特 集 「面白い!」が学びになる 体感型研修 特集 「面白い!」 が学びになる 体感型研修 見る、アートについて感想を言い 必要があるということがある。 合う、漫才をする、茶を点て合う しかし、それだけならレクリ 「研修」と聞くと、まず机に向 ……、一見、楽しく遊んでいる エーション活動でも良いはずだ。 かってテキストを見ながら講師の ようにも見えるかもしれないが、 体感型研修が注目される背景に 話を聞いて……、という印象がな れっきとした研修なのである。 は、 チームビルディング、 リーダー 座学とは違った研修の形 いだろうか。 近年、例えばレゴ・ブロックを 注目される体感型研修 シップ、イノベーション創発をは じめとした、唯一の“正解”がな 組み立てたり、輪になってドラム なぜいま、 このような「体感型」 い環境を乗り越えていくための人 をたたいたり、さらには職場でダ の活動が企業研修として登場して 材を育成したいという意識が反映 ンスをしたり、無人島に上陸し、 いるのだろうか。 されている。 チームで数日間のサバイバル生活 ひとつには、例えば新入社員へ を送るといったこれまでにない の導入研修として一連の研修を企 “体で感じる”研修が次々登場し 画するような場合、座学研修だけ 一見業務に関係のない体験が企 ている。 では受講者の集中力が保たないた 業研修になる、そこには「メタ チームで暗闇を探検する、劇を め、研修内容に「変化をつける」 ファー(暗喩) 」の働きがある。 10 企業と人材 2012年12月号 メタファーによる気づき 具体的な技術を学ぶスキル研修 苅宿教授は、ワークショップを あるが、それぞれに特徴的な効果 と違い、リーダーシップ、コミュ 「コミュニティ形成のための他者 やメリットを持っている。ぜひ見 ニケーションといったテーマは、 理解と合意形成のエクササイズ」 比べていただきたい。 日常生活のなかで誰でももともと という言葉で説明する。市場も、 また、ワークショップ以外に、 知識や経験をもっている。その重 企業内の社員も多様化が進み、効 研修やモチベーション向上施策の 要性に改めて気づき、仕事の中で 率を最優先することの限界が出て 新しい形として、ゲーム的要素を どのような形で行動に移すのかを きているという。多様性のなかで 取り入れたものが登場している。 考えるために、いったん別の形で どのように互いの違いを理解し、 この、ゲーム制作で培われた「参 体験してみるのだ。 尊重し、ともに納得できる「納得 加者をのめりこませる仕組み」を 解」を見出していくか。ワーク 他分野に応用しようという動きが ワークショップ型の学び ショップはそのエクササイズなの また、体感型の研修に多く共通 するのが、 「ワークショップ」型 の研修でもあるということだ。自 である。 新しい人材育成の試み 「ゲーミフィケーション」だ。 そこで用語解説では、SNS 導 入や運用コンサルティングを行っ ているループス・コミュニケー 由な発言を許された場で、体験と 具体的にはどのような体感型研 ションズの岡村健右氏に、この ディスカッションを行うのであ 修が現れているのか、続く「体感 ゲーミフィケーションと、利用が る。 型研修一覧」では、 「演劇」 、 「レゴ・ 進む社内 SNS 運用の現状につい そこで、解説インタビューでは、 ブロック」 、 「お笑い」 、 「暗闇での て解説いただいた。 青山学院大学の苅宿俊文教授に、 対話」 、 「音楽」 、 「無人島サバイバ いまの困難な状況を乗り越える ワークショップについて、今なぜ ル」 、 「アート」 、 「ダンス」 、 「茶道」 ために、人材育成にどのような試 ワークショップ型の学びが必要と を用いた9つの体感型研修を紹介 みが現れているのか。概観する手 されているのか、話を伺った。 する。ワークショップ的な側面も 助けになれば幸いだ。 解 説 の ポ イント ❶ ワークショップとは、 「コミュニティ形成のための他者理解と合意形成のエクササイズ」 と いえる。 インタビュー つまり ❷ 座学の目的が知識の獲得であるのに対し、 ワークショップは意味を生成すること、 合意を経て納得解に到達することがゴールとなる。 ワークショップの 可能性 「 今の状態が続 ❸ 拡大再生産が当然ではなくなり効率性追求の限界が出つつあるいま、 く」 という意識のままでは時代の変化に対応できない。 「 他者を理解し合意を形成する」 エクササイズとして、 ❹ 多元的なものをどう共生させるか、 ワークショップがいま注目されている。 今回の特集に関連する 本誌特集一覧 ● いきいきする仕事 ワクワクする学びのつくりかた 2010年8月号 を育成する ● 体験・参加型研修で “自律型人財” 2007年7月20日号 企業と人材 2012年12月号 11 体感型研修一覧 演劇 で研修 レゴ・ブロック P18 で研修 P20 ® ® ドラマメトリクス レゴ ・シリアスプレイ お笑い で研修 暗闇 で研修 お笑い研修プログラム ダイアログ・イン・ザ・ダーク 音楽 で研修 無人島 で研修 トレーニング・ビート Survival Adventure アートで研修 ダンスで研修 アートフルシンキング ダンス研修 P22 P26 P30 P24 P28 ® P32 茶道 で研修 P34 茶道体験型研修 ※掲載されている情報は取材時のものです。 詳細な情報につきましては、各研修の提供各社へ お問い合わせ下さい。 企業と人材 2012年12月号 17
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