研究紀要第二四二号 研究紀要第242号 G3-03 個性を伸ばす選択数学の学習 個性を伸ばす選択数学の学習 平成十五年二月 岡山県教育センター 平成 15 年2月 岡山県教育センター ま え が き 岡山県教育センターでは,教育に関する専門的,技術的事項の調査研究,教育職員の研修,教育相 談,教育情報の収集・蓄積・発信等の諸事業を行っております。特に,調査研究におきましては,国 の教育改革の動向と本県の教育課題を踏まえ,幾つかの研究主題を設定し,共同研究・個人研究を行 い,その成果の提供と普及に努めております。 完全学校週五日制の下,新学習指導要領は,小・中学校で平成 14 年度から完全実施され,高等学校 では平成 15 年度から学年進行で実施されます。 「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,児童生 徒に豊かな人間性や自ら学び自ら考えるなどの 「生きる力」を育成することがねらいとなっています。 特に, 「心の教育」の充実と「確かな学力」の向上は教育改革の重要なポイントとされ,その実現に向 けて,各学校で新しい学校づくりの取り組みが推進されています。 新学習指導要領では, すべての児童生徒が共通に学習する内容が基礎的・基本的な内容に厳選され, 教師にも児童生徒にも時間的・精神的なゆとりができるようにされました。その中で教師には,児童 生徒が苦手な学習にはじっくりと取り組み,得意な学習は広げたり深めたり進めたりして,個性を伸 ばせるように指導することが求められています。平成 14 年9月には,文部科学省から発展的な学習や 補充的な学習を推進するための教師用参考資料「個に応じた指導に関する指導資料(中学校数学編) 」 が発行されました。少人数指導やティームティーチング,習熟度別指導などの指導方法や指導体制の 工夫改善と併せて,個に応じた指導の更なる充実が期待されています。 本研究では,中学校選択数学における発展的な学習について,学習の在り方,年間指導計画,具体 的な教材や指導方法を提案しています。 御高覧の上,御意見,御批判をいただくとともに,新学習指導要領の趣旨に沿う教育実践のための 資料として御活用いただければ幸いです。 終わりになりましたが,この研究を進めるに当たり,御協力をいただきました協力委員の先生方並 びに関係各位に厚くお礼申し上げます。 平成 15 年2月 岡山県教育センター所長 門 野 八 洲 雄 目 次 研究の要旨………………………………………………………………………………………………………1 Ⅰ はじめに……………………………………………………………………………………………………2 Ⅱ 研究の目的…………………………………………………………………………………………………2 Ⅲ 研究の内容…………………………………………………………………………………………………3 1 選択数学における発展的な学習の考え方……………………………………………………………3 (1) 発展的な学習について………………………………………………………………………………3 (2) 選択数学における発展的な学習の指導方法………………………………………………………3 (3) 選択数学における発展的な学習の評価……………………………………………………………3 2 Ⅳ 年間指導計画例…………………………………………………………………………………………3 実践事例……………………………………………………………………………………………………5 ○ひっくり返し………………5 ○不思議な速算術…………7 ○倍数の見分け方…………8 ○最大公約数と最小公倍 数 …9 ○因数分解は奥が深い……10 ○円を深める………………11 ○合同の証明は面白い………12 ○魔方陣……………………13 ○点字と場合の数…………14 ○江戸時代の数学と連立方程式 …16 ○鶏狗章魚算 (にわとりいぬたこざん)…17 ○解の公式,知ってる ? …18 ○携帯電話の選び方…………19 ○相関関係を見付けよ う …20 ○外国の数学の教科書……21 ○じゃんけんと確率…………22 ○面積の最大値を探そ う …23 ○算数の難問に挑戦………24 ○エッシャーの敷き詰め…25 ○「カクシリキ」の威力……26 ○グラビアも使いよう……27 ○前進ゲーム…………………28 ○1999年問題…………29 ○面白いこまを作ろう……30 ○矢っ解なパズル……………31 ○三平方の定理の証明……32 ○いろいろなパズル………33 ○選択数学の学習を終え て …34 Ⅴ おわりに……………………………………………………………………………………………………35 引用・参考文献及びWebページ……………………………………………………………………………35 研究の要旨 個性を伸ばす選択数学の学習 これまでの学習を これまでの学習を 広げる 深める ・four fours ・不思議な速算術 ・点字と場合の数 ・黄金比 ・外国の数学の教科書 ・算数の難問に挑戦 ・「カクシリキ」の威力 ・グラビアも使いよう ・1999年問題 ・選択数学の学習を終えて ・倍数の見分け方 ・合同の証明は面白い ・江戸時代の数学と連立方程式 ・携帯電話の選び方 ・じゃんけんと確率 ・図形問題と方程式 ・三平方の定理の証明 ・数と式の難問に挑戦 ・関数の難問に挑戦 ・図形の難問に挑戦 もっと 好きに もっと 得意に 個性を伸ばす選択数学の学習 もっと 楽しもう もっと やりたい これまでの学習を 数学の学習を 進める 楽しむ ・最大公約数と最小公倍数 ・因数分解は奥が深い ・円を深める ・鶏狗章魚算(にわとりいぬたこざん) ・解の公式,知ってる? ・相関関係を見付けよう ・面積の最大値を探そう ・面白いこまを作ろう ・ひっくり返し ・魔方陣 ・タングラム ・エッシャーの敷き詰め ・前進ゲーム ・矢っ解なパズル ・いろいろなパズル - 1- 研究の概要 新学習指導要領で拡充が図られている中学校選択数学の学習の充実を目指し,選択数学 の発展的な学習について,学習の在り方,年間指導計画,教材及び指導方法について研究 した。選択数学の学習において,個に応じた指導を充実させ,生徒の個性を伸ばすことに 重点を置くことによって,教師の意識改革が進み,生徒は必修数学の学習と関連付けたり 深めたりしながら学習に取り組み,数学の学習への興味・関心もより高めていった。 キーワード 中学校数学,選択数学,年間指導計画,発展的な学習,教材,数学的活動 Ⅰ はじめに 中学校選択数学の学習は,平成元年告示の学習指 導要領第3学年が最初である。以後,各学校では試 行錯誤しながら教材と指導方法の開発が進められて 特に,補充的な学習が実施できるようになったの は大きな改善点である。必修数学の学習で,教材が 難しすぎるとか進度が速すぎると感じる生徒がいる。 このような生徒が,自分に合う教材や進度でじっく りと学習に取り組み,確実に基礎・基本を定着させ きた。最近,ようやく手探りの状態から脱し,安定 した実践ができるようになったと感じている。 しかし,課題は多い。生徒の個性伸長をうたいな がら,生徒に興味・関心を持たせることに意識が行 きがちで,パズルやクイズが主な教材として扱われ ることが可能になった。 新学習指導要領では内容が厳選され,その最低基 準性が明確に示された。選択数学で補充的な学習が 可能になり,平成 14 年度から加配が始まった少人数 指導は更に充実が図られている。補充的な学習は, ることが多い。逆に,高等学校の入試対策など,選 択数学本来の目標にそぐわない実践も見られる。 パズルや入試問題が数学の教材として価値を持つ ことは言うまでもない。しかし,生徒に付けたい力 が明確でない学習,学習の系統性や必修数学との関 今後ますます充実していくことが期待できる。 それに対し,発展的な学習については,範囲,内 容,学習方法など基本的な考え方についてあいまい な部分が残されており,整理が必要である。更なる 教材開発,教材の系統性や必修数学の学習との関連 連付けが不十分な学習では,生徒の個性は伸ばせな い。逆に,選択数学に対する誤解さえ生みかねない。 新中学校学習指導要領では,これらの問題を克服 するため,また,「生きる力」を育成するために, 選択教科の学習について大きな改善が図られた。 付けについての研究も求められている。選択教科の 最も大きな目的は,生徒の個性の伸長である。そし て,そのような学習の中心は発展的な学習と考える。 「数学が得意!」「数学が好き!」という生徒を 増やしたい。そのような生徒の個性を伸ばしてやり 主な改善点は次のとおりである。 前学習指導要領 新学習指導要領 第1学年 ・実質,実施不可 ・全教科で実施可能 ・実質,実施しな ・1教科以上 いことが可能 ・50∼85 時間 第2学年 ・実施教科は実技 ・全教科で実施可能 4教科のみ ・実質,1教科以 ・2教科以上 上の実施 ・105∼165 時間 第3学年 ・実施教科は外国 ・全教科で実施可能 語以外の8教科 ・1教科の年間時 ・70 時間以内 数は 35 時間以内 (第1学年は 3 0 時間以内) 全学年共通 ・補充的な学習も 実施可能 たい。このような思いで本研究に取り組んだ。 Ⅱ 研究の目的 生徒の個性を伸ばす選択数学における発展的な学 - 2- 習について研究する。主な内容は次のとおりである。 1 選択数学における発展的な学習の考え方 2 年間指導計画 3 教材と指導方法 ・教材について ・指導上の留意点 ・本時の流れ ・具体的な教具・ワークシート等 ・教材を更に発展させる視点 Ⅲ 研究の内容 選択数学の学習では,必修数学の学習では解決 できない場面や解決が困難な場面,数学的に考察 すれば正確で効率的に解決できそうな実生活の場 面を設定することが基本になる。そして,友達や 教師と協力して課題に取り組み解決していく学習 1 選択数学における発展的な学習の考え方 ( 1 ) 発展的な学習について 発展的な学習について,「個に応じた指導に関 する指導資料(中学校数学編)」(以下「指導資料」 と言う。)に,次のとおり示されている1)。 発展的な学習とは,学習指導要領に示す内容を 身に付けている生徒に対して,学習指導要領に示 を積み重ねることで,生徒は個性を伸ばしていく。 ( 3 ) 選択数学における発展的な学習の評価 選択数学の評価の観点は,生徒の特性等に応じ て多様な学習活動が展開できるよう,各学校で設 定することになっている。しかし,必修数学の4 す内容の理解をより深める学習を行ったり,更に 進んだ内容についての学習を行ったりするなど の学習であると言える。 これを踏まえ,発展の範囲や方向を考慮しなが ら,発展的な学習を次のように分類した。 観点は数学の学習で生徒に付けさせたい力を端的 に表している。各学校はこれらを参考にし,重点 とする観点を決めたり,各観点の中で焦点化を図 ったりするのがよいと考える。 選択数学における発展的な学習全体の評価規 ○広げる:学習内容を他の内容や実生活と関連付 準例を提案する。○はおおむね満足できる,◎は 十分満足できると判断される状況である。 【関心・意欲・態度】 け,活用の幅や理解の拡充を図る。 <例>不思議な速算術,1999年問題 等 ○深める:より複雑な課題に取り組み,思考力, 判断力,表現力などを深める。 <例>合同は面白い,携帯電話の選び方 等 ○数学的に考えることに関心を持ち,数学の学 習を問題の解決に活用しようとする。 ◎数学的な思考や数学と実生活との関連に関心 が強く,主体的に問題の解決に取り組む。 【数学的な見方や考え方】 ○進める:学習指導要領の範囲を超える内容を扱 い,数学の能力や関心を更に高める。 <例>因数分解は奥が深い,円を深める 等 ○楽しむ:ゲームやパズルなどを教材に,楽しみ ながら学習に取り組み,数学的に考察 ○事象に潜む関係や法則を見いだし,数学的な 推論の方法を用いて論理的に考察する。 ◎既習事項を関連付けたり再構成したりして自 分なりの考えを持ち,論理的に考察する。 【数学的な表現・処理】 する力を高め,数学のよさを知る。 <例>ひっくり返し,魔方陣,前進ゲーム 等 ○推論の筋道や数量関係を簡潔に表現したり数 量などを数理的に処理したりする。 ◎数学的な表現が的確で工夫がある。数量など の数理的な処理が正確で速く工夫がある。 【数学に関する知識・理解】 ( 2 ) 選択数学における発展的な学習の指導方法 これからの教育は,個に応じた指導の一層の充 実が求められている。発展的な学習は必修数学で も選択数学でも工夫して行われる必要がある。 必修数学では,数学が得意な生徒も苦手な生徒 もいる。そのため,発展的な学習は授業で目標を 実現した生徒に課題を用意したり,自主レポート を課したりするなど個別に行うことが多くなる。 また,全体で行う場合は,すべての生徒が自分な ○基礎的・基本的な学習内容を理解している。 ◎既習事項を関連付けたり再構成したりして理 解を深めている。数理的な処理,数学的な見 方や考え方のよさを理解している。 2 年間指導計画例 次ページは,第3学年選択数学の年間指導計画 例である。1時間扱いで作成したが,2時間扱い りに取り組める課題を用意して行うことになる。 一方,選択数学では数学が得意な生徒や好きな 生徒が多い。少人数での学習も期待できる。複雑 な課題に取り組んだり,関心別等のコース別学習 を行ったり,グループや個人で課題追究を行った で更に発展させる視点も挙げた。なお,広:広げ る,深 :深める,進 :進める,楽 :楽しむ,の ように記述した。また,必修数学進度予定は岡山 市内で使用されている啓林館の教科書によった。 りすることが考えられる。また,学習の成果を全 体で検討し,広げたり深めたりもしやすい。 - 3- 平成 学期 1 学 期 2 学 期 3 学 期 回 年度 第3学年選択数学計画表(発展的な学習) 本時のテーマ 教材を更に発展させる視点 1 楽 ひっくり返し 2 広 four fours 3 広 不思議な速算術 広 数当て 4 深 倍数の見分け方 深 倍数の見分け方を究める 5 進 最大公約数と最小公倍数 進 ユークリッドの互除法 6 進 因数分解は奥が深い 進 更に因数分解を深める 7 進 円を深める 深 円を究める 8 深 合同の証明は面白い 進 合同を活用しよう 9 楽 魔方陣 楽 変形方陣・偶方陣 10 広 点字と場合の数 広 視覚障害者のために 11 深 江戸時代の数学と連立方程式 深 いろいろな連立方程式 12 進 鶏狗章魚算(にわとりいぬたこざん ) 進 連立二元二次方程式 13 広 黄金比 ※ 広 黄金比探し 14 楽 タングラム ※ 楽 タングラム上級編 15 進 解の公式,知ってる? 進 解の公式を究める 16 深 携帯電話の選び方 深 ダイヤグラム 17 進 相関関係を見付けよう 進 標本調査は役に立つ 18 広 外国の数学の教科書 広 もっと外国の数学の教科書 19 深 じゃんけんと確率 深 トランプと確率 20 進 面積の最大値を探そう 進 二次関数 21 広 算数の難問に挑戦 楽 もっと算数の難問に挑戦 22 楽 エッシャーの敷き詰め 楽 更にエッシャーの敷き詰め 23 深 図形問題と方程式 24 広 「カクシリキ」の威力 進 三角比 25 広 グラビアも使いよう 広 地図で調べよう 26 楽 前進ゲーム 楽 三山崩し 27 広 1999年問題 広 更に1999年問題 28 進 面白いこまを作ろう 進 もっと面白いこまを作ろう 29 楽 矢っ解なパズル 楽 立体パズルを作ろう2 30 深 三平方の定理の証明 深 更に三平方の定理の証明 31 深 数と式の難問に挑戦 ※ 深 更に数と式の難問に挑戦 32 深 関数の難問に挑戦 ※ 深 更に関数の難問に挑戦 33 深 図形の難問に挑戦 ※ 深 更に図形の難問に挑戦 34 楽 いろいろなパズル 楽 更にいろいろなパズル 35 広 選択数学の学習を終えて 広 数学の歴史 必修数学進度予定 楽 立体パズルを作ろう1 ※ ※ 広 更にfour fours 「式の計算」終了 「平方根」終了 「二次方程式」終了 「関数y=ax2」終了 深 関数問題と方程式 注 )「本時のテーマ」欄の※は誌面の関係で事例を割愛したテーマ - 4- 「図形と相似」終了 「三平方の定理」終了 Ⅳ 実践事例 第1時「ひっくり返し」(楽しむ:操作型図形パズル) ◆教材について ②間を2㎜以上空け,図のようにセロハンテープ ○日本は世界有数のパズル国と言われ,多くの 人々がパズルに親しんでいる。生徒にもその楽 しさを味わわせたい。ただし,論理的な思考力, 図形の直観力の育成など,数学の学習として意 義のある学習になるようにしたい。 でつなげる。間が狭いと,動きにくく,パズル がやりにくい。 ○「ひっくり返し」は直角二等辺三角形を組み合 わせて作った輪をひっくり返すパズルである。 実際に操作するため,多くの生徒が熱中する。 時間内に解決できなくても,後日,解けたと報 告する生徒も多い。操作を記録すると,表裏の ③さらに,図のようにつなげて輪にする。 ④この輪をひっくり返して表から裏にしたり,裏 から表にしたりする。 境になる形があり,その前後の操作は正反対に なっている。このことを説明すると,パズルに も論理的な思考力が必要なこと,数学とパズル の深い関係を理解する生徒は多い。 ◆指導上の留意点 ◆教材の準備について ○自由に生徒に取り組ませる。本時は第1時であ り,生徒が今後の選択数学の学習に期待を持て るようにすることが最も大切である。 ○最初から作業させると,時間が掛かる。時数, 生徒の実態に応じ,次のような準備をしておく。 ・2時間扱いの場合 方眼紙,はさみ,定規,図を書いたプリント を用意し,最初から生徒が取り組む。 ◆本時の流れ ①教師がパズルを解くのを見る。 ・1時間扱いで作業が速いと予想される場合 ①の作業まで済ませておき,②から取り組む。 ・1時間扱いで作業が遅いと予想される場合 パズルを用意しておき,すぐに取り組む。 ②生徒の希望者がしてみる。 ◆教材を更に発展させる視点 ③パーツとセロハンテープを受け取る。 ○他の図形パズルとして立体パズルに取り組む。 次の展開図の立体を二つ組み合わせると正四面 体ができる。これにも生徒は熱中する。 (図は「新しい数学FAXシート」3)から引用) ④作成できた生徒から各自で解く。 ⑤後は,自主課題とする。 ◆パズルの作り方 (図は「算数・数学おもちゃ箱」2)から引用) ①同じ大きさの直角二等辺三角形を 16 枚作る。 - 5- ◆パズルの解き方1 ①スタート ②輪になるよう広げる。 ③つぶして正方形に。 ④半分の三角形にする。 ⑤左側を広げる。 ⑥小さい正方形にする。 ⑦表側の中間点 ⑧裏側の中間点 ⑨小さい正方形にする。 ⑩広げて三角形にする。 ⑪広げて正方形にする。 ⑫出来上がり ①スタート ②両側を下に折る。 ③三角形にする。 ④手前を広げる。 ⑤十字を作る。 ⑥下側を抜く。 ⑦完全に抜く。 ⑧表側の中間点 ⑪三角形にする。 ⑫出来上がり ◆パズルの解き方2 ⑨裏側の中間点 ⑩下側を上の袋に入れる。 - 6- 第3時「不思議な速算術」(広げる:数と式,文字の式) ◆教材について 書き加え,3数のたし算競争を行う。 答えは10000+4785−1=14784 ○「速算術」は複雑に見える計算を素早く行う方 法である。その裏には数学的な裏付けがあり, 中学校の文字式の学習を利用すればその理由 を明らかにできるものが多い。速算術の仕組み を考え,自分でも速算術を作り出す学習を行う。 ○内容は次のとおりとする。 ア−1 ア−2 ア−3 偶数×5=偶数÷2×10 4の倍数×25=4の倍数÷4×100 8の倍数×125=8の倍数÷8×1000 ◆本時の流れ ①速算術アをし,理由を考える。 ②速算術イをし,理由を考える。 ③全体で,文字を利用して証明する。 イ 十の位の数が等しく,一の位の数の和が10 けた の二桁の2数の積は次のように速算できる。 (10a + x)(10a + y)=100a( a + 1)+ xy 例)37×33=3×4×100+7×3=1221 ウ 和が 9999 の2数を使う暗算競争 例)相手に4桁の数(例:4785)を書かせる。 和が9999となる2数(例:7324,2675)を ④速算術ウをし,理由を考える。 ⑤各自で,速算術を作る。 ⑥残りは自主課題とする。 ◆ワークシートの例 3 「 不 平成 思 議 年 な 月 速 算 術 日( ( 」 問3 問1 )年( )組( )番 氏名( 先生と暗算勝負をしよう。 次の計算をしてみよう。 (1)698×5= <速算術を考える1> (2)964×25= ①4けたの数字を言う。 ②先生は4けたの数を 2つ言う。 ③3つの数のたし算の 速さ比べだ。 <速算術を考える3> (3)32×125= 問2 ) ) 次の計算をしてみよう。 (1)65×65= <速算術を考える2> 問4 自分で速算術を作ってみよう。 ○速算術の方法 ○証明 (2)84×86= (3)48×42= ◆教材を更に発展させる視点 ○2進法を利用する誕生日当て,文字式を利用して簡単に証明できる数当てを学習する。 - 7- 第4時「倍数の見分け方」(深める:数と式,整数の性質) ◆教材について ◆本時の流れ ○第3時「速算術」の学習と関連させ,10以下の ①リンド・パピルスの問題に取り組む。 自然数の倍数の見分け方を見付ける。以前は, 中学校で学習していた内容であり,7以外の倍 数の見分け方には,多くの生徒が無理なく気付 くと思われる。結果は今後も活用でき,数学の よさを味わうこともできる。 ②和が一定で積が最大になる数を見付ける。 ③倍数の見付け方を考える。 ○10以下の自然数の倍数の見分け方を扱う。 ◆指導上の留意点 ④3,9の倍数の見付け方を考える。 ○いきなり倍数の見付け方に入らず,導入問題を 経て,自然に学習が進むようにする。 ○問題をテンポよく提示し,生徒の意見を引き出 ⑤「エラトステネスのふるい」に取り組む。 しながら学習を進める。 ○可能なら「エラトステネスのふるい」に取り組 む。 ⑥数学に関するWebページの話を聞く。 ◆ワークシートの例 4 問題1 ( 「倍 数 の 見 分 け 方 」 平成 年 月 日( ) 紀元前1650年頃,エジプトの僧侶アーメスが書いた リンド・パピルスは,世界最古の数学書と言われてい ます。本の中に次のように解釈できる記述があります。 7軒の家で,7匹ずつのネコを飼っている。ネコはそ れぞれ7匹ずつのネズミを捕る。そのネズミはそれぞれ 麦の穂を7本ずつ食べる。この麦の穂からは7ますずつ の麦がとれる。全部合わせていくつになるか。 「 たせない 」が正解ですが , たせないものをたすこの問題は , 昔の人に敬意を払って,さあやってみよう。 答え 問題2 19607 )年( 問題3 )組( )番 氏 名 ( ) いろいろなかけ算の問題をやってきました。 