公共交通車内における協力行動と社会規範に関する国際比較 川村竜之介,谷口綾子,谷口守,大森宣暁 背景・目的 Cialdiniら(1990) 規範とは 公共交通における協力行動 お年寄りに 席を譲る 携帯電話での 通話を控える 当たり前? 当たり前! !!!? 寝たふり? なぜ国によって異なるのか? その要因を明らかにする 日本で協力行動を促すヒントに 禁止って書いてあるから・・・ 例えばこんな状況で… ポイ捨てをすべきではないと考える ポイ捨て 禁止!! 命令的規範 実際みんな捨ててるから・・・ ポイ捨てをしても構わないと考える 記述的規範 例えこんな状況でも… ポイ捨て OK!! 道徳的に・・・ 私はポイ捨てをすべきではないと思う! 個人規範 どの「規範」が協力行動に影響を与えるのかを比較 調査内容 調査方法 調査期間 調査対象地 調査対象者 サンプル 調査項目 結果 Webアンケート調査 2012年12月~2013年1月 日本(東京)、英国(ロンドン)、フランス(パリ)、ドイツ(ベルリン)、 スウェーデン(ストックホルム)、韓国(ソウル) 20~40代の男女 均等に割り付け 各国300サンプル、計1800サンプル 右図の行動について、行動頻度、行動意図、命令的規範、記述的規範、個人規範 行動頻度(平均値) 規範と行動の関係性(行為別) バスや電車内において、 携帯電話での通話を控える バスや電車内において、 席を譲るべき人 (お年寄りや妊婦)に席を譲る 分析 子供連れで移動する時、 バスや電車内において、 騒ぐ子供を注意する 規範と行動の関係性(国別) 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 ・日本では「携帯通話を控える」行為が個人規範として強く認知されている →日本で「携帯通話を控える」行動頻度が高いのは,個人規範の強さが関係している可能性 ・フランスと日本との間では,行動頻度が異なるにもかかわらず,個人規範,命令的規範は同じ →日本で「席を譲る」行動頻度が低いのは,個人規範や命令的規範が要因ではない ・個人規範に関しては日本だけ,規範としての認知 が「携帯通話を控える」行為よりも「席 を譲る」行為の方が弱い →日本では「席を譲る」行為よりも「携帯通話を控える」行為の方が「道徳的」と考えら れている 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 ・個人規範として認知される強さの違いが,行動頻度の違いにつながっている ・しかし日本だけ,記述的規範が行動頻度に与える影響が大きい →日本では記述的規範の認知を高めることが行動の促進につながる可能性 日本と比較して 5%水準の有意差 認知されている 規範の強さ 行動頻度に与える 影響の大きさ まとめ ・マナーに関する車内でのアナウンスや掲示→「道徳的な行動である」という規範の認識→行動につながる可能性 日本では… ・「携帯通話を控える」行為と同じように,マナーに関する車内でのアナウンスや掲示が為されているにもかかわらず, 「携帯通話を控える」行為ほどは「道徳的な行動である」という規範の認識につながっていない ・「道徳的な行動である」「一般的に望ましい行動である」という規範の認識は行動につながらない ⇒規範以外に,行動の実行を抑制する日本特有の要因がある可能性 ・「自分の周囲も行動している…」という認識を高めること→行動につながる可能性 本研究は国土技術政策総合研究所の委託研究「多様なモビリティにおける移動の質を高めるITS技術に関する研究」により実施された研究成果の一部である。
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