「シェフが語るペルー料理 - 豊かな食材と伝統のうま味 -」 ・日時 : 2010 年 5 月 25 日(火)13:30~16:00 ・場所 : ABC クッキングスタジオ ABC 丸の内 Ground ・参加者: 約 100 名 (トップシェフ、料理研究家、調理師専門学校講師、研究者、ジャーナリスト、一般) ・共催 : NPO 法人うま味インフォメーションセンター、 財団法人味の素食の文化センター ・後援 : ペルー共和国大使館、ペルー政府観光局 ・協賛 : 味の素株式会社 ・協力 : NOBU TOKYO、International Press、KYODAI MARKET <プログラム> 13:30 : 開会・来賓の挨拶 味の素株式会社会長 ・財団法人味の素食の文化センター理事長 山口範雄氏 ペルー共和国特命全権大使ファン・カルロス・カプニャイ氏 13:40 : シェフの紹介 13:45 : 小西紀郎氏(Konishi Toshiro)によるプレゼンテーション ペルーの紹介動画DVD、ペルー料理の歴史、三つの地域(海岸、山岳、森林)の食の特徴、 他国の食文化への影響、うま味食材の紹介 ペドロ氏(Pedro Miguel Sciaffino )による 4 品の調理デモンストレーションと試食 15:40 : Q&A 16:00 : 閉会 NPO 法人うま味インフォメーションセンター理事長 栗原堅三氏 ペルーからペルーが誇る日本人シェフ小西紀郎氏とペルー人シェフペドロ・ミゲル・スキアフィーノ氏を 迎え、日本初のペルーの食文化、調理セミナーが開催された。 ペルーは、中南米の西側(太平洋側)に位置し、世界中で親しまれているトマト、ジャガイモ、唐辛子の原 産国だが、その食生活や料理に関して日本ではあまり知られていない。 まず、小西シェフにより、ペルーの国土は南北に走るアンデス山脈を境にして気候的に次の 3 地域からな ること、続いて各地域ごとの伝統的な食材と料理について動画を交えたスライドにて紹介が行われた。 コスタ(海岸地域):白身魚、ダック、牛肉、タマネギ、レモン、唐辛子、コーン、アボカド、トマト シェラ(山岳地域):ヤギ、豚肉、鶏肉、小魚(Ispi)、バタービーンズ、コーン、ピーナツ、オリーブ、唐辛子 モンターニャ(熱帯森林地域):鶏肉、卵、米、魚(Paiche)、唐辛子、果物類(パパイヤ、ルクマ、パイン) 実際に代表的なうま味食材であるチチャモホラ(コーン発酵調味料)、アルパカの干し肉、アヒアマリーリョ(黄 色唐辛子ソース)、アヒミラソル(赤唐辛子ソース)の試食となった(試食Ⅰ)。会場では参加者が初めて味わ うアルパカの干し肉(チャルキ=ジャーキーの語源)やチチャモホラ、唐辛子ソースを慎重に試食する様子 が見受けられ、また、取材で参加のペルー人から「チャルキはとても懐かしい、ペルーのだしの味!」との 一言が聞かれた。 1 ここでペドロシェフの登場。先の小西シェフのプレゼンテーション中に紹介されたペルーの代表的な 料理 4 品につき、次々と見事な手さばきで調理デモンストレーションが行われた。 セビーチェ: ペルー流のお刺身。(試食Ⅱ) (海岸地域) 魚介類をレモン果汁(ペルーのレモンはライムに近い)ベースの調味料でマリネしたも の。酸味が利いているので付け合せには茹でとうもろこし、甘煮のサツマイモを添え る。 ソルテリート: サラダ。(試食Ⅱ) (山岳地方) アンデスのバタービーン(ソラマメに似ている)とフレッシュチーズのさっぱりしたサラダ。 チチカカ湖産の小魚(いりこに似ている)を入れる。 アンティクッチョ:牛ハツの串焼き。(試食Ⅲ) ペルーの街角で良く見られる庶民的な料理。マリネ液に漬けて焼き、唐辛子ソースを 添える。 カラプルクラ: 乾燥ジャガイモと肉類の煮込み。(試食Ⅲ) 古代インカ帝国時代から伝わる伝統料理でかつてはリャマやアルパカの肉を煮込ん だが、現在は牛肉・豚肉・鶏肉が使われ多くの香辛料を用いてじっくり煮込む。 ⇒「~ご家庭で味わうペルー料理~」レシピー参照。 試食後の質疑応答では、小西シェフより 「ペルーでは主に4種類のとうもろこしを食べているが、主食用なので甘味のないものを食べている。日 本でおつまみに見かけるジャイアントコーンはペルー産。」 「これらの試食の品々は非常に日本人の口に合うが、日本人向けにアレンジはしていない。ペルーは 食材の豊富な国。食材の豊富な国は、素材そのものの味を生かした調理をするので、そこが日本の調理 と共通していて、日本人の味覚にあうのだと思う。」との言葉で締めくくられた。 また、初来日のペドロシェフは、ペルーでもうま味を学んできたが、日本でのお茶席、京都老舗料亭で のだしの試飲、有機栽培のトマトの試食等により、多くのうま味を体験し”Umami is everywhere!”と感激 し、「Umami は世界共通の味であることを、強く実感した。」とコメントした。 ペルーの豊かな自然、それに育まれた素晴らしい食文化に接し、ペルーをこよなく愛す2人のシェフに 魅了された一日となった。 試食Ⅰ 試食Ⅱ 試食Ⅲ ペルーのうま味食材 左:ソルテリート(サラダ) 左:カラプルクラ 左からチチャモホラ(コーン発酵調 味料)、アルパカの干し肉、アヒア マリーリョ(黄色唐辛子ソース)、ア ヒミラソル(赤唐辛子ソース) 右:セビーチェ(ペルー流お刺身) (豚肉と干しジャガイモの煮込み) 右:アンティクッチョ (牛ハツの串焼き) 2 レクチャー中の小西シェフ 調理デモ中のペドロシェフ 会場の様子(エントランス) 会場内の様子 ペルーのうま味食材展示 味の素株式会社会長 ・財団法人味の ペルー共和国特命全権大使 NPO 法人うま味インフォメーション 素食の文化センター理事長山口範雄氏 ファン・カルロス・カプニャイ氏 センター理事長 栗原堅三氏 シェフ一同 左から ペドロ氏、小西氏、篠田氏(NOBU TOKYO)、横山氏(同左)、山本氏(同左)、荒井氏(荒井商店) 3
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