平成24年度 新潟大学長 新潟大学プロジェクト推進経費研究経過報告書(中間まとめ) 殿 申 請 者 加来 賢 所 属 医歯学総合研究科 生体歯科補綴学分野 代表者氏名 加来 賢 本年度、交付を受けたプロジェクト推進経費について、現時点までの研究の進行状況等を報告し ます。 プロジェクトの種目:奨励研究 プロジェクトの課題:機械的刺激に誘導されるコラーゲン修飾酵素が歯根膜組織の恒常性維持に及ぼす影響 プロジェクトの代表者:所属 医歯学総合研究科 職名 准教授 氏名 加来 賢 分担者 0名 プロジェクトの成果: 歯を歯槽骨と結合する組織である歯根膜の維持において、咬合力という機械的刺激が影響を 及ぼしていることは幾多の臨床的知見からも明らかであるが、未だその制御機構については不明 な点が多い。I 型コラーゲンは歯根膜線維の主たる構成要素であり、その組織特異的な翻訳後修 飾が、組織特異的な機械的特性を獲得する為に不可欠である事が報告されている。さらに我々は 機械的刺激がコラーゲン修飾酵素の発現を誘導することを明らかにしている。本研究の目的は、 機械的刺激によって誘導されるコラーゲン修飾酵素の発現が歯根膜組織に与える影響を解析 し、歯根膜恒常性維持機構の一端を明らかにしようとするものである。 本研究では、機械的刺激によって誘導されるコラーゲン修飾酵素の歯根膜組織に及ぼす影響 を 解 析 す る た め に 、 我 々 の 先 行 実 験 で 発 現 が 確 認 さ れ た LOX の 阻 害 剤 で あ る B-APN (beta-aminopropionitrile)の投与下において過剰咬合を付与し、機械的刺激による歯根膜の成熟がコ ラーゲン・クロスリンクを介したものであるか否かを検証した。 過剰咬合に付与により歯根膜繊維の成熟が観察された(b)。クロスリンクの阻害剤である B-APN の 投与により、過剰咬合によって誘導された歯根膜繊維の成熟は見られなくなった(c,d)。 (注)報告書は2枚程度とする。別紙による場合も同じ。 -1- 実験前日から体重 100g あたり 10mg または 40mg の B-APN を腹腔内投与したラットに過 剰咬合を付与し、3 日後の歯根膜における組織変化を観察した。 過剰咬合によって近心根近心歯根膜において、偏光顕微鏡下での Picrosirius 染色の観察に よってオレンジ色に染色される成熟した歯根膜繊維の増加が認められた。しかし、B-APN 投 与下では歯根膜繊維の成熟は認められなかたことから、機械的刺激に誘導された歯根膜繊維の 成熟の少なくとも一部はコラーゲン繊維の翻訳後修飾とクロスリンクによるものであること が明らかとなった。 今後はより長期の投与、ならびに Lysyl Hydroxylase の補酵素である Vitamin C 欠乏モデ ルにより、機械的刺激による歯根膜恒常性維持機構におけるコラーゲン翻訳後修飾の寄与につ いて引き続き研究を行なっていく予定である。 プロジェクト成果の発表(論文名,発表者,発表紙等,巻・号,発表年等) 1. Masaru Kaku, JM Rosales Rocabado, Megumi Nozawa, Yosuke Akiba, Katsumi Uoshima, Effect of Lathyrogen on Mechanical-Stress Induced Collagen Maturation in PDL. The 60th Annual Meeting of Japanese Association for Dental Research. Dec 14-15 2012. Niigata Japan 2. Masaru Kaku, Megumi Nozawa, Katsumi Uoshima, Detection and Partial Characterization of Femoral Bone Marrow Derived Cells in Periodontal Ligament. The 8th conference of Asian Academy of Prosthodontics. Dec 7-9 2012, Chennai, India. 3. 加来 賢、野沢恩美、秋葉陽介、魚島勝美、機械的刺激によるコラーゲン翻訳後修飾を介した 歯根膜組織の安定化機構、日本歯科医学会学術大会、2012 年 11 月 9-11 日、大阪 4. 加来 賢,JM Rosales Rocavado,野澤恩美,魚島勝美、ローヤルゼリー摂取による卵巣摘出ラ ットの骨量骨質への影響、平成 24 年度日本補綴歯科学会関越支部学術大会、2012 年 10 月 14 日、長岡 -2-
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