将来の航法システムについて - 公益財団法人 航空機国際共同開発促進

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将来の航法システムについて
1.概要
ここ数十年以上大きな変革がなかった航空航法は、いま大きな変革時を迎えており、そ
の影響は航空機本体にも大きな影響を及ぼす可能性がある。具体的には、全世界衛星航法
システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を使った航法の本格運用の開始、航行
援助施設にとらわれずに空域を自由に飛行できる PBN (Performance-Based Navigation)の理
念による広域航法の実用化、ステップダウン方式に比べ環境に優しい運航を実現する
CDA (Continuous Decent Approach)の導入、空港容量の拡大が期待できる低高度までの曲線
進入方式を可能とする RNP-AR (Required Navigation Performance-Authorized Required)進入
や地上局補強型衛星航法システム(GBAS:Ground-Based Augmentation System)による TAP
(Terminal Area Path)進入の計画、さらには 4 次元航法とも呼ばれるトラジェクトリ
(Trajectory)航法への移行などが予定されている。ここでは、各航空機のトラジェクトリを
正確に予測し全体の航空機の運航効率を最大限にすることを目指すトラジェクトリ航法を
紹介するとともに、そのトラジェクトリ航法が通信・航法・監視(CNS : Communication,
Navigation, Surveillance)システムおよび航空機へ及ぼすインパクトについて述べる。
2.民間航空における課題
国際民間航空機関(ICAO: International Civil Aviation Organization)は、当面の活動のキー
ワ ー ド と し て 、 安 全 (Safety) 、 保 安 (Security) 、 環 境 (Environmental Protection) 、 効 率 性
(Efficiency)、継続性(Continuity)、遵法(Rule of Law)を 2007 年版年次報告 1)で挙げている。
この背景として、今後も伸び続ける交通量に対応するための航空交通の効率を求めながら、
安全性の確保および環境に配慮しなくてはならない現実がある。安全の前提としては保安
が必要であり、効率性のためにはシステムとしての継続性が必要である。また、確実に安
全性を担保するためには、各個人および法人としての遵法がなくては達成できない。
この年次報告では、2007 年における世界の航空交通量は国際航空においては 6%の伸び、
国内航空は 4%の伸びを記録している。経済危機が来た現在においても、経済回復後には
航空交通量の伸びは期待されるものであり、特にアジア太平洋地域に対する潜在需要は高
いものがある。このような状況から 10~15 年後には、この地域の交通量は現在の 2~3 倍
になると考えられている
2)
。この高い航空交通量の伸びに対しても、ICAO としては、航
空事故の総数を押さえる必要性を訴えているが、年次報告でも示されるように航空事故に
よる死亡率は 2000 年以来ほとんど変わっていない現実がある。このため安全性向上の目
標として、航空会社による運航に対する重大な事故率を今後 5 年間の間に 40%減少させ
100,000 時間あたり 0.5 件にするという目標を、Safety Management Manual (SMM)3)に明記
している。
このような状況の中、2003 年に ICAO の第 11 回航空航法会議(ANC-11 : Air Navigation
Conference)が開催され、今後におけるトラジェクトリに基づく航空交通管理システムの
必要性についての勧告を行った 4)。それを受けて、欧州では SESAR (Single European Sky
ATM Research)と Functional Airspace Blocks (FABs)による Single European Sky (SES)構想が
打ち出されている。米国においても、従来の地上ベースの航法から衛星ベースの航法への
1
パ ラ ダ イ ム ・ シ フ ト を 目 指 し た Next Generation (NextGen) Air Transportation System
Integrated National Plan 構想 が打ち出され 、National Center for Advanced Technologies
(NCAT)と Federal Aviation Administration (FAA)による NextGen Institute が創立された。また、
日本でも、(独)電子航法研究所が長期研究計画を立て、トラジェクトリの概念に基づいた
研究を開始した 5)。ここで紹介する、GNSS などの技術によって支えられるトラジェクト
リ航法は、これらの構想の中心をなすものである。
3.トラジェクトリ航法
3.1 トラジェクトリ航法の基本概念