さて,わり算をしないで,2∼10の自然数の 倍数を見分けることができるでしょうか。 ) ・2の倍数( ) ・3の倍数( ・4の倍数( ) ・5の倍数( ) ) ・6の倍数( ) ・7の倍数( ) ・8の倍数( ) ・9の倍数( ) ・10の倍数( ※2,4,5,10の倍数の見分け方にはすぐ気付く。 ヒントを出せば3 ,6 ,8 ,9も早い 。7は難しい 。 インターネット等で調べさせることも考えられる。 問題4 3,9の倍数の見分け方を証明しよう。 問題5 次の数から素数を選び出そう。 次の問題はどうでしょうか。 和が19となる幾つかの数を決めて,その積が最大にな るようにしたい。どのような数にすればよいだろう。 ※非常に盛り上がる問題である。 生徒は,最初,勝手に二つの整数と判断して答えを言う。 やがて,3数以上でもよいことに気付き,しばらくして ようやく「小数でもよいのか」と質問する生徒が現れる。 整数ならば,2×2×3×3×3×3×3=972 正解は19/7×19/7×19/7×…×19/7=893871739/823543 ◆教材を更に発展させる視点 1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 2 12 22 32 42 52 62 72 82 92 3 13 23 33 43 53 63 73 83 93 4 14 24 34 44 54 64 74 84 94 5 15 25 35 45 55 65 75 85 95 6 16 26 36 46 56 66 76 86 96 7 17 27 37 47 57 67 77 87 97 8 18 28 38 48 58 68 78 88 98 9 19 29 39 49 59 69 79 89 99 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 ○9の倍数の見分け方を利用するインド生まれの ○インターネットで倍数の見分け方を調べる。参 考になるサイトは数多くあり,「倍数」「倍数, 7」などで容易に検索できる。これにより,7, 11,13 などの倍数の見分け方を考える。 検算法「九去法」について考える。 <例>7456+3876=12332 は正しいか? 7+4+5+6=22⇒2+2=4,3+8+7+6=24⇒2+4=6 4+6=10,1+2+3+3+2=11 10≠11 だからまちがい。 - 8- 第5時「最大公約数と最小公倍数」(進める:学習指導要領外,整数の性質) ◆教材について ◆本時の流れ ○最大公約数,最小公倍数は小学校での学習後, 中・高等学校では扱われない。分数ができない 大学生が話題になったが,このことも一因と言 われる。小学校では数の組の公約数や公倍数を 書き並べて見付けるため,生徒は計算で求める 方法を知らない。本時の学習は生徒にとって驚 ①分数のたし算をし,課題意識を持つ。 ②最大公約数,最小公倍数の復習をする。 ③素因数分解を利用する方法を考える。 きであり,数学の有用性を感じる学習になろう。 ○内容は,素因数分解を利用する方法,数の組を 公約数で割っていく方法とし,3数まで扱う。 ④公約数で割っていく方法の説明を聞く。 ◆指導上の留意点 ○素因数分解を利用する方法は,全体で求め方を ⑤各自で練習をする。 考える。公約数で割っていく方法は,素因数分 解を利用する方法を基に教師が説明する。 ○演習の時間を確保し,より深く納得できるよう にするとともに,できた喜びを味わわせる。 ⑥答え合わせをし,残りは自主課題とする。 ◆ワークシートの例 5 「最 大 公 約 数 と 最 小 公 倍 数 」 平成 年 月 問題 次の計算をしよう。 1 1 (1) 4 −+−= 6 1 1 (2) 12 −+−= 15 1 (3) 1 −+−= 24 60 1 1 (4) 1 −+−+−= 18 24 30 例題1 日( ) )年( )組( 24= 36= )番 氏名( ) 実は,こんな方法もある! )24 24,36の最大公約数,最小公倍数を見付けよう。 ①素因数分解する。 ( 問1 36 )20 24 36 問題がまだの人はやってしまおう。 問2 最大公約数,最小公倍数を求める練習をしよう。 (1) 24 60 (2) 32 48 ②最大公約数を見付ける。 ③最小公倍数を見付ける。 例題2 20,24,36の最大公約数, 最小公倍数を見付けよう。 ①素因数分解する。 (3) 56 84 (5) 12 30 (4) 105 168 20= 24= 36= ②最大公約数を見付ける。 42 (6) 48 72 ③最小公倍数を見付ける。 ◆教材を更に発展させる視点 ○ユークリッドの互除法に取り組む。この方法について,野崎4)は次のように解説している。 741,399の最大公約数の求め方 741÷399=1…342 399÷342=1…57 342÷57=6 割り切れたので,答えは 57 - 9- 108 第6時「因数分解は奥が深い」(進める:高等学校[数学Ⅰ],因数分解) ◆教材について ◆本時の流れ ○因数分解にはパズルを解くような面白さがあ ①因数分解の復習をする。 る。アイディアが浮かび,うまく因数分解でき たときの喜びは格別である。中学校で学習する 因数分解を応用する形で高等学校の因数分解 に挑戦をさせてみたい。 ○内容は,新学習指導要領で高等学校に移行され ②置き換えの因数分解に全体で取り組む。 ③たすき掛けの因数分解に全体で取り組む。 た置き換えによる因数分解,たすき掛けによる 因数分解とし,最後に複合型の難問を入れる。 ④2種類の因数分解の問題を各自で解く。 ◆指導上の留意点 ○例題は生徒の考えを引き出すことを重視する。 ○生徒が各自で解く時間を確保する。 ⑤複合型の問題に各自で取り組む。 ○解答のみの解答プリントを配布し,自力解決を 促すが,必要な生徒には個別指導を必ず行う。 ○数学Ⅰの参考書を教室に置いておくのもよい。 ⑥残った問題は,自主課題とする。 ◆ワークシートの例 6 「因 数 分 解 は 奥 が 深 い ! 」 平成 年 月 日( ) 復習 次の式を因数分解してみよう。 (1)8ab 2 −6a2 b (2)81−16y 2 (3)25x2 +30x+9 (4)x2 +13x+36 (6)50x2 −8 例題1 (5)x2 −2x−24 (a+b)x−(a+b)y を因数分解できるかな? ( )年( 例題2 )組( )番 氏名( 2x2 +5x−3 を因数分解できるかな? 問2 次の式を因数分解してみよう。 (1)3x2 +8x+5 (2)5x2 +3x−2 (3)2x2 −7x+6 (4)6x2 −5x−4 問1 次の式を因数分解してみよう。 (1)(x+y) 2 +10(x+y)+16 (2)(a−b)2 −16(a−b)+64 例題3 (3)2(x−4)+y(4−x) (4)(a−b)2 −(c−d)2 x4 −10x2 +9 を因数分解できるかな? 問題3 次の式を因数分解してみよう。 (1)x4−3x2 −4 (2)x4 +3x 2+4 ◆教材を更に発展させる視点 ○2時間扱いの場合は,例題も含めて生徒が自分 ・最も次数が低い文字について整理する問題 で取り組める時間を十分に取りたい。 ○更なる発展問題の例 ・置き換えを使う形に直す問題 (例)ax+ay−bx−by (例)x2+y2+xz−yz−2xy x2+3xy+2y2−x−3y−2 ・3次の問題 (例)x3+y3,x3−8 - 10- ) 第7時「円を深める」(進める:高等学校[数学A]) ◆教材について ◆本時の流れ ○学習指導要領 の改訂で円に関する内容は大幅 ①円周角の定理を確認する。 に高等学校に移行された。しかし,これまでも 円の学習に興味を持った生徒は多い。円周角の 定理を発展させて円の性質に気付かせ,それを 活用して角の大きさを求めるいろいろな問題 に取り組む。 ②円に内接する四角形の性質を見付ける。 ③接弦定理を見付ける。 ○内容は,これまで中学校で学習してきた円に内 接する四角形の性質,接弦定理とする。 ④教師の説明により,二つの性質を確認する。 ◆指導上の留意点 ○円周角の定理を発展させて,ねらいとする円の 性質に生徒が気付けるように工夫する。 ⑤各自で角度を求める問題を解く。 ○見付けた性質の証明は,教師の説明により確認 する程度とし,角の大きさを求めるいろいろな 問題に取り組む時間を確保する。 ⑥残った問題は,自主課題とする。 ◆問題例 ○基本的な問題 ○応用・発展的な問題 ◆教材を更に発展させる視点 ○生徒の実態に応じて,より難度の高い問題に取 り組む。 ○円周角の定理の逆,円に内接する四角形の定理 の逆に触れ,それを利用する問題に取り組む。 - 11- ○円に内接する四角形の性質,接弦定理を利用す る証明問題に取り組む。 ○三角形の5心(外心,内心,重心,垂心,傍心) の学習に取り組む。 第8時「合同の証明は面白い」(深める:図形,合同・四角形) ◆教材について ◆本時の流れ ○三角形の合同を活用する証明問題は,苦手意識 ①三角形の合同について復習する。 を持つ生徒が多い反面,面白みを感じ意欲的に 取り組む生徒も多い。必修数学では扱いにくい 程度の問題に挑戦させ,学習意欲と論理的な思 考力,表現力を高めていく。 ○教材は,過去の高等学校入試問題等から,三角 ②各自で問題に取り組む。 ③必要に応じて,教師に質問したり,友達と 相談したりする。 形の合同条件を利用する証明問題を集めて作 成する。 ◆指導上の留意点 ○各生徒の自主学習を基本とするが,教師への質 問,友達との相談も可とする。 ④教師のまとめを聞く。 ○解答プリントを用意し,各自で解答させる。 ⑤残った問題は,自主課題とする。 ◆問題例1(中学校の学習内容だけで解決できる問題) 正方形ABCDの対角線BD 上の1点をEとし,A,Eを通 る直線がBCの延長線と交わる 点をFとする。このとき, ∠EFC=∠ECDを証明しなさい。 (郁文館) 正方形ABCDを横切る直線mに頂点B, Dから下ろした垂線の足を それぞれP,Qとすると, PQ=DQ−BPになる。 m これを証明しなさい。 正方形ABCDをADの中点Mと 頂点Cを結ぶ直線を折り目として折 り返し,頂点Dが移る点をE,ME の延長線とABとの交点をFとする 平行四辺形ABCDで, 辺CDの中点をE,頂点A からBEに下ろした垂線の 足をHとする。 とき,FE=FBであることを証明 しなさい。 (石川県) AD=AH=BH=1の とき,DHの長さを求めなさい。 (慶応志木) ◆問題例2(教材を更に発展させ,第7時「円を深める」と関連させた問題) 円Oと直径でない円Oの弦ABがある。点 Aを通って点Bにおける円Oの接線に平行な 直線が円Oと交わる点をCとする。∠BAC の二等分線が円Oと交わる点をD,点Bにお ける円Oの接線との交点をEとする。直線A Cと直線BDが交わる点をFとし,点Cと点 D,点Eと点F をそれぞれ結ぶ とき,△CDF ≡△EDFを 証明しなさい。 (昭和 62 年岡山県) (昭和 56 年岡山県) - 12- 第9時「魔方陣」(楽しむ:数字パズル) ◆教材について ◆本時の流れ ○魔方陣は中国で生まれ,世界最古のパズルとも ①プリント1で,魔方陣についての話を聞く。 言われる。昔の人は縦,横,斜めのすべての和 が等しくなる魔方陣に不思議さを感じ,魔から 自分を守る力があると信じたようである。