カタログ6/7 - 医療機器開発支援ネットワーク@産総研

上流設計におけるモデル作成技術
■ 研究担当:増井慶次郎
生
命
工
学
領
域
[email protected]
■ 先進製造プロセス研究部門 システム機能設計研究グループ
● 研究拠点
■ 連携担当:市川直樹 [email protected]
つくば東
研究のポイント・応用先
● 設計因子の関係に着目した上流設計分析・統合モデリング手法の構築
● 設計事例分析による最も重要な意思決定事項の明確化
情
報
・
人
間
工
学
領
域
● プロジェクトマネージャーの設計リテラシーを高める解析ツール
研究のねらい
上流設計とは、ユーザー要求及び製品に関する様々な知識を集約し、製品の機能要求や基本構成、ライフサイクルを
通じて提供されるサービスを総合的に決定する上で不可欠なプロセスです。私たちは、上流設計で用いられる知識の中
から様々な設計因子やその関係に注目し、上流設計における分析(アナリシス)
・統合(シンセシス)過程を形式化(モ
デリング)する工学的手法を開発しています。これにより、上流設計で用いられる知識や技術の表現・蓄積・適用方法
材
料
・
化
学
領
域
を、産業界のニーズに即して提案します。
エ
製レ
ク
造ト
ロ
領ニ
ク
域ス
・
研究内容
協力企業提供事例の分析及び文献調査を通じて上流設
計モデリング手法の確立を行っています。それに並行し、
モデリング過程で利用可能な計算機支援環境を開発して
います。例えば、デザインブレインマッピングツールは
設計因子とその関係の時間発展を記録します。また、既
に蓄積された設計情報を活用するために、実験データや
商用モデリング・シミュレーションツールとのインター
エ
フェースに関する研究・開発も行っています。製品企画・
PJ管理・経営戦略のための利便性を考慮したインター
上流設計モデリングの考え方
フェースの研究も行っています。
環ネ
境ル
領ギ
域ー
連携可能な技術・知財
・
計算工学・設計工学に関わる連携可能な技術:
●ライフサイクルシミュレーション(LCS)
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
●品質、コスト、環境総合評価手法(TPA)
●流体構造連成シミュレーション
●固気混相流シミュレーション
●自然言語解析の応用(製品不具合情報の分析など)
●エコビジネス事例データベース
上流設計可視化・モデリングツールの例
96
生
命
工
学
領
域
FTA( 故障木解析 )
支援ソフトウェア FTAid
戦略課題
■ 研究担当:古川慈之/澤田浩之/徳永仁史
[email protected]
情
報
・
人
間
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領
域
■ 先進製造プロセス研究部門 製造情報研究グル−プ
● 研究拠点
■ 連携担当:綾信博 [email protected]
つくば東
研究のポイント・応用先
● MZ Platform を用いて産学官共同でソフトウェア開発
● FTA の品質向上と技術者の作業負担 5 割削減を同時に達成
● 大学等の研究成果を実用ソフトウェア化することで企業活動を支援
材
料
・
化
学
領
域
研究のねらい
FTA(Fault Tree Analysis) の実施には課題が多く、支援技術の研究に加えてソフトウェア化で利用できる形態にす
ることが重要です。本研究は、独自ソフトウェア基盤の MZ Platform を用いた開発手法によって、開発コストや操作
性の確保等のソフトウェア化の課題を解決し、支援技術の研究成果を企業の実務で利用できるようにすることが目的で
す。この開発手法が有効であれば、これまで費用対効果の観点で実施されなかった実用ソフトウェアの開発を行えるよ
うになり、大学等の研究成果によって企業活動を支援できる範囲が広がると考えられます。
エ
製レ
ク
造ト
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域ス
・
エ
環ネ
境ル
領ギ
研究内容
連携可能な技術・知財
自動車変速機大手のジヤトコ株式会社では、製品の信
● FTA 支援技術
頼性向上のために FTA の活用を進めていましたが、そ
● FTAid で利用する MZ Platform 機能:Excel ファ
の実施には作業者の知識と経験が必要で作業負担が大き
イル入出力/ XML ファイル入出力/ RDB 入出力/
いという課題がありました。そこで、産総研が独自ソフ
ツリー表示・編集/ネットワーク図表示・編集
トウェア基盤の MZ Platform を用いて、東京大学の研
●特 開 2013-73384 (2013/04/22)「FT 図 作 成
究成果を導入した FTA 支援ソフトウェア「FTAid(エ
支援装置及び FT 図作成支援プログラム」ほか 3 件
フティーエイド)」を開発することにより、FTA の品質
(特開 2013-72719 /特願 2012-060548 /特願
2012-060551)
向上と技術者の作業負担 5 割削減を達成しました。開
※すべてジヤトコ株式会社との共同出願
発は技術者への聞き取り調査に基づき、既存データの有
効利用と操作性を重視して実施しました。
域ー
・
