テレビ ゲーム 産業白書 - 株式会社メディアクリエイト

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2007
テレビ
ゲーム
産業白書
2007テレビゲーム
産業白書
キーワードは「コモディティ」。
既に「コモディティ」となったニンテンドーDS、
ゲームの特殊性が喪失し、
あらゆるビジネスと接点を持つ!
DSは何をもたらすか? Wii、PLAYSTATION 3はどうなる?
再び成長軌道に乗ったゲームビジネスのすべてが本書1冊に集約。
過渡期における構造変化の要因、帰趨、影響を評価分析。
株式会社 メディアクリエイト
豊富なデータは資料としても最適。
「現状」→「展望」
、「因果関係」が一目で整理できるカラーチャートを収録。
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Contents
第1章 テレビゲーム市場総括
コモディティ化したDS!
ゲームビジネスの今後がそこに凝縮している
【細川 敦】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10
テレビゲーム業界 2006-2007年 キーワード
お茶の間、ホームサーバー、メディアセンター
【赤尾晃一】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 16
生活浸透、自己啓発、お母さん
【天野 隆】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 17
カジュアル層、PS3リスク回避、アクション+オンライン
【福田聡一郎】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 18
「成功法則」の「破壊」と「作家」の誕生
【猪狩淳一】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 19
原点回帰、ハイビジョン化、新コミュニケーション時代
【本田雅一】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20
新規ユーザー、懸念されるゲーム業界、ゲームのあり方
【清田 誠】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 21
戦略の成功、現場力、ラインロビング
【勘原安司】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22
第2章 テレビゲーム業界各論
テレビゲームにおける大企業と小企業の競争力
【藤山英樹】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 24
2006年のキャラクタービジネスを振り返る
【陸川和男】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 28
家庭用ゲーム機とネットワークサービス
【西田宗千佳】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 32
ゲーム流通の変化が生むダイナミズム
【細川 敦】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 36
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ゲーム産業2007年プロモーション動向
【福井美行】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 40
新ユーザー開拓をめぐる次世代ゲーム機戦争
【後藤弘茂】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 44
地域間格差による均一マーケティングの限界
【細川
敦】・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 48
第3章 テレビゲーム市場動向
2006年 テレビゲーム市場規模
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 54
次世代機分析(購入者アンケートより)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 60
新品
機種別 分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 64
ジャンル別 分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 82
メーカー別 分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 94
販売本数Best500
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 107
月別データ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 128
注目タイトル要因分析・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 152
【参考データ】2005〜2003販売本数Best100 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 160
中古
市場分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 168
機種別 分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 170
ジャンル別 分析
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 180
販売本数Best100&注目タイトル ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 192
第4章 テレビゲーム業界傾向
レポート集
