家族法 川 淳一

家族法
科目名
川
担当教員
淳一
授業の目的・到達目標
民法典第 4 編「親族」及び第 5 編「相続」に含まれる条文及び制度並びに関連法令(家事審判法、
人事訴訟法等)に関する基本事項を学ぶ。
授業の概要
具体的な内容は、婚姻による家族の形成、離婚、親子、相続、扶養等である。地域に密着した法
曹に必要不可欠な知識を多く含む分野であることから、条文・判例等の修得を第一の目的とし、こ
れを最低限の到達目標とする。さらに、生殖補助医療によって生まれた子の法的地位、子の引渡し
をめぐる問題、遺留分制度の在り方など、未だ判例や学説が確立していない新しい問題も積極的に
取り上げて、自らの頭で考えて結論を導く力を養うとともに、社会の中で家族法の果たすべき役割
とその限界について考える手がかりを得ることを目指す。
成績評価の基準・方法
期末試験(70%)
、
その他(30%)
学期末試験(70%)及び出席したうえでの質疑応答等による平常点(30%)による。
使用教材・教科書・参考文献
前田陽一・本山敦・浦野由紀子「民法 VI 親族相続」
(第 2 版、有斐閣)と家族法判例百選(第7
版、有斐閣)を使用します。そのほか、レジュメを教員が用意します。
事前・事後の学習について
事前には、配布レジュメの確認と判例の準則を確認、事後には、指定教材・配布資料等を参照し
ながら復習問題を軸に知識の整理をしてください。
履修条件
特になし。
2014 年度授業計画
回
1
テーマ
家族法入門、家族法総論、
婚姻
(1)
内容
家族法の意義を確認した後、家事事件手続・人事訴訟の概略を
確認し、さらに婚姻に関する導入説明を行う。
婚姻意思、婚姻障害事由など婚姻の成立要件を学んだ後、夫婦
2
婚姻
(2)
の氏、協力義務、財産関係など婚姻の効果について学ぶ。他分野
との関連も意識しながら、判例を中心に説明する。
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離婚の意義及び成立要件について、婚姻の場合と比較しつつ学
3
離婚
(1)
ぶ。離婚手続の正確な理解、離婚原因に関する判例の変遷等に重
点をおく。
4
離婚
(2)、
様々なカップル
離婚の効果、死後解消について学ぶ。離婚後の財産関係、未成
熟子をめぐる問題に重点をおく。事実婚をはじめとする様々なカ
ップルについても、ここで扱う。
嫡出推定制度の構造等について、嫡出否認の訴えと親子関係不
5
親子
(1)―婚内子
存在確認の訴えとの関係等に留意しつつ、概念を正確に理解す
る。実親子関係の成立に関する最近の裁判例や外国法の状況にも
触れる。
6
親子
(2)―婚外子
認知制度の構造等について、嫡出否認の訴えとの役割分担等に
も留意しつつ、概念を正確に理解する。
養子・特別養子の沿革及び理念などをふまえた上で、その成立
7
親子
(3)―養子、戸籍、
人工生殖子等
要件・効果について整理する。家族のあり方に影響を与える戸籍
制度の概要についても、ここで扱う。その後、生殖補助医療によ
って生まれた子の親子関係を取り上げる。
親権・後見、
8
氏名、
10
11
12
基本的事項についても学ぶ。面接交渉、子の引渡し、児童虐待等
をめぐる問題の現状を確認し、民法及び関係諸法の問題点を考え
扶養等
9
親権・監護権及び後見制度を中心として、扶養、氏名に関する
る。
相続法総論、
相続人 (1)
相続人 (2)、
相続財産 (1)
相続財産 (2)、
相続分
相続法の意義、根拠、基本原理等について学ぶ。相続法の全体
像を概観した上で、日本相続法の特徴とその意味について考え
る。その後、相続人の種類、相続資格の喪失等について学ぶ。
相続の対象となる財産、財産管理等について学ぶ。債務の扱い
等に重点をおき、保険及び信託等、最近議論がなされている相続
外財産移転制度についても触れる。
遺産分割前の相続財産をめぐる状況等について学ぶ。
「未分割」
「分割済み」概念に留意して問題を整理する。相続分については、
特に、寄与分・特別受益等に関する裁判例の動向等に注目する。
遺産分割、
遺言
(1)
遺産分割の意義、方法、及び効果等について学ぶ。債権債務の
帰属、遺産分割協議の解除等が含まれる。その後、遺言の現状、
遺言めぐる問題について概観する。
遺言の意義、遺言能力、各種遺言の方式及び効力、遺贈につい
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遺言
(2)
て学ぶ。特に「相続させる遺言」について、判例の立場を正確に
理解する。
遺留分制度の意義・趣旨、算定の基礎となる財産、算定方法、
14
遺留分、
遺留分減殺請求権の行使等について学ぶ。最近、急増している判
まとめ
例の内容を確認するとともに、それらの全体的な傾向についても
検討する。
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