間固有のカテケージスと儀式のふさわしい使用が勧められます。
•
パウロ六世、使徒的勧告「福音宣教」、44:「今日の状況からいって、信仰教育がますますいっそ
う切に、求道者教育の形式のもとに行われることが求められているということもあきらかで
す。」
•
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「要理教育」、44:「わたしたちの司牧的かつ宣教的配慮は、次
のような人たちに向けられています……キリスト教国―しかも社会学的にはキリスト教的環境―
に生まれたものの、一度も信仰教育を受けたことがなく、真の洗礼志願者の状態にある大人に関
心が向けられます。」
•
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「信徒の召命と使命」、61:「キリスト者の養成に大いに役立つ
のは……洗礼志願期に準じた形での洗礼後の信仰教育(カテケージス)もまた役立っています。
それは洗礼によって授かった驚くほど豊かな賜物と責任を十分に受け入れ、生きることを目的と
1
2
4
② 本規約第三編に定める信仰の継続養成。
③ 本規約第四編に定める洗礼求道期間。
④ 本規約第五編に定める方式に従い、同編に定める人たちが行うカテケージ
ス奉仕。
第2条
「新求道期間の道の実施」
教皇ヨハネ・パウロ二世は、自らの希望を次のように表明しておられる。「これは
司教職における兄弟方への私の切なる望みですが、どうか司祭たちとともに新しい福
音化を目指すこの働きを評価し、支持し、創始者たちの提案どおり実行されますよう
に。それぞれの地域の司教方への奉仕と心の一致のうちに部分教会で、全教会の一致
のためにお計らいください。」6 新求道期間の道は教区において実施される。
1.
教区司教の指導と管轄のもとで7、「道の国際責任者チーム」、また本規約第3
条7項に定められた国ごと責任者チームの先導8と補助のもとで実施される。
2.
本規約及び「カテキスタチームへの指針書」に記された「創始者たちの提案」
に従って実施される。
第3条
「道の国際責任者チームの権限」
本規約第六編に定める道の国際責任者チームの権限は次のとおり。
1.
本規約第1条3項に定める精神的財産を教区司教の管理下に置く。
2.
新求道期間の道の実施を指導し、その真正性を保持する。
して、成人のキリスト教入信式のいくつかの要素を再び示すものです。」
聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、1231 号「幼児洗礼はその本質から、洗礼後の求道
期が必須となります。これは、ただ洗礼後に教えを説くにとどまらず、子どもの成長に応じて洗
礼の恵みを開花させていく営みです。」
•
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」(Direttorio Generale per la Catechesi)、59:
「『洗礼志願期はすべてのカテケージスの手本である。この期間は特定の養成であり、これによ
って信仰に回心した大人は復活徹夜祭において洗礼の信仰告白までに導かれる。』洗礼志願期の
養成方式は他のすべてのカテケージスの目標と活性化の手本にならなければなりません。」;同上
91:「受洗後のカテケージスは洗礼志願期の方式と重複せず又、カテケージスを受ける人が洗礼
を授けられていることを認識しながらもキリスト教的生活への準備期間である洗礼志願期を手本
として、その特定の要素によって充実することがよい。」
6
ヨハネ・パウロ二世、書簡「Ogniqualvolta」、1990 年 8 月 30 日:AAS82(1990)1515。
7
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、223;教会法、775 条 1 項;東方カトリック教会の教会法、
617 条 参照。
8
直前の「指導」と「先導」によって異なった二つの役割を指し示す。「指導」とは叙階を受けた聖職者
の管轄を意味し、「先導」とは創始者たちの提案した指針による道についての専門的な知識を意味する。
•
5
3.
本規約が定めるその固有の任務を遂行する。
4.
道について適切なものと判断したことを相談する。
5.
教区司教との定期的な連絡を保つ。
6.
教皇が新求道期間の道を指導する責任を委任した9教皇庁信徒評議会と定期的な
連絡を保つ。また教皇庁の他の諸省とも、それぞれの権限の範囲内で定期的な連絡を
保ち、これらについて教皇庁信徒評議会に報告する。
7.
本規約第31条2項の定める国ごとの責任者チームを、また、必要に応じて地域ま
たは教区のチームを指名する。さらに、そのおのおのの範囲において上記の第2.3.4.5.
項に定められた任務を委託する。国際責任者チームが彼らの交替、または変更を適当
としない限り、これらのチームは前述の任務を果たす。
第4条
「物的財産」
1.
新求道期間の道は教区において無償奉仕するカトリック養成の道程である以上、
固有の財産を所有しない。
2.
教区において新求道期間の道が行う霊的試みや活動を経済的に支援する必要が
あると判断した場合、教区司教が道の国際責任者チームの要請に基づき本規約に従っ
て民法上の法人格を有する独立教区基金の設立を検討することができる。この基金は
新求道期間の道を歩む者、または他の法人や個人の寄付金によって成り立たせること
ができる。
3.
この共同体による募金はさまざまな必要に応じるために行われる。共同体の責
任者や道のそれぞれの責任者チームは、強い責任感と法遵守の精神をもってこの基金
の管理にあたらなければならない。
第二編
新求道期間
第一章
新求道期間の基本的要素
9 ヨハネ・パウロ二世、書簡、教皇庁信徒評議会議長ジェームズ・フランシス・スタンフォードへの手紙。
2001 年 4 月 5 日(「オッセルバトーレ・ロマーノ 2001 年 4 月 17-18 日、p.4)参照。
6
第5条
「対象者」
1.
新求道期間は受洗者が“成人のキリスト教入信”を再発見できるよう司教の務
めに奉仕する手段である。成人信者の主な人とは10、
①
教会から離れた人たち。
②
十分に福音宣教が届けられていない、またカテケージスを与えられていな
い人たち。
2.
③
信仰を深め成熟を望む人たち。
④
カトリック教会と完全な一致を有しない諸教派の人たち。
聖職者または修道者で、新求道期間をとおして洗礼の恵みを生かし、いっそう
自己の召命のカリスマを強めたいと望む人たち、また司教から、あるいは修道会上長11
から委任された職責をよりよく果たしたいと望む人たち。なお修道者の場合は修道院
長の承諾も必要である。
第6条
「新求道期間は小教区において実施される」
1.
新求道期間はキリスト教入信の道程である以上、原則として小教区で実施され
る。「小教区は信仰が誕生し成長する通常の場所であり」12、母であり教師である教会
が、洗礼の泉で神の子を身ごもり、新しい命にむけて自分の胎内で育む13絶好の場であ
る。
2.
キリスト教入信の司牧的配慮こそは小教区にとって最優先の務めであるので14、
新求道期間の実践は小教区共同体に対して主任司祭固有の役割(教会法典 第519条)と
調整させ15、他の司祭たちの協力を得てこの道を歩む者たちの司牧的配慮に尽力する16。
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、172 参照。
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「奉献生活」、56 参照。
12
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、257 参照。
13
同上 79 と 257;聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、169 と 507 参照。
14
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、91;同、64「入信のカテケージスは、このように、信仰
へ呼びかける宣教活動と、キリスト者の共同体を絶えず養う司牧活動とをつなぐために必要なものである。
従ってそれは選択自由な活動ではなく、基本的かつ根本的なものだ……これなしには、宣教活動は持続性
を欠き実らないものとなるであろう。また、司牧活動も根のないものとなり、表面的で混沌としたものと
なるであろう。何かが起こると建物全体が倒れてしまうことになる。」参照。
15
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、45;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、225 参照。
16
教会法、519 条:「主任司祭は、教区司教の権威のもとに、共同体の司牧を自己に委託されている小教
区固有の司牧者である。それは、司教の有するキリストの奉仕職の参与に召されたのであり、法律の規定
10
11
7
3.