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
FTAid の概要と特徴
97
安全・安心を支える劣化損傷
評価技術
生
命
工
学
領
域
■ 研究担当:鈴木隆之/西村良弘/笹本明/原田祥久/中住昭吾/村松眞由
[email protected]
■ 先進製造プロセス研究部門 機能・構造予測検証研究グループ
● 研究拠点
■ 連携担当:市川直樹 n. [email protected]
つくば東
研究のポイント・応用先
● 多様な材料系の劣化損傷評価に対応できる電磁プロープ、超音波プローブ等を試作
● 計測データより、欠陥形状を同定可能な非破壊損傷解析ツールを開発
情
報
・
人
間
工
学
領
域
● 機器・構造体の寿命・余寿命予測が可能に
研究のねらい
機器・構造体の信頼性を確保するためには、その構造材料の使用過程において生じる劣化損傷機構を明らかにすると
ともに、損傷や欠陥形状を正確に評価する必要があります。また、機器・構造体には先進複合材料を含む多様な材料系
が用いられるようになってきているため、それらに対応できる劣化損傷評価技術が求められています。本研究では、
様々
な構造材料を対象に耐久性評価試験を行うとともに、非破壊損傷評価・解析技術を開発しています。さらに破壊力学的
材
料
・
化
学
領
域
手法に基づく寿命・余寿命予測ツールの開発も行っています。
研究内容
連携可能な技術・知財
力学特性評価に関しては、エネルギ - 機器で用いられ
1.力学特性評価技術
る高温耐熱材料や航空宇宙・輸送機器等で用いられつつ
●先進複合材料の耐久性評価試験
ある CFRP 等の耐久性評価試験等を実施しております。
●エネルギ - 機器用材料の破壊力学特性試験
非破壊損傷評価に関しては、GMR センサ、電磁超音
2.劣化損傷評価、欠陥解析技術
波センサ、超音波センサ等を用いたプローブを試作・開
●電磁気、超音波を用いた非破壊損傷評価
発するとともに、計測された情報から、逆解析という手
●破壊力学解析による寿命・余寿命評価
法を用いて、具体的な欠陥形状を求めるツールを開発し
3.特許情報
ています。また、求めた欠陥形状をもとに、拡張有限要
●登録 5083859(2012/09/14)
「画像再構成
エ
製レ
ク
造ト
ロ
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・
エ
環ネ
装置」/ 特願 2011-188390(2011/08/31) 境
ル
「寿命・余寿命評価機能付き非破壊検査装置」
領ギ
素法による欠陥解析や破壊力学解析および耐久性評価試
験結果を用いて、寿命・余寿命予測を行います。
域ー
・
0.005
0.004
0.003
0.002
0
-0.001
-0.002
-0.003
-0.004
-0.005
40
Y[mm]
35
30
25
20
115
120
125
130
X[mm]
電磁超音波像
(順解析結果)
135
図1 試作した GMR センサプローブ、および隣接欠陥近傍の漏
洩磁束密度分布計測例
欠陥像
(逆解析結果)
図 2 欠陥(表面からの深さ 25mm、φ 10mm)の電磁超音
98
波像 ( 順解析 ) および逆解析結果例
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
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域
製造業の IT 化を推進するソフト
ウェア開発ツール MZ Platform
■ 研究担当:澤田浩之/徳永仁史/古川慈之
[email protected]
情
報
・
人
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域
■ 先進製造プロセス研究部門 製造情報研究グループ
● 研究拠点
■ 連携担当:市川直樹 [email protected]
つくば東
研究のポイント・応用先
● IT システムを従来の半分以下の期間で自社開発できます
● IT システムの開発に際して、プログラムを書く必要はありません
● 現場の要望に合わせて、生産管理等のシステムを容易に開発・運用できます
材
料
・
化
学
領
域
研究のねらい
製造業において、業務改革を推進し競争力の維持向上を図るためには、IT 化への取り組みが不可欠であると広く認
識されています。しかし、特に中小企業では、IT システムの開発や導入、運用のための負担が企業規模に比べて非常
に大きく、IT 化を進めることができないというケースが多く見られます。本研究開発のねらいは、IT の専門家ではな
い中小製造業の技術者が、高度なプログラムの知識を必要とせずに自ら IT システムを構築・運用できるようにするこ
とで、IT 化の推進によるものづくり力の強化に貢献することです。
エ
製レ
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・
研究内容
MZ Platform は、コンポーネントと呼ばれるソフト
ソフトウェア・帳票・データベースなど
から構成されるシステム構築が可能
ウェアの部品を組み合わせて IT システムを作り上げる
ツールです。従来、IT システムを開発するためには、
