Association of International Cooperation and Training 第8 号 2003年4 月2 日発行 広島県委託事業「東ティモールプロジェクト」完了!! 広島県からの委託と資料の読み込み 平成 14 年 7 月2日,AICATは広島県から広島県緊急雇 用創出基金事業として,「東ティモールにおける人為災害の管 理に関する調査」の委託を受けました。そしてまもなく 3 名の 専従スタッフを中心にプロジェクト運営委員を決め,プロジェ クトチームを発足させました。しかし,当初はみな「東ティモ ール」という国自体,21世紀に入って独立したばかりの若い 国であるという程度の認識であり,まったく手探りからのスタ ートでした。 作業は次の 3 つのステージに分けて進めました。第1回の 全体会議でそれぞれの役割とスケジュールの確認,第2回で 各班相互の情報交換と10月に行われるユニタールのシンポ ジウムでのプレゼンテーションの要件確認,第3回で担当テー マの研究領域絞り込みの方向付け,現地訪問調査の重点事項会 東ティモール地図 議報告書提出までのスケジュール確認を行いました。 Web サイト『東方観光局』より引用 9月末までは,第1段階の資料の収集と読み込み作 業でした。東ティモールに関する書籍,新聞記事,イ ンターネットからの情報などさまざまな情報をかき 集め,手分けをして読み込み作業を行いました。特に 10月に現地調査を行うため,最新の現地の情報は不 可欠でした。現地の関係者にインタビューするにあた って何を確認するべきかを事前に明確にしておく必 要があったからです。プロジェクトスタッフにとって, 膨大な資料の読み込みは,普段経験することができな い楽しい作業である反面,苦行でもありました。 1 東ティモールの少女 東ティモールでの現地調査とその現状 資料を読み込み,インドネシアとの関係,東ティモールの 国情,歴史,政治経済,人権問題などについて情報を手に入 れた我々でしたが,やはり情報の裏付けが必要です。そこで, プロジェクト事務局長の土谷一友,調査研究員の武田さち子, 同柾本伸悦が 10 月 3 日から 10 日間,東ティモールへ調査に 向かいました。 現地の若者と柾本さん(中央) 調査は会見・面談の対象の拠点が首都のディリに拠点を構 えていた関係上,ディリにおける事項に限られました。しか し,政府当局者,日本の外務省及び外郭団体,各種 NGO な どを訪ね,東ティモールの現状,問題点,課題などを目の当 たりにしてきました。右の写真は現地を訪問したときのもの です。 インタビューする武田さんと土谷さん 結論を一言で言い表すことは難しいのですが,将来の道筋 はまだはっきりと見えないと言わざるを得ません。東ティモ ールは 2002 年 5 月 20 日に独立を達成し,9 月には国連に加 盟して国際社会の一員となり,建国の足取りは順調という見 方もできます。一方,長い期間におよぶ外敵による支配の中 で,国民のメンタリティは深く傷つき,その傷はまだ十分に 癒えていません。自らの足で立ち上がり,独立を果たしたこ の国は,にわかに自分たちの手で国づくりを始めるにはまだ 「法の下の平等」キャンペーンのポスター 準備不足ではないかと強く感じました。 東ティモールの言語で書かれている 国連ユニタール/広島県主催のシンポジウムに参加 平成 14 年 11 月 11 日から 13 日まで,中区の全日空ホテルにて国連ユニタールと広島県主催の シンポジウムが行われました。このシンポジウムは韓国・広島・ベトナム・カンボジア・東ティモ ール・アフガニスタンの 6 つのセッションに分けて調査報告がおこなわれました。このシンポジウ ムでのプレゼンテーションは,国連の機関である UNITAR 事務所を広島県に設置するかを判断す る材料の一つともいわれ,テレビニュースでも連日とりあげられました。東ティモールに関しては, AICAT から武田さち子がスピーカーとして調査報告を行い,成功裡のうちに終わりました。 