~ 本とふれあい、本から学ぶ、垂井町の子ども ~

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本とふれあい、本から学ぶ、垂井町の子ども
平成24年8月
垂井町教育委員会
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目次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1章
子どもの読書活動推進計画策定にあたって・・・・・・・・・・・・2
1 国の動き
2 県の動き
第2章
垂井町における子どもの読書活動推進計画・・・・・・・・・・・・4
1 「子どもの読書活動推進計画」策定の宣言
2 計画の位置づけ
3 計画の対象
4 計画の期間
第3章
計画の方針と重点及びめざす姿・・・・・・・・・・・・・・・・・5
1 計画の方針
2 重点
3 めざす姿
第4章
具体的な取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
1 子どもの読書環境の整備と読書機会の充実を図る
(1)乳幼児のために
(2)小学生のために
(3)中学生のために
(4)高校生のために
2 子どもの読書活動推進のために関係機関との連携を図る
(1)子どもの読書活動に関わる人のネットワークづくり
(2)読み聞かせサークルの育成
はじめに
子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かなものにし、人生をより深く
生きる力を身に付けていくうえで、読書活動は欠くことのできないものです。
近年、子どもを取り巻く生活環境は、少子化、核家族化や習い事・クラブ活動等の増加による
子どもの自由時間の減少など大きな変化の中にあります。また、テレビ、ゲーム及びインターネ
ット等の映像・情報メディアが急速に普及・発展し、子どもの読書離れや活字離れが指摘されて
います。
このような状況の中、子どもたちは、ゆったりと読書を楽しむ時間や書物から得た知識を基に、
日常遊びや自然体験・生活体験活動の中で、自己の想いや発想を自分の体を使って自発的に表現
する機会が極めて少なくなっています。このことは、コミュニケーション力など「適切に」他者
を理解し、自己を表現する能力、想像力や予測する力の低下を招く要因とされ、子どもの心豊か
な成長に大きな影響を与えていると懸念されています。
本町では、これまでも小中学校におけるブックトークなどの読書活動やタルイピアセンター図
書館、保健センター、幼稚園などにおける読み聞かせ活動など、それぞれの場所で読書活動を推
進する取り組みを積極的に行ってきました。これらをふまえ、この「垂井町子どもの読書活動推
進計画」は、「子どもの読書活動に関する法律」に基づき、本町における子どもの読書活動の推
進に関する基本的な方向と施策の具体的な取り組みを示したものです。今後は、子どもがいつも
本を身近に感じ、豊かな読書活動を続けていくことができるように、この計画に基づき、家庭、
地域、関係機関等が一層力を合わせて読書環境を創造していきたいと思いますので、住民の皆様
のご理解とご協力をお願いいたします。
最後になりましたが、この計画の策定にあたり多大なご協力、ご意見をいただきました関係各
位に心から厚くお礼申し上げます。
垂井町教育長
1
渡辺
眞悟
第1章
子どもの読書活動推進計画策定にあたって
1
国の動き
平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律第154号)」
が公布・施行され、読書活動推進の基本理念が定められました。また、同法第8条及び第9条
により、国及び地方公共団体に対して、子どもの読書活動の推進に関する計画を策定、公表す
ることが定められました。
平成14年8月に「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第一次)を、さらに
平成20年3月に第二次計画を策定し、概ね5年間にわたる施策の基本的方針を明らかにしま
した。
(第二次計画基本的方針)
1 子どもの自主的な読書活動の推進
2 家庭、地域、学校を通じた社会全体での取り組みの推進
3 子どもが読書に親しむ機会の提供と諸条件の整備・充実
4 子どもの読書活動に関する理解と関心の普及
