Metalworking World 3/2008

ジェット・コースター体験:
絶叫せよ!
A BUSINESS AND
TECHNOLOGY MAGAZINE FROM SANDVIK COROMANT
サンドビック
・コロマントが発信するビジネス&テク
ノロジー情報誌
#3/2008
南アフリカでスルザー社
がくみ上げるビジネス
スピードを愛す
ジェーンバーグ社の工場長
ラリー・ウォリニック氏
ジェーンバーグ社:
記録を塗り替える
サプライヤー
ノルウェー式生産法
外部倉庫を
活用して節約
アメリカ
拠点への
こだわり
EDITORIAL
潜在能力の十分な発揮
コストの上昇とマージンの減少、
さらに競合他社の厳し
持するには厳しい管理が必要であることをよく認識され
い競争の中で、利益を維持していくことは大変なことで
ています。3年前、設備投資の拡大に際し、同社は最大
す。
どこに、
いつ、
どれだけの投資をすべきか、最善の注
の収益をあげるためサンドビック・コロマントとパートナ
意を払わねばなりません。
もちろん、投資回収は初日か
ーシップ契約を結びました。
そして、
このパートナーシッ
ら望むでしょうし、劇的な生産力の増大も期待されるに
プによって工程は次々と改善され、
フランク・モーン・フ
違いありません。
ラトイ社に収益をもたらしています。詳しくは8ページを
投資に先立ちこうしたさまざまな条件について検討
することもあるでしょう。
しかし、機械は既にそこにある
のかもしれません。
さらには工具ももう揃っているのか
もしれません。
それでもその設備投資にはまだ発揮され
お読みください。
「それでもその設備投資にはまだ
ていない潜在能力があるものと確信しています。世界中
のあらゆる製造工程で当社が長年に渡り行ってきた設
備投資の経験から言えば、投資効果を最大にするため
発揮されていない潜在能力が
あるものと確信しています。」
には始めから正しい工具やプロセス・エンジニアリング
が必要だといえます。
ノルウェーの石油・ガス産業のサプライヤーであるフ
ランク・モーン・フラトイ社は、生産体制をノルウェー国
内にとどめることを早くから決めており、品質の高さを維
またアメリカの自動車部品メーカー、
ジェーンバー
グ社の工場で起きた工具の問題を、
サンドビック・コロ
マントがどのように解決したかを掲載しています。
さら
に、
コスト削減の方策として、
自社にツール保管庫を設
けず物流センターを利用することの利点についての記
事もあります。
今季号総括:全体は部分の総和以上である。
サンドビック・コロマントは常に最終結果──お客さ
まにとっての最終結果──を意識しています。
それこそ
が、
当社のお客さまのコスト削減と収益性という実績の
写真: MATS JONHOLT
積み重ねにつながっているのです。
サンドビック・コロマント社長
ケネス・スンドー
PS 1: インドの製造業者は、自国が世界的な経済 PS 2:
大国へと成長するのに応じて生産能力を高める必要が
あります。現在サンドビック・コロマントのPIP(生産性向
上プログラム)は、
これらのメーカーに対しその解決策
を提案しています。
勝ち組とそうでない者との差は、
そこにあるのです。
2
METALWORKING WORLD
当社のトレード・ショーの新しいコンセプト
は、smart hub ──有能な人々が集まりビジネス手
法を改善・開発する交差点です。
アメリカ、
シカゴで開催されるIMTSをお見逃しなく。
目印はイエロー!
目次
メタルワーキングワールド 2008年第3号
テクノロジー
6
スピーディーなチタン
格安航空サービスの需要増加と環境意識の高ま
が高まってきた。最新のチタン加工用カッターコロ
ミル690はチタンの加工特有の多くの問題を解
決出来る。
16
グリーン・ライト チップ
あらかじめ設定された機械の停止時間まで中断な
く加工が行える、green-light production が新
世代のコーティングチップ材種の目標である。新た
に開発されたサンドビック・コロマントのPVDと
CVDコーティングチップは仕上げ旋削加工におい
て、
それぞれの性能を補完する。
24
勝者の鍵となるワイパー
新たに開発されたWMXワイパーチップは一般旋
削加工の荒から仕上げ加工における万能な第一
推奨ソリューションである。
ワイパー旋削加工を生
産性と効果という点で新たなレベルに引き上げ
た。
29
正面フライス加工のニューフェイス
正面フライス加工に、新たなチップブレーカや材
種、そして新手法を導入することにより生産性が
上がり、新規設備投資のコスト節約が可能にな
る。
MORTEN BRAKESTAD
りを背景に、
チタン──特にTi-5553合金の需要
8
4 メタルワーキング
ニュース
29
8 ノルウェーのノウハウ:
フランク・モーン・
フラトイ社
12 南アフリカ
最適ツーリングの成果
18 記録破りの自動車部品
サプライヤー
26 $$$を節約する
グローバル倉庫
30 メタルワーキング
ニュース
32
32 なぜジェットコースター
の工学はクールなのか
METALWORKING WORLDメタルワーキングワールドはサンドビック・コロマントABがお届けするビジネス&テクノロジーマガジン。
811 81 Sandviken, Sweden, 電話 +46 (26)26 60 00。年3回、米語、英語、チェコスロバキア語、中国語、デンマーク語、オランダ語、
フィンラン
ド語、
フランス語、
ドイツ語、ハンガリー語、イタリア語、日本語、韓国語、タイ語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、スウェーデン語各
言語で発行され、サンドビック・コロマントの世界中の顧客に無料で提供されています。出版はスウェーデン、ストックホルム、Spoon Publishing
ISSN 1 652-5825。
編集主幹兼スウェーデン出版法による発行人: Pernilla Eriksson 契約担当: Christina Hoffmann 編集管理人: Johan Andersson
アートディレクター: Erik Westin 写真編集: Christer Jansson 技術記事編集: Christer Richt 編集補佐: Valerie Mindel, Asa Brolin
コーディネータ: Mia Gustafsson 言語コーディネータ: Sergio Tenconi レイアウト: Ulrika Jonasson 製版: Markus Dahlstedt
原稿持込みは受け付けておりません。本誌の記事は許可なく転載できません。許可の申請については編集管理人にお問い合わせ下さい。メタルワーキ
ングワールド掲載の論説や記事は、サンドビック・コロマントや発行人の見解であるとは限らないことをご承知おきください。
本誌に関するご意見やご質問を歓迎します。
ご連絡はSpoon Publishing AB, Kungstengatan 21B, 113 57 Stockholm, Sweden,
電話 +46 (8) 442 96 20 電子メール [email protected]。配布についてはサンドビック・コロマントのMia Gustafssonまでどうぞ。
電話 +46 (26) 26 61 74電子メール [email protected]。
印刷: 中国。Papyrus AB社製マルチアートマット紙 115gとマルチアートグロス紙200gを使用し、ISO14001適合、EMAS登録。
コロマント・キャプト、
コロミル、
コロカット、
コロプレックスMT、
コロターン、
コロドリル、
コロボア、
コログリップ、ハイドログリップ、オートTAS、GCはす
べてサンドビック・コロマントの登録商標です。
メタルワーキングワールドは情報提供を目的に発行されています。掲載情報は一般的
内容であり、助言と見なすこと、決定のための根拠とすること、具体的な事例について
使用することを推奨するものでありません。掲載情報のご利用は使用者の責任におい
て行われるようお願いいたします。サンドビック・コロマントは、直接損害、付帯損害、結
果損害、間接損害を問わず、メタルワーキングワール
ドに掲載された情報の利用を事由として発生するい
かなる損害についても責を負うものではありません。
METALWORKING WORLD
3
ニュース
新素材には新技術で
医療。金属や合金は絶えず進歩しており、
切削加工はそのたびに難しくなる。
材料の品質や特性がきわめて重要であ
る医療技術や航空宇宙産業においては特
に顕著である。
今年10月、
サンドビック・コロマント・
フランスはサンドビック・マテリアルズ・テ
クノロジー・メテックとスイスの機械メー
カー、
トルノス社と合同で、医療技術の分
このボールエンドミルは一工程でヒップ
野でよく使われるチタンやコバルトクロム
ジョイントの切削加工を行えるため、
合金といった素材の加工法についての研
生産性が向上する
修を開催する。
この研修は、2007年秋に開催された
ものの続編である。
「 受講者には、被削材
の特性について余すところなく網羅した
情報に非常に喜んでいただけました。」
サ
ンドビック・コロマント・フランスのCT製
品サポートのエリザベス・デュプイは語る。
「新しい被削材の特性は常に向上してい
被削材に最適な切削加工を行うため、切削条件の設定の仕方を受講者に説明する
サンドビック・コロマント・フランスのジーン・リッチー
るので切削が難しくなることもあります。
実地研修を通じて加工方法を学ぶ一方、
被削材の構成や特性について徹底的に調
べることは非常に有益でした。」
「人工関節に関して言えば、研磨をせ
この研修は、
フランス・オルリーズ市の
ずに或いは最小限の研磨で滑らかな表面
サンドビック・コロマントのプロダクティビ
に仕上げることがますます重要になって
ティ・センターで、10月20∼23日に実施
被削材の理論研究は、加工研修によっ
います。」
と、
リンドストロームデュプイは言
予定だ。
「これは医療技術企業と切削加工
て補完され、そこで参加者は切削条件と
う。
「しかし、
それを可能とするような工具
技術との融合を主目的とする、初の研修
生産性を改善するためのアイディアやアド
や手法は、
なかなかありません。生産性向
です。」
リンドストロームデュプイは言う。
「
研修で製作されたボーンスクリュー
詳しくはwww.coromant.sandvik.
com/fr.をご覧下さい。
バイスを受けることができる。
ボーンスクリ
上の一例として、ボーンスクリューを製造
しかし、サンドビック・コロマントは、いか
フランス以外の国での研修について
ューと人工関節の生産についてが主に取
する際、
トルノス社の小型旋盤を使ってい
なるマーケットにも合わせたプログラムを
は、www.coromant.sandvik.com/jpを
り上げられている。
ます。」
組むことが出来ます。」
ご覧下さい。
IMTSで有能な人同士が出会う場所
る。
以降、
サンドビック・コロマントが参加す
テーマ
「Your success in focus」
の一環
いアイディアを得、課題やチャンスについ
る全ての展示会にsmart hubを設置する。
である。
て意見交換をする絶好の機会である。
こ
「smart hubは非常に目立ちます。」
展示会。展示会は、
同業者と出会い、新し
スがいかに成功するかにあります。」
ロードザントは、
サンドビック・コロマン
マーケティング・コミュニケーションズ
トはこのようなことを成し遂げる信頼性が
ある、
と確信を持っている。
とサンドビック・コロマント・USのマーケ
のシニアマネージャー、
イボンヌ・ストラン
典 型 的 な 展 示 会 ブ ース の 代 わり
ティング・コミュニケーション・マネージャ
ドバーグによると
「サンドビッ
「 当社 はお 客さまの 成 功
ー、
ビヨン・ロードザントは言
ク・コロマントは、単なるチッ
に照準をあてて全てのことを
う。
「もし迷うことがあれば、
サ
プとツールホルダのサプライ
行っています。」
と言う。
「当社
ンドビック・コロマント社員の
ヤーではありません。
当社は、
は、知 識 集 約 型の企 業であ
目印、
イエロー・コートをさが
お客さまとともに最善のソリ
り、その知識をお客さまやパ
してみてください。」
ューションを創り出す問題解
ートナーと共有しています。
お
に smart hub(スマートハ
ブ)と呼ばれる、立ち寄った
人同士が自分のまたは他のビ
ジネスについて話し合うため
SAMIR SOUDAH
のためサンドビック・コロマントは、従来の
の場を用意した。
客さまの成功を手助けするこ
smart hubは9月にアメリ
この企画は、
サンドビック・
決者であり、パートナーでも
カのシカゴ で 開 催 される
コロマントが 新たに掲げる
あるのです。
当社にとって成功
イボンヌ・ストランド
2008年に立ち上げた新しい
の基準は、お客さまのビジネ
バーグ
IMTSより開設される予定であ
4
METALWORKING WORLD
ビヨン・ロードザント
とこそが当社のブランドが約
束することです。」
「自動的にプリントアウトをいただけるの
で、間に合わなくなる前に在庫の注文をす
ることができます。」
スルザー・ポンプ社の工業エンジニア、
デービッド・ウィンター氏
NAIT学長兼CEO、
サム・ショー氏への5つの質問:
NAIT学長兼CEOの サム・ショー氏
研究開発。サンドビック・コロマントと北
スルザー・ポンプ社について詳しくは12ページをご参照下さい。
アルバータ工科大学(NAIT)は、1千万米
ドルの予算をかけてサンドビック・コロマ
ント加工技術センターを開設するため、
パートナーシップを提携した。NAIT学長
兼CEOのサム・ショー氏に、パートナー
シップについての話を聞いた。
1. このパートナーシップの目的は?
「NAITがサンドビック・コロマントの
ようなマーケット・リーダーと共に研究をするということは、当校の生徒
達が最高の技術を学び、彼らが経済・産業界に大きな貢献が出来る立場
に立つことを約束することになります。」
2.NAITは、
そこから何を得ることを望んでいますか?
「私たちは、
このパートナーシップを長いスパンでの関係ととらえてい
ます。学生の使う設備や工具の性能を高め、
またサンドビック・コロマント
と共に取り組む事業とどのように協力してゆくべきかを見極めるため、私
たちは共に研究しているのです。」
3. サンドビック・コロマントを選んだ
理由は?
