スウェーデン王国 シェレフテオ市訪問記

スウェーデン王国 シェレフテオ市訪問記
秩父市長
交流展覧会「シルク&ウール – 布の文化」
『スウェーデン王国シェレフテオ市での秩父銘仙の展示』
埼玉県の伝統的手工芸品に指定されてい
る「秩父銘仙」の展覧会を、スウェーデ
ン北部のシェレフテオ市において開催し
ました。これは、2007 年に締結した秩父
市とシェレフテオ市との産業交流協定に
基づき、「織物」をテーマとした展覧会
を相互に開催し、両市の文化の理解促進
と産業振興を図るものです。秩父地域の
絹織物「秩父銘仙」と、スウェーデンの
伝統的な毛織物「Vadmal(ヴァドマール)」
に関する品物を同時に展示し、併せて製品販売
も行います。このような秩父銘仙の展覧会を海
外で開催するのは、初めての試みとなります。
会場のシェレフテオ市博物館では、大正〜昭和
初期の銘仙着物 12 点、型紙、デザイン原画を
展示するほか、居座り機(いざりばた)による
機織りや、繭から糸にする「糸引き」の工程を
久喜
邦康
実演いたしました。概要は下記の通りです。
・概要
主催:秩父市、シェレフテオ市
後援:在スウェーデン日本大使館
事業名:交流展覧会「シルク&ウール – 布の文化」
(Siden & ull-tygkultur)
開催期間:平成 24 年 8 月 19 日(日)〜9 月 30 日(日)
開会式典参加者: 秩父市長、織物業者3名(寺内織物・寺内秀夫氏、新啓織物・新井教央
氏、石塚工房・北村久美子氏)、秩父市産業観光部企業支援センター金田幸宏主幹の計
5名の公式訪問団が渡航しました。
※ちちぶ銘仙館においても平成 24 年 11 月 2 日(金)〜12 月 4 日(火)の日程で同展覧
会を開催します。
ヴァドマールとは・・
スウェーデンで 1900 年代ころまで一般的な衣服などに利用されていた毛織物です。現
在でもスウェーデン軍の制服や狩猟用の防寒服などに使われています。通常の毛織物の工
程で織った後、圧力を加えて生地を収縮させて厚みを出すことにより、フェルトのような
風合いになります。耐水・耐火性があり機能的な素材で、現在では、雑貨などの手工芸品
の素材としても用いられております。
平成 21 年 11 月 2 日から 8 日まで木材とバイオマス関係の視察依頼 3 年ぶりの訪問で
した。街の様子も余り変わらないようでした。ただ、前回は 11 月で寒く暗い風景でした
が、今回は8月であり、緯度の関係で暗くなるのが午後 9 時過ぎごろでした。そのため、
さんさんと太陽の輝く一日を満喫し、日の光の長さでこんなにも違う風景なのかと思い、
改めて太陽の有難さを実感できました。前回の訪問でも書きましたが、シェレフテオ市の
概要は、スウェーデン王国ヴェステルボッテン県にある中核都市で、人口は約 72,000 人
、市域は 7,217 平方キロメートルです。銅や鉄鉱石、金などを産出する鉱山があり、鉱業
が盛んです。また、郊外に広がる針葉樹林の森林資源を生かした林業、製材業なども盛ん
です。近年では IT 産業も活発化しております。秩父市の木質バイオマス発電施設をヴェ
ステルボッテン県知事が視察に訪れたことをきっかけに交流が始まり、2007 年3月に産
業連携協定を締結いたしました。
このような事をもとにして、以下に、訪問日に従い、ブログを書いてみます。
【8月 16 日(木) 日本からストックホルムまでの移動】
5 時 30 分に秩父を発って 11 時ちょうどの成田空港発フィンランド航空 AY074 便にて
ヘルシンキに向かいました。飛行時間は約 10 時間で現地時間 15:15 ヘルシンキのヴァン
ター空港に到着しました。その後、16:00 ヘルシンキヴァンター空港からフィンランド航
空 AY637 便に搭乗し、約 45 分の飛行時間で 16:55 ストックホルムのアーランダ空港に
到着しました。日本から約 11 時間の飛行機の旅でしたが、機内は余り揺れず、充実した
読書の時間を過ごすことができました。空港からは通訳の矢作ルンドベリ智恵子氏の出迎