第二次計画基本的方針の特徴は、第一次計画基本的方針に新しく【1 子どもの自主的な読
書活動の推進】が加わった点にあります。知的活動の基礎となる自主的な読書の重要性が位置
付けられています。
「全国学力・学習状況調査」の結果からは、読書活動と学力に相関関係があることが指摘さ
れました。学習指導要領においては、「知識基盤社会における『生きる力』の育成につながる
よう、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実すること」と定められています。
また、平成22年を「国民読書年」と定め、全国的な啓発広報の推進に努めています。
●子どもの読書活動に関連する法律などの推移
平成13年12月
子どもの読書活動の推進に関する法律
平成14年
8月
子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(国第一次計画)
平成17年
7月
文字・活字文化振興法
平成18年12月
教育基本法の改定
平成19年
6月
学校教育法等教育三法の改正
平成20年
3月
子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(国第二次計画)
平成20年
6月
図書館法の改正、国民読書年に関する決議
2
2
県の動き
岐阜県では、平成20年12月に岐阜県の教育の新たな指針となる「岐阜県教育ビジョン」
を作成しました。これは岐阜県の教育施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、今後10年
先を見据えて、岐阜県の教育が目指す基本的な方向や、今後推進すべき具体的施策を明らかに
する計画であり、教育基本法(平成18年法律第120号)第17条に基づいて策定した岐阜
県の教育振興基本計画です。この中で、「取組の基本方針」が次のように示されています。
取組の基本方針
子どもが読書のよさを体験し、将来にわたって読書を楽しむ人に育つよう、①子どもが読書
に親しむ機会づくり、②子どもの自主的な読書活動を支えるための環境整備、③子どもの読書
活動についての啓発と推進体制の整備の三つの観点から取組の充実を図ります。
平成16年3月に「岐阜県子どもの読書活動推進計画」が策定、平成22年3月に第二次が
策定されました。第二次の計画においては、「目標」及び「4つの基本的方針」が次のように
示されています。
目標
生涯にわたって読書を楽しみ、読書から学ぶ力を身につける子どもをめざした、発達段階に
応じた読書活動の推進
基本的方針
1 本との出会いの提供
2 楽しみながら進める読書の習慣化
3 本から学ぶ力の育成
4 読書から生まれた自分の考えを表現する機会の提供
3
第2章
垂井町における子どもの読書活動推進計画
1
「子どもの読書活動推進計画」策定の宣言
図書館法(平成23年法律第105号)及び文字・活字文化振興法(平成17年法律第91
号)の精神に基づく生涯学習や文字・活字文化の振興、また、子どもの読書活動の推進に関す
る法律第4条、第9条第2項及び第3項の規定により「垂井町子どもの読書活動推進計画」を
策定し、これを公表します。
2
計画の位置づけ
この計画は国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」及び「岐阜県子どもの読
書活動推進計画」を受け、子どもの読書活動に関する取り組みを推進するものです。
3
計画の対象
この計画が対象とする子どもは、子どもの読書活動の推進に関する法律第2条に基づき、
0歳から概ね18歳までの子どもとします。また、これに合わせて本計画のねらい達成のため
には、町民の方々の理解と協力が必要であることから、保護者や家族をはじめ、教職員、地域
ボランティア、行政関係者等も対象としています。
4
計画の期間
平成24年8月から平成29年7月までの5年間とします。
4
第3章
1
計画の方針と重点及びめざす姿
計画の方針
子どもたちの自主的な読書活動を推進していくために、計画の方針を次のように定めます。
子どもたちが本を大好きになり、たくさんの本とふれあい、本との関わりの中
で自らの生活を深めることのできる環境づくり
2
重点
子どもの自主的な読書活動を推進するために、計画の重点を次のように定めます。
(1)子どもの読書環境の整備と読書機会の充実を図る
(2)子どもの読書活動推進のために関係機関との連携を図る
