14 CLINICAL DIAGNOSTICS 血液サンプルプーリングの 自動化がもたらす 安全性の高いPCR診断 ド イ ツ、Halle(ハ レ)に あ る 血 液 セ ン タ ー で は、Freedom EVOⓇ Clinical 150にTe-PoolSafe™モジュールを組み 合わせて利用することで、血液サンプ ルプーリングを自動化し、高い信頼性 を実現している。また、続いて行われ るPCRベースの検査では、血液製剤 による病原体への感染が全く存在し ない。 輸血体制が常に整っているということは、重 傷者の救命だけでなく、手術中の患者への 対応においても必須である。例えば胸部手 術の場合には20∼30単位の血液が必要 になる場合もあるが、現在、献血者から得 られるヒト血液に代わる人工物は存在しな いことから、血液はまさに「重要かつ必需」 なのである。この状況が問題になっているの は、献血の供給が既に不足しているのに加 え、献血者を選択する厳格なプロセスにより 献血そのものの希少価値が高まっているこ とによる。また、患者が自らに投与される血 液に感染症や病原体がないことを確認する には徹底した血液検査の結果に頼るしかな いため、検査結果は正確かつ明瞭であるこ とがきわめて重要なのである。 各血液センターは、見込み献血者が実際 に献血を行うよう誘導すること、および現在 の技術で可能な限り安全な血液を提供す ることを目的としている。血液センターでは、 PCRとELISAベースの並行検査を用いること によってそれぞれの検査結果を確認する一 方、偽陽性を回避し、患者に「クリーンな」 血液を輸血するようにしている。さらに、欧 州諸国の大半と同様、献血にあたっては一 Tecan Journal 3/2007 検査室のチーム 左からSusan Glaser、 Katrin Kahle、 Amelie Bolte、 HeidrunBusch、 Angelika Stöcker 般的な血清学的スクリーニング検査と血液 型検査をセットにして実施しているが、保健 当局によってはさらに多くの血液検査を要 求するところもある。 ドイツ、Halle(ハレ)にある大学臨床センター (University Clinical Center)の 血 液 セ ン ターでは、1日当たり100∼120人から採取 した血液を取り扱っており、これらの血液か ら各種血液製剤が調製され、主な使用先 である大学臨床センターの病院に供給され る。生物学修士Angelika Stöckerを長とす る血液センター検査室では、それぞれの献 血のサンプルとしてバーコード入りラベルを 貼った直径13 mmの試験管を受け取ると、 直ちにFreedom EVO Clinical 150ワークス テーションを用いてそれをプーリングしてい る。4個のディスポーザブルチップと4個の 固定チップを備えた8チャンネルリキッドハン ドリングアーム1本、1 mLシリンジ、PosID™ バーコード識別デバイス、Logic software™ が搭載されるこのワークステーションは、 MAK-SYSTEMソフトウェアと接続すること で、同ワークステーションとの遠隔コミュニ ケーションが可能となり、例えば、中央検査 室のPCからテカンのプラットフォームに作業 リストを送信することができるようになる。 このリキッドハンドリングプラットフォームは、 迅速で高感度の天秤を使用して、プーリン グしたサンプルの重量を測定する液体到達 の自動チェックシステム「Te-PoolSafeモ ジュール」と組み合わせることにより、性能が 高まり、血液バンクが使用するプーリングア プリケーションの性能を監視・評価すること ができるようになる。Te-PoolSafeでは、プー CLINICAL DIAGNOSTICS Tecan Freedom EVO Clinical 150ワークステーション リングされた分ごとに分注1つずつの重量を 測定し、書面による性能証明を発行するこ とにより、全サンプルのトレーサビリティを確 保する。分注したサンプルに不正確なもの が見つかった場合は、その貯蔵分全体を取 り出して再度ピペットでの分注を行っている。 試験管16本を一組として処理されるサンプ ルは、遠心分離後、そのサンプルそれぞれ から血清400μLずつプーリングされ、その 量は常にTe-PoolSafeモジュールを用いて 確認を行う。さらに、PCRを繰り返す必要が ある場合に備えて、保存用のマイクロタイ タープレートを3枚調製するほか、長期貯蔵 に備えて等量の各サンプルを-30∼-40℃ で保存している。 Te-PoolSafe天秤上でのプーリング用試験管への分注 動的に読み取れる。また、それぞれのプーリン グ分での各サンプル量の正確さについては、 プーリング後に作成されるプーリング分ごとの 重量についてのレポートで確認することができ る。血液貯蔵の自動化により、これまで行って きた手作業とは違い、オペレータのプーリング 処理を監視するための人員が不要になる。こ れにより、さらに大きな時間的余裕ができ、人 員を他の業務に回せるようになった。 Te-PoolSafeオプションは、ご利用いただける国 が限られております。詳しい情報については、現 地営業所までご確認ください。 ■この記事は2007年9月発行 Tecan Journal 3/2007 に掲載されているユーザーストーリーを抜粋、翻訳したも のです。ご質問、ご要望は下記までお願いします。 テカンジャパン株式会社 TEL. 044-556-7311/FAX.044-556-7312 E-mail: [email protected] プーリング用試験管に 血清を分注している Te-PoolSafe天秤の接 写写真 貯蔵血液に対しては、ヒト免疫不全ウイルス (HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎 ウイルス(HCV)を対象としたPCRベースの 検査が行われ、PCR検査の結果、1つでも 陽性があれば再検査を行う。再検査で当 初の検査での陽性が裏付けられた場合に は、さらなるPCRベースの検査に向け、8サ ンプル貯蔵分2組の血液を元の16サンプル から調製し、陽性を示した貯蔵分の8種類 の 血 清 を 個 別 に 検 査 す る。ま た、ELISA ベースの検査では、PCRから得られた結果 の確認に加え、ヒトサイトメガロウイルス抗体 およびTreponema pallidum(梅毒トレポネー マ)抗体についても確認する。 プーリングプロセスの自動化以前は、プーリ ング量が正しいかどうかをオペレータが目視 で検査していた。これに対し、Te-PoolSafe では、それぞれのプーリング分の16サンプ ルのデータをPosIDバーコードリーダーで自 15 Tecan Journal 3/2007
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