新求道期間の道はそのメンバーに自分の小教区への成熟した自発的所属感を強
化するよう勧め、他の信者または小教区共同体に属する人たちとの深い一致と協力の
絆を固めるよう促す。
第7条
「新求道期間は小さな共同体において実施される」
1.
成人のキリスト教入信の最も望ましい一般的なかたちは共同体である17。従って
小教区の中で、新求道期間は小さな共同体において実施される。これは新求道共同体
と称せられる。
2.
新求道共同体の模範はナザレの聖家族である。それは人となったみことばがヨ
セフとマリアに従いながら大人になり、「知恵が増し、背丈も伸び神と人とに愛され
た」実際の場である18。新求道期間の道を歩む者も共同体の中で教会に従い、謙遜と素
朴さと賛美のうちに信仰において成長していく。
第8条
「入信のカテケージス、新求道期間の道程、三本柱、カテキスタチーム」
1.
新求道期間は入信のカテケージス(第二章参照)と新求道期間の道程からなる。
この道程はそれぞれの段階を含む予備求道期間、求道期間及び選びというキリスト教
入信の三期間を手本にして、各段階は固有の祭儀をもって締めくくる(第四章参照)19。
2.
入信のカテケージスと新求道期間の道程は、第二バチカン公会議が教えるキリ
スト教生活の三つの基本的要素(三本柱)、すなわち神のことばと典礼と共同体に基
づいている(第三章参照)。
3.
新求道期間の全道程の核心を占めるのは、ケリグマ的宣教と道徳的生活の刷新
に従って、他の司祭又は助祭の協力、及び信徒の助力のもとに、その共同体のため、教え、聖化し、治め
る任務を行う。」;東方カトリック教会の教会法、281 条 参照。
17
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、3;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、258、脚注
25:「信徒の召命と使命」、61 で(わたしたちは)ヨハネ・パウロ二世が、小教区内における、最も有能
な者を吸収するような活動ではなく、教会の小さな共同体の有益性を強調していることに着目すべきであ
る:「小教区の内部では…小さな教会共同体が、教会的交わりと教会の使命についてのより強い意識と体
験を与えることによってキリスト者の養成に大いに役立つことができます。」参照。
18
ルカ 2、52 参照。
19
新求道期間の決定的目標は、人々を各時期・各段階をとおして「イエス・キリストとの単なる接触では
なく、一致させること、親密な関係に置く」ことであり(聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、
80;典礼省、「成人のキリスト教入信式」、6 参照)、イエス・キリストこそ「信仰の創始者また完成者」
(ヘブライ人 12、2)である。
8
と典礼との統合である20。
4.
本規約第2条の定めにより、新求道期間は主任司祭との一致とその司牧的責任
のもとにあるカテキスタチーム(第五編参照)21によって実践される。
5.
このチームは入信のカテケージスをもって共同体が形成される受胎期間を発足
させ、新求道期間の全道程にわたって指導し、さらに定期的(年1回)な集いにおい
て、それぞれの期間と段階への移行に必要な指示を与える。
第二章
入信のカテケージス
第9条
「ケリグマと祭儀」
新求道期間の道は主任司祭の招きをもって小教区で始まる。「カテキスタチーム
への指針書」に収録されたケリグマ的カテケージス22(入信のカテケージス)に基づい
て行われる。それは2カ月間15回にわたる夜間集会とそれを締めくくる3日間の集
会からなり、その中でキリスト教生活の基礎となる神のことばと典礼と共同体の三本
柱が体験される。入信のカテケージスは三つに分けられる。
第一
回心の呼びかけであるケリグマの宣言。
つまり主キリストの死と復活の良い知らせ23、「そこで神は、宣教という愚
かな手段によって信じる者を救おうと、お考えになった」(1コリ1、21)が告
げられる。この「救いの言葉」24は回心と信仰への呼びかけであり25、自分の罪
深さを認めて、神のゆるしとその無償の愛を受け入れるよう招き、霊の力によ
るキリストにおける自分自身の変革に向けて歩むよう促される。数人の改悛者
による和解の祭儀での個別的告白とゆるしを伴う回心は、目に見えるゆるしの
ヨハネ・パウロ二世、「新求道期間の道、350人旅人カテキスタ」グループに対する談話(「オッセル
バトーレ・ロマーノ」1994 年 1 月 18 日)「あなた達の功績は、カトリック教会のカテキズムによってあ
らためて取り上げられた『成人のキリスト教入信式』(1231 参照)を洗礼後の信仰の歩みに適用すること
によって、『教会から遠ざかっていた人々』をも信仰に呼び戻すことのできる『ケリグマ的』宣教の伝統
を再発見したことにあります。このような信仰の歩みの中心には、宣教と道徳的生活の変革と典礼との間
の実り豊かな統合が見られます。」
21
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、156、230‐232;ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「要
理教育」、55;同、使徒的書簡 「救い主の使命」、71;教会法、211 条;東方カトリック教会の教会法、
14 条 参照。
22
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、62。参照。
23
ローマ 16、25;使徒 5、42;8、35;11、20;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、102 参照。
24
使徒 13、26。
25
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、53‐55。参照。
20
9
秘跡となる。頻繁なゆるしの秘跡は個人および共同体が回心の道をたどる歩み
を確かなものにする。
第二
救いの歴史(アブラハムや出エジプトなど)をとおして神が準備されたケリ
グマ。
みことばを聴き、また聖書を理解するための鍵が渡される。つまりイエス・
キリストにおいて全聖書が成就したこと、さらに各人の歴史をみことばの光の
もとに見つめることである26。この聖書入門は参加者が聖書の真正な解釈者で
ある司教の手から聖書を授かるみことばの祭儀をもって刻印される。この聖書
授与は母なる教会が今後、道を歩む者たちを毎週、カテケージスの生きた水源
であるみことばの食卓で養ってくれる保証である27。
第三
秘跡とコイノニア(一致の交わり)によるケリグマ。
カテケージスが最高潮に達するのは集いの中の感謝の祭儀の時である。十分
なカテケージスによって準備されたこの祭儀は第二バチカン公会議において強
調された主の復活の輝きを再発見させ、兄弟間の一致を体験するのを助ける。
確かに「キリスト教的共同体は聖体祭儀の挙行にその源泉と中心を置かなけれ
ば決して建設できない。従ってすべて共同体精神の育成はそこから出発すべき
である」28。感謝の祭儀の挙行は共同体の全道程から切り離すことはできない。
第10条
「新求道共同体の誕生」
1.
集いの最終日に新しい人間の姿を示す「山上の説教」が宣言され、新求道期間
の道程はキリストにおいて新たに生まれ、洗礼の再発見の道として提示される。
2.
入信のカテケージスにおいて行われた宣教と祭儀をとおして、聖霊は、年齢、
性別、性格、文化、社会的立場の違う人々が「洗礼によって授かった驚くほど豊かな
賜物と責任を十分に受け入れて生きることを目的として」29、回心の道程をともに歩み
始めるように招く。こうして彼らのうちに信仰とキリスト教的生活の漸進的成長と成
詩編 119、105。参照。
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「要理教育」、27;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、94。
参照。
28
第二バチカン公会議「司祭の役務と生活教令」、6。
29
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「信徒の召命と使命」、61;典礼省、「成人のキリスト教入信式」、295。
参照。
26
27
10
熟とが実現する30。集いの終わりに、洗礼後の求道期間の歩みの呼びかけを受け入れた
人たちによって新求道共同体がつくられる。
3.