時代は一極集中型の商戦期へ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 208
ゲームソフトの寿命は二極化の傾向へ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 210
女児向けタイトルは微増ながら拡大傾向へ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 212
学習系・生活系ゲーム・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 214
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データ集
生活・実用系ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 216
ベスト版・廉価版
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 217
オンライン対応ゲーム ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 218
新規タイトル
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 219
レトロ・復刻(リメイク)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 220
スピンオフ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 221
男性向けゲーム・女性向けゲーム ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 222
パチンコ・パチスロ
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 223
野球ゲーム・サッカーゲーム ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 224
箱庭ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 225
歴史ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 226
和風ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 227
海外制作ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 228
ミリタリー
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 229
原作付ゲーム
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 230
C・D・Z区分
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 232
第5章 テレビゲーム小売店動向
業態別主要店舗数 一覧
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 236
オンライン通信販売 主要サイト
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 244
【参考資料】
TOPICS2006(1〜4月)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 166
TOPICS2006(5〜8月)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 206
TOPICS2006(9〜12月)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 234
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Chapter02
ゲーム流通の変化が生むダイナミズム
〜誰もがゲーム売り場に足を運ぶ時代、依然続く商慣習は変わるのか?〜
第1章
細川敦 (株式会社メディアクリエイト代表)
第2章
第3章
第4章
テレビゲーム小売業は「店舗数は減少、売り場面積は
増加」という推移を示してきた。つまるところ寡占化
環をもたらし、一気に1,000店規模へと急成長し、ゲー
ム流通の主チャネルとしての地位を固めた。ほかのチ
が進行し、既に上位10法人で50%を超えるシェアを獲
得してきている。一般ユーザーの増加に連れ、本部の
ャネルの地盤沈下の中で成長し、それによって他チャ
ンネルを駆逐するという勢いであった。
企画力と現場対応力が問われるようになってきた。一
方、パッケージメディアの優位性と同時に、ゲーム機
SCEはPlayStationを立ち上げる際に、任天堂とは異
なる展開を行った。流通面でいえば、問屋を通さない
の媒体戦略の如何によっては、コンテンツの配信も現
実味を帯びる。これらについて考察を加えよう。
直販方式であり、CD-ROMのメリットを活かしたリピ
ート、そして中古ソフト排除の新品主体の形態である。
■ポイント経済圏競争、商業集積間競争の始まり
中でも、PlayStationの初期ユーザーをコアなゲームユ
ーザーと想定し、こうした顧客を持ち、力をつけてき
第5章
ファミコンが発売された黎明期は、任天堂が玩具流
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業
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た専門店FCを主要チャネルとした。
通を基本としていたこともあり、玩具流通による①玩
具専門店、②玩具量販店、③百貨店(玩具売場)
、④
しかし、コアユーザーへの普及が一巡すると、ライ
ト層への浸透を図る必要性から、主要チャネルを家電
GMS(玩具売場)がメインだった。しかし、①と②と
いう玩具専門店系はトイザらスの出現と拡大の中で、