報告書の取りまとめと発行 広島県からの委託を受けた最終目標である報告書『21 世紀初の独立国 東ティモールを見つめ て』が 2003 年 1 月末ついに完成しました。完成までにいたる過程には何度も話しあいが持たれ, さまざまな葛藤があり,何度も推敲を重ねるなどの地道な作業がありました。 完成と同時に広島県国際企画室へ報告。広島県からの委託事業は無事に終了することができました。 2 東ティモールプロジェクトに参加して 東ティモールプロジェクト事務局長 土谷一友 平成 14 年 7 月中旬に東ティモールプロジェクトチームが発足して初会合を持ち,AICAT 内に事 務局と 2 名の専従調査スタッフをおくことをきめた。しかし,チームを構成する十数名の AICAT メンバーの多くにとっては,東ティモールといっても名前を聞いたことがある程度の国でしかなか った。 そんな中で私たちはこのプロジェクトを3つのステ ージで進めることにした。第一は 2002 年 7 月から 9 月 までの資料の読み込みである。出来る限り幅広く多彩な 資料に目を通すことが報告書の視点の形成に必要であ った。第二ステージとして,現地訪問により国造りに携 わる人々の意見を聞きながら,疑問点を確認し雰囲気の 理解につとめた。特に,独立か併合かで争った人々の心 の後遺症の中で,「国民の和解」が国造りのカギになる 現地関係者にインタビューする土谷さん(中央) ことからこの面での現地の情報は不可欠であった。 平成 14 年 11 月に広島市で開催された国連ユニタール/広島県主催のシンポジウムにおいて,調 査メンバーの武田さち子さんがこの問題に関して,専門領域の研究成果を織込んで見解を発表して くれた。最後のステージは 11 月中旬からの 1 ヶ月余りの報告書の取りまとめ期間であった。 約 6 ヶ月の調査期間にわたり,AICAT のメンバーは頻繁に会合を持って,資料・データの交換 を行いながら東ティモール,インドネシア,東南アジアの政治・文化,歴史・地理など幅広い視点 から問題の理解と意識の擦り合わせをして,報告内容の方向づけとかたちを固めていった。これを 通じて,数多くの書籍,資料やインターネットの情報などに触れる機会を持てたことは,メンバー にとって得がたい知的な刺激となり,それはまたとない楽しみでありまた苦しみでもあった。国際 貢献への思いを馳せるメンバーがこのような無償の活動に献身する思いの純粋さと,このエネルギ ーを原動力とする NGO の一面を感じることが出来たのは私にとっても貴重な体験となった。 東ティモールの来し方を振り返ると,20数年にわたり支配を続けたインドネシアが見えてくる。 そしてそのインドネシアも長く苦しい独立への道をたどってきたのである。その国が数十年後に再 び東ティモールに辛い試練と犠牲を課してしまった。この経過を追って見るうちに,開発を優先す る未完の大国インドネシアが民主国家へ脱皮していく上で経なければならなかった,生みの苦しみ の一部であり営為の非効率な成果の一部がこの東ティモール問題であった,という思いが次第に心 に宿り,両国が私にとりとても近い国に感じられるようになった。 24 年のインドネシアによる支配の間に,多くの痛ましい事件が起き,東ティモールの歴史の一 部となった。このことが歴史としてマイナスの要素をもつだけ,一方において,インドネシアとの 発展的・生産的な関係構築が国の未来に緊要である点を考えれば,歴史となった事実をありのまま に見つめて,人々のこれからの幸せのための教訓として生かされる道を探らなければならないのだ と思う。 3 トルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクト報告 (イズミット・アンカラ・イズミル展) 副代表理事 中浜慶和 1999 年 8 月と 9 月にトルコで発生したトルコ大地震では,1.8 万人を超える 尊い人命が失われ,60 万人が家屋を失う阪神大震災を上回る規模の被害がで ました。