新求道共同体は主任司祭またはその委任を受けた司祭(第27条)の司牧的配慮
のもとに置かれる。また、共同体は一人の信徒責任者と若干の副責任者を投票によっ
て選出する31 。彼らは主任司祭、及びカテキスタチームの承認を受けた後、本規約と
「カテキスタチームへの指針書」の定めに従って共同体の新求道期間の道を正確に歩
むように、司祭と協力して組織の確立を図る32。
4.
入信のカテケージスを終了したカテキスタチームは、共同体の祭儀を司式する
司祭また責任者チームにみことばの祭儀と感謝の祭儀、及び毎月の集いを準備するた
めのやり方を説明する(第11条の3項; 第13条の4項 参照)。さらにみことばの祭儀
に必要な聖書のテーマの選び方を教示する。
第三章
みことばと典礼と共同体
第1節
神のことば
第11条
「毎週のみことばの祭儀」
1.
各新求道共同体は毎週1回、みことばの祭儀を持つ33。それは新求道期間の道の
「カテキスタチームへの指針書」で、各段階ごとに定められたテーマに従って行われ、
原則として四つの朗読からなる34。
2.
みことばの祭儀において司祭はホミリアの前に参加者に向かって、宣言された
みことばが自分の人生、生活に対して何を語ったのかを率直に話すよう招く。ホミリ
アは新求道期間の歩みに重要な意味を有するが35、司祭は宣言された神のことばを押し
30
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、296
参照。
新求道期間の道の各期間の開始点において、「カテキスタチームへの指針書」に従って責任者と
副責任者はカテキスタチームの追認を受ける。それは主任司祭と共同体の司祭の同意のもとで行われる。
32
パウロ六世、使徒的勧告「福音を述べ伝える」、73 参照。
33
「司教儀式書」、221-226 参照。
34
一般的に第一朗読はトーラ(律法の書)又は旧約聖書の歴史書;第二は預言書と知恵の書;第三は使徒
書;第四は福音書からである。
35
聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、132 参照。
31
11
広げ36、教会の教えに照らして解釈し37、新求道期間の道を歩む者に現在化する。
3.
各みことばの祭儀は、共同体に属するグループが順番に注意深く準備にあたる。
司祭が彼らを助けることもある。彼らは、朗読箇所と聖歌38を選択し、祭儀執行の場と
用具を調える。祭儀の荘厳さと美しさにも配慮する39。
4.
「教会の知恵と心をもって」40聖書を深く悟るために新求道期間の道を歩む者は、
特に教父たちと教会公文書、なかでも「カトリック教会のカテキズム」及び種々の霊
的著作を用いる41。
第2節
典礼
第12条
12条
「復活徹夜祭」
1.
キリスト教的生活のかなめ、源泉ともいうべきものは主の復活の神秘であり、
それは聖なる三日間の典礼42において盛大に祝われ、その輝きは全典礼年を照らす43。
従って新求道期間がキリスト教入信の再発見を目指しているものである以上、聖なる
三日間の典礼はこの道の基軸をなす。
2.
「キリスト教典礼の中心である復活徹夜祭とその洗礼の霊性はカテケージス全
体にいのちを吹き込む。」44従って新求道期間の道を歩む者は、その祝祭に完全に参加
し、その道程にとって聖なる夜が意味するものを徐々に教えられる45。
同上、1154 参照。
教皇庁聖書委員会、「教会における聖書の解釈」、III、B、3:「司教の協力者として、司祭たちには第一
の義務として御言葉の宣教がある(司祭の役務と生活教令、4参照)。司祭は聖書の解釈のための特別な
カリスマを授かっており、常に自己の知識ではなく神のことばを教え、福音の永遠の真理を具体的な生活
環境に当てはめて説かねばならない。(同令)」参照。
38
新求道期間の道では、神のことばとキリスト教的・ユダヤ教的伝統からつくられた賛歌を用いる。これ
らの賛歌は各期間・各段階の内容を強調するものである。
39
「ローマミサ典礼書の総則」、288 参照。
40
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「要理教育」、27;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、127
参照。
41
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、128、96 参照。
42
「ローマミサ典礼書」、「主の公現の祭日における復活徹夜祭への呼びかけ『全典礼年の中心は、十字架
に付けられ、葬られ、復活された主の聖なる三日間です』。」参照。
43
聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、1168 参照。
44
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、91;同、「洗礼求道期間はキリストの過越の神秘に完全
に強く結ばれている。従って『入信はその全過程において、その過越の性格を明らかに表すべきである』
(成人のキリスト教入信式、8)」;同、59 参照。
45
今日においても、多くの新求道期間を歩む者はこの世から来た人々、教会から離れた人々であり、秘跡
への段階的な入門を必要とする。それはヨハネ・パウロ二世が「秘跡の学びの場」と呼んだ秘跡について
36
37
12
3.
このようにして新求道共同体は小教区全体が復活徹夜祭をよりよく祝うことを
促進する46
第13条
「感謝の祭儀」
1.
感謝の祭儀は新求道期間にとって欠くことのできない最重要のものである。そ
れは小さな共同体で体験される洗礼後の求道期間だからである47。事実、感謝の祭儀は
キリスト教入信を完成させるものである48。
2.
新求道期間の道を歩む者は主日の感謝の祭儀を小さな共同体で日曜日の前晩の
祈りの後で祝う。感謝の祭儀は教区司教の指示のもとで執り行われる。新求道共同体
の土曜日の感謝の祭儀は小教区の日曜日の典礼司牧に属し、他の信者の参加にも開放
されている。
3.
小さな共同体の感謝の祭儀はローマ典礼様式のために承認された典礼書に従っ
て執り行われる。ただし使徒聖座によって明確に認可された例外を別とする49。聖体拝
領は両形態で行われ、新求道共同体の者はその席に残ったまま起立していただく。
4.
