「からだとことばのレッスン」を開催する

「からだとことばのレッスン」を開催する
8月4日(日)10:00~16:30に南生涯学習センターで南山大学の土谷薫先生
(言語聴覚士)を講師にお招きして「からだとことばのレッスン ~からだのゆらし &
声からことばへ~」を開催しました。参加者は16名でした。土谷薫先生には3年前から
毎年ご指導をしていただいておりますが、約半数の方がこのレッスンは初参加でしたので、
フレッシュな雰囲気で行うことができました。以下、レッスンの概要をご報告します。
1.腹式呼吸
へその少し下を膨らませるようにする。「息を足の裏から吸う→頭・指先まで吸気を持っ
てくる→足の裏から息を出す。」 足の裏に重心を感じるようにする。体を真空の状態にし
て、息を出すようにする。
「小指1本分、口を開けて吸う→喉の奥を開ける→上向きかげん
で息を吐く。」 息(空気)に乗せて声を出すようにすると、楽に声が出るようになる。
「一音一拍」を念頭において発音する。口の形は気にする必要はない。舌の位置を少し
変えるだけで、
「アイウエオ」が出ることに気づかされました。
2.からだゆらし
二人一組で行いました。まずはひとりが畳の上に寝転んで、もう一方の人が体の状態を
観察しました。背中がべったりと畳に付いておらず、アバラが持ち上がっている人も見え
ました。そういう方は畳に落として体を緩めることによって、胸式呼吸から腹式呼吸に変
えることができるのです。次はからだほぐし。腕のゆらしから始まって、頭のほぐし、そ
して全身のほぐし。せっかちにならずに、相手の体の状態に合わせて、ゆったりとほぐし
てあげる。リズムをつけて、体全体に波を伝えるようにする。全身が畳(地面)にべった
りと着いているような安定感を感じるようになり、体の緊張が取れていきました。
3.「海」の合唱
「海はひろいな 大きいな 月がのぼるし 日がしずむ」 この歌は3番までありますが、
実際に海辺に来て、海の大きさに感嘆する練習をして、表現力をつけました。
4.「お祭」の寸劇
4人ずつ、4組に分かれました。
「わっしょい わっしょい 祭りだ 祭りだ ……」 こ
の歌を8つのパートに分けて、各組が順番に歌っていきました。実際に神輿(みこし)を
担いだ気分になるために、各組とも工夫を凝らしていました。3人が土台になって、一人
を担いだ組。絨毯やホウキを神輿代わりにした組。観客に訴えかけるように大声で、身振
りを交えて。最後は4組全部が「揉め、揉め、揉め!」と押し合ってフィナーレに。。
。
6時間半があっという間に過ぎていきましたが、本当に有意義なレッスンでした。「から
だのゆらし」では自分の中を観察して、「合唱」「寸劇」では外に向ける「ことば」を学ぶ
ことができました。小生が一番印象に残ったのは土谷先生の次のお言葉でした。
「吃音者は
せっかちすぎる。相手の反応が返ってくる前に、反応してしまう。」吃音者はコミュニケー
ション能力が不足していると言われますが、端的に表現しているようでした。
ご多忙にも関わらずご指導して下さいました土谷先生にはこの場をお借りして篤くお礼
申し上げます。レッスン終了後はJR笠寺駅近くのネパール料理店で土谷先生を交えて
有志で懇親会を開き、大いに盛り上がりました。
「バリバラ」に出演して
7月26日(金)21時からNHKテレビ(Eテレ)の「バリバラ」で吃音をテーマに
した番組が放映されましたが、名古屋言友会の会員である荒木隼人くんと高橋啓太くんが
出演しました。大阪のNHKスタジオでの収録風景や、名古屋言友会の例会、ご家庭、
職場などでの「吃りっぷり」も紹介されたのですが、お二人に撮影に伴う感想や「よもや
ま話」について語っていただきましたのでご紹介します。
「自分を変えるきっかけに」
荒木 隼人
今回の「バリバラ」出演で色々なことがありました。まず出演するかどうかでとても悩