そんな傷ついた被災者の方々に慰め・勇気・そして希望を与えたいと いう願いをこめてトルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクトを立ち 上げました。 2002 年 9 月にイズミットを皮切りに始まったこのプロジェクトも,残すと ころあと 2 回の展示会開催までこぎつけました。プロジェクトに対してご支 援・ご寄付を賜った皆様方には心よりお礼申しあげます。ここでは, 「こころ のパン」プロジェクトの目的・事業内容,これまでの 3 回行われた巡回展 の報告をさせていただきます。 「こころのパン」が生まれた経緯 そもそも,AICATとトルコのつながりは,1999年に地震が発生した際,AICAT から調 査団を派遣したことに始まります。同年11月 2 日,イスタンブールで開催された国際危機管理セ ミナーで講演を行った中浜はその日の夕刻,2度目の地震に遭遇しました。もしこの体験がなけれ ば, 「こころのパン」プロジェクトは実現していなかったといえます。 そして,大地震発生からほぼ半年後の 2000 年 7 月,AICAT 主催による「こころのパン」プロジ ェクト・プレイグジビションを被災地デイルメンデレ市の「芸術の家」で実施しました。この展覧 会へは,11人の芸術家から作品の無償提供を受けました。その後,現地の「こころのパン」実行 委員会の手により,イスタンブール,イズミットなど各地で巡回展を実施しました。 トルコの現状と問題点 トルコでは住宅の半数がコンクリートでできたマンションやアパー トです。しかも,国・自治体ともに資金不足のために,地震発生から 3 年が経過した今日でも瓦礫と化した崩壊建物が片付けられないまま 残っているものもあります。 むろん,復興建物も多数建設されてはいますが,入居資格は震災前 の自宅所有者のみに限られており,借家世帯は対象となっていない ため,被災者の復興状態に格差が生じています。厳しいインフレと失業 問題などから,被災状況は見えにくくなりがちであり,被災者の多くは 経済的にまだ自立しているとは言いがたいのが現状です。広島において, 原爆の後遺がいつまでも人々の胸にとげのように刺さっているのと同 様に,トルコの被災者もこころの痛みを失うことはないのです。 立ち並ぶ復興住宅→ 4 未だに残る崩壊建物 事業の目的 『こころのパン』と名づけた日本の現代美術(絵画・彫刻)の展 示とワークショップにより,深化する被災者のこころのケアと して,慰め,勇気,希望を与えることを目的としています。 美術展では,作品展示のみでなく,作家からのメッセージを作 品脇に掲示し,さらに,来場者による作家へのメッセージや感 想を記入する「来館者記録帳」を設置し,相互の交流を図りま す。 さらに,ワークショップでは,作家と被災者がともに参画する トルコの子どもたちが描いた絵 作業を通じて,単なる美術展ではなく,共に能動的で創造的な 活動をする中で被災者の傷ついた心を癒す手助けとなることを 目的としています。 事業の概要 1.美術作品の展示(日本現代絵画・版画・彫刻・オブジェ 計 62 点) 美術作品の全ては,この事業に賛同した約 50 名の芸術家から無償提供を受けました。 作家の支援要請に関しては,毎日新聞社の芸術記者石川健二氏, 国立国際美術館の三木哲夫学芸課長,彫刻家の伊藤礼太郎氏, 画家の母袋俊也氏の推薦により,著名な作家及び現在第一線で 活躍中の作家の支援を得ることができました。一貫する作品の テーマは, 「被災者への慰め・希望・そして勇気」です。 寄贈された作品は,先に寄贈された 11 点と合わせて,現在 建設中のデイルメンデレ市立現代美術ギャラリーで恒久的に 保管されることになっています。 展示された作品の一部 2.シンポジウム 2003 年 3 月イスタンブールのミマル・シナン大学の教室にて,トルコ・日本両国の芸術家によ るシンポジウムを開催します。シンポジウムは災害を契機として,日本文化の紹介,両国の芸術家 同士の交流,文化交流の促進にもつながることを目的としています。 (イスタンブール以降については次号のニュースレターで報告いたします。) 3.