えを受け、市内へ移動し、市庁舎、大聖堂、デザインショップなど市内視察を行いました
。旧市街地 Gamla-stan のある Hotel へチェックインしたのち、ストックホルムを見渡せ
る丘の上の Hermans レストランで遅い夕食をとりました。ストックホルムは 3 年前に訪
れた時と変わらず、湾には豪華客船が出入りし歴史と現代が見事に同居した首都です。明
日はいよいよシェレフテオへの移動です。
【8月 17 日(金)シェレフテオ市到着】
朝 8 時前にホテルを出発してヴァーサ号博物館に伺いました。ここは前回訪問した時
と合わせて 3 回目の視察となります。ヴァーサ号はスウェーデンが強力な力を誇ってい
たグスタフ・アドルフ 2 世の治世に建造されました。全長 62m、高さ 50m、排水量 1300
トン、乗組員 432 人で 17 世紀の軍艦としては最大級でした。ドイツ 30 年戦争に参戦す
るため 1628 年8月 10 日に王宮近くの埠頭から処女航海に出たところ突然突風に襲われ
、ストックホルム港内にいる間にあっけなく水深 32m の海底に沈没してしまいました。
設計ミスか大砲の積み過ぎか未だ原因不明です。1961 年に引き上げられるまで 333 年間
海中に沈んだままでしたので、95%は原型を留めたままに復元され、船壁には数百の彫
刻が見事に施され見る者を飽きさせません。何度見ても圧巻でした。
ストックホルムのアーランダ空港から 11 時 20 分発スカンジナビア航空 SK1014 でい
よいよシェレフテオに向かいました。12 時 30 分にシェレフテオ空港に到着し、空港で
市執行委員長(市長)、議長、学芸員の方々に出迎えていただきました。市役所庁舎前のホ
テルで昼食の後、エルヴスバッカ橋を視察しました。この橋は、シェレフテオ川に架か
る木橋で、全長 130m、総工費 2 億弱の市費で建築され、約 8 か月の工期で完成されまし
た。揺れないことを心がけており、完成後も橋の揺れを検出し続けているとのことです
。今後、80 年間持ち堪える設計で、飛び跳ねても確かに全く揺れがありませんでした。
地域性を優先し歩行者とバイク、自転車の専用橋でした。橋の上では、両側の閑静な住
宅街と眼下の豊かな水をたたえたシェレフテオ川からの心地よい風が、旅の疲れを忘れ
させるひと時でした。ルレオ工科大学は、シェレフテオ市の中心市街地にあり、1976 年
に創立 、教授が 9 人おり、1 万 6 千人の学生が全国から集まってきています。大学をご
紹介いただいたトーマス氏からは、木材の研究と活用でスウェーデン国内ではトップレ
ベルの大学であり、木材の乾燥における研究では世界有数とのこと。概して、研究部門
が 55%、学術部門が 45%で企業と共同研究を主体的に行い、30 社以上に上る企業からの
出資で運営されるなど産官学連携を主体としているとのことです。他に、人体に使う CT
スキャンを木材に応用し、如何に効率良く切り出せるか、集成材における断裂の原因究
明を行う施設をご案内していただきました。 一旦、市庁舎近くの Malmia ホテルに帰り
、18 時半より市の執行部の方々から市庁舎隣のホテルで歓迎レセプションを催していた
だきました。日本から持参したプレゼントを贈呈し、しばし歓談に花を咲かせました。
明日は、シェレフテオ博物館で展覧会の設営準備を行い、いよいよ明後日からの秩父銘
仙展示会の本番に備えます。写真は、市で建設した木橋と、3 年前の訪問では建設中であ
りました日本人の設計による耐震性の高い建物です。
【8月 18 日(土)シェレフテオ博物館で展覧会準備】
シェレフテオでは、今日も空が晴れ渡り、気持ちの良い一日でした。今回の訪問団の
メンバーは、(株)寺内織物の寺内さん、新啓織物の新井さん、石塚工房の北村さんと
市職員です。4 人は、朝から会場設営準備で展示会場のシェレフテオ博物館へ向かい、私
は資料整理を行っていました。午後には、会場の設営の状況を見てまいりましたが、皆
さんに頑張っていただき、まさにミニ秩父銘仙館をシェレフテオに再現した感があり、