量販店、カメラ量販店へとシフトさせた。量販店がメ
インとなる中で、値引きが横行。それが市場在庫の余
その存在意義を失っていった。②の代表的存在のひと
つであった「バンバン」の消滅はその象徴であった。
剰感による値引きと重なり、専門店の収益が低下。結
局のところ、中古ソフトへの依存ということになって
百貨店はギフト需要で多少の存在意義を持っていた
が、当時の百貨店自体の地盤沈下により次第に低迷。
しまった。
PS2の発売に際して、SCEはこれまでFC本部に支払
GMSは大量製造、大量消費を支える大量販売の担い手
として、またチェーンオペレーションの体現者として
っていたマージン(ロイヤリティ)を取りやめ、原則
的にすべての小売業者に対し、一律0.75掛けの適用に
旺盛な出店を続け、ファミリーを対象とする擬似百貨
店として成長を続けた。
踏み切った。FC本部(問屋も)は、本部経費を加盟
店に転化せざるを得ず、加盟店は直営店との競合上の
しかし、大量生産、大量販売、大量消費の終焉とデ
ィスカウンターとの競合、中流層の拡散により業態と
不利を余儀なくされ、ますます中古ソフトへの傾斜を
強めた。つまりは、テレビゲームのみを扱う専門店業
して転換期を迎え、結果的に二〜三社に集約された。
DSやWiiのターゲットと客層の適合により、GMSは再
態は、収益性の低さとリスクの高さから、ほぼ成立が
困難な状況となったということになる。
びゲームの取扱いを拡大してきている。
ファミコンソフトの価格の高さと品切れは中古ソフ
PS2以降、ユーザーの年齢層の上昇(結果的に都市
部のビジネスマンの増加)
、ハードのAV機器化によっ
トを生むことになった。これによって中古を扱う専門
て、家電量販店やカメラ量販店の比重が増加しつつあ
店が誕生した。当初は中古専門であったが、次第に二
次問屋から商品供給を受け、やがて勢力の拡大により
る。同時に、専業、兼業を問わずネット通販が台頭し
てきており、一定数のシェアを獲得するに至っている。
一次問屋との口座を持つに至った。
専門店は、ゲーム流通の特殊性と閉鎖性による新規
特に、店舗密度の低い地方、比較的ニッチなジャン
ル(PC、美少女ゲーム、乙女ゲーム、ボーイズラブ
取引の難しさ、中古オペレーションのノウハウにより、
FC展開を推進していた。加盟店から余剰在庫を買い
etc…)で強みを発揮してきている。また、有限な店
頭在庫という制約がなく、いわゆるロングテール型と
取り、新規加盟店の開店在庫に転用という方式が好循
なっている。
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テレビゲーム業界各論
図表1【2006年 小売業法人シェアベスト10】
業態
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3
4
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6
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9
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電器店
複合店
カメラ量販
カメラ量販
玩具量販店
ゲーム専門
複合店
GMS
GMS
複合店
販売店名
シェア
10.86%
8.92%
5.03%
4.55%
4.25%
3.78%
4.24%
3.58%
3.46%
3.55%
ヤマダ電機
ゲオ
ヨドバシカメラ
ビックカメラ
トイザらス
NESTAGE
テイツー
イトーヨーカドー
イオン
TSUTAYA
※メディアクリエイト調べ
さて、以上の経緯からテレビゲームを扱う業態は、
ユーザー層の変化と普及、認知浸透による商品知識の
向上により、次のように変遷してきた。
なる。同時に、ゲーム流通の寡占化が進み、小売業の
数法人で過半数を占める状態となった。弊社調べでは、
上位10チェーンで52.22%となっている(図表1)
。
また、顧客の囲い込みと値引きの一形態として、ポ
イント制度が広く普及している。すでにほかの業態と
の交換、相互活用の段階となってきており、一法人の
枠を超えたポイント経済圏が生まれつつある。ポイン
第1章
第2章
ト制度については、地域通貨の観点や市民や企業の社
会貢献としても大きな可能性を持っている。
今後、ポイント経済圏の強弱、ポイントで獲得でき
る価値(基本的には、市販されておらず価格のないモ
ノやサービスであり、筆者はそれを権利と考えている)
という経済合理性はもちろんのこと、将来的には「ベ
第3章
第4章
ルマーク」的な所属集団の利益、寄付、社会参加とい
う広範な公共活動、市民活動とも連動したものになる
商品としてのゲームソフトは、もともと粗利益が低
い上(2 5%)
、需要が予測しにくく不安定な嗜好品、
と思われる。
競争という点でみるなら、業態間競争からポイント
買い取り、ボリュームディスカウントが効きにくいと
経済圏競争へ、商業集積間競争へ移行していく。一例
いう商習慣、値引きの常態化によって、リスクが高く
収益性の低い商材である。
であるが、池袋、新宿、渋谷をつなぐ地下鉄副都心線
の開通(東京メトロ13号線、2009年6月予定)で新宿
従って、単一の商材ではなく、ほかの商品群と併せ
て集客力や粗利益とせざるを得ず、必然的に直営店が
を中心とした巨大な商業集約ができあがる。JRつくば
エクスプレス線によって都心東部の商業集積の雄とな
有利となる。また、在庫のスムーズな店間移動やオペ
レーションの徹底という点からも直営店が優位性を持
った感のある秋葉原と、二大サブカルチャー系の商業
集積が成立する。こうした動きを見据えて、流通再編
つ。FCであっても、加盟店(フランチャイジー)が
法人であったり、本部の統制力が強かったり、店舗単
が動き出している。
位での売買を原則とし粗利益率も高い中古の取扱いが
多い場合は別である。
■セルフサービス下の店頭提案力とは何か
今後、小売業はどう変化していくのか、どんな機能
以上をチャートで表すと、下記のようになる。
が求められるのか、そうした点について検討を加えて
みたい。
つまるところ、冒頭に述べた変化に流通業としてど
う対応していくかということになる。
その結果、店舗数の減少、総売り場面積の拡大とい
