第 1回 希 少がん医療 ・ 支援のあり方に関する検討会

第 1回 希 少 がん 医療 ・支援 の あ り方 に 関す る検討会
議 事次第
日時
:平 成 27年
3月 6日
(金)
14:00-16:00
場 所
議 事
1 開
会
2議
題
次
:全 国都 市会館 第 一 会議 室
第
( 1 ) 座 長 の 選任 につ い て
( 2 ) 今 後 の 検討 のすす め方
( 3 ) 希 少 が ん の 現状 に つ い て
(4)そ
の他
【
資 料 】
資料 1 希 少がん医療 ・支援 の あ り方 に関す る検討会開催要綱
資料 2 希 少がん医療 ・支援 のあ り方に関する検討会 の今後 のスケジュール (案)
資料 3 希 少 がん に 関す るがん対 策推進基本計画 にお ける記載
資料 4 小 児 が ん対策 の進捗 につい て
資料 5 希 少がんに 関す る世論 調査概 要
資料 6 希 少 がんの 定義 と診療 に関す る現 状資料
資料 7 第
1回 国際研究 シ ンポジ ウム希少 がん 概要
(東
参考人提 出資料)
参考人提 出資料)
(り │1井
参考 資料 1 が ん対策推進基本計画
参考資 料 2 希 少 がん対策推進 事業 希 少 がん対策 ワー クシ ョ ップ報告書
「
希 少 がん 医療 ・支援 の あ り方 に関す る検討会 」開催 要綱
. 趣
旨
平成 2 4 年 6 月 に 閣議決定 され た 2 期 目の がん 対策推進基 本 計 画 にお い て、
希少 がん に つ いては 、様 々 な希 少 がんが 含 まれ る小児 がん を は じめ 、様 々 な臓
器 に発生 す る肉腫 、 口腔 がん、成 人 T 細 胞 白血病 な ど、数 多 くの 種類 が 存在す
るが、それぞれの患者の数が少な く、専門 とする医師や施設も少ないことか ら、
診療 ガイ ドラインの整備や有効な診断 ・治療法を開発 し実用化する ことが難 し
く、現状を示すデー タや医療機関 に関す る情報も少ないことが課題として指摘
された。
本検討会 においては、希少がん患者が安心 して適切な医療 を受けられるよう、
専門家 による集学的医療の提供などによる適切な標準的治療 の提供体制、情報
の集約 口発信、相談支援、研究開発等のあり方について、希少 がんが数多く存
在する小児がん対策の進捗等も参考にしなが ら検討することとする。
2. 検
討事項
( 1 ) 希 少 がんの 定義 につ いて
( 2 ) 希 少 がんの 診療提供体制 の あ り方 に つ いて
( 3 ) 情 報 の 集約 ・発信 に つ いて
( 4 ) 相 談支援 につ い て
( 5 ) 研 究開発 に つ い て
( 6 ) そ の他
3. そ
の他
( 1 ) 本 検討会 は健 康局長 が別 紙 の 構成 員 の参集 を求 めて 開催 す る。
( 2 ) 本 検討会 には 、構 成 員 の互 選 によ り座長 をお き、検討会 を統括す る。
( 3 ) 本 検 討会 に は、 必要 に応 じ、 別紙構 成 員以外の有識者 等 の 参 集 を依頼す
ることができるもの とする。
(4)本 検討会は、原則 として公 開 とする。
(5)本 検討会の庶務は、厚生労働省健康局がん対策 口健康増進課が行 う。
(6)こ の要綱 に定め るもののほか、本検討会の開催 に必要な事項は、座長が
健康局長と協議の上、定める。
別 紙
「
支援のあ り方 に関す る検討会」構成員
希少がん医療 ・
岩本 幸英
′
Jヽ
村 健
九
医
州 大学大学院 医学研 究院臨 床 医学部門整形外科学 分野 教 授
ー
療 法 人財 団 健 貢会 総合東 京病院 口腔 がんセ ンタ 長
加藤 陽子
独
ー
ー
立行 政法 人国立がん研究 セ ンタ 希少 がんセ ンタ
佐 々木 毅
東
京大学 医学部 人体病 理学
西舘 澄 人
特
定非営利活動 法人 G I S T E R S 理 事長
馬場 秀 夫
熊
本 大学大学院 生 命科学研究部 消化器外科学分野 教 授
堀 田 知光
独
ー
立行 政法 人 国 立がん研究 セ ンタ 理事長
―
松本 誠
公
益財 団法 人がん研究会 有 明病院 副 院長
道永 麻里
公
益社 団法 人 日本 医師会 常任 理事
馬 上 祐子
小
児脳腫瘍 の会 代表
渡邊 俊樹
東
京 大学大学院新領域創 成科 学研究科 教授
・病 理診 断学 准教授
(五十音順 口敬称略)
希 少 がん医療 ・支援 の あ り方 に関す る検討会の今後のスケジ ュー ル (案)
○第 1回 (3月 6日 )
・検討会 のスケ ジュー ル
・小児がん 対策 の進捗状況について
・我が国 の希少 がんの現状
等
○第 2回 (3月 31日 )
・希少がんの 定義 に ついて
・情報提供 の あ り方について
等
○ 第 3回 (4月 27日 )
・診療提供体制 について
口研究開発 に ついて
・病理診断 に ついて
○第 4回
・と りま とめに向けた ご議論
○第 5回 (夏頃)
・報告書 (案)に ついて
等
資料 3
がん 対策推進基本計画
1.がんE薇
①放射線療法、化学療法、手術療法のさらなる充実とチーム医療の推進
②がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成
んと診断された時からの緩和ケアの推進
③力く
靱
け
た
餓篤量
結笙
当麟ー向
取
組
⑥その他(希少がん 、病理診断、リハビリテ ション)
(平成24年 6月 閣議決定テ
6.が んの早期発見
がん検診の受診率を5年以内に5096(胃、肺、大腸は当面4096)を達成
する。
6.がん研究
がん対策に資する研究をよリー層推進する。2年以内に、関係省庁が
連携して、がん研究の今後の方向性と、各分野の具体的な研究事項等
を明示する新たな総合的がん研究戦略を策定する。
暑置負 、
児がん拠点病院を整備し、小児がんの中核的な機関の
│%践
1 整 備を開始する。
13.が ん曇鰊
i 法 的位置 づけの検討も含め、効率的な予後調査体制の構築や院内
を実梅する医療機関数の増加を通じて、がん登録の精度を向
I I鋼
│
4.が んの予防
平成34年度までに、成人喫煙率を12%、未成年の喫煙率を0%、受動
喫煙については、行政機関及び医療機関は096、
家庭は3%、飲食店は
1596、
職場は平成32年までに受動喫煙の無い職場を実現する。
摯ふ :ガ霜著λあり方を検討し、健康教育の中でがん教育
1饉
促進、相談支援体制の充実を通じて、がんになつても安心して働き暮ら
せる社会の構築を目指す。
がん対策推進基本計画 の希少 がん分野 に関する記載 の抜粋
(現状)
希少 がんについては、様 々な希少がんが含まれる小児がんをはじめ、様 々な
ATL」 という。)
臓器 に発生する肉腫、口腔 がん、成人T細 胞 白血病 (以下 「
など、数多くの種類 が存在するが 、それぞれ の患者 の数が少なく、専門とする
医師 や施設も少ないことから、診療ガイドラインの整備や有効な診断 ・
治療法
ー
を開発 し実用化することが難 しく、現状を示すデ タや医療機関 に関する情報
も少ない。
(取り組むべき施策)
患者 が安心して適切な医療を受けられるよう、専門家 による集学的医療の提
供などによる適切な標準的治療 の提供体制、情報 の集約 ・
発信、相談支援、研
究開発等 のあり方 について、希少がんが数多く存在する小児がん対策 の進捗等
も参考 にしながら検討するも
(個別 目標)
中間評価に向けて、希少がんについて検討する場を設置し、臨床研究体制の
整備とともに個々の希少がんに見合つた診療体制のあり方を検討する。
小児がん対策の進捗について
5.が んの早期発見
13が ん医療
①放射線療法、化学療法、手術療法のさらなる充実と
「_
:医療機器 の早期開発 ・
承認等に向けた取組
病理診断、リハビリテーンヨン)
⑥その他(希少がん、
2.がんに関する相談支援と情報提供
刷
電
螢
蒻
織
満
する。
がん研究
がん対策に資する研究をよリー 層推進する。2年以
内に:関係省庁が連携 して、がん研究の今後の方向
性 と:各分野の具体的な研究事項等を明示する新た
な総合的がん研究戦略を策定する。
7.小 児 がん
5年以内に、小児がん拠 点病院を整備 し、小児がん
の中核的な機関の整備を開始する。
8。がんの教育 ・
普及啓発
3.が ん登録
制
ょ
庁
8籍
がん検診の受診率を5年以内に50%(胃、肺、大腸
´
は当面40%)を達成する。
の
増
数
F関
子どもに対するがん教育 のあり方を検討し、健康教
育 の中でがん教育を推進する。
9。がん患者の就労を含めた
4.が んの予防
11銘淵
を目指す 。
』籠塁
禦紺財馳
'
コ│ま
死亡率│(人口10万 対))>
(参考)<子 より年齢階級別死因順位 (カツ
2位 木 慮僣 故 (2:6)
自殺 ( 1 . 6 )
〇 小児ふ飛 点病院 (仮称)を指定し、集学的医療の提供 (緩和ケアを含
む)、心理社会的な支援、療育 ・
教育環境の提供、医師等に対する研修の実施、
セカンドオピニオンの体制整備、相談支援等の体制を整備する。
OJヽ 児ヽ飛 点病院は、地域の医療機関等との役割分担と連携を進める。また、
患者が、発育時期を慣れ親しんだ地域で、他の子慶たちと同じ生活 ・
教育環境の
中で医療や支援を受けられるような環境を整備する。
OJヽ 児がん経験者の長期フォローアップの体制とともに、小児がん経験者の自立に
向けた心理社会的な支援についても検討する。
○ 」ヽ
発信、コールセンター等による相談支援、全国の
児がんに関する1青
報の集約・
小児がん関連施設に対する診療、連携、臨床試験の支援等の機能を担う中核的
な機関のあり方について検討し整備を開始する。
ノ
(小児がん医療 ・支援のあ り方に関する検討会報告書よリー部改変)
3
・
地域全体の小児がん診療の質の向上に資すること。
・
再発したがんや治癒の難しいがんにも対応すること。
・
全人的なケアを提供すること。
●
制の整備 、患者とその家九 医療従事者 に対する相談支援等の体制の整備等を
進めること。
・
地域の臨床研究を主体的に推進すること。
・
・
発育時期を可能な限り慣れ親しんだ地域に留 まり、他 の子 よ止 ちと同じ生活 教
育環境の中で医療や支援を受けられるような環境を整備すること。
・
長期フォローアツプの体制を整備すること等。
‐ 小児がん拠点病院
全国に15箇 所配置
北海道大学病院
東北大学病院
大阪市立総合医療センター
埼玉県立小児医療センター
広島大学病院
名古屋大学医学部附属病院
二重大学医学部附属病院
大阪府立母子保健総合距
拠点病院の役割
地域における小 児がん医療及び支援を提供する中心施設として、地域全体の小児がん医療及び
支援の質の向上 に資すること、地域医療機関との連携 、長期フォロー■〃b体 制整備等の役割を担う。
拠点病 院の要件
①診療機能 (集 学的治療の提供、キャンサーボードの開催 、長期フォロー乃ヴ体制、緩和ケアチームの
整備 、地域 医療機 関との連携 、セカンドオピニオンの実施等 )
薬剤師 ・
認定看護師等の配置等)
診療放射線技師 ・
②診療従事者 (放 射線治療 医師 ・
③医療施設 (放 射線治療機器の設置、集中治療室の設置 ※等)
④診療 実績 (造 血器腫瘍年間 10例 程度以上、固形腫瘍年間 10例 度以上 (うち脳 ・
脊髄腫瘍
が2例 程度 以上))
がん学会の「
研修施設」
であること。
及び日本小児外科学会の「
認定施設」
⑤ 日A/jヽ児血液 ・
③相談支援センターの設置
②院内がん登録の実施
③臨床研究 (臨 床研究専門部署の設置 ※、CRCの 配置 ※等)
