90 5 極限定理 例 5.1.7(ランダムウォーク:酩酊したお父さんの行方は?)X1 , X2 , . . . を Rd -値の iid,各 Xj は,次の 2d 個の値: (±1, 0, . . . , 0), (0, ±1, 0, . . . , 0), . . . , (0, . . . , 0, ±1) を等確率 1 2d でとるとする.このとき, def Sn = X1 + · · · + Xn , n = 1, 2, . . . は各 n に対し d-次元の格子: Zd = {x = (x1 , . . . , xd ) ; xj ∈ Z} に値をとる確率変数であり,これを d -次元ランダムウォークと呼ぶことにす る.d 次元の格子を一歩ずつ歩くと考えると,Xn は n 歩目の変位,Sn は n 歩目の位置を表す.仮定より各変位 X1 , X2 , . . . は独立かつ全方向(d = 1 な ら左右,d = 2 なら東西南北,…)に等確率である.したがって,ランダム ウォークはさながら酩酊の末に方向感覚を失ったお父さんの千鳥足を表して いる ….(∗∼ 4 ∼ ∗) ノ部長が何だっつーの,コノヤロ. ふらふらとさまよったお父さんが,2n 歩目で元の居酒屋に戻る確率の n → ∞ での漸近挙動を求めてみよう. • d = 1 のとき,{S2n = 0} = {X1 , . . . , X2n のうち ±1 がそれぞれ n 個ずつ } より µ P (S2n = 0) = 2n n ¶µ 1 2 ¶2n 1 ∼ √ . πn (5.6) (5.7) • d = 2 のとき,{S2n = 0} は次のように言い換えられる: n [ ( k=0 したがって, ) X1 , . . . , X2n のうち (±1, 0) がそれぞれ k 個ずつ, (0, ±1) がそれぞれ n − k 個ずつ .
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