みましたが、今の自分を変えるきっかけになるのではと思い、出演することに決めました。
本当はもう一人大学生が出演する予定だったのですが、授業中に撮影が入ったことをきっ
かけに友達ができて、悩みが解消されたので出演を断ったそうです。
スタジオでの撮影当日、NHKのリハーサル室で弁当を食べながら打ち合わせをしてい
たのですが、緊張のあまり弁当が全く喉を通りませんでした。それでも雑談をしている
うちに緊張がほぐれてきたり、撮影中も雑談のような感じで楽しく進められていったので、
良い緊張感の中、自分の言いたいことが言えて良かったです。そして撮影が終わってから
は写真を撮ったり、菊池良和さんが撮影中に付けていた名札を応援メッセージ付きで下さ
ったりと、とても良い雰囲気で終えることができました。帰りは菊池良和さん、高橋啓太
さんと楽しく食事をし、それから私は甲子園に行って野球を見たり、大阪観光をして帰路
に就きました。
実はまだ恥ずかしさがあって放送を見ていないのですが、それでも今回の撮影の中で
色々な人から応援されたり、アドバイスをもらえたので、より一層 就活を頑張ろうと思い
ました。
「カミングアウト」
高橋 啓太
番組の感想として、まずはひと言。自分の吃音は自分が想像していたよりもかなり酷か
ったです。今回番組に出演させていただき、本当に色々な貴重な経験をさせて頂きました。
極度の緊張感の中で話す事。それから会社の方達へのカミングアウト。私の場合、吃音は
隠せるような症状ではありませんので、カミングアウトというよりも、吃音の説明でした
が……。それから放送では使われませんでしたが、床屋さんへの撮影交渉と、吃音の説明。
その床屋さんは、私が頼んだ訳ではないのに、私が見せた吃音啓発パンフレットを「これ
貰ってもいいですか?」と、言って下さいました。これは非常に嬉しかったです。今回こ
のような機会がなければ、経験できなかった事ばかりです。そしてスタッフの方達や、
出演者の方々と出会えた事。中でも私にとって一番の収穫は、荒木君と友達になれた事で
す。これから共に戦っていける戦友ができた事は、私にとって非常に心強い事です。
だけど出演に関しては、本当に最後まで悩み、特に職場の撮影に関しては、本当にキツ
イものがありました。私にとっての本当のカミングアウトは、吃音ではなく、自分の過去
を曝け出す事でした。この事に関しては、ディレクターの方とも何度もやりとりをし、
今回の放送に至りましたが、果たして自分にとって意味のある事であったのかどうかは
まだわかりません。今はただただ、しんどいです。
*「バリバラ」を見た感想*
●「バリバラ」を見ました。出演されていた3人のバランスが良かったですね。菊池良和
先生には、今のまま、吃音者に寄り添うドクターでいて貰いたいです。荒木隼人さんも、
吃音による就活の悩みが、とてもよく出ていました。就職出来ると良いですね。テレビ
に出れる位、前向きになっていますので、朗報がそのうち届くのでは?……と思います。
若いうちに吃音と真に向き合う機会を持てて、羨ましいとも思います。そして、高橋啓
太さん、感動しました! 個人的に頑張ってもらいたい、幸せになってもらいたい……
と思いました。高橋啓太さんの人生に、吃音の全てが込められている気がします。この
番組は、吃音についてよく知らない人にとっても良く分かり、そして、見る人の心を
打つと思います。吃音に関して、より多くの人に届くと嬉しいです。
■「パリバラ」見ました、聞きました。特に荒木隼人さんの就職活動の苦労は、私も経験
致しましたので気持ちは分かります。荒木さん自身の頑張りや仲間のサポート(名古屋
言友会)は放送を見た人には共感出来たと思います。放送が荒木さんの就職活動にどの
位プラスになったかは分かりませんが、少なくとも放送を見た方や、笑い飯やはるな愛
さんのような芸能人に、
“吃音”というものが少しは理解いただけたのではないかと思い
ます。勇気を出して、テレビ出演された方々に感謝です。
