リチウム金属電池 - 2015年より旅客機搭載禁止決定 - airtransport

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DGR56版
特 報 2014 年 6 月 24 日 リチウム金属電池の航空輸送方法 - 2015 年 (続き) ICAO Council (国 際 民 間 航 空 機 構 の 理 事 会 ) は リ チ ウ ム 金 属 電 池 の 旅 客 機 で の 輸 送
を 禁 止 す る 案 件 を 審 議 し 、 2015- 2016 年 版 の Technical Instruction (技 術 指 針 )
に 含 め る こ と を 承 認 し た 。ICAO Council は ま た 、下 に 掲 げ た 特 別 規 定 SP A201 も
採 択 し た 。特 別 規 定 SP A201 は 2014 年 の 後 期 中 に ICAO Council に 対 し て 、ICAO
Dangerous Goods Panel ( 国 際 民 間 航 空 機 構 の 危 険 物 パ ネ ル ) が リ チ ウ ム 含 有 量
0.3g を 超 え な い リ チ ウ ム 金 属 セ ル 及 び バ ッ テ リ ー の 包 装 基 準 規 格 に 関 す る 成 案 と 旅
客機での輸送の許可基準手順を討議、合意を提出することが条件となっている。
ICAO Council の 許 可 が 得 ら れ れ ば 、2015-2016 年 版 の Technical Instruction の
Supplem ent に 加 え ら れ て 公 布 さ れ る こ と に な る 。
リ チ ウ ム ・ バ ッ テ リ ー に 付 い て は 、 ICAO Council ( 理 事 会 ) と Air Navigation
Council (航 空 運 航 理 事 会 ) か ら 数 多 く の 関 心 が 寄 せ ら れ て い る 。 こ れ ら に つ い て は
DGP が 系 統 だ っ て 審 議 す る こ と が 要 請 さ れ て い る 。こ の 案 件 に は 、貨 物 機 に 対 す る
リチウム金属バッテリーのもたらす危険性、リチウム金属バッテリーが機器と同梱
になっているもの、機器に装着されているもの、並びに、リチウム・イオン・バッ
テリーがもたらす危険も含まれている。
ICAO Council も ANC も 等 し く 、 規 則 が 守 ら れ て い な い 場 合 に 付 い て も 強 い 関 心
を 示 し た 。 こ れ を 受 け て 、 下 に 掲 げ た DGP-W G/LB/2 の Recommendation 5/3
(勧 告 5/3) が 賛 同 を 得 た 。 ICAO Council は ICAO 事 務 局 に 対 し て 、 速 や か に 規
則が順守されるよう優先的に作業に入るよう要請した。
3.3.6 上 記 に 鑑 み 、 下 に 掲 げ る 勧 告 を 作 成 し た 。
Recomm endation 5/3 – Development of a safety oversight and awareness
programme for the safe transport of dangerous goods (勧 告 5/3) – 危 険 物 の
安全輸送のための安全監督及び安全意識のプログラムの確立
ICAO は リ チ ウ ム ・ バ ッ テ リ ー の 輸 送 に 伴 う リ ス ク に つ い て の 危 機 意 識 を 深 め る 方
策を採択し、各国政府がすべての危険物貨物、特にリチウム・バッテリーに重点を
置 き 、 安 全 輸 送 の た め の 安 全 監 督 (safety oversight) 及 び 安 全 意 識 の プ ロ グ ラ ム
(awareness program m e) の 確 立 に 、下 記 の 手 順 に よ り援 助 を し な け れ ば な ら な い 。
a) 意 識 の キ ャ ン ペ イ ン (教 育 訓 練 な ど を 介 し て )、
b) ガ イ ダ ン ス 資 料 の 作 成 、
c) リ チ ウ ム ・ バ ッ テ リ ー を 大 量 に 生 産 し て い る 国 に 対 す る 集 中 監 査
本 件 は 、 安 全 意 識 の 確 立 、 ガ イ ダ ン ス 資 料 の 作 成 、 並 び に ICAO が 実 行 に 移 す べ き
行動プランの設定を目的とする小ワーキング・グループを設立することにより達成
できる。
ANC と Council の 双 方 に よ り 修 正 さ れ た 特 別 規 定 SP A201 を 下 に 掲 げ て あ る 。”A
shipment of lithium metal batteries (リ チ ウ ム 金 属 バ ッ テ リ ー の 貨 物 )” の 文 言
が 特 別 規 定 の 書 き 出 し に ANC か ら の 要 請 に よ っ て 加 え ら れ た 。こ の 意 図 は 、各 国 政
府が許可を与える際にケース・バイ・ケースで審査するよう促す目的である。許可
を 与 え た 政 府 が ICAO 事 務 局 に 許 可 条 件 の 写 し を 送 ら な け れ ば な ら な い 事 を 義 務 付
けている。また、提出の期日についても言及している。
SP A201
リチウム金属バッテリーの貨物は、発地国の然るべき官庁と運航者が所属する国の
然るべき官庁の定める輸送の条件を記した事前の書面による許可があれば、旅客機
に よ る 輸 送 を 行 な っ て も 差 し 支 え な い 。条 件 に は ICAO Technical Instruction の
Supplem ent (S-3, 4, Table S-3 1) で 設 定 さ れ て い る 数 量 の 制 限 、容 量 の 制 限 、並
びに、包装の要件が含まれていなければならない。数量の制限、包装の条件を示し
た許可書の写しが貨物に付随していなければならない。この特別規定の要件に従っ
て 許 可 を 出 す 当 該 国 の 官 庁 は 、 許 可 書 の 写 し を 、 発 行 の 3 ヶ 月 以 内 に 、 em ail を 介
し て Chief of the Dangerous Goods Section ([email protected]) も し く は FAX +1
514-954-6077、 も し く は 、 郵 便 で 下 記 に 送 付 し な け れ ば な ら な い 。
Chief, Dangerous Goods Section
International Civil Aviation Organization
999 University Street
M ontreal, Quebec
CANADA H3C 5H7
も し 、 発 地 国 も し く は 運 航 者 の 所 属 す る 国 以 外 の 国 が ICAO に 対 し て 、 こ の 特 別 規
定による貨物の輸送に関して、当該国の事前の許可が必要であると言う通知をして
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いるならば、それらの国の許可も、適宜、取得しなければならない。
上 述 の 変 更 点 は 第 56 版 の IATA 危 険 物 規 則 書 に 反 映 さ れ る 。 ま た 、 IATA は 2015
年から変更になる条件も含めたリチウム金属バッテリーに関するガイダンス資料も
準備する予定にしている。このガイダンス資料の目的とするところは、荷送人の意
識 向 上 、 ま た 、 他 の 関 係 者 に リ チ ウ ム 金 属 バ ッ テ リ ー の 輸 送 に 関 す る 包 装 基 準 PI
968 Section IA. IB, II の 輸 送 に 関 す る 変 更 点 を 周 知 さ せ る た め で あ る 。
PI 968 の リ チ ウ ム 金 属 バ ッ テ リ ー の 旅 客 機 に よ る 輸 送 禁 止 が 完 全 に 定 ま っ た の で 、
運航者でリチウム金属バッテリーを運航者例外規定によって全面禁止としている運
航者に対して、運航者例外規定の見直しを要請するものである。
以 上
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