多く の国々で魔方陣の研究がなされているが,生徒 も不思議さと面白さを感じるようで,教師が予 ②3方陣を作る。 ③5方陣を作る。 想する以上に熱心に取り組む教材である。 ○魔方陣には大きく分けて奇方陣,偶方陣,変形 方陣がある。奇方陣は解法が分かりやすいが, 偶方陣は難しい。奇方陣に取り組むことを基本 とし,余裕のある生徒が偶方陣に取り組む。 ④プリント2を配布し,作り方の解説をする。 ⑤5方陣を完成させ,7方陣,4方陣を作る。 ◆指導上の留意点 ○最初に魔方陣の歴史と意味を説明して意欲を 高めてから,作成に入る。 ⑥残った問題は,自主課題とする。 ◆ワークシートの例 9 「 魔 −1 平成 ( )年( )組( 方 年 )番 氏名( 陣 月 」 № 9−2平成「 魔 年方 1 日( ) ( )年( )組( )番 氏名( 解説 奇方陣(3,5,7,…)の作り方 1 2 4 9 ) 古代中国の殷(いん)の時代,黄河で大洪水が9年間も 続いたそうな。人々は洛水(らくすい)というところで治 水工事をし, ようやく洪水を治めるのに成功したそうな。 工事を助けてくれたのは1匹の亀神様(かめがみさま) で,その背中には幾つかの点が,3行3列で書かれてい たそうな。不思議なことに,点の数はすべて違っており, 縦,横,斜めどの列も和が15だったそうな。 問1 3 問2 このお話のような表を作れますか。 7 5 6 1 3 問3 8 9 7方陣も作ってみよう。 問4 4方陣もできるかな? 陣 月 」 № 2 日( ) ) 7 5×5の表に,1∼25までの数を入れて,魔方陣を 作ってみよう。 ◆教材を更に発展させる視点 ○プリント2の方法は平行移動法と言われる。他 ④最下行に来たら,左隣の最上行に入れる。 の方法として斜進法に取り組む。 ①最下行の中央に1を入れる。 ②左隣の最上行に2を入れる。 ③左斜め下に向かって,3,4,…と入れる。 - 13- ⑤左端に来たら,1行下の右端に入れる。 ⑥左下隅に来たら,右上隅に入れる。 ⑦数字が入っていたら,自枠の1行上に入れる。 ○変形方陣(十字,三角,五角など)も面白い。 第 1 0 時「点字と場合の数」(広げる:数量関係,場合の数) ◆教材について ◆本時の流れ ○点字は六つの点の出っ張りで文字を表す。した ①公衆電話の点字の意味を調べる。 がって,26−1=63 通りの記号しか表せない。 そのため,50 音は一つの記号で表し,他は二つ の記号を組み合わせて表す。このような点字の 仕組みを場合の数の発展学習として扱う。 ○社会のノーマライゼーションが進められてい ②あ行,か行の点字を見て,規則に気付く。 る。ノーマライゼーションとは,だれもが社会 の一員として社会活動に参加し,自立して生活 できる社会を目指すことである。ボランティア 学習を行う学校も増えてきた。点字の学習を通 し,生徒にもその大切さを理解させたい。 ③点字で何種類の文字を表せるか考える。 ④濁音,数字等の表し方を知る。 ⑤点字の読み書きの練習をする。 ◆指導上の留意点 ○点字の数学的な意味と工夫とともに,ボランテ ィア学習の大切さも理解できるようにする。 ⑥視覚障害者のための工夫の話を聞く。 ◆ワークシートの例 (甲本の実践5)を引用して次のようなワークシートを作成した。) 10 「 点 字 平成 Q1 公衆電話に付いている点 字を調べよう。 Q4 点 字 の 仕 組 み を 調 べ よ う。 と 年 場 月 Q2 Q5 合 の 数 日( 」 ( )年( )組( )番 氏名( ) ) 次の点字を書こう。 次の点字を読もう。 ◆視覚障害者のための工夫の例 Q3 次の点字を書こう。 Q6 ◆教材を更に発展させる視点 ○点字ブロック(進め:線型,止まれ:点型) ○お金(札の点字,硬貨の大きさやぎざぎざ) ○シャンプー(ぎさぎざ付き)とリンス(なし) ○缶のビール(点字付き)とジュース(なし) 本事例を発展させる場合は,あえて数学的な発展 を行わず,次のような発展学習を行いたい。 ○町や身近にある点字を探してきて発表する。 ○視覚障害者のためにできることを考える。 - 14- ◆点字表 東京教育技術研究所が販売している「学習点字ペン」の付録6)を引用する。 - 15- 第 1 1 時「江戸時代の数学と連立方程式」(深める:数と式,連立方程式) ◆教材について <鶴亀算> ○連立二元一次方程式で解ける問題の例として つるかめざん 「鶴亀算 」がある。「鶴亀算」が知られた江戸 時代は,多数の数学者がレベルの高い研究を行 った時代である。同時に,現代の日本と同様, 人々が数学パズルを楽しみ,難しい問題の解法 の巧みさを競い合う時代でもあった。江戸時代 の「鶴亀算」とその歴史を生徒に紹介した後, 連立二元一次方程式で解ける江戸時代の他の 問題に取り組む学習を行う。 ○内容は,「さっさ立て」「油分け算」とする。 ◆指導上の留意点 ○「鶴亀算」は原文を示し,歴史にも触れる。 ○他の問題は,連立二元一次方程式を利用すると 解決できることを伝え,解法を考えさせる。 ◆本時の流れ 「爰に鶴亀合百頭あり,只云足数和して二百七十 二,鶴亀各何ほどと問う。」 (坂部廣胖「算法点竄指南録」,1810) ○さっさだて(中根彦循「勘者御伽双紙」,1743) 数当てゲームで,次のような手順で行う。教師が 生徒を相手にして見せ,理由を考えさせるとよい。 ①碁石を 30 個,紙2枚を用意する。 ②相手の前に紙を並べ,碁石を渡して言う。 ・私が後ろを向いたら,紙の上に碁石を置く。 ・どちらに置いてもよいが,右は1個ずつ,左 は2個ずつで,1回置く度に「さァ」と言う。 ・全部の石を置き終わるまで続ける。 ③右の紙の碁石の数を当てる。 <考え方> 右,左の紙に置いた回数をそれぞれx, y,掛け声の回数をaとすると, ①鶴亀算を方程式で解き,解説を聞く。 x+y=a x+2y=30 よって,x=2a−30 ○油分け算(図は「吉田光由の『塵劫記 』」7)から引用) 吉田光由「塵劫記」(1631)にある問題である。 ②さっさ立ての演示を見て,理由を考える。 ④油分け算を各自で考える。 斗桶に油が1斗(=10 升) ある。これを二人で分けるの だが、7升ますと3升ますし かない。この二つだけで、 ⑤解法のヒントを聞き,後は自主課題とする。 5升ずつ等分してほしい。」 試行錯誤もよいが,二元一次方程式の利用により ③方程式で解決する方法を考える。 ◆連立方程式を活用できる江戸時代の問題 ○鶴亀算 鶴亀算は4∼5世紀の中国の数学書「孫子算経」 (作者等不詳)に原型がある。問題は「今有雉兎 同籠,上有三十五頭,下有九十四足,問雉兎各幾 何」とある。この本を参考に書かれたと言われる 日本の数学書は多い。 「孫子算経」では,鶴亀でな きじうさぎ く雉 兎 であるが,日本も最初は雉兎であった。 <雉兎算(ちとざん)> 「又兎,雉の頭,合三十貳箇,此脚九十四足にし て,雉十七羽,兎十五日疋に成る。此式も差分。」 (磯村吉徳「算法闕疑抄」,1661) やがて,それが鶏と兎になり,鶴と亀になる。 - 16 - 正確かつ能率的に解決できる。連立方程式ではない が,方程式のよさを味わえる教材である。 最初に各自で取り組ませ,<考え方>の最初を知 らせる。 「できる人は続きを考えなさい」と指示する。 <考え方> 7升,3升ますそれぞれをx回,y回 一杯にするとすると,7x+3y=5 になる。 解は無数にある。例えば(2,−3)である。 これは,7升ますを2回一杯にし,そこから3 升ますで3回酌み出せばよいことを示している。 他の答えとして(−1,4)などがある。 ◆教材を更に発展させる視点 ○いろいろな連立方程式に取り組む。 ・1/x,1/y の方程式など置き換えが必要なもの ・三元だが,ある文字が全項の因数であるもの 第 1 2 時「 鶏 狗 章 魚 算( に わ と り い ぬ た こ ざん ) 」 ( 進 め る : 高 等 学 校 [ 数 学 Ⅱ ], 連 立 三 元 方 程 式 ) ◆教材について ○解法に容易に気付かせたい場合 「狗が鶏章魚と同数ならば,」 ○江戸時代の数学者は鶴亀算にとどまらず,2種 類の動物を3種類にするとどうなるかと考え た。このような発展はごく自然であるとも言え る。本事例では,江戸時代に作られた問題を基 に連立三元一次方程式に取り組む。 ○村井中漸の「算法童子問」(1784)にある鶏狗 ◆練習問題の例 4x+3y+z=7 3x−2y+z=−4 −2x+y+z=−3 (x,y,z)=(1,2,−3) 章魚算から出発し,一般的な連立三元一次方程 式の解法をまとめ,問題を解くところまで行う。 2x−y−z=10 x+2y+z=3 x−y+2z=−3 (x,y,z)=(4,1,−3) 5x+2y−z=6 ◆指導上の留意点 ○連立三元一次方程式から,既習の連立二元一次 方程式をつくればよいという見通しを持って 取り組めるよう,発問等を工夫する。 ○生徒自らが解法を発見することを目指し,教師 の説明,友達との相談等は極力控える。 2x+y+z=7 x+y+z=6 (x,y,z)=(1,2,3) 2x+3y+4z=11 −3x−2y+3z=−4 ◆本時の流れ ①鶏狗章魚算についての説明を聞く。 5x+4y−2z=10 (x,y,z)=(−2,5,0) ②全体で,連立三元一次方程式を立式する。 ◆江戸時代の数学について ③各自で解法を考える。 鎖国をしていた江戸時代の日本では,中国から輸 入した数学書を基に,独自の数学「和算」が発達し た。和算には天文暦法,地理測量,算法計数,実用 数学の四つの分野があり,それぞれ流派があった。 関孝和の関流,関流と対抗意識が強い最上流,大阪 の宅間流,天文暦法のメッカ麻田流などがある。日 本地図を作成した伊能忠敬は麻田流である。 ④生徒が解答を板書し,考えを説明する。 ⑤練習問題に取り組む。 和算家は数学塾を開き,弟子たちと研究をした。 そのレベルは当時の世界のトップレベルと言われる。 豪商をスポンサーにする和算家もおり,町で塾を開 き,町の人々を弟子にした。その研究成果をまとめ, 神社に奉納したのが算額である。神社は当時の社交 ⑥解法をまとめ,江戸時代の数学の話を聞く 。 ◆鶏狗章魚算 鶏,狗,章魚の事 厨下を窺えば,庭に鶏あり,狗あり,また,ま ないたに章魚あり。庖人いはく,三種合わせて二 十四箇,足数合わせて百二足なり。鶏,狗,章魚 をのをの幾何と問,ただし,鶏二足,狗四足,章 魚八足。 しかし,このままでは2式しか立式できない。そ こで,三つ目の文章の前に次の言葉を追加する。 ○一般的な連立三元一次方程式をつくらせる場合 「鶏,章魚の和から狗を減ずれば0なり。」 場であった。算額は神への感謝を表すと同時に,互 いの腕自慢をする意味もあったのである。江戸時代 は庶民が数学を娯楽として楽しんだ時代であった。 一方,寺子屋で子どもに算法を教える和算家もい た。使われた教科書に吉田光由の「塵劫記」がある。 ◆教材を更に発展させる視点 - 17 - ○円の方程式と関連させて連立二元二次方程式な どを学習する。 ○不等式を学習する。 第 1 5 時「解の公式,知ってる?」(進める:高等学校[数学Ⅰ],二次方程式) ◆教材について ◆本時の流れ ○二次方程式を高等学校に完全移行する案もあ ったが, 「中学校で二次の世界を垣間見させる」 との考えで,解の公式のみの移行となった。解 の公式を学習すれば実数解を持つ二次方程式 はすべて解ける。