ワークショップ 被災地では各種のワークショップを行います。 ・ ライブペインティング 作家による被災者との布を使った共同作品制作 街中でのライブペインティングなど ・ 写真撮影 写真家によるインスタントカメラを使った写真撮影会 ・ 作詞(書道家による筆と墨を使った作詞) ・ 和紙絵葉書 布を使ったワークショップの 押し花専門家による押し花はがき・しおりづくり ・ 木版創作(日本の木版と西洋の石版とを融合させた木版画) 5 完成作品 4.図録製作 トルコ語・日本語による図録を製作します。これには作品・作家のプロフィール・作家から被災 者へのメッセージ・支援者一覧リストを掲載,添付をします。 5.美術図書図録の贈呈 デイルメンデレ市図書館に,支援作家の図録を中心に提供いただいた美術関係の書物を市の図書 館に寄贈します。本件に関して,支援作家の一人でもある佐野ぬい女子美術大学名誉教授,同大 学並びに同窓会の提供で,372 冊の寄贈を受けました。また,協賛団体,画廊からも図書・図録 の提供を要請しております。美術図書図録の贈呈は8月にデイルメンデレ市で行います。 各地の事業報告 【第 1 回 イズミット 美術展・ワークショップ】 2002 年 9 月 18 日〜10 月 8 日 イズミット市立美術館 AICAT は CNN,現地テレビ局,新聞各紙からのインタビューを 2 時間半にわたって受け,現地テ レビニュース,新聞で取り上げられました。地震発生から 3 年後の精神的支援プロジェクトが日本 から届けられたことが大きな反響をもたらしたと考えられます。イズミット市立美術館館長のジャ ーナン氏の報告によると,総数 700 人が来場し,期間の延長を望まれたということです。 ながれ 流 ま に か 麻二果氏による布を使ったワークショップ スタッフとして参加した画家の流麻二果先生は,現在建設中のデイル メンデレ現代美術館にて布を使ったワークショップを行いました。この 美術館は写真のようにドアも窓もなく,中の様子は丸見えでした。しか し,そのおかげで近くを通る人たちも興味をもって参加してくれました。 デイルメンデレ市立美術館外観 布(はぎれ)はどんなものでもよく,シャツ,カーテンなど色も柄も 様々な生地がありました。参加者は家庭にあるそれらを持ち寄り,そ れぞれに布を裂き,縫い合わせ,各自のイメージで創作を施しました。 参加者は 20 名の大人と子供。中には男性の姿もありました。その間, 互いにまたは流先生の指導を受けながら黙々と 2 日間かけて作品を作り 上げました。それらの個々のパーツを先生がさらにひとつひとつ縫い上 流先生と小さなアーティスト げ,絵の具で絵を描き,布とは思えない斬新な作品が出来上がりまし た。参加者からはこのような作品をみたことがないと大変好評でした。 (完成した作品の写真 5 ページ右下) 出来上がった作品は,デイルメンデレ市に寄贈され,その他の巡回展 でも展示されます。現地市民たちとの共同の創作活動は大きな共感と感 動を呼び,成功を収めました。 皆さん作業に夢中です 6 【第 2 回 アンカラ 美術展】 2002 年 12 月 12 月 13 日〜19 日 チャンカヤ現代アートセンター 美術展準備に際し,現地側の運送支援辞退及び雪による交通遮断のために 作品が到着しないというアクシデントが発生,展示初日の 13 日になって ようやく作品が到着し,現地スタッフ・通訳も加わって開催までこぎつけ ることができました。 12 月 16 日夕刻,オープニングセレモニー開催。アンカラ自治体長,デ イルメンデレ市長,中浜が挨拶しました。また,日本大使館より栗原一等 書記官,矢島書記官が,翌日には,アンカラテレビが取材のため来場し, 美術作品の紹介及び撮影を行いました。短い期間でしたが,同美術館で 開催中のほかの団体との交流も図れました。 【第 3 回 イズミル 2002 年 1 月 5 日〜25 日 展示会場の様子 美術展】 イズミル区立アートセンター 1 月 6 日,オープニングセレモニーを開催。AICAT は全国紙・ テレビのインタビューを受けました。