「サンドビック・コロマントは世界に
名だたる工具メーカーです。
当校は、
この
永遠につづく −サイレント・ツール
研究開発。 今年4月サンドビック・グルー
プは、
「サイレント・ツール」の登録商標で
に発展・強化していきます。」
サンドビック・
コロマント社長ケネス・V・スンドーは述
知られる防振工具の開発・製造をリード
べる。
するノルウェー企業、
ティーネス社を買収
ティーネス社の買収により防振工具の研
したことを発表した。防振工具はお客さま
究開発や製造へのより大きな投資が可能
の生産性を向上させるとともに、複雑な
となる。サンドビック・コロマントは、研究
被削材の切削加工に際し技術的な利点
開発に多くの投資を行っている。
もある。
>2008年上半期、既にこの分野で働い
「同業他社に比べ約
2倍の投資をしてい
ます。」
サンドビック・コロマントの 研 究 開 発
部長、
マグネス・エクボック
ている330人に加え、
さらに40人の人員
を採用する予定である。
「私たちは、常に研究開発を重視してお
り、
同業他社に比べ約2倍の投資をしてい
ます。」
と、
サンドビック・コロマントの研究
開発部長、
マグネス・エクボックは言う。
製造業は、
より新しくより優れた工具を、
ますます急ピッチで必要とするようになっ
てきた。
これは、サンドビック・コロマント
「私たちはこの買収を通して、特に成長著
の工具やバイトの需要からも明らかであ
しい航空機産業やエネルギー産業におい
る。現状、過去5年以内に開発されたもの
て、
これらの製品のグローバル展開を更
が売上の大半を占める。
パートナーシップにあたり、
マーケット・リ
ーダーとの関係を望んでいました。それ
がサンドビック・コロマントだったので
す。
」
4. NAITの見通しでは、
このパートナ
ーシップから利益が得られるのはいつ
頃からと考えていますか?
「すでに、スタッフ研修の成果、学生
からの評価、業界からの評判といった形
で良い成果が表れています。
」
5. このパートナーシップは、
NAITの
教育上の役割をどのようにサポートする
と思われますか?
パートナーシップについて発表す
るNAIT学長兼CEOサム・ショー
氏とサンドビック・コロマント、
コ
ミュニケーション部長パニーラ・
エリクソン
「 N A I Tは、アルバータ州 内や世 界
23ヶ国に年間8万6500人以上に及ぶ顧客を持つ、
今
やカナダ屈指の技術専門学校の名門です。
カナダ
国内はもとより世界規模で見られる深刻な技術
者不足に対し、
このパートナーシップは、業界
が必要とする訓練を受けた卒業生を増やして
くれます。
そしてさらに、継続的な教育により、
現役従業員のスキルも向上します。
」
ご存
…一般 知でしたか
?
に、機
械設備
回収期
投
資の
間は
サンド
ビック 4年です。
・コロ
この期
マント
間を1
は、
2ヶ月
短
縮
とがで
きます するこ
。
METALWORKING WORLD
5
テクノロジー
ウルフ・ウィーマンとエレイン・マクラレンス
最先端の
チタン加工
課題:チタン合金の高能率2Dポケット加工を実現。
解決策:チタン合金専用のコロミル690新型ロングエッジカッターを使用する。
世界的な中流階級の増加に伴い、航空サービスへ
従来の主力商品TI6AL4Vに代わり得る新素
材TI-5553は、更に優れた特性を持つ新しいチタ
ンド、中国からなるBRIC諸国では安価な業務出張
ン合金であり、航空宇宙産業界ではその特性に期
や休暇への需要が増えている。貨物空輸も同様で
待が寄せられている。TI-5553はその優れた強度
ある。今後20年間で旅客空輸は5%、貨物空輸は
と高い破壊じん性により、構造用部品やランディン
により切りくず排出が滑らかになり切りくず詰まり
6%の増加が見込まれている。
グギヤといった高い応力特性を必要とする部品に
や噛みこみが減少し、工程の安全性や切削条件の
適している。
改善が可能になる。
航空機需要の増大と環境問題への関心の高ま
りの両方に対応することが世界中の航空宇宙産
経済性を向上する。
コロミル690は、最適化されたボディフルート形状
チタン合金の切削では切削熱がこもり易く切削
業が直面している課題である。結果、燃料コストと
TI-5553は難削加工特性を持ち、工程別加工の
排気量を抑えることのできる軽量航空機体が求め
安全性、安定化と工具の最適化が必要である。切
られている。
削速度管理、
良好な切削維持の高い送り、
クーラン
温度が高くなる。従って刃先や工具の表面が過熱
軽量で材料強度に優れていることから航空宇宙産
使用と摩耗量による予想寿命化、切削加工途中で
技術情報―
コロミル690
業は以前からチタンを航空機部品の材質として選
の工具交換回避などが挙げられる。
・チタン加工専用に開発
ト使用、切りくず排出性、刃先の鋭い切れ刃工具の
んできた。
しかしながら、
チタン合金の難加工特性
サンドビック・コロマントはチタン製部品の倣い
により航空機デザイナーが設計した部品形状に機
フライス専用カッターとして、
コロミル690を新た
械加工する事の困難さが指摘されてきた。
サンドビ
に開発した。
ック・コロマントのコロミル690はこれらの問題を
解決する為に開発された。
航空宇宙産業でのチタン使用領域は更に拡大
6
る。4コーナ仕様の新しいデザインにより生産性と
の需要が増大している。例えばブラジル、
ロシア、
イ
コロミル690はユニークなチップシート形状に
よりピラミッド状のチップ取り付け面を持ちチップ
取り付け剛性が高く、特に現状ロングエッジカッタ
・軸方向の切削抵抗に対して安定性があ
るチップ取付け面
・4コーナ仕様により生産性と経済性が
向上
・最適化されたボディフルート形状により
切りくず詰まりが減少。工程の安全性が
向上し、切削条件が改善
するであろう。
ボーイング787ドリームライナーと
ーに比べ軸方向の切削抵抗に対して安定する。
こ
・工具先端部のクーラント供給システムに
いった最先端機体ではチタンの使用量が従来の機
の結果チップの動きが抑えられ、加工工程の安定
より正面フライス加工と肩削りフライス
体と比べて倍以上となっており、将来的にはチタン
化、高送り、
そしてカッターのボディの長寿命化に
が機体の重量の約15%を占める予定である。
つながり、
これらにより加工不良の防止に貢献す
METALWORKING WORLD
加において最適な切りくず排出を実現
コロミル690
の特徴
・軸方向の切削抵抗に対する安定性
・4コーナ仕様
・最適化されたボディフルート形状により
りくず詰まりが減少
・円滑な切りくず排出
・工具先端部のクーラント
しないよう切削中の冷却は不可欠である。
コロミル
ングエッジカッターの必要な切れ刃部のみにクー
・全てのチップポケットにクーラント穴
690には工具先端部にクーラント穴が設けられて
ラントを供給し、
クーラント流量や圧力を最適に保
・内径ねじ付きクーラント穴
いるため、例えば穴、
ポケットや溝の肩削りフライ
つ事ができる。
ス加工や正面フライス加工をする際、切りくず排出
が非常にスムーズになる。
チタンの加工では、切りくずが刃先に付着しや
コロミル690を導入することにより航空宇宙産
業は多くの利益を得ることができる。特に工程の安
全化や工具の長寿命化を図りまた寿命が予測可能
すく切削時に切りくず噛み込みにより切りくずが再
となる。
チタン合金加工時の問題解決要件を満た
度切削され、刃先の欠けの原因となる。全てのコロ
す新型ロングエッジカッターコロミル690により、
ミル690のチップポケットにはクーラント穴がある
航空宇宙産業ではチタン
(特にTi-5553)
が重要な
ため、切りくず排出を助け、
このような問題に対処
材質として使用することが出来る。
出来、刃先性能を高めることができる。
クーラント穴には、ねじが切ってあり、不要なク
ーラント穴を塞ぐことが出来る。
これにより多刃ロ
❯❯ 詳細は最寄りの営業所へお問い合わせく
ださい。
総括
旅客数の増加及び貨物空輸への需要は
航空交通量と共に増大しており、
この傾
向は続く見込みである。同時に環境問題
への意識も高まっており、各社は汚染排
ケーススタディー:Ti-5553加工で実証された節約
Ti-5553製構造部品に対してコンタリング加工
向 切り込み6 1 8 m m 、軸 方 向 切り込みは
を行った。加工にはコロマントキャプトカップリ
22 40mm。
GC1030がチップ材種として選ば
ング
(C8)
を搭載したコロミル690ロングエッジ
れた。
このソリューションにより顧客はチップ当
カッターが使用された。
カッター径は84mm、
カ
たり製造時間を50%削減することができた。
と
ッター刃長は63mm。
この加工での切削速度
同時に、
コロミル690の工具設計により騒音と
は22m/min、刃当たり速度は0.13mm、径方
振動を抑えることができた。
気ガスを削減するよう厳しく求められて
いる。航空機体の軽量化につながるチタ
ンの使用が著しく増加している。新合金
Ti-5553の性能はより優れたものになっ
ているが、同時に加工はより難しい。
サン
ドビック・コロマントが開発したチタン専
用カッター、
コロミル690はチタン特有の
様々な加工上の問題を解決するものであ
る。
METALWORKING WORLD
7
MORTEN BRAKESTAD
管理体制を維持するために、
ノルウェ
ーに本社を置くフランク・モーン・フラ
トイ社は生産拠点を地元に残している。
「生産拠点を一部でも別の場所に移
動すると、
この管理を維持することはで
きないと思っています。」
と生産マネー
ジャー、
リチャード・サレン氏は言う
ホームチーム
ノルウェー。家族経営会社であるフランク・モーン社は最良の製品管理を目標として
いるため生産拠点を地元に残している。現在、新しい機械への設備投資をしており、
製造手法の改善に余念がない。
1938年にフランク・モーン氏が創業して以来、
ノルウェ
産マネージャー、
リチャード・サレン氏は言う。
「当社は地
テム ― 海洋石油・ガス産業で使用されている浮遊式
ー国内での現地生産が同社の主要戦略である。
といって
元に生産拠点を残しておきたいのです。望郷の念が理由
貯蔵システム)
や石油掘削装置向け消火ポンプでは世界
も世界規模の市場に背を向けている訳ではなく、今日同
ではありません。重要なのは全体の生産チェーンに対し
をリードする会社である。
社は全ての大陸の顧客に対して多種のポンプシステムを
て最良の管理を行うことです。生産拠点を一部でも別の
販売している。
場所に移動すると、
この管理体制を維持することはでき
ポンプを稼働させるのにボタンを押すだけで良いので
ないと思っています。」
す。」
とフランク・モーン・フラトイ社のセールスマネージャ
「1990年代に西欧の製造業者の多くがこぞって東
欧やアジアに生産拠点を移す風潮がありましたが、
当社
フランク・モーン・フラトイ社は、多様なポンプシステム
「当社は完全なシステムを納入するので、
お客さまは
ー、
フロード・ヘルムランド氏は言う。
「ここがユニット毎
にとってそれは魅力的なものではありませんでした。」
と
を石油・ガス産業の巨大企業に提供するため、1969年
に販売する他のポンプメーカーと当社の違うところで
同社の石油・ガス部門、
フランク・モーン・フラトイ社の生
に設立された。例えば、FPSO(浮遊式生産貯蔵出荷シス
す。」
8
METALWORKING WORLD
タンカー向け旋回リングを
製造する。写真にあるような
リングの切削には100時間
取扱い製品の中で大型の物の一つに、世界中の石油
プラットフォーム等に提供されている消火ポンプがある。
このポンプは3,600m³の水を時速150mでまっすぐ上に
くみ上げることができる。
これは1秒当たり6バレル、或い
MORTEN BRAKESTAD
近く要する
MORTEN BRAKESTAD
多くの製品の中で、
フランク
・モーン・フラトイ社は、石油
はバスタブ2杯分に相当する。
フランク・モーン・フラトイ社は、
計画から設計、
生産、
供
給、
サービスに至るまで全てのソリューションを提供する。
「この種のポンプは複雑な製品で標準的な部品はほ
とんどありません。」
とサレン氏は言う。
「さらに、使用される
スーパー二層ステンレスや二層ステンレスは切削が大変
難しい材料です。
よって生産体制は我々にとって大変重要
で、
遠くに移動させたくないのです。
」
とサレン氏は言う。
400人余りの従業員が働く同社の製造工場は、
ノルウ
フランク・モーン・フラトイ社
フランク・モーン・フラトイ社
のセールスマネージャー、
では、3年前に新規設備投資
フロード・ヘルムランド氏
が本格化した
ェー西海岸のベルゲンから北へ車で一時間ほどのフラト
イにありフィヨルドに面している。
ここから船で北海や世
3年前に本格化させました。」
とサレン氏は言う。
「できる
の防振バーが装備されており、切削の難しい工程に対応
界中に同社の製品を運搬することができる。
だけ一度で部品を完成品にまで仕上げられる機械を購
している。
地元に生産体制を残すために、
フランク・モーン・フラ
トイ社は革新的でなければならなかった。3年前にサンド
入するようにしています。材質が複雑なので、機械も頑丈
で安定したものでなければなりません。」
ビック・コロマントとの間で生産性向上パートナーシップ
WFL社製の旋削とフライス加工が可能な機械を4台
契約を結び、生産現場にある機械を最新のものに入れ替
購入、安定性と柔軟性のためにいずれにもモジュラーシ
え始めた。
ステム、
コロマント・キャプトが搭載されている。
「当然今までも機械に設備投資をしてきましたが、
加えていずれの機械にも特殊工具にサイレントツール
「最長で2mの防振バーは、安定性が最重視される
部品の奥深くの複雑な加工を行います。」
とサレン氏は言
う。
加えて、
マザック社製のフライス加工機、
オークマ社製
の小物加工用複合加工機やドイツのDSテクノロジー社製
のドリス・シャーマン旋削・フライス加工セルも購入した。❯❯
METALWORKING WORLD
9
フランク・モーン・フラトイ社は
FPSO(浮遊式生産貯蔵出荷システム)
向け消火ポンプで世界をリードする
会社である。
(下の写真参照)
「当社は完全なシステムを納入するので、お客さまはポンプを