興味を持つ生徒も多いと思わ れる。選択数学で是非取り組みたい課題である。 ①二次方程式の復習をする。 ②既習の方法で解けない問題の存在に気付く。 ③解説を読み,解の公式を使って解いてみる。 ○数値を代入して計算するだけの問題,約分が必 要な問題,解が有理数になる問題を扱う。 ④教師の説明を聞く。 ◆指導上の留意点 ○復習問題の中に既習の方法では解けない問題 を入れ,解の公式の必要性を実感させる。 ○平方完成による解き方,文字式の変形は,教師 の説明で納得する程度とし,活用に重点を置く。 ○解答のみにするなど自力解決を促すが,生徒の 実態に応じて個別指導を適宜行う。 ⑤各自で問題に取り組む。 ⑥残った問題は,自主課題とする。 ◆ワークシートの例 15 「解 の 公 式 , 知 っ て る ? 」 平成 年 月 日( ) )年( )組 ( )番 氏名( ) ax +bx+c=0 両辺をaでわってx2 の係数を1にすると b c x2 +−x+−=0 a a 数の項を移項すると b c x2 +−x=−− a a xの係数の半分の2乗を両辺にたすと b b2 2 =−−+ c b2 2 x2 +−+ a (2a) a (2a) 左辺を(x+m)2 の形にすると b )2 = b2 −4ac (x+ 2a 2 (2a) 2 b √b −4ac x+ 2a =± 2a b ± √b2 −4ac x=− 2a 2a 二次方程式の 2 −4ac x= −b± √b 解の公式 2a 2 復習 2 次の二次方程式を解きなさい。 2 (1)x −3x−10=0 (2)x +8x+15=0 (3)2x2 −7x+16=x2 +x ( (4)2x2 +5x+2=0 二次方程式は一般的にax2+bx+c=0と表せます。 だから,a≠1の(4)のような問題もあり得るわけです。 どうやったら,解けるのかな? <考え方> 2x2+5x+2=0 両辺を2でわると 5 x2 +8x+14=0 x 2+−x+1=0 2 数の項を移項すると 5 x2 +8x=−14 x2+−x=−1 2 xの係数の半分の2乗を両辺にたすと 5 25 =−1+25 x2 +8x+16=−14+16 x 2+−x+ 2 16 16 左辺を(x+m)2の形にすると 5 2 =9 (x+4)2 =2 (x+−) 4 16 5 =±− 3 x+4 =±√2 x+− 4 4 5 3 x=−4±√2 x=−−±− 4 4 2 8 x=−−,−− 4 4 1 x=−−,−2 2 ??? 練習 次の二次方程式を解きなさい。 (1)x 2 +5x+1=0 (2)3x 2−9x+5=0 a= b= c= a= b= c= (3) x2−4x−3=0 a= b= c= (4)3x2 −2x−5=0 a= b= c= ◆教材を更に発展させる視点 ○更なる発展問題の例 ○次のような応用問題 ・標準型に整理する問題 ・分数や,小数が係数の問題 ・重解の問題 ・解なしの問題 ・黄金比,白銀比を求める。 ・周と面積がある値の長方形の縦横を求める。 ○xの係数が偶数の場合の解の公式 ○解の公式を図を使って考える。 - 18 - 第 1 6 時「携帯電話の選び方」(深める:数量関係,一次関数) ◆教材について ○数学の中で,関数は社会で最も活用されている ◆本時の流れ 学習内容と言われる。しかし,関数を活用する 学習を実際に行おうとすると,案外,教材が無 いことに気付く。本事例は,生徒も使用の機会 が増えてきた携帯電話を題材に,一次関数を利 用して,複数のプランから自分のニーズに合っ たプランを選ぶ方法を考える学習である。 ○連立方程式,不等号の復習にもなる教材である。 ①携帯電話の多様なプランの話を聞く。 ②示されたプランの特徴について考察する。 ③情報交換をし,一次関数の活用に気付く。 ◆指導上の留意点 ○多くの生徒は表を作成するが,グラフの利用に 気付かないので,適当なタイミングで助言する。 ○グラフ用紙,方眼紙などを準備しておく。 ○y=26x+9200 などと一次関数の式を作れるが,本 当は連続関数ではなく階段状グラフになる。ま とめでこのことにも触れておきたい。 ④更に各自で考える。 ⑤まとめをする。 ・規則がある事象の考察には関数が有効 ・事象を理想化すると活用の幅が広がる。 ◆ワークシートとその記入例 ◆授業を受けた生徒の感想 ◆教材を更に発展させる視点 ○一次関数を使うと簡単に分かり,驚いた。 ○身近に一次関数があることを知り,驚いた。 ○一次関数と連立方程式の関連を実感した。 ○ダイヤグラム ・ダイヤグラムから情報を読み取る学習 ・一定の条件を用意し,ダイヤを組む学習 - 19 - 第 1 7 時「相関関係を見付けよう」(進める:高等学校[数学B],統計) ◆教材について ◆本時の流れ ○小・中学校の度数分布や相関など統計の学習が 削除され,高等学校へ移行された。日常生活や 総合的な学習の時間などでも学習の機会は期 待できるが,統計は数学と日常生活との結び付 きを実感できる教材であり,選択数学で是非取 り組みたい教材の一つである。 ○本事例では,たくさんのデータを整理する度数 分布表,二つの数量の関連性を考える相関図に ついて学習する。 ○前時の終わり 次時の課題を聞く。「関係がありそうな二つの 数量を見付け,データを持参する。学級で調査 をしてデータを集めてもよい。」 ○本時 ①度数分布表の説明を聞く。 ②相関図の説明を聞く。 ◆指導上の留意点 ○前時の最後に,度数分布表や相関図の例を示し, 次時にデータを用意してくるよう伝える。 ○表やグラフの作成にはグラフ用紙を利用する。 ○課題追究的な学習とし,個別指導を中心とする。 ③各自で取り組む。 ④学習のまとめをし,提出する。 ◆ワークシートとその記入例 ◆教材を更に発展させる視点 ○標本調査(混ぜた碁石の白黒の割合を出す。生徒の身長等の平均を求めるなど) - 20 - 第 1 8 時「外国の数学の教科書」(広げる:数と式,平方根) ◆教材について ◆本時の流れ ○生徒の目を海外に向けさせると,外国の中学校 ①外国の数学の学習について想像する。 3年生はどんな勉強をしているのだろう,日本 で学んだ用語を英語ではどう言うのだろうな ど様々な疑問を持つ。本事例では,外国の数学 の教科書を教材に授業を行い,数学の学習につ いて日本と同じところと違うところ,数学の用 ②数学の記号や表現について想像する。 語の英語による表現等を学習する。 ○数学は世界共通の部分が多いと思われている が,案外違いもある。かけ算やわり算の記号, 小数点の違いは有名だが,これらの違いには歴 史的な背景があることに生徒は驚くであろう。 ③プリントに従って学習を進める。 ※教師は,学習が滞らないよう 適宜言葉の意味を説明する。 ④外国の数学の学習,数学の記号の使い方 等についての話を聞く。 また,長さの単位に㎝,mだけでなく ft,in, yd など多種類の単位が使われている国,日常生 ⑥まとめをし,感想を書く。 活と結び付けた問題が必ず取り上げられてい る国など,教科書が人々の生活や国の教育 ◆ワークシートとその記入例 理念等に基づいて作られていることに生 徒は気付き,視野を広げるであろう。 ○国によっては州ごとに教育省があり,教育 方針が異なる。教科書の構成も様々である。 1冊の教科書で,その国の数学教育の全体 を判断できないことには留意したい。 ○教科書の入手は書店に依頼できるが,時間 が掛かる。外国で生活している知人がいれ ば,送付してもらうのが最も速い。 ◆指導上の留意点 ○辞書があっても英語の解釈は難しい。単元 全体に取り組むより,生徒に気付かせたい 内容を含む部分だけ教材にする方がよい。 ○指導する教師にも分からない表現がある と生徒の意欲は低下する。英語の教師に依 頼して事前に内容を理解しておきたい。 ○英文和訳が本時の目標ではない。英語を苦 手とする生徒がいることにも配慮し,全体 や個別の支援を適宜行う。逆に,英語を得 意とする生徒には,他のページを読ませ, 分かったことを全体で報告させたりレポ ートを書かせたりするのもよい。 ◆教材を更に発展させる視点 ○単元のとびらや目次のページを読ませ ると,外国の数学教育への理解が深まる。 - 21 - 第 1 9 時「じゃんけんと確率」(深める:数量関係,確率) ◆教材について ◆ワークシートの例 ○じゃんけんは人数が多くなるとあいこが多く なることを生徒は経験的に知っている。これを 数学的に考察し,じゃんけんの人数と勝ち,負 け,あいこの確率との関係を明らかにする。こ れにより,樹形図を活用して事象を整理し,場 合の数を求める能力の伸長を目指す。 ○じゃんけんをする人数をnとすると,一人が 「グー」で勝つ場合の数は(2n−1−1)になる。 見方を変えると,人数nのときの一人が勝つ場 合の数をanとすると,a n+1=2an+1にな る。このような規則性に気付くと,樹形図をか かなくても確率を求めることができる。 ◆指導上の留意点 ○最初に,一人が勝つか負けるかあいこになるか の確率をじゃんけんの人数ごとに求め,人数と それぞれの確率を考えることを確認する。 ○追究が進んだら,例えば「グー」を出す場合の みに着目すればよいことに気付かせる。 ○右のワークシートを使うと能率的である。二人 ならBが「グー」の場合だけ,三人ならCが「グ ー」の場合だけと,考え方が逆なので理解でき にくいかもしれないが,人数が増えてもAの勝 敗結果は変わらず,場合の数を数えやすい。 ◆本時の流れ ①じゃんけんゲームをし,じゃんけんの人数と 勝敗の関係を調べるという課題をつかむ。 ②各自で樹形図を書いて考察する。 ③「グー」だけで考えればよいことに気付く。 ④人数と勝つ場合の数の間の関係に気付く。 ⑤人数ごとの勝ち,負け,あいこの確率を求める 。 ◆教材を更に発展させる視点 ○トランプのポーカーの役の強さと確率の関係 を調べる。 - 22 - 第 2 0 時「面積の最大値を探そう」(進める:高等学校[数学Ⅰ],二次関数) ◆教材について ◆本時の流れ ○必修数学で放物線を学習すると,原点を通らな ①といは断面積の大きさが大切なことを理解する 。 い放物線の存在に気付く生徒がいる。そこで, 関数y=ax2の学習を発展させ,一般的な二 次関数の入口となる学習をする。 ○教材は幅30㎝の板からコの字型のといを作る とき,断面積の最大値を求める問題である。 ②といの図を書き,面積が変化することを理解する 。 ③面積が最大になる場合を予想する。 ◆指導上の留意点 ○多くの生徒が整数値で考える。本当にそれでよ いのかと投げ掛け,表やグラフを利用して正解 を見付けようとする態度の育成を重視する。 ○グラフが放物線になる関数の式には,必ずx2 の項があり,高等学校で関数y=ax2を発展 させて,二次関数を学習することを理解させる。 ④表とグラフを利用して,面積が最大になる 場合を見付ける。 ⑤まとめをし,二次関数の話を聞く。 ◆ワークシートの例 ◆教材を更に発展させる視点 ○y=ax2の学習について高等学校の教科書を用いて具体的に説明する。その後,y=ax2+qや y=(ax−p)2+qの二次関数のグラフをかき,y=ax2のグラフとの違いや同じところを考察する。 - 23 - 第 2 1 時「算数の難問に挑戦」(広げる:数と式,図形,数量関係) ◆教材について ○算数の学習内容で解決できる問題に取り組む。 