コンポーネント
(ソフトウェア部品)
IT 知識を身につけてプログラムを書くことが必要でし
コンポーネントを組
み合わせるだけで
ソフトウェア作成
受注・工程・品質管理
た。MZ Platform では、様々な機能を持ったコンポー
ネントがあらかじめ用意されていますので、プログラム
エ
環ネ
境ル
領ギ
域ー
・
を書くことなく従来よりもはるかに容易に IT システム
を開発できます。また、付属の拡張用ソフトウェアを利
日程・進捗管理
用することで、現場機器と連携したシステムや Web ア
コンポーネントの組み合わせによるシステム開発
プリケーションも構築できます。
連携可能な技術・知財
独自コンポーネントの
作成(Java)
最小限の開発で高度
な専用システム構築
●生産管理等業務用 IT システムの開発
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
●特許第 4392490 号 (2009/10/23)「コンポーネ
Webブラウザで実行
Webアプリケーションの作成
ントバスシステム及びコンポーネントバス用プログラ
専用のWebサーバ構築
とソフトウェア配置
ム」
●技術移転契約(商用ライセンス契約)締結企業 12 社
APIを利用して現場機器接続用
ソフトウェアを作成(C/C++)
謝辞:本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)の「ものづくり・IT融合化推進技術
既存システムを有効に
利用したシステム構築
C/C++ソフトウェア
ファイル
テキストを入力
テキストを入力
追加のテキストを入力
の研究開発」および「中小企業基盤技術継承支援
テキスト
現場機器との
データ連携処理
準備完了
事業」により行われたものです。
付属ソフトウェアを利用したシステムの拡張
99
レーザ電解複合マイクロ加工による
微小医療用デバイス製造
直径 90µm 極細管の微細形状加工に成功
●レーザ加工と電解加工を複合し微細・高精度で効率的な加工を実現
●同一レーザ光源で加工・計測を行い装置の高精度化と小型化を実現
●小径ステント等を加工し従来はできなかった手術等への適用に期待
情
報
・
人
間
工
学
領
域
関連技術分野:加工技術、 精密微細形状、 医療デバイス、レーザー
連 携 先 業 種:製造業(機械)、 製造業(精密機器)
研究のねらい
心臓外科、脳外科に応用される手術用カテーテル、ステント、及び小径、高柔軟性が要求される高密度電子回路検
査用プローブ等の高付加価値デバイスに対するニーズは多いのですが、従来の機械加工法では加工力によって細管が
変形する(逃げる)ため、直径 300µm 未満の細管へ微細複雑形状を加工することは困難でした。また、レーザ加
工でも細管を精度良く保持することができず、目的とした加工形状を得ることが困難でした。これらの問題点を克服
し、髪の毛レベルの極細管に自由形状を高効率、高精度、低環境負荷で加工できる製造システムを開発しています。
研究内容
連携可能な技術・知財
本研究で開発した 「レーザ電解複合加工機」 では、加
工と同一のレーザ光源を用いて形状を計測できるため、
計測位置と加工位置のずれがありません。加工対象物の
回転中心のずれや傾きなどの保持誤差が生じても、誤差
量をフィードバック補正することで常に正確な位置に
レーザを照射できます。また、電解仕上げ加工を複合す
ることにより、レーザ加工の問題点である熱影響層の除
去と表面の平滑化が可能です。レーザ・電解複合加工機
を用いて世界で初めて直径 90µm の極細管に対して任
意の複雑微細形状を加工することに成功しました。
生
命
工
学
領
域
・ 脳血管治療用カテーテル、ステント、ステントグラフ
トの開発
・ 電子回路検査用プローブの開発
・ 小径軸、管の微細加工
・ 特開 2008-040490(2008/02/21)
材
料
・
化
学
領
域
エ
製レ
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・
エ
90 m(
環ネ
境ル
領ギ
40 m)
域ー
・
レーザ電解複合加工機
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
レーザ電解複合加工例
■研究担当:栗田 恒雄
■所 属:製造技術研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
100
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報
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人
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域ス
・
高機能部品を実現する
材料と一体となった加工技術
材料と加工と評価を組み合わせて機能を発現
●金属やセラミックス等難加工材料の特性制御
●逐次成形、 積層造形、 超塑性等の加工技術を利用した造形
●組織観察や加工の可視化による評価技術の展開
関連技術分野:加工技術、 金属材料、 セラミックス材料、 医療デバイス
連 携 先 業 種:製造業(機械/金属製品/精密機器)
