個人の確定申告 取引報告書における税務計算

「税金について」
2013 年 2 月 16 日から 3 月 15 日までの確定申告用
(2012 年 1 月から 12 月までのお取引が対
象)
2012 年 2 月 27 日
セントラル短資 FX 株式会社
【目次】
個人の確定申告
第一章 外国為替証拠金取引の税金
第二章 申告分離課税における所得税額等の計算方法
第三章 確定申告の手続き
取引報告書における税務計算
第一章 顧客報告書における税額計算
第二章 法人の場合の課税関係
第三章 よくあるご質問
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個人の確定申告
第一章
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外国為替証拠金取引の税金
2011 年度税制改正について
これまで所得税法上、店頭FX取引(店頭金融デリバティブ取引)に係る所得について
は、総合課税としていましたが、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、取引所取
引に係る所得と同様、20%(所得税 15%、住民税 5%)の申告分離課税とした上で、両者
の通算及び損失額の 3 年間の繰越控除が可能となりました。
この改正は、2012 年 1 月 1 日以後に行われる店頭FX取引(店頭金融デリバティブ取引)
から適用されます。
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申告分離課税について
所得税の計算方法には、所得の種類によって、合計して税率を掛ける方法と個別に税率
を掛けて税額を算出する方法があります。いくつかの所得を合計し、累進税率を掛けて税
額を算出する方法を総合課税といい、他の所得と合算せずに、特定の所得に対して個別の
税率を掛けて税額を算出する方法を分離課税といいます。
総合課税の場合は、累進税率なので所得が増えると高い税率(最高で所得税、住民税合
わせて 50%)が適用されますが、分離課税では所得の多少にかかわらず一定の税率(FX
取引の場合は所得税 15%、住民税 5%の合計 20%)で課税関係は終了します。
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申告分離課税の計算方法
FX取引に係る所得は店頭取引、取引所取引の如何にかかわらず、所得税法上、分離課
税の対象となる先物取引に係る雑所得等の金額に該当します。
該当する収入(利益)はすべて合算します。複数の業者で収入(利益)が発生している
場合はもちろんですが、そのほかに商品先物取引など分離課税の対象となる先物取引から
生じた収入(利益)がある場合は、これらすべてを合算して収入金額を計算します。対象
となる先物取引から収入(利益)と損失が生じている場合は、これらを損益通算して収入
(利益)を確定させます。同じ雑所得でも外貨預金による為替差益、公的年金(公的年金
等控除額を控除後)、原稿料、講演料などは総合課税に該当しますので、これらの所得と
損益通算を行うことはできません。
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必要経費
所得税法上、課税所得の計算にあたって収入(利益)から必要経費を差引くことが認めら
れています。この必要経費については収入(利益)を得るために要した費用、と規定してい
るだけで具体的な項目が限定列挙されているわけではありません。したがって、必要経費に
該当するかどうかは、一般的な常識の範囲内で判断していくことになります。
税法上、必要経費として認められるかどうかの立証責任は納税者側にあります。したがっ
て、後日税務署からの問合せを念頭において、必要経費として説明のつくものだけを計上し
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た方が無難でしょう。また、当然金額の裏付けもいりますので、領収書等の証拠書類は必ず
保管しておく必要があります。なお、所得税法上、関係書類の保存期間は 5 年(青色申告及
び記帳対象者の場合は 7 年)となっています。
第二章
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申告分離課税における所得税額等の計算方法
所得税とは
所得税とは、所得を得た個人に対してかかる税金です。所得税は1暦年間(1 月 1 日か
ら 12 月 31 日までの期間)を課税期間とする暦年単位課税をとっています。法人のように
任意に事業年度を定めることはできません。
2
所得税額の計算体系
(1)
所得金額の計算
その年のFX取引など分離課税の対象となる先物取引から生じた収入(利益)
及び損失の通算金額から必要経費を差引いて所得金額を計算します。
所得金額がマイナスの場合は、確定申告を条件として、損失額の 3 年間の繰越
控除が認められています。
(2)
課税標準の計算
前年以前 3 年内に申告した繰越損失がある場合、その年の所得金額から古い順
に控除して課税標準を計算します。
なお、分離課税の対象となる所得には先物取引に係る雑所得等の金額のほかに
長期、短期の譲渡所得金額、株式等に係る譲渡所得等の金額などがありますが、
これらの所得と損益通算を行うことはできません。
(3)
課税所得金額の計算
課税標準額から所得控除額を差引いて先物取引に係る課税雑所得等の金額を計