⑨療育環境 の整備 (保育士の配置、教育支援、プレイルームの整備 、長期滞在施設の整備等)
※は必須要件ではない。
(1)小 児がんに関する相談支援の向上に関する体制整備を行うこと。
小児がん患者 ・
経験者の発達段階に応じた長期的な支援のあり方について
検討すること。
国民に提供すること。
報を収集し、広く
(2)小 児がんに関する1青
(3)全 国の小児がんに関する臨床試験の支援を行うこと。
(4)小 児ヽ飛 点病院等に対する診断、治療などの診療支援を行うこと。
(5)小 児がん診療に携わる者の育成に関する国内の体制整備を行うこと。
(6)小 児がんの登録の体制の整備を行うこと。
(7)(1)か
ら (6)の 業務にあたっては、患者、家族及び外部有識者
等による検討を踏まえて行うこと。
平成 26年 2月 に国立成育医療研究センター
と国立がん研究センターを指定
厚 生労働省 小児 がん拠点病院の指定に関する検討会 (一部改変)、2013
「
がん 対策 に関する世論調査」の概要
( 希少がん関連部分 の抜粋)
1月
平 成 27年
内 閣府 政 府 広 報 室
調 査
対
象
全
国20歳以上の 日本国籍 を有す る者 3,000人
有効 回収数 1,799人 (回収率60.0%)
調査時期 平成 26年11月6日 ∼ H月 16日(調査 員 に よる個別 面接聴取)
調 査
目
的
が ん対 策 に関す る国民 の意識 を調査 し,今 後 の施策 の参考 とす る。
調 査
項
目
1 が
んに対す る印象 ・認識 について
2 が んの予防 。早期発見 について
3 が んの治療法及 び病院等 に関す る情報源や認識 につい て
4 緩 和ケアについ て
5 が ん患者 と社会 とのつ なが りについて
6 が ん登録 につい て
7 が んの臨床試験 につい て
8 が
ん対策 に 関す る政府 へ の要望 につい て
'
調 査
実
績
「 がん 対策 に関す る世論調査」
平成 25年 1月 (標 本数 全 国 20歳 以 上 3,000人 有 効回収数 1,883人)
平成 21年 9月 (標 本数 全 国 20歳 以上 3,000人 有 効回収数 1,935人)
平成 19年 9月 (標 本数 全 国 20歳 以上 3,000人 有 効回収数 1,767人)
あ ●聘にと 二 う くイ‐ )● 0_4
論調査
(イ嘔中)'.●
4'E-en*.tju-Lre,
し か ら な ヽヽ
蛇チー
● ウ
ちらか とい えば
≧星 う
ど
`口 だ と
…
,う
ヽコノ
希少がん医療の集約化に対する意識
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(希少 がんの診療 においては′専門的な病院を指定して′患者を集 める仕組 みが必要だと思うかと質問)
出典 :内閣府 がん対策 に関する世論調査 (平 成 26年 11月 調査)
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(希少がんと診断され′自宅から離れた場所にしか専門的な病院がない′と医師から伝えられたとして′
らいまでなら′その病院を受診しようと思うかと質問)
ための時間が最大でどのく
その病院へ行く
出典 :内閣府 がん対策に関する世論調査 (平 成 26年 11月 調査)
2
資料 6
希少がんの定義 と診療
に関する現状資料
平成 2フ年 3月 6El
第 1回希少 がんの 医療 ・支援のあ り方 に関する検討会
国立がん 石
用究セ ンタ ー
がスノ
対策1青
報 セ ンタ ーがん政 策科学研 究部
東 尚 弘
経緯
平成 25年 度 希 少がん対策 ワークシ ョップ
平成 26年 度 ∼
「
希少 がんの定 義 と集約化 に向 けたデ ータ
収集 と試行 のための研 究」
ー
クシヨップ
ワ
がん対策
希少
平成 26年 2月 16日 開 催
報センタ ー主催
国立がん研究センタ ーがん対策1青
①希少 がん の疫学 と定義
②希少 がん の 臨床
③研究開発
④希少 がん の情報提供
について 、
関心のある医療従 事者 67名 が参カロして議論
定義 ・集約化研 究班 の概 要
1)医 師調 査
― 病理専門医 (実施中)
― 薬物療法専門医
― がん治療認定医 (実施中)
― がん治療学会 (これから)
ー
2)情 報 セ ンタ ー ・病理 コ ンサルテ ー シ ヨンデ タ の解析
3)通 院距離 の解析 `院 内が ん登録 の解析
4)一 般 人調査 (ネッ ト調査 0準 備 中)
5)患 者調査 (他の研 究 の二次解 析 )
6)診 療 パ タ ー ン解析
アウ トライン
1.疫 学 と定 義
2.希 少が ん 診療 の 実態
3.集 約化 を考 える上での 資料
1日 疫学 と定義
概 念 的定義
「
数 が少な い が 故 に診療 ・受療上 、不利 な
状況 にあ る と考 え られるがん種」
具体 的 には ??
海外 の 定義 は ?数 も分類 で変わ る
・米 国 の 分 類 と定 義
―部位 を主とした分類
一年間発生が人口10万あたり15未満
Greenlee RH et al.Pub Hlth Report 2010,125128-43.
・ヨ ー ロ ッパ の 分 類 と定 義 (RARECARE)
一部位 と組織型を組み合わせた分類 (詳細)
一年間発生が人口10万 あたり6未満
Gatta et al.EurJ of Can 2011,47:2493-511.
ワークショップでの論点
・何 の ため の 定義 な の か
一集約化 ?研 究 ?デ ータ ?補助 ?
・頻 度 だ けで定義 して も良 いのか ?
一対策を考えるには、頻度だけでは決まらない
・頻 度 を数 える分類 方 法 は どうする のか ?
―遺伝子型の特殊ながんの患者は ?
研究班でデータを収集
「
希少がんの定義と集約化に向けたデータ収集と試行のための研究」(代表 :東 尚弘)
(院内がん登 録)
・基本計画 に例示 されたがん種 の罹患率
(薬物療法専門医 ・アンケ ー ト)
・ 医師の思う頻度基準は ?
・ 医師の思う希少がんとは ?
(資料)
・対策対象 と して重要な要素 は
・病理 コンサルテ ーションに上が るがん種
基 本計画例示 にあ るがんの 罹
率
Estimatedannualincidence(/100thousand)
口腔 がん
3。
64
2126
(5。 84)***
2=45
* Tamaki
et al.CancerEpidemiol.2OI4;38(5):a90-5.**
Rarecancer
workshop
report201.4
*** likelyto be overestimate
dueto calculation
methods
希少」基準
医師の思 う 「
希少」
がん患者 ○人 に1人 よ り希 だ つた ら 「
ー
薬物療法専門医のアンケ ト 300人 回答 (中間報告)
轟榊椰 回 #
0
100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
がん患者0人 に1人未満
=年 間 8000人 =6。7人/10万 人
最 多 :が ん患者 100人あたり1人のがん種
間 4000人 事3.4人/10万 人
年
あたり1人
200人
次点 :
がん政策研究口
希少がん研究班
各種 がんの質 問
RARECARElaver 2
にもとづくがんの種類
↓
iSqua.oue
cell carcinoma of ceruix uteri
lsthis"rarecancer?"
J
Yes No
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希少 がん?:%
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「
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(frOm RARECARE laver 2)
10
20
30
Estimated
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40
0 00あ たり……
境界 は 、3/100′
` が ん政
策研究・
希少がん研究班
「
過去 3年 で 1例以 上経験」
●
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10
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Estimated annual incidence /100.000
がん政策研究 ・
希少がん研究班
F集約化 でアウ トカム を改善を期待」
●
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一
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一
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10
20
30
,000
Estimated annua!incidenoo/1∞
具体的な数値 については、資料 3‐4を参照
がん政策研究0希少がん研究班
希少が ん診療の実態
,全体の予後
0ア クセス :通院距離
診療実態検討のための暫定的な定義
院 内が ん登 録 4年 分 を RARECARE分
類し
^
罹 患 を推 定 、
―大分類で罹患率が 「
軟部肉腫」以下のがん種
一口腔がん (中分類) ―
―丁細胞 、NKリ ンパ腫 (中分類、含むATL)
を暫 定 的 に希 少 が ん とす る
希少 がんの予後 僣 定値)
院内がん 登録2007年 症例 0自 施設初回治療例
生存曲線 の比較
234施設、N=223′
9 68
5年 時点予後判明率93%
調整なし5年 生存率
・
5大 がん:61%
・
希少 がん :58%
・
その他 : 62%
――一-5大
―
がん ― 一―― その他のがん
希少がん
国立がん研究センターがん対策情報センタニ院内がん登録室より提供
9
年齢分布 僣 定値)
8
ヽ
平均67歳
希少がん
age
&aphg by grorp
ffint> 5 -nt i, $lfi tF#E>, -H h nr't fr ffiE e tJfEffi
E s 75t,{,
平均年齢 66歳 を基準 に調 整
(暫定値)
adjusted for age
5年 生存率
・
5大 がん : 61%
・
希少がん: 6496
口
5596
その他 :
1000
ana:ysis time
-
その他のがん
5tt5t,0
#'Yh1/v
ー
ー
国立がん研究センタ がん対策情報センタ 院内がん登録室より提供
10
アクセス :
初 回治療病院への 自宅からの距離
∞
9(127施設のDPCデ ータ)
∞
8希 少がんvs 5大がんvsそ の他 (中間)
0
00'
・
006
●
●
・
°
●
● 5大がん+前 立腺がん
● 他のがん
● 希少がん(軟部肉腫よりも頻度 がまれ)
8
0
0
.:8
005
°
8
004
8
0
││::5+lmaiOrca│]Ii1
セ lllil菫
0::o
Othercommon ca
Rare ca
001
4km
4km
8.9km
ll.2km
l
10
OM O(●
R
がん政策 ・
希少 がん研 究班分担資料
集約化 を考 える上で
骨肉腫
128
丁細胞性悪性腫瘍
328
2012年院内がん登録397施設のデータより
ll
がん種全体 ・診療施設 の 集約化
・]見1犬は ?
