子どもの学びを大切にしたハンドボールの授業づくり

ボール運動(4年)
夏季研
研究領域名(学年)
提案執筆例
子どもの学びを大切にしたハンドボールの授業づくり
テーマは各郡市で設定してください。郡市で取り組
支部名
んだ方向性やウリが伝わるネーミングで。
1
本実践のねらい
香
川
「つないで決めろハンドボール(4年)」
ボール運動では,変化し続けるゲームの中で,その状況に応じたプレーを行わなければならな
基本的には「実践の報告」で,実践したことをまとめていきま
い。つまり,子どもたちにはゲームの状況を明確に捉え,その状況に応じて自己のもつ動きの中
す。そのため単元名と学年は記入してください。
からよりよい動きを選択し,ゲームに発揮させる力が必要になるのである。
しかし,中学年の子どもたちにとって,相手や味方が入り交じった複雑な状態でゲームの状況
を判断したり,動きを選択したりすることは難しい。だが,従来の教材であればメインゲームと
して攻守入り乱れの状態でイーブンナンバーでのゲームを目指すことが多かった。そのため下位
○ 文例のように「領域の特性」「従来教材の課題」「本実践での主
教材としてドリルゲームやタスクゲームを設定するものの,子どもたちはそれらのゲームとメイ
張」と述べていくと書きやすいかもしれません。あくまで例で
ンゲームのつながりをとらえることができていなかったり,子どもの学びを把握しないまま単元
す。
を展開していったりする等の課題が見られた。そのため,単元が進むにつれ,ある特定の子ども
○ PDCA の4つの視点から何を中心に取り組んだか「ゴチ(段階)」
のみがゲームを展開する様相が見られるようになる。それではすべての子どもたちに「わかる」
で表記してください。なお,視点については4つすべて取り上
「できる」「かかわる」ことを保障することはできない
げるわけでなく,その中から各郡市の実態に応じて選択してく
そこで,本実践ではすべての子どもたちに「わかる」
「できる」「かかわる」ことを保障し,夢
ださい。
中・熱中して授業が取り組むことができるように,
「子どもの学びに即した教材化(PLAN)」「子ど
○ 郡市でオリジナルの視点を設定してもかまいません。その際も
もの心に響く教師の言葉かけ(DO)
」「量的・質的な分析(ACTION)
」の3つに視点をあて実践を行
「ゴチ(段階)
」で記述してください。
うことにした。
2
実践の主張点
(1)Plan(計画)
①学習内容を身に付けさせるための教材化
~子どもの学びに応じてゲームを選択~
ゴール方のゲームにおいて,状況判断を複雑にしているのは「攻守の切り替え」である。こ
の切り替え場面が存在することで,それまで攻撃をしていた者もボールを相手にとられてしま
○ 本実践の主張を簡単にまとめてください。詳しい内容は
うことで守備に意識を切り替えなければならなく,守備をしていた者も同様の意識が必要にな
次ページ以降にまとめていきます。
る。
そこで,本実践では攻撃のみの「追い抜き速攻ゲーム」
「攻撃ゲーム」と攻守の切り替えがあ
る「ハンドボールミニゲーム」の3つのゲームを単元内に設定する。これは「追い抜き速攻ゲ
ーム」
「攻撃ゲーム」等,従来タスクゲームとして位置づけられていたゲームもメインゲームと
して位置づけ,子どもの学びに応じてゲームを選ぶようにする。
(2)Do(実行)
①
子どもの心に響く教師の言葉かけ
~偶然の動きを必然に高める言葉かけ~
ゲームの中で偶然よい動きが生まれることがある。しかし,子どもたちはその動きはあくま
でも偶然に生まれたものであって,どのような意味をもつか理解できていないことが多い。そ
のため偶然の動きが偶然のままに終わってしまうのである。
香川
1
そこで,偶然生まれたよい動きを教師が意図的に取り上げ,その動きの意味を価値づけてい
く。こうすることで,なぜこの動きが生まれたの,またなぜ得点につながったのかをとらえる
ことができるようにし,次はその動きを意図的につくり出すことができるようにつなげていく
ようにする。
(3)Check(評価)
①
量的・質的な分析
~個の見取りと形成的授業評価から授業改善を図る~
毎時間,形成的授業評価とワークシートに体育日記を書くようにする。形成的授業評価から
数値が低かった子どもやグループを特定し,その子どもたちの意識をワークシートの内容から
探っていく。
形成的授業評価の数値だけにとらわれるのでなく,それをきっかけに個がどう考えていたの
か,またどのような悩みがあるのかをとらえて,次時の働きかけにつなぐように する。
3
単元構成