トラジェクトリ航法ではトラジェクトリ(軌道)という概念が使われている。この概念
は、世界航空航法計画(Global Air Navigation Plan)6)の中で紹介されていて、そこでの意味
は単に通ってきた道筋でなく、将来通過すべき時間をも含めた 4 次元の座標群を指してい
る。トラジェクトリ航法は、各航空機のトラジェクトリを正確に予測し、総体としての航
空機の運航効率を最大限にすることを目指すものである。このトラジェクトリ航法を行う
た め に ト ラ ジ ェ ク ト リ 管 理 が 必 要 と さ れ て い る 。 ト ラ ジ ェ ク ト リ 管 理 は 、 CDM
(Cooperative Decision Making)手法を用いた航空会社と地上管制センターの共同作業による
事前需要予測に基づくスケジュール管理から始まる、全体の交通量と安全性を最大限にす
るための、航空交通流と空域および航空機の運航を管理する航空交通管理手法である。現
在のレーダーを用いた航空管制官による 2 次元的管理である人に頼った航空管制手法では、
管理できる空域の交通容量が限定され、航空交通量の増大によって安全性の保証が難しく
なることから、その解決法としてトラジェクトリ管理が提案され SESAR、NextGen 及び
日本の研究が開始された。
この航空機のトラジェクトリを正確に予測するものとして、航空機および地上にプレデ
ィ ク タ (predictor)と い うツ ー ルが 使わ れ る。 航空 機 側の プレ デ ィク タは FMS (Flight
Management System)を指すが、地上側はまだ定まった概念がない。ただ、地上側のプレデ
ィクタは、現在の ATFM (Air Traffic Flow Management)の機能と RDP (Radar Data Processor)
の機能、および機上の FMS との通信を行うためのデータリンク機能を併せ持つシステム
となると考えられる。地上のプレディクタの具体的な役割は、FMS が持っている情報の
ダウンリンクによって航空機の状態を正確に把握し、事前に航空機相互のコンフリクト
(Conflict)を予測・回避しながら、効率の良い経路と各ウェイポイントにおける航空機の到
達要求時刻(RTA : Required Time of Arrival)を計算し、その結果を航空機のプレディクタ
である FMS にアップリンクすることによって、航空機をトラジェクトリ管理されたフラ
イトプラン通りに運航させるシステムである。この経路には、航空会社が希望する出発空
港から到着航行への最短ルートや、空港への降下に際して水平飛行を含まない連続した降
下による進入方式である CDA の採用、混雑空域におけるホールディングを行わなくてす
む経路選択、およびそのために必要な飛行時刻の調整が行われる。この結果として、
ICAO が目標としている航空機の安全、環境、効率および継続性が達成されることとなる。
3.2 トラジェクトリ航法の先駆けとしての航法
現在、トラジェクトリ航法の先駆けとして、TA (Tailored Arrival)が試験的に行われてい
2
7,8)
る
。この TA は、サンフランシスコ空港、アムステルダム空港、シドニー空港などで
実験的に実施されており、日本航空なども参加している。目的としては、管制官のワーク
ロード低減、空域容量の拡大と、各機に最適な効率的な速度、経路及び高度が可能となる
進入方式の実現を目指している。
サンフランシスコ空港の TA トライアルにおいては、洋上もしくは航空路上の TOD
(Top of Descent) から空港への降下進入において、いろんな管制機関ごとの従来の固定し
たルートによる個別の速度と高度の指示ではなく、複数の管制機関にまたがるコースの指
示を、衛星データ通信を利用した TOD に至るまでの 1 回の CPDLC(Controller Pilot Data
Link Communication)の指示として行う。ここで指示される空港進入までのコースの垂直
プロフィールは、途中で水平飛行を伴わないことによって、航空機のエンジン出力をほぼ
アイドル状態にしたまま降下でき、燃料消費を抑えることができる CDA であり、データ
リンクによって直接 FMS に入力される。
この TA の実施には、航空機には FMS、ADS-C (Automatic Dependent SurveillanceContract)による位置通報と CPDLC 対応のデータリンク機能が必要であり、管制機関には、
CPDLC 機能と、空港周辺の天候や地形に適合したルート、到着予測時間(ETA:Estimated
Time of Arrival)、コンフリクトの有無、到着順序などを計算する管制情報システムが必要
である。ただし、データリンクについては、他の空港において衛星通信だけではなく
VDL mode-2 や音声通信などでも行われている例もある
9,10)
。CDA と TA の違いは、CDA
は航空機が単に FMS を使い決められた到着経路を連続的に降下することを指すのに対し
て、TA は地上の管制情報システムが指示したコースをデータリンクなどで航空機の FMS