院内がん登録を使い、RARECAREの 中分類を単位 に、
由)を プロッ ト
推定罹患率 (X軸)と 施設数 (Y車
ほば、集約化 無し !
平成 26年 希少 がん ワー クショップより
集約 化 の論点
・
デメリットを検討して
可でも集約化ではない一メリット・
可がイ
イ
・
がん種によつて集約化すべきものとそうでないものがある
0アウトカムが改善するかどうかのデータは乏しい
・
治療)集 約するか
どの程度の施設数に、何を (診断 ・
。
移動費用の負担を患者力け るのか ?
ー
平成 2 6 年 希 少がん対 策 ワ クショップで十医師調 査 の 自由意 見より
12
薬物療法専門医ア ンケ ー ト :
「
も つ とも早急 に集約化 すべ き」
5
5
0
5
0
6
0
7
1
8
3 6 3 6
0 3 0 6
6 3 3 2
2 2 1 1
12
Softtissuesarcoma
of limbs'r
Germcellnonseminomatous
tumoursof testis
Alveolarrhabdomyosarcoma
of softtissue
Mesothelioma
of pleuraandpericardium
Welldifferentiated
notfunctioning
endocrine
carcinoma
of
pancreas
anddigestive
tract
Astrocytic
tumorsof CNS
Carcinomas
of thyroidgland
Squamous
cellcarcinoma
withvariants
of oesophagus
*
Softtissuesarcoma
of paratestis
Adenocarcinoma
withvariants
of thymus
NonHodgkin
MatureT cellandNK-cell
neoplasms
1.88
2.14
8.38
14。18
0.02
0.02
2.45
(ただし、候補 は、47のがん種のみ 。他 にもあるかもしれない)
(参考)イ ギリスの集約化方法
2006年
NICEが肉腫のガイダンス発行
(2014年見直 し。改訂の必要な し判定)
・施 設 を指 定 せず に条件 を設 定 鮨定闘Jの
仕組み)
一年間最低症例数を設定 (骨50、 肉腫 100)
―多職種のキヤンサーボ ー ドを強 く推奨 儀務?)
基 準 を満 た して い るか継 続 的 にモ 三 タ ー
…緩徐 に集約化が進む
Source: NiCE lmproving Outcomesfor People wth Sarcoma 200
希少がんシンポジウムのディスカッションを総合
13
ま とめ
・日本 は集約化 が全 くな いが、
患者 のアクセス は 5大 がん とかわ らな い
・集約 化 は、施設 がそ の負担 に耐え られ る
のか にも留意 すべ き
資料
付カロ
И■
対策が必要な希少がんを
選ぶ際に重要な点 (N〓 296)
診断困難
治療未確立
特 に数が 少な い
予後が悪い
臨床試験 困難
患者の年齢が 若い
薬物療法専門医の回答。がん治療認定医他は、データ収集中
がん対策1青
報 センタ ー
病 理 コ ンサルテ ーシ ョン ・検体部位分布
∞
4
(2007.7-2014.9)
。
5
3
0
0
3
。
5
2
0
0
2
0
5
1
0
0
1
0
5
0
15
第 1回 国際がん研究シンポジウム
The1stInternational
Symposium
「希 少 が ん ―望ましし
つ 療口
研究 体 制 の検討 ―」
RareCancers:Seeking
for ldealMedical
Care
2015年2月12,13日 国際会議場(築地)
February L2-t3,20L5,Tsukiji, Tokyo
Foundation
for Promotionof CancerResearch
AkiraKawai(trtational
CancerCenterHospital)
F e b ru a r y 12 - 1 3 .2 0 1 5 ,T o k y c
全 7セ ッションとそ の ね らい
第 1 日 2 月1 2 日( 木)
切 ション1『希少がんの定● ・
屎■」
取り組みについて紹介し、今、なぜ希少がん対策が必要なのか考える
希少がんという新しい概念に関する日米欧の定義・
セッション2『希少がんの出床2015』
2-1瘤 理摯断
希少がんにおける病理診断の課題と対策について考える
2-2肉 ■
代表的な希少がんである肉腫の我が国における診療の特徴と課題を欧米との比較から考える
2-3小 児がん口
RetinoЫ
attoma・
GiST
ReunoЫ
がんである小児がん、
astOma、
GiSTの我が国における診療の実態とそれぞれの課題について考える
希少
セッション3『希少がんの薔磁研究』
研究体制、パイオバンクなど希少がんにおける基礎研究の現状と課題について考える
2
第 日 2 月1 3 日 ( 金)
セッション 『
希少がんのトランスレーショナルリサニチJ
希少がんにおけるトランスレーショナルリサーチの現状と課題について考える
セッション5『希少がんの早期治燎開発』
希少がんにおける早期治療開発の課題と今後の展望について考える
セッション6『希少がんの自床試験」
希少がんに対して標準治療をつくつてゆく上での問題点、国際共同研究、方法論等について考える
セッションフ「
希少がんの勝晨体鋼」
希少がんに対する診療体制 の各国の相違について考える
Wrap‐up Discusslon
研究のあり方について、2日間の議論を踏まえて考える
希少がんに対する望ましい診療 ・
FebILial V 12-1312015,13 1Yo
7. Definitionof RoreCancers
Chairs:H. Hosoi,E. KobaYoshi
`日 本 においては、現在、希少がんに対す
“力
″
る診療は集約化されていない fDr助
・
早
81
墓
書
3耐
患率 (発生率)のがんを希少がんと考え
る医師が多かつたrDr ttash〃
ョーロッパ における希少がん対策の中心的役割を担つている
丁月●●働′
P Casα″
R A R E CANCERS EUROPEに
つ い て 紹 介 rDF CaS硼
R A R E CANCERS EUROPEに
よ る 希 少 が ん の 定 義 は 10万 人 当 た り
年間6人未満の罹患率 (発生率)rDr Casaり
“
ー …
診療の質を改善するためのキ ワ ドは ネッ
希少がんにおける
"pr cas硼
トワーク
February 12‐13′2015′ Tokγo
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RARE
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www.rarecancerseurope.orgハ
(http:〃
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RareCante薦
CanCI暉
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10-1l February 2014,BruSsels
. Referral to expert rare cancer pathologists
is crucial for appropriateness
. Networks are the best tool for proper
referral
. Multidisciplinarity is the best environment
for rare cancer patient healthcare
l o u i n r l h o m e p a gg : w w r y , e l . c o r i i l n b . c o m
Rarecancersare not so rare: Tlre rare cancerburden in Europe
@mma Gattaa,',JanMaaftenvan der Zutanb,PaoloG. Casali', SabineSieslingb,
AngeloPaoloDei Tosd, Ian Kunkler ", RenleOtter b, Lisa Licitra f , SandraMalline s,
AndreaThuilla e, Annclisa Tramao,RiccardoCapocacaas, The MRECAREworking group
FrrJ CaFar′
″′fJJ47.・
Z93
F e b r u a r1v2 - 1 32, 0 1 5 i, o k y o
Networking...
に
壼I」
飼
1,電 話コンサルト
2.患 者紹介
3.病 理診断
4.臨 床研究
5.研 究支援
6.・
February 12-13,2015,Tokyo
ag■ost
1。Pathorogicar D′
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Alpes地
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域における
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● 小児がんの病理中央診断システムを紹介し、その課題 問題点
Wal
を指摘 rDr Nab″
F e b r r r a1r y2 - 1 32 0 1 5 ,f o k v o
RhOne Alpes地
域 における肉腫 の診療実態
検討
集学的な診療 口
診療ガイドラインの順守
一 生検前
一 初回手術前
一 一 一
― 初診時の検章 57%
一 生検
35%
― 初回手術 52%
― 放射線治療 81%
一 化学療法 94%
― ラォローアップ 74%
完全なガイドライン順守 32%
Tokyo
FebFt,ary 13,20■
12‐ 5′
4
7%
37%
放射線治療前 71%
化学療法前 75%
75%
再発時
RhOne Aipes地
域における肉腫 の病理診断
―施設病理診断と中央病理診断の―致率―
urttnД
February 12 13,2015,Tokvo
こ et●
ιBMCCancer20E0
軟部肉腫手術のガイドライン順守と患者予後
ガイドラインを目守
した手術が行われ
たもの `
5年生存率 :
ガイドライン順守 :86%
OI
ガイドライン非順守 :68%P― -0。
Mohths
February 12-13,2015,Tbkvo
5
ガイドラインから外
れた手術が行われ
たもの
Derberet aιFSM0 2“ 2
軟部肉腫診療のガイドライン順守と費用対効果
ガイドライン非順守例
ガイドライン順守例
Mean costs
Mean cOsts
治療内容
n
SD
(C,2009〕
n
(C′2009)
SD
(4′,36〕 8′908
101
2′728
5,095
7′
397
6′
034
101
075
9′
8′639
118
5′164
11′197
101
7′
207
13′123
放射線治療
118
078
2′
5′
599
101
2J3
初回治療総額
118
19′175
17′555
101
(zt,soz)
■9′フ78
zta-TvJ
118
4′396
12,343
101
811
5′
11′116
医療費総額
118
23′571
21′913
101
Q′3●
24′403
診断
118
手術
118
化学療法
6,173
BMC力 earth a serv 2oll
こたrrier et aみ
Feb:tiary 12-13,2015,Tokyo
横紋筋肉
施設病理診断と中央病理診断 ‐
胎
孵
胞巣型
RMS NOS
RMS以 外
T山 :
―
―
―
―
―
―
―
―
剛
RMS
J卜
胎児型
RMS
J卜
胞巣型
RMS(胞巣型)
症例数 ①
(10
(1)
(5)
却95311
中央病理診断
施設診断
39(21)
病理診断の不一致 : 21% (39/175 cases)
⇒ リスク分類変更 : 12% (21/175 cases)
中央病理診断の課題
病院
:HC
F:SH
RT‐
PCR
・経済的裏付けなし
・病理医の不足
⇒ システムとして整備する必壽舗 晩山螂に頼つた状況は継続困難)
2-2.Sorcomo
Chairs:T. Ozaki, S. Takdhashi
M κbdaira
R Ma々 ′
●日 本 において腫瘍内科医にも肉腫診療の教育を行うことが重
要であるが困難も多い rDr da″
Ю′
希少がんに対するよリシンプルな臨床試験の提案
″Studv every patient″
rDr Matril
希少がんに対して小さく効率的な臨床試験を各診療機関で行
うことはコストを抑えkev dataを
集積するために有効
″C r o w d ‐
s o u r c e ″c ‖n i c a : t r i a : sM aftDr「
il
Febrtlarv 12・
13.2015′ Tol(vo
,7
行うこれだけの理由
希少がんの研究を行わない口
肉腫ノ
研究費の少なさ
―メジャーがんに比べ極めて少
―小児がんの状況は少し:ま
良
― 多様性ゆえ個々の発言力小
―患者 ・
支援団体も小さい
●
●
● ●
他領城 との競争
がん全体の償か20%の 希少
がんが、がん死亡の35%以
上の原因となつている
小児・
若年者の患者が多い
その生物学的多様性が他の
様々ながん研究にインパクト
を与えうる。
直接 のインパ クトの小ささ
RE,GrST
2‐
3.Pαedliatrlic Canceら
Юr%A.‖ oson0