稼働させるのにボタンを押すだけで良いのです。」
フランク・モーン・フラトイ社のセールスマネージャー、
フロード・ヘルムランド氏
「工具の費用が全ての投資額の約10%を占めます。」
❯❯
とサレン氏は言う。
「サンドビック・コロマントにどのように
2002年11月、
スペインの大西洋海岸沖
で転覆した石油タンカー、
プレステージ
から石油を回収する浮動式ポンプ
フランク・モーン社
概略
フランク・モーン社はフラモというブランドネーム
で知られている。2007年における従業員数は
1,650名、2006年の売上は42億ノルウェークロ
により解決策を見出すことができました。
これまでの実績
は期待をはるかに越えるものです。通常30∼50時間か
機械を使うかを説明した上で、
どの工具が最もふさわし
かる部品について、
リードタイムを30%も削減することが
いかを一緒に決めました。部品を仕上げるまでに最長
できました。」
(囲み記事参照)
200時間かかることもあるように製造時間が長いので、
サレン氏によると将来にわたり競争力を維持し続ける
製造時間はもとより工具交換にかかる時間というのは我
には、生産時間を短縮し完成品の品質が向上するような
々にとって大変重要なことです。」
とサレン氏が言う。
新しい方策を試し続けなければならない。
サンドビック・コロマントとのパートナーシップにより
「サンドビック・コロマントとのパートナーシップによ
フランク・モーン・フラトイ社は、全く新しい部品生産方法
りそれが可能になるのです。」
と言う。
「今ではどの工具を
であるジェットブレイク
(囲み記事参照)
と呼ばれる超高
使用するかを決めるのに時間を費やすことが少なくなり、
圧クーラントシステムをドイツのDSテクノロジー社製機
代わりに生産に集中することができるようになりました。
械でテストすることができた。
「切削箇所に直接高圧クー
と同時に、
当社が改善策を思いついた時や、
サンドビック
ラントを供給することによって生産時間を短縮することが
・コロマントが当社に最適と思う工具のテストを行う時な
できるかを試したかったのです。」
とサレン氏が説明する。
どに、新しい方法の開発を続けています。」
「サンドビック・コロマントとDSテクノロジー社との協力
ヨハン・アンダーソン
ーネだった。
モーン氏によって経営されている。
フランク・モーン社は、
タンカーや海洋市場向
けサブマージドポンプの一流サプライヤーであ
る。同社の製品はいくつかの子会社によって製造
フランク・モーン・フラトイ社
よって設立された。現在は、息子であるトロンド・
MORTEN BRAKESTAD
ノルウェー西海岸のベルゲンに本社を置く同
社は、家族経営で1938年にフランク・モーン氏に
されている。
・フランク・モーン・フーサ社。子会社の中では最
大規模。海洋部門を担当。従業員数約500名。
カーゴポンプシステム、可搬型ポンプシステムや
アンチヒーリングポンプ装置を製造。
・フランク・モーン・フラトイ社。石油・ガス部門担
当。従業員数約400名。
・フラモ・エンジニアリング社。
オイルフィールドサ
ービス会社、
シュルンベルジェ社と提携。従業員
数約300名。石油産業向けに主要部品やトータ
ルシステムソリューションを開発、提供する。
・フランク・モーン・サービス社。
ポンプのメンテナ
ンスや修理を担当。従業員数200名。
・フランク・モーン・パイピング社。
フランク・モー
ングループの中では最も新しい会社。
フラモシス
テム用のパイプを製造。従業員数約100名。
10
METALWORKING WORLD
ポンプシステム製造の全工
程がノルウェー、
ベルゲン郊
外の工場で行われる
機械オペレーター、
シュタイ
ナー・ソルベイト氏が、完成
するまでに40∼50時間も
かかるローターの旋削加工
を行う
ハイプレッシャーにおける協力
ノルウェーの製造業者フランク・モーン・
機械を船体に取り付けると同時に、
ドリル
フラトイ社は、
インコネルとスーパー二層
で穴を開ける。
ステンレス・二層ステンレスという切削が
大変難しい材料を扱っている。
「以前は所定の場所にポンプを設置
する前に、船体に穴を開けるためのダイバ
「ジェットブレイク
(水を高圧で供給す
ーを潜らせる必要がありました。
」
フランク
ることにより切削箇所を冷却する方法)
・モーン・フラトイ社の生産マネージャー
の開発は、会社同士の緊密な協力がいか
であるリチャード・サレン氏は言う。
「これ
に大切であるかを証明する一例です。」
と
は当社にとっては大事業ではありません
サンドビック・コロマントのフランク・モー
が、実際に作業をしている人にとっては大
ン・フラトイ社担当、
ゲール・ボージュが言
きな違いとなります。当社のポンプは、イ
う。
両社のパートナーシップの一部として、
ボージュは毎週ベルゲン郊外にある同社
ギリス海峡と韓国の沖合でも活用されま
した。」
もう一つの例は、部品によっては生産
の生産現場に通っている。同社の生産性
性が30%も向上した超高圧クーラント、
をさまざまな面で向上させるという目的
ジェットブレイクの開発である。
のもと、
サンドビック・コロマントはいろい
ろな工具を長年にわたりテストしてきた。
「これはフランク・モーン・フラトイ社
主導で行われました。
」
とボージュは言う。
そのソリューションでは、切削箇所に
700バールという超高圧で水を吹き付け
る。通常の加工の水圧は20∼40バール
この締め付け装置が船体に
取り付けられると同時にドリ
ルで穴が開けられる
である。
「これはとても興味深いソリューショ
ンですが、
フランク・モーン・フラトイ社以
外の使用となると十分な安定性がなけれ
例えば、転覆した貨物船から石油回収
「可能性を認めていただいたので、我々
ばなりません。」
とボージュは言う。
「ソリ
を容易にする方法を開発した。遠隔操作
はDSテクノロジー社と共に画期的ソリュ
ューションが最善だったからこそ、今効果
ができ、
ドリルと締め付け装置を備えた
ーションを開発したのです。」
的に機能しているのです。」
METALWORKING WORLD
11
GETTY IMAGES
スルザー社が
くみ上げるビジネス
南アフリカ。ポンプメーカー、スルザー・ポンプ社の工場で、工具に関する問題が生
じた時、
サンドビック・コロマントとのパートナーシップにより新たな加工方法、工具
やコスト削減というソルーションが生み出された。
比較的順調に操業している工場でよくあることだが、南ア
冷却、水上運送や洪水制御システムに使用されるバーテ
作効率を実証するために系統的な試験が実施されてい
フリカのスルザー・ポンプ社のヨハネスブルグ工場では製
ィカルコラムポンプを生産、供給する当社の能力です。」
る。
造過程で時折生じる問題にだけ対処していた。洞察力の
ヨハネスブルグ郊外のエランズフォンテインにあるス
スルザー社とサンドビック・コロマントとの関係は
ルザー社のポンプ試験場は、南半球では最大である。
ここ
30年以上に渡っており
(「当社が超硬チップを使い始め
では、新しいポンプやメンテナンスしたポンプの性能と動
て以来です」
とシュミット氏は言う。)南アフリカ市場で二
スト削減する最善策がとられていないことに気が付い
た。
スルザー・ポンプ社(南アフリカ)
は1922年に設立さ
れ、以後85年間、南アフリカでポンプの設計やソリューシ
ョン開発に携わってきた。
スイスのスルザー・ポンプ社の
写真:JULIAN COLE
鋭いサンドビック・コロマントの担当者がスルザー社から
の注文を精査する中で、同工場が最適化されておらず、
コ
社は共に成長してきた。
スルザー・ポンプ社の工業エ
ンジニア、
デービッド・ウィン
ター氏は余分なチップに関す
るレポートを受け取る
いかなる工場でも行われていることであるが、
スルザー社
は新しい方式や設備、
そして変化する市場ニーズに長年
にわたって対応してきた。非効率な機械加工や時代おく
子会社である同社は、南アフリカをリードするポンプの設
れの工具の無駄が原因で、時折製造工程に問題が生じた
計製造業者となり、同社の製品はその技術力から国際的
こともある。
な称賛を得ている。
スルザー・ホールディングズ社の一部門であるスルザ
「当社の注文内容を見て設備に問題があるのではな
いかと、
サンドビック・コロマントの担当者に指摘を受け
ー・ハイドロマイニング社(南アフリカ)
は初めての水圧式
ました。」
とシュミット氏は言う。
「サンドビック・コロマント
削岩機(ターボドリル)
や、最近では
「新世代」
ドリルや空
が当社の工程を見直し、改善策を提示すると持ちかけて
気・水圧式ドリル
(ADD)
を開発した。
来たのです。」
「我々は遠心ポンプの製造を専門としており、標準的
サンドビック・コロマントはスルザー社に超硬工具を
なものから特殊なものまで取扱います。実績ある技術を
納入している最大手でしたので、両社の間にはすでに交
駆使し、ISO9001基準に準拠しています。」
とスルザー・
流があった。
お客さまの加工工程を丁寧に分析した上で、
ポンプ社の工業エンジニアリングマネージャー、
クリス・
障害、工具選定に関する問題や無駄の改善提案を行うサ
シュミット氏は言う。
「特に興味深いのは発電所での水の
ンドビック・コロマントのPIP(生産性向上プログラム)
を
12
METALWORKING WORLD
❯❯
スルザー社のポンプ試
験場は、人口400万人
の南アフリカ最大の都
市、
ヨハネスブルグの郊
外に位置する
スルザー・ポンプ社
概略
スルザー・ポンプ社は、南アフリカのポンプ市場
で85年以上操業してきた。本社と工場がエラン
ドスフォンテインにあり、支社がダーバン、
ケー
プタウン、
ウェルコーン、
ネルスプライト、
そして
ザンビアのチンゴラにある。
専門分野は石油・ガス、炭化水素、紙パルプ、
発電、上下水道、食品、金属や肥料である。
スルザー社のポンプは南アフリカで設計・製
造されているため、地元市場での雇用が生み出
され、確保されている。会社の1/4は 黒人権限
付与パートナー であるサクノト・ポンプ社に売
却されたので、
スルザー社がBEE(黒人経済権
限付与計画)
ガイドラインを満たすことは確実
になった。
現在、
スルザー社の南アフリカでの事業に従
事 する従 業 員 数 は 3 6 0 名 で、3 億ランド(
2,300万ユーロ)
を越える売上を誇る。
スルザー
・ホールディングズの子会社には、
スルザー・ポ
ンプ社(南アフリカ)、
スルザー・ハイドロマイニ
ング社(南アフリカ)、 スルザー・ディベロップメ
ント社、スルザー・プロパティー社(南アフリ
カ)、
スルザー・ポンプ社(ザンビア)
がある。
スルザー社のポ
ンプは南アフリ
カで設計・製造
されている。
METALWORKING WORLD
13
南アフリカのスルザー社。左から:工作機械オペレーター、
トニー・デ・カルバルホ氏、重機
30年以上に渡る
ニアリングマネージャー、
クリス・シュミット氏、
センター旋盤オペレーター、
コリン・イザッ
工場長、
フレンチー・ラゴ氏、工作機械オペレーター、
ソニー・ボイ・モコエナ氏、工業エンジ
ク氏、
サンドビック・コロマント担当者、
クリス・スマッツ、工業エンジニアリング/時間測定
JULIAN COLE
担当者、
デービッド・ウィンター氏、CNCツーリングの取付け担当、
モシュ・マシテング氏
❯❯ サンドビック・コロマントの工具マネージャーであるクリス
・スマッツはシュミット氏に紹介した。
扱っている加工とワークに対する正しい工具の選択と使い
鋼から合金クロム鋼、
ステンレス鋼、
そして耐腐食性が高い
方を教わっています。
」
とシュミット氏は言う。
「特定の加工
デュープレックスステンレス鋼といっためずらしい材質、
「我々はサンドビック・コロマントの担当者と手を携え
に使用できるが、
実際はそれ専用に設計されていないチッ
PB1、
PB2、
LG4、LG2といった非鉄群に至るまで多様な
て取り組みました。」
とシュミット氏は言う。
「現状使用工
プを使っていたことで、
これまで時間もお金も無駄にしてき
材質が対象となります。
具の問題点を指摘し解決策を提案しても、
その製品の購
ました。
」
入を条件としないことに印象を受けました。」
だからこそ当社の切削加工では正しい切削チップを使
特定の目的にあった工具を選ぶ知識がスタッフに備わ
用することが不可欠なのです。
」
と言う。
「また、
サンドビック
ったことにより、
作業現場での無駄も減った。
日々のスキル
・コロマントの行う専門の研修を、
当社のスタッフが受ける
サンドビック・コロマントとスルザー社の工業エンジニアリ
の向上は、
スルザー社の利益に影響を与えたばかりでな
必要があるのです。
」
ングスタッフは目の前にある技術的な問題について話し合
く、
従業員の自信にもつながった。
い、
切削時間の管理を見直す結果となる多種の新たな工
サンドビック・コロマントの研修は既に3グループに対し
具ソリューションを開発した。
これらの活動は購入前に実
て行われ、
シュミット氏によると近々第4回が実施される予
証するといった原則のもと行われてきた。
2008年1月、
生産性向上のパートナー契約が両社の
スルザー社の工業エンジニア、
デービッド・ウィンター氏
によると
「フライス加工用チップ材種の番号が変わると混
定だ。
スルザー社の15人の組付けと切削部門の実習生向
乱が生じます。
サンドビック・コロマントは、
当社のスタッフ
けに、
機械を含めた研修を充実させることにもサンドビック
にチップ材種の研修を行い、
また実習生の研修にもこの
「サンドビック・コロマントは、当社のスタッフにチップ材種の
内容を組み込んでいただいています。
当社ではチップの使用状況とどのチップが余剰在庫か
研修を行い、また実習生の研修にもこの内容を組み込んで
をレポートにしていただける、
サンドビック・コロマントの
いただいています。」
う。
「このサービスは当社にとって大いに役立つものと思
オートタスというソリューションも実施しています。」
と言
われます。」
スルザー・ポンプ社の工業エンジニア、
デービッド・ウィンター氏
オートタスは、工具管理であり、在庫コストを削減し加
工の時点での工具選択の幅を広げる合理化システムであ
間で締結され、
まもなくスルザー社は大きな利益をもたら
・コロマントは同意している。
