ユーロ圏の経済と株式市場の展望 - HSBC Global Asset Management

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ご参考資料
2014年3月
ユーロ圏の経済と株式市場の展望
ユーロ圏の経済は最悪期を脱し、回復の兆しが見えて始めています。 2014年以降、経済成長率は
プラスとなる見通しですが、株式市場は欧州債務問題が長期化したことなどから、日本や米国に比べて
出遅れ感があります。そこで、HSBCグローバル・アセット・マネジメントのフレデリック・ルゲーに「ユーロ圏
経済の動向や株式市場をどのように見ているのか」について聞きました。
(本文内容は、2014年3月6日のインタビュー時点のものです)
フレデリック・ルゲー
HSBCグローバル・アセット・マネジメント
欧州株式チームヘッド
2006年HSBC グローバル・アセット・マネジメントに欧州株式チームヘッドとして入社、現在に
至る。1989年以来、運用業務に従事しており、HSBC入社以前はアクサ・インベストメント・
マネージャーズにてユーロ圏の株式を運用。
− ユーロ圏では景気回復の兆しが見え始めていますが、今後、持続的な回復は期待できますか。
内需が牽引する持続的な景気回復に期待
ユーロ圏の各国政府による財政緊縮策の成果が
表れてきています。財政赤字の対GDP 比は低下して
おり、2014年はユーロ圏が目標とする3%未満をクリ
65
55
まれる中、着実な景気回復が予想されています。
50
現在、ユーロ圏経済は外需主導により、回復の兆し
45
が見え始めていますが、購買担当者景気指数(PMI)
40
費など内需の持ち直しが期待されます。特に、ユー
ロ圏の消費者信頼感指数は、足元、改善傾向を強め
ており、賃金の上昇や比較的高い貯蓄率などを背景
に、消費者は、耐久消費財やサービスなどへの支出
を増やしていくものと考えます。その兆候は、すでに
自動車販売に見られており、新車登録販売台数は、
米国の自動車販売が伸び悩む一方で、回復傾向を
強めています。個人消費がGDPの約6割を占めるユ
ーロ圏経済では、今後は個人消費が成長の牽引役
となることが期待されます。
巻末の「留意点」を必ずご覧ください
景気拡大
60
アすると見られています。このように財政再建が見込
などの景気先行指数から、今後、設備投資や個人消
1
ユーロ圏 総合PMIの推移
(2008年1月末∼2014年2月末)
景気後退
35
30
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
(年/月)
購買担当者景気指数(PMI)
景気の先行きを示す指標のひとつ。製造業やサービス業の購買
担当者を対象に景況感に関するアンケート調査を行い、数値化
したもの。数値が50を上回ると景気拡大、下回ると後退と判断さ
れる。
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
HSBC × Euroland
ユーロ圏の経済と株式市場の展望
また、企業は長引く景気低迷を背景にバランスシー
トの改善に注力し、設備投資に関しては慎重な姿勢
を示してきました。ここにきて、バランスシートの健全
化も進んできており、また欧州中央銀行(ECB)によ
る金融緩和策も追い風となり、今後、企業の設備投
資の回復が見込まれます。
(%)
個人消費と設備投資の推移と見通し
(前年比、2010年∼2015年)
8
6
4
2
0
このように、ユーロ圏の経済の牽引役は外需から
-2
個人消費や設備投資などの内需に次第に移行し、
-4
内需主導の持続的な成長が期待できると考えます。
-6
予想
-8
2010
2011
2012
2013
個人消費
2014
2015
設備投資
出所:欧州委員会(2013年11月発表の秋季経済見通し)の
データをもとにHSBC投信が作成
− ウクライナ情勢が緊迫化していますが、ユーロ圏の経済・株式市場に影響を及ぼす可能性は
ありますか。
ユーロ圏の経済および株式市場への影響は軽微
ウクライナの経済規模は小さく、世界経済に対するシェアは0.3%以下です。このため、ウクライナの経済的な
混乱によるユーロ圏への影響は軽微であると考えます。
3月に入り、ロシアが、ロシア系住民が約6 割を占めるウクライナ南端のクリミア半島へ、ロシア系住民を保護す
るためとして、軍事展開を行いました。これに伴い、投資家心理が悪化、ユーロ圏を含めた世界の株式市場は大
幅安となりました。しかし、ロシアのプーチン大統領が3月4日に「当面、ウクライナへの武力行使はしない」と発言
したことで最悪の事態を免れたとして、ユーロ圏をはじめ世界の株式市場は、現在、ひとまず落ち着きを戻してい
ます。
今後、ロシアがウクライナ東部にも軍事展開するなどウクライナ情勢が一段と悪化すれば、欧米など主要国によ
るロシアへの全面的な制裁が発動される可能性もあり得ると思われ、そのような状況になれば、投資家心理に悪
影響を及ぼす可能性があります。また、ロシアからのエネルギーやウクライナからの穀物の供給制限に関する懸
念が高まれば、国際商品市況は高騰する可能性が考えられます。
しかし、当社は、ロシア側はそのような状況に陥ることを回避するものと現段階では考えます。
− ユーロ圏の銀行に対して、統一基準による資産査定が始まっていますが、スペイン、イタリア、
ポルトガルなどの銀行は基準を満たすでしょうか。
バランスシートの健全化を図った結果、多くの銀行は基準を満たすものと考える
スペイン、イタリア、ポルトガルの銀行も含めユーロ圏の銀行は総じて自己資本を拡充し、またキャッシュ比率を
高めて、バランスシートの健全化を図っています。こうした中、多くの銀行は統一基準を満たすものと考えます。
すでに市場はこの動きを織り込み始めています。
2
巻末の「留意点」を必ずご覧ください
(年)
HSBC × Euroland
ユーロ圏の経済と株式市場の展望