もちろん,単純な算数の問題ではなく,既習事 項を利用して論理的に考察しながら解決した り,直観力を発揮して鋭いひらめきによって解 決したりする問題である。多くの小学生には難 しいが,中学校第3学年なら解決できる程度の 問題を用意する。パズル的な面白さもあり,生 徒は熱心に取り組む。 ○問題は,中学校入試問題,算数オリンピックの 問題から適当な問題を用意する。 ◆指導上の留意点 ○小学校の学習内容だけでなく,中学校の学習内 容を利用してもよいことにする。 ○解答は別途用意しておき,解決できた生徒から 答え合わせをさせる。 ○机間指導して適宜ヒントを与えたり,ヒントカ ードを渡したりし,生徒の自力解決を支援する。 ◆本時の流れ <解答>19+57+84+62=222 入れ替えると値が幾ら変化するか考え, 54 増やすことができる組を探す。 2 2 2 2 ○ , , , ,… 3 × 5 5 × 7 7 × 9 9 × 11 の数列で,何番目までをたすと総和が 20/69 に なるでしょう。(大妻中野中) <解答>10 番目,2/3×5=1/3−1/5 を使う。 ○A君はお金を持っていないが,50 円切手と 80 円切手はたくさん持っている。ある日,A君は 十円堂というすべての商品が消費税込み何十円, 何百何十円,何千何百何十円というはしたのな い金額で,しかも切手で支払いができる店に買 い物にやってきた。ところが,この店は切手で 買い物をした場合,お釣りがもらえない。だか ら,A君はお釣りが必要な商品は買わない。さ て,A君が買えない値段をすべて挙げてほしい。 <解答>10∼40,60,70,90,110,120, 140,170,190,220,270 ○図の外側の四角形は,1辺が 10 ㎝の正方形で す。斜めの線で表した四角形の面積を求めなさ い。(第4回算数オリンピック予選問題) <解答> ①算数オリンピックの話を聞く。 ②問題に各自で取り組む。 ※適宜,ヒントを与える。 ③できたら各自で答え合わせをする。 ④発想,論理的な思考についての話を聞く。 ⑤残りは,自主課題とする。 ◆問題の例 ○8枚の紙に1つずつの数字を書き,2枚ずつ組 にして,□ 1 □ 9 +□ 7 □ 5 +□ 4 □ 8 +□ 2 □ 6 =168 のような計算をしました。左辺の4組に対して, 一の位と十の位の数を 例 □ 1 □ 9 →□ 9 □ 1 の ように入れ替えて,右辺の和が + + =222 になるようにしなさい。ただし,入れ替えはい くつの組に行ってもよいものとします。 (プール学院中) ○半径4㎝の円の中で,2本の直線が垂直に交わ っている。A+CとB+Dの面積の差を求めな さい。(第2回算数オリンピック予選問題) <解答> + - 24 - ◆教材を更に発展させる視点 ○参考になる書籍やWebページが数多くある。 それらを参考に様々な問題に取り組む。 第 2 2 時「エッシャーの敷き詰め」(楽しむ:図形パズル,コンピュータ活用) ◆教材について ◆元絵の作成 エッシャーは「敷き詰め」を数学的に研究し,そ 画像編集ソフトを利用し,元絵を作る。ここでは, れを生かして多くの作品を制作した20世紀の版画家 である。長崎のハウステンボスには美術館があり, 作品集を手に入れることもできる。エッシャーの研 究成果を生かし,コンピュータのデスクトップの「並 べて表示」機能を使った作品制作を行う。 「Microsoft ペイント」の利用を例に説明する。 ①ワープロソフト上で,元絵作成用の枠を右クリ ックし,「コピー」を選択する。 ②画像編集ソフトを起動させ,「編集→貼り付け」 を選択する。「クリップボードの絵はビットマ ップより大きいです。ビットマップを大きくし ますか?」は「はい」を選択する。 ③画像が大きいときは,「変形→伸縮と傾き」で, 適当な大きさに伸縮する。 ④「表示→ツールボックス」で,ツールボックス を表示させ,「直線」を思うとおりに引く。 ⑤「塗りつぶし」で好きな色を塗る。 ◆授業に必要なソフトウェア ○ワープロソフト(「Microsoft word」など) ○画像編集ソフト(「Microsoft ペイント」など) ○用意が可能であればプレゼンテーションソフト (「Microsoft PowerPoint」など) ◆元絵作成用の枠の作成 ワープロソフトを利用し,元絵作成用の枠を作る。 ここでは, 「Microsoft word」の利用を例に説明する。 ①shift キーを利用して正方形を作る。 ②ctrl キーを利用して正方形をコピー し,5個並べてグループ化する。 ⑥「ファイル→名前を付けて保存」で JPEG 形式に して,好きな名前で保存する。 ⑦「変形→反転と回転」で絵を裏返したり,ひっ くり返したり,横に向けたりして合計四種類以 上の絵を作り,保存する。 ⑧プレゼンテーションソフ トを起動させ,四種類の 画像を呼び出して合成し, 保存する。 ③ctrl キーを利用して②をコピーし,5列並べて グループ化する。 ④③より少し小さい枠なしの正方形を作り,③に 重ねてグループ化する。これで完成。 ◆作品の完成と印刷 ①デスクトップで右クリックし, 「プロパティ→背 景→参照」で合成したファイルを「開く」にし, 「OK」を押すと,作品が完成する。 ② 印 刷 を す る 場 合 は , キ ー ボ ー ト で 「 Print Screen」し,画像編集ソフトで「編集→貼り付 け」をして作品を呼び出し,印刷する。 ◆指導上の留意点 ○可能であれば,2時間扱いが好ましい。 ○操作の手順をプリントにして生徒に配布する と,重点的な個別指導を行うことができる。 - 25 - 第 2 4 時「カクシリキの威力」(広げる:図形,相似) ◆教材について ○縮図を利用して建物や木の高さ,人の身長など を測る学習は教科書にも掲載されており,実践 する学校も多い。本事例では, 「カクシリキ(角 知り器)」を作成し,それを利用しながら,建 物や木の高さを測る学習を行う。 <使い方> ①「カクシリキ」のストローの穴から,高さを 測りたいものの頂上が見えるようにする。 x ◆本時の流れ ①本時は相似を利用して木や建物の高さを測 ることを知る。 a ②他の者が,五円玉をぶら下げた糸を見て角度 θを測る。この角度と仰角とが等しくなる。 ②「カクシリキ」についての説明を聞く。 θ ③「カクシリキ」を作る。 ④各自でいろいろなものの高さを測る。 ⑤調べたものの高さを報告し合う。 ③他の者が,測定者から測定物までの距離aを 巻き尺等で測る。 ④縮図を書いてb, hの長さを測る。 θ h ◆「カクシリキ」について <材料> ・CDケース ・ストロー ・画用紙 ・五円玉 ・糸 ・分度器のコピー <作り方> ①CDケースにストローを取り付ける。 ②画用紙に分度器のコピーをはる。 ③分度器の0゜の線がストローと垂直になる ように画用紙をCDケースの中にはる。 ④五円玉に糸を結び付ける。 ⑤分度器の中心に,④の糸の先をはり付ける。 ⑤a:b=x:hを解く。 ◆指導上の留意点 b ○二人組で行う。 ○材料の用意があれば,作成は簡単である。でき るだけ多くのものの高さを調べさせたい。 ○仰角を大きくすれば,aを小さくすることがで きる。1m等,固定することも可能である。 ○計算は電卓を使って行う。 ◆教材を更に発展させる視点 ○分度器ではなく,定規のコピ ストロー hb ーをはる「カクシリキ」もあ る。写真は5㎝,10 ㎝のコピ ーをはっている。するとb, hの長さは縮図を書かずに, 読み取ることができる。このように「カクシリ 糸 五円玉 キ」を工夫させる学習も考えられる。 ○定規のコピーの「カクシリキ」を発展させると x=ah/b=atanθとなる。これを基に,三 角関数の学習に発展させることもできる。 分度器の0゜の線 - 26 - 第 2 5 時「グラビアも使いよう」(広げる:図形,相似) ◆教材について ◆本時の流れ ○地図には縮尺が添えられている。縮尺を使えば 本当の距離が分かる。釣り上げた大きな魚の写 真をたばこの箱と一緒に撮る釣り人がいる。い つでも本当の大きさを証明できるようにする ためである。このことを応用し,雑誌等のグラ ビアや写真から人物の身長やものの長さなど ①写真の男性の身長の求め方を考える。 ②相似比を利用して身長を求める。 ③地図の縮尺,大きな魚の写真の話を聞く。 を求める学習を行う。 ◆指導上の留意点 ○正確な測定のためには,真正面から撮った写真 が必要である。実際は少し斜めからの写真が多 く誤差が出る。多少の誤差は認め,相似を活用 することのよさを味わえることを重視する。 ④各自が用意したグラビア等で,人物の身長, 建物の高さなどを求める。 ⑤本時のまとめをする。 ◆教材の例 「岡山県万能地図」8)から引用 ◆教材を更に発展させる視点 ○ディジタルカメラを利用して高さを測る学習 建物や木を基準物と一緒に撮影し,ディスプレ イに写したり印刷したりして測る。この学習で 校から地域の主な場所や総合的な学習の時間な どに訪れた場所までの距離を調べる。 また,東アジア等の地図を使い,岡山から日 は,基準物の選び方が学習効率にも大きく影響 する。生徒が工夫するよう指導したい。 ○地図を活用する学習 地域の地図を使い,家から学校までの距離,学 本各地や近隣諸国までの距離を調べて,日本の 南北の長さを実感したり,北海道より韓国の方 が近いことを知ったりするなど,数学を活用し て社会を知る学習を行うことが考えられる。 - 27 - 第 2 6 時「前進ゲーム」(楽しむ:対戦型論理パズル) ◆教材について ◆必勝法(先手必勝) ○「前進ゲーム」は3×9のますに図のようにこ まを置き,交互にこまを動かすゲームである。 将棋盤があれば,そのうちの3行を使えばよい。 こまは碁石,コイン, こま 将棋の駒,小石等何で もよい。ルールも次の とおり簡単である。 <ルール> ・前後だけ動かせる。 ・何目でも動かせる。 ・交互に動かす。 ● ● ● A B C ○ ○ ・動けなくなった方が ○ 負けである。 ○「前進ゲーム」には必勝法がある。対戦型ゲー ムのよいところは,必勝法があり,生徒のだれ かが気付いて勝ち続け,他の生徒が必勝法を見 付けようと一生懸命になることである。逆に言 えば,必勝法に気付きにくい対戦型ゲームは教 材として不適切ということになる。 ◆指導上の留意点 ○ある程度の人数の生徒が必勝法に気付くまで, 自由にゲームをさせる。そのような生徒が現れ ない場合は,教師が生徒に勝ち続ければよい。 ○必勝法に気付く生徒が増えたら,それをきちん と言葉にまとめさせる。そして,その理由を考 えさせる。生徒の実態に応じて,進め方は工夫 する。 ○向かい合うこまの間(左図のA,B,C)のま す目の数が,自分の手番の後,次の条件を満た すように調整できれば勝てる。 ①ます目の数を1,2,4のたし算で表す。 左図だと,A:3=1+2 B:5=1+4 C:7=1+2+4 ②たし算の各項のうち,同じ数の項を組にする。 1−1,2−2,4−4 1が余る。 ③例えばCを1目動かし,余りを取り除く。 ④以後,自分の手番後に,余りがないように1, 2,4の組を作れたら勝てる。 ※①のとき,一つの列について,同じ数を使って たし算を作ると,次のように相手の勝ちになる。 A:1,B:5,C:1の局面で, B:5=1+2+2と考えて Cを1目前進⇒A:1,B:5,C:0 相手はBを4目前進⇒A:1,B:1,C:0 ◆教材を更に発展させる視点 ○必勝法に気付きやすい対戦型ゲームを紹介する。 <三山くずし(みやまくずし)>(先手必勝) ○ゲームの方法 ①碁石の山を三つ作る。 ②好きな山から,好きなだけ碁石を取る。 ③最後の1個を取ったら勝ち。 ○必勝法 前進ゲームと同じ。各山の碁石の数を1,2, 4,8,…のたし算で表し,組を作っていく。 <花びらゲーム>(後手必勝) ○ゲームの方法 ①マッチ棒を 13 本花びら状に並べる。 ◆本時の流れ ①ゲームの仕方を聞く。 ②好きな相手とゲームをする。 ②1本または2本のマッチ棒 を取る。2本取る場合は, ゲーム開始時に隣同士の位 置のもののみが許される。 ③最後の1本を取ったら勝ち。 ③ゲームを通じて,必勝法を考える。 ④必勝法を言葉にまとめ,理由を考える。 ⑤ますの数を変えてゲームを続ける。 - 28 - ○必勝法 自分の手番後,対称形+1本になるようにする。 基本的には,相手が取るのと対称の位置にある マッチ棒を取ればよい。 第 2 7 時「1999年問題」(広げる:数と式,演算記号) ◆教材について ◆本時の流れ ○第2時「four fours」の応用的な学習である。 ①計算の約束を聞く。 第2時の経験を生かし,生徒は熱心に取り組む。 この課題により,計算力を確かにするとともに, 演算記号の理解を深めることを目標とする。 ○岡山大学教育学部附属中学校数学科のWeb ページに「 1998 年問題」に取り組んだ結果が公 ②各自で取り組む。 ③情報交換をする。 開されており,参考になる。 ◆指導上の留意点 ○生徒の実態に応じ,0∼20,0∼50 など問題の 範囲を絞る方がよい場合もある。 ○生徒をグループ分けし,全員が取り組む問題と 分担して取り組む問題に分ける方法もある。 ○授業中に解決できなかった問題は答えを募集 し,掲示等をすると生徒は励みにして頑張る。 ④再び,各自で取り組む。 ⑤教師のまとめを聞く。 ⑥残った問題は,自主課題とする。 ◆ワークシートの例 27 平成 「1 9 9 9 年 問 題 」 年 月 日( ) 1999の間に,+,−,×,÷,√,かっこを加えて式を作ろう。 できなければ, ^(べき乗),!(階乗),[ ](ガウス記号)もOK。 1 9 9 9 = 0 1 9 9 9 = 1 1 9 9 9 = 2 1 9 9 9 = 3 1 9 9 9 = 4 1 9 9 9 = 5 1 9 9 9 = 6 1 9 9 9 = 7 1 9 9 9 = 8 1 9 9 9 = 9 1 9 9 9 = 10 1 9 9 9 = 11 1 9 9 9 = 12 1 9 9 9 = 13 1 9 9 9 = 14 1 9 9 9 = 15 1 9 9 9 = 16 1 9 9 9 = 17 1 9 9 9 = 18 1 9 9 9 = 19 1 9 9 9 = 20 1 9 9 9 = 21 1 9 9 9 = 22 1 9 9 9 = 23 1 9 9 9 = 24 1 9 9 9 = 25 1 9 9 9 = 26 1 9 9 9 = 27 1 9 9 9 = 28 1 9 9 9 = 29 1 9 9 9 = 30 1 9 9 9 = 31 1 9 9 9 = 32 1 9 9 9 = 33 1 9 9 9 = 34 1 9 9 9 = 35 1 9 9 9 = 36 1 9 9 9 = 37 1 9 9 9 = 38 1 9 9 9 = 39 1 9 9 9 = 40 1 9 9 9 = 41 1 9 9 9 = 42 1 9 9 9 = 43 1 9 9 9 = 44 1 9 9 9 = 45 1 9 9 9 = 46 1 9 9 9 = 47 ( )年( )組( 1 9 9 9 = 48 )番 氏名( 1 9 9 9 = 49 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 ) 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 ◆教材を更に発展させる視点 ○1時間ではあまり進まず,物足りなさを感じる ○一つの数字を求める方法が多数考えられる場合 生徒が多い。できれば,2時間扱いがよい。 ○生徒の誕生年,学校の開校年などで「 1987 年問 題」など,生徒と一緒に計算する年を決め,取 り組むのもよい。 もあり,一番たくさんの方法が考えられる数を 見付ける学習も考えられる。 ○他校との共同学習とし,電子メール等を使って 答えを交換したり,競争したりするのも面白い。 - 29 - 第 2 8 時「面白いこまを作ろう」(進める:図形,高等学校[数学A],重心) ◆教材について ◆準備物 ○こまは幼いころから遊び親しみ,小学校では円 市販のこま,どんぐりのこま,厚紙で作ったこま の学習と関連してこま作りを行うなど,生徒に とってなじみが深い教材である。本時は,学習 指導要領の改訂で高等学校に移行された重心 の学習と関連させて,こま作りを行う。 ○本事例では,三角形のこま作りを通して,重心 (円,三角形,四角形,不定形),三角形に切った厚 よう じ 紙,方眼紙,はさみ,楊枝,糸,セロハンテープ の意味とその見付け方を理解し,それを利用し て四角形のこまや不定形のこまの作り方を考 えるところまで学習する。 ◆本時の流れ ①重心について知る。 ・教師が市販,どんぐり,円のこまを回 すの見て,軸の位置を考える。 ・重心について理解する。 ◆指導上の留意点 ○生徒の実態に応じて,教師が演示する内容と生 徒自身が活動する内容を調整する。 ○重心の意味を体験的に理解することを中心と し,数学的な意味に深入りしない。 ◆教材を更に発展させる視点 ○二つ以上の図形を組み合わせたこま作り 長方形を二つ組み合わせた図形で考える。 ①二つの長方形の重心を結ぶ。この線上に全体 の図形の重心が来るはずである。 ②別の分け方で,二つの長方形の重心を結ぶ。 ③2本の線分の交点が全体の重心である。 ②三角形のこまの作り方を考える。 ・教師が三角形のこまを回すの見る。 ・実際に厚紙で三角形のこまを作りなが ら三角形の重心の求め方を考える。 ③三角形の重心の求め方を理解する。 ・三角形の重心は中線上にあること ・2本の中線の交点が重心になること ○四角形のこま作り 上の方法を応用すると,多角形の重心を求める ことができる。四角形を例に図示する。 ④自由に三角形のこまを作り,回してみる。 ⑤三角形の中線は重さを等分する線である ことを理解する。 ・三角形の頂点に糸を付け,糸を持って ぶら下げると,糸と中線が一直線にな ることから,中線が重さを等分する線 であることを理解する。 ・糸を三角形の辺上に付けても,糸の延 長線は重心を通ることを確認する。 ⑥四角形や不定形のこまを作る。 ・教師が四角形や不定形のこまを回すの を見た後,⑤の方法を使って四角形や 不定形の重心を求め,こまを作る。 - 30 - 別の方法もある。 ①等積変換により三角形に変形し,中線を引く。 ②他の等積変形で三角形にして,中線を引く。 ③交点が重心である。 第 2 9 時「矢っ解なパズル」(楽しむ:操作型図形パズル) ◆教材について ◆パズルの作り方 ○「ひっくり返し」と同様に,生徒の人気が高い のが,この「矢っ解なパズル」である。実際に 操作するため,どんな生徒でも自分なりの取り 組みができる点が人気の秘密と思われる。この パズルのルールは次のとおりである。 ○同じ色同士が隣り合うこと。 ○隣り合う場合は,矢印の頭と尾がそろうこ と。ただし,端に来る部分はどの色でも, (図は「パズルをつくる」9)から引用) 青 白 頭でも尾でもよい。 ○「ひっくり返し」との違いは,授業時間内に解 けてしまう生徒が現れる場合が多いことであ る。そのような生徒に,解決の方法を尋ねると, 次のような答えが返ってくることが多い。 青 白 白 1 赤 緑 2 緑 赤 青 3 緑 白 赤 緑 青 白 4 青 赤 5 緑 緑 6 赤 白 青 青 赤 白 7 緑 赤 緑 8 青 白 赤 9 白 赤 緑 青 ◆解答 ○スタートのパーツを一つ決める。 ○その中の一つの色に着目する。 ○調べていく順番を決める。 ○並べた結果を記録し,並べ方を絞っていく。 ◆指導上の留意点 ○自由に取り組ませる。解答は一通りなので,早 くできた生徒には,他の課題を用意する。 ○のりとはさみを用意させておく。 ◆本時の流れ ①厚紙とパズルを印刷した紙を受け取る。 ◆教材を更に発展させる視点 ○図は四つ組み合わせると正四面体ができる立体 ②パズルの作り方とルールを聞く。 パズルの展開図である。これも生徒が熱中する。 (図は「パズルをつくる」10)から引用) ③各自でパズルを作り,取り組む。 ④教師は適宜,上記のようなコツを伝える。 ⑤後は,自主課題とする。 - 31 - 第 3 0 時「三平方の定理の証明」(深める:図形,三平方の定理) ◆教材について ○アインシュタイン(ドイツ) ○三平方の定理の証明は100以上あると言われる。 中学生が証明できる方法も多い。幾つかを提示 し,図形の学習のまとめとして取り組ませる。 ○扱う証明は,証明の記述が簡単な後に示す5種 類とする。これにより証明を書く練習を兼ねる。 ◆指導上の留意点 ○図だけを印刷したプリントを配布し,生徒各自 に取り組ませる。教師への質問,友達との相談 も可とする。 ○解答プリントを用意し,各自で解答させる。 ◆本時の流れ BD=xとおくと,CD=c−x 相似の比の式を作ると,b2=cx また,a2=c2−cx ∴ a2+b2=c2 ○レオナルド・ダ・ヴィンチ(イタリア) 図を破線で切り,上半分を裏返してくっつける。 ①三平方の定理の教科書の証明を復習する。 ②各自で証明に取り組む。 ③必要に応じて,教師に質問したり,友達と 相談したりする。 a2+b2+1/2ab×2=c2+1/2ab×2 ∴ a2+b2=c2 ○円を使う ④教師のまとめを聞く。 中心Oから三角形の頂点に線を引き, ⑤残った問題は,自主課題とする。 ◆証明の例 ○バスカラ(インド)の証明 正方形の面積を 二通りに表す。 (証明略) 内接円の半径をrとすると r(a+b+c)/2=ab/2 ∴ r(a+b+c)=ab ………① また,接線の性質から a+b−2r=c ∴ r=(a+b−c)/2 ………② ①,②より(a + b − c)(a + b + c)/ 2 = a b ∴ a2+b2=c2 ※学習指導要領外なので,特に進んだ生徒用 ○ガーフィールド(アメリカ第 20 代大統領) 台形の面積を 二通りに表す。 (証明略) ◆教材を更に発展させる視点 ○ユークリッドによる三角形の等積変形を使う 証明や平行四辺形を使う証明 ○三平方の定理の並べ替えパズルを作る。 - 32 - 第 3 4 時「いろいろなパズル」(楽しむ:数と式,図形,数量関係) ◆教材について ○1年間のパズルに関する学習のまとめとして, 書籍や雑誌が多数出版されているパズルを紹 介し,取り組む。人々に人気のパズルも,数学 的に考えると解決しやすいことに気付かせる とともに,このようなパズルに親しむ知的な大 人に成長してほしいとの願いを込める。 <ナンバープレイス> ○すべての縦列,横列,小正方形(3×3)に, 1∼9が一つずつ並ぶように数字を入れる。 ○扱うパズルは,マッチ棒パズル,ナンバープレ イス,イラストロジックとする。 ◆指導上の留意点 ○パズルのルールは,一括して簡単に説明する。 ○どのパズルから取り組んでもよいことにする。 ○別に解答を用意し,適宜活用させる。 ○あらかじめパズルの例を紹介しておき,各自が 好きなパズルを家庭から持参させるのもよい。 ◆パズルの例 <マッチ棒パズル> (図は「数学パズル事典」11)から引用) ①8本取り除いて正方形を二つ作る。 (答え)省略 <イラストロジック> (図は「パズルランド」ア)から引用) (ルール) ・上,左の数字は, 「その列や行に,数字の個数 分連続したパーツがある」との意味である。 ・二つ以上の数字があるときは, 「パーツの間に 必ず1個以上の空白がある」との意味である。 ・数字に合うように色を塗っていけばよい。 (色を塗る場所の見付け方) ・左から9列目は,全部塗ることが分かる。 ・他の列や行は,数字から判断し,必ず色を塗 ることになるますを見付けて色を塗っていく。 各数字の和+数字の個数−1が各列や行のま (答え) すの数より大きければ,必ずどこか塗れる。 ・そうやって,少しずつ色を塗る場所を増やし 絵を完成させる。 ②隣り合う2本を動かして,4回でAをBにする。 (答え) ①左から2,3番目⇒右から1,2番目 ②左から5,6番目⇒左から2,3番目 ③右から2,3番目⇒左から5,6番目 ④左から1,2番目⇒右から2,3番目 ◆教材を更に発展させる視点 ○カックロなど他にも様々なパズルがある。楽し さを味わえるパズルを見付けて紹介する。 - 33 - 第 3 5 時「選択数学の学習を終えて」(広げる) ◆教材について ◆本時の流れ ○1年間の学習を振り返り,まとめをする。自分 ①1年間の学習を振り返ることを確認する。 のこれまでの学習を見詰め,自分にとって数学 の学習にはどんな意義があるのか,今後,数学 の学習にどう取り組んでいくのかを考え,今後 の数学の学習目標を考える契機とする。 ○数学の歴史に触れることで,数学の意味,人と ②教師の指示に従い,強制速度法で回答する。 数学とのかかわりなどを理解し,今後の数学の 学習に対する意欲を高める。 ○後輩へのメッセージを書かせることで,教師は 教材や指導方法の改善を図る。 ④数学の歴史についての話を聞く。 ③文章記述の問題に回答する。 ◆指導上の留意点 ⑤今後の目標を書く。 ○生徒の本音を引き出すため,特にワークシート の前半は,教師が問題や項目を読みながら進め る強制速度法で行う。 ⑥記述内容を発表し,教師のまとめを聞く。 ◆ワークシートの例 35 ( 「選 択 数 学 の 学 習 を 終 え て 」 平成 年 月 日( ) 1年間の選択数学,どうでしたか。1年間を振り返り, 学習の成果を確認したいと思います。次の表のそれぞれの 項目について,当てはまるものにすべて○を付けよう。 回 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 テ ー マ ひっくり返し four fours 不思議な速算術 倍数の見分け方 最大公約数と最小公倍数 因数分解は奥が深い 円を深める 合同の証明は面白い 魔方陣 点字と場合の数 江戸時代の数学と連立方程式 鶏狗章魚算 黄金比 タングラム 解の公式,知ってる? 携帯電話の選び方 相関関係を見付けよう 外国の数学の教科書 じゃんけんと確率 面積の最大値を探そう 算数の難問に挑戦 エッシャーの敷き詰め 図形問題と方程式 「カクシリキ」の威力 グラビアも使いよう 前進ゲーム 1999年問題 面白いこまを作ろう 矢っ解なパズル 三平方の定理の証明 数と式の難問に挑戦 関数の難問に挑戦 図形の難問に挑戦 いろいろなパズル 選択数学の学習を終えて 楽しい 没頭 )年( )組( )番 氏名( ) ◆ 次 の 点 で ,第 1 位 だ と 思 う 授 業 の テ ー マ 名 と 理 由 を 書 こ う 。 〕 1 楽 し か っ た 授 業〔 難しい 2 没 頭 し た 授 業〔 〕 3 難 し か っ た 授 業〔 〕 ◆選択数学の学習の反省をしよう。 1 前向きに取り組めましたか。 2 数学の力を伸ばせましたか。 はい はい いいえ いいえ 伸ばせた力: ◆選択数学の授業についての感想を書こう。 ◆後輩のために,次の問いに答えてください。 1 数学を選択した理由 好きだから 得意だから 苦手だから その他〔 2 数学を選択する後輩へのアドバイス 〕 ◆今後の数学の学習に対する目標を書こう。 ◆教材を更に発展させる視点 ○数学史について,演習も行いながら説明する。 ・数学は真理を追究する学問であること (例)円周率の値,ユークリッド幾何学 ・数学は知的な喜びを味わえる学問であること (例)算額,パズル,三平方の定理の証明 - 34 - ・数学は人の能力を伸ばす学問であること (例)論理的思考力,数量関係の整理 ・文化の発展とともに数学は進化してきたこと (例)記数法,計算法,黄金比など ・数学の進化により文化が発展すること (例)確率変動による経済予測,微分方程式 Ⅴ おわりに 本研究では,中学校第3学年選択数学における発 展的な学習の在り方について研究し,年間指導計画 と指導事例を提案した。誌面の関係で紹介できなか 選択学習が拡充され,多くの時間の運用が学校に 任された。工夫のない取り組みでは膨大な時間が無 駄になる。選択学習の課題は大きい。しかし,生徒 が個性を伸ばすことへの期待や楽しみも大きい。 各学校で,本紀要を選択数学の充実のために活用 った事例については,次を参考にしていただきたい。 岡山県教育センター 第2時「four fours」 研究紀要第223号 「情報機器等を効果 第13時「黄金比」 的に活用する中学 第14時「タングラム」 校数学の学習」 第23時「図形問題と方程式」 していただけると幸いである。また,本紀要を参考 にして各学校の選択数学の教材開発が進み,互いに 情報交換ができるようになればと考えている。 最後に,お忙しい中,本研究に御協力いただいた 岡山市立東山中学校の秋山真先生,岡山市立桑田中 第31時「数と式の難問に挑戦」 第32時「関数の難問に挑戦」 第33時「図形の難問に挑戦」 本紀要 第8時 「合同の証明 は面白い」 学校の野崎雄一先生,岡山市立操南中学校の松浦敏 之先生,岡山市立上道中学校の日下部克之先生に心 から感謝申し上げたい。 ○引用文献 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 文部科学省:個に応じた指導に関する指導資料(中学校数学編),p.4,2002 数学教育協議会・小沢健一:算数・数学おもちゃ箱,国土社,pp.20-21,1998 東京書籍:新しい数学FAXシート,1989 野崎昭弘:数と計算がわかる,ベレ出版,pp.120-121,2001 向山洋一,甲本卓司:総合的学習に使える福祉ボランティアテキスト集,明治図書,pp.7-18,1999 東京教育技術研究所ジュニアボランティア教育本部:学習点字ペン,付録 佐藤健一:吉田光由の『塵劫記』,研成社,p.69,1997 山陽新聞社出版部:岡山県万能地図,p.53,山陽新聞社,2000 芦ヶ原信之:パズルをつくる,p.10,大月書店,1984 同上書 9),p.40 11) 上野富美夫:数学パズル事典,東京堂出版,p.133,p.137,p.139,2000 ○参考文献 ・ 中村義作:算数 100 の難問・奇問,1988 ・ 樺旦純:数学おもしろ事典,三笠書房,1990 ・ 上垣渉:続 算数・数学授業を楽しくする数学史の話,明治図書,1992 ・ ・ ・ ・ ・ 数学教育協議会・銀林浩:算数・数学なぜなぜ事典,日本評論社,1993 中宮寺薫:数学通になる本,オーエス出版社,1994 創育編集部:ニューレベル演習[ハイエスト数学],創育,1997 東大算数研究会:パズル気分で算数オリンピック,講談社,1997 仲田紀夫:数学がらくに強くなる本,王様文庫,2002 ・ 秋山仁:パズルで算数アタマをみがく本<中学入試攻略編>,小学館,2000 ・ 植野義明:コ ン ピ ュ ー タ を 利 用 し た 芸 術 と 数 学 の 総 合 学 習 , コ ン ピ ュ ー タ & エ デ ュ ケ ー シ ョ ン Vol.13 ,柏書房,2002 ・ 相馬一彦,國宗進,長崎栄三:細案・略案で見る中学校新数学科授業プラン集3「数量関係」編,明治図書,2002 ・ 文英堂編集部:最高水準問題集数学中学2年,文英堂,2002 ○Webページ ア) 服部昌一郎:パズルランド(http://hattori.m78.com/puzzle/picture/index_j.html) ・ (有)トリト:パズル遊びへのオンライン版(http://www.torito.co.jp/) ・ 仲村文則:四角形の重心のちょっとした誤手技,数学のいずみ (http://www.nikonet.or.jp/spring/index.html) ・ 谷正博:数学の教具室(http://tani.cn1.jp/home.html) - 35- FAX 用紙(所員研究係行き) ********************** 岡山県教育センター研究紀要をお読みくださり,ありがとうございました。皆様の御意見 を,今後の所員研究や学校支援の改善のための参考とさせていただきますので,次のアンケ ートに御協力ください。 岡山県教育センター研究紀要に関するアンケート 本書のタイトル:研究紀要第 242 号 1 個性を伸ばす選択数学の学習 2 あなたの所属はどちらですか。 県内:小学校,中学校,高校,特殊教育諸学校,大学,教育機関,その他( 県外:小学校,中学校,高校,特殊教育諸学校,大学,教育機関,その他( 本書を何で知りましたか。 (a) 岡山県教育センターからの送付 (c) 岡山県教育センターのWebページ (b) 岡山県教育センターの所報 (d) 岡山県教育センターの研修講座 (e) 岡山県教育センター所員研究成果発表会 (f) 他の先生等からの紹介 (g) その他( 3 ) ) ) 本書の内容についての御意見・御感想をお聞かせください。 (1) よかった点,教育実践に役立つと思われる点について記述してください。 (2) 工夫,改善すべき点について記述してください。 4 あなたの所属では,選択教科の学習について,どのようなことが課題になっていますか。 御協力ありがとうございました。このページの写しをファクシミリで下記へお送りください。 ****** FAX 086−272−1207 岡山県教育センター所員研究係 平成 1 3 ・1 4 年度岡山県教育センター所員研究 中学校数学協力委員会 協力委員 秋山 真 野崎 雄一 岡山市立桑田中学校教諭 松浦 敏之 岡山市立操南中学校教諭 日下部克之 岡山市立東山中学校教諭(平成13年度 岡山市立中山中学校教諭) 岡山市立上道中学校教諭(平成 14 年度) なお,岡山県教育センターでは,次の者が本研究に当たった。 金光 一雄 教育経営部指導主事 平成 15 年2月発行 個性を伸ばす選択数学の学習 編集兼発行所 岡山県教育センター 〒703-8278 岡山市古京町二丁目2番 14 号 TEL (086)272-1205 FAX (086)272-1207 URL http://www.edu-c.pref.okayama.jp/ E-MAIL [email protected] 9Okayama Prefectural Education Center
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