現在、大半がセルフサービスの売り場となっている。
すべての業態で、自分で商品を選択し、レジに向かい、
う状況を招く。必然的に直営店の展開が可能な大規模
のナショナルチェーンが主たるチャネルということに
代金の決済をする。従って、選びやすい、探しやすい、
見やすい陳列が基本となる。同時に、関心を引き需要
図表2【業態別シェア(ソフト本数ベース)
】
定義
ユーザー特性
中高生〜大学生
立地特性
専門店
テレビゲームの取扱を主体とする小売業
地方住宅地
複合店
映画や音楽のビデオ、DVDの販売およびレンタルに加え、雑誌や書籍も扱う 一般(女性多し) 郊外・住宅地
来店手段
商圏人口
ゲームシェア
徒歩・自転車 1〜2万人
15.0%
徒歩・自転車 3〜5万人
22.5%
GMS
食料衣料を中心に総合的な品揃えをする総合スーパー
ファミリー、一般 駅前・郊外ロードサイド 自動車
20万人
7.5%
カメラ量販
カメラの販売を出自とする量販店
ビジネスマン
100万人
13.0%
32.5%
大都市ターミナル 電車
家電量販
家電の販売を出自とする量販店
ファミリー、一般 郊外ロードサイド 自動車
10〜20万人
玩具量販店
玩具をセルフサービス販売し価格訴求をする小売業
ファミリー、一般 郊外ロードサイド 自動車
100万人
ネット通販
インターネット上の小売業
ビジネスマン
-
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-
4.5%
5.0%
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Chapter02
を喚起する情報提供も欠かせない。切り口を変えての
モディティ化し、万人が触れるものとなっている。
提案も必要だろう。もちろん、主要客層や立地によっ
て提供する情報の内容は異なる。
第1章
第2章
筆者はこうした情報提供力、提案力を次のふたつに
分けて考えている。
①仕組みによる企画力…本部対応
②店頭における接遇力…現場対応
すでに述べたように、セルフサービスが基本であり、
②の接遇力とは、販売員による濃厚な接客サービスで
第3章
第4章
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ゲーム機への接し方が上記のように変化してきてい
はない。販売員の推薦・推奨で購入に向けて背中を押
す「プッシュ戦略」としての接遇、人的サービスでは
る(詳細は、巻末の折り込み付録参照)
。誰もがどこ
でも使う、すなわち、あらゆる生活シーンで使うもの
ない。セルフサービスを補完し、ユーザー層の拡大に
対応した、商品知識や使い方の説明という意味での接
となっており、それについての提案が必要ということ
である。また、得られる効果、効能についても説く必
遇力である。むしろ、①が本部対応であるのに対し、
対照させる意味で、②は現場対応という意味で用いて
要があろう。
同時に、Wiiでのリモコン、PLAYSTATION 3の
いる。
本来、①と②は補完し合うものであり、いずれか一
HDMI、さらにはネットワークへのつなぎ方、ネット
ワークでの楽しみ方についても、ある程度のライフス
方というものではない。しかし、自社の持っている弱
タイルを踏まえた説明が欠かせない。こうした機能を、
点をカバーするという点で、どちらかを選択すること
が現実的である。
ライフスタイルを想定した生活シーンごとの提案力と
表現したものである。
現場がアルバイト主体の場合は①を、現場が正社員
もしくは長期間雇用されているパートタイマーであっ
DSによりゲーム機が、ゲームソフトが日用のもの
となりつつある。しかし、一般ユーザーにとって、
て、本部が主体的に企画を立案し実行する体制にない
場合は②となる。蛇足ながら、アルバイトは短期間雇
「日用」の意味があいまいであり、実際に自分の生活
とどう関わり、便利で楽しいものとなるかについて、
用者、パートタイマーは長期間・短時間雇用者という
意味で用いている。傾向として、FCは①を、直営店
充分な知識を持っているわけではない。こうしたギャ
ップを埋めることが流通の役割なのである。
は②を選ぶことが多いように思われる。
具体的には、①は全店統一されたビジュアルMD、
POP等の販促展開、売り場、そしてイベントとなる。
広義に店頭のメディア化といわれるものだろう。②は、
不慣れで商品知識が不充分なお客への声がけ、ニーズ
探索、誘導、紹介…という一連の流れとなる。現場の
担当者が自ら、すべきことを考え動くという意味で、
現場対応、現場力ということになる。
上の図にあるように、流通の役割とはユーザー満足
本部の持つ仕組みか、現場の持つ臨機応変な対応か、
セルフサービスと同様に標準化、分業化、チェーンオ
度を最大化することにある。ゲームにおける、
「顧客
満足(CS)
」の意味を再考することが必要だ。
ペレーションをベースとしつつ、ゲームビジネスの環
境変化に、きちんと対応していくために、何を優先し
てどうすべきかという問いに対してのひとつの見解と
■マスクROMか、新たな媒体か? 鍵を握る選択
次にネットワーク、配信時代への対応ということに
いうものである。
なる。すでに、 PLAYSTATION TV DSステーシ
ョン 、 Wiiステーション という名称で、店頭設置
■求められる「日用性」
「便利性」への提案力
①にしても②にしても、重要な要素に「生活シーン」
型の端末が装備され始めている。ただし、いずれも体
験版のダウロードにとどまっており、有料課金による
「ライフスタイル」についての提案力がある。DSはコ
8
コンテンツ販売には至っていない。
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テレビゲーム業界各論
バーチャル
対象となるだけになおさらだ。ただし、iPodで可能と
コンソール
Xbox Live によって、自宅でコンテ
ンツ配信を受ける方式がスタートしている。現時点で
なったことが今後もゲームコンテンツでは困難と考え
る方が不自然であり、DSが書き換え可能な汎用メモ
は、旧タイプのソフト配信にとどまっているのが現状
である。今後、新作ソフトの配信がどのようになって
リーを採用するという前提に立つなら、さほど遠い先
のことではないだろう。