シュミット氏によるとこの制度
る。
また使用頻度、実際の使用者、個別のコストセンター
した。
には、
実習生が資格を得る頃にはスルザー社の作業現場で
をスルザー社が管理できるような報告書が提供される。
継続的なレポートとソリューションの提供以外にもサ
ンドビック・コロマントはスルザー社の作業現場で働く作
業員に無料の研修を行っている。
「当社のスタッフは、
取り
14
METALWORKING WORLD
使われている製品を熟知しているという利点がある。
「我々が特に注力しているのは、
鉱業、
石油化学と海運
事業です。
」
とシュミット氏は言う。
「ノジュラー鋳鉄、
炭素
「自動的にプリントアウトをいただけるので、間に合わな
くなる前に在庫の注文をすることができます。」
とウィンタ
ー氏は言う。
JULIAN COLE
スルザー社とサンドビック・
コロマントとの関係は
オートタスは、
サンドビック・コロマントの提案により
始まるコスト削減策の一環をなす。
サンドビック・コロマントにとって、
パートナーシップの重
要な点とは、PIP(生産性向上プログラム)
に参加する全て
の企業によってサンドビック・コロマントの製品やサービ
スが受け入れられることである。
スルザー・ポンプ社の場
合、
それらを積極的に受け入れた。
スルザー社のHPHポンプは特に、同社の南アフリカで
の最大事業である鉱山の脱水操作のために設計されてい
る。摩耗の激しい操業環境に適応できるよう、頑丈な造り
となっている。交換式の摩耗表面をふんだんに使用する
ことによって、主要部品を頻繁に取り替えることなくポン
プを 新品に近い 状態に迅速に復旧することができるよ
うになっている。
シュミット氏とスマットによるとこの一年間に両社が
共同で問題解決を行ったことにより、
セットアップや製造
のサイクルタイムが大幅に短縮された。
ある切削工程で
スルザー・ポンプ社は南アフリ
は、
サンドビック・コロマントの提案した新世代ツールを
「見事なパートナーシップです。」
とシュミット氏は言
う。
「サンドビック・コロマントとの長年に渡る取引がなけ
れば、
当初の提案に皆驚いたでしょう。
スルザーの方から
何の資金提供がないのにも関わらず、多大な労力を割い
て下さるように見えたからです。
サンドビック・コロマントから受けた影響を、単なるア
ドバイス、
アップグレードや指導だけではなく、実際に節
約された時間や資金という観点から見ると、我々は本当
に感銘を受ています。」
ダイアン・ベイリー
やソリューション開発に携わ
JULIAN COLE
使用したことにより切削時間が47%も短縮された。
カで85年以上、
ポンプの設計
ってきた
新たな発想が
競争力を高める
スルザー・ポンプ社はHPHとHPLポンプといった標準
プを使用する新世代工具を提案した。
これにより加工
ポンプ分野の売上を伸ばすことに力を注いでいる。特
がより確実になり、
1穴当たり加工時間を約5分に短
に世界市場での販売に力を入れている。
縮した。工具設定時間は全くいらなくなった。
競 争 力を高めるために製 造 工 程を精 査
JULIAN COLE
し、AHEAD/LEAN アプローチを取り入れている。
また直径70mmのデュオボアや直径58mmのUド
リルが提案された。
AHEAD/LEAN アプローチを採用して以来、標
スルザー社の工業エンジニアによると最大の成果
準ポンプ分野で生産性を低下させる要因がいくつか
は、穴あけ加工時間を7.5分から45秒まで短縮した
見つかった。工具は、
その中でも大きな要因の一つだ
直径85mmのトレパンドリルだという。
った。
スルザー社の本業はポンプの製造である。製造工
程の最適化を図る方法を検討した結果、工具のエキ
スパート、
サンドビック・コロマントとパートナーシップ
契約を結んだ。
これによりスルザー社の新方式が強化
され、既存の工具よりも速く加工できる新世代の工具
を検討することができた。
サンドビック・コロマントとの緊密な協議の結果、
スルザー社は振動を削減するためにコロマントキャプ
トツールホルダーの採用を決めた。
スレッドミリング加工においても、
スルザー社は重
工業エンジニアリングマネージャー、
クリス・シュミット氏
節約
・スレッドミリング加工、ユニット当たり節約:
82%
・ボーリング加工、直径70mm、ユニット当たり
節約:76%
・トレパンドリル加工、直径85mm、ユニット当
たり節約:600%
要な工具アプリケーション上の節約を行うことができ
・ポンプのHPH58−25ディスチャージケーシ
た。以前の工具では工具設定に50分かかり、一つの
ング用のユニット当たり総節約(工具や方式
ねじ穴を完成するのに約15分かかった。
変更分を含む)
:41%
サンドビック・コロマントは、既製のブロックやチッ
METALWORKING WORLD
15
テクノロジー
クリスター・リヒト
仕上げ旋削加工
にグリーンライト
課題:シャープエッジチップでの仕上げ旋削加工において加工中断を最小限にするには
どうすればよいのか?
解決策:独自の新開発コーティングチップ材種を使用する。
切削条件が上げられない小物部品の仕上げ旋削
加工のように、
シャープで耐久性のある刃先が求め
PVDコーティングが施されたチップ材種は刃先
られる旋削加工に対して、昨今のチップ技術の向上
の耐チッピング性が高いためシャープな刃先に適
は独自のソリューションをもたらした。
している。PVDコーティングは適度にじん性のある
仕上げ旋削を行う工作機械は小型で軽量、動
力も小さいので、刃先は今まで以上にシャープでじ
ん性のあるものでなければならない。部品やセット
アップの不安定さも増す傾向にあり、
より切削抵抗
を低減する必要がある。刃先が鋭くポジティブ設計
のものでしか満足のいく加工ができないものがあ
る一方で、競争の激化に伴い、
サンドビック・コロマ
ントでは green-light production と呼ばれるよ
うに、機械がシフトを通して長時間中断することな
く稼働することが求められている。
従来、
シャープな刃先を必要とするチップにはコー
ティングが施されなかったが、近年では薄いコーテ
ィングが施されている。
当初主に小型のハイス鋼工
具或いは超硬ソリッド工具に使用されたPVD(物
理蒸着法)工程は、特に鋭い刃先を持つスローアウ
16
ェーチップにまで使われるほど発達した。
METALWORKING WORLD
加工時間の短縮
GC1515はシャープなチップ用のCVDコ
ーティング材種である。主に鋼の仕上げ
旋削用に開発されたが、
ステンレス鋼にも
補完的に使用することができる。PVDコ
ーティングにより近づいたこの薄 膜の
CVDコーティング材種の開発への第一
歩はコーティング層を薄くしたことであ
る。
この領域の切削においてはチップと被
削材との接触時間が短く、刃先が高温に
達することはない。
しかしながらCVDの特
性である機械的・化学的摩耗に対する優
母材にわずか数ミクロンの膜厚で皮膜されるため、
刃先は鋭さが損なわれることはない。CVD
(化学蒸着法)工程はより高温で施され、
コーテ
ィングの厚さはPVDコーティングに比べて何倍も
厚くなるため、刃先は鋭利さに欠け、仕上げ旋削に
は適さない。
しかしCVDコーティングチップには、耐摩耗
性や耐熱性が高い、化学的に安定している、
とい
った利点がある。昨今のチップ技術の向上により
CVDとPVDコーティングチップの従来の序列が代
わり、仕上げ旋削に適した刃先が開発された。
仕上げ旋削加工でのボトルネックの多くは、
チッ
プの刃先損傷による工具交換に伴う過度の運転停
止である。幅広い領域において耐摩耗性とじん性
を両立できる万能なチップ材種が、
これまでのソリ
ューションだった。
位性は保たれている。直線的なツールパ
しかし性能という点では、万能な工具は常に妥
スの加工や、耐摩耗性が要求される加工
協の産物である。今日では、
より加工や被削材質に
には特に有益な材種である。
特化したチップ材種が開発されている。
また、CVDチップの持つ耐摩耗性とPVDチッ
旋削加工においては、
スローアウェーチップの刃先の状態が被削材の表面仕上げや精度を左右する。
刃先が鋭いほど長い工具寿命の中で刃先の損傷を防ぐのは難しい。耐摩耗性とじん性とのバランスで、
どれだけシャープな刃先が長時間維持できるか、
そして様々な加工に十分に対応できるかが決まる
プの持つ耐チッピング性を兼ね備えた特殊で新し
し、一つの万能材種だけではカバーできない新た
いCVD材種が開発されている。仕上げ旋削の性
な製造上の要求が生じている。新しく開発された
能の向上という点では重大な進歩を果たした開発
ノーズRがほとんどない極めてシャープなチップの
だと言える。
刃先は、
良好な切りくず処理を行い、精度を高め、
じん性に優れた材種
GC1125は新世代のPVDコーティング
チップ材種であり、従来の万能材種にとっ
て代わる。主な適用領域はステンレス鋼
の仕上げ旋削に限定されているが、鋼や
耐熱合金にも補完的に適用できる可能性
最低限の切り込み深さや送りで切削抵抗を最少
が高い。現在開発が進んでいるより特化
よりシャープなPVD材種の開発も特筆に値する。
にする。
した材種シリーズの中の、旋削用PVDコ
今まで一つの万能なPVDコーティング材種が様
❯❯ 詳細は最寄りの営業所へお問い合わせく
々な加工や被削材質用として使われてきた。
しか
ださい
ーティング材種である。更に鋭くポジティ
ブに設計した刃先においてもより高いじ
ん性をもたらす、
という点でこれまでの材
種より優れている。
違いを生むコーティング
総括
サンドビック・コロマントで green-light
production と呼ばれる、あらかじめ設
定された機械の停止時間まで中断なく作
業できる加工が新世代のコーティングチ
ップ材種の目標である。新たに開発され
たサンドビック・コロマントの P V Dと
新しいPVDコーティング材種の微粒超硬母材
従来のCVDコーティングは10ミクロン以上の
は、長い切削時間にも絶え得る、
シャープな刃
厚さが通例であった。
チップ技術の進歩により
先を保つのに必要な耐摩耗性とじん性を持ち
GC1515のコーティングは3から4ミクロンの
合わせている。GC1125はステンレス鋼のよう
薄さになった。
これにより刃先のホーニング量
な溶着材質に特に適しており、構成刃先の生成
を小さく維持することができ、低切り込みの加
を防止する。
工での良好な切削や切りくず処理を可能にす
るシャープな刃先を保つことができる。
CVDコーティングチップは仕上げ旋削加
工において、
それぞれの性能を補完する。
少しのチップ材種、
チップ形状、そして
正しい加工技術で望ましい切削効果を得
るための工具が開発され、結果として中
断なしの生産、予測可能で長い工具寿
命、均一な品質、
スクラップの削減やサイ
クルタイムの短縮が実現した。
METALWORKING WORLD
17
「レーシングと同じぐらい競争の
激しい世界です。」
ジェーンバーグ社工場長、
ラリー・ウォリニック氏
MARTIN ADLOFSSON
ペースセッター
米国。
アメリカ中西部の一流自動車部品製造業者であるジェーンバーグ社は、成
功までに厳しい状況を乗り越えてきた。
ここでは、同社がどのようにして困難を乗り
越え、最高生産高を記録するまでに至ったのか、
またなぜまだアメリカで製造を続
けるのかを検証する。
ラリー・ウォリニック工場長の原動力を理解せずには、
通じて身につき、
ビジネスにも浸透していきました。常に
ともいえる、
イリノイ州シカゴの南西約40kmに位置す
ジェーンバーグ社がなぜ際立っているのかはわからな
工程での生産高を上げ、工具コストを削減する方法を
る。10,200㎡の工場は最新の環境基準で2003年に建
い。2000年に入社する以前は、18年に渡り自分で設立
考えています。
その意味ではレーシングと同じぐらい競
設された。加工現場はとても清潔である。全ての工具カ
した自動車のアフターマーケット事業を経営していた。
争の激しい世界です。」
ートや部品箱はペンキで床に描かれた線の内側の、所
現在、
ジェーンバーグ工場の休日には、
トップ・フューエ
ジェーンバーグ社の工場はアメリカ中西部の心臓部
ル・ドラッグ・レースチームの副団長として8,000馬力の
を時速515km以上で越える。
ドラッグスターのエンジ
ンは一回の走行にしか耐えられないため、次のレースま
現場では約11ラインが稼働し、
自動車のトランスミ
MARTIN ADLOFSSON
マシンの手入れに余念がない。
このマシンは1/4マイル
コースを目が回るほど速い4.5秒で走り、
ゴールライン
定の位置に運び込まれる。全ての機械はそこで手術が
できるほど清潔に保たれている。
ッションやドライブライン用部品が毎日約20,000個製
造されている。1月当たり生産高で最高記録を出したば
かりで、GM、
フォード、NSKやティムケンといった顧客
での40分以内にエンジンをオーバーホールしなければ
に約50万個の部品を出荷している。
ならない。
ウォリニック氏は、
ドラッグレース場にいなけ
しかし、記録的な生産高にまで増産できるように
れば地元レーストラックでシフターカートを3桁のスピ
なるまでに、厳しい局面がなかった訳ではない。
ジェーン
ードにしているだろうし、
それでなければ自宅のガレー
バーグ社とサンドビック・コロマントは何度かタイアップ
ジで1968年製シボレー・カマロに手を加えているであ
し、
その結果今日の生産高を記録するに至った。
ろう。
レーシングが身に染みついているのである。
「レースで培った多くの思考と技術力を今ここで行
っていることに投入しました。」
と言う。
「素早い転換と組
織化・標準化された作業。
これらのことはレース産業を
ジェーンバーグ社
工場長、
ラリー・
ウォリニック氏
サンドビック・コロマントとの関係は、新しい部品製造
のための工具を検討していた1990年代後半にさかの
ぼる。
当社はこの作業のために即稼働できる新しい機械
METALWORKING WORLD
19
❯❯
ジェーンバーグ社の組立
前の現場で働く
ガブリエラ・ララ氏
ジェーンバーグ社概略
1937年に創業した当時、
ジェーンバーグ社は
北米で最初の独立系鍛造会社だった。1990年
代にジェネラル・モーターズ社より
「年間最優秀