C h a お : S . ‖′
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病院
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事
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・
寵程黎題8解 鷺 鵬
′
剛L
昇や不適切な治療につながる可
医療費
?上
F e b r u a r y 1 2 - 1 3 , 2 0 1 5 , T o lyく
o
8
Jヽ
児がん拠点病院
Feb 2013∼
地域内小児がん患者の
拠点病院受診割合
東椰大手瘤院
東椰府立目科大学瘤院
北海道大学病院
兵庫県立 こども輌院
東北大学輌院
大阪市立総合目癬センター
埼玉県立小児目薇セ"―
目立成青目朦研究セ"―
名古E大 学綱院
東京都立小児総合医療センター
大阪府立母子保健総合E籠 センター
神秦川県立こども医壼セ労 ―
Febrtlary 12-13,2015,Tokyo
小児がん拠点病院と網膜芽細胞腫治療施設
()三年間診療数
!ilt^+ilH(o-r)
1r*iil^+m(r-z)
ター(0‐1)
rrr^+ilDt$-z)
目立威青医療研究センター(8‐10)
errt+rn(o)
=rt+m(o-r)
*E*r#F*tsf,Eilr>d-Q)
t!iltrdrt[ptrEft)t-
2)
神豪川県立こども医療センター(1‐
ruil^+st(s-e)
F e b r u a r y 1 2 - 1 3 , 2 0 1 5T′
okvo
9
(o-r)
ationの
長所と短所
supel centrJレ
―
―
網膜芽細胞腫治療の実際から
1口
情報の共有
―最新 日
正確な情報
―コンサJレ
テーション
1日
患者(家族)の負担
―通院の費用
二付き添い家族の負担
2.患者の集約
…専門的かつ的確な治療
…医療レベルの向上
―臨床試験
―医療資源の有効利用
2.病院の負担
医療資源の整備
― 医師 ・
3.医療レベルの懸念
―競争の欠如
February 12 13,2015′
Tokllt)
3.3as′c Research
働 αお ′π" , 力αl らに ‖ο″“働 ′
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・ 多能性幹細胞 (ES細胞,iPS細胞)の肉腫研究への応用について
働則
レビ三― fDr bg“
● がん研究の歴史においては、網膜芽細胞腫 におけるRb遺伝子
のように、非常に重要な発見が希少がんの研究からもたらされた
eリ
例が数多く存在するrDrMeル
1 3,2015′Tokvo
February 1 2‐
10
Research
4. Translational
Chairs:T.Yoshida,V Nishida
70chry●
ァ r●ad●
・ 肉腫におけるマイクロRNA研 究の意義を機能解析と臨床応用
の両面からレビュー rDr Oめ
刺
・ 希少がん研究の知見を臨床に還元するための問題点を報告
f D r 胸" JOJ
・希少
細胞株、統合データ
" JoJ
│げ
賓鶏1:螢料ξ屈凄男璽覧場任暫配i!:ヽ
を報告 rarゎ
February 12-13 2015,TokyO
希少がん研究におけるシーズ発見から臨床まで
■中
17 caseS
合 榊靖
特論
見 発
ズ
一
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Surgicalspecimens^, i'
car Deveropment
5.Farry Crlin′
C h a F r sγ′
′ w a m ● 3 % Д. 0 カt s “
″
“
希少がんの領域では ドラッグラグ
は依然として存在 fDr Do〃
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13,2015′
F9bruary 12‐
12
ク リニカルシークエ ンス を用 いた臨床試験 の選択
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次世代シークエンサ…
による遺伝子解析
遺伝子解析につ
いての説明と同意
"
エキスパ■トパネル ● 者さんに遭した
による検討
臨
床餞験の推彙
ldentifyingactionabletargetsin advancedcancerpatients:
Prelinlinary results from the Pro■
LER program.
Centre L6on‐
B6rard(仏)におけるクリニカルシー クエンス結 果
出 KIPrEⅣ脚 mTOR
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(53メs.19%)
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より実施されている臨床試験
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ついて紹介 rDr碕
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おける臨床試験 の課題と可能
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4つ の 多 国 籍 研 究 グ ル
認
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ー プ (COG′ COSS′ EOL SSC)が 協 力 して
“
骨肉腫に対する国際共同研究 European and AmeHcan
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E U R A M O S ‐ を実 施 した r D r e3b′
O s t e o s a r c o m a S t u d Y G r o u p‐
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Fehruary12-13 2015,Tokyc
J00G骨 軟部腫瘍グループ
Bone and Sot Tissue Tumor
Study Croup(BSTTSG)
グループ代表者
グル=プ 事務局
岩本幸英
田仲和宏
・」οac a%ィ
・Jりac a%5
・」οagノ鋼
Total30 Institutes
SapporoMedicalUniv
HokkaidoCancerCenter
TohokuUniv
NiigataCancerCenter
ChibaCancerCenter
NationalCancerCenter
CancerInstitute HosP
TeikyoUniv
Nihon Univ ltabashi ttosp
KeioUniv
KyorinUniv
JuntendoUniv
TokyoMedical Dental Univ
KanagawaCancerCenter
SizuokaCancerCenter
YokohamaCity Univ
Gifu Univ
Mie Univ
NagoyaUniv
Aichi CancerCenter
Kyoto Univ
OsakaUniv
OsakaMedicalCenter
diseas-es
for Cancerand Cardiovascular
KobeUniv
OkayamaUniv
HiroshimaUniv
NataonalKyushuCancerCenter
KyushuUniv
KurumeUniv
rotroOita Univ
2015,
12-13,
February
14
骨肉腫治療における永年の課題
3y EFS:good鐸
75%
poorN 50%
SignilcanCe 5%,Powor80%で
・
・
生存率50%⇒ 6畔 の改善を証明するためには・
骨肉腫多施設共同グループ
&,Salvage‐ Question
●
COG
166/year
0
COSS
80/year
17.5years
EOi
53/year
26.4years
ISGノSSG
S2lyear
26.9years
SFOP
田
33/year
e-Question:
lnternational,intergroup
collaborationNecessary
erican Osteosarcoma Studv
European and Al■
〓>EURAMOSl
February 12^13,2015,TokyO
EURAMOSl Recrulttent o4/05-06/11
260 patients
2′
from 326 institutions
in L7countries*
during6 years
‐
COG
COSS
│
164
EOl
520
457
SSG
119
Tota1
い ν"口
l′
2′ 260
・
FebruavAlふ
16
es
her count雨
″ 為 酔 もヽico.4 COG centes in 3∝
InternationalI intergroup collaboration
希少がんの領域では特に重要
・相互の妥協が必要
臨 床試験 参 加者 の増 加
―試験の速やかな進捗
多くの基盤整備が必要
種々の委員会 口
部局の調整
― より多くの目標設定可能
協調・
情報共有
各国の規制当局との折衝
― 様 々なレベルでの協力醸成
― 最新の知見の速やかな共有
資金の口違
個人の栄普は小さい
発 言 力の増 加
"fntergroup collaborationcan (only) work
tf all work togethen"
-7
7. FuturePerspective
Chairs:Y Fujiwara, A. Kawai
● ●
がん対策推進基本計画」
にお
平成24年6月に改定された第2期 「
いて、希少がん対策を行なつてゆくことが明記された rDrf2oeJ
umOtoJ
わが国の肉腫診療は非常に分散されている fDrMaお
肉腫など希少がんの診療は5大がんと明確 に分けて考え、より
“
"。
foJ
少数のセンター施設に集約化することが望ましい pr Maぉ
Febrtlary 12‐
13,2015,Tokyo
17
J已カドメし)
pedliatric cancer(Jlヽ
1)年 間患者数:2,500-3,000
2)治 療施設数:250
→ 15小 児 がん拠 点病院 (2014)
(hE)
Sarcoma
5′
000ノ
000‐
年と推定
● わが国の肉腫総受診者数4′
5 00名ノ
年の診療が必要
● 高度な診療、臨床研究のためには400‐
February 12-13,2015,Tokyo
7. FuturePersPective'2
Chairs:Y,Fuiiwara,A. Kawai
ヽ
!ゝ
施設節 なわ
― ―
―
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調
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き
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信頼で
、
題
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課
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3嘉
壕
奇
協
搬 里
票念袈淵
ついて研究をすること
の方法inに
る臨床
7事
February 12-13,2015,lbkyo
18
初回不適切手術の影響 ‐
局所再発‐
2001‐
2005年にRova:Mattden病院(RMH)を 受診した軟部肉腫患者343例
・初回不適切手術+RMH追 加処置 134例
●初回からRMSで適切な手術実施 中 209例
* Stagematchedpatients
生存率ロ
初回不適切手術の影響 ‐
lnappropHate:初
回不適切手術 +RMH追 加処置
*
Approp百
ate:初
回からRMSで適切な手術実施
*Stage rnatched patients
︵
コ∽
Sy璽′
写﹄
P=0。0362
Appropriate
Inappropriate
36:4860728496108120
随断し
朧 鐵 S“J…
nU
N:CE
(lOG)
Guidance
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全ての肉腫患者は専門の集学的治療チームによつて診療されるべきである。
肉腫の病理診断は専門家のレビューを受けるべきである。
ー
肉腫の手術は専門の集学的治療チームあるいはそのコンサルテ シヨンを受
けた経験豊富な外科医によつて行なわれなけれ ばならない。
肉腫のセンター施設 は、100例/年以上の軟部肉腫、可能であれば50例/年以
上の骨の肉腫を診療しなければならない。
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Nationalinstitute for Hea:th and C‖
015,Tokyo
F e b r u a r y 1 2 - 1 32′
第1回国際がん研究シンポジウム
「
研究体制 の検討 ―」
希少 がん ―望ましい診療 ・
2015年2月12,13日 国際会議場(築地)
一
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集約化 ネットワーク ガイドライン 希少がん診療のキ ワ ド.