研究のねらい
各種産業機器を構成する部品類は、多種加工技術を用いて、多様な材料から生み出されてきました。この製造技術
を高め、より高機能な部品の製造を実現するためには、基となる材料技術と多様な加工技術を組み合わせて造形する
必要があります。そこで、材料の結晶構造制御や素形材としての形態制御技術等の研究と、逐次成形や積層造形技術、
超塑性加工、表面処理技術等の加工技術の研究を組み合わせ、多様なニーズに応える機能構造の造形技術を開発して
います。加えて材料や加工の評価技術についても研究を進めています。
研究内容
高機能な製品の製造には、今まで使えなかった材料や
作れなかった形状の実現が大きな課題となっています。
例えば医療関係では生分解性の材料を微細加工により複
雑な形を作る事が求められます。この他にも超軽量部品
や、高比表面積部品、耐特殊環境部品等、新しいニーズ
は広く拡がっています。生分解性マグネシウムや、軽量
合金材、耐特殊環境材料等を素形材として作製するとこ
ろから、レーザー加工、逐次成形、積層造形、表面コー
ティング等により加工するところまで、高機能な部品の
造形技術を開発しています。
エ
環ネ
境ル
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・
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
5 mm
3 mm
分解性マグネシウムの高精度薄肉細管と開発ステント
連携可能な技術・知財
・ 特許第 3845722 号(2006/09/01)
・ 特許第 3914989 号(2007/02/16)
・ マグネシウム系金属材料加工技術
・ スピニング・逐次成形技術
・ 金属積層造形技術 等
ポーラス構造(積層造形)と箱形状(逐次成形)
■研究担当:中野 禅/荒井 裕彦/清水 透/加藤 正仁/花田 幸太郎/村上 敬/佐藤 直子
■所 属:製造技術研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
101
カンチレバー工具によるマイクロナノ
スケール切削加工
■ 研究担当:芦田極
生
命
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域
[email protected]
■ 先進製造プロセス研究部門 マイクロ加工システム研究グル−プ
● 研究拠点
■ 連携担当:市川直樹 [email protected]
つくば東
研究のポイント・応用先
● 新原理の切込み深さ制御:AFM(原子間力顕微鏡)の接触荷重フィードバック制御を応用
● 剛性を重視した従来型切削工具に替えて、柔軟なカンチレバー工具を使用
情
報
・
人
間
工
学
領
域
● 傾斜面や曲面に対する微細溝加工、例えばレンズ表面に回折格子を加工することが可能
研究のねらい
高剛性の機械と工具を用いる従来の切削加工では、工作機械の精度以上の製品を作ることはできません(母性原理)
。
つまり、ナノメートルオーダで切込み深さを制御するためには、それ以上の精度を持つ工作機械が必要です。一方で、
AFM 機構を応用したナノスケール切削加工では、数十μ m 四方の限られた領域ですが、柔軟なカンチレバー工具を用
いた切込み深さ 100nm 以下の切削加工が可能です。この原理を応用し、スケールアップすることで、汎用の工作機
材
料
・
化
学
領
域
械でも実用レベルの大面積のマイクロナノ微細構造の切削加工を行える技術を研究・開発しています。
エ
製レ
ク
造ト
ロ
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ク
域ス
・
研究内容
従来の切削加工では、送り量基準で切込み深さを設定
します。一方で AFM 機構を用いたナノ切削では、加工
力をフィードバック制御することで、微小な切込みを安
定に付与できます。加工力基準の切込み深さ制御(新原
理)を従来の切削加工と融合させ、送り量基準の形状創
製と加工力基準の微細構造の加工が可能なハイブリッド
な精密微細切削加工の実現をねらっています。具体的に
エ
は、一般の工作機械に装着できる工具ホルダを開発し、
柔らかいカンチレバー(板ばね)型工具と、工具たわみ
工具ホルダを搭載した門型 3 軸ステージ
量センサ、工具位置を制御するピエゾ素子により加工力
を制御します。
環ネ
境ル
領ギ
域ー
連携可能な技術・知財
・
●マイクロナノ微細構造による表面機能制御
●ナノインプリント用金型の作製
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
●マイクロナノ微細切削用工具ホルダの製品化
●大面積曲面への微細構造加工
●トライボリソグラフィ(摩擦により表面を部分的に変
質させエッチング特性などを変える技術)の大面積化
●特許 3785463 号 (2006/03/31)「微細構造作製
方法」
●特許 3401565 号 (2003/02/28)「微細パターニ
ング方法」
切削加工されたV溝と切りくず(右下:加工開始点)
102
生
命
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情
報
・
人