サプライヤー賞」
を受賞したにもかかわらず、鉄
鋼価格の上昇や市場の引き締めを受け財政難
に陥った。2005年6月に会社更生法を申請し
て破産した。
数ヶ月後の2005年9月、
ジェーンバーグ社
はKPSキャピタル・パートナーズ社の投資を受
けたHHIフォージ社によって買収された。HHIフ
ォージ社は2006年にインパクトフォージグル
ープを買収し、鍛造と切削工程を垂直的統合し
た。HHI社は、
アメリカ中西部に7つの生産拠点
を持ち、計800名の従業員を抱える。イリノイ
州、
シカゴ近郊のボリンブルックにある工場の
❯❯ を注文したが、既存の工具では切削ができなかった。こ
産システムや在庫の削減に努めてきました。」
とトポレウ
には異なる工具やチップが必要だったのである。
スキ氏が説明する。
「最初から最後の工程までに要する
ジェーンバーグ社の製品加工マネージャーであるジ
ム・トポレウスキ氏は、
サンドビック・コロマントに接触
同工場では一日約20,000個の部品を生産す
20
METALWORKING WORLD
時間はほとんどの部品で約25分です。
「全てのお客さまとの間で素晴らしい品質記録を維
し、工具のアップグレードについて相談した。
「サンドビッ
持しています。」
と付け加える。
「当社の成長を遮る要因
ク・コロマントは
『当社にお任せ下さい』、
と言ってくれた
は考えられません。
この工場で否定的な意見を聞くこと
のです。」
とトポレウスキ氏は振り返る。
「その言葉通りで
はほとんどありません。信頼性のある製品を作り上げ、
した。
それ以来、両社の連携は続いています。」
問題を解決することに皆が集中しています。」
2005年夏、工具故障の発生頻度が異常に上がると
面積は10,200㎡で約160名の従業員が働く。
る。
「当社ではリーン生産方式を取り入れ、一個流し生
のラインに計画されていた高い生産高を達成するため
トポレウスキ氏は、設備の選定と工程管理の責任者で
いう事態が発生した。工具やチップが予想寿命よりもず
ある。1985年に入社する前は、
ジェネラル・モーターズ
っと早い時期に損傷し、
また予測がつかない形で損傷し
社に勤めていた。
そこでは、熟練した技術者として現場
た。結果、生産高や最終利益にも悪影響を与えた。
「我々
で働いた後、鍛造と切削について豊富な知識を得なが
にとって、工具損傷は大問題です。予定していないダウ
ら管理職のレベルまで登り詰めた。金属加工に関する
ンタイムが生じることになります。
スクラップは一つや二
深い知識から現場ではいつも問題を解決してくれるとの
つ発生しますし、修理と再稼働の工程で作業員がミスを
評判を得、
「先生」
として知られるようになった。
する可能性が生じます。」
新しい刃先
チップデザインやコーティング技術における飛躍的進歩により、ジェーンバーグ社は損傷
した工具の取替時間を削減し、より多くの時間を切削に充てられるようになった。
ジェーンバーグ社が抱えていた工具損傷の問題は、
さま
は、工 場 全 体のG C 4 0 1 5を新 材 種
摩耗を簡単に観察し研究することが
ざまなテスト、測定、作業員の研修や最終的にはチップ材
GC4215にアップグレードした。
ジェー
できます。
これにより我々やオペレータ
種やチップブレーカ設計を最新のものにすることで解決
ンバーグ社の専門性と緻密な工具損
ーは、与えられた加工や材質に対して
された。
傷の記録により、新しい材種が適当な
適正な送りや速度を決めることができ
ものだったかどうかを判断するのは簡
ます。」
とアンダーソンは言う。
金属切削により生成される金属の切りくずが切削工
具から離れ、規則的な間隔で小片に砕かれていくかをチ
単だった。
「 全てが安定していました。」
ップブレーカが制御する。簡単な取扱いとツールホルダ
サンドビック・コロマントの営業担当
の安全のためにも切りくずが短いことが理想である。
2005年、
ジェーンバーグ社ではこの切りくず処理に問題
新しいコーティングは強度も高い。
何百もの極めて薄いコーティングが
者、アルレン・アンダーソン氏は言う。
交互の方向で重ねられ、極めて細かい
「様々な衝撃に耐え得る強固な刃先を
が発生した。
ホルダに巻き付くほど切りくずが長くなった
持つ新材種と、新しい機械設備や工具
ためにホルダが損傷しホルダが交換されるまで生産を
の助けを借りることができました。」
これ
止めなければならなかった。
サンドビック・コロマントが
により故障率は激減した。
メッシュができあがる。切削中、刃先は
サンドビック・コロマントの営業担
当者、
アーレン・アンダーソン
華氏2000(摂氏1100 )
にもなるの
で新しいコーティングが熱亀裂を最
小限に抑えることは大変重要である。
提供したSMチップブレーカにより、再び切りくず制御が
超硬母材の微調整に加えてGC4215材種にはサンド
ジェーンバーグ社の管理は厳重なため、工場の性能
可能になった。SMデザインの刃先カーブや構造は他の
ビック・コロマントの特許取得済みのコーティング技術
を数秒でも改善するためには更に劇的な努力が必要で
ものとは若干違い、問題が起きる前に切りくずが完全に
が施されている。
チップには黒のアルミナコーティングが
ある。
ツールホルダから離れ問題を防ぐようになっている。
施されているが、
このコーティング後に、ごくわずかに
「ここでの工程はほぼ完璧なので、問題を指摘するの
2006年には工具寿命を全うしない工具破損の問題
TiNコーティングを被膜しており
(TiNは金色を呈してい
は容易なことではありません。」
とアンダーソンは言う。
が発生し、再び問題解決のためサンドビック・コロマント
る)
これがチップの摩耗が現れるチップ側面に残されてい
のエンジニアがジェーンバーグ社に戻ってきた。
この時に
る。
「TiNがコーティングされるおかげで、刃先でのチップ
「レベルは非常に高いところにあり、
どこに問題があるか
を探っているところです。」
「次の日には、新しいチップブレーカを工場全体で使用し
ていました。それは、
今でも使われています。」
サンドビック・コロマントの営業担当者、
アーレン・アンダーソン
サンドビック・コロマントが派遣したエンジニアから
たので、一定のパターンはありませんでした。
その後工具
なるチームは、問題を解決し、
ラインのスピードを元に
について検証します。多くのツールホルダが老朽化して
戻すためのPIP(生産性向上プログラム)
を立ち上げた。
いたので、
その取替をお薦めしました。
と同時に作業員
チームには、
メキシコ出身で英語とスペイン語が流暢な
や工具担当者に研修を実施しました。」
ギレルモ・ロドリゲスも加わり、
スペイン語を母国語と
超硬チップのブレーカ形状をアップグレードすること
する大多数のオペレーターに新しい工具についての研
によって工具の損傷率を引き下げることができた。
この
修を行った。
成功を受け、
ジェーンバーグ社は工場内全てのチップの
ジェーンバーグ社の現場で
ブレーカ形状を変更した。
ジェーンバーグ社と密接に関わったサンドビック・コ
ロマントの営業担当者、
アルレン・アンダーソンによると、
「我々がまず初めにすることは、何らかのパターンがな
いかを探すことです。
この場合は問題が断続的に発生し
は約11ラインが操業し、
自
動車のトランスミッション
「次の日には、新しいチップブレーカを工場全体で
やドライブライン用部品が
使用していました。
それは、今でも使われています。」
アン
毎日約20,000個製造さ
ダーソンは言う。
この交換により工具損傷率は5%から
1.7%に引き下げられた。同時にスペイン語を話すエン
❯❯
れている
METALWORKING WORLD
21
MARTIN ADLOFSSON
❯❯ ジニアが作業員や工具担当者のための新しい研修フォ
当社のやり方と何が起きているかを分析してくれまし
ーマットを開発した。工具の取扱方法や管理方法を改
た。生産性や単位当たりコストといった私の意思決定に
良し、工具寿命を更に改善するためにできるだけ視覚情
大きく貢献する情報を提供してくれました。生産性の改
報が使われた。
善を図るために、皆の力が結集したのです。」
2006年秋、超硬チップの破損により生産性が低下する
クレーバー氏は工具損傷を記録するためデーターベー
という次なる課題が発生した。
サンドビック・コロマント
ス化したが、
その結果工具損傷の問題が重大であるこ
は再度チームを派遣し助力した。
ティム・クレーバー氏
とがわかった。
「初日でどのページも埋まってしまうほど
は工場内の工作機械やロボットのプログラミングを担
でした。」
と振り返る。
「こんなにたくさんの工具が工具
当する。2000年にジェーンバーグ社へ入社する前は整
寿命を全うできないものなのだろうか?何が問題なのだ
備士として働いていた。機械を最適化するプログラミン
ろうか?それ以来、
サンドビック・コロマントとの協力の
グを作る才能に恵まれていることがわかり、各工程の短
下、
このような工具を皆無にこそならないまでも、大幅に
縮化に成功し会社全体に大きな節約をもたらした。
減らすことができました。」運の良いことにサンドビック・
「我々がツーリングでさまざまな問題に直面してい
コロマントが耐摩耗性に優れ、
より強度の高い超硬チッ
た数年前から、
サンドビック・コロマントの存在は大きな
プの新材種GC4215を発表したばかりだった。
これは
ものでした。」
と言う。
「生産性向上チームを呼び寄せ、
ジェーンバーグ社で問題となっていたGC4015を大幅
「常に工程での生産高を上
げ、工具コストを削減する
方法を考えています。」
ジェーンバーグ社工場長、
ジェーンバーグ工場の
最終検査官、
イセニア・ビララバ氏
22
METALWORKING WORLD
MARTIN ADLOFSSON
ラリー・ウォリニック氏
MARTIN ADLOFSSON
自動車産業の低迷の恐れ
がありながらもジェーンバ
ーグ社は最近トヨタ社と
レクサス社との契約を締
結したばかりである
ジェーンバーグ社
課題の概略
ニーズ:
当初ジェーンバーグ社には二つの大きな問題があっ
た。第一は、早期に起こる工具損傷の原因を究明する
こと。第二は、経営者と主にスペイン語を母国語とする
オペレーターとの間の言葉の壁を越えること。
ソリューション:
ジェーンバーグ社はサンドビック・コロマントと共に故
障の根本的原因を究明。
チップを新材種GC4215に
アップグレードし、新たな研修カリキュラムを開発する
ためにバイリンガルのエンジニアを採用。
結果:
工具損傷が減少した結果、送り速度が改善、生産高は
向 上 。同 時 にチップ当たり生 産 部 品 数 が 8 0 から
160に倍増。
第2シフトスーパーバイザー、
ボブ・ケイシー氏(右)、
第2シフトスーパーバイザー主任、
レイ・デラガルザ氏
に改善したものである。工場全体でこの新しいチップが
迷の恐れがある。
ジェネラル・モーターズ社が工場を閉
採用され工具形状や角度も見直されると、工具寿命の
鎖し、
日本の自動車メーカーでさえ成長の鈍化を危惧し
少によりアメリカの高い労働コストが問題視されなくな
改善がすぐに見られた。
「毎週、損傷した工具の数を記録していたほどで、
そ
三つ目は自動化の推進とリーンイニシアティブの減
ている。部品サプライヤーは、低賃金労働力を求めてア
ってきたことだ。
「今日の製造業界では、
ここまで引き上
メリカを離れている。
しかし、製造拠点をアメリカに残す
げられた自動化と技術力が重視されます。」
とウォリニッ
ことのメリットもいくつかある。
ク氏は説明する。
「アメリカでできることであれば、
自動
れぞれの工具について一枚の集計表が埋まってしまい
化を進めることによって労働コストはコントロールでき
ました。」
クレーバー氏は説明する。
「今では一ヶ月に一
一つ目はすぐには理解しがたい。
ジェーンバーグ社にと
度データを取り出すだけで、以前に比べてそのデータ
ってみればドル安は、実は朗報である。
アメリカ国内で
るのです。」
契約を見れば明らかである。
ジェーンバーグ社は最
の数は激減しています。
サンドビック・コロマントがここ
の価格は事実上下落し、
アメリカ企業が海外から調達
近アメリカのトヨタとレクサスとの契約を締結したばか
で私たちと、文字通り額を集めて、問題の解決にあたっ
することは割高になるからだ。
りである。
てくださったおかげです。
これはとても良いことでした。
二つ目は、輸送上のメリットである。
「鍛造物は一般的
その製品で何ができるかについて豊富な知識をお持ち
に非常に重い物です。」
ウォリニック氏は言う。
「世界中ど
でした。」
こでも製造できる電子部品のような物ではありません。
ーにあります。」
ウォリニック氏は言う。
「どの自動車のど
その重さとサイズから大量には輸送できません。通常、最
の部品を製造しているかに愛着を持つことによってそれ
けで損傷していた工具が、160個加工できるようになり
も大きなもので大体10∼11ポンド
(4.5∼5キロ)
です。
を更に推進しようとしています。毎日の業務にプライドを
工具寿命を全うできるようになった。
輸送コストが安くなるので海外の競合相手に対して優位
持ち、家族や友達にも話せるようになってほしいのです。
になり、
自動車メーカーにとって魅力的となるのです。」
単なる工場ではないのですから。」
アップグレードをして以来、部品を80個加工しただ
工具損傷と言葉の問題以前に、
自動車産業自体の低
「努力が実を結んだ理由の一つは、人材であり、究
極を言えばこの工場で作り上げようとしているカルチャ
エリック・ミカ
METALWORKING WORLD
23
テクノロジー
クリスター・リヒト
それぞれの
長所
課題:コンポーネントの仕様を保ちながら生産性を最大限に引き上げる方法。
解決策:新世代のワイパーチップを開発。
旋削加工の荒から仕上げ加工においてワイパーチ
ワイパーチップの登場によって表面粗さを保ちなが
ップが広く使用されるようになっている。一見矛盾
らも切削時間は半減した。
しているが、
シングルポイントツールでの送りと表
面粗さの関係はワイパーチップによって変わった。
新世代のワイパーチップの登場によりこの分野
の成長は更に進んでいる。
ワイパーチップは、高生
産性と最良の表面粗さを組み合わせるものである。
ワイパーチップとは?
