はじめに 浪速のビジョナリーカンパニー フィギュアメーカー「海洋堂」の WIN-WIN経営 ? −テーマ選択理由− チョコエッグは、なぜブームになったのか? チョコエッグは お菓子メーカーと 海洋堂 の提携により成功した お菓子メーカーは おまけで販促 チーム食玩王 赤司、加藤、柴原、西小路、村木 海洋堂は フィギュアの販路拡大 互いに顧客層を拡大。 WIN−WINの提携関係があるのでは? 食玩市場拡大の立役者 海洋堂 を中心にした企業間提携について考察する ! 食玩とは 食玩市場動向 売価150円〜200円程度で購入できる 玩具(おまけ)つき菓子。 98年までは、子供向けキャラクター商品が主流 微増 99年チョコエッグ発売により卵型チョコが市場をリード⇒500億円市場に成長 おまけは子供のものという既成概念を突き崩し、 大人を巻き込んだブームに。 ‘02年に海洋堂とフルタが契約を解消したことにより、新規参入ラッシュに 精巧な造形 おまけ(0円)なのに 精巧であることへの感動 単位:百万円 販売額推移 80000 ブームの火付け役 フルタ製菓 チョコエッグ 日本の動物コレクション ノンキャラ 新規参入企業増加 70000 60000 チョコエッグ発売 50000 大手メーカーには作れない ノンキャラの個性 40000 30000 20000 コレクション性 10000 食玩の主役 タマゴ型チョコ チョコの中に入ったカプセルに フィギュアの部品が入っている。 フィギュアコレクターの 裾野を拡大 0 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 富士経済 「2003年 食品マーケティング便覧 NO.1」より 海洋堂 財務状況 参入企業の動向 99年のチョコエッグ発売以降、海洋堂の売上は右肩あがり 単位:千円 1800000 1600000 1400000 1200000 1000000 800000 600000 400000 200000 0 単位:千円 フルタ製菓 バンダイ 明治製菓 2001年 チョコエッグ売上87億円 仮面ライダー、ガンダムなど、 キャラクターもので 大人から子供まで 幅広く展開 バースデイテディで ヒットするが、第2弾以降 は低調 海洋堂と契約解消後、苦戦 250000 売上高 利益 200000 150000 タカラ 2002年より海洋堂と契約 チョコQ、ワールドタンクミュージアム を発売、好調 企業別販売額推移 バンダイ タカラ 0 カバヤ食品 日本フェレロ フルタ製菓 コナミ 明治製菓 その他 5000 10000 15000 トミー 20000 2001 100000 50000 0 1998 1999 2000 2001 2002 日本フェレロ スヌーピーの フィギュアが入った キンダーサプライズを 子供向けに手堅く販売 2002(見込) 2003(予測) 富士経済 「2003年 食品マーケティング便覧 NO.1」より 1 海洋堂商品の変遷 プラモデル アクション フィギュア ガレージキット Ⅰ:海洋堂の成長の軌跡 食玩 海洋堂 成長の軌跡 B2C 海洋堂の成長マトリクス −B2CからB2Bへの飛躍− 食玩をきっかけとするB2Bビジネスによって 一気に海洋堂の市場アクセスが広がった B2B+B2C フェイズ1 フェイズ2 フェイズ3 フルタ 1対1 熱心なファン相手 食玩戦争 フェイズ4 コンテンツを探していたフルタと 量的拡大を望む海洋堂の運命的な出会い。 ⇒「つくりたい」という欲望をビジネス化 顧客のためにいつも夢を描き、 帆船 それを実現する責務がある。 (先代:現館長) ブラ模型 1964 1968 1976 1981 1985 1996 1999 2002 2003 提携による 新市場開拓 食玩 数百万個単位 既存市場 ガレージキット (フィギュア) 自分の好きなものを創り、 同好の士に分け与える ガレージキット・スピリットこそが 海洋堂の原点。 (専務) 食玩市場拡大の 成功要因 他業種 ポケモン チョコ 食玩原型製作 創る楽しみを全ての人に 原型製作 エッグ レーシング 商いをする限りは、 サーキット 小 製品の大きさ・価格 新市場 【企業理念】 ⇒「収集したい」という欲望を喚起 「ホビーロビー」(海洋堂ショップ) でオタク的固定客相手に商売。 大 他業界へ 中国生産による 効率化 アクションフィギュア 千・万個単位 ガレージ キット 百個単位 既存製品 新事業 卵型チョコレートのヒット フルタ製菓のチョコエッグが火付け役 子供向けの玩具菓子に 大人買い が定着。 裏方としてブームの原動力になったのが、海洋堂。 Ⅱ:海洋堂をめぐる企業間関係の考察 タマゴ型チョコシェア推移 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1999 2000 2001 2002(見込) 2003(予測) タマゴ型チョコ その他 富士経済 「2003年 食品マーケティング便覧 NO.1」より 2 フルタ製菓との提携 チョコエッグ成功の理由 小さくて、尽くされていて、精密である 1996年、フルタ製菓「ポケットモンスター」のおまけの 原型製作を海洋堂が担当したことがきっかけ。 (あくまでも ベンダー としてのおつきあい) 小さな食玩は大型フィギュアに比べて コレクションしても保管スペースの問題は少ない 1999年のある商談時・・・ フルタ製菓 海洋堂 (企画部長 古田豊彦常務) キンダーサプライズのヒット 卵型チョコのアイデアがある。 しかし、中に入れるモノがない。 海洋堂の動物に対するこだわり、モノへの愛着 海洋堂のリアルなものを再現することへのこだわり (宮脇常務) 偶然 の一致 ニーズ 大手メーカーが独占する 有名キャラクターをおまけにすることは 製菓企業として二流のフルタには不可能 解決 中国工場でみたオーストラリア向けの 卵型チョコのおまけにヒントを得て、 「日本の動物を入れたらどうか」と提案。 フルタとの提携において、 チョコエッグおまけの企画は全面的に海洋堂に任せることを条件とする 自然史シリーズは海洋堂のこだわり、 しかし 大型フィギュアの売行きは芳しくなかった。 →大きさ、材質、価格の面で新しい領域 →天才動物造形師:松村しのぶの存在 フルタ製菓との提携解消 さらばチョコエッグ ベンダーとしての海洋堂から、パートナーとしての海洋堂へ 発売当初から月60万個を売り上げる大ヒット商品となる 海洋堂の版権 (copy right)が生まれる フルタとの提携解消後の海洋堂の提携拡大 フルタ製菓 海洋堂窓口、古田豊彦常務がフルタ製菓を離脱 → (株)エフトイズコンフェクト設立 フルタの お家騒動 フルタ: 今や食玩開発・製造ノウハウなし おまけメーカーの位置付け軽視 エフトイズ: チョコエッグの商標を 使うことができない 1999年9月 グリコ 北陸製菓 タカラ 海洋堂に無断で企画内容変更(ディズニーシリーズの追加など) 生産用原型の社外流出、など。 講談社 角川書店 他業種との 提携も フルタと決裂 タイムスリップ ベンギンズ グリコ ランチ ハムスター ランチ ベンギンズ ランチ2 タイムスリップ グリコ2 レスキュー119 ワールドタンク ミュージアム ソニー 市場の 拡大 2003年 ワールドタンク ミュージアム2 チョコQ 人形の国の アリス2 タイムスリップ ワールドタンク アリスのティー グリコ3 ミュージアム3 バーティー 黒潮コメッコ2 アルプスの 少女ハイジ 小学2年生 付録 日本の天然 記念物 陰陽妖怪絵巻 陽の巻 銀河鉄道 999 年間毎月 「海洋堂はチョコエッグを大切にしたい。ここまでチョコエッグを 育ててくれたエンドユーザーを裏切ることはできない。」 小学館 フルタとの提携解消後、 一気に提携の拡大へ 黒潮コメッコ 海洋堂の 顧客主義 ロッテ 2002年 2月 フルタの 不節操 チョコエッグ 販売開始 1 AIBOカプセル 月刊アフタヌーン 陰陽妖怪絵巻 付録 陰の巻 月刊アフタヌーン 通販 チョコQ 月刊アフタヌーン 付録 2002年 ものづくりへのこだわりがあればこその解消 提携解消 キラーコンテンツサプライヤーとしての「海洋堂ブランド」の確立 海洋堂4段階の発展 海洋堂ブランドの確立 「オタク客のみを相手にした商売」から 「複数業界・複数企業から提携を求められるビジネス」へ、 99年〜2002年の4年で3段階の変遷。 キラーコンテンツを提供できる力が 「海洋堂」をブランドに押し上げた。 フルタ 断トツの造形力と斬新な企画力 グリコ 北陸製菓 タカラ 海洋堂 ロッテ 講談社 小学館 角川書店 海洋堂制作の「おまけ」目当てで本体が売れる 「海洋堂と組めばヒットする」という神話の定着 メーカーから見たキラーコンテンツサプライヤー 「海洋堂」というブランドの確立 3 問題提起 海洋堂は提携先の増加だけを 成功ととらえてよいのか? メーカーにとって海洋堂と組むことだけが 成功の方法なのか? Ⅲ:海洋堂に学ぶ WIN-WIN経営 表面的な事象だけで語りきれない 成功の法則があった 真のWIN−WINをもたらす企業間関係の法則とは? 事例:タイムスリップグリコ 背景 海洋堂 提携の構図 グリコ商品は子供向け→少子化→売上が低迷していた チョコエッグの ブレイク 食玩老舗の グリコは焦った パートナー トップの決断: 海洋堂と提携せよ 食玩 フィギュア タイムスリップグリコ 海洋堂の 戦略資産 創意工夫→まねでもよい→グリコの自己否定 お菓子 イノベーション 決裂 グリコ フルタ製菓 パートナーとしての 真剣な取り組み ベンダーとしてしか 扱わなかった =海洋堂の存在を尊重 =海洋堂の存在を軽視 グリコキャラメル お菓子メーカーの 企画力 グリコ単独では不可能だった イノベーションが起こった 海洋堂 ものづくりへの真剣な取り組み おまけ 従来のおまけ 大人市場の開拓 単独のお菓子として50億の記録的な売上 グリコとフルタの違い 大人 市場開拓 飽和市場 に残留 ベンダー 海洋堂の企業間関係から学ぶこと メーカー 指令 ベンダー 企画主導権 メーカー主導の開発 ベンダーは言いなり ものづくりへの こだわり 提案 メーカー イノベーション 提案 パートナー ベンダーではなく パートナーに 企画主導権 結果、提携先にイノベーションを与えた 4 チーム食玩王の結論 WIN 1 ベンダーはこだわりをもち、 独自の価値を提供できるパートナーになるべき WIN 2 メーカーは、商品開発の源泉が ベンダーにもあることを認め、 提携により対等な協力関係を築くべき ご清聴 ありがとう ございました。 5
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