算します。
ただし、所得控除には順番があり、まず総所得金額(給与所得、事業所得、不
動産所得、雑所得などを合算した所得)から差引きます。引き切れない場合は、
分離短期譲渡所得金額、分離長期譲渡所得金額、分離課税の配当所得金額、株式
等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退
職所得金額から順次差引くことになります。
(4)
納付税額の計算
先物取引に係る課税雑所得等の金額に税率(所得税 15%)を掛けて税額を計算
します。給与所得、不動産所得など他の所得から生じた税額と合算した合計税額
から税額控除額(配当控除、住宅借入金等特別控除、外国税額控除等)、源泉徴
収税額を差引いて申告納税額を計算します。
所得税額の計算体系を図にすると次のようになります。
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4
3
所得控除
所得税法は、生身の人間に課税するため、個々の納税者の担税力に適合した課税を図るた
めに次の 14 種類の所得控除を設けています。
所得控除の種類
趣
旨
雑損控除
災害、盗難等により生活用資産に損害を受けた場合に適用されます(詐欺は該当しません)
医療費控除
一定額以上の医療費の支払いがあった場合に上限 200 万円まで控除できます
社会保険料控除
健康保険料、介護保険料、公的年金等の保険料の支払額について全額控除できます
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済制度に基づく掛金等について支払額全額が控除できます
生命保険料控除
生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料を支払った場合に適用されます
地震保険料控除
地震保険料を支払った場合に適用されます
寄付金控除
国、地方公共団体など特定寄付金に該当する寄付を行った場合に適用されます
寡婦控除
納税者が寡婦に該当する場合は一定額が控除できます
勤労学生控除
納税者が勤労学生に該当する場合は一定額が控除できます
障害者控除
納税者が障害者に該当する場合は一定額が控除できます
配偶者控除
納税者に控除対象配偶者がいる場合は一定額が控除できます
配偶者特別控除
扶養控除
納税者に扶養親族がいる場合は一定額が控除できます
基礎控除
すべての納税者は 38 万円を控除できます
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個人住民税について
個人の納税者には所得税のほかに住民税が課されます。分離課税となる先物取引に係る
雑所得等の金額の場合、課税所得に一定率(5%)を掛けて税額を計算します。
なお、住民税の確定申告については、所得税の確定申告書を税務署に提出した場合は、
その日に住民税の申告書も提出したものとみなされます。また、所得税の確定申告書に記
載された事項のうち住民税の申告事項に相当するものは住民税の申告書に記載されたもの
とみなされますので、改めて住民税の申告書を提出する必要はありません。
住民税の徴収方法としては普通徴収と特別徴収があります。普通徴収とは、市区町村が
納税通知書を納税義務者に交付することにより徴収することをいいます。普通徴収の場合、
6月、8月、10 月、翌年の1月が納期となっています。一方、特別徴収とは、市区町村が
給与の支払者(会社等)を特別徴収義務者に指定し、給与を支払う際に給与所得者各人の
住民税を徴収し市区町村に納めさせることをいいます。特別徴収の場合は、給与の支払者
(特別徴収義務者)が、毎年6月から翌年の5月まで給与から徴収した住民税を、翌月 10
日までに市区町村に納めることになります。
一般的に給与所得者は特別徴収、それ以外
の人は普通徴収です。ただし、給与所得者に他の所得が生じて確定申告した場合の住民税
の徴収方法については、確定申告書の第二表に「住民税・事業税に関する事項」があり、
給与所得以外の住民税の徴収方法の選択することができます。特別徴収を選択した場合は、
給与所得とそれ以外の所得を合算して計算した住民税の全額が特別徴収の方法で、普通徴
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収を選択した場合は、給与所得分の住民税は特別徴収、給与所得以外の所得の住民税は普
通徴収で課税徴収されます。何も選択しなかった場合は特別徴収となります。
第三章
1
確定申告の手続き
確定申告書の提出
(1)
確定申告書の提出期間
確定申告書は、申告する年分の翌年2月 16 日から3月 15 日(当日が土日、祝祭
日の場合はその翌日)が提出期間となります。ただし、還付申告書については、申
告する年分の翌年 1 月 1 日から提出できることになりました。
(2)
確定申告書の提出方法
確定申告書の提出方法は電子申告、税務署への持参がありますが、都合がつかずに
出向けない人は郵送でもかまいません。その場合、控用も一緒に入れ、返信用の切手
を貼った封筒を同封しましょう。また、確定申告書を郵送により提出した場合には、
その郵便物等の通信日付印に表示された日にその郵便物等が提出されたものとみな
されます。
(3)
確定申告書の提出先
確定申告書は、これを提出する際の納税地の所轄税務署に提出しなければなりま
せん。納税地については原則として納税者の住所地とされています。
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2