旋削加工用ワイパー技術の基となるのは、
入念に開発された刃先を構成するチップの
R部である。従来のチップでは、刃先のノー
ズには一つのRしかなかったがワイパーチ
ップには、大きなメインRを複数の小さな
Rが補完している。
ワイパーチップの長い
刃先で表面の形を崩したり、高い切削抵抗
を起こしてはならない。
ワイパーチップのセ
従来のノーズRチップは表面粗さに影響を及ぼ
すため、
ワイパーチップの役割は重大である。
シン
グルポイントツールを使用した旋削加工では、表面
粗さは送り速度とノーズRに左右される。
これは表
面粗さ
(Rmax)
に直接関係するためである。一定
のノーズRで送りが上がれば上がるほど表面粗さ
が大きくなる。
ワイパーチップは、特別に開発された刃先の効果
ットアップは簡単でなければならず、通常
によりこの原理を変えた。
この刃先は、従来にない
のチップとしても使われなければならな
滑らかな表面が得られる。改善された切りくず処理
い。
METALWORKING WORLD
開発を行う
サンドビック・コロマ
ントの開発エンジニア、
ロニー・ロフ
能力も重要な特徴である。
ワイパー形状は、低送り
況でなければワイパー形状の悪影響を受けるとは
での良好な切りくず処理と、生産性が高い高送り
言えないのです。」
での滑らかな切りくずの分断とを兼ね備えている。
24
ワイパーチップの
「ワイパーチップが一般的になるにつれて、
ワイ
「刃先とワークとの接触長さが長いため、初期
パーチップが振動の原因であるという概念が変わ
のワイパーチップは振動しやすいという間違った評
ってきています。」
と続ける。
「しかし、今日市場に導
価を得ていました。」
とワイパーチップの開発を行う
入されているワイパーチップは多様化しており、刃
サンドビック・コロマントの開発エンジニア、
ロニー
先が長く振動が大きいものもあります。
このような
・ロフは説明する。
「実は初期のワイパーチップでも
チップは高送りでは表面粗さが良くなりますが、安
切削抵抗は5%高いだけであり、不安定な加工状
定した加工状況の場合に限られています。」
ワイパーチップの
歴史
サンドビック・コロマントは1997年に旋削
加工用のワイパーチップを初めて開発した。
これはバランスのとれたRと最適なワイパー
チップ刃先の長さとの組み合わせが基とな
った。滑らかな切削と高送り加工に対応す
る強度を得るため、長い接触長には最適の
チップブレーカ形状とのバランスがなけれ
ばならなかった。WMワイパーの後に、
より
特化された加工のための軽切削用チップ、
WFワイパーが開発された。
利点
・表面粗さの向上
・高生産性
・広い加工領域
・良好な切りくず処理
・万能な第一推奨ワイパーチップ
「新たなワイパーチップは主に、少なくとも今と同
30%短縮させる余地があります。送りを最高にした
じ送りで表面粗さを向上させるために開発されま
条件下でのWMXチップの表面仕上げが従来品よ
した。」
とロフは続ける。
その一方で振動を初期の
りずっと良いことは実証済みです。送り速度を下げ
WMやWFチップ程度に抑え、切りくず処理やチッ
てもWMXのRa値は0.5ミクロン以下です。」
プ寿命も維持しなければならなかった。
「欠点が明らかになっていたので、既存のワイ
パーチップを改良する必要がありました。」
と言う。
新天地を切り開いた万能WMXチップブレーカの
登場により、
ワイパーチップは一般旋削加工の第一
推奨といえる。生産性や表面仕上げが引き上げられ
るため、
このようなチップは多くの工程において優
位性を持つ
❯❯ 詳細は最寄りの営業所へお問い合わせく
ださい
「表面仕上げ能力という点でWMとWFチップは、
刃先が長く大きいRを持つワイパーチップとの間で
競争にさらされていました。
ワイパーチップの刃先
のメインRを広げることは、加工現場で求められて
いる品質要求に応えるものでした。
しかし、刃先の
接触長さが長くなるデメリットが出ない条件で高送
り加工ができるよう、
ワイパーチップの刃先の実際
の長さを調整しなければなりませんでした。」
正しいワイパー効果と他の刃先との調和を得る
総括
新たに開発されたWMXワイパーチップ
は一般旋削加工の荒から仕上げ加工に
おける万能な第一推奨ソリューションで
ある。
ワイパー旋削加工を生産性と効果
という点で新たなレベルに引き上げた。
WMとWFワイパーチップはそれぞれ特徴
ために、新たなワイパー技術の開発にはメインRと
を有し、最適化ツールとしてWMXを補完
補完Rの数とサイズを組み合わせる必要があった。
する機能を持つ。WMは強い刃先を持ち
「新しいチップはWMXと呼ばれ、WMとWFの
領域をほぼカバーする万能なワイパーです。」
とロ
断続加工に適しており、WFは仕上げ加
工に適したシャープな刃先を持つ。
フは言う。
「高送り能力があるので、切削時間を約
METALWORKING WORLD
25
グローバルな
倉庫
メーカーは、現場での切削工具の在庫を圧縮し、日常管理を他社に任せることにより、
出費を抑え、生産性を向上させることが出来る。これはロジスティックそのものである。
ての地域に工具を翌日配送する。
ニ
本支出、倉庫管理とロジスティックの観点からみて、膨
ュージーランドで午後5時に発注
大でかつ不要なコストである。
された工具の60%は、
シンガポー
必要なときに工具を届けるサンドビック・コロマント
の グローバル翌日配送システム を利用することで、
メ
ーカーは工具にかかる経費を年に10∼30%も削減す
ることが出来る。
ルから12時間の航空便で翌日には
目的地に届くことになっている。
KJELL ERIKSSON
メーカーにとって、
スペアパーツを手元に置くことは、資
シンガポール、
オランダ、
および
アメリカの3箇所にある巨大倉庫、
「メーカーは、過剰在庫や、多すぎる種類の商品を
ディストリビューションセンターで
抱えていることがよくあります。」受注から配達までを担
は、
サンドビック・コロマントの工具
当するサンドビック・コロマントのグローバルプロセス責
一式を保管している。
任者であるヤン・ソーリエンは述べる。
中小のメーカーでは、工具室の専門家や在庫管理部
門がないことが多い。
そのために工具の所在を把握しそ
こなっていることもある。
また、生産時間を20∼30%も
毎日、およそ3万5000の注文明細が世界中に翌日配送
するため3つのセンターで集約、処理されている。
超硬チップの注文は頻繁で多くの場合すぐに必要と
られます。結果として、
かなりの資本を停滞させることに
なります。在庫が多すぎて保管場所が必要になってしま
うのです。」場合によっては、工具の年間予算の50%が
節約できるような新しい工具が発売されても、二ヶ月分
される。
「当社の配送システムを有効に使っていないメ
現場に費やされていることもある。
これはサンドビック・
のスペアを使い切るまでそれを使えないこともある。
そ
ーカーがたくさんあります。」
コロマントにとって、
どのような意味をもつのだろうか?
して大企業は大企業で、
ときに効率を妨げる複雑な組
織がある。──と、
ソーリエンは語る。
このグローバル配送システムは、世界のほとんど全
26
METALWORKING WORLD
「メーカーによって、年間約1万個のチップを消費し
「当社の事業は、
メーカーが当社の工具とサービ
ます。」
ソーリエンは言う。
「毎年まとめて買うことも、週
スによってより効率的な生産が出来るかどうかにかか
に一回仕入れることもできます。
月ごとの購入が多くみ
っています。」
と、
ソーリエンは言う。
「メーカーが生産性
24 h
ORDER:
KJELL ERIKSSON
「私たちは、世界規模の 先着順 システムを
運用しています。」
グローバルプロセスの責任者 ヤン・ソーリエン
の低い選択をすることで我々が得をすることは何もな
いのです。」
サンドビック・コロマントは毎年2,500もの新製品
を発売し、
そのどれもが生産性の向上と迅速化を目標
として設計されている。100万米ドルの機械で生産性を
20%向上させると、部品あたりコストが大きく左右する。
「もし貴社の現場で新しい注文を受けるのであれ
ば、一日で完璧な工具が一式揃うので、計画対象期間
を一日で検討することができます。」
10∼30%のコスト削減を
実現するために:
• 管理コストの低減
• 劣化の回避
• スクラップをなくす
• 返品コストをなくす
• 新型工具や新情報の入手
ソーリエンによれば、
当初、
シンガポールからこれら
トリビューションセンターの在庫が表示されている。
メ
ーカーは世界中の在庫状況を確認し、
リアルタイムの
情報を得ることが出来る。
「私たちは、世界規模の 先着
順 のシステムを運用しています。」
ソーリエンは述べる。
「もしアメリカにあと10個の製品しかなくて、
シンガポ
ールとヨーロッパでは品切れだとしても、最初に発注し
たニュージーランドの会社が優先されるのです。
このサ
ービスは、高度に自動化されたコンピュータ・インターフ
ェイスによって運用されています。
パートナーの配送業
の国々への翌日配送というコンセプトは、大手配送業
者と同じトラッキング(追跡)システムを採用しています。
過去10年間にわたるリサーチでは、
ほとんどの顧客が
者にも理解されなかったという。業者は皆、
そのサービ
組織内で唯一、注文表を見て商品に触れる人手は、注
配送サービスを最も大きな課題としてあげている。
スを提供できると答えたが、
「しかし彼らの言う 翌日 と
文表を見て箱詰めする倉庫スタッフだけ──だからこ
は、
その国に届いた翌日、
という意味だったのです。」
と、
そ、彼の仕事はきわめて重要です。」
ソーリエンは、
ディストリビューションセンターとメ
ーカーとの間の距離を、可能な限り短くしなければなら
ない。
「実際、
当センターのサービスをメーカーにご利
ソーリエンは言う。
サンドビック・コロマントへの注文は簡単だ。
ネット
3つのセンターを合わせても、
ミスは10,000回
に1.5回を切る。
この数字は、
日本で理想とされる
用頂けば頂くほど、
お客さまの事業を改善することがで
経由で自動的にシステムに接続出来るし、電話でもい
10,000回に1回まであと一歩である。
「これは非常によ
きるのです。」
い。今日では、
ディストリビューションセンターへ届く注
いことです。」
ソーリエンは続ける。
「今年こそは、
この数
文の約半数は、
自動で電子的に処理されたものである。
字が1に近づくことになるかも知れません。」
距離の壁と空の便の不足のため、
ニュージーランド
とオーストラリアへの翌日配送は困難を極める。
サンドビック・コロマントのウェブサイトでは、
ディス
ジュリア・マーシャル
METALWORKING WORLD
27
ハミルトン・ジェット社
全速前進
家族経営のハミルトン・ジェット社は、ニュージーランド、クライストチャーチ市
の工場から世界中にウォータジェット推進システムを供給している。翌日配送シ
ステムのおかげで、工具在庫は常に万全の体制にある。
ータジェットは、同社のクライストチャーチ工場から世
界各地に配送される。警察艇、水先船、釣り船、旅客フェ
リー、
レジャーボート、果ては、
メキシコ湾に浮かぶ最新
は、各工具がいつどこでどのように使われたかを常に把
ハミルトン・ジェット社
ジェットボートに不可欠なハミルトン・ジェット社のウォ
握している。
オートタスにはスマートドローワーには収ま
らない大型の製品や、
よりフレキシブルな注文を必要と
するものが収納されている。
型双胴客船、SEACOR Cheetah(150人乗り、36∼
「以前機械オペレーターは機械の隣にチップの山を
42ノット、載貨重量152トン)までが、
そのジェットユニ
置いていたものです。」
とパールソンは述懐する。現在で
ットを動力にしている。
は、機械オペレーターから昼前と夕方に注文が集約され
ニュージーランド出身の農業経営者であり技術者の
ビル・ハミルトン氏は、息子のジョン・ハミルトン氏や技
術者のジョージ・デイヴィソン氏とともに初めてジェット
スマートドローワーから補充され、
その分は翌日用に自
ハミルトン・ジェット社は倉庫いらず。
この会社は、
倉庫な
どなくとも翌日配送で必要な工具は何でも揃う
ボートの概念を生み出し、浅水域を遡上することのでき
るボートを1954年に完成させた。
1960年代グランドキャニオンを貫くコロラド川で、
ジェットボートによる探検に成功したことで会社はその
知名度を上げた。1968年には、
冒険家のエドモンド・ヒ
動注文されるようになった。
ハミルトン・ジェット社の年間在庫回転は1から26と
なり、社内の在庫は事実上ゼロになった。
いくつかの重
現場に在庫がどのくらいあると思うかを尋ねてみた。
「実
要な工具は在庫として持っており、霧の多いニュージー
際の量は彼らの見積もりの7倍、額にして50万NZドル
(
ランドに備えてサンドビック・コロマントのオークランド
約250,000ユーロ)近いものでした。」
支店が余剰在庫を保管している。
「私たちの仕事は明日
現在、
この家族経営会社ではその日に使われたもの
必要なものを届け、
ハミルトン・ジェット社に効率よく新
ラリー氏がジョン・ハミルトン氏と共にネパールのアル