▲NHKの全国放送で、当事者団体の代表として菊池 Dr.をはじめ、名古屋言友会のお二方
が自らの吃音を全面に出され、吃音の体験談を話されたことに深く敬意を表します。
普段の例会では知り得なかった一面も見る事ができ、今度お会いした際にもう少しお話
をお聞きしたいです。この番組を通じて一人でも多くの方に「吃音」を知っていただき、
理解を深めていただければと思います。
★私にとって「バリバラ」は、非常に新鮮な気持ちで観ることができた番組でした。番組
中、私の喋る姿が極短時間ながら放映され、まず思ったのが「自分はいつもこんな風に
喋っているのか!」でした。普段、言葉の流暢性だけを気にして、“喋り方”には全く注
目していませんでしたが、放映された私の姿は、いつも想像していた喋り方とは大きな
開きがあり、“喋り方”という観点で、何かアプローチができないかな?と感じた放送で
した。
◆NHK大阪放送局の竹田かをりさんから小生にお電話があったのは 4 月 25 日でした。
「バリバラ」で吃音をテーマの番組を制作したいので名古屋言友会を取材させてほしい
とのご要望でした。いきなりのお電話にビックリしたのを覚えています。その時点では
番組の構成や出演者などは白紙の状態でしたので、いろいろと相談を受けながら情報提
供や取材者の紹介をしていきました。関西系らしく「おもろい番組」にしたいとのこと
で、現実とのギャップに戸惑うこともありましたが、最後には「おもろく」
、また感動の
番組になったのはさすがだと思いました。この番組を制作するにあたり、多数の方に電
話インタビュー、吃音改善研究会合宿での取材、例会での撮影などでいろいろと協力を
していただきました。時間の都合で全員の方が番組に登場されたわけではありませんが、
皆さんから得た貴重な情報がベースになってこの番組が成功しました。皆さん、お疲れ
様でした。そして、ありがとうございました!
「中高校生の吃音のつどい」サマーキャンプ報告
お盆休み初日の 8 月 10~11 日に「中高校生の吃音のつどい」主催のサマーキャンプに、
スタッフとして参加してきました。キャンプは富士山の麓の静岡県御殿場市で、吃音をも
つ小中高生とその親を対象に、吃音についての話し合いや、ゲームや花火などのレクリエ
ーションを通じて若い吃音者同士の交流を図るイベントでした。参加のきっかけは、今年
10 月に名古屋で開催される「第 4 回 吃音フォーラム in 名古屋」が今回のキャンプの趣旨
と同じく小中高生とその親を対象に考えているため、10 年近く前から活動している「中高
校生の吃音のつどい」のノウハウを勉強できればと思い、参加してきました。感想として
は、小児(小学生低学年)はみんな本当に元気いっぱいで、吃音について話し合いをさせる
のは非常に大変だったこと。そして、参加者(スタッフも含め)が 60 人余りだったことを考
えると、やはり名古屋でもこうしたイベントへのニーズはかなり高いのではないかと思い
ました。以下に、印象に残った出来事をイベントごとに分けて紹介します。
【1 日目】
①エンカウンターゲーム
エンカウンターゲームと聞いて「何をするのだろう」と思ったが、参加者同士及びスタ
ッフの“他人”という垣根を無くすために行う簡易ゲームだと知り、これから 2 日間共に
生活し、吃音について語り合うための人間関係作りに非常に有効だと思った。
②グループごとの話し合い・相談会Ⅰ
私は小学生低学年グループの担当になったが、これが非常に大変で、全く当初の計画通
りにはいかない。自己紹介をしようとするも、8 人の小学生低学年児を座らせて話を聞かせ
るのは難しく、自己紹介の途中で全員遊び出してしまい学級崩壊に……。しかし、吃音の
ある子供たちが楽しく遊んでいる姿を見ていると計画通りにはいかなかったが、結果とし
ては良かったのではないかと思った。
③吃音のミニレクチャー