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料
・
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・
化学物質の生理活性評価に用いる
発光可視化技術
化学物質の生理活性が光で見える
●超高輝度人工生物発光酵素(ALuc )を用いたバイオアッセイの実現
●化学物質の生理活性に応じて発光する一分子型生物発光プローブ技術
●薬剤や化学物質に対するバイオアッセイや環境計測に利用可能
関連技術分野:分析技術、 バイオアッセイ、イメージング
連 携 先 業 種:製造業(医薬品)、 製造業(化学)
研究のねらい
生体におけるホルモンや化学物質の生理作用を計測するニーズは、医薬学分野・環境リスク評価分野の長年の課題
でした。
本研究では、
「超高輝度人工生物発光酵素(ALuc )と生理活性物質に応答し発光する簡便な一分子型生物発光プ
ローブ」を 2 本柱にし、多彩な化学物質の生理活性を可視化する新技術を開発しました。本技術の開発によりバイオ
アッセイでの発光標識、医薬学分野での創薬スクリーニング、基礎生物実験試薬、生体イメージングなどで幅広く用
いられる基盤技術としての実用化を期待します。
研究内容
近年、発光プランクトン由来の発光酵素から頻度の高
いアミノ酸を抽出する新たな発想で、天然にない人工生
物発光酵素(ALuc )を創製しました(図 (A))。
更に ALuc を 2 分割し、その間にホルモン受容体を
挿入してホルモン感受性を持たせた一分子型生物発光プ
ローブを創製しました(図 (B))。本プローブはホルモ
ン等に応答して折畳み発光するように設計されました。
この原理を利用して、化学物質の生理活性(ホルモン様
活性、向精神性、細胞・免疫毒性)が簡便に可視化でき
るようになりました。
エ
環ネ
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・
総
合計
セ量
ン標
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ー
連携可能な技術・知財
・発光標識としての利用や薬剤スクリーニングキットの
製作
・WO/2014/065047(2014/05/01)
・US20100273150(2008/01/15)
・Bioconjugate Chem. 2013, 24, 2067 − 2075.
・Biochem. Biophy. Res. Comm. 2014, 448,
418‒423.
(A) 人工生物発光酵素の系統図と発光輝度の比較。(B) 一分子型生
物発光プローブの作動原理。ホルモン受容体が化学物質を認識し分
子内構造変化を起こして発光します。
■研究担当:金 誠培(キム スンベ)
■所 属:環境管理研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
103
ヒト iPS 細胞を用いた環境有害物質
の迅速検出デバイス
ヒトへの環境有害物質の直接的評価を可能にする
●ヒト iPS 細胞を用いた環境計測デバイスの基盤技術を開発
●ノンコーディング RNA に着目したストレス高感受性細胞の作製に成功
●細胞センシングデバイスの迅速化・高感度化に期待
情
報
・
人
間
工
学
領
域
関連技術分野:環境計測、 環境リスク評価、 幹細胞
連 携 先 業 種:製造業(化学/医薬品/食料品)
研究のねらい
動物実験低減の国際的動向を受けて、細胞を用いた化学物質の有害性試験手法の開発が急速に活発化しています。
特に、ヒト細胞を用いたバイオアッセイ技術は、複数の化学物質による複合的影響を総合的に評価することが可能で
あることから、環境計測分野において注目を集めています。
本研究では、ヒト iPS 細胞を含めた、ヒト培養細胞を用いた環境計測技術のさらなる迅速化・高感度化を目指し、
細胞内に存在するノンコーディング RNA に着目することで、環境ストレスに高い感受性を有する機能性細胞の作製
に成功いたしました。
研究内容
ノンコーディング RNA は細胞内の遺伝子発現をダイ
ナミックに制御する分子として、近年注目を集めていま
す。我々は、ノンコーディング RNA が環境ストレスに
鋭敏に応答するのではないかという仮説のもと、ノン
コーディング RNA を人工的に高発現させた細胞を作製
した結果、環境ストレスに対して細胞死を起こしやすい
機能性細胞の開発に成功しました。
将来的には、本細胞をチップ上に搭載することで、環
境計測からヒト健康モニタリングまでを行うことが可能
な、次世代センシングシステムの構築を目指しています。
生
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・
ノンコーディングRNAによるストレス応答
エ
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境ル
領ギ
連携可能な技術・知財
・細胞チップなどのマイクロデバイス技術
・3 次元細胞培養デバイス技術
・ES/iPS 細胞を含む、各種哺乳動物細胞株への応用
・PLoS One. 9, (2014) e106282
・J. Biosci. Bioeng. 119, (2015) 604-618.