小さな共同体の感謝の祭儀は司祭の指導のもとで、新求道共同体からの小グループ
によって準備される。朗読の短い導入、パンとぶどう酒と花などを準備し、典礼的なしる
しや祈り、そして尊厳を保つことに気を配る。
第14条
「ゆるしの秘跡、祈り、典礼年、信心業」
の指導が求められている。それにおいて受洗後にこの手ほどきを受けていない者は、復活徹夜祭の輝きを
少しずつ発見することが可能となる。(カルロ・ボイティワ、「キリストが我々を使うために。20 世紀の
求道期間」Znack、Cracovia34 号、1952 年、402‐413 参照)。
46
典礼省、「Paschalis sollemnitatis」書簡、39‐42、77‐96 参照。
47
ヨハネ・パウロ二世、書簡「Ogniqualvolta」、1990 年 8 月 30 日:AAS82(1990)1515「福音の宣言、
小さな共同体での分かち合い、及びグループごとに祝われる感謝の祭儀(新求道期間の道を歩むグループ
が祝う祭儀についての公示。オッセルバトーレ・ロマーノ 1988,12,24 参照。)、これがこのメンバーた
ちに教会刷新への奉仕を可能ならしめているものです。」参照;同、「新求道期間の道、350人の旅人カ
テキスタグループに対する談話」(「オッセルバトーレ・ロマーノ」1994 年 1 月 18 日)「これらのこと全
ては、『神のことばを深く味わうことと聖体祭儀へ参加することによって……教会の中に生きている細胞
をつくり、徹底的な信仰の生き方をもって真理を証しすることができるまでに成熟したキリスト者の存在
を通して、小教区に新たな活力を与えている』小さな共同体の中で実現されました(1993 年 4 月 12 日に
ウイーンにおけるヨーロッパ司教会議への教皇メッセージ)。」
48
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、36、368 参照。
49
ベ ネ テ ィ ク ト 十 六 世 : 「 新 求 道 期 間 の 道 の 共 同 体 へ の 談 話 (2006 年 1 月 12 日 ) 」 Notitiae
41<2005>554-556 参照。;典礼省、「2005 年 12 月 1 日の書簡」Notitiae 41 <2005>563-565;「新求道共同
体の祭儀に対する典礼省の告示」(オッセルバトーレ・ロマーノ 1988 年 12 月 24 日)、「典礼省は、『特別
のグループのためのミサ指針』(Istruzione Actio Pastoralis, 6-11)に従い『道』のグループが種なし
パンである限り両形態で聖体拝領でき、共同祈願の後に試みとして平和の挨拶をすることを認可する。」
13
1. 「ゆるしの秘跡はキリスト教的生活の向上に著しく貢献する。」50新求道期間の道
を歩む者は、信仰の道程において個別告白と赦免によるゆるしの秘跡に他の人たちと
定期的にあずかる。また、一人だけでもゆるしの秘跡に近づく。それ以外に個人的な
和解の祭儀にも積極的にあずかるよう勧められる。
2.
新求道期間の道を歩む者は典礼的祈りや個人的な祈りの手ほどきを少しずつ受
ける51。両親は子どもたちに信仰を伝える52ため主日の「朝の祈り」を含む家庭祝祭を
行う53。子どもたちは小教区で初聖体と堅信の秘跡を授かる準備をし、13歳以降は新求
道期間の道に加わるよう勧められる。
3.
教会は「キリストの全神秘を祝う」54典礼年の要理的かつ霊的富を少しずつ悟ら
せるよう指導する。そのためカテキスタは待降節、四旬節、復活節の直前に心の準備
のカテケ-ジスを与える。
4.
夜間聖体礼拝、ロザリオの祈り、カトリックの伝統的な他のいろいろの信心業、
ミサ以外の聖体礼拝に対して新求道期間を歩む者は適時に指導を受ける。
第3節
共同体
第15条
「共同体の特徴と集い」
1.
共同体生活による教育はキリスト教入信の基本的努力の一つである55。新求道
期間の道は小さな共同体をつくることによって段階的かつ正常に育っていく。この小
さな共同体は小教区のいのちに、また全教会のいのちともつながっている。
2.
それぞれの小共同体の毎月の集いの日は、この教育の大事な機会である。この
集いでは「朝の祈り」に続いて各自が日々の生活のなかで体験する神のめぐみを自由
に述べあい、一方、自分の遭遇する困難について良心の自由の範囲内で打ち明ける。
このようにして各人の歴史における神の働きを見ることによって、お互いを知り、理
解し、相互の励ましを少しずつ促進できるようになる。
第二バチカン公会議、「司教の司牧任務教令」、30;東方カトリック教会の教会法、718‐736 条 参照。
本規約、第 20 条 1 項と 3 項 参照。
52
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、226‐227、255;教会法、774 条 2 項;東方カトリック
教会の教会法、618 条 参照。
53
「聖務日課の総則」、27 参照。
54
「典礼暦年の一般原則」、17;東方カトリック教会の教会法、619 条 参照。
55
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、86 参照。
50
51
14
3.
共同体は新求道期間を歩む者に、回心と信仰の深まりの必要を感じさせる。隣
人たちのお互いの違いや欠点、弱さをそのまま受け入れることの難しさを体験させて
共同体に対する誤った理想像を捨て、兄弟的一致(コイノニア)が聖霊の業であるこ
とを了解させる56。
第16条
第16条
「兄弟的一致の体験と共同体の実り」
1.
新求道期間を歩む者が信仰において成長していくにつれて、兄弟的一致の実り
が現れ始める。裁かないこと、悪に逆らわないこと、ゆるし、敵を愛することなど57、
また困窮者の援助、苦しんでいる人、高齢者への心遣い、「カテキスタチームへの指
針書」が挙げている福音宣教者へのできる限りの支援などでも、兄弟的一致は外に現
れる。新求道期間を歩む者は、一致と相互扶助の精神を少しずつ深めていく。
2.
このようにして十字架に示された神の愛58、完全な一致59のいろいろなしるしを
表す共同体が小教区の中に徐々に形づくられる。これをもって彼らは信仰から離れた
人たちを呼び戻し、非キリスト者には福音の告知を受け入れる準備をさせる。
3.
従って新求道期間の道は小教区において世の光・パン種となり60復活したキリス
トの見えるからだとして61、人々の前に輝き、救いの象徴的秘跡62となるという教会の
使命を少しずつ実現する最良の道具となる。
第17条
「宣教入門」
1.
「カテケージスはキリスト者が共同体で生活し教会のいのちと使命に能動的に参
加するのを助ける。」63新求道期間の道を歩む者は「社会の中でキリスト者として現存
し」64、また「それぞれの召命に従って教会のさまざまの奉仕をする」65よう招かれる。
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、253「キリスト教共同体は兄弟的一致(コイノニア)の
恵みの歴史的実現であり、霊の結ぶ実である。」参照。
57
ルカ 6、27‐37;マタイ 5、38‐48 参照。
58
ヨハネ 13、34‐35「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを
愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたが
わたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」参照。
59
ヨハネ 17、21「父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内にいるように、すべての人
を一つにしてください。彼らもわたしたちの内にいるようにしてください。そうすれば、世は、あなたが
わたしをお遣わしになったことを、信じるようになります」 参照。
60
マタイ 5、13‐16;13、33 参照。
61
第二バチカン公会議、「教会憲章」、7‐8 参照。
62
同上、48;第二バチカン公会議、「現代世界憲章」、45 参照。
63
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、86。
64
同上。
56
15
2.
新求道期間の道を歩む者はなによりも存在そのものによって66「教会の宣教活動
と建設に進んで協力する」67。つまりキリスト者としての召命を真実に歩みたいとの決
意は他者に対しては力強い証となり、ほとんど埋没しているキリスト教的価値を再発
見したいとの意欲を駆り立てる。
3.
道の歩みがある期間継続されたとき68、各共同体は投票によって、カテキスタの
任務を受け持つ幾人かの兄弟たちを選出する。彼らは信仰に生き道徳的生活をし、新
求道共同体の道と教会生活に参加し、その歩みをとおしていただいた恵みに対して感
謝の心をもって証を立てられる人の中から選ばれる。彼らが選任を受け入れ、共同体
を指導する主任司祭とカテキスタから事前に同意が得られるならば、共同体の司祭と
責任者とともに、カテキスタチームを結成して、主任司祭及び教区司教の要請があれ
ば自己の小教区、または他の小教区や教区において新しい共同体に福音を告げる任務
にあたる69。カテキスタになった人は適切な養成を受ける(第 29 条 参照)。
4.