ウェンデル・ジョンソンの「吃音問題の立方体モデル」を子供でも分かりやすいように、
吃音心理のロールプレイ(演技)を交えながら説明が行われた。後半は「吃音問題の立方体
モデル」に沿って、参加者が数人のグループを作り、「今の自分の吃音の現状」について話
し合い発表するという形式だった。全体的に、スタッフ側が吃音に対するあり方を暗に
「教える」のではなく、吃音のあり方について自由に「考えてみる」時間になるように
設定されていたのが印象的だった。
【2 日目】
④グループごとの話し合い・相談会Ⅱ
前日の失敗を踏まえ、2 日目の小学生低学年グループでは、最初に話し合いをさせるので
はなく、まずは思いっきり遊ばせて、子供たちが満足したところで休憩がてら話し合うと
いう計画になった。計画は成功し、短時間ながら子供たちの吃音に対する考えを知ること
ができた。その中で印象に残ったのは、小学 3 年生の女の子(本人に吃音なし、姉が吃音者)
の言った「どもるのも人それぞれだから、それを笑うのは良くないと思う」だった。小学 3
年生の子が、そこまで考えていることを知り、心底 驚いた。
以上で報告ならびに感想を終わらせていただきます。今回の経験を「第 4 回 吃音フォー
ラム in 名古屋」に是非とも生かしていきたいと思います。
「吃音改善研究会&例会」報告
【日 時】 2013年7月27日(土)17:30~20:45
【場 所】 北区役所 7F 小会議室
【参加者】 12名
【吃音改善研究会報告】(17:30~19:00)
<共通練習>
吃音の症状を改善するための手法には様々な立場がありますが、多くがブロックを回
避するために「ゆっくり話すこと」と「引き延ばし気味で話すこと」で、喉に力を入れ
過ぎないことを提唱しています。今回は、特に語頭の母音を意識しながら「ゆっくりと
引き延ばし気味に話す」ことを実践していただいて、喉に力を入れずに話す感覚を掴ん
でいただく練習をしました。
<実践練習>
参加者からの要望に基づいて、実際の状況により近い状況を作って、次の2つの練習
を行いました。
①人前に立って他の参加者からの質問に順番に答える練習。
事前に質問内容は知らされていませんので、即興のスピーチをすることになります。
「好きな俳優は」「趣味は」「家族構成は」「仕事の状況は」etc…。二人の方が練習さ
れました。日頃からどのように自分なりの考えを持っているかが大事です。
②病院での就職面接練習
Yくんが来春、ST国家試験を受験して就職されますので、8 月に予定している面接
試験の練習を行いました。事前にYくんから提出してもらいました履歴書を基にして、
名古屋●●病院を受験する前提で、面接官2名・受験者1名の設定で行いました。志
望動機・前職を辞めてSTを目指すことにした理由……等々、かなり突っ込んだ質問
が出されました。Yくんから朗報が届くのを期待しています。
【例会報告(テーマ:自分史を語ろう)】(19:00~20:45)
まず初めに、近況報告とお盆休みをどう過ごすかを話して頂きました。次に、吃音を治
すためにどんな治療機関に行ったり、自分なりにどんな工夫をしたかを話して頂きました。
(以下、参加者の発言を一部抜粋します。)
1.近況報告&お盆休みの過ごし方
・10 月にスタンドの開所式で司会を務めます。 ・婚約者の彼女を籍に入れました。
・言友会の仲間とナガシマ海水プールに行きます。 ・お盆休みは実家に帰ります。
2.吃音を治すために行った事
①行った治療機関(花沢研究所、東京正生学院、自律訓練所、心療内科 etc)
②自分なりに工夫した事
・吃音を治す目的を離れて、楽しいことをやっているうちに吃音が軽減された。
・吃音は自然に治ることはなかなかないので、徹底的にゆっくり喋る。
最後に前日(7/26)放送された「バリバラ」に出演していました高橋啓太くんに撮影時
の「よもやま話」などを話して頂いて、盛り上がりました。