・特開 2015-27290 核酸を用いたストレス高感受性
細胞の作製方法
・本研究の一部は、科学研究費補助金(26810100)
の助成を受けたものです
域ー
・
総
合計
セ量
ン標
タ準
ー
検出デバイスのイメージと発展形
■研究担当:谷 英典
■所 属:環境管理研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
104
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・
滅菌に有効な活性酸素検出用
表面作用量モニターシステム
ドライな状態で表面洗浄・滅菌状態をリアルタイムモニタリング
●表面洗浄・殺菌用活性酸素を利用したシステムのモニタリング装置
●水晶振動子を検知センサとして利用した高感度検知手法
●有機系薄膜を利用した長時間測定と膜材質による検出感度の向上
関連技術分野:センサ、 環境計測、 滅菌
連 携 先 業 種:医療・福祉業、 製造業(その他製品)
研究のねらい
半導体や医療器具などの表面洗浄、改質、殺菌用として、排ガス処理が不要で効果が高い活性酸素を利用したシス
テムが注目されています。しかし、この活性酸素の処理効果をリアルタイムで検知して測定する手法が限定されてい
るため、プロセス中で容易に利用することができませんでした。そこで、水晶振動子を利用した高感度微小天秤法を
応用し、使用現場環境下において高感度測定が可能な検知手法を開発しました。この手法を利用することによって、
オンサイトリアルタイム測定が可能となり、最適な活性酸素量を検知できるようになりました。
研究内容
連携可能な技術・知財
活性酸素は、活性化された酸素種の総称で極めて高い
酸化力があり、比較的容易に生成、排ガス処理等が不要
で環境負荷が低いものです。これを検知するため、水晶
振動子電極表面に活性酸素と反応する検出薄膜を配置し
ます。この素子は、ナノグラムオーダーの質量変化を検
出可能なため、この薄膜が活性酸素量に反比例して減少
(薄くなる)する際の質量変化を発振周波数の変化量と
して検出します。これによって、活性酸素作用量のリア
ルタイムモニターが可能になりました。この測定系は、
小型・安価でプロセス装置毎に搭載可能な構成です。
・気相状物質検知・測定・解析への応用
・オンサイトリアルタイム環境測定法(ガスセンシング)
の開発
・特許第 5231914 号 (2013/03/29)
・本研究の一部は、科学技術振興機構委託研究(研究成
果最適展開支援事業ハイリスク挑戦タイプ)のもとで
実施しています。
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芽胞形成菌(Bacillus atrophaeus )芽胞の殺菌特性
水晶振動子(QCM)を利用した活性酸素(原子状酸素)検出用表
面作用量モニターシステム(有機薄膜付)
■研究担当:野田 和俊
■所 属:環境管理研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
105
煩雑さを増す環境リスク評価の効率
化を支援する “AIST-MeRAM”
化学物質の環境リスク評価業務を効率化・定型化・標準化する
●各国からの約 3900 物質 15 万件の生態毒性データと複数の評価手法を搭載
●アジア諸国への化審法展開、 評価技術協力・人材育成・研修ツールとして活用
●専門知識がなくても PC 画面上での選択・入力により法規制対応の評価が可能
情
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関連技術分野:環境リスク評価、ソフトウェア
連 携 先 業 種:製造業(化学)、 農林水産業、 製造業(パルプ・紙)
研究のねらい
化学物質のリスクを適切に評価し管理することが国内外の社会的要請となっています。しかし、化学物質の数は膨
大で、評価には専門知識が必要となるため、リスク評価の実施には多大な時間と労力が要求されます。我々は、高度
なリスク評価技術と膨大な評価用データを搭載した誰もが使いやすい AIST-MeRAM(日本語版&英語版)を開発し
ました。AIST-MeRAM は、生態リスク評価の効率化・定型化・標準化を可能にし、日本型管理手法のアジア展開、
化審法などの法規制対応や社会でのリスク評価普及、企業の自主評価や事業の国際展開を支援します。
研究内容
化学物質の評価ニーズに応じた初期評価、一括評価、
詳細評価の3つの評価モードを実装した。化審法の法体
系に沿った評価システム、REACH 法や OECD の評価
に対応した不確実性係数自動設定などの社会ニーズの高
い機能を搭載しました。ユーザーは自分の PC に AISTMeRAM をインストールし、画面操作するだけで専門
的なリスク評価を実施可能です。さらに自社データを用
いることで、
様々なシナリオに基づいた評価ができます。
インターフェースは、使いやすさを重視したシンプルな
デザインです。
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AIST-MeRAM 開発の背景とねらい
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連携可能な技術・知財
・化学物質関連法規制への対応(化審法、化管法、農薬
取締法、REACH 法)
・日本型管理手法のアジア展開支援、JICA 研修などリ
スク評価技術協力・人材育成
・事業者の環境経営(CSR や生物多様性保全など)及
び事業の国際展開支援
・国内外の他のリスク評価ツールとの連携
・本研究の一部は、一般社団法人日本化学工業協会 LRI
の研究助成を受けたものです。
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AIST-MeRAM の搭載機能と搭載データ