ミマル・シナン大学のフ ィレット教授,デイルメンデレ市助役,中浜による挨拶のあと, イズミル自治体より,有名なパーカッション奏者 Okey Temiz さんとジャズメンによる演奏会の招待を受けました。イズミル 自治体特別顧問からは「正直に言って,NPO の支援活動だから と思って鑑賞に来たところ,自分が誤っていた。すばらしい作 品ばかりだった。これほどの日本からの作品を被災者の心の支 援に届けてくださったことに,あらためてお礼を申したい」と テレビ局の取材に対応する中浜さん の感謝のお言葉をいただきました。 新たな交流 プロジェクトによる巡回展を進める中で,新たな文化交流が早 速生まれています。イズミット展では,流麻二果さんとイズミ ット市立美術館は来年夏に個展を開催する運びとなりました。 このようにプロジェクトから新しい芽が芽生えて,両国の交流 促進に寄与できることは喜ばしいことです。 会場を訪れたたくさんの人々(イズミット) 皆様からの「こころのパン」募金をお願いいたします。 あたたかいご支援を心よりお待ちしております。 入金方法は巻末をごらんください。(振込用紙の通信欄に「こころのパン支援」とご記入ください) 7 「AICAT 自動車講座」報告 教務部長 小西忠男 世界の災害被災地に救援活動に出向く国際協力調整員にとって,自動車の運転技術は必要不可欠で す。しかし,発展途上国では日本のように舗装された道路はまれであるばかりか,現地に向かう途 中で自動車が故障する可能性もありえます。 そのため AICAT では,自動車の構造と故障の場合の応急処置を学び,過酷な条件での悪路走行を 実際に走る自動車講座を毎年開講しています。 今年度は2002年11月30日・12月1日の2日間,AICAT スタッフを含む7名が参加いた しました。昨年までは「機械補修講座」としておりましたが,内容をかんがみ,改名しました。今 年も例年通りマツダスペシャリストバンクの大林達郎さん他3名の方にご指導いただきました。 1日目はマツダ宇品工場内 SRC で,実際の車を目の前に,車の構造とトラブルを起させない取り 扱い方,故障の際の応急処置について大林さんからレクチャーを受けました。参加者のみなさんは メモをとりながら大変熱心に聞いておられました。 2日目はマツダ三次試験場に出向き,過酷な条件での 自動車走行を訓練しました。 4WD車でダートトライヤルや急登坂,急降板,水中 と砂地路といったオフロード走行を実際に運転しま す。水路走行は右の写真をご参考ください。 悪路走行もただ闇雲に走ればよいのではなく,車両の 構造や車にダメージを与えない扱い方を知ったうえ, さらにテクニックが必要であることをインストラク ターの方から丁寧に指導を受けました。 写真提供:マツダ㈱大林達郎氏 参加者のみなさんに感想はうかがっておりませんが, みな一様に満足できる2日間であったろうと思います。 この講座は毎年開講しております。今年も行う予定です。 これをご覧になった会員の皆様方で興味を持たれた方はぜひともご参加ください。 募集内容についてはAICATのホームページにも掲載しています。 8 県立広島商業高校の支援を受けて 事業部副部長 小川順子 広商と AICAT のつながり 昨年の11月,AICATは広島県総務企画部を通じて,県立広島商業高校「広商デパート」の 収益金を国際貢献に使ってもらいたいという旨の連絡をいただきました。そして,その話が NGO 「モンゴルツェツェグ」の代表をしている私のもとにご連絡いただきました。「広商デパート」と いえば,広島でも有名な広島商業高校の恒例行事です。 早速学校に向かい,役員の生徒・先生方にお会いしました。私の気持ちとしては,ご寄付をいた だく前にまずはモンゴルという国について少しでも生徒たちに理解してもらいたいと思いました。 そこで思い切って学校での講演を申し出たところ,喜んで受けていただくことができました。 そして,11月15日,1年生と3年生の生徒を前に, スライドやビデオ,自作紙芝居などを用いて,地球の環境 異変によるモンゴルの雪害や草原火災などについて講演を しました。