明日が楽しみになりました。夕方には、以前秩父市を訪問していただいた剣道家の御宅(
マグヌスさん宅)を訪問いたしました。日本通の方で、武士道に精進され、ご自身で自宅
を改造して、室内日本庭園を造られたり、和室には数々の日本酒や秩父が世界に誇るイ
チローズモルトウイスキーなどなどが並べられ、壁には、刀、槍、弓、弓矢が飾られて
いました。横浜駐在の地元の友人や地元剣道家「神武館」の仲間が駆けつけ、日本から
遠く離れた異郷の地で日本古来の伝統武術に言葉の花を咲かせました。シェレフテオの
町の中心にこのような方がお住まいで、20 年以上、毎日「神武館」で剣道の稽古をつけ
られていることに、たいへんビックリしました。
写真は、まる一日かけて行った会場
設営準備とシェレフテオの教会です。前回のときは、薄暗いなかで光に映し出されてい
ましたが、今回はさんさんと光輝く太陽のもと、花々に囲まれまさに「北欧の教会」と
言った様相でした。
【8月 19 日(日)秩父銘仙の展示会】
肌寒い日でしたが、多くの来場者を迎えて、シェレフテオ博物館で、秩父銘仙の展覧
会を開催することができました。会場では、空輸した数々の秩父銘仙が所狭しと並べら
れ、銘仙が出来るまでの過程を紹介するコーナーや繭玉から紡いで糸にして、さらにい
ざり機による銘仙の手織り実演をご覧いただきました。セレモニーでは、私から、以下
のご挨拶をいたしました。
『多くのご来賓の出席のもとで、この展覧会「シルク&ウール〜布の文化」が開会で
きますことを光栄に思います。皆様もご存知のとおり、昨年3月には日本で大きな地震
がありました。日本での出来事に世界中の人々が関心を向けました。秩父市でも庁舎に
被害を受けました。災害直後には、シェレフテオ市からは温かいかいメッセージをいた
だき、私たちは大いに勇気づけられました。私たちはその優しさを決して忘れません。
今回の展覧会は、2010 年の春、シェレフテオ博物館のハンソンさんから提案を受けまし
た。それは震災の前のことでした。2年間の準備を重ね、今日のオープニングを迎える
ことができ ました。この展覧会のプロジェクトに関わっていただいた全ての皆様に、心
から感謝を申し上げます。秩父は 300 年以上前から絹産業で栄えました。数十年前には
7割以上の人がこの産業に携わっていました。実は私の祖先も織物業を営んでおり、子
供の頃から機織りの音を聞きながら育ちました。現在ではその規模は縮小しつつありま
すが、歴史や文化の観点からは、絹産業は今もなお重要な産業であります。秩父の絹織
物は 19 世紀からヨーロッパにも輸出されていました。しかし、このような展覧会を外国
で開催するのは初めてのことです。また、今回は織物業の方による実演をするという機
会をいただきました。この展覧会が秩父の絹文化をスウェー デンの人々に紹介する良い
機会になることと期待いたします。また、この展覧会がシェレフテオ市と秩父市の友好
関係を促進させると思います。どうぞ私たちの展覧会をお楽しみください。』
展覧会は、大成功であったと思います。シェレフテオの方々にたいへん興味深くご覧
いただきました。今回、隣の会場でスウェーデン北部地方の伝統織物であるバトマール
の展示会がありましたが、秋には、秩父銘仙館でこのバトマールを展示します。ぜひ、
秩父市民の方々にご覧いただきたいと思います。
【8月 20 日(月)シェレフテオからヘルシンキへ移動】
今日も一日中雲一つない快晴の天気で、気温は、13℃前後で過ごしやすい日でした。8
時 45 分に宿泊していたホテルを出発し、夕方までシェレフテオ市の施設を視察いたしま
した。まず、市内に本社のある、現金輸送や銀行 ATM の現金保管箱を製造している SQS
社セキュリティシステム製造会社へ訪問いたしました。この会社が製造している保管箱は
、万一の場合、いかに現金を取られないようにするかというよりも、保管しているお札に
インクを吹きかけなどして、取られてもお札を使えなくするという逆転の発想から生まれ
た保管箱です。盗む側としても、使えないのであれば、この会社の現金保管箱を盗んでも