を自動的に発注するスマートドローワーという自動化シ
しい工具を使っていただくことです。」
と二人いるアカウ
ン川やスンコシ川のジェットボート探検を先導し、
また
ステムを備えたベンダー・マネージド・インベントリーを
ントマネージャーの内の一人、
ブライン・ホートンが言
1977年にはガンジス川も制覇した。
稼動している。
ドリルも含め、約600種類のチップなどの
三年前、
ハミルントン・ジェット社からサンドビック・
コロマントに、工具検査の依頼があったと、
サンドビック
部品が入った自動販売機のようなものである。ICカード
を使って該当の番号を打てばチップが出てくる。
・コロマント・ニュージーランドのマネージャーのブレン
インターネットを使った発注はシンガポールに転送
ト・パールソンは言う。
まずハミルントン・ジェット社に、
され、注文どおりの品が発送準備に回る。
このシステム
28
METALWORKING WORLD
う。
もう一人のアカウントマネージャー、
ハリー・エムズは
「二週間後に4,000NZドルの工具が必要な場合、
それ
らはハミルトン・ジェット社のもとには今日ではなく確実
に二週間後に届きます。」
と言う。
ジュリア・マーシャル
テクノロジー
リントン・マクレイン
正面フライス
加工賢明な手法
課題:加工精度向上のための、高精度の小型工具やワイパー技術を駆使した信頼性の高い
正面フライス加工の開発。
解決策:正面フライス加工に適用できる新たなチップブレーカ、材種、ワイパーチップや新手法。
正面フライス加工における大きな需要は、加工精度
加工には、新しいコロミル490を標準正面フライス
向上のため、工作機械の小型化、切り込み深さの縮
カッターとして使用できる。新たなチップブレーカ
小、生産ロットの拡大に対応することである。
や材種を持つ4コーナチップによりワンパスで完成
このような変化は、
スピンドル回転速度の高速
化、新しい高精度ブレーカ形状、高速で高送り加工
高品質の表面仕上げを得るため、正面
に対応する新材種や新しいワイパー技術に伴って生
フライスカッターコロミル590(センチュリ
じており、
その結果半完成品を製造する処理能力が
ー)は鋳鉄や鋼フライス加工用の新世代の
増大する。
コーティングチップの新しいワイパーチップ
従来、正面フライス加工はその精度に問題を抱え
が使用できる。
このカッターは通常の切削条件下
ていたが、
マシニングセンタによる切削パス方法の
(AP やFZ)で仕上げ面を得ることが出来る。鋳鉄や
改善や小型カッターの導入によって克服された。
ブ
鋼の表面仕上げを改善することが可能となった。
ケ
レーカ形状、
ボディ精度やワイパー技術の向上によ
ーススタディによると一つのワイパーを搭載したコロ
り正面フライスカッターはより精密な完成品を製造
ミル590(センチュリー)では加工面にミスマッチは
できるようになった。」
見られず、Ra値は0.85μmだった。
小型機械は、従来の大型のものに比べて動力は
コロミル490は、標準正面フライス
品を製造できる。
新材種のチップを使用する加工現場では正面フ
加工用として使用できる
総括
金型や部品メーカーといった中小企業で
の正面フライス加工に、新たなチップブレ
ーカや材種、
そして新手法を導入すること
により生産性が上がり、新規設備投資の
コスト節約が可能になる。小型で高精度
の工具やスピンドル、
そして新しい標準正
面フライス加工用工具を使用することに
小さく、小径で精密なカッターを使用する。
これは、
ライス加工の生産性を30%以上引き上げることが
よって、更に多くの利益がもたらされる。
一般加工分野や、金型、航空宇宙や自動車用部品を
できる。新規設備投資のコスト節約としては、
まず十
このような利便性の高い工具を使用する
製造する小、中規模の加工現場にとって経済的な選
分である。
択となる。
❯❯ 詳細は最寄りの営業所へお問い合わせく
ニアネットシェープ鍛造や鋳造のような低切込み
ことにより工具の集約化を促進し、生産
管理を簡略化することができる。
ださい
METALWORKING WORLD
29
ニュース
展示会 2008年
・IMTS 08
アメリカ、
シカゴ
9月8−13日
・AMB
ドイツ、
スタットガルト
9月9−13日
・Micronora
フランス、
ベサンソン
9月23−26日
・ITF Plovdiv
ルーマニア、
ブカレスト
10月7−11日
・CIMES 08
中国、北京
10月9−13日
・JIMTOF 08
日本、東京
10月30日−11月4日
・Prodex 08
ブルガリア、
プロブディフ
11月18−22日
9月29日−10月4日
バーゼル、
スイス
・Vienna-Tec
生産性チームリーダー、
ヘマ・クリスナマーシーと生産性向上エンジニア、
チャイタ
・TIB-Bucharest
・Perform Racing
オーストリア、
ウィーン
アメリカ、
オーランド
10月7−10日
12月11−13日
ニア・パチル
(イエローコートを着用する二人)
とSCL Brakes Division社のバル
ブDDUラインセクション課長、C・ラジャ氏、PED(project engineering
department)メンバー、
アルンクマー氏、
バルブチームリーダー、
ハリクリシュナ
ン氏。SCL Brakes Division社は、PIPを導入したインド企業の一社である
生産力を増すインド
万能なトーチ
R&D。今年の夏に中国、北京で開催され
る夏のオリンピックは史上最長の聖火リ
レーで幕開けした。
リレーはこれまでで最
「生産性向上のニーズはあらゆる会
多の地域、気象条件、地形をカバーするた
中、
メーカー各社の課題は常に生産能
社の関心事でありますが、自動車産業
め、
トーチの研究開発と製造を請け負っ
力の拡大であり、
それと共に直面してい
では特に強いように思います。」
とクリス
た会社の一つである中国航天科工業団公
るのがコストや給与の上昇である。
この
ナマーシーは言う。
司は厳しい条件に耐え得る燃焼技術を開
経済。インド経済が爆発的に成長する
ことにより生産性と原価意識が最優先
事項となっている。
2007年初めからサンドビック・コロ
マントは50件以上のPIP(生産性向上
生産体制全体を分析することによっ
発しなければならなかった。
てサンドビック・コロマントのスタッフは
結果として燃焼室を主燃焼室と予室と
最低限のコストで生産性を最大にする
に分割するバッフルを使用した革新的な
完璧なソリューションを見出す。
双燃焼デザインが誕生した。燃料の一部
プログラム)
を実施してきた。
これは、
サ
「分析から実施まで数週間しかかか
分は主燃焼室に流れ込み、燃えさかる炎
ンドビック・コロマントの提言により各
りません。
そしてすぐに結果の検討を行
となる。残りの燃料は予室に流れ、小さい
社が生産体制を見直し、
コスト節約や
い、必要に応じて改善策を講じます。」
と
が安定した炎を燃やす。主燃焼室の炎が
改善の可能性を探ることができるサー
クリスナマーシーは言う。
ビスである。
サンドビック・コロマント・インドのセ
消えたとしても火が燃え続け、
トーチが常
に点灯するように予室は設計された。
「単に個別の問題やボトルネックを
ールスとマーケティング部部長であるロ
このユニークなオリンピックトーチのデ
解決するのではなく、生産体制そのもの
ビンドラナス・ソムは、PIPはメーカーが
ザインのためにサンドビック・コロマント
の改善方法を研究するために、2006年
改善策を検討するきっかけになると指
は、金属切削工具とそのソリューションに
に同 僚 二 人をアメリカに派 遣しまし
摘する。
オリンピックトーチとそのユニークなデザイ
ンを可能にした工具:コロミル390(中央)
と
さまざまなサイズのコロミルプルーラ
対する多くの要求に応えなければならな
た。」
とサンドビック・コロマント・インド
「プログラムにより従来の工程を再
かった。
トーチバーナーの構造、材質や技
硬エンドミルコロミルプルーラには機械本
の生産性チームリーダー、ヘマ・クリス
検討し、大幅な利益拡大の可能性にお
術要件について総合的な知識を得た上
体や刃先の強度を高め、穴加工の利点を
ナマーシーは言う。
気づきいただけます。」
と言う。
「多くのお
で、
サンドビック・コロマントは小径超硬エ
開発することのできる新しいコーティング
ワーキングモデルはメーカー各社の
客さまに、製造工程を継続的に改善し
ンドミルと強い衝撃にも耐え得る防振機
技術が使用されています。
そして防振機能
好評を得た。今日、
サンドビック・コロマ
ていく方策の一つとして取り入れていた
能付きフライスカッターを提供した。
付きフライスカッター、
コロミル390は加
ント・インドの6人のPIPリーダーはイン
だいています。」
ド全域を担当している。
30
METALWORKING WORLD
サンドビック・コロマント・中国の生産
性向上エンジニア、
熊毅飛は言う。
「小径超
工効率を改善し製造コストを削減するの
に重要な役割を果たしました。
」
寿命が伸びるメルセデスベンツ社の使用済みチップ
環境。
サンドビック・コロマント・ブラジル
サオ・ベルナンドにあるメルセデスベン
が自動車メーカーの使用済み超硬チップ
ツ社のエンジンと車軸を製造する工場
するサービスでは、
それらをリサイクルし、
を取り扱うサービスをメルセデスベンツ
は、毎年約1.8トンの使用済み超硬チップ
原料を再使用することで再生不能資源を
社に提案したことにより、同社のリサイク
を排出する。
サンドビック・コロマントのプ
管理している。
ルプログラムは大幅に改善した。
ログラムに参加する前、
メルセデスベンツ
大サンパウロ圏、
サン・ベルナンド・ド・
カンポにあるメルセデスベンツ社のトラッ
クとバス製造工場は、サンドビック・コロ
社は使用済み超硬チップを一般のリサイ
クル会社に売却していた。
硬チップや超硬ソリッド工具をリサイクル
サンドビック・コロマント・ブラジルは、
2006年に使用済みチップを売却する会
社を探すという積極的な方策をとった。
メ
「サンドビック・コロマントのプログラ
ルセデスベンツ社はその方策がうまく働
マントの提案を迅速に且つ積極的に受け
ムが使用済み超硬チップを適切にリサイ
いた良い例である。
ブラジルで収集した超
入れた。
「それは、廃棄物削減と原材料や
クルし、
ブラジル法に定められた法的要件
硬チップは、
サンドビック・コロマントがイ
天然資源の消費縮小を目指す当社のクリ
に合う手法であったことに動かされまし
ンドに建設した超硬合金のリサイクル工
ーン製造プログラムにぴったり合うもので
た。」
とコスタ氏は言う。
場 で リ サ イク ル さ れ る 。同 工 場 は
した。」
ブラジル、
メルセデスベンツ社の環
サンドビック・コロマント リサイクル・コ
ISO9001や環境マネジメントシステムの
境マネジメントシステム・スーパーバイザ
ンセプトは1996年に世界的に展開され、
国 際 基 準 の I S O 1 4 0 0 1 、O H -
ー、
アレサンドラ・コスタ氏が言う。
市場では好評を博している。使用済み超
SAS18001認証を取得している。
チタンの
エキスパート到来
新製品。今秋、
サンドビック・コロマントは新たなフラ
イス工具を発表する予定である。
それは、
チタン加工
用に最適化され、航空宇宙産業の主に2Dコンタリン
グ加工用に開発されたコロミル690である。
このロ
ングエッジカッターの持つ高い安全性と切りくず排
出性の組合せによりチタン加工の生産コストが抑え
られる。
コロミル690については、6ページをご参照下さい。
グリーンライト
を保つ方法
新製品。青信号が点灯していれば機械が
作動中であり収益をあげていることがわ
かる。
サンドビック・コロマントが10月に
発売予定の2種類の新材種は、まさに青ランプを点灯させ続けるものだ。
GC1125とGC1515はシャープな刃先と薄いコーティングをもたらす新技術
ソリューションにより開発されたものであり、鋼やステンレス鋼の仕上げ旋削
加工に最適である。これらの材種には新しいコーティングが施してある。
GC1125の刃先は鋭く、GC1515はPVDの刃先じん性とCVDの耐摩耗性を
兼ね備えている。
これらに匹敵する材種は現市場では他に見あたらない。
GC1515とGC1125については、16ページをご参照下さい。
ブラジル、
メルセデスベンツ社の環境マネ
ジメントシステム・スーパーバイザー、
アレサンドラ・コスタ氏
メイト社の手本は生産性
経済。
アメリカ、
ミネソタ州アノカ市にある
存のお客さまとの連 携を強めることで
MATE PRECISION TOOLING社(メイ
す。」
とメイト社のマーケティング部部長
ト社)はサンドビック・コロマントのPIP
であるジョー・シュナイダー氏は言う。
(生産性向上プログラム)
をモデルとした
大規模なサンドビック・コロマントの
独自の生産性向上プログラムを開始し
PIPによってメイト社は新しい技術を採用
た。
し、製造手法を変更することができた。そ
「新しい技術的知識をお客さまにご
の結果、年間2万米ドルの節約につながっ
提案する時には、生産フローをできるだけ
た。
メイト社は、今ではそのプログラムを
中断させないように素早く行う必要があ