いくか注目される。新型コンソール機の新作ソフトは
データ容量とネットワークインフラの兼ね合いもあ
筆者は、店舗によるパッケージメディアと併用して、
簡便なステーションタイプのキオスクでのゲームコン
り、追加データはともかく、当面光ディスクによるパ
ッケージメディアの優位性は揺らぎそうにない。
テンツのダウンロードサービスが意外に早く始まると
考えている。その際、物販型店舗よりもサービス提供
ただし、携帯ゲーム機の場合はデータ容量から見て
充分に可能である。一般的なユーザーが非ゲームジャ
店舗の方が親和性が高いと思われる。一例であるが、
通信キャリア三社が個別に展開している携帯電話店、
ンルを含む新作ソフトを有料ダウンロードサービスで
入手することは充分にあり得ることだと思われる。
売り場などが考えられよう。
特にDSが後継機を含めて、専用メモリーであるマ
スクROMを使い続けるかどうかが鍵を握る。すでに
■商習慣を覆すDSのコモディティ化
さて、書き換え可能な汎用メモリーが実現するなら、
マスクROMの製造供給は限界となっており、伸びし
ろはほとんどない。集中した昨年末には、受注の前倒
買い取り制度が揺さぶられることになろう。なぜなら、
製造コストが劇的に低下するからである。理屈上は、
しやリピートの遅れといったしわ寄せが生じている。
売れ残ったソフトは返品され、データが消去され、新
DSの普及台数から見て、供給に制約がある専用品
はむしろ非合理的だ。コピーガードが克服できるなら、
たなコンテンツがインストールされるという仕組みが
実現するからだ。
書き換えが可能な汎用メモリーのほうが合理的だ。メ
モリー容量の点でも専用品より弾力性がある。
たとえが不適切かもしれないが、かつてのビール瓶、
物流でのパレット、いずれも企画が統一され汎用化す
目立ってきた売れるソフト、売れないソフトの格差、
つまり二極化もさらに拡大すると想定される。ジャン
ることで、なかば公共財的な性格を持った。変動費で
ある製造コストが減少し、コストの大半が限りなく固
ルの種類、販売量に合わせて柔軟に対応するには、配
信とパッケージを組み合わせていくことが効率的であ
定費的な開発費となるなら、委託返品制度が可能とな
るかもしれない。
る。いずれにしても、書き換え可能な汎用メモリーと
専用で書き換え不可能なマスクROMをどう組み合わ
そうならば、書店が有力チャネルとして浮上して来
よう。昨年の白書でも述べたように、非ゲームジャン
せていくかがDSのメディア戦略の鍵を握る。
筆者は汎用メモリーを採用する可能性が高いと考え
ルのほとんどは書籍コンテンツを元にしている。書籍
のデジタル化(ゲーム化)による付加価値創造なのだ。
ており、その際、ソフトのダウンロード配信が一気に
現実味を帯びることになる。問題は、どこでどう課金
その意味で書店との親和性は高い。
本白書の統一テーマであるDSのコモディティ化は、
するかだ(複製防止といった技術的なことは別にし
て)
。
あらゆることに影響を与える。そのひとつが汎用メモ
リーの採用であり、書き換え可能という特徴は配信ビ
恐らく、店頭設置のキオスク型か、自宅で受けるか
のいずれかとなる。前者の場合、大型筐体ではなくも
ジネスや従来の商慣習を覆すのである。任天堂がマス
クROMを捨てる日、いつか訪れると想定して対処す
っと小ぶりな形状で、かつセルフサービス自販機型で
ることがビジネスであり、そのための条件は揃ってき
あることが必要だ。ただし、こうしたキオスク型で成
功事例はなく、どこまで簡便な操作とワンコイン感覚
たのである。
「いつか」は決して遠い先ではない。
むしろ、 PLAYSTATION Network
第1章
第2章
第3章
第4章
でユーザーの気持ちをとらえるかが課題となる。容量、
課金、コピーガード、操作性のすべてをクリアするこ
とは容易ではない。
かといって、自宅での受信も簡単ではない。同様の
課題を克服しなくてはならず、お年寄りから子どもが
9
第5章
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Chapter03
2006年 テレビゲーム市場規模
主役はソフト・ハードともにDS
新作+中古市場規模が7,000億円を突破
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
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2006年のハード+新品ソフト+中古ソフトにおける
金額ベースの市場規模は、約7,052億円(新品ソフトは
本数ベース:3.35%、Wiiが金額ベース:8.25%、本数
ベース:6.72%となっている。
販売本数Best500、中古ソフトは販売本数Best2000で
集計)
。このうち、前年同様、新品ソフト市場が約半
新品ソフト市場においてもDSの快進撃は続き、金
額ベースでは45.48%、本数ベースでは54.31%と圧倒
数の47.92%を占め、次いで、ハード市場37.64%、中
古ソフト市場14.44%と続く。
的なシェアを占有。今年はDSが比類なき強さを見せ、
2001年以降市場の中心を担ってきたPS2を抜き、単独
個々の市場を見ていくと、まず、ハード市場(金額
ベース)では、DSと2006年3月に発売された上位機種
首位に立った。
中古ソフト市場では前年と同様、金額ベース、本数
DSLの合計で52.01%と過半数を獲得。次いで、2005年
と同様にPSPが16.26%と続く。DS+DSLは販売台数で
ベースとも過半数のシェアを維持したPS2が中心。し
かし、中古市場でもDSやPSPの成長が著しい。金額ベ
も6割以上のシェアを占めており、2006年はDS主流の
ースでDSは3.73%→18.07%、PSPは4.28%→8.10%ま
年であったといえる。また、2006年末に発売された新
ハード2機種の構成比は、PS3が金額ベース:9.53%、
で広げている。中古市場も目覚しい成長を見せる
DS・PSPが一極傾向だったPS2に迫りつつある。
【2006年市場規模(金額ベース)】
中古ソフト販売金額
14.44%
1,018億3,802万1,000円
ハード販売金額
37.64%
2,654億5,246万8,000円
年間ハード&新品ソフト&中古ソフト販売金額合計
7,052億3,080万9,000円