しょうがないということで、盗難の抑止を狙っている、とのことでした。次に、ノルダノ
カルチャーセンター野外博物館を訪れました。記録によると、1764 年には、旅籠屋や農
家、中隊長の家など 13 戸が寄せ集まって村機能を形成しましたが、今日まで住居が残り
、機織小屋として使っているそうです。同行した織物関係者は大変興味深く見学されてい
ました。昼食後、車で 30 分ほどノルウエー国境に向かい、レーンゴード村の毛織物で作
品作りをしているお宅へ伺いました。たいへん立派な商品でした。さらに車で 20 分ほど
北方に進むとスワンセレ地区のワイルドネスキャンプ場があり、ここでは 30km 圏内で捕
獲された動物の剥製約 600 頭が展示されていました。展示も、単に並べられているので
はなく、弱肉強食という自然の掟がリアルに再現され、とても迫力のある、見る者の記憶
に深く刻まれるものでした。
ホテルに戻り 19 時 25 分シェレフテオ空港発 SK1021 便に乗り込み、ストックホルム
経由で、日付の変わった現地時間 0 時 50 分にヘルシンキのヴァンター空港に到着、1 時
30 分にようやくホテルにチェックインすることができました。
【8月 21 日(火)まちづくりのためのエストニア共和国タリン視察】
昨日、深夜にストックホルムからフィンランド国の首都ヘルシンキへ到着しました。
今回の視察で、秩父市のまちづくりをするにあたり参考にしたいと以前から考えていた
エストニアの首都タリンを訪れました。タリンは、ヘルシンキから南 80 ㎞に位置してい
ます。バルト 3 国(エストニア・ラトビア・リトアニア)のエストニアは、まさに征服され
た歴史でした。まずヴァイキングに侵攻を受けた後は、ロシア人やドイツ騎士団に支配
され、13 世紀にはデンマーク領となり、16 世紀にリヴォニア戦争が起こると、その支配
はスウェーデンに帰属しました。18 世紀に再びロシア帝国の支配下となり、1940 年に今
度はソ連に併合されました。その後、1991 年に再びバルト 3 国は独立を果たし、そのニ
ュースは世界を駆けめぐり、ソ連崩壊の重要な契機となりました。現在は 3 か国とも北
大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)へ加盟し、ロシアとも隣国として政治や経済両面
で深い結びつきを持っています。首都のタリンは、人口約 40 万人、名の由来は「デンマ
ーク人の城」という意味で、その名のとおり、デンマーク人がトームペアの丘に城を築
いたことから発展した街です。今もトームペアの丘とその周辺に広がる旧市街は中世の
姿をとどめ、“中世の生きた博物館”と呼ばれるほど、歴史的街並の中に人々の生活が息づ
いています。なお、この旧市街は「タリン歴史地区」として世界遺産に登録されていま
す。秩父市の街並みは、300 年以上にわたる歴史があります。このタリンの町も世界遺産
に登録される前には、寂れた街であったと聞き及びます。しかし、今ではたくさんの人
々が訪れ、今日も街道はたいへんにぎわっていました。この原動力となったのは、中心
部の広場から四方にガラス工芸や織物などの芸術家が数々の店を構え、観光客に本物の
素晴らしさを味わってもらうようになったことも大きな要因であると思います。街は生
きていることが最も基本であり、単に歴史的建造物を見せるだけでは人は来ないと改め
て実感いたしました。秩父市のまちづくりに多いに参考になりました。 いよいよ、明日
は帰国です。今回の北欧派遣を糧に、また日々の公務を行ってまいります。
【8月 22 日(水)ヘルシンキ視察後帰国】
本日はいよいよ日本への帰国です。出発前に少々時間がありましたので、ヘルシンキ市
内の視察を行いました。ヘルシンキの特徴は何と言っても森と湖と入り組んだ海岸線であ
り、飛行機の上空から手にとるように見て取れます。国旗は、白地に青十字で、青は空と
湖、白は雪を、そしてキリスト教の十字を象徴しています。気候は、バルト海から内陸に