恵まれすぎた日本社会の現状に気づき,今後, グローバルな地球市民として生き抜くためには一番何が重 要なのかをもっとも強く訴えました。その後の感想をうか がって,生徒たちは私の思いを感じ取ってくれたと実感で きました。 具体的な資料を使って講演した 広商デパートに参加 12 月 13 日から 15 日まで行われた「広商デパート」に は,モンゴルの留学生ナラン,ツェギー,ゾリゴーととも に参加し,モンゴル品の展示やデパートのお手伝いをしま した。一般の方も大勢お見えになり,大盛況のうちに幕を 閉じました。 年が明け,広商デパート役員の生徒から 215,577 円の収益 があったと報告を受けた私とモンゴル支部長の木本文子は, 再度学校を訪問しました。 チャリティーオークションの様子 木本から現在のモンゴルの実情と寄付に対するお礼を申しあげ,収益金 217,568 円を受け取りま した。この寄付金の使途については,先生方や生徒とともに話し合った結果,今年度は,ウランバ ートル市から 4 時間ぐらいの学校にコンピューターなどを揃え,広島商業高校と交流を図るプラン を前向きに検討することとなりました。プロジェクトの内容報告,写真などは,木本がモンゴルに 戻りあらためて報告させていただくこととなりました。 最後にみなさんから色紙にメッセージをいただき,写真撮影を行いました。 今回「広商デパート」の収益金を寄付してくださった広島商業高校の生徒および先生方にはこの 場をかりて心よりお礼を申しあげます。ありがとうございました。 9 「国際交流・協力の日」,「ぺあせろべ2002」出展 事業部長 前田裕司 「国際交流・協力の日」 「みつめてみよう地球 学ぼう世界」のスローガンの下,毎年恒例の「国際交流・協力の日」が 2002年12月8日(日)に広島国際会議場で開催された。主催は広島平和文化センター,JICA, ひろしま国際文化センターの共催である。 講演会,国際交流のためのシンポジウム,バザー,外国人のための相談会,地球環境セミナー等, 盛りだくさんのイベントで賑わった。ボランティア団体の活動報告を兼ねて紹介展示コーナーに わが AICAT も,トルコ地震救援活動震災後の芸術による心のケア「こころのパン」プロジェクト の報告を行った。 1999年に起きたトルコ大地震の被災者に対し芸術(絵画・彫刻等)をとおして,心の充実(癒 し)により生きる気力を取り戻そうとする活動である。パネル展示や趣旨書の配布等を行った。 あいにくこの会場では募金活動を行うことが出来なかったが,こころのケア活動,実際にトルコ への巡回展への参加を呼びかけた。派手なキャンペーンではな いが,心に深く理解をしていただき,また共感していただいた 方々も多く,この活動を進めるうえで心強く感じた。 スタッフの説明に熱心に耳をかたむける女性→ 「ぺあせろべ2002」 「 ぺあせろべ2002」が2002年10月13日(日)中央公園芝生広場(中区基町)で開 催された。 「ぺあせろべ」は Peace と Love をくっつけてスペイン語風に発音した造語である。そ の趣旨は,つどい・楽しむ・支えあう International Festival である。 天高く,快晴に恵まれ,秋の終日をボランティア活動のグループが広場のまわりを取り囲み,大 勢の参加者で賑わった。わが AICAT は支部活動報告, 「こころのパン」プロジェクト紹介,地震対 策ハンドブックの紹介・配布を行った。呼び物はボランティア学生諸君の風船による動物つくりお よび配布(無料)で,親子連れのお子さんには大好評。学生諸君は子どもたちにぐるりと取り囲ま れて,風船づくりに自然と力が入った。 10 モンゴル支部 第 4 回日本語教授法セミナーを開催 モンゴル支部長 木本文子 2002年10月5日と6日,内モンゴル外国語 学院院長のソヨルジャブ教授を主任講師にお招きし て,モンゴル支部(フフヤルゴイ協会)が主催して,年 1 回行っている「日本語教授法セミナー」の第 4 回目 をモンゴル日本センターで開催しました。 