に送り、最適化された経路に沿って連続的に降下すること全体を指すという違いである。
3.3 トラジェクトリ航法に対する Enabler としての CNS
トラジェクトリ航法における CNS は、通信(C) おいては、最低限、FMS と地上コンピ
ュタ・システムを相互に通信ができるように、今までの音声通信からデータ通信に移行す
る必要がある。さらに、必要なデータを確実に決まった時間内で通信が終了するような高
信頼性でリアルタイム性が保証されたシステムが必要となる。航法(N)においては、世界
中で高密度化に対応したサービスがいつでもどこでも同じように受けられるように、覆域
のグローバル化および高精度化が要求され、監視(S)においても、空域の高密度化や通
信・航法の高度化に対応するために、高精度化、高更新率化および覆域のグローバル化、
が望まれることとなる。
現状の CNS の状況を紹介すると、航空交通管制(ATC:Air Traffic Control)用の通信は、
洋上を除いて多くは VHF 帯の AM による音声通信で行われているが、ATC 用のデータ通
信としては、陸上の通信局から届く範囲では一部の機能について最大 31.5kbps の VDL
mode-2 がヨーロッパを中心として使われている。また、洋上では極域を除いて静止衛星
による最大 10.5kbps の通信速度を持つ衛星通信が広く使われている。ATC 用ではなく、
信頼性が十分でなくても問題が少ない航空会社用運用通信(AOC:Airline Operational
Communication)には、HF データリンク、VHF 帯の ACARS、2.4 GHz 帯の Wifi 方式の
Gatelink といったデータリンクが使われている。
航法としては、米国の GPS (Global Positioning System)を使用する機上補強衛星航法シス
3
テム(ABAS:Airborne-Based Augmentation System)が広く使われており、精度は 13m で
ある
10)
。ただ ABAS 受信機を搭載していない航空機や GPS が使えない場合には、DME-
DME 航法が使われ、精度が 0.6NM11)と大幅に劣化する。監視方式としては、洋上では衛
星通信を使って行われる ADS-C が行われ、更新率は 29 分間隔と 16 分間隔である。陸上
周辺空域ではレーダーが主に使われており、更新率は航空路では 10 秒間隔とターミナル
空域で 4 秒間隔である。空港では目視による監視が行われているが、天気の悪い日には空
港面探知レーダーを使い更新率 1 秒間隔で監視している。各レーダーとも精度としては角
度方向が悪くおよそ 1/1000rad である。
ここで問題となってくるのは、現在の CNS がそのままトラジェクトリ航法時代におい
ても使えるかどうかであるが、通信はもちろん、精度として十分だと思われる航法や監視
でも手直しは必要であると考えられる。通信では信頼性、容量、リアルタイム性を向上す
る必要があるが、その手段が決まっていないために、今後一番のボトルネックになる可能
性がある。監視についても、今後の高密度化に対応すべく精度、更新率などの向上が図ら
れる必要があり、そのために ADS (Automatic Dependent Surveillance)が使用することが考
えられている。このときの留意すべき点は、送られる情報の信頼性とリアルタイム性が十
分に確保できるかどうかである。これらは、使用する通信システムとも係わっているが、
現在の方式で将来の航空交通量の増大に対して有効かどうかの検証が十分ではなく、容量
についての不安が残っている。
航法においては、衛星補強型衛星航法システム(SBAS:Satellite-Based Augmentation
System)や、GBAS を使うことによって、多くの空域では問題がないが、日本の空港にお
いて実現が望まれている曲線進入をどう行うのかという問題に対しては、具体的な方式が
決まっていない。現在のところ、GBAS-TAP 方式と RNP-AR 方式の候補が有るが、
Boeing では GBAS-TAP を宣伝してきたものの、現在は FMS を利用した RNP-AR 方式を
優先的に考えている。しかし、RNP-AR 方式では最低進入高度が 250ft13)と高く、自動着
陸ができない欠点がある。さらに、空港に降りてからのエプロンまでの誘導についても具
体的な方式が決まっていないなどの問題がある。これらの問題を解決する新しいシステム
の開発・実用化には 15 年ぐらいかかることから、できるだけ早い時期に、システム要件
を決める必要があるが、そのときに各国が持つ状況および環境が異なるために、他国頼み
ではなく、我が国においても CONOPS (Concept of Operation)からの議論および研究開発を
始める必要がある。例えば、一口に曲線進入といっても、我が国では欧州や米国に比べ空
港周辺における空域が狭いため、最後の着陸に向かう直線飛行を行える経路の長さへの要
件が異なることが挙げられる。
4. トラジェクトリ航法が求める航空機の性能
将来の日本における高密度な空域では、安全性の確保および効率化のためにトラジェク