入っているため、冬はかなり穏やかで、夏は比較的暖かいと言われています。本日も長袖
シャツ一枚でちょうど良かったです。市場は中心部にあり、大小のテナントショップが所
狭しと軒を連ね、たくさんの観光客が訪れていました。やはり、市場はまちづくりには必
需品であり、生きたまちづくりに欠かせません。秩父の中心部にも欲しいですね。今回参
加した秩父を代表する織物デザイナーにとって、仕事上どうしても訪れたいという、ヘル
シンキ中心部にあるデザイン博物館に入りました。1894 年に建てられた歴史的建物の中
には、過去から現代までのフィンランド・デザインのマスターピースが年代を追って展示
されていていました。驚いたことは、なんと携帯電話まであり、さすが NOKIA の国!と
実感いたしました。
【8月 23 日(木)まとめ『シルク&ウール
布の文化』】
本日、無事に帰国しました。日本から秩父銘仙やいざり機、繭から糸を引き出すため
の座繰器(ざくりき)を展示会場であるシェレフテオ博物館に持ち込み実演いたしました。
会場を訪れた方々には、たいへん興味深くご覧いただき、シルクの魅力に浸っていただ
くことができたようです。隣の会場では、スウェーデン特産品の毛織物ヴァドマールの
展示と羊の毛から毛糸を紡ぐ実演も行われていました。この伝統的毛織物は糸の太さこ
そ違いますが、紡ぐ、織るの過程は銘仙と似ている部分もあります。3 年前の訪問記でも
詳しく記載いたしましたが、シェレフテオ市と秩父市とは、平成 18 年にヴェステルボッ
テン県知事が秩父市の木質バイオマス発電所を視察に訪れたのを契機に交流が始まりま
した。これまでは、林業や福祉システムの分野で情報交換などを進めてきましたが、こ
のたび織物など伝統工芸にも拡大することができました。
ところで、今日、生活様式の変化とともに数々の新しい生地が開発され、ヴァドマー
ルなどの毛織物や銘仙などの伝統工芸が厳しい状況に陥っております。しか し、古きを
たずねて新しきを知る「温故知新」という言葉がありますが、伝統工芸は技法を後世に
継承するだけでなく、進化していくことが求められます。この交流を契機に、共通の問
題を解決する新たな方向性が期待され、秩父市とシェレフテオ市との産業連携協定が、
秩父銘仙の将来にも大きな意味をなすと考えております。そして、今回の 3 人の参加者
は、いずれも現在活躍している秩父銘仙の第一人者の方々であり、展覧会での凛とした
眼差しと真剣な取り組み姿勢を見ておりますと、秩父銘仙は消滅せず、将来につながる
と私は確信していますし、行政としてもできる限りの支援をしていきたいと思います。
なお、今回の企画は内外からも注目され、東京新聞の 8 月 15 日の紙面では、「 秩父
銘仙
スウェーデンで紹介
秩父市、海外で初の単独出展」と銘打って大々的に報じら
れました。また、現地の新聞にも大きく取り上げていただき、展覧会のオープニングは
、一時会場に入りきれないほどの人出となりました。なお、この 展覧会はスウェーデン
王国シェレフテオ市では 9 月 30 日まで続き、その後、11 月 2 日~12 月 4 日まで、秩父
市のちちぶ銘仙館で、ヴァドマールの展覧会を開催する予定です。ぜひ、ご覧いただき
たいと思います。
今後、秩父市は、姉妹都市であるアメリカ合衆国アンチオック市と英語教育を中心に
連携を深めてまいります。9 月からは、アンチオック市出身の英語教師(ALT)の派遣が決
まっております。また、タイ王国ヤソトン市は龍勢の打ち上げを通して、吉田地域を中
心に相互訪問による伝統技術の交流が深まっています。さらに、お隣の韓国江陵(カンヌ
ン)市では、今までの文化交流から産業連携へ発展すると思われます。世界の中の秩父と
して、これからも姉妹都市、産業連携都市を土台にして売り出して行きたいと改めて思
った次第です。最後に、この展覧会のオープニングは、大成功の内に終わることができ
ました。3 名の秩父銘仙関係者の参加者のご苦労を労いながら、この企画にご協力をいた
だいた秩父銘仙館の方々、さらにはすべての関係者に心から感謝申し上げます。