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フランス学術情報(平成 23 年 9 月分)
平成 23 年 9 月 15 日
ストラスブール研究連絡センター
●「パリ Sciences Po 大学の入学優遇制度」
2001 年以来、パリ Sciences Po 大学(学長: Richard Descoings)は、フランスの 85 の高校と契約
(CEP: convention éducation prioritaire)を結び、貧しい家庭の生徒の同校への入学を優遇してきた。
2011 年までに、860 人の学生が同大学の入学優遇制度(別枠)の恩恵を受けた。開始当初の 2001
年には優遇制度を利用した学生は 17 人であったが、2011 年には 127 人となり、全学生数の 13%
を占めている。2006 年以来、本制度を利用した学生の就職率は 63%であり、パリ Sciences Po 大学
の平均就職率 56%を上回っている。就職時の平均給与は月 2,500 Euro で、新人の平均給与(月
2,200 Euro)より多い。
パリ Sciences Po 大学は、一般のフランスの大学とは異なり、多数の応募者に厳しい選抜試験を
課し、質の高い教育を行っている。同大学の卒業生は、政府機関や大企業で活躍している。また、
2010 年から 2011 年の同大学の学生の両親の職業を見てみると、知的職業・上級管理職が 50%、
企業経営者等が 21.5%、中間管理職が 10%、会社員が 7.5%、工場労働者が 4.5%、農業が 1%、
その他 5.5%となっている。
参考資料
・Le Monde 紙「Dix ans après, democratization en demi-teinte pour Sciences Po Paris」(2011 年 9 月
15 日)
・DNA 紙「Enseignement superieur – En 10 ans, Sciences Po s’est ouvert aux milieu populaires」
(2011 年 9 月 7 日)
●「医学・免疫学分野の国際協力」
高等教育・研究大臣 Laurent Wauquiez 氏は、2011 年 9 月 7 日、アルゼンチンの科学技術生産
革新省大臣 José Lino Barañao 博士と医学、免疫学に関するフランス・アルゼンチン国際共同研究
所の創設に向けての準備協定書に署名を行った。
本パートナーシップは、免疫学の分野において特に経口ワクチンの新開発を目的とし、フランス
国立保健医学研究所(INSERM)、ピエール・マリー・キュリー大学、フランス国立科学研究センター
(CNRS)をフランス側機関として、コルドバ・カトリック大学、アルゼンチン国家科学技術研究会議
(CONICET:アルゼンチンの CNRS に相当)との共同研究を行うものである。
参考資料
・ フランス高等教育・研究省 HP(2011 年 9 月 7 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid57513/accord-prealable-de-cooperation-dans-le-d
omaine-de-la-medecine-et-de-l-immunologie.html
●「フランス新学年度開始にあたって」
フランス高等教育・研究大臣 Laurent Wauquiez 氏は、2011 年 9 月 13 日、新学年度の開始にあた
り抱負を述べた。その概要は以下のとおりである。
2011 年の学生数は 240 万人であり、新入生の数は年々増加している。2012 年の秋には、ポリネシ
アを除くフランスのすべての大学が自治大学となる。大学の合併が徐々に進んでおり、2007 年 9 つ
だった PRES (Les Pôles de Recherche et d’Enseignement Supérieur: 研究・高等教育拠点)が 2011
年には 21 となる。大学の施設改革に関しては、17 プロジェクトが開始され、50 プロジェクトが開始予
定、40 以上の大学が関わっている。未来への投資プログラムの第一期が選抜され、各地方に特色
あるプロジェクトの発展が期待される。
参考資料
・フランス高等教育・研究省 HP(2011 年 9 月 13 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid57625/rentree-universitaire-2011-2012.html
●「学生の住宅援助」
フランス高等教育・研究大臣 Laurent Wauquiez 氏は、2011 年 9 月 1 日、フランス預金供託公庫
(Caisse des Dépôts)と 6 つの銀行グループとの協力の下、学生が住宅を借りやすくするための新し
いシステム「Passeport logement étudiant」を導入すると発表した。同システムでまずは 100 万ユーロ
が基金として確保され、2011 年度はリールとリヨンで試験的に導入されることとなった。その結果を
見てフランス全土で 2012 年から本格的に開始される予定である。
本基金の運営にあたっては、学生支援機関 CROUS が仲介を行い、学生の両親が保証金を支払
えない場合に未払い分の家賃を立て替えたり、保証金のローンを学生に提供することとなってい
る。
参考資料
・フランス高等教育・研究省 HP(2011 年 9 月 8 日)
http://www.enseignementsup-recherche.gouv.fr/cid57565/une-journee-consacree-au-logement-etudia
nt.html
・DNA 紙「Vis estudiantine – Un «passeport logement» a l’étude pour la rentrée」(2011 年 8 月 31
日)
・Le Monde 紙「Laurent Wauquiez : « Nous allons tester un passeport logement etudiant »(2011 年 8
月 31 日)