新求道期間の道を歩む者は小教区と教区の宣教司牧活動に協力する。「使徒信条
の返還(Redditio Symboli)」70の前に希望者は自分の信仰の成熟度を判断して、自発
的に協力を申し出る。なお新求道期間の道を歩む者はキリスト教入信の欠かせない部
分として、各自の召命に応じて教会のさまざまな奉仕に参加する。
第18条
「司祭職への召命と養成」
1.
新求道期間の道はカテケージスのそれぞれの道程がそうであるように、「司祭職
への召命を促進する手段であり、修道生活、使徒的活動のいろいろな形をもつ神への
特殊な奉仕への手段であり、さらに各人の心に特別な宣教的召命を燃え立たせる手段
でもある」71。
2.
この道は、また司祭職を志す者のキリスト教的養成のために司教を援助するも
のでもある。
同上;教会法、210 条;東方カトリック教会の教会法、13 条 参照。
パウロ六世、「一般謁見」(1974 年 5 月 8 日) Notitiae No.95-96 <1974>、230 ページ「あなたたちの
目標は、キリスト者の召命をふさわしく生きることであり、同時に他者への一つの効果的な証となること
です。あなたがたの使徒職は、キリスト者としての生き方をもってキリスト教的な真の、効果的な価値観
を再発見して外に表すことです。その証がなければそのような価値観は日常生活の中に現れないままに眠
ってしまい、全く薄められてしまうでしょう。」
67
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、19、4。
68
原則として洗礼後求道期間の第二段階の後。
69
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、268。
70
本規約、第 20 条 2 項 参照。
71
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、86。
65
66
16
3.
教区立国際宣教神学院「レデンプトーリス・マーテル」は道の国際責任者チー
ムとの合意の上で司教によって設立され、教区司祭としての、養成と入籍のためには72
教 会 法 の 現 行 規 定 と 自 ら の 規 約 、 さ ら に Ratio Fundamentalis Institutionis
Sacerdotalis(司祭養成基本方針)を守る73。
司祭志願者は神学院での新求道期間への参加によって、養成の特別な基礎的核心を
発見すると同時に、「司祭団の兄弟的交わりの中で、……神の民全体に仕えるという
司祭としての真の選択を準備する」74。
4.
道の国際責任者チームの推薦に基づいて司教が教区立国際宣教神学院「レデン
プトーリス・マーテル」の院長、他の長上、および養成担当者を任命する。院長は司
教の名において、司教との緊密な協力のもと、神学生の学業・養成課程を監督し司祭
志願者の適性を識別する。
第四章
新求道期間の道程・期間・時期・段階
第19条
「第一期間、予備求道期間の再発見」
1.
新求道期間の第一期間は予備求道期間である。それはケノシス(深い謙遜)75の
ときであり、へりくだることを学ぶときである76。それには二つの時期がある。
① 第一時期は、約2年間、初期カテケージスから最初の段階の調べまでであり、
新求道期間の道を歩む者はこの間に毎週のみことばの祭儀においては、全聖
書の主要なテーマ、例えば水、岩、子羊、などに親しみながら聖書の言語を
学ぶ。こうして神のことばと典礼と共同体によって新求道期間の道を歩む者
が、自己および神に対する誤った考えを捨て、自分の罪深さをありのままに
認め、罪をゆるし、愛してくださるキリストの無償の愛について悟るのを助
ける。
第一段階の結びの儀式の中で、まず各自が名前を記入の後、永遠のいのち
72
73
74
75
76
教会法、232‐272 条;東方カトリック教会の教会法、331 – 366 参照。
教育省、「司祭養成基本方針」1985 年 3 月 19 日、20‐101 号 参照。
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「現代の司祭養成」、68 号。
フィリピ 2、7 参照。
ミカ 6、8 参照。
17
の行いの実を結ぶために信仰が成熟するよう教会に願う77 。彼らは、生活の
中で遭遇する十字架が救いを与えるものであり、そのことを現すキリストの
栄光の十字架のしるしを受ける。
② 第二時期は、ほぼ同じ長さで行われるが、新求道期間の道を歩む者はアブラ
ハムやエジプト脱出、荒れ野や約束の地など、救いの歴史における重要な出
来事を祝い、さらにみことばの光のもとに、イエス・キリストに従って行く
という自分の決意について調べを行う78 。「あなたがたは神と富とに仕える
ことはできない。」(マタイ6、24)
受洗後の新求道期間の第二段階の結びの儀式において、新求道期間の道を
歩む者は、教会の面前で、悪魔を退ける約束を更新して神にのみ仕える決意
を表明する。続いてキリストの光に照らして、アダムとエバ、カインとアベ
ル、ノアなど、聖書に登場する主な人物について学び、祝う。
2.
「成人のキリスト教入信式」を手本にしたこれらの調べは新求道期間の道を歩
む者の回心を助ける。その場合、本人の良心の自由を尊重し、教会法79に従う。
第20条
「第二期間、求道期間の再発見」
新求道期間の第二期間は新しい人間の内面的素朴さを勝ち取るための霊的戦いのと
き80である。新しい人間とは神を唯一の神とし心を尽くし、魂を尽くし、全力を尽くし
て愛し、隣人を自分のように愛する者である81。神のことばと典礼と共同体に支えられ
て新求道期間の道を歩む者は、悪魔の誘惑と戦う試練を受ける。誘惑とは生活の安定
や十字架のつまずき、世の偶像の魅惑である82。教会は三つの時期にわたって必要な武
器を彼らに渡し、助ける。
1.
「キリスト者の新しい生活のための霊的戦いは祈りの戦いと切り離せない」83、
これは神との親密な交わりに導く。新求道期間の道を歩む者は典礼的祈りや個人的祈
1ヨハネ 3、14‐15;エフェソ 2、10 参照。
ルカ 14、25‐33 参照。
79
教会法、220 条;東方カトリック教会の教会法、23 条 参照。
80
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、20「新求道期間の長さは、神の恩恵や種々の事情によってことな
る…従って、前もって何も決めることはできない。」参照。
81
マルコ 12、30‐31;申命記 6、4‐5 参照。
82
マタイ 4、1‐11 参照。
83
聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、2725;東方教会省、「東方教会法典上の典礼規定の適用上
規則」(1996 年 1 月 6 日)、95‐99 参照。
77
78
18
り、さらには夜間の祈りを再発見する84。これは祈りについての福音書のカテケージス
と聖務日課の本を授与する祭儀にまで高まっていく。この時から各自は「朝の祈り」
(Laudes)や「読書課」を唱えて一日を始め、黙想や心の祈りを実行する時間的余裕
を持つように心がける。
彼らは小グループで詩編の調べを行い、聖なる読書(Lectio divina)、あるいは聖
書の調べ(Scrutatio Scripturae)を熱心に実行し85、「神のことばを読み、黙想する
中で祈りの中に入り込んでいく」86。「聖書を知らないことはキリストを知らないこと
だからである。」87
2.
次に、新求道期間の道を歩む者に聖書と信仰の要約である88使徒信条(Credo)
を再授与される(Traditio
Symboliの再発見)。この時から彼らは二人ずつ組んで小
教区(地区)内の家庭を訪問して教会の信仰を宣べ伝えるために派遣される。なお自
らも使徒信条の各条項を学び、黙想する。そして四旬節の間には適切な祭儀の中で使
徒信条を宣言することをとおして自分の信仰を告白する(Redditio Symboliの再発
見)。
3.