講義をされるソヨルジャブ教授 今年のテーマは,大学の部は中級の日本語教育について, 中学校の部は,モンゴルのこどもにあわせた教授法でした。 2 日間でのべ約 100 名の日本語教師, 学生が参加しました。 ソヨルジャブ教授のほか,モンゴル国立人文大学日本語科 主任のプレブスレン教授,モンゴル国立教育大学のバヤル マー先生,モンゴル文化教育大学のバヤンゾル先生,第 54 中学校の中西令子先生,第 93 中学校のオドゲレル先生など に,講師をお願いしました。また,モンゴル日本センター の日本語教育担当官の村上弘文氏が,開会のあいさつと日 本センターの紹介をしました。 昼休憩に,教科書,教材など参考資料を閲覧 しながら交流を深める日本語教師の皆さん 事務局より会員のみなさまへお知らせ AICAT の事務局が移転しました! 特定非営利活動法人 国際協力アカデミーひろしま(AICAT)は事務所を移転しました。 若者の街「並木通り」ですので,是非ともお立ち寄りください。 国際協力アカデミーひろしま(AICAT)事務局 〒730-0025 広島市中区三川町 4-17 サンコウビル 402 号 電話/FAX 082-249-2442 E−mail [email protected] 11 ◎活動の軌跡(2002 年 6 月〜2003 年 3 月) 9月 トルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクト第1回美術展 (9 月 18 日〜10 月 8 日 トルコ共和国イズミット市立美術館) 10 月 国際交流フェスティバル「ぺあせろべ 2002」にてパネル展示(10 月 13 日 中央公園) 10 月 国際交流フェスタ 2002 参加(10 月 27 日 広島市留学生会館) 10 月 広島県と国連訓練調査研究所(UNITAR)主催のシンポジウムに参加・発表 (10 月 11 日〜13 日 中区全日空ホテル) 11 月 広島県立広島商業高校にて国際交流について講演(11 月 15 日) 11 月 「機械補修講座」開講(11 月 31 日・12 月 1 日/マツダ宇品工場 SRC・三次自動車試験場) 12 月 国際交流・協力の日シンポジウム派遣・パネル展示(12 月 8 日 12 月 トルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクト第2回美術展 (12 月 13 日〜19 日 12 月 1月 広島国際会議場) アンカラ市チャンカヤ地区現代アートセンター) 広島商業高校広商デパート参加,モンゴル雑貨出展・手伝い(12 月 13 日〜15 日) トルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクト第 3 回美術展 (1 月 5 日〜25 日 イズミル市イズミル区立アートセンター) 3月 トルコ地震被災者支援「こころのパン」プロジェクト第 4 回美術展 (3 月 17 日〜31 日 イスタンブール市 ミマル・シナン大学) 会員数(3 月末現在) 【 ☆ ☆ ☆ ご入会方法 】 郵便局にて、会費をお振込ください。 個人正会員 83 名 個人賛助会員 71 名 団体会員 16 名 郵便振込払込口座番号01380-7-16425 加入者名 国際協力アカデミーひろしま 個人正会員(1 口年額¥10,000) 個人賛助会員(1 口年額¥3,000) 団体会員(1 口年額¥30,000) E メールアドレスをお持ちの方はご連絡お願いします。 E-mail :[email protected] こちらまで。 発行:国際協力アカデミーひろしま(AICAT) 〒730‑0029 広島市中区三川町4−17−402 Tel&Fax : 082−249−2442 URL: www.aicat.org 12 Email: [email protected]
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