※ソフトは新品が販売本数Best500、中古が販売本数Best2000を基に集計(それぞれ市場全体の90.37%と85.31%)
10
新品ソフト販売金額
47.92%
3,379億4,032万円
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テレビゲーム市場動向
ハード編
【機種別販売金額構成比】
Xbox360 2.50%
66億4,353万2,000円
Xbox 0.01%
2,971万1,000円
DSL 46.98%
1,247億1,183万1,000円
DS 5.03%
133億6,314万5,000円
GBM 0.62%
16億5,541万1,000円
GBASP 0.78%
20億7,755万9,000円
PS2 9.71%
257億8,796万5,000円
第1章
PS3 9.53%
253億754万6,000円
第2章
PSP 16.26%
431億7,478万3,000円
第3章
GC 0.29%
7億7,487万4,000円
Wii 8.25%
218億9,669万円
第4章
第5章
GBA 0.01%
2,941万9,000円
ハード販売金額合計
2,654億5,246万8,000円
【機種別販売台数構成比】
Xbox360 1.42%
19万4,134台
Xbox 0.01%
1,769台
DSL 54.27%
742万3,323台
DS 6.84%
93万5,401台
GBM 1.06%
14万4,843台
PS2 10.60%
145万237台
PS3 3.35%
45万7,557台
PSP 13.52%
184万9,174台
GC 0.55%
7万5,879台
Wii 6.72%
91万9,643台
GBA 0.03%
3,461台
GBASP 1.63%
22万2,604台
ハード販売台数合計
1,367万8,025台
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Chapter03
ジャンル別
DS学習系タイトル増加でETCがシェアトップ
ETC、RPG、ACTの三強体制に
第1章
第2章
第3章
第4章
2005年に台頭してきたETCが、2006年はさらに勢力
を増大。一気にトップジャンルに躍り出た。
『脳トレ』
制へと変化した。この3ジャンルで市場全体の71.03%
を占めている。
シリーズや『えいご漬け』のヒットにより、学習系や
実用系のタイトルがDSで多数発売。前年比222.77%、
そのほかのジャンルでは、SPTが前年比141.15%、
約150万本の増加で4位に浮上。ワールドカップ開催を
1,000万本近くの増加という大躍進を見せた。これまで
A C T、R P Gが二大ジャンルとして君臨してきたが、
受け、
『ウイニングイレブン10』がミリオンを達成し
ただけでなく、
『Wiiスポーツ』
『みんなのテニス』が
DSのヒット以降は、ETC、RPG、ACTによる三強体
ハーフミリオンを超え、健闘を見せた。
第5章
【販売本数構成比】
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【販売金額構成比】
ETC 26.01%
1,773万9,063本
ACT 20.72%
1,413万51本
TBL 2.81%
191万2,961本
ADV 4.15%
283万2,900本
FTG 4.45%
303万2,209本
STG 0.66%
45万2,400本
PZL 2.47%
168万2,417本
SPT 7.78%
530万3,759本
RCE 2.57%
175万1,072本
RPG 24.29%
1,656万7,430本
SLG 4.09%
279万901本
ETC 19.27%
651億3,300万8,000円
ACT 22.51%
760億7,982万7,000円
TBL 2.69%
90億7,787万4,000円
STG 0.72%
24億3,077万1,000円
ADV 4.30%
145億2,437万9,000円
SPT 8.78%
296億6,918万8,000円
FTG 4.98%
168億2,553万6,000円
SLG 4.96%
167億7,461万2,000円
PZL 1.72%
58億1,066万4,000円
RPG 27.54%
930億7,403万1,000円
RCE 2.53%
85億4,042万8,000円
販売合計本数
販売合計金額
6,819万5,163本
3,379億4,032万円
【発売タイトル数】
ジャンル
タイトル数
ACT
250
ADV
190
FTG
60
PZL
58
RCE
55
RPG
142
SLG
149
SPT
69
STG
26
TBL
81
ETC
141
合計
1,221
ACT
20.48%
ADV
15.56%
FTG
4.91%
PZL 4.75%
12
RPG
11.63%
RCE 4.50%
SLG
12.20%
SPT
5.65%
TBL
6.63%
ETC
11.55%
STG 2.13%
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新品ジャンル別分析
ACT
『Newスーパーマリオ』が圧倒的な強さ
ラインナップも豊富で、安定した人気ジャンル
第1章
第2章
前年比133.59%、前年から約360万本の増加。増加の
最大の要因は何といっても、2 0 0 6年販売本数1位の
『マリオ』以外では、
『ラブ and ベリー』
『星のカー
ビィ』
『ポケモンレンジャー』の3タイトルが7 0万本
『New スーパーマリオブラザーズ』
。圧倒的な強さを
見せACTを牽引。同タイトルを抜いた販売本数は前年
超、その他にも50万本クラスや30万本クラスのタイト
ルが数多くあり、ACTの層の厚さは今年も健在。ラン
と近似値であり、前年増が『マリオ』の有無によるも
のであることがわかる。その影響で、機種別ではDS
クインタイトル数も98タイトルで1位。販売本数こそ
僅差で3位に後退したが、質、量の総合力ではACTが
が、メーカー別では任天堂がシェアを拡大させた。
トップであるといえる。
第3章
第4章
第5章
【販売本数TOP10】
順位 総合 機種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1