−ユーロ圏ではデフレに陥る可能性が懸念されていますが、これについてどのように見ていますか。
ユーロ圏全体ではデフレに直面する可能性は低い
ギリシャやスペインでは、ディスインフレ(物価上昇率が小幅になる傾向、インフレとデフレ の間の状態)にありま
す。特に、ギリシャではデフレへの懸念があり、今後の動向に注視していく必要がありますが、ギリシャの経済規模
はユーロ圏全体の約2%に過ぎず、ユーロ圏経済に大きな影響を及ぼすとは見ていません。
2月のユーロ圏のインフレ率(消費者物価指数)は3ヶ月連続して前年同月比+0.8%と同水準にとどまったものの、
コアインフレ率(食料およびエネルギーを除いたインフレ率)は緩やかながら上昇しています。こうした中、ユーロ圏
全体の経済はディスインフレに直面しているとは考えていません。
ユーロ圏のインフレ率の推移
(前年同月比、2008年1月末∼2014年2月末)
ユーロ圏の経済規模の内訳
(%)
5
4
3
2
1
0
-1
-2
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
(年/月)
インフレ率
※2012年名目GDP実績値、ユーロ導入国18ヶ国の内訳
出所 : IMF World Economic Outlook Database (October2013)の
データをもとにHSBC投信が作成
コアインフレ率
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
− 欧州中央銀行(ECB)の金融政策についてどのように考えていますか。
政策金利の引き下げ余地は限定的
ユーロ圏の政策金利は過去最低水準にあり、利下げ
余地は限定的な状況にあります。
6
(%)
ユーロ圏の政策金利の推移
(2008年1月末∼2014年2月末)
今後、ユーロ圏の景気下振れリスクが一段と強まれ
ば、米連邦準備制度理事会(FRB)による証券購入のよ
5
うな量的緩和策を講じる可能性が考えられます。
4
しかし、現在、ユーロ圏の景気は、何らかの施策を講
じる必要があるほどの悪い状況にはありません。ECB
は3月6日の金融政策決定会合で、「ユーロ圏の経済は
緩やかな回復を遂げている」として政策金利を0.25%に
据え置いています。
3
2
1
0
08/1
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
3
巻末の「留意点」を必ずご覧ください
HSBC × Euroland
ユーロ圏の経済と株式市場の展望
− ユーロ圏の株式市場の見通しはどうですか。
緩やかな景気回復などが市場の下支え要因に
株価指数の推移
(2008年12月末∼2014年2月末)
ユーロ圏では景気低迷の影響から企業の利益成長
は、ここ数年間、冴えない展開となり、これを受けて
250
米国
株式市場も軟調に推移しました。しかし、当社では、
以下の要因から、今後の株式市場に対してポジティ
ブに見ています。①世界経済の緩やかな回復やユー
ロ圏の景気持ち直しを背景に、企業の利益成長は、
今後、2∼3年は、毎年2桁増の伸びになると予想して
います。②活発なM&Aが見込まれ、これは企業の活
性化に繋がるとともに、株式市場にもプラスに働くも
な状況にあります。
これらのことからユーロ圏の株式市場は相対的に
高い利益成長が期待でき、これが市場の押し上げ要
因になるものと考えます。
ユーロ圏
新興国
150
100
50
のと思われます。③企業のバランスシートは調整が
ほぼ一巡し、レバレッジを効かせた事業展開が可能
日本
200
(2008年12月末を100として指数化)
0
08/12
09/12
10/12
11/12
12/12
13/12
(年/月)
※米国:S&P500種株価指数、日本:TOPIX、ユーロ圏:MSCI EMU
インデックス、新興国:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
すべて現地通貨ベース
出所 : データストリームのデータをもとにHSBC投信が作成
− ユーロ圏の企業業績の見通しはどうですか。
2014年は利益成長が予想され、特に中小型株は高い成長率が期待される
2010年の欧州債務危機に伴い、企業の収益は大幅
EPS(1株当たり利益)成長率
(2014年予想)
に落ち込みました。ユーロ圏での経済情勢の悪化が
企業の事業環境に打撃を与え、販売価格の低下に
伴い、売上高の低下に繋がりました。
2013年に入り、世界経済の持ち直しから、欧州企業
(%)
50
ご参考
ユーロ圏
40
において、海外での事業拡大が一部に見られたもの
の、新興国の景気減速や通貨安に伴うユーロ高の影
響もあり、海外での売り上げは伸び悩みました。しか
し、2014年は世界経済の緩やかな回復やユーロ圏の
景気持ち直しを背景に、利益成長が見込まれます。
特に中小型株は大型株を大きく上回る高い成長が期
待されます。
また、業種別では、 これまで国内外の景気減速を
背景に収益が落ち込んでいた資本財、一般消費財な
どの景気循環セクターや金融セクターにおいて高い
利益成長を予想しています。
4
巻末の「留意点」を必ずご覧ください
30
20
10
0
大型株 中型株 小型株
米国
日本
新興国
※ 大型株:MSCI EMU大型株インデックス、中型株:MSCI EMU
中型株インデックス、小型株:MSCI EMU小型株インデックス、
米国:S&P500種株価指数、日本:TOPIX、新興国:MSCIエマー
ジング・マーケット・インデックス、すべて現地通貨ベース。
EPSはブルームバーグが集計したアナリスト予想値(2014年3月
13日現在)
出所 : ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成
留意点
<当資料に関する留意点>
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