申告書用紙
所得税の確定申告書用紙の体系は以下のようになっています。
FX取引などの先物取引に係る雑所得等の金額は分離課税となりますので、申告書B様式、
分離課税用別表を使用します。
FX取引などの先物取引に係る雑所得等の申告にあたっては、「先物取引に係る雑所得等
の金額の計算明細書」の添付が義務づけられています。確定申告にあたっては、まず、「先
物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」から作成すると便利です。
FX取引などの先物取引から生じた損失の繰越控除を受けるためには、申告書B様式、分
離課税用別表、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に加え、損失申告用別表及
び「申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」を提出し、かつ、その後においても連続し
て確定申告書(申告書付表を含む)の提出が必要になります。
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確定申告を忘れた場合
確定申告をしなければならない人が確定申告をしなかった場合、後日、納税者が自主
的に申告することを期限後申告、税務調査等によって指摘を受けて所得金額、税額等が
決まる場合を決定といいます。
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いずれの場合も無申告加算税が課されますが、税率は自主的に申告書を提出した場合
は納付税額の 5%、決定の場合は 15%(納税額のうち 50 万円を超える部分は 20%)と
なっています。
申告をしなかったことに悪意がある場合、すなわち事実を隠ぺいまたは仮装した場合
は無申告加算税に代えて重加算税(40%)が課されます。
なお、税務署によって判断が異なる場合もありますので、税金・確定申告の詳細につきましては、
お近くの税務署・専門家にお問合わせください
顧客報告書における税額計算取引報告書
第一章
顧客報告書における税額計算
ホームページ記載の「2012 年 2 月 16 日から 3 月 15 日までの確定申告用(2011 年 1 月から 12
月までのお取引が対象)顧客報告書における税額計算」をご参考ください。
http://www.central-tanshifx.com/customer/tax/tax-calculation.html
第二章
法人の場合の課税関係
法人税法では所得税法と異なり所得の区分を設けていません。したがって、会社本来の事業活
動による損益であろうが外国為替証拠金取引による損益であろうが合算されて課税所得を形成
することになります。課税所得にマイナスが生じた場合、青色申告の届出を提出していれば、損
失は7年間繰越すことができます。
所得税法では年末に未実現となっている未決済ポジションの含み損益については認識しませ
んが、法人税法では事業年度末における外国通貨の換算方法として期末時換算法が強要されてい
るため、期末における含み損益についても認識して課税所得金額を計算することになっています。
なお、税務署によって判断が異なる場合もありますので、税金・確定申告の詳細につきましては、
お近くの税務署・専門家にお問合わせください
第三章
よくあるご質問
Q 総合課税とは何ですか?
A:個人に対して税金を課する所得税では、所得の種類によって税額の計算方法に違いがあります。
総合課税とは、給与所得、不動産所得など、いくつかの所得を合計し、累進税率を掛けて税額を
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算出する方法をいいます。累進税率なので、所得が増えると高い税率(最高で所得税、住民税合
わせて 50%)が適用されることになります。
Q: 申告分離課税とは何ですか?
A:申告分離課税は、他の所得と合算せずに、特定の所得に対して個別の税率を掛けて税額を算出
する方法をいいます。申告分離課税では、所得の多少にかかわらず一定の税率(FX取引の場合
は、所得税 15%、住民税 5%の合計 20%)で課税関係は終了します。
Q: 確定申告の方法を教えてください。また必要になる書類等を教えてください。
A:FX取引で利益が生じた個人の納税者は、1 暦年間(1 月 1 日から 12 月 31 日まで)を課税期
間として、その年の翌年 2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に税務署に確定申告書を提出しなけれ
ばなりません。
確定申告にあたっては、当社が発行する年次報告書等を利用して税額を計算し、所定の申告書
用紙に記入し、申告納税することになります。総合課税と申告分離課税では使用する申告書用紙
が違いますので、ご注意ください。
Q: 取引で利益を出た場合に申告する際の税率、税額の計算方法を教えてください。
A:総合課税は累進税率、申告分離課税の場合は一定税率が適用されます。店頭FX取引から生じ
た利益については、2011 年分は総合課税となりますので、給与所得などの他の所得と合算して、
累進税率で税額を計算します。一方、2012 年度以後の利益については申告分離課税となります
ので、20%(所得税 15%、住民税 5%)の定率となります。
Q: 未決済ポジションに対する評価損益は申告の対象となりますか。また未決済ポジションのス
ワップ益も同様ですか?