3
めざす姿
上記方針と重点による子どもの読書推進計画を実践することで、子どもたちの自主的な読
書活動のめざす姿を次のようにします。
本とふれあい、本から学ぶ、垂井町の子ども
乳 幼 児 期………絵本の好きな子
小学校時期……自ら進んで本を楽しむ子
中学校時期……目的を持って本で調べる子
高 校 時 期……本との関わりを持ち、自らの生活を深めていく子
5
第4章
具体的な取り組み
1
子どもの読書環境の整備と
読書機会の充実を図る
(1)乳幼児のために
《読書状況》
※
最初の本との出会いは「ブックスタート」から始まる。「赤
ちゃんの心を健やかに育むために、また保護者の子育て支援」
として地域に生まれたすべての赤ちゃんと保護者に、絵本を手
渡す活動である。その後にくるのは親が買ってくれた絵本や、
つれられて訪れる公共図書館の児童サービスであろう。また言
葉の響きにとても敏感な赤ちゃんの頃から絵本の読み聞かせ
やわらべうたをつかって耳に心地よく美しい言葉を伝えてい
くとよい。読まれる本はストーリーのない赤ちゃん絵本にはじ
まり、やさしいストーリーのある絵本へと成長に沿って興味の
対象は変化していく。
《取り組み》
・ブックスタート事業の充実
・「赤ちゃんに優しい図書館」を目的とした親子が安心して利
用できるあたたかな空間づくり
・幼稚園、保育園等の読書活動の推進と図書館からの団体貸出
《現状》
■町ブックスタート事業の概要
対象
4か月児、11か月児
対象人数
4か月児 225 人
11か月児 226 人 (平成 23 年度)
財源
町費
連携体制
保健センター…実施主体
図書館…………配布・読み聞かせ
実施内容
保健センターの4か月健診参加者
すべてに図書館職員がブックスタ
ートの説明を添えて絵本を手渡し
ている。11か月児には読み聞か
せを実施している。
6
(2)小学生のために
《読書状況》
小学校以上の学校には学校図書館がある。公共図書館よりも先に学
校図書館が図書館利用の最初の経験だという人も多い。低学年になる
と絵本と平行して幼年文学といわれるやさしい物語を読み始める。中
※
学年以上になると絵本や文学以外にノンフィクション、知識の本、レ
ファレンスブックへと触れる機会がふえていく。子どもの読書体験は
大きく飛躍する。また低学年から中学年への〈耳からの読書〉も重要
である。昔ながらの〈語り〉はひとりで楽しむ読書とは違った世界を
体験できる。
《取り組み》
・学校図書館の環境整備と図書資料の充実
・「朝読書」の全校一斉始業前実施
・読書ボランティアを活用した「読み聞かせ」の推進
・教職員の読書に関する意識啓発
※
・ブックトーク事業の充実
・団体貸出等町立図書館、県図書館との連携
《現状》
■町内小学生の図書館利用状況
平成 16 年度
平成 23 年度
登録者数(人)
1,121
870
貸出冊数(冊)
19,007
20,480
1人当貸出(冊)
16.96
23.54
指標…登録者 1 人当貸出
25 冊(平成 29 年度)
■小学校でのブックトーク実施状況
平成 16 年度
実施回数
7
20 回
平成 23 年度
44 回
(3)中学生のために
《読書状況》
総合的学習の時間は、子どもたちのさまざまな体験を踏まえ
て自らが問題を解決してゆく「非定型学習」であり、総合的学
習を推進するには、学校図書館や学校図書館と連携をする公共
図書館などの資料が最も有効な教材となる。自分の求める資料
や情報の探求方法に熟知しているとは言えない世代であり、彼
らの読書体験はかなり読んだり調べたりできるひとと、ほとん
ど読めない・読まないひととの相違が大きい。
※
また、13歳から18歳頃までの児童はヤングアダルト(以
下「YA」という。
)と呼ばれ、背伸びをしつつも不安を抱え
て毎日を過ごしているため、メディアを含め多様な情報を求め
ている。
《取り組み》
・学校図書館の環境整備と図書資料の充実
・教職員の読書に関する意識啓発
・ブックトーク活用による読書の幅の拡充
・団体貸出等町立図書館との連携
※
・総合的学習等、レファレンス調査へのガイダンス
・YAとのコミュニケーションの充実
《現状》
■町内中学生の図書館利用状況
平成 16 年度
平成 23 年度
登録者数(人)
882
659
貸出冊数(冊)
4,297
5,013
1人当貸出(冊)
4.87
7.61
指標…登録者 1 人当貸出
8