トリ航法が義務づけられ、GNSS 受信機、FMS、ウェイポイントのデータベース、データ
リンク機能のない機体では飛行ができなくなる可能性がある。さらに、トラジェクトリ航
法でも十分に避けることができないリスクを軽減するために、局所的な空域の安全を高め
る航空機衝突防止装置(ACAS : Airborne Collision Avoidance System)に代わる高機能な
ASAS (Airborne Separation Assistance System)の搭載が義務化されるかも知れない。これは
4
旅客機だけでなく、羽田空港、成田空港を使うビジネスジェットにおいても要求されるこ
ととなるだろう。まだ、トラジェクトリ航法が普及していなくても、例えば、羽田の B
滑走路、D 滑走路の東からの進入に RNP-AR 方式が採用されることとなれば、最低でも
FMS とウェイポイントのデータベースの装備が必須となるか、または、レーダーベクタ
ーによるマニュアル操縦しかできない航空機は、管制官の負担も大きく航空機間の間隔も
広く取る必要があるために、空港の比較的空いている時間だけしか飛行が許されなくなる
かも知れない。
トラジェクトリ航法においては、FMS が航空機をコントロールすることになる。この
結果、FMS に高機能化が要求され、機体性能がいくら良くても、高機能な FMS にはかな
わなくなるかも知れない。つまり、機体でいくらかの燃費を軽減できたとしても、トラジ
ェクトリ航法においては、高機能な FMS が最適な経路と時刻で飛行することによる燃費
の向上効果が大きいかも知れないのである。現在ではまだ FMS による自動着陸はできな
いものの、FMS のソフトウェアの安全性が高まれば可能となるかも知れない。すでに
Airbus の機材では FLS (FMS Landing System)という言葉が使われている 14)。将来のトラジ
ェクトリ時代の航空機は機材が FMS に合わせるのか、FMS が機材に合わせるのかが不明
だが、残念ながら、これらの分野については日本においてはほとんど手が付けられていな
いために、日本の空域に適した FMS ができず、いくら優秀な機体を生産しても日本の顧
客のニーズと合致しない可能性がある。また、FMS の重要な要素であるウェイポイント
のデータベースについても、多くの場合、Jeppesen 社のものが使われているという現実も
ある。
5. まとめ
航空航法において、FMS の普及、GNSS の本格運用、データリンクの活用といった時
代を経て、将来の航空交通の増加と安全性の向上を図るために、より効率的な航法が可能
な 4 次元航法とも呼ばれているトラジェクトリ航法の導入が計画されている。利用できる
空域および時間帯のリソースは限られており、15~20 年後には、全体の効率性を向上さ
せるためにステークホルダー間の調和が必要とされ、CDM による関係者の調整を行いな
がら、実際の飛行においては地上と機上のコンピュータ同士が主たる機能を果たし、人間
はそれを監視するようになる。現在もその先駆けとして技術である TA などの試行が始ま
っており、航空航法も大きく変化していく時代に入った。
それらを支える CNS についても、GNSS における GPS の L5 信号の追加および
GALILEO 航法衛星システムなど、測位信号の多周波化、コア衛星の複数化などの進化が
みられるともに、通信および監視システムにおいてもトラジェクトリ時代に合わせた進化
が強いられている。それらに対応するために米国の NextGen や欧州の SESAR などの研究
開発が進行し、日本でも研究が開始されている。トラジェクトリ航法においては、機上の
FMS とプレディクタとなる地上システム間の調整による運航が主流となり、航空機にお
ける役割が機体そのものから FMS などの頭脳部へ重きを持って行くだろう。
参考文献
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5
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http://www.mof.go.jp/singikai/koukuu_butsuryu/siryou/ka201128_2.pdf
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12) “Performance Based Navigation Manual, Volumes I and II - Concept and Implementation
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http://www.icao.int/icao/en/anb/meetings/perf2007/_PBN Manual_W-Draft 5.1_FINAL
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http://www.icao.int/icaonet/dcs/9905/9905_draft_en.pdf
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