■研究担当:林 彬勒(リン ヒンロク)/内藤 航/加茂 将史
■所 属:安全科学研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:
つくば
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超短パルス電子ビームによる
新規光源 (X 線γ線テラヘルツ波 )
実験室レベルの小型加速器でライフからインフラ診断まで可能に
●小型加速器からの超短パルス電子ビームを用いた革新的光源
●レーザーコンプトン散乱単色X線を用いたライフサイエンス・医療応用
●高出力テラヘルツ波を用いた分光・イメージング応用(安全安心技術)
関連技術分野:インフラ診断、 生活安全、 非破壊計測、イメージング
連 携 先 業 種:製造業(食料品)、 医療・福祉業、 建設業
研究のねらい
小型加速器からの超短パルス電子ビームを用いて、従来にない革新的な光源(X 線 / γ線 / テラヘルツ波)を開発
しています。X 線源では、位相コントラスト法や吸収端造影法を用いた生体イメージングなどの高度医療診断を目
指したライフサイエンス分野での応用を展開しています。超短パルスγ線源は、光子誘起陽電子消滅寿命測定法によ
るバルク金属材料の経年劣化検査等へ、高強度テラヘルツ光源は、生体材料の分析や郵便物に隠蔽された禁止薬物(爆
薬、麻薬等)の検査等への利用が期待されており、これら応用を展開しています。
研究内容
産総研の小型加速器は超短パルス電子ビームを生成で
きます。これをベースにして、レーザーコンプトン散乱
(LCS) 法による単色X線(10 ∼ 40 keV)、コヒーレ
ント放射による高ピーク強度のテラヘルツ波、超短パル
スの制動γ線といった革新的な光を発生させ、応用研究
をしています。LCS-X 線を用いた位相コントラストイ
メージングなどライフサイエンス応用を展開していま
す。テラヘルツ波では、高強度性を生かした実環境での
分光・イメージング応用を行っています。γ線では、金
属配管等の内部の劣化検査を目指しています。
LCS-X 線による骨の位相コントラスト画像
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連携可能な技術・知財
・X 線による低侵襲・高精細イメージング
・X 線による吸収端イメージング
・テラヘルツ波による郵便物等における禁止薬物の非開
披検査
・テラヘルツ波による電子材料等の非破壊分析
・γ線を用いた光子誘起陽電子消滅寿命測定法による金
属内部の欠陥の非破壊検査
テラヘルツ波による封筒内部の非開披検査
テラヘルツ波による封筒内部の非開披検査
X 線、テラヘルツ波の応用例
■研究担当:黒田 隆之助/平 義隆/田中 真人/安本 正人/池浦 広美/豊川 弘之
■所 属:分析計測標準研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:時崎 高志 つくば
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物質・材料系データバンク
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物質・材料に関するデータベースの情報をワンストップで提供
●物質・材料系データバンクのポータルサイトを開設
●参画データベースを一度に検索する横断検索機能を実現
●物質・材料の組成と熱力学量を軸にした材料マッピング法の開発
情
報
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関連技術分野:計量データベース、 有機化合物、スペクトル、 材料物性
連 携 先 業 種:製造業(化学)、 製造業(機械)、 情報・通信業
研究のねらい
産総研物質・材料系データバンクでは、有機化合物スペクトルデータベース、分散型熱物性データベース等の物質・
材料系のデータベースを対象に、特徴の異なるコンテンツを定量的に記述するための共通基盤技術を開発しています。
データバンクのコンセプトの下に複数のデータベースが集うメリットを出すために、ポータルサイトから参画データ
ベースの情報をワンストップで検索・提供する横断検索システムを開発しています。
研究内容
物質と材料の情報は相容れず、一般的に異なるデータ
ベースに存在します。当データバンクでは物質と材料の
情報を統一的に記述する、組成と熱力学量を利用した定
量的表現手法について研究しています。利便性の面から
は、参画データベースにデータ連携用 WebAPI を設置
するとともに、物質・材料系データバンクポータルサイ
トを開設して、これらデータベースコンテンツをワンス
トップで提供する横断的検索機能を開発しています。定
量的データ記述方法を高度化するとともに、利便性の良
いデータ提供方法についての研究を進めています。
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参画データベースと連携システム概略
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連携可能な技術・知財
・オンライン化学物質辞書
・熱設計や材料設計のシミュレーション
・Linked Open Data やセマンティック Web を活用す
るアプリケーション
・文献情報サービス
・物質・材料系データバンクポータルサイト
URL:http://materialportal.db.aist.go.jp/
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ポータルサイトスクリーンショット
■研究担当:山下 雄一郎/馬場 哲也
■所 属:物質計測標準研究部門/物理計測標準研究部門
■連 絡 先:竹歳 尚之 ●研究拠点