A:今回のFX取引に関する税制改正は、総合課税から申告分離課税に課税方法が変わるというこ
とで、FX取引の損益の認識は従来と同じ方法で行います。したがって、未決済ポジションに対
する評価損益については、取引差損益がまだ確定していないため、申告の必要はありません。た
だし、当社の未決済ポジションのスワップ益については、現金として取引口座に反映されていま
すので、実現されたものとして申告の対象になります。
Q: 年間の取引の損益がマイナスであっても確定申告の必要がありますか?
A:今回の税制改正で、2012 年分以後、店頭FX取引から生じた損失についても 3 年間の繰越控
除が認められることになりました。ただし、損失の繰越控除を受けるためには、損失が生じた年
分の確定申告書を提出し、かつ、その後においても連続して確定申告書を提出することが条件に
なっています。
Q: 他社で口座を開設している場合はどのように確定申告すればよいのですか?
A:今回の税制改正では、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、店頭FX取引についても
取引所取引と同様、申告分離課税が適用されることになりました。したがって、FX取引に係る
所得は店頭取引、取引所取引の如何にかかわらず、すべて合算します。複数の業者で利益が発生
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している場合はもちろんですが、そのほかに商品先物取引など分離課税の対象となる先物取引か
ら生じた利益がある場合は、これらすべてを合算します。対象となる先物取引から利益と損失が
生じている場合は、これらを通算して損益を確定させ、申告することになります。
Q: 法人の場合はどうなりますか?
A:今回の税制改正は、個人の所得税に関する事項で、法人税に影響を与えるものではありません。
したがって、従来どおりFX取引から生じた損益については、その法人の事業目的により営業損
益あるいは営業外損益として計上し、他の損益と合算して課税所得を計算することになります。
Q: 外貨で発生した利益は申告しなければなりませんか?
A:今回の税制改正によって、損益の認識の仕方が変わるものではありません。したがって、当社
の取引により口座内に発生した外貨の実現損益、スワップ損益についても従来どおり、実現した
ものとして申告額に計上する必要があります。
Q:「両建て」取引の含み損益は申告対象ですか?
A:これも従来と同様の処理になります。決済や売買組合せ等により差損益が確定していない両建
てポジションに関しては、未決済ポジションとして扱うことができます。両建て状態で課税期間
を持ち越した各ポジションに係る未実現損益は申告額に計上する必要はありません。
Q:取引で利益が出た場合、必ず確定申告をしなければいけませんか?
A:FX取引で所得が生じ、納税額が発生する人は確定申告をしなければなりません。ただし、給
与収入が 2,000 万円以下の給与所得者で、給与所得及び退職所得以外の所得の合計が 20 万円以
下の人は確定申告をしなくても良いことになっています。
Q:海外居住者の確定申告に関する手続きを教えてください。
A:FX取引により生じた所得は、個人の非居住者の場合は課税対象になっていませんので、わが
国での確定申告は不要です。海外居住者については、海外勤務の期間があらかじめ1年未満と定
められている場合を除いて、非居住者として取扱われます。なお、税法は国ごとに異なりますの
で、居住地での税務につきましては、その地の税務専門家にお問い合わせいただく必要がありま
す。
Q:確定申告時期に海外に転勤する予定ですが、その時の確定申告に関する手続きを教えてくださ
い。
A:確定申告時に海外に居住していても、国内に居住していた期間に生じた所得については、わが
国で確定申告をしなければなりません。この場合、出国時に納税管理人(確定申告書の提出など
の処理を代わって行う人)を選任し、税務署に届け出ておく必要があります。
Q:日本に帰国する予定ですが、日本での確定申告に関する手続きを教えてください。
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A:FX取引に限定しますと、帰国までの非居住者期間の所得は申告対象になりません。帰国後の
居住者としての期間の所得のみが申告対象になります。損失についても同様に、居住者期間の損
失のみが繰越控除の対象になります。
なお、税務署によって判断が異なる場合もありますので、税金・確定申告の詳細につきましては、
お近くの税務署・専門家にお問合わせください
以上
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