ガイドラインに沿つた適切な初回治療は予後を改善するだけでなく、費用対効果
にも優れる。
● 肉日の診療 は集約化されたセンター施設で行なわれることが望ましい。
り、コンサルテーシヨンシステム,中 央病理
● ●
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研究基盤の乏しい希少がん基礎研究を支援するためのプロジエクトが開始。
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希少がんにおける臨床研究の方法論を研究することが必要。
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がん 対策推進基本計画
平成 24年
6月
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ロロ・・・ロロ・・・・・・・口 ・3 ロ ロ●■●2
第 1 基 本方針 口・・・ロロ
・・・口・・ロロ・2
1 . が ん 患者 を含 めた国民の視点 に立 ったがん対策の実施
・
2 . 重 点的に取 り組むべ き課題 を定 めた総合的か つ計画的ながん対策の実施 2
・ 口・0 ・ 口・口・2
3 . 目 標 とその達成時期 の考 え方 ・0 ・ ・口・0 ・ ・・0
・・・・・・・・・口・・・・・・・・口・3
第 2 重 点的 に取 り組むべ き課題
1 . 放 射線療法 、化学療法、手術療法 の更な る充実 とこれ らを専門的 に行 う医療
・口・ロロロロロ・ロロ・・・・・・・・・3
従事者 の育成 口・口・口・・
・・ロロヨロロ4
2 . が ん と診断 された時か らの緩和ケアの推進 ロロロ・ヨ・口
・・・・4
3 . が ん登録 の 推進 ・・ロロ・ロロ ・・・・・・・・・ロロ・ロロ・
・・口・・ロロ ロ・・5
4 . 働 く世代や小児へ のがん対策の充実 ・・ロロ・口・
ロロ・・・・・ ・0 0 ・ ・ロロロ・・口B ・ ・5
第 3 全 体 目標 ・・口・口・・
・・・0 0 ・ ・5
1 . が んによる死亡者の減少 ・・口・・・・口・・口・・・・
・・・6
2 . 全 てのがん患者 とその家族の苦痛 の軽減 と療養 生活の質の維持 向上
・・・口・・6
3 . が んになつても安心 して暮 らせ る社会 の構築 ・・・ロロ・・
・・ロロ・・ ・ロロ・・ロロ・・ 0・ ロロ・0 6
第 4 分 野別施 策 と個 別 目標
・
1 . が
ん
医
・
・
口
・
口
・
ロ
0 ・
ロ
ロ
ロ
・
・
口
・
口
0 ・
・
口
口
B ・
・
口
・
・
6
療
ー
射線療法、化学療法、手術療法 の 更なる充実 とチ ム 医療 の推進
ロロ●ロロ●口0 ■ ●口●0 日 ●●6
・・ロロ・・・ ・口・1 0
( 2 ) が ん医療に携わる専門的 な医療従事者 の育成
口・ロロ・・・・ロロ・1 1
( 3 ) が ん と診断 された時か らの緩和ケアの 推進
ロロ・・・・口' ロ ロ・1 4
( 4 ) 地 域 の 医療 ・介護サー ビス提供体制 の構築
・・・・・・ ・1 6
( 5 ) 医 薬品 ・医療機器の早期開発 口承認等 に向けた取組
B リ ハ ビリテー シ ヨン) ・ ・・・・1 8
( 6 ) そ の他 ( 希少 がん 口病理診断
・口・ロロ・・・口・1 9
2 . が んに関す る相談支援 と情報提供 ・・ロロ・・・
(1)放
口
3 . が
ん
登
録
a 口
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口
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口
・
・
・
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・
・
・
・
・
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ロ
・
・
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1 ・
ロ・・・・・ ・2 2
4 . が ん の予 防 ・口B 口 ・B ・ ・・・3 ロ ロロ●●口・ロロ
ロロロ・0 ・ 2 4
5 , が ん の早期 発見 ・・・・・・口 ・・D ● ロロロ●口・ロロ
・口・・・・2 6
6 . が ん研究 ロロ・・・ 口・ロロ・0 ・ 口 ・口・・・・ロロロ
・ ・ 0 ・口 ・口 ・ ・ ロ ロ ・ ・ ロ ロ ・2 9
7. ′
lヽ
児力ちも ・・ ・ 口 ・ ・ ・ 口 ・ ・ ・ 口
8
9
がんの教育 ・普及啓発 ・・B口 ・・・口・・口・口。・0・ ロロ・・・30
がん患者の就労 を含めた社会的な問題 ・・ロロ・・・口・0口 ・口・・32
第 5が ん対策を総合的か つ計画的に推進す るため に必要な事項 目●●■日33
1.関 係者等の連携協力の更なる強化 ロロロロ・・・0・ ロロロ・・口・・33
2.都 道府県による都道府県計画の策定 ・・口・・・・・・・0日 ■口■●33
3.関 係者等の意見の把握 ロロaロ ロロ●ロロロロ・・・・・・・・・・・34
4.が ん患者 を含 めた国民等の努力 ・・ロロロ・・・ロロ・・・・・・・134
5.必 要な財政措置 の実施 と予算 の効率化 ・重点化 口・・口・口・・・・・35
6.目 標の達成状況の把握 とがん 対策 を評価す る指標の策定 口・・口・・・35
7.基 本計画の見直 し ・口・口0・ ・・ロロロ・・口・・・・・・・・・・36
よ り死因 の第 1 位 で あ り、平成 2 ?
がん は、 日本で昭和 5 6 ( 1 9 8 1 ) 年
には年間約 3 5 万 人が亡 くな り、生涯の うち に約 2 人 に 1 人 が
(2010)年
がん にかか る と推計 されて いる。 こ うした ことか ら、依 然 と してがんは国民 の
生命 と健康 に とつて重大な問題である。
に策 定された 「対 がん 1 0 カ 年
日本 のがん対策は、昭和 5 9 ( 1 9 8 4 ) 年
に策定 された 「がん 克服新 1 0 か 年戦略」、
総合戦略」、平成 6 ( 1 9 9 4 ) 年
に策定 された 「
第 3 次 対 がん 1 0 か 年総合戦略」 に基
平成 1 6 ( 2 0 0 4 ) 年
づ き取 り組 んできた。
ー
さ らに、がん対策の よ リ 層 の 推進 を図るため、がん対策基本法 ( 平成 1 8
6 月 に成
基本法」 という。) が 平成 1 8 ( 2 0 0 6 ) 年
年法律 第 9 8 号 。以下 「
4 月 に施行 され 、基本法 に基 づ き、がん対策 を
立 し、平成 1 9 ( 2 0 0 7 ) 年
前基本計
がん対策推進基本 計画」 ( 以下 「
総合的 か つ計画的 に推進す るため の 「
画」 とい う。) が 平成 1 9 ( 2 0 0 7 ) 年
6 月 に策定された。
前基本 計画 の策定か ら 5 年 が経過 した 。 この 間、がん診療連携拠点病院 ( 以
下 「
拠 点病院」 とい う。) の 整備や緩和 ケア提供体制の強化、地域 がん登録 の 充
一
実 が図 られ る とともに 、がんの年齢調整死 亡率 は減少傾 向で 推移す るな ど、
定の成 果 を得 られた。
しか しなが ら、人 口の高齢 化 とともに、 日本のがんの罹患者 の数、死亡者 の
数は今後 とも増 加 してい くことが 見込 まれ る中、 がん 医療 や支援につ いて地域
格差や施設間格 差 がみ られ 、それ ぞれ の状況 に応 じた適切な がん医療や支援 を
受 け られ ない ことが 懸念 されて いる。また、 これ まで重点課題 として取 り組 ま
れて きた緩和 ケアに ついては、精神心理的な痛み に対す るケア が十分でな い こ
と、放射線療法 や化学療法 について も更なる充実 が必要 で ある こと等に加 え、
ー
新 たに小児がん対策 、 チ ム 医療 、がん 患者等 の就労 を含 めた社会的な問題 、
がん の教育 な どの課題 も明 らか とな り、がん 患者 を含 めた国民は こ うした課題
を改善 してい くことを強 く求めて いる。
この基本計画 は、 このよ うな認識 の下 、基本法第 9 条 第 7 項 の規定 に基 づ き
前基本計画の見直しを行い、がん対策の推進に関する基本的な計画を明らかに
す るものであ り、国が各分 野 に即 した取 り組むべ き施策を実行できる期間 と し
て 、平成 2 4 ( 2 0 1 2 ) 年
度 か ら平成 2 8 ( 2 0 1 6 ) 年
一
の 期間 を つの 目安 と して定め る。
度までの 5 年 程度
また、 この基本計画の策定に当た っては、基本法 に基づ き、がん対策推進 協
議会 ( 以下 「
協議会」 とい う。) の 意見を聴 くことになっている。また 、専門
的 な知見 を要す る分野 で ある小児がん、緩和ケア、がん研究については協議会
の下に専門委員会 が設置 され 、報告書 が協議会へ提出 された。
今後は、基本計画に基 づ き、国 と地方公共団体、また、がん患者 を含 めた国
民 、. 医療従事者、医療保険者 、学会 、患者団体 を含 めた関係団体 とマス メデ ィ
ア等 ( 以下 「
関係者等」 とい う。) が 一体 となつてがん 対策 に取 り組み 、がん患
者 を含めた国民が 、様 々ながんの病態に応 じて、安心か つ納得 でき るがん医療
や支援 を受 けられ るよ うにす るな ど、「
がん患者 を含 めた国民が、がん を知 り、
がん と向き合い、がんに負 ける ことのない社会 」の実現 を目指す。
1 基 本
がん患者 を含めた国民の視点に立 ったがん対策の 実施
基本法の基本理 念 に基 づ き、国、地方公共団体 と関係者等は、がん 患者 を含
めた国民が 、がん 対策 の 中心である との認識の下、がん患者 を含 めた 国民の視
点 に立 ってがん対策を実施 してい く必要がある。
2 重
点的 に取 り組むべ き課題 を定めた総合的か つ計画的ながん対策 の実施
基本計画では、がん対策 を実効 あるもの と してよ リー層推進 してい くため、
重 点的に取 り組むべ き課題 を定 める。
また、がんか ら国民の生命 と健 康 を守 るためには、多岐 にわた る分野の取組
を総合的か つ計画的に実施 してい く必要がある。
3 日 標 とその達成時期の考 え方
基本計画では、 これ までの政府のがん対策に関す る 目標 との整 合性 を図 りつ
つ 、全体 目標 とそれ を達成す るために必要な分野別施策 の個別 目標 を設定する。
また、原則 として、全体 目標 と個別 目標 を達成す るため に要す る期間 を設定す
る。
2 重 点的 に取 り組む べ き