14
15
16
21
25
27
28
32
38
タイトル
DS
New スーパーマリオブラザーズ
DS
メーカー名
発売日
任天堂
¥4,800
3,840,296
3,840,296
94.63%
オシャレ魔女ラブand ベリー〜DSコレクション〜(同梱版含む) セガ
06/11/22
¥6,090
774,772
774,772
72.63%
DS
星のカービィ参上!ドロッチェ団
任天堂
06/11/02
¥4,800
743,066
743,066
82.90%
DS
ポケモンレンジャー
ポケモン
06/03/23
¥4,800
737,174
737,174
96.73%
PS2
戦国無双2(限定版含む)
コーエー
06/02/24
¥7,140
564,218
564,218
98.51%
PS2
モンスターハンター2(ドス)
(限定版含む)
カプコン
06/02/16
¥7,329
520,723
520,723
96.54%
PS2
ダージュオブケルベロス-ファイナルファンタジーVII- スクウェア・エニックス
06/01/26
¥8,190
491,694
491,694
92.50%
PS2
機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T. II PLUS バンダイナムコゲームス
06/12/07
¥7,140
433,152
433,152
90.74%
PSP モンスターハンターポータブル
カプコン
05/12/01
¥5,040
392,457
686,837
99.43%
PS2
カプコン
06/01/26
¥7,329
326,590
326,590
96.77%
新鬼武者DAWN OF DREAMS
【機種別販売本数構成比】
【メーカー別販売本数構成比】
順位
Xbox360 1.19%
16万8,696本
PS2 33.53%
473万7,816本
DS 49.60%
700万8,654本
GBA 5.39%
76万1,410本
Wii 0.48%
6万8,302本
価格(税込)2006年累計 実売累計 累計消化率(推定)
06/05/25
PS3 1.90%
26万8,454本
PSP 7.90%
111万6,719本
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
メーカー名
任天堂
比率
5,663,676
40.08%
カプコン
2,081,868
14.73%
バンダイナムコゲームス
1,274,068
9.02%
949,581
6.72%
コーエー
スクウェア・エニックス
810,915
5.74%
セガ
774,772
5.48%
ポケモン
737,174
5.22%
SCE
455,960
3.23%
バンプレスト
405,500
2.87%
コナミ
216,091
1.53%
その他
合計
販売本数
760,445
5.38%
14,130,051
100.00%
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Chapter04
ゲームソフトの寿命は二極化の傾向へ
〜コンソール向けは初週偏重、ハンドヘルド向けは長寿命?〜
第1章
第2章
2006年の年末に発売されたPLAYSTATION 3、Wii
をもってゲームハードの世代交代も一段落した。ゲー
第3章
ム機の寿命を考えた場合、俗に5年周期が唱えられて
いるが、果たしてソフトはどうなのだろうか? デー
タを元に、寿命について検証してみる。初週販売比率
第4章
第5章
2
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や機種による傾向の違いなど、商材としてのゲームソ
よ どうぶつの森』
『脳を鍛える大人のDSトレーニン
グ』などのDS系タイトルはいつまでも売れるタイト
ルとしてデータにも表れている。
簡単に結論を求めることはできないが、機種別でゲ
ームソフトの寿命を考えた場合、DSを中心とするハ
ンドヘルド系タイトルは、長寿命化の傾向があり、
フトは、どのぐらいの期間売れるものなのだろうか?
PS2などのコンソール系タイトルは初週偏重=短命と
いえるのかもしれない。確かにゲームソフト全般でい
■機種別の寿命はハンドヘルド系>コンソール系
まずは図表1を参照してもらいたい。この図表は、
えば、面白さの 旬 は短く、特にキャラクターなど
のコンテンツ力に頼っているものは、その傾向が強い。
初週販売本数を1とし、変動する販売本数を週推移で
しかし、ハンドヘルド系タイトルでは、学習や趣味と
示したもの(ともにPS2、DSのTOP10タイトルの販売
本数を平均化した数値を使用)である。図表上、DS
いった 時期 を限定していないものが多い。これな
らゲームユーザーの琴線に触れたときが、その 旬
系タイトルの34週目と51週目の山は、年末年始、ゴー
ルデンウィークがあったため、一段と山が盛り上がり
であり、タイミングに左右されにくいと思われる。
自分の買いたい時が 旬 であるハンドヘルド系タ
を見せた。これもDS系タイトルの特徴であり、商戦
期では平均的にタイトルに伸びが見られる。
イトルが2006年を支えた。そのため、商戦期も様変わ
りし、タイトルラインナップの多い年末年始商戦に需
この図表を見る限り、機種別ソフトでは、DS系=
ハンドヘルド系タイトルが、長期間にわたり販売本数
要が集中し、それ以外は売れないわけではなく、比較
的ダラダラと売れる状態になっている。これもゲーム
を維持していることがわかる。逆にPS2系=コンソー
ル系タイトルでは、ほぼ5週目(約一月)で0に近い数
ソフトの長寿命化といえるのかもしれない。
値になっている。ここからもハンドヘルド系タイトル
は長寿命化=ロングテール化の傾向が見られる。
■初週販売率からも見えるハンドヘルド系の長寿命化
続いては、図表2の初週販売比率の低かったタイト
小売店では、このロングテールがロングセラーとい
う位置付けになっているのだろうが、事実、
『おいで
ルから検証を加えてみることにしよう。この図表では、
2006年に発売されたタイトルで、なおかつ13週(3ヵ
図表1:DS系、PS2系タイトルの週間販売推移(発売週を1.0とし、週ごとの変動を示したもの)