典礼的・黙想的祈りの教育は「主の祈り」についてのカテケージスと、福音書
全体の要約ともいうべき「主の祈り」89の再授与式でその頂点に達する。さらに待降節
と四旬節の週日に、彼らは仕事に出かける前に小教区に集まり、「朝の祈り」と「読
書課」と黙想的な祈りのひとときを持つ。
この道を歩む者は小さなものとなり90、父なる神への子どものような信頼に生き、母
マリアと教会に守られ、ペトロの後継者と司教に対する忠実を身につける。従って
「主の祈り」の授与の前にマリアを母として受け入れる91ため聖母巡礼に詣でる。なお
ペトロの墳墓の前で信仰を宣言し、教皇への従順を表明する。
この時期中には「主の祈り」のそれぞれの願いや「教会の母」「新しいエバ」「契
約の箱」などの聖母マリアに関するテーマを研究する。
「聖務日課の総則」、10、57‐58、72 参照。
ヨハネ 5、39 参照。
86
聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、1177;教皇庁聖書委員会、「カトリック教会における聖書
の解釈」IV、C、2 参照。
87
聖ヒエロニモ、「イザヤ書解説、序文」;第二バチカン公会議、「啓示憲章」、25。参照。;聖職者省、「カ
トリック教会のカテキズム」、133。
88
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、85。
89
同上;聖職者省、「カトリック教会のカテキズム」、2761 参照。
90
マタイ 18、4 参照。
91
ヨハネ 19、26‐27 参照。
84
85
19
第21条
「第三期間、選びの再発見」
1.
新求道期間の第三期間は、「全求道期間のかなめ」92ともいえる選びの再発見で
ある。これは「信仰の光を注がれて」93賛美のうちに歩むことを彼らは学ぶ。言い換え
れば自分たちの生活を聖性の典礼とすることによって、歴史の場で、神のお望みを識
別し実践することである。彼らは「山上の説教」を自分たちのうちに具現することを
学び祝う。
2.
新求道期間の道を歩む者は、キリストの模範に従って94悪に逆らわず、敵を愛す
る人間、なお弱さを持ちながらも「山上の説教」に示された新しい人間95になったこと
が明らかになったとき、司教司式の復活徹夜祭において、洗礼の約束を荘厳に更新し、
自分の洗礼を想起させる白衣を身にまとう。
3.
復活節の50日間に彼らは毎日盛大に感謝の祭儀を挙行し、主の婚礼のしるしに、
聖地巡礼を行う。その時キリストが人として生活されたそれぞれの場所を、新求道期
間の道程での体験と重ね合わせる。
4.
選びの再発見の儀をもって、新求道期間は完了する。
第三編
信仰の継続養成:小教区刷新の道
第22条
「小共同体における継続養成」
1.
新求道共同体はキリスト教入信の再発見の道程を完了した後、信仰の継続養成
の過程に移っていく。それは毎週のみことばの祭儀、主日の感謝の祭儀、兄弟的交わ
り、小教区共同体による司牧活動への積極的な参加である。こうして彼らは愛96と一致
97
のしるしを示し、周りの人を信仰に導く。
「信仰の継続養成は『カテケージスのための一般指針』によると各キリスト者、ま
た聖性の道をともに歩く仲間ばかりでなく、神と兄弟たちに対する愛の内的生活、及
92
93
94
95
96
97
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、23。
同上、24。
1 ペトロ 2、21 参照。
マタイ 5、39‐45 参照。
ヨハネ 13、34‐35 参照。
ヨハネ 17、21 参照。
20
び宣教共同体として世界に開かれることによって成熟の道を深めることである。イエ
スは(御父に向かって)『父よ、あなたがわたしの内におられ、わたしがあなたの内に
いるように、すべての人を一つにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたし
をお遣わしになったことを、信じるようになります。』(ヨハネ 17、 21)と繰り返し
嘆願しておられる。終わりにこの理想に近づくためには共同体の中に働いておられる
聖霊に対する真の忠実を保ち、主のからだと血によっていつも養われること、さらに
みことばを聴くことをとおして信仰の継続養成がなされることが必要である。」98
2.
こうして新求道期間の道は、教会が求める信仰の継続養成の道程を推進する上
で司教に奉仕する手段となる。「カテケージスのための一般指針」が重視するキリス
ト教入信は「絶えざる回心の道程の終着点ではない。受洗の時の信仰宣言は霊的建物
の基礎であって」99、イエス・キリストに結ばれて強固なものに築き上げられ、全生涯
にわたって継続する回心の推進力となる100。
第23条
「小教区刷新の道」
1.
新求道共同体の道は教会教導権が望んでいる小教区の刷新に貢献する。そのた
めに「小教区共同体の一極集中化を避けた組織づくりによって」101、「新しい方法と構
造」を推進し、小教区内の匿名性と群衆化の弱点を克服して小教区が「複数の共同体
を抱えた一つの共同体」102となることを目指している103。
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、70。
同上、56。
100
同上、69‐72 参照。
101
ヨハネ・パウロ二世、「オンタリオの司教団への談話」(「オッセルバトーレ・ロマーノ」1999 年 5 月 5
日)、「我々の教会共同体が社会の匿名性に埋没するのをゆるしてはならない。人々の間に橋を造るための
新たな方法や構造を発見すべきであり、それによってキリスト教的兄弟愛が有する相互受容と親近感との
体験が真に実現されるためである。もしかするとこの体験とそれに付随するカテケージスは、より小さな
共同体でよりよく実現されるのかもしれない。それは以下のシノドス後の勧告で指摘されているとおりで
ある。『小教区、特に大都市の小教区が必要としている革新的道は、小教区を諸共同体からなる一つの共
同体として認識することによって発見できるのではないか。』(ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告 『アメ
リカにおける教会』、 41)」 参照。
ヨハネ・パウロ二世、「聖マリア・ゴレッティ小教区への訪問」1988 年 1 月 31 日(「オッセルバトー
レ・ロマーノ」1988 年 2 月 1‐2 日)「これはある意味では、新求道期間の経験に基づいて小教区を建て
直す方法だろうと思う。…その本質は小教区と変わらないものだ。」
ヨハネ・パウロ二世、「1993 年 4 月 12 日、ウイーンでのヨーロッパ司教たちへのメッセージ」、「(こ
のような共同体は)教会の中に生きている細胞を形成し、徹底的に生き抜かれた信仰によって真理を証し
することができるまでに成熟したキリスト者の存在を通して、小教区に新たな活力を与えている。」
102
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「アメリカにおける教会」、41「小教区、特に大都市の小教区が必要
としている革新的道は、小教区を諸共同体からなる一つの共同体として認識することによって発見できる
のではないか。」
103
ヨハネ・パウロ二世、使徒的勧告「救い主の使命」、51。
98
99
21
2.
