No.312007 派遣社員の直接雇入れ義務Ｑ．当社では製造ラインに６人、総務（ファイリングと経理業務）に２人の派遣社員を受け入れていますが、派遣社員を一定期間受け入れた場合には、直接雇い入れる義務が発生すると聞きました。どのような場合にその義務が発生するか教えて下さい。Ａ．労働者派遣法（以下「法」という）は、派遣社員に優先的な雇用の機会を与えることによって直接雇用を促進すること、さらに派遣受入期間の制限がある業務については、当該制限に違反した労働者派遣が行われないようにすることなどを目的として、派遣先事業主に対して、一定期間受け入れた派遣社員に直接雇用の申込み義務を課しています。ただし、派遣受入期間に制限のある業務と派遣受入期間に制限のない業務とでは、取扱いが異なりますので、この２つに分けて、以下に詳しく見ることにしましょう。（１）派遣受入期間に制限のある業務まず、営業や製造ラインなどの派遣受入期間の制限のある業務については、派遣受入期間の制限に抵触する日（当該業務に３年間継続して（注）受入れた日）以降も派遣社員を使用しようとするときは、派遣先事業主はその制限に抵触する日の前日までに、「当該派遣労働者であって当該派遣先に雇用されることを希望するものに対し、雇用契約の申込みをしなければならない」（法第 40 条の４）こととされています。（注）３ヵ月超のクーリングオフ期間を設けた場合には、その後の継続した３年間をいう。したがって、例えば製造の業務などの場合、最長でも３年までしか派遣社員を受け入れることができませんが、その後も当該派遣社員を継続して使用しようとする場合に、派遣社員から直接雇用してほしいという希望が出されているときは、その派遣社員に対して雇用契約の申込みをしなければなりません。この場合、派遣社員を受け入れている期間中に派遣社員が交代した場合でも、派遣受入期間の制限に抵触する日の直前に受け入れていた最後の派遣社員に対して、この雇用契約の申込みを行わなければならないことに注意が必要です。派遣社員が派遣先に直接雇用されることを希望しているかどうかは、雇用契約の申込み義務のある派遣先が、派遣社員に対して希望の有無を確認することによ 1 Copyright © 2012 humantech All Rights Reserved No.312007 って把握しなければなりません。また、雇用契約申込み時の労働条件については、派遣就業中の労働条件やその業務に従事している派遣先の他の従業員の労働条件等を総合的に勘案して決定することが必要です。なお、派遣受入期間の制限のある同一の業務に、継続して１年以上派遣社員を受け入れている場合に、派遣終了日後にその業務に新たに従業員を雇い入れようとするときで、派遣実施期間継続して従事した派遣社員が次のいずれにも該当する場合は、派遣先事業主は、当該派遣社員を「遅滞なく雇い入れるよう努めなければならない」（法第 40 条の３）こととされています。 ①派遣先に雇用され、同一の業務に従事することを希望する旨を申し出たこと ②派遣実施期間が経過した日から起算して７日以内に派遣元との雇用関係が終了すること（２）派遣受入期間に制限のない業務いわゆる専門 26 業務等派遣受入期間の制限がない業務に同一の派遣社員を３年を超えて受け入れている場合に、「当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該３年が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の派遣労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければならない」（法第 40 条の５）こととされています。したがって、受入れ期間の制限のない業務に同一の派遣社員を３年を超えて受け入れている場合には、３年を経過した日以降にその業務に新たな従業員を雇い入れようとするときは、受入期間に制限のある業務の場合と異なって、当該派遣社員が希望するかどうかにかかわらず、優先してその派遣社員に雇用契約の申込みをしなければならないわけです。この雇用契約の申込み義務は、派遣社員が従事していた業務に派遣社員でない従業員を新たに雇い入れようとするときに発生するもので、派遣先が人事異動によって他部署の従業員をその業務に配置する場合には発生しません。さらに、派遣社員と同一業務に従事する派遣先の従業員が退職したために、その補充として他の従業員を配置する場合も同様です。なお、新卒募集などを行う場合に、募集時点ではその派遣社員の派遣期間が３年を超えていない場合でも、新卒者の入社の時点で３年を超える場合には、まず、その派遣社員に対して雇用契約の申込みを行うことが必要となります。したがって、新卒募集を行うときは、この点に留意が必要です。 2 Copyright © 2012 humantech All Rights Reserved No.312007 【雇用努力義務と雇用契約申込み義務】受入期限の制限のない業務法第40条の３法第40条の４法第40の５派遣実施期間継続し派遣受入れ期間の制３年を超える期間継続してて受入れていた者、か限に抵触する日の直受け入れていた者つ派遣実施期間が経前に受け入れていた過した日から起算して者７日以内に派遣元との雇用契約が終了する者受入期限の制限のある業務対象となる派遣労働者派遣先に雇用されるこ派遣先に雇用されるこ派遣労働者のとを希望する旨の申しとを希望する旨の申し希望の有無を問わない希望出があったこと出があったこと同一の業務に労働者抵触日以降も派遣労その他の要件を新たに雇い入れよう働者を使用しようとすとする場合る場合（努力）義務雇用努力義務雇用契約申込み義務同一の業務に労働者を新たに雇い入れようとする場合雇用契約申込み義務作成者：ヒューマンテック経営研究所 3 Copyright © 2012 humantech All Rights Reserved