LB培地、LB寒天培地、TB培地レシピ 2012/05/08 ここでは、大腸菌の培養(プラスミドの精製やタンパク精製など)に、一般的に用いられるLB液体培地・寒天培 地の作り方を説明します。また、高栄養培地として用いるTB培地のレシピも載せておきます。 LB培地とLB寒天培地のレシピ 500mLのビンに、 bacto tryptone (5 g, 204号室 棚A0) bacto yeast extract (2.5 g, 同上) NaCl (5 g, 254号室秤横の棚) bacto agar (7.5 g, 寒天培地の場合, 204のA0) を入れて水道水500mLを加えて混ぜる。 5N NaOH (100uL)入れる。 オートクレーブ (120度, 20 min) フタは緩くしおき、アルミを被せておく。 手で触れるくらい(60度くらい)になったら、クリーンベンチ内で アンピシリン (25-50mg, 254号室 冷J4)を入れる。 アンピシリンは、エッペンチューブに秤量し、milli Q 1mL程度で溶解して、フィルター滅菌して加える ほうが良い。 液体培地はこれで完成。一階の4度の部屋に保管。 寒天培地は、ディッシュ(210号室ドアの上の棚、細胞培養用ではないコーティングされていないもの)に注ぐ(だ いたい4,5mmくらいの厚さ)。10cmディッシュで約40枚ほど。気泡が入った場合は、ガスバーナーで表面をあ ぶるようにして気泡を除く。冷めたら、フタの水滴を拭いて、逆さにした状態でラップに包む(5-10枚くらいず つ)。作成日と作成者をラップに書き、一階の低温室に保管。 (補足) 上で書いたレシピでは抗生物質としてアンピシリンを用いています。アンピシリンの使用濃度 は、50-100mg/Lです。500mLで25mgと書きましたが、50mgくらい入れてOKです。 また、プラスミドによってはクロラム フェニコール耐性遺伝子やカナマイシン耐性遺伝子等、アンピシリン耐 性遺伝子以外の耐性遺伝子が入っている場合があります。その場合は、自分の導入したいプラスミドに合わせて 抗生 物質を変えてください。参考に、クロラムフェニコールの使用濃度は100mg/Lで、カナマイシンは 100mg/L程度です。 さらに補足しておきます。クロラムフェニコールは原核生物の50Sリボソーム阻害剤であり、耐性遺伝子の方 はアセチルトランスフェラーゼです。なので、大腸菌を耐性遺伝子の入ったプラスミ ドで形質転換した後、アセ チルトランスフェラーゼが発現するまでは抗生物質の入っていない状態で培養する必要があります。「形質転 換・プラスミドの増やし 方」のページに載せた方法でやるのであれば、SOC培地で30-60min培養しています ので気にしなくても問題ありません。 一方、アンピシリンは細胞壁合成阻害剤です。なので、耐性遺伝子の発現を待つ必要は必ずしもありません が、大腸菌を回復させるという意味でSOC培地での培養は行った方が良いようです。 TB (Terrific Broth) 培地のレシピ TB培地は、高栄養培地と呼ばれるもので、同じ液量でも大腸菌をLB培地より多く培養できます。通常、LB培地 よりもキャパシティーが大きい分、少し長めに24hほど震盪培養します。 (注意) リン酸系のバッファーはMgやCaなどの金属イオンが含まれた状態でオートクレーブすると沈殿がでいて しまうため、typton/yeast extract/水道水/glycerolとリン酸バッファーのそれぞれをオートクレーブした後で 混合します。 [typton/yeast extract側] 500mLのメディウム瓶に、 bacto tryptone (6 g, 204号室 棚A0) bacto yeast extract (12 g, 同上) を入れて水道水450mLを加えて混ぜる。 glycerol (4mL)入れる。粘性が高いので5mLピペットマンでゆっくり吸うこと。 [リン酸バッファー] 100mLのメディウム瓶に、 K2HPO4 (4.7g) KH2PO4 (1.1g) 脱イオン水 (50mL) : 金属イオンがあると沈殿ができるため。 を入れ、溶かす。 上の二つをオートクレーブ (120度, 20 min)。フタは緩くしておき、アルミを被せておく。 手で触れるくらい(60度くらい)になったら、クリーンベンチ内で二つを混合し、 アンピシリン (25-50mg, 254号室 冷J4)を1mL程度のmilli Qに溶かし、フィルター滅菌して加える (50-100mg/Lの濃度)。 液体培地はこれで完成。 25mLチューブにクリーンベンチ内で分注し、一階の4度の部屋に保管。
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