期間制限こえたら直接雇用義務 制限のがれの「クーリング」は違法

■「派遣切り」を食い止める道・・・Q&A
▼期間制限こえたら直接雇用義務
Q
派遣は大部分が違法状態にあるとは、どういうことでしょうか。
A
まず労働者派遣法の大原則から説明します。
その大原則とは、派遣は「臨時的・一時的業務に限る」「常用雇用の代替(正社員を派
遣に置き換える)にしてはならない」ということです。それを担保するために、派遣可能
期間を「同一業務」で最長3年に制限しています。これをこえて働かせることは違法にな
ります。制限をこえて働かせる場合、派遣先企業は、労働者に直接雇用を申し込む義務が
あります。(労働者派遣法第40条4項)
同じ職場で3年をこえて派遣で働いた人はもちろん、期間が短い人でもその現場が3年
をこえて派遣を使っている場合は、直接雇用にしなければならないということです。
ところが製造業の大企業は、この大原則に反して、製造ラインなど恒常的な業務に長期
にわたって派遣を入れて、常用雇用の代替状態にしています。そして「偽装請負」などさ
まざまな違法な手口で3年の期間制限をごまかして、直接雇用義務を逃れてきました。
志位委員長の質問によって、こういう「偽装請負」のようなことも派遣期間に通算され
ることになりました。ですから「契約満了だからしかたがない」とあきらめず、期間制限
に違反していないかどうかをチェックしてみることが大事です。
▼制限のがれの「クーリング」は違法
Q
派遣で3年超える前に期間工になって、また派遣に戻るというのをくり返してきまし
た。こういうケースは違法ですか。
A
派遣期間制限を逃れるための「クーリング」といわれるもので、典型的な違法の一つ
です。
派遣と派遣の間に、3カ月と1日以上派遣を受け入れない空白期間があれば、継続した
派遣とみなさないという厚生労働省の指針(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」14
項3)があります。これを「クーリング期間」といいます。
大企業はこれを悪用して、派遣労働者をいったん「サポート社員」などの名で期間社員
にし、「クーリング期間」がすぎたらまた派遣に戻すやり方を派遣会社と結託してくり返
しています。
志位委員長は、こういう「クーリング期間」のあと、派遣に戻すことが派遣元と派遣先
のあいだで予定されている場合は違法になると追及しました。舛添厚労相は指摘を認め、
「再び派遣労働者として派遣就業させることを予定していると認められる場合には、職業
安定法44条で禁止している労働者供給に該当し、違反になる」と答弁しました。そして
「適正な『クーリング期間』が設けられたといえないために、最初の派遣開始から最大3
年の派遣可能期間が経過した時点以降は派遣を行うことができない」とのべました。
違法な「クーリング」は、派遣期間制限をクリアしたことにはなりません。したがって
違法派遣になるということです。
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▼期間制限は「業務」に適用
Q
派遣で働いて、期間が3年に満たない場合は、あきらめなければならないか。
A
そうではありません。労働者派遣法で派遣可能期間を3年としているのは、人ではな
く「同一の業務」なのです。つまり、製造業だったら同じ製造ラインで3年を超えて派遣
を使ってはならないということです。これは3年を超えてなお継続するような業務は、「臨
時的・一時的な業務」とはいえない恒常的なもので、そういう業務は正社員(直接雇用)を
使うという考えによるものです。
ですから3年を超えてなお派遣を継続している業務は、個々の派遣労働者が半年だろう
と一年だろうと関係なく違法になります。本来、直接雇用であるべき業務なのですから、
そこで派遣として働いている労働者に直接雇用を申し出るのは当然です。
派遣の期間が短いからとあきらめる前に、その業務にいつから派遣を入れているかチェ
ックする必要があります。
▼「偽装請負」も派遣期間に通算
Q
「契約満了」で雇い止めされました。はじめ請負で2年、そのあと派遣になって2年
でしたが、同じ製造メーカーでまったく同じ仕事でした。これは3年の期間制限をこえ
たことになるのか。
A
これは請負の期間が「偽装請負」と考えられます。とすれば派遣の期間を通算して3
年の期間制限をこえたことになります。
請負と派遣は本来、まったく働き方が違います。請負は、仕事を受注した企業がすべて
自分の責任で仕事を完成させるもので、発注したメーカーは仕事の指揮をすることはでき
ません。請負のときも派遣のときも、同じメーカーで仕事のやり方が同じだったというの
は、請負の期間が実態は派遣だったということです。
派遣なのに請負と装う、これが「偽装請負」です。志位委員長の質問にたいして舛添厚
労相は、これは派遣期間に通算すると答えました。
「契約の形式にかかわらず、実態として労働者派遣事業が行われている場合は、派遣期
間として通算する」「偽装請負が行われていた場合は、偽装請負の期間も通算し、実態と
して労働者派遣事業が行われている期間により、派遣期間を判断する」
これは大事なチェックポイントです。労働者派遣法の改正で製造業への派遣が可能にな
ったのは2004年3月からですが、実は製造業の多くはそれ以前から請負という形で事
実上の派遣を入れていました。これが06年ごろに「偽装請負」として社会問題になり、
多くが派遣に切り替わりました。ですから、いま派遣の人はその前が「偽装請負」だった
可能性が高いのです。
「偽装請負」の期間と派遣期間を通算し、それが3年を超えれば違法になる。そのこと
を国会で政府答弁として認めさせたのは非常に重要です。
▼違法わかったら労働局に申告
Q
違法だと分かったらどうすればいいのか。
A
違法な状態で派遣労働者を使っていた大企業の責任は、きわめて重いといえます。い
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ま「派遣切り」にあって寒風に放り出されている人の大部分は、大企業がきちんと法律を
守っていれば、とっくに直接雇用されている人たちです。
大企業は、違法行為で期間制限をごまかし、直接雇用の義務を逃れてきたのですから、
その義務をきちんと果たさせるということが法治国家では当たり前のことです。政府は、
現行法でも厳正な対処は可能なのですから、派遣先大企業にたいして直接雇用の義務をは
たせときびしく指導するのが当然です。
ですから、現行法にてらして違法ではないかと、まず厚生労働省の労働局に申告するこ
とが、「派遣切り」を止める道を開くことになります。
パナソニック若狭の労働者が偽装請負の事実を労働局に申告して解雇通告を凍結させて
います。いすゞ自動車など各地で「派遣切り」にあっている被害者が、現行法にもとづい
て正社員にするよう派遣先企業への指導をもとめて、労働局に申告する動きが広がってい
ます。全国で大運動にしたいものです。
申告は、家族などによる申し立て、情報提供によっても、労働局が違法企業の監督指導
にあたることになっています。
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