1放 射線療法、化学療法 、手術療法 の更なる充実 とこれ らを専門的 に行 う医療
従事者 の育成
がんに対する主な治療法 には、手術療法 、放射線療法 、化学療法 (この基本
計画 では薬物療法等 を含む もの とす る。)な どがあ り、単独又 は これ らを組み合
わ せた集学的治療 が行われ ている。
日本では、胃がんな ど、主 として手術療法に適 したがんが多か つた こともあ
り、外科医が化学療法 も実施す るな ど、がん治療 の 中心 を担 つてきた。
しか しなが ら、現在は、がんの種類 によつては、放射線療法 が手術療法 と同
様 の治療効果 を発揮 できるようになるとともに、新 たな抗がん剤 が 多 く登場 し、
化学療法の知見が蓄積 され てきた ことか ら、様 々ながんの病態 に応 じ、手術療
法、放射線療法、化学療法 、 さらに これ らを組み合わせ た集学的治療 が それぞ
′
れ を専門的に行 う医師の連 携 の下実施 され てい くことが 求 め られ ている。
一 方 で、今 も手術療法 ががん 医療 の 中心 で ある ことに変わ りはな いが 、外科
医の人 員不足が危惧 され 、外科医 の育成や業務の軽減が早急 に改善すべ き課題
とな つている。
このため 、 これまで手術療法 に比べ て相対的 に遅れて いた放射線療法 や化学
療法 の推進 を図 つてきたが 、今後 は、放射線療法、化学療法、手術療 法それぞ
れ を専門的 に行 う医療従事者 を更 に養成す るとともに、 こうした医療従事者 と
協 力 してがん医療 を支 える ことがで きるがん 医療 に関す る基礎的な知識 や技能
を有 した医療従事者 を養成 して い く必要が ある。
また、医療従事者 が 、安心 か つ安全 で質 の高 いがん医療 を提供 できるよう、
各職種 の専門性 を活 か し、医療従 事 者間 の連携 と補完を重視 した多職種 でのチ
ー ム 医療 を推進す る必要 が ある。
2が ん と診断 された時か らの緩和ケアの推進
がん 患者 とその家族 が 可能な限 り質の高 い生活 を送れ るよう、緩和ケアが 、
がん と診断 された時か ら提供 され る とともに、診断、治療、在宅医療な ど様 々
な場面で切れ 目な く実施 され る必要が ある。
しか しなが ら、 日本 では、欧米先進諸国に比べ 、がん性疼痛 の緩和等 に用 い
られ る医療用麻薬 の消費量は少な く、がん性疼痛 の緩和 が十分 でな いと推測 さ
れ る こと、がん医療 に携わ る医師の緩和ケアの重 要性 に対する認識 もまだ十分
でない こと、国民に対 しても未だ緩和ケア に対す る正 しい理解 や 周知が進 んで
いな い こと、身体的苦痛のみな らず精神心理 的苦痛 への対応も求 め られている
こと等か ら、緩和ケアはまだ十分にがん 医療 に浸透 していないと考 えられ る。
この ため、がん 医療 に携わ る医療従事者 へ の研修や緩和ケアチー ム な どの機
能強化等によ り、がん と診断 された時か ら患者 とその家族が、精神心理的苦痛
に対す る心のケアを含めた全人的な緩和ケアを受 け られ るよう、緩和ケアの提
供体制 をよ り充実 させ 、緩和 ケアヘ のアクセス を改善 し、 こうした苦痛 を緩和
す る ことが必要である。
また、がん患者が住み慣れ た家庭 や地域 での療養や生活を選択 できるよ う、
在宅緩和ケアを含めた在宅医療 口介護 を提供 してい くための体制の充実 を図る
必要が ある。
3が ん登録 の推進
がん登録はがんの罹患やがん患者 の転帰、その他の状況を把握 し、分析す る
仕組み で あ り、がんの現状 を把握 し、がん対策の基礎 となるデー タを得 るとと
もに、がん患者に対 して適切 ながん 医療 を提供す るために不可欠なものである。
地域がん登録 は平成 24(2012)年
度中に全ての都道府県で実施 され る
予定 で あ り、参加 している医療機関や届出数 も増 加 しているが、届 出の義務が
な いこと、患者 の予後 を把握す る ことが 困難 で ある ことなどい くつかの 問題 が
ある。
この ため、個人情報 の保護 を徹底 しつつ 、 こ う した問題を解決 し、患者 を含
めた国民ががん登録情報 をよ り有効 に活用 できるよう、法的位置付 けの検討 も
含めて 、がん登録 を円滑に推進す るための体制整備 を図 る ことが必要で あ る。
4 働 く世代や小児 へ のがん対策の充実
毎年 2 0 歳 か ら 6 4 歳 までの約 2 2 万 人ががんに罹患 し、約 7 万 人ががんで
死亡 して い る。また、がんは 4 0 代 よ り死因の第 1 位 とな り、がんは高齢者 の
みな らず働 く世代 に とつて も大きな問題 で ある。
働 く世代 ががんに罹患 し社会か ら離れ る ことによる影響 は、本人のみ な らず
家族や同僚 とい つた周 りの人にも及ぶ。 こ うした影響を少 な くするため、働 く
世代へ のがん対策 を充実 させ、がん をなるべ く早期に発見す る とともに、がん
患者等 が適切な医療や支援 によ り社会 との つ なが りを維持 し、生きる意欲 を持
ち続 け られ るよ うな社会 づ くりが求 め られ ている。
このため 、働 く世代 のがん検診受診率 を向上 させ るための対策、年齢調 整死
亡率 が上昇 している乳が ん 口子宮頸 がん といつた女性のがん へ の対策、が んに
罹患 した ことに起因す る就労を含 めた社会的な問題等へ の対応が必要 で ある。
また、小児について も、がん は病死原因の第 1 位 であ り、大 きな問題 で ある。
医療機関 や療育 ・教育環境 の整備 、相談支援 や情報提供 の 充実な どが求 め られ
てお り、小児 がん対策について も充実 を図る ことが必要 で ある。
3 全 体目
がん 患者 を含 めた国民が 、様 々 ながん の病 態 に応 じて、安心 か つ納得 で きる
がんによる死 亡者
がん医療 や支援 を受 け られ るようにすること等 を目指 して、「
全 てのがん患者 とその家族 の苦 痛 の軽減 と療養 生活の質の維 持向
の減少 」 と 「
がんにな つても安心 して暮 らせ る社会 の構築」 を新 たに加 え、平成 1
上」 に 「
9(2007)年
度 か ら 10年 間の全体 目標 と して設定す る。
1 が んによる死 亡者の減少
がんの年齢調 整
度 に掲 げた 10年 間 の 目標 で ある 「
死亡率 (75歳 未満)の 20%減 少」に ついて 、年齢調 整 死 亡率は減少傾 向で
あるが 、昨今 は減少傾 向が 鈍化 している。今後 5年 間 で 、新 たに加 えた分野別
ー
施策 を含 めて よ リ 層 がん 対策 を充実 させ 、がんによる死亡者 を減少 させ る こ
平成 19(2007)年
とを目標とする。
2 全 てのがん患者とその家族の苦痛の軽減 と療養生活の質の維持向上
がん患者の多くは、がん性疼痛や、治療に伴 う副作用 口合併症等の身体的苦
痛だけでなく、がんと診断された時から不安や抑うつ等の精神心理的苦痛を抱
えている。また、その家族も、がん患者 と同様に様々な苦痛を抱えている。
さらに、がん患者とその家族は、療養生活の中で、こうした苦痛に加えて、
安心 ・納得できるがん医療や支援を受けられないなど、様々な困難に直面 して
いる。
このため、がんと診断され た時からの緩和ケアの実施はもとより、がん医療
や支援の更なる充実等により、「
全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養
生活の質の維持向上」を実現することを目標 とする。
3 が んになつても安心 して暮 らせ る社会の構築
がん患者 とその家族 は、社会 との つなが りを失 うこ とに対す る不安や仕事 と
治療の両立が難 しいなど社会 的苦痛 も抱えて い る。
このため、 これ まで基本法 に基 づ き、がんの予防、早期発見 、がん 医療 の 均
てん化、研究の推進等 を基本的施策 として取 り組んできたが 、がん 患者 とそ の
家族の精神心理的 自社会的苦痛 を和 らげるため、新た に、がん患者 とその家族
がんになっても安心 して暮 ら
を社会全体で支 える取組 を実施する ことに よ り、「
せる社会の構築」 を実現する ことを目標 とす る。
4 分 野別施策 と個別 目
1.が ん医療
(1)放 射線療法 、化学療法 、手術療法の更なる充実 とチー ム 医療の推進
(現状)
がん 医療 の進 歩は 目覚ま しく、平成 12(2000)年
02)年
か ら平成 14(20
までに診断 された全 がん の 5年 相対 生存率は 57%と
3年 前 に比 べ て
約 3%上 昇 してお り、年齢調整死亡率 も 1990年
代後半 か ら減少傾 向に ある
が 、一方で原発巣による予後の差は大 き く、膵臓がん、肝臓がん、肺 がんの 5
年相対 生存率はそれぞれ 6%、 27%、
29%と
依然 と して低 い現状 にある。
このため 、特 に 日本 に 多 いがん (肺 口胃 口肝 ・大腸 口乳)を 中心 に、手術療
法 、放射線療法、化学療法な どを効 果的 に組み合わせた集学的治療 や緩和 ケア
の提供 とともにがん患者 の病態 に応 じた適切な治療 の普及 に努め、拠点病院 を
)を
中心 に院内 のク リティカルバス (検査 と治療等 を含 めた診療計画表 をい う。
ー ド (各種 がん治療 に対 して専門的な知識 を有す る複数
策定 し、キ ヤンサ Tボ
の 医師等 が 患 者 の治療方針等 に つ いて 総合的 に検討す るカ ンフア レンス を い
う。)な どを整備 してきた。また、放射線療法や化学療法 に携わ る専門的な知識
と技能 を有す る医師 をは じめ とす る医療従事者 の配置や リニア ックな どの放射
線治療機器 の整備な ど、特 に放射線療法 と化学療法の推進 を図 もて きた。
一
しか し、 これ ま で 医療体制 の量的な整備が進め られ て きた 方 、患者 が 自分
の病状や検査 口治療内容、それ に伴 う副作用 ・合併症な どについて適切な説明
を受 け、十分 に理解 した上で 自身 の判 断 で治療方針 などに対 して拒否や合意 を
選択す るイ ンフォー ム ド ・コンセ ン トが十分 に行われて いな い 、 あるいは、患
者やそ の家族が治療法 を選択す る上で 第 二者 である医師に専門的見解 を求 める
ことがで きるセ カン ドオ ピニオ ンが十分に活用 され ていないな ど、患者やその
家族 の視 点 に立 った 医療体制 の 質的な整備 が依然 として十分でな い と指摘 され
ている。
ー
また、近年、医療 の高度 化や複雑化 とニ ズの 多様化 に伴 い 、放射線療法や
化学療法 の 専門医 の不足 とともに外科 医の不 足が指摘 され ている。 こ う した医
