2016年3月22日

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2016年3月22日
〈握りあい〉
先週は、日米両国で金融政策決定会合が開催されました。先ず、日銀でしたが、常に米国の
FOMC後というイメージが埋め込まれているせいか、今月に限り何故FOMCの前日に開催するのか、
さらには、その必要性がどこにあるのか、との極めて率直な疑問が生まれたことは確かでしたが、
それはさておき、市場予想通りの政策維持となりました。細かなことを言えば、MRFをマイナス
金利適用外にしたほか、0%が適用される、いわゆる「マクロ加算残高」を3ヶ月ごとに見直すこ
とを決定。景気判断も「基調としては」という前置きを付け加えて、「穏やかな回復を続けてい
る」と若干の下方修正を行いました。市場の予想通りの結果とはなったものの、一部では根強い
「追加緩和期待」なるものが存在していたことで、ドル円は売りの反応という、こちらも予想通
りの市場状況となりました。そもそも、当日は短期投機筋達による「日銀プレー」が繰り返され
ています。アルゴ取引が蔓延っていることもあってか、11時45分を過ぎても日銀からの発表がな
いと分かると、ドル円は思惑的な買いから一時114.033円まで急伸。その後は113.552円まで急速
に値を下げる動きとなりました。そして12時30分を前後して再び「時間アルゴ」が発動。一時
114.152円の高値まで買い上げられたものの、12時35分に日銀が政策の維持を発表すると、後は
言わずもがなの動きといったところです。そして、翌日に開催されたFOMCでしたが、こちらは予
想通り金利引上げを見送り。声明文では国内の景気認識について前回から上方修正したものの、
「世界経済や金融情勢がリスクをもたらし続ける」との認識を示したほか、同時に公表されたメ
ンバー全員の「経済・金利見通し」では2016年末のFF金利見通しを前回の1.375%から50bp引き
下げるかたちで0.875%まで下方修正させました。ダウ平均はかなり堅調な動き。クロス円が全
般に上昇するなど、リスクオンの動きにG20以降の主要国による政策協調がまさに功を奏したか
たちとなりました。
ところで、この政策協調。G20では世界経済の安定した成長にとっては「金融政策」だけでは
なく、「財政政策」も必要だという認識で一致したことで、各国がその方向性での政策を模索し
始めたわけですが、市場はその動きを敏感に察知。早速「リスクオフ」というテーマから外れる
道を選んだと言えます。議長国だった中国は、先陣を切って「追加利下げ」を実施。全人代では
「公共投資の拡大」を表明しました。続いて通貨取引にトービン税を課すことで、今年に入って
からの市場混乱の元凶となっていた「資本流出」を抑制するために動き出しました。ECBは10日、
大規模な追加金融緩和を実施。FOMCは先週、「市場情勢」という本来米国の金融政策決定の判断
材料とはなり得ない事象に焦点を当てるという、いわゆる最大限の「配慮」を施すことになりま
した。残るは政策変更を見送った日本となるわけですが、16日には「国際消費増税延期検討会
合」(正式名称は「国際金融経済分析会合」)なるあからさまなパフォーマンスを見せるなか、
黒田日銀総裁の次の1手となる「量的」及び「質的」追加緩和が「5兆円」とも「10兆円」とも言
われている経済対策とパッケージで決定する可能性が高まってきているといえます。いずれにし
ても、市場のセンチメントが変化していることは明らか。月末に向けて本邦実需のフローに左右
されつつも、「グローバルな政策相場」が展開されていくことになりそうです。
(GI 和田仁志)
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