(1)学習内容
で
き
る
○ 学習指導要領解説書を参考に,できる・わかる・か
で 「できる」○
わ
・基本的なボール操作やボールを持たないときの動きによって,易しいゲームを
かわるの順に学習内容を書く。文末は○
することができる。
か 「・・・しようとする」にそろえる。
「する」○
○ 順番は「できる」「わかる」「かかわる」
・シュートに結び付くパスをつなげるための工夫に気付き,ゴールや相手,味方
わ
か
○ 学習内容を細かく設定したものでもよい。
を見てよりよい攻め方を選んだり,見出したりする。
る
・規則を工夫したり,ゲームの方に応じた簡単な作戦を立てたりする。
か か わ る
・運動に進んで取り組み,規則を守り仲良く運動したり,勝敗を受け入れたり,
場や用具の安全に気を付けたりしようとする。
(2)教材化と単元の計画(全8時間)
第
追い抜き速攻ゲームをしよう
1
①②
次
【追い抜き速攻ゲーム】
追い抜き速攻ゲームの
始めは決められたゾーンでしか守
ルールを知り,試しの
ることができない。攻撃でドリブル
ゲームを行う。
はなし。守備がスタートする位置を
決め,速攻が生まれやすい状況でゲームを行い,速攻のよさ
に気付かせる。
第
チームにあった作戦を考えよう
2
③④
次
⑤⑥
攻撃ゲームを行う。
始めは決められたゾーンでしか
シュートに結び付くた
守ることができない。攻撃でドリブ
めのパスのつなぎ方を考
ルはなし。発展として守備ゾーンを
える
なくす。
第
ハンドボール大会を開こう
3
⑦⑧
次
【攻撃ゲーム】
ハンドボール大会を行う。
【 ハンドボールミニゲーム】
キーパーも攻めに参加し,攻守が
○ 単元の流れが分かるようにしてください。
入り交じったゲーム。攻める方が数
○ 学習の流れと教材化の道筋が分かるよう工夫してくだ
的優位な状況でゲームを行う。
さい。
香川
2
本実践では,3つのゲームをメインのゲームとして位置づけ,以下のようにゲームを設定した。
1つ目のゲームは文字通り「速攻」を意識したゲームである。攻撃側が速攻の意味をとらえ
ることができ,さらには得点をとることが簡単な状況になれば次のゲームに進むようにする。
2つ目のゲームは守備できるゾーンを設定するが,守備ゾーン①の子どもが「守備ゾーン①
○ それ ぞ れの 段階 の 主張 点を 設 定し,ここ で その ねら い を主 張し
は意味がない」という意識になれば守備ゾーンを取り除いていく。攻撃のみ,守備のみのため,
てください。
守備の者がゴール前でゾーンディフェンスの状態になり,得点が難しくなれば攻守の切り替え
○ ここではあくまで計画の段階なので,前もってこのようにした
が必要な次のゲームへ進む。
という主張のみを書きます。詳細は,4 実践の詳細で。
3つ目は攻守の切り替えが必要になるため,キーパーも攻撃に参加する。キーパーが参加す
ることでフィールド内は4対3の数的優位な状況が作れるようにする。
このように3つのゲームを学びに即して設定していく。なお,子どもの学びが上記の様相に
達していない場合には次のゲームに進まず,そのゲームで学習を展開していく。
(3)評価
○ できるだけ具体的な様相を意識して評価規準を作成してください。
○ 主張点を「 具体的な様相を意識した評価規準の作成
」にした場合には,
評価規準
で
き
る
わ
か
る
か
4
か
わ
る
○
この下に説明を付け加えてもかまいません。
○ ゲームの状況や対戦相手に応じて,作戦を工夫する ことができる。(ワーク
シート)
○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
実践の詳細
(1)速攻が成功した理由に視点を転換させ,多様な動きの工夫を表出する場の設定
子どもたちはこれまで成功していた速攻が決まらなくなる状況になると,失敗した原因を「守備
○ 実践の詳細は基本的に各郡市で自由に設定する。
が後ろに下がったから。」
「守備が自由に動けるようになったから。」と守備の制限を 解除したことば
○ 子どもの様相が分かるように具体的に書く。
かり取り上げ,自分たちの攻撃に問題があり,動きの工夫ができていなかったことには目が向きに
くい。
そこで,失敗した理由を探るのではなく,これまで速攻が成功した理由を探ることに視点を転換
させ,そこから動きの工夫を多様に表出させるようにする。実際に速攻が決まった場面を振り返る
ことで,「相手がいない間にゴール前までボールを運んでいたから。」「先回りしていたから。」「相
手がいないところに走り込んでいたから。」「走り込んだ人にパスをしたか