師等 へ の負担 を軽減 し診療 の質 を向上 させ るため、また、治療 に よる身体的、
精神心 理的負担 を抱 える患者 とその家族に対 して質の高 い医療 を提供 しきめ細
ー
やか に支 援す るため、多職種 で 医療 に あたるチ ム 医療 が 強 く求 め られ るよう
にな つている。
この他 、拠 点病院 を含 む医療機 関 では 、放射線 治療機器や手術機器 の多様化
な どに伴 う医療技術 の施設間格差や実績 の格差 が生 じて い る ことか ら、地域 で
の効率的な医療連携や役割分担 な どに よる地域完結型の医療体制 を整備す る必
要性 も指摘 され ている。
( 取り組むべ き施策)
○チー ム 医療 とがん 医療全般 に関する こと
拠点病院 を中心 に 、医師 による十分な説明 と患者や そ の家族の理解の下、イ
ンフォー ム ド ロコンセ ン トが行われ る体制 を整備 し、患者の治療法等 を選択す
る権利や受療の 自由意思 を最大限 に尊重す るがん 医療 を目指す とともに、治 療
中 で も、冊子や視覚教材 な どの分か りやす い教材 を活用 し、患者が 自主的に治
療 内容な どを確認できる環境 を整備する。
患者 とその 家族 の意 向に応 じて、専門的な知識 を有す る第 二者 の立 場 に ある
医師に意見 を求め る こ とができるセカン ドオ ピニオ ン を いつで も適切に受 け ら
れ 、患者 自らが治療法 を選択 で きる体制 を整備す るとともに、セカン ドオ ピニ
オ ンの活用 を促進す るための患者やその家族への普及啓発 を推進す る。
学会や関連団体な どは、がんの治療計画 の立 案に当た つて、患者の希望 を踏
まえつつ 、標準的治療 を提供 で きるよう、診療 ガイ ドライ ンの整 備 を行 うとと
もに、その利用実態 を把握 し、国内外の 医学的知見 を蓄積 し、必要 に応 じて速
やかに更新 で きる体制 を整備す る。また、患者向けの診療 ガイ ドライ ンや解説
の 充実な ど、患者 にとつて分 か りやす い情報提供に努め、国は これ を支援す る。
よ り正確 で質の高 い画像診断や病理診断 とともに治療方針 を検討 で きるよ う、
放射線診断医や病理診断医等が参加す るキャンサ ー ボー ドを開催す るな ど、が
んに対す る的確な診断 と治療 を行 う診療体制を整備す る。
患者 とその家族の抱 える様 々な負担や苦痛 に対応 し、安心か つ安全で質の高
いがん 医療 を提供 できるよ う、手術療法、放射線 療法 、化学療法の各種医療 チ
ー ム を設置す るな どの体 制 を整備す る ことに よ り、各職種の専門性
を活か し、
ー
医療従事者間の連携 と補完 を重視 した 多職種 でのチ ム 医療 を推進す る。
各種 がん 治療の副作用 ・合併症の予防や軽減 な ど、患者 の更なる生活の質の
向上 を目指 し、医科歯科連携 による口腔ケアの推進 をは じめ、食 事療法な どに
よる栄養管理や リハ ビ リテー シ ョンの推進 など、職種間連携 を推進す る。
患者 とその家族 に最 も近 い職種 と して医療現場 での生 活支援 にも関わ る看護
領域につ いては、外来や病棟 などでのがん看護体制 の更なる強化を図る。
また、患者の安全 を守 るため、様 々な医療安全管理の取組が進め られて きた
一
ところであるが、診療行為 には 定の危険性 が伴 う ことを踏 まえ、医療従事者
一
等 が協 力 して 、がん医療の質 と安全 の確保のための取組 を 層推進する。
ー
が
腫瘍 セ ンタ な どのがん診療部 を設置す るな ど、各診療科 の横 の つな りを
重視 した診療体制 の構築 に努 める。
一
この他 、質 の高 いがん 医療 を推進す る 環 として、国や地方公共団体 は拠点
病院 をは じめ とす る入院医療機関 とともに地域の医療機関 の連携 と役割分担 を
図 り、特 に高度な技術 と設備等 を必要 とす る医療 に ついては地域性 に配慮 した
計画的な集約 化 を図る。
O放 射線療法 の推進
国や地方 公共団体は、拠 点病院 をは じめ とする入院 医療機 関な どと、放射線
療法 の質 を確保 し、地域格差 を是 正 し均て ん化 を図 る とともに、人員不足を解
一
消す る取組 に加 えて、 部 の疾患や強度変調放 射線治療な どの治療技術 の地域
での集約化 を図 る。
医療安全 を担保 した上 で 、情報技 術 を活用 し、地域 の医療機関 との間 で放射
線療 法に関す る連携 と役割分担 を図る。
放射線 治療機器 の 品質管 理や質 の高 い安全 な放射線療法 を提供す るた め、放
口
射線治療 の専門医 、専門看護 師 認定看護 師 、放射線治療専 門放射線 技師、医
学物 理士な ど専門性 の高 い人材 を適 正に配置す るとともに、多職種 で構 成 され
口
た放射線治療 チー ム を設置す るな ど、患者 の副作用 合併症 やその他の苦痛 に
対 しても迅速 か つ継続的 に対応 できる診療体制 を整備す る。
放射線 治療機器 については 、先進 的な放射線 治療装置 、重粒子線 や陽子線治
療機器 な どの研究開発 を推進す るとともに、その進捗状況 を加味 し、医療従事
者等 が協力 して、国内での計画的かつ適正な配置 を検討す る。
O化 学療法 の推進
化学療法 の急速 な進歩 と多様性に対応 し、専門性 が 高 く、安全 で効 果 的な化
がん看
学療法 を提供 す るため、化学療 法 の専門医 やがん薬物療法認定薬剤師、
・
護 や化学療法等 の専門看護師 認定看護 師 な ど、専門性 の高 い人材 を適 正に配
ー
置す るとともに、多職種 で構成 された化学療 法チ ム を設置す るな ど、患者の
副作用 ・合併症 やその他 の苦痛 に対 して迅速 か つ継続 的に対応 できる診療体制
を通院治療 を含めて整備す る。
O手 術療法の推進
よ り質の高 い手術療法 を提供す るため、拠点病院 をは じめ とす る入院医療機
関は、外科 医の人 員不足を解消 し、必要に応 じて放射 線療法や化学療法の専門
医と連携す るなど、各医療機関の状況に合 わせた診療体制を整備す るとともに、
学会や関係 団体な どと連 携 し、手 術療法 の 成績 の更なる向上 を目指 し、手術療
法の標準化に向けた評価法の確立や教育 システムの整備 を行 う。
国や地方公共団体は、拠点病院 をは じめ とす る入院医療機関な どとともに、
高度な先端技術 を用 いた手術療法や難 治性希少 がん な どに対 して、地域性 に配
慮 した一定 の集約化 を図 つた手術療法の実施体制 を検討する。
手術療法 による合併症予防や術後 の 早期 回復 のため 、麻酔科医や手術部位 な
どの感染管理 を専門 とす る医師、口腔機能 口衛生管理 を専門 とす る歯科医師な
どとの連携 を図 り、質の高 い周術期管理体制 を整備す るとともに、術中迅速病
理 診断な ど手術療法 の方針 を決定す る上で重要 な病理診断を確実 に実施 で きる
体制 を整備す る。
(個別 目標 )
患者 とそ の家族 が納得 して治療 を受 けられ る環境 を整備 し、 3年 以内に全て
の拠点病院 にチー ム 医療の体制 を整備す る ことを目標 とする。
診療 ガイ ドライ ンの整備な ど、手 術療法 、放射線療法、化学療法の更なる質
の 向上 を図 るとともに、地域 での 各種 がん 治療 に関す る医療連携 を推進す る こ
とによ り、安心か つ安全な質の高 いがん 医療の提供 を目標 とす る。
(2)が ん 医療 に携わ る専 門的な医療従事者 の育成
(現状)
がんの専 門医の育成に関 しては 、厚 生労働省では、平成 19(2007)年
か ら もラー ニ ング を整備 し、学会認 定専門医の育成支援を行 つてい る。また、
文部科学省では、平成 19(2007)年
度か ら平成 23(2011)年
度ま
「
でに がん プ ロフェ ッシ ョナル養 成 プ ラ ン」を実施 し、大学 では 、放射線療法
や化学療法 、緩和ケア等のがん医療 に専門的 に携わ る医師、薬剤 師、看護師:
診療放射線技師、医学物理士等の医療従事者 の育成 を行 ってい る。その他、国、
学会 、拠点病院 を中心 と した 医療機 関、関係団体、独立行政法人国立 がん研究
セ ンター (以下 「
国立 がん研究セ ンター 」 とい う。
)な どで、医療従事者 を対象
10
と して様 々な研修 が 行われ、がん 診療 に携わ る専門的な薬剤師、看護 師等 の認
定や育成 を行 つている。
しか し一方で、放射線療法、 化学療法、緩和ケ ア、口腔ケ ア等のがん医療 に
をは じめ、薬剤師や看護師等 の 医療従事者 の育
専門的 に携わる医師 や歯科医師、
成 が依然 と して不十分 で ある他 、多様化か つ細分化 した学会認定専門医制度 に
な つてお り、専 門医の 質 の担保 や各医療機 関 の専門医の情報 が 国民 に分 か りや
す く提供 され ていないな どの指摘が ある。
(取り組むべ き施策)
質 の高 いがん 医療 が提供 できるよ う、よ り効率的かつ学習効果 の高 い教材 の
開発 や学習効果 に対す る評価 、大学問連携 による充実 した教育 プ ログラムの実
施等 によ り、がん 関連学会 と大学 な どが協働 して専門医や専門医療従事者 の育
成 を推進す る。
大学 に放射線療法 、化学療法 、手術療法、緩和 ケアな ど、がん診療 に関す る
臨床腫瘍学講 座 」
教 育 を専門的か つ臓器別 に とらわれ な い教育体制 (例えば 「
や 「
放射線1重
瘍学講座」 など)を 整備するよ う努 める。・
がん 医療 に携わ る医療従事者 の 育成 に関わ る様 々な研修 を整理 し、よ り効率
的な研修体制 を検討す るとともに、国、学会 、拠点病院を中心 とした医療機関、
ー
関係 団体 、国立がん研究セ ンタ 等 は、研修 の質の維持向上に努 め、引き続 き、
地域 のがん医療 を担 う医療従事者 の育成に取 り組む。また、医療機関 で も こ う
した教育 プ ログラムヘ 医療従事者 が参加 しやす い環境を整備す るよう努 め る。
(個別 目標)
5年 以内に、拠点病院 をは じめ と した医療機関の専門医配置 の有無等 、 がん
患者 に とつて分か りやす く提示 できる体制 の整備 を目標 とす る。
また、関連学会 な どの協働 を促 し、がん診療 に携わる専門医の あ り方 を整理
す るとともに、地域 のがん医療 を担 う専門 の医療従事者 の育成 を推進 し、がん
医療 の 質 の向上 を目標 とする。
(3) が
ん と診断 された時か らの緩和ケアの推進
(現状)
生命 を脅かす疾患による問題に直面 して いる患者 とその家
緩和 ケア とは、 「