自社の大型顧客との取引改善モデルとし
ります。」
とメイト社の製造エンジニアリン
て使用している。
「お客さまが実験台とな
グマネージャー、
ジョン・ディックス氏は言
う。
「お客さまが実験台とならないように
実施しなければなりません。」
世界中のパンチプレス機向けに独自の
工具或いは取替用工具を製造するメイト
社は、
サンドビック・コロマントの担当者が
超硬製品用の新材種を提案した時に生
産性向上プログラムの利点を実感した。
サンドビック・コロマントのPIPによって
らないように実施しな
ければなりません。」
MATE PRECISION TOOLING社、
ジョン・ディックス氏
メイト社は新材種の技術を短期間で採用
「大口の取引先というのは変革を嫌う
でき、
「 Mチーム」
と呼ばれる独自の生産
ものです。」
とディックス氏は指摘する。
「
性コンサルテーションを開発するきっかけ
船舶を旋回させるようなものです。変化は
となった。
「Mチームの目的は、工程改善コンサ
急速には起こりません。
このプログラムに
より、
タグボートがたくさんあれば船舶を
ルティングという形の付加価値を提供す
旋回させることは可能だということに気づ
ることによって新しいお客さまの獲得と既
きました。」
METALWORKING WORLD
31
感
体
Gを
+物理学+原始
学
何
幾
、
グ
ン
ィ
テ
、推進力とマーケ
惑
幻
と
力
重
:
は
と
アリングの賜で
ー
ニ
タ
ジ
ス
ン
ー
エ
コ
な
・
秀
ト
優
ジェッ
喜。しかしそれは
歓
る
ち
満
が
ン
ドレナリ
的な恐怖心VSア
てはならない。
れ
忘
を
と
こ
る
あ
も
32
METALWORKING WORLD
全ては鉱山
から始まっ
た
ジェット・コ
ースターと
いう概念は
ブルグに氷
、
ロシア人が
の滑り台を
サンクト・ペ
作った何百
テルス
リンが熱烈
年も前から
なファンだ
あ
った。女帝
ったと言わ
キ
ャサ
れている。
後に、炭 鉱
会 社が 石 炭
を
運
ぶために設
に一般客を
計された鉄
乗せて副収
道システム
入を得るよ
バニア州の
うになった
マーハ・チ
。
アメリカ、ペ
ャンク・レー
ンシル
ルロードへ
速160キロ
は30分間
メートルに
乗車し、時
も達した。
今でもそれ
てランクイ
ンされてい
は史上最長
る。
時間とし
しかし、真
に最初のジ
ェ
ッ
ト
・
コースター
代後半に作
はアメリカ
られ、
その後はご
で1800年
存じの通り
である。
現代のジェット・コースターは近代工学の傑作である。設計者は想像力で
はなく、予算や極めて厳しい安全基準の制約を受けている。
そのため新し
いアイディアが設計図から遊園地にまで到達するのには何年もかかる。
ニュートンの運動の第3法則によると、
ある物体が他の物体に力を及
ぼすと、
その物体は他の物体から同じ大きさで逆向きの力を受ける。
ジェ
ット・コースターの座席から乗客に対して働く力は求心力である。乗客が
座席に対して及ぼす、等しい大きさの逆向きの力は遠心力または、
Gの力
である。
フリーフォールとも呼ばれる負の重力は無重力感を作り出すため、
ジェ
ット・コースターへの乗車は宇宙飛行士や戦闘機パイロットの離着陸に
最も近い体験だといえる。
ベルナー・シュテンゲルは、
ジェット・コースターの世界では伝説上の人物
である。公式には引退しているが、現在もハラルド・ワーナーとアンドレアス
・ワイルドが経営するミュンヘンのエンジニアビューシュテンゲル社と密
接に関わっている。
シュテンゲルが設計したジェット・コースターは世界中
に500基ある。500基目は、昨年アメリカのシーダーポイント遊園地で走
り始めた急発進型コースター、
マーベリックだ。
シュテンゲルのキャリアは、
バンパーカーの構造計算から始まった。次
ジェット・コースターへの乗車
に、1964年のオクトーバーフェストのためにドイツ初のスチール製ジェッ
だといえる
CORBIS
は宇宙飛行士や戦闘機パイロ
ットの離着陸に最も近い体験
ト・コースター、
ザ・スーパー・アハトを製作した。国際的に認められている
DIN4112基準をクリアし、特許を取得した木製ローラーコースターの開
METALWORKING WORLD
33
❯❯
CORBIS
宇宙での
ジェット・コースター
NASAが新しく開発中のアレス1-Yロケットは、緊
急脱出にジェット・コースターの原理を使用する。
オリオン緊急脱出システムでは、
カプセル型のハッ
チの外にある長さ100メートルのプラットフォー
ムから、全長457メートルのレールに沿って安全
バンカーまで2分以内に車両が落とされる。今年
の春(2008年)
から設計が始まった。主な違いは、
NASAの
「コースター」
では乗客にかかるGの力が
ジェット・コースターの設計者
最小限に抑えられているところである。2012年
は、技術と人間が耐えられる負
9月にアレスの無人飛行実験が行われる予定だ
荷容量の範囲内でありながら、
が、その打ち上げまでには脱出ポッドは最終点検
地上からの高さ、鋭いターンや
員の手元になければならない。
ループといったスリルのある要
素も加えなければならない
❯❯ 発事業や「重力への素晴らしい貢献」を讃えるヨーロッパコースターク
ラブからの受賞などの功績がある。
「円ではなくクロソイド曲線(連続的に曲線の半径が変化し、下部
ジェット・コースターの設計とメンテナンスを行う。GCIIデザインとミレ
ニアム・フライヤーという連結式コースター車両で有名な会社である。
8歳のころからジェット・コースターに夢中になっているというクリス
に大きな曲線、上部に小さな曲線のできる形のこと)
を利用した安全な
・グレイは、同社の調達責任者であるが、
「ジェット・コースター野郎」
と
ループなど、
さまざまな形が我々の製図板から生まれました。
ゼロGロ
いう肩書きの方が気に入っている。
ール、
コブラロール、
ダイブループ、
バットウィングやシュテンゲルダイブ
「ミレニアム・フライヤーは24台のトラックを後ろに引き連れている
などもベルナーとそのシュテンゲルチームによって開発されました。」
と
セミトレーラーのように、左右に素早くかつ滑らかに動きます。一台目
ワーナーは説明する。
の車両が方向を変えた地点に到達しなければ、後続の車両も方向を変
耐えられる範囲でスリリングなものにするためにはコース設計が最も
とになり、乗り心地が良くなります。」
えないのです。」
と説明する。
「このおかげで常に外側のレールを走るこ
重要である。
「滑らかなコースを設計し、
メーカーに曲線とその取付け
に関する精密なデータを提供するためには、豊富な経験と最先端の数
学の知識が必要です。」
と言う。
METALWORKING WORLD
210キロメートルのスチール製のコースターで、6Gを記録するものも
「技術力と人間が耐えられる負荷容量の範囲内でありながら、地
いくつかあります。
しかし、世界最大の木製コースターは時速140キロ
上からの高さ、鋭いターンやループといったスリルのある要素も加えな
メートルで走行するオハイオ州にあるサン・オブ・ビーストです。
これは
ければならないのです。」
とワーナーは言う。
当社が製造したものではありませんが。」
アメリカでは、
グレート・コースターズ・インターナショナル社が木製
34
「1m毎にコースの左右、上下のGの力が計算されます。」
と続ける。
「もし3Gを越えたら、失神する乗客が出てくるかもしれません。時速
「また今後20年に渡り毎日運転された場合の構造計算もしなけれ
GETTY
ばなりません。」
とグレイは付け加える。
「だからこそこのような乗り物の
メンテナンスでは、飛行機の飛行前点検のように、毎日のチェックを欠
かさないのです。
コースを歩き、車両をくまなく点検するのです。」 コースターの発注があった場合、重さ80キログラムのサンドバック
を乗客と見立てて実験が行われる。
「重量が均等に分散されるので、
こ
の場合ジェット・コースターは最速で走ることになります。」
と言う。
インタミン社は、世界で最高と呼ばれるジェット・コースターを何基も
製造している。2007年に40周年を迎えた同社は、12種以上のジェッ
ト・コースターを製造し、受注の半分以上は特注である。
ロイ・ヴォッキ
ング副社長によると制限されているのは予算だけである。急発進型の
コースターが最新の流行で、乗客は数秒の間に時速200キロもの速度
急発進型のコースターが
で打ち上げられる。
「ここでは、
当社が5年前に特許を取得した油圧式
最新の流行で、乗客は数
発射システムを使用しています。
このシステムは2から3メガワットは必
秒の間に時速200キロも
要なリニアモーターへのエネルギーの供給問題を解決するために開発
の速度で打ち上げられる
されたものです。」
ヴォッキングの説明によるとエンジニアリングと興奮は常に綿密に
ル、最高時速110キロメートル、総負荷4.5Gとヨーロッパで最大級ジ
計算されている。
「怖いと思うかどうかは人それぞれです。」
と言う。
「いく
ェット・コースター、
オブリビオンの乗客に対して心理テスト、
カメラ、心
つかの厳格な基準によって許容されるGの力は決められています。頭が
拍モニターを使用した実験を行った。
ぐらついては困りますので、最大の力は方向によっても変わります。」
「自分たちの乗車に対する生理学的、心理学的反応に乗客は関心
「素晴らしいコースターでは方向が何度も転換されますが、同時に
があるのではないかと以前から思っていました。
また、順番待ちをして
乗り心地も良くなければならないので、
コース設計も大変重要です。」
いる人たちにとっても絶叫している顔や心臓の高鳴りは素晴らしい見
とヴォッキングは説明する。
「機械は限界まで挑戦できますが、人間の
せ物になると思ったのです。」
と言う。
体はそういう訳にはいきません。
ジェット・コースターのために要する
計算やエンジニアリングには何百、何千ユーロと莫大な費用がかかる
のです。」
世界で初めての スリル エンジニアであるブレンダン・ウォーカー
は、
ノッティンガム大学のコンピューターサイエンスと心理学部との協
「コースターが速く大きくなり、健康や安全上の懸念が増大するに
つれ、乗客と観客との間の親密な関係はほぼ消滅しました。」
ウォーカ
ーは言う。
「この消滅した関係を技術力で回復しようと考えています。
4
月にイタリア、
フィレンツェで行われたコンピューターと人間の相互作
用に関する国際会議で最先端の学術論文を発表しました。」
力の下、英国のアルトン・タワーズ遊園地で実験を行った。
ウォーカーは、
まず航空技師、次に工業デザインエンジニアとして
トレーニングを受けた後にスリルの研究を始めた。最大落下55メート
この研究によるとコースターの乗客は二つの明確に異なるカテゴリー
に分類されると言う。
・準備段階(列に並んでいる時や乗車する時)
に不安感を示し、乗
恐るべき新記録
ジェット・コースターの本質そのものが最高傑作だと言える。
エリートと
も言える乗り物の中でも最高記録を持つジェット・コースターはアメリカ
に多い。
・最速 時速206キロメートル:ニュージャージー州、
シックスフラッグス
・グレートアドベンチャーのキンダカ
・最古
1902年:ペンシルバニア州、
レークモント・パークのリープ・ザ・
ディップス
・最もユニーク 高さ60メートルのビルの上を走るジェット・コース
ター:ネバダ州、
ラスベガスのストラトスフィアー・タワー(高さ275メー
トル)
の上を走る。
・最大落差 127メートル:ニュージャージー州シックスフラッグス・
グレートアドベンチャーのキンダカ
しかし、
最高記録を持つジェット・コースターが日本にもある:
・最 長 2 4 7 9 メ ートル: 三 重 県 、ナガ シマ ス パ ー ランドの
スチールドラゴン2000。
www.coasterclub.org
車中はトラウマを感じ、降りてから乗車の経験が喜びとなるタイプ。
・準備段階に大きな興奮と期待を抱き、一連の経験すべてに満足
で、降りてからは終わってしまったことを残念がるタイプ。
興奮の頂点は乗車する直前に列に並んでいる時にみられ、乗車中
ではなかった。
最先端を行き続けるためには、常に新しいアイデアを開発しなけれ
ばならない。2007年、
インタミン社はザックスピンという乗客が真っ
逆さまにスピンしながら落下する設置面積の小さい垂直型コースター
を開発した。
ロイ・ヴォッキングのお気に入りは、
インタミン社が開発したスペイ
ン、
ポート・アヴェントラ遊園地のフュリアス・バコである。
「最高です。」
と彼は言う。
「すごく速い上、地面すれすれを走るので
す。
イギリスのソープパークにあるステルスも短くて、急な打ち上げ型な
ので大好きです。
口から心臓が飛び出そうな感じがするほど空中にい
る時間が長い、木製コースターにかなうものはありません。」
ジェーン・ガーナー
METALWORKING WORLD
35
Print n:o C-5000:528 JAP/01
© AB Sandvik Coromant 2008:3
www.payback-calculator.com
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www.coromant.sandvik.com/jp