新求道期間の歩みの間、共同体を指導してきたカテキスタチームは洗礼におけ
る代母、代父のように104宣教と継続養成のために今後も必要とされる。
第四編
洗礼求道期間
第24条
「求道者」
1. 新求道期間の道は未受洗者のキリスト教入信のために司教に奉仕する手段であ
る。
2. 教会法に従って求道期を歩む者105が、各自の準備状態に応じて入信のカテケー
ジスと新求道期間の道程の第一期間に加入することは、入信儀式書の要求するとこ
ろと合致する。具体的には、
① 求道者のキリスト教入信は「信者の共同体の中で段階的に進められる。
信者は入信する人々とともに過越の神秘を思い、回心に努め、その模範
によって彼らが心から聖霊に従うように助けなければならない」106。
② 「成人入信式は、神の民を代表する地域教会に深くかかわりのあること
であるから、信者は皆そのことを理解し積極的に協力しなければならな
い。キリストのすべての弟子は、求道期前の期間、求道期、洗礼準備期、
入信の秘跡後の導きの期間、つまり入信の全過程にわたって入信する人
を助けなければならない。」107
③ 「神の助けのもとに初期の信仰と回心が起こる……最初の福音宣教のと
き」をおろそかにしてはならない。予備求道期も同様「キリストに従い
洗礼を願う真摯な望みが深まる」108ために不可欠である。
④ 求道者が求道期に進むには「信仰と回心の芽生え……神を求めて祈り始
教会法、872、892 条;東方カトリック教会の教会法、684-685 条 参照。
教会法、206、788、852 条 1 項、865 条 1 項、1183 条 1 項;東方カトリック教会の教会法 9、30、587、
588 条 参照。
106
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、4。
107
同上、41。
108
同上、9‐11。
104
105
22
めること、最初の共同体体験、キリスト教的生活に触れること」109が求め
られる。
⑤ 「このときから求道者は教会の特別の配慮のもとに置かれ、子どもとし
て教会と結ばれてキリストの家族となる。」「事実彼らは教会からみこ
とばの食べ物を受け、典礼の助けをもって支えられる。」110「彼らのため
にみことばの祭儀を行うことは有益であり、また信者とともに、主日の
典礼の出席へ次第に進んでいく。こうして将来洗礼によって祭司の民に
加えられ、キリストの新しい礼拝にあずかる準備が行われる。」111
⑥ 「彼ら(求道者)は信者の典礼的集いに参加する場合、感謝の祭儀が始
まる前に丁寧に退出させられる。」112
新求道期間の場合、これは特別の
祝福をもってなされ113 、求道者はそのあと「カトリック教会のカテキズ
ム」からの「適切なカテケージス」を授けられる。それは「教義や掟の
みならず、救いの神秘への深い悟りにまで求道者を導くものである」114。
⑦ 「求道者も福音宣教と教会共同体の建設に積極的に協力しなければなら
ない。」115
3.
洗礼の準備を終え、洗礼を復活徹夜祭の夜に行うためには「成人のキリスト教
入信式」に規定されたことに従う。
第25条
「新信者」
1.
求道者の準備期間が終わると、主任司祭の同意と教区司教への必要な報告の上
で116、彼らはキリスト教入信の秘跡(洗礼、堅信、聖体)を受ける117。これによって
彼らは完全に教会に加えられる。
2.
希望すれば、それまで求道者として歩んできた新求道共同体の生活に参加でき、
新求道期間の残りの道程を歩む。「福音の黙想、感謝の祭儀への参加、隣人愛の実践
などによって、いっそう深く主の過越の神秘を味わい、日常生活の中でそれを表すよ
109
110
111
112
113
114
115
116
117
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、15。
同上、18;教会法、206 条;東方カトリック教会の教会法、9 条 参照。
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、19、3。
同上。
同上、119‐124 参照。
同上、19、1。
同上、19、4。
教会法、863 条 参照。
同上、866 条;東方カトリック教会の教会法、695、697 条 参照。
23
うになる。」118キリスト教生活の最初の数年に起こりうるさまざまな困難を乗り越え
るために、新信者にとってこれはきわめて強力な助けとなる。
第五編
カテケージス奉仕の方式
第26条
「教区司教」
教区司教は部分教会におけるキリスト教入信・養成・生活の責任者として119以下の
権限を有する。
1.
教区に新求道期間の道の実践を許可すること。
2.
新求道期間の実践が本規約第1条と第2条の定めに従って展開され、かつ教会の教
えと規定を遵守して行われるよう監督すること。
3.
新求道期間の道を行う小教区で、その司牧がふさわしく継続するように配慮す
ること。
4.
新求道期間の道に区切りをつける祭儀を、自らまたは代理者によって司式する
こと。
5.
本規約第3条に定める道の国際責任者チームとの対話の場を設け、教区内での
道の開始や展開に関して新しく提起される件について解決を探ること。
6.
本規約第 30 条に定める新求道期間教区センターと教皇庁の諸評議会(特に典礼
及び要理教育)との間の、実りある協力関係を確立すること。
第27条
「主任司祭及びその他の司祭たち」
1. 主任司祭及びその他の司祭たちは、本規約第5条2項と第6条2項の定めに従い、
新求道期間の道を歩む者の司牧的配慮に努め(教会法、第519条参照)、「頭であるキリ
ストの名において」神のことばを告げる司祭的奉仕、秘跡の施行、小教区内の第一及
び他の新求道共同体の祭儀をできる限り司式する。
典礼省、「成人のキリスト教入信式」、37。
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、222‐223
総説、12、序、44、66。
118
119
参照;典礼省、「成人のキリスト教入信式」、
24
2. なお主任司祭及びその他の司祭たちは、
① 教区司教の名において本規約第1条と第2条に従い、教会の規律と教えを遵
守して新求道期間の道が実践されるよう監督する。
② 本規約第8条4項と5項が定めるカテキスタチームの任務を、十分に実行で
きるように援助する。
③ 現代人むけ福音宣教にとってキリスト教入信の司牧が不可欠のものであるこ
とにかんがみ、小教区の諸々の司牧手段の一つとして新求道期間の道を推進
する。
第28条
「カテキスタ」
1.
カテキスタチームは本規約第17条3項の定めに従い、数人の信徒と一人の司祭に
よって構成される。
2.
本規約120または「カテキスタチームへの指針書」に定めるとおり、カテキスタ
チームは、
① 主任司祭の要請を受けて入信のカテケージスを行い、それによって信仰
の受胎期が始まり、そのなかで共同体が形成されていく。
② 年に1度定期的に集まって新求道期間の道程のそれぞれの段階を指導し、
各時期と段階の継続に必要な指示を与える。
③ 道を歩む者一人ひとりとそれぞれの共同体の成長ぶり、段階への移行の
適性について識別を下す重要な役目を果たす。
④ カテキスタによる調べにおいては、新求道期間の道を歩む者の内面に対
して、各人の生活の道徳的側面には最大の尊敬を払わなければならない。
3.信徒カテキスタはその使命を果たす上で主任司祭及び共同体担当の他の司祭と協
力し、叙階された奉仕者固有の、治め、教え、聖化する任務を助ける。
第29条
「カテキスタの養成」
「カテケージスのための一般指針」に従い、カテキスタはイエスが弟子たちを宣教に
派遣したとき指示された福音宣教の姿勢を身につけなければならない。
彼らは失われた羊を見つけ、宣教し、いやすと同時に、金も旅行袋も持たず、貧し
120
本規約、17 条 3 項、31 条
参照。
25
い者となり、人から歓迎もされず、迫害に耐えることを知り、御父と聖霊の助けに信
頼し、御国のために働く喜び以外の報いを期待しないこと121、このようにして彼らは
申し分ない準備を調えなければならない。
1.
彼らの養成の基は新求道期間の道への参加である。そこで信仰と証の漸進的成
長が保証される122。さらに聖書、教父学、神学の素養を深め、教会教導権から与えら
れる諸文書にも通暁しなければならない。
2.