※データは、すべてメディアクリエイト総研調べ
14
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テレビゲーム業界傾向
図表2:初週販売比率の低かったタイトル 上位15位
順位 総合 機種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
18 DS
8
DS
11 DS
29 DS
1
DS
16 DS
17 DS
3
DS
6
DS
22 PS2
37 PS2
10 PS2
13 DS
34 GBA
21 PS2
タイトル
しゃべる!DSお料理ナビ
英語が苦手な大人のDSトレーニングえいご漬け
テトリスDS
マリオバスケ3on3
New スーパーマリオブラザーズ
ポケモンレンジャー
たまごっちのプチプチおみせっちごひーきに
ポケットモンスターダイヤモンド
ポケットモンスターパール
みんなのテニス
実況パワフルプロ野球13
ワールドサッカー ウイニングイレブン10
ファイナルファンタジーIII(同梱版含む)
MOTHER 3(同梱版含む)
戦国無双2(限定版含む)
初週販売本数
126,530
242,443
218,099
110,708
899,518
193,337
192,458
820,047
768,687
226,976
151,906
460,549
503,051
205,914
327,298
発売後13週の
合計販売本数
初週販売比率
534,570
886,471
709,776
358,703
2,835,708
586,108
551,749
2,329,227
1,931,445
512,387
322,224
971,565
860,507
348,845
548,269
23.67%
27.35%
30.73%
30.86%
31.72%
32.99%
34.88%
35.21%
39.80%
44.30%
47.14%
47.40%
58.46%
59.03%
59.70%
月)を経過しているもの対象にしている。
■ダウンロードなどによって変わるゲームの 寿命
ここでも上位10タイトルまでがDSタイトルとなっ
ている。結果、そうしたDSタイトルの初週販売比率
「ゲームソフトの寿命」についての一応の結論を、
二極化傾向という形でまとめたが、今後もゲームの寿
は、20〜40%にとどまり、発売日以降の販売数も多か
ったことがわかる。300万本を突破した『New スーパ
命がこのまま推移するのかといえば、それは不透明で
あると見るべきだ。
ーマリオブラザーズ』でさえ、31.72%と初週の販売比
Xbox 360、PLAYSTATION 3、Wiiともに「Xbox
率は低い(ただし、初週の販売本数に関しては、メー
カーの出荷数に非常に影響を受けるところが多いとい
Live」
「PLAYSTATION Network」
「バーチャルコン
ソール」などのサービスが用意されている。こうした
うことも考慮されたい)
。
図表には示していないが、200万本以上の販売本数
サービスにより、過去のゲームタイトルをダウンロー
ド、プレイすることを考えれば、コンソール系タイト
となったPS2『ファイナルファンタジーXII』やハーフ
ミリオンの『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナル
ルの二次使用、資源の再利用も現実味を帯びてくる。
これを寿命という捉え方をすれば、コンソール系タイ
ファンタジーVII-』などは、79.43%、82.10%と初週に
おける販売比率が高く、まさに初週偏重(発売日勝負)
トルも 長寿命化 するということになってくる。
ただし、小売店にとっては、店頭での販売というこ
の典型ともいえる。
ここからも、DS系タイトルは、比較的長期間にわ
とではなくなるため、ゲームソフトの寿命は、いまま
で通り、二極化傾向のままと見ることができるだろう。
たり販売実績を残すことができ、逆にPS2系タイトル
では初週偏重という傾向が見えてくる。
つまり、今後のゲームの寿命は、コンテンツ面、販
売金額、販売本数という実数、オンラインを通したも
あくまでも一般論ではあるが、DS系タイトルの場
合、発売日の販売本数が少なくても、それほど慌てる
のとさまざまな側面から判断しなくてはならないはず
だ。販売金額、販売本数という側面ではコンソール
必要がない。逆にPS2系タイトルでは、発売日までに
効果的なプロモーションを展開し、予約を集め、確実
系=初週偏重、ハンドヘルド系=長寿命という二極化
傾向に、さらにオンラインなどを含めたゲームタイト
に数字を予測し、切り替えていくことが重要になる。
話を寿命へと戻そう。結論的には現在発売されてい
ルでは、寿命についてはボーダーレス化が進むものと
捉えておくべきだろう。
るゲームソフトの寿命は短い、長いとはいい切れない。
第1章
第2章
第3章
第4章
しかしながら、一般的なコンテンツであるゲームは、
確かに、現状ではDSの販売金額、販売本数のいずれ
も構成比が高いために、ソフトの寿命が長い印象を受
個人の趣味嗜好に委ねられるものである限り 旬 と
いう寿命があると考えるべきであり、ゲームの内容を
ける。しかしながら、PS2系タイトルは、これまで同
様の寿命を示しており、変化は見ることができない。
含めたシステム、ターゲットとなるユーザーを見定め
たものから、寿命を想定しておかなくてはならない。
というのが、ゲームソフトの寿命であり、コンソー
ル=初週偏重、ハンドヘルド=長寿命という二極化傾
ハンドヘルド系だから、いつまでも売れるというわけ
ではないことを、メーカー、小売店は意識してユーザ
向にあると見るべきではないか。
ーに提供していくことが重要となるだろう。
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第5章
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ISBN978-4-944180-12-7
C3463 エ33334E
35,000円(本体33,334円、税1,666円)
ゲームが根本的に変わる。
生活シーンごとに「使い」
「楽しむ」
ゲームビジネスは可視化し、普遍化する。
※巻末付録チャートより抜粋