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信頼できるバイオ分析や
医療診断を実現する標準物質
生体関連物質計測の信頼性確保のための 「標準物質」 の開発
●“普遍的な値”に基づき、 国際整合性を確保した標準物質を開発
●さまざまな生体関連物質計測の“正しさ”を評価できる測定方法を開発
●生体関連物質の検査試薬やバイオ計測装置の開発や評価に利用可能
関連技術分野:標準物質、 バイオマーカー、 ヘルスケア
連 携 先 業 種:製造業(医薬品/精密機器/食料品)
研究のねらい
医療分野をはじめ、食品、環境、医薬品製造など種々の分野で生体関連物質の定量分析が行われており、データの
利用といった観点からも、測定結果の信頼性や互換性の確保が求められています。いつ、どこで、どのような測定機
器や測定方法によって得られたデータであっても相互に比較検討できるようにするためには、“普遍的な値”に基づ
いた標準物質を共通のものさしにすることが効果的です。そこで、我々は、生体関連物質の精確な濃度決定法の開発
を行い、それらを利用して標準物質を開発しています。これらの標準物質の利用による、各分野の分析の信頼性確保
の実現を目指しています。
研究内容
連携可能な技術・知財
脂質、代謝物、アミノ酸、ステロイドホルモンや、ペ
プチド・タンパク質、核酸など、診断マーカーやバイオ
マーカー、機能物質として測定される種々の生体関連物
質について、主に機器分析手法を活用した精確な濃度決
定法を確立しています。開発した測定法を利用して、均
質かつ安定であるように調製された純物質、標準液、血
液などの試料中の成分濃度を決定することにより、標準
物質の開発を行い、国内外に供給します。また、国際的
な比較実験に参加することにより、開発した標準物質の
国際整合性を確保しています。
・標準物質を活用した分析・検査試薬の値付け、評価
・標準物質を活用した、測定機器や測定方法の信頼性評
価方法の確立
・新規標準物質の共同開発
・現在供給している標準物質の詳細
URL:https://www.nmij.jp/service/C/
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析
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性の
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の
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生体関連物質計測の信頼性確保のための標準物質開発
■研究担当:高津 章子/加藤 愛/絹見 朋也 /川口 研/藤井 紳一郎/柴山 祥枝/山崎 太一/坂口 洋平
■所 属:物質計測標準研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:竹歳 尚之 つくば
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超高温製造プロセスの
温度制御を支える熱電対標準
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熱電対による温度計測の信頼性向上
● 2000 ℃までの高温用熱電対を評価、 校正するための技術を開発
●金属−炭素共晶点を温度定点に利用
● W-Re 熱電対、 IrRh/Ir 熱電対などの高温用熱電対の特性を評価
情
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関連技術分野:計量標準、 計測技術
連 携 先 業 種:製造業(精密機器/金属製品/ガラス・土石製品)
研究のねらい
SiC 半導体や、タービン用耐熱金属、ガラス、セラミックスなどの製造プロセスでは、製造時の温度管理や環境負
荷軽減の観点から高精度な温度制御が求められています。一方で、こうした超高温の温度域において使用する熱電対
は、安定性や耐久性の面で様々な課題を解決する必要があります。
私たちは、信頼性の高い温度計測を求める産業ニーズを満たすべく、高温用熱電対のための国家標準を構築し、熱
電対を高精度に評価および校正する技術の開発を行っています。これらは産業用計測器の開発支援や共同開発などに
も活用できます。
研究内容
熱電対用の国家計量標準として、銀点(962 ℃)、
銅点(1085 ℃)およびパラジウム点(1553 ℃)の
jcss 供給を行っています。また、高温における再現性
や安定性が良い温度の基準として金属ー炭素共晶点を用
いた共晶点実現装置を開発しています。既に Co-C 点
(1324 ℃) の 供 給 を 実 施 し て お り、 現 在、Rh-C 点
(1657 ℃)の開発を進めています。さらに、Ru-C 点
(1953 ℃)を実現する装置を試作し、超高温用熱電対
である W-Re 熱電対や IrRh/Ir 熱電対の評価を、熱電対
製造メーカと連携して行っています。
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連携可能な技術・知財
・Ru-C 共晶点装置等の定点実現装置を用いた高温用熱
電対の安定性評価
・熱電対の長寿命化のための部材評価
・熱電対不均質評価装置を用いた熱電対の熱起電力変化
の温度依存性の評価
・国家標準の温度目盛やその実現技術を活用した、新た
な温度計測技術の開発
・高精度な超高温用熱電対を用いた高温物性の測定
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共晶点実現装置
■研究担当:小倉 秀樹/井土 正也/山澤 一彰/丹波 純
■所 属:物理計測標準研究部門
●研究拠点
■連 絡 先:丹波 純 つくば
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