教育への思い㉗~本当の「地域づくり」とは?!「だいだらぼっち」が教えるもの?!~ 堂本 彰夫 先週、信州下伊那地方・長野県泰阜(やすおか)村に在する「だいだらぼっち」の、30 周年記念祝賀会に顔を 出させてもらった。ただし、その祝賀会場自体は、近接の飯田市であった。 「だいだらぼっち」とは、当地の民 話に出てくる大男・鬼の名前であるということであるが、多分?、 「強くて、逞しい子どもに育って欲しい!」 という思いで、最初の人(達?)が名づけたのであろう?!現在の団体名称は、 「NPO 法人 グリーンウッド自然体 験教育センター」であるが、とにかく、この村、このセンターでの取り組みで注目されるのは、 「ひとづくりと まちづくりの循環」ができていること、そして、それを、いわゆる「学校教育と社会教育の融合=学社融合」 という形で実現していることである! そこで若干、この間の歩みを見させてもらうと、まず「1年間のキャンプがしたい!」という子ども達の声 を受けて、7人(4人の子どもと3人の大人)が集まって始めたのが、 「暮らしの学校だいだらぼっち」 (一種の「山 村留学」 )であったそうである(現在 500 人弱の卒業生がいる!) 。今、パンフレットには、 「誰もが安心して暮らせ る(→「あんじゃねぇ」な)社会を創るために、わたしたちは『ひと』を育てます。 」とある。詳しいことは省か ざるを得ないが、その中心理念が「ねっこ教育」とあり、それは「暮らし」という必然の経験( 「体験」 )から育 てる教育とある。そして、そこで育てる3つの心が、 「感じる心」 「楽しむ心」 「生み出す心」とある。 特筆に値するのは、 「暮らしから学ぶ ねっこ教育」として、幼児(親子):森のようちえん「まめぼっち」 、 小・中学生:夏の信州こども山賊キャンプ/冬の信州こども山賊キャンプ/暮らしの学校 だいだらぼっち、高 校生・大学生:夏の信州こども山賊キャンプボランティア/冬の信州こども山賊キャンプボランティア/青年教 育(大学との協働事業)/教師・指導者育成プロジェクト、社会人・家族(親子):安全教育/書籍出版、地域:講 演・講師・ファシリテーター派遣/見学・教育セミナー/企業・団体との協働(CSR)、という形で整理されて いる、幼児からお年寄り?までを対象とした、各種の教育プログラム(教育・学習のしくみ)である! 何故、そうしたプログラムやしくみが出来上がったのか、その時々の声や思い、必要なことを、それこそ一 つ一つ実現させていった結果が、そうなったのか、それとも、最初から(事実上は、その過程において?!) 、そうし たことを企図してきたのか、少なくとも資料等を見ると、前者のようであるが、それはともかく、我々が評価? しなければならないのは、結果として、その取り組みが、 「ひとづくりとまちづくりの循環」を形成していると いうことである?!つまり、そこには、何のために生きるのか、何のためにそこで暮らすのかという、まさに我々 人間社会の究極の目的に照らし合わせた時、二つの要素、すなわち「ひとづくり」と「まちづくり」の双方が 分かち難くつながっているということであり、一方ではまた、その目的を実現するためには、現在(の日本社会 の状況)においては、子ども達の教育(の立て直し?)を中心にした、そこにおける人々の交流や協力関係が、結 果的には、その土地(住んでいる所)の存続、地域活性にもつながるという事実なのである?!ここが、今現在、 国・文科省が大いに推奨している「地域学校協働活動」にも、是非つながって欲しものである?! ここで、もう一つ思い出されるのが、島根県隠岐島の海士町である!ただし、どちらについても、私自身は、 ほんのちょっとしか知らず(直接の訪問も、たった一度!) 、こうした形で紹介するのも、ある意味申し訳ない(失 礼に当たる?)ことと思いつつも、過疎に喘ぐ農山村・離島、日本の高度経済成長とは裏腹に?!、人口が減り、 ある意味「衰退社会の最前線?」でもあった双方の地域、そこに共通しているのは、実はまったく強かな!、 外部からのキーパーソンが流入・活躍しているということである!最近は、ほとんど会うこともないIさん達 であるが、そう言えば、ある時訪れた時にお世話して頂いたのも、これもまた、全国を股に?飛び回られてい る、 「学校と地域の融合教育研究会( 「融合研」 )のMさんであった!「人が人を呼ぶ!」ということであろうが、 本当にそういう人達が、全国には沢山いるということでもある!今の私には、そうした人達に対して、多少の 気恥ずかしさと申し訳なさ?を感じるが、とにかくそういう人達がいるからこそ、多くの自治体や集落が、あ る意味救われていると言えるのかもしれない?!もちろん、受け入れ側の実力?もあろう?! なお、これらに関しては、過疎や限界集落、学校の存続ないしは統廃合問題、都市と農村の交流(いろんな表 現があり得るが!) 、定住人口と交流人口、U・J・Iターン(Sターン?) 、 (若者達の)流入・移住、一方では、 豊かな自然、地場産業、山村留学、生活体験学校、通学合宿等、キーワードは数限りなくあるが、この「だい だらぼっち」 、すなわち「NPO 法人 グリーンウッド自然体験教育センター」の取り組みには、我が国の地域活 性化策のほとんどが、期せずして?取り込まれて(融合して)いるようにも思える!さしずめ、このセンターは、 僻地?山間部ではあるが(逆に、そこだからこそ?!)、ヒト・情報、さらにはモノ・カネ?までをも結集させる、 ある種の「グランドセンター」 (総合商社?)の役割を果たしているのかもしれない?!だが、やはりここで押さえ ておかなければならないのは、その(思いをもった!)人達が、そこに入り、そこに生きている(暮らしている!) ということが、まずは、その前提にあるということである!本当に、頭の下がる思いである!
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