ら。」と多様な反応が表出されるであろう。その反応をカードにまとめ,後
の集団吟味の際に活用できるよう計画した。
しかし,実際にはこれまでの学びを振り返る場面であるため,子どもた
ちには十分理解できている内容である。その内容をあえて発表させること
に意味がないと感じた。そこでこれまで見付けてきた攻め方をまとめてきたものとして,ボードを
作成した。そのボードの内容はくり抜いて操作できるようにしたため,後の吟味の活動において活
用することにした。
(2)○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
香川
3
5
Plan(計画)の検証
(1)単元計画の改善
第
追い抜き速攻ゲームをしよう
1
①②
次
【追い抜き速攻ゲーム】
追い抜き速攻ゲームの
始めは決められたゾーンでしか
ルールを 知り, 試しの
守ることができない。攻撃でドリブ
ゲームを行う。
ルはなし。守備がスタートする位置
を決め,速攻が生まれやすい状況でゲームを行い,速攻のよ
さに気付かせる。
第
チームにあった作戦を考えよう
2
③④
次
⑤⑥ シュートに結び付くた
守ることができない。攻撃でドリブ
めのパス のつな ぎ方を
ルはなし。発展として守備ゾーンを
考える
なくす。
攻撃ゲームを行う。
第
ハンドボール大会を開こう
3
⑦⑧
ハンドボール大会を行
次
う。
【攻撃ゲーム】
始めは決められたゾーンでしか
【 ハンドボールミニゲーム】
キーパーも攻めに参加し,攻守が
入り交じったゲーム。攻める方が数
的優位な状況でゲームを行う。
※1
第
追い抜き速攻ゲームをしよう
1
①②
追い抜き速攻ゲームの
次
③
ルールを知り,試しのゲ
守ることができない。攻撃でドリブ
ームを行う。
ルはなし。守備がスタートする位置
【追い抜き速攻ゲーム】
始めは決められたゾーンでしか
を決め,速攻が生まれやすい状況でゲームを行い,速攻のよ
○ 単元の流れが分かるようにしてください。
○ 学習の流れと教材化の道筋が分かるよう工夫してください。
せる。
第
チームにあった作戦を考えようⅠ
2
④⑤
攻撃ゲームを行う。
次
【攻撃ゲーム】
始めは決められたゾーンでしか
守ることができない。
チームにあった作戦を考えようⅡ
⑥⑦
シュートに結び付くた
攻撃で はパ スのみ で ,ド リブル
はなし。
めのパスのつなぎ方を
考える 。
第
ハンドボール大会を開こう
3
⑧
ハンドボール大会を行う 。
【攻撃ゲーム】
第2次のゲームで行う。
次
香川
4
※2
(2)改善点について
※1
ゲーム(追い抜き速攻ゲーム)に浸る時間の確保【子どもの体育ノートから(Check)】
当初の単元計画 で は,第1次は2時
間の予定であった。しかし,子どものレ
ディネス やゲー ムの様 子から ,子ど も
がゲームのルールを十分に理解できな
かったことや次時につながる課題が明
確にならなかった。
そこで, ○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○
※2
体育ノートにみられる子どもの意識
ゲームパフォーマンスの向上
【形成的授業評価とゲームにみられる子どもの動きの変化から(Check&Action)】
第 2 次 に お い て ,攻 撃 ゲ ー ム
単元過程における形成的授業評価の推移
を行った。形成的授業評価の結
3.1
果 か ら 成 果 次 元 が 低 く ,向 上 が
3
みられなかった。また,ゲームに
2.9
総合
2.8
成果
お け る 作 戦 の 成 功 率 も 低 く,第
関心・意欲
2.7
3次で教材をメインゲームに移
2.6
行することが難しいのではない
2.5
かと考えられた。
2.4
そこで, ○○○○○○○○○○
2.3
学び方
協力
1
2
○○○○○○○○○○○○○○
3
4
5
6
7
8
9
形成的授業評価の推移
○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
6
成果と課題(Plan に関して)
○
○
ページ数は自由です。奇数・偶数どちらでもOKです。
字数は,見やすさを意識して各郡市で決定して下さい。
○400部印刷したものとデータを,7月23日(水)までに,附属坂出小学校に届けるか,
前日の準備会24日(木)に直接持ち寄るかして下さい。
○前日の準備は,理事以外の先生方は出張扱いにならないので,ご理解しておいて下さい。
○執筆に関してご質問・ご意見等がありましたら,坂出東部小学校
香川
5
森までご連絡ください。