8.5 冊(平成 29 年度)
(4)高校生のために
《読書状況》
通学距離が伸び宿題やクラブ活動に参加するなどに時間をとら
れ、YAの読書量は激減する。また新書や文庫本など軽量の本を
好み偏読症になりやすい。雑誌が重要な情報源であり、インター
ネットなど電子情報への興味が深い。しかし氾濫する情報を自ら
清濁の整理をすることは難しい。
《取り組み》
・YAとのコミュニケーションの場の充実
・〈読む〉から〈書く〉=発表する場としての図書館の提供
※
・メディアミックス型情報の発信
※
・メディア・リテラシーの向上の充実
・図書館職員のYA世代に対する研究
・地域社会での読書機会の充実
・ホームページやツイッターを活用した情報の発信と募集
・社会人になるためのブックリストづくり
《現状》
■町内高校生の図書館利用状況
平成 16 年度
平成 23 年度
登録者数(人)
971
734
貸出冊数(冊)
3,008
1,674
1人当貸出(冊)
3.10
2.28
指標…登録者 1 人当貸出
9
2.8 冊(平成 29 年度)
2
子どもの読書活動推進のために
関係機関との連携を図る
(1)子どもの読書活動に関わる人のネットワークづくり
①子どもの読書活動に関わる人との連携を図り、ネットワークづくりに努めます。
・子どもの読書活動関係者の把握
・子どもの読書活動関係者が地域で行う行事や催しへの参加の啓発
②子どもの読書活動に関わる方々に研修の情報を提供し、子どもの読書活動の意義や重要
性についての理解を深めることに努めます。
・県や他の機関が実施する研修機会の情報提供
③「子ども読書の日(4月23日)」及び「子どもの読書週間(4月23日~5月12日)」
の普及に努め、子どもの読書活動への関心を高める取り組みを推進します。
・町の広報誌、町のホームページ、学校図書館を通じての啓発
・子どもの読書に関わる行事の実施
(2)読み聞かせサークルの育成
子どもの読書活動推進のために協力いただく地域の人々の発掘や読み聞かせサークル
への参加の呼びかけを行い、その育成に努めます。また読み聞かせサークルに対する活動
の場を提供する等の支援をします。
・子どもの読書活動事業の紹介と協力依頼
・読み聞かせサークルへの参加の呼びかけ
・読み聞かせサークルへの活動の場の提供
10
垂井町子どもの読書活動推進計画
本とふれあい、本から学ぶ、垂井町の子ども
高校生時期:
本との関わりを持ち、自らの
生活を深めていく子
中学校時期:
目的を持って本で調べる子
小学校時期:
自ら進んで本を楽しむ子
乳幼児期:
絵本の好きな子
11
巻末資料:用語の解説
用語
解説
赤ちゃんとその保護者に絵本を介して、心ふれあうひとときをもつ
ブックスタート
きっかけをつくる活動
レファレンスブック
辞書・辞典・事典などの参考文献
一定のテーマを立てて一定の時間内に何冊かの本を複数の聞き手
ブックトーク
に紹介する活動
発達心理学では成人期前期といわれる13歳から18歳までの若
ヤングアダルト
い大人という意味。自分は子どもではないと思い始めているが、周
(YA)
囲からは大人と認められない時期。思春期を過ごす年代で、自我の
芽生え、進路の選択、大人や社会との葛藤がある時期でもある。
図書館利用者が学習・研究・調査を目的として、必要な情報・資料
などを求めた際に、図書館員が情報そのものあるいはそのために必
レファレンス調査
要とされる資料を検索・提供・回答することによってこれを助ける
業務。一図書館内の資料に限らず、他図書館資料や国立国会図書館
資料の借用、あるいは博物館学芸員や出版社・テレビ局などへ調査
することもある。
図書館サービスにおいて、館内広報だけでなく、インターネットの
メディアミックス型
ホームページやツイッター、テレビ番組など異種のメディアを組み
合わせること。
メディアリテラシー
情報メディアを主体的に読み解いて必要な情報を引き出し、その真
偽を見抜き活用する能力。
「情報を評価・識別する能力」ともいう。
垂井町子どもの読書活動推進計画
平成24年8月
編集・発行:垂井町教育委員会
事務局
生涯学習課(タルイピアセンター)
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岐阜県不破郡垂井町1543番地3
TEL
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