彼ら自身が受け123、そして体験したみことばを忠実に伝達できるように準備す
ること。入信のカテケージスや新求道期間のそれぞれの段階が開かれるとき(先輩)
カテキスタに同行し経験を積むこと。
3.
カテキスタは道の国際責任者チーム、またそれから委任されたチームが指導す
るカテキスタの集いや種々の集会に参加して養成を深める。この集会で、教会の教え
の根本テーマが取り上げられる。
4.
次項に定める新求道期間教区センターのカテキスタ養成集会に参加する。
5.
最後に彼らはできる限り司祭とともに新求道期間の各カテケージス・各段階を
準備する。そこでは祈りの雰囲気の中で、聖書、「カトリック教会のカテキズム」、
「カテキスタチームへの指針書」、自分のカテキスタから耳で聴いた「救いの言葉」
(使徒言行録13、26)を自分のうちに生かす。
第30条
「新求道期間教区センター」
1.
教区における新求道期間の道の発展と充実に伴い、その必要性が生じた場合、
この道を開いてきたカテキスタチームは司教の同意が得られれば、新求道期間教区セ
ンターを設立し管理する。同センターは司教もしくはその代理者、主任司祭、及び共
同体の責任者の集いを推進する。
2.
同センターの目的はカテキスタの養成、新しいカテケージスの割り当て、各段
階の調節、宣教上のさまざまな困難に直面するカテキスタの援助、司教もしくはその
代理者に新しく生まれた共同体の責任者を紹介することなどである。
第31条
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、86;マタイ 10、5‐42;ルカ 10、1‐20 参照。
聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、246、247「カテキスタたちの信仰がまだ成熟していな
いときには、彼らも求道期間の道に参加するのが望ましい。」参照。
123
1 コリント 15、1‐11 参照;聖職者省、「カテケージスのための一般指針」、235‐236。
121
122
26
「旅人カテキスタ」
1.
遠隔地の司教区の要請にこたえるためのカテキスタの集いにおいて(本規約第29条
3項参照)参加者に、旅人としてどこにでも派遣されるよう呼びかけがある。神の召し出
しを感じた者は、それに応じる旨を表明する。
2.
道の国際責任者チームは特別の集いで旅人カテキスタチームを結成する。それ
は原則として司祭1名、夫婦1組、独身男性1名、もしくは司祭1名、独身男性1名、
独身女性1名で構成される。チームは遠隔地の司教区で新求道期間の道の発足に着手
する。
3.
集いは回心の日をもって始まり、道の国際責任者チーム、またはその委任を受
けた者が、主の模範に従って旅人たちの適性を確かめる。主が弟子たちを宣教に送り
出し、またあるときには彼らをとおして働かれた聖霊の力ある業について語るのを聴
くため人里離れたところにお集めになったその例に従って、拡張と収縮(つまり派遣
と集合)のダイナミズムを繰り返す124。
4.
旅人カテキスタは自分の所属する小教区や共同体との連携を保ち、定期的に自
分のもとの共同体に参加するために戻ってくる。さらに新求道期間の道の30年以上の
経験により、旅人カテキスタは不安定な条件のもとで自分の使命を生きることを受託
したので、派遣先の司教と道の国際責任者チームに届けた上でそれをいつでも中断す
る自由を有する。
第32条
「旅人司祭」
教区司祭、修道会や使徒的生活の会員が旅人司祭になるには、所定の様式による所
属司教また所属修道会長上の公式の許可を得なければならない。裁治権者は彼らを迎
える司教との合意の上で滞在期間を決定し、定期的に彼らの活動報告を受け、旅人と
しての彼らの司牧上の物的・霊的状況が法に適うものであるよう保証する。
第33条
「宣教家族」
1. 新求道期間の発足においては宣教家族の援助を受けることもある。宣教家族は
124
ルカ 10、1‐24
参照。
27
司祭の要請を受けて非キリスト教地域、あるいは「教会の移植」を必要とする地域に
移り住む。
2. 宣教家族は道の国際責任者チームから指名されるが、それにあたって主への強い信
頼、教会の必要、家族の側からの障害のないことを熟慮した上で、いずこの地への派遣に
も応じるとの自由意思を持つ宣教志願の家族の中から選ばれる。通常彼らはふさわしい祭
儀のなかで自分の司教から派遣される。
3.
宣教家族は自分の本来の小教区や共同体とのつながりを保ち続け、定期的に自分の
共同体の道に参加するために帰ることができる。また彼らは不安定な条件のもとで、定期
的に自己の共同体に助けられて、自分の使命を生きることを受託したので、随時活動を中
止する自由を保持する。
第六編
道の国際責任者チーム
第34条
「道の国際責任者チームの実体」
1.
道の国際責任者チームは現在では、新求道期間の道の創始者キコ・アルグェヨ
氏(彼はその総責任者でもある)と、カルメン・エルナンデス氏、及びローマ教区司
祭マリオ・ペッツィ神父から構成され、全員終身である。
2.
前項に挙げた2名の創始者の1名が死亡した場合、他の1名が国際責任者チームの
責任者として留任し、司祭の意見を求めた上で国際責任者チームの欠員補充の手続き
を行う。司祭が死亡または引退した場合には、創始者たちは他の司祭を選び、教皇庁
信徒評議会に届け出る。
3.
両創始者が死亡した場合には、次条に定める規定に従い、道の国際責任者チー
ムの選出の手続きが取られる。
第35条
「道の国際責任者チームの選出」
1.
道の国際責任者チームの選出は、前項のチームによって選ばれた80ないし120名
の選挙権を有する者の団体に委任される。彼らは終身であるが、重大な理由がある場
合は、道の国際責任者チームが代替を行うこともある。
このチームは5年ごとに、死亡、辞任その他何らかの重大な事由による選挙団の欠
28
員の補充手続きを取る。選挙団員の名簿は教皇庁信徒評議会に保存される。
2.
道の国際責任者チームの選出は以下の方法で行われる。
①
道の国際責任者チームは、その任期が切れる1カ月前に選挙団を招集す
る。死亡の場合は上述名簿の第1位を占めるものが選挙団を招集する。
② 選挙団はその3分の2以上の定足数に達すると、最初の集会で3名を選
び投票調査役、及び選挙にかかわる他の事務の役目を委任する。選挙団
は出席者と出席者が推薦する道の他のカテキスタから教会法119条125に従
って国際責任者チームを選出する。まず信徒であるチームの総責任者
(既婚、独身を問わず)の選出を行う。続いて他の責任者を選出する。
③ 投票が終了したとき、チームの構成は司祭1名、夫婦1組、独身男性1
名、または司祭1名、独身男性1名、独身女性1名でなければならない。
④ チームの責任者は、法に基づき、チーム選出の承認を教皇庁信徒評議会
に申請する126。承認されない場合、選挙をやり直す。
3. 道の国際責任者チームは7年間の任期で、再任され得る。再選ごとに責任者は教
皇庁信徒評議会の承認を求める。
4. 総国際責任者が任期中に死亡した場合、チームは本条1項、2項に従い、全員の
再選挙を行う。他の責任者の死亡においては同じ規約に従ってその欠員の選出のみを
行う。
最終追加規定
本規約のいかなる変更も、教皇庁信徒評議会の認可を必要とする。その申し出は、
前もって選挙団との事前諮問を経た上で、道の国際責任者チームが行うものとする。
125
126
東方カトリック教会の教会法、924 条
教会法、179 条 参照。
参照。
29