族 に対 して、痛みやその他 の身体的問題、心理社会的問題、ス ピリチ ュアルな
問題 を早期 に発見 し、的確なアセスメン トと対処 を行 うことによつて 、苦 しみ
を予防 し、和 らげることで、QOLを 改善す るア プ ロー チで あ る」 (世界保健
機関 よ り)と され ている。 したが って、緩和ケアは精神心理的、社会的苦痛 を
含めた全人的な対応が必要で あ り、その対象者は、患者のみな らず、その家族
や遺族 も含まれている。
この ため、前基本計画 の重 点課題 に 「
治療の初期段階か らの緩和ケアの実施」
を掲 げ、全 ての拠 点病院 を中心に、緩和ケアチー ム を整備す るとともに、がん
診療 に携わ る医師 に対す る緩和ケア研修会の 開催 の他 、緩和ケア の地域連携 な
どについても取 り組んできた。
しか し、 日本の医療用麻薬消費量 は増加傾 向 に あるが 、欧米先進諸国 と比較
す ると依然 として 少な く、がん性疼痛 に苦 しむがん患者の 除痛 がまだ十分 に行
われ ていな いことが 推測 され る他 、がん と診断 された時か ら、身体的苦 痛 だ け
で な く、不安や抑 うつ な どの精神心理的苦痛 、就業や経済負担 な どの社会 的苦
痛 な ど、患者 とその家族 が抱 える様 々な苦痛 に対 して 、迅速か つ適切な緩和 ケ
アががん診療 の 中でまだ十分に提供 されていない。
また、拠点病院 に設置 され てい る専門的緩和ケアを提供す べ き緩和ケアチー
ムの実績や体制等 に質 の格差 が見 られ る他 、専門的な緩和ケアを担 う医療従事
者 が 不足 している。 さらに、 こ うした緩和ケアの質 を継続的 に評価 し還元で き
る体制 も不十分である。
この他 、国民の 医療用麻薬へ の誤解や緩和 ケア が終末期 を対象 とした もの と
す る誤 つた認識 が あるな ど、依 然 と して国民に対 して緩和ケアの理 解や周知 が
進んでいない。
(取り組むべ き施策)
患者 とその家族 が 抱 える様 々な苦痛に対す る全人的なケア を診断時 か ら提供
し、確 実 に緩和ケア を受 けられ るよ う、患者 とその 家族が抱 える苦痛 を適切 に
汲み上 げ、がん性疼痛 をは じめ とする様 々 な苦痛の ス ク リー ニ ング を診断時 か
ら行 うな ど、がん 診療 に緩 和ケアを組み入れ た診療体制 を整備す る。また、患
者 とその家族等 の心情 に対 して十分に配慮 した、診断結果や病状 の適切 な伝 え
方 に つ いても検討 を行 う。
拠点病院 を中心 に 、医師 をは じめ とす る医療従事者 の連 携 を図 り、緩和 ケア
12
チー ム な どが提供す る専門的な緩和 ケアヘ の患者 とその家族 のアクセ ス を改善
す るととも に、個人 ・集団 カウンセ リングな ど、患者 とその家族 や遺族 などが
いつで も適切 に緩和 ケアに関す る相談や支援 を受け られる体制 を強化す る。
専門的 な緩和 ケアの質の向上のため、拠 点病院 を中心に、精神腫瘍医をは じ
め、がん看護 の専門看護師 ・認定看護師、社 会福祉 士、臨床心理士等 の適正配
ー
置 を図 り、緩和 ケアチ ムや緩和 ケア外来の診療機能の向上 を図 る。
拠点病院 をは じめ とす る入院医療機 関 が在 宅緩和ゲア を提供 で きる診療所な
どと連携 し、患者 とその家族 の意 向に応 じた切れ 日のない在宅医療の提供体制
ー
を整備す る とともに、急変 した患者 や医療 ニ ズの高 い要介護者 の 受入れ体制
を整備 す る。
がん 性疼痛 で 苦 しむ患者 をな くすため、多様化す る医療用麻薬 をは じめ と し
た身体 的苦痛緩和 のための薬剤の迅速 か つ適正な使用 と普及を図 る。また、精
神 心理 的 口社会 的苦痛 に も対応 で きるよ う、医師 だ けでな く、がん診療 に携わ
る医療従事者 に対する人材育成 を進め、基本的な緩和ケア研修を実施する体制
を構築する。
学会な どと連携 し、精神心理的苦痛 に対するケアを推進するため、精神腫瘍
医や臨床心理士等の心のケアを専門的に行う医療従事者の育成に取 り組む。
これまで取 り組んできた緩和ケア研修会の質の維持向上を図るため、患者の
視点を取 り入れつつ、研修内容の更なる充実とともに、必要に応 じて研修指導
者の教育技法などの向上 を目指 した研修を実施する。
医療従事者に対するがんと診断された時からの緩和ケア教育のみならず、大
学等の教育機関では、実習などを組み込んだ緩和ケアの実践的な教育 プログラ
ムを策定す る他、医師の卒前教育を担 う教育指導者を育成するため、医学部に
緩和医療学講座を設置するよう努める。
緩和 ケアの意義やがんと診断された時か らの緩和ケアが必要であることを国
民や医療 口福祉従事者などの対象者に応 じて効果的に普及啓発す る。
(個別 目標)
関係機関などと協力し、3年 以内に これまでの緩和ケアの研修体制を見直 し、
13
5年 以内に、がん診療 に携わ る全ての医療従事者が基本的な緩和ケア を理解 し、
知識 と技術 を習得す る こと を目標 とす る。特 に拠点病院 では、 自施設のがん診
療 に携わる全 ての 医師 が緩和ケア研修 を修 了する ことを目標 とす る。
また、 3年 以内に、拠 点病院 を中心 に、緩和ケアを迅速 に提供 で きる診療体
制 を整備す るとともに、緩和ケアチー ム や緩和ケア外来な どの専門的な緩和ケ
アの提供体制の整 備 と質 の 向上 を図る ことを目標 とす る。
こ うした取組 によ り、患者 とそ の 家族 な どががん と診断 され た時か ら身体
的 日精神心理的 ・社会的苦痛 な どに対 して適切に緩和ケア を受 け、 こ うした苦
痛 が緩和 され る ことを目標 とす る。
(4)地
域 の医療 口介護サ ー ビス提供体制 の構築
(現状)
医療提供体制 については 、がん 患者 が その居住す る地域 にかかわ らず等 しく
科学的根拠 に基づ く適切 ながん 医療 を受ける ことがで きるよ う拠点病院 の整備
が 進め られてきた。平 成 24(2012)年
4月 現在 、 397の 拠点病院 が整
備 され、 2次 医療圏に対す る拠点病院の整備率は 68%と
な つてい る。
しか し、近年、拠点病院間 に診 療実績 の格差 が ある ことに加 え、診療実績や
支援の内容が分か りやす く国民に示 されて いな いとの指摘 が ある。また、拠点
病院は、 2次 医療圏 に原則 1つ とされ ているため、既 に同 じ医療圏に拠点病院
が 指定 され ている場合 は、原則指定す る ことがで きな い。 さらに、国指定の拠
点病院に加 え、都府県が 独 自の要件に従 つてがん医療 を専門 とす る病院 を指定
しているため、患者に とって分か りに くいとの指摘 もあ り、新たな課題 が 浮か
ぴ上が ってい る。
地域連携 につい ては 、 がん 医療 の均 てん化 を目的 に 、地域 の 医療連携のツー
ル と して、平成 20(2008)年
よ り地域連携ク リティカル バス の整備 が 開
始 された。
しか し、多 くの地域 で地域連携 ク リテ ィカルバスが 十分に機能 してお らず、
十分な地域連携の促進 に つ なが っていな いと指摘 されて いる。
また、在 宅医療 口介護サ ー ビスについては、がん 患者 の 間 で もその ニー ズが
高 ま つてい るが、例 えば、がん患者の 自宅での死亡割合は過去 5年 間大 きな変
化が見 られていない。
14
ー
口
こう した状況 の 中、
、施設 中心 の医療か ら生活 の場 で必 要な医療 介護サ ビ
ス を受けられ る体制 を構築す る ことによ り、住み慣れた場で安心 して 自分 らし
い生活 を送 る ことの できる社会 の実現 が求 め られて いる。
そのため、入院医療機 関 では、在 宅療養 を希 望す る患者 に対 し、患者 とその
ー
口
ヘ
家族 に十分に説明 した上で、円滑 に切れ 日な く在宅医療 介護サ ビス 移行
で きるよう適切 に対応す る ことが必要である。また、在 宅医療 や介護 を担 う医
療福祉従事者 の育成 に当た つては、在宅療養 中のがん患者が非 がん患者 と比較
ー
・
して症状 が不安定な場合 が 多 いことを踏 まえ、がん 患者 へ の 医療 介護 サ ビ
スについて、よ りきめ細か な知識 と技術 を習得 させ る こ とが必要 である。さら
ー
・
に、市町村等 で も、急速 な病状 の 変化 に対応 し、早期 に医療 介護 サ ビスが
提供 され るよう、各制度 の適切な運用が求 め られて いる。
(取り組 むべ き施策)
拠点病院 の あ り方 (拠点病院 の指定要件、拠 点病院 と都道府 県が指定す る拠
点病院 の役割、国の拠点病院 に対す る支援 、拠点病院 と地域 の医療機関 との連
・
携 、拠点病院 を中心 と した地域のがん医療 水準 の向上、国民に対す る医療 支
援や診療実績 等 の情報提供 の方法 、拠点病院 の客観 的な評価 、地域連携 ク リテ
ィカルバスの運用等)に つ いて 、各地域 の医療提供体制 を踏 まえた上で検討す
る。
拠点病院 は、在宅緩和 ケ ア を提供 できる医療機関などとも連携 して、医療従
一
事者 の在宅医療 に対す る理解 を 層深め るための研修な どを実施す るとともに、
患者 とその家族 が希 望す る療養場所 を選択 でき、切れ 目な く質の高 い緩和ケ ア
ー
を含 めた在宅医療 口介護サ ビス を受 け られ る体制 を実現す るよ う努 める。ま
た、国は こ うした取組 を支援す る。
地域連携 や在宅医療 ・介護 サー ビスに ついて は、患者 の複雑 な病態や多様 な
ニー ズにも対応できるよ う、地域 の経験や創意 を取 り入れ 、多様 な主体 が役割
ー
口
分担 の下に参加す る、地域 完結型 の 医療 介護サ ビス を提供 できる体制の整
備、各制度 の適切な運用 とそれに必要な人材育成 を進 め る。
(個別 目標)
がん患者がその居住す る地域 にかかわ らず等 しく質の高 いがん医療 を受けら
れ るよう、 3年 以内 に拠 点病院 の あ り方 を検討 し、 5年 以内に検討結果 を踏ま
えてその機能 を更 に充実 させ る ことを目標 とする。
15
また、がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養 や生活を選 択 で きるよう在
宅医療 口介護サー ビス提供体制の構築 を目標 とす る。
(5) 医
薬品 ・医療機器の早期開発 ・承認等 に向けた取組
(現状)
がん 医療 の進 歩 は 目覚ま しいが、治験着手 の 遅れ 、治験 の実施 や承認審査 に
時間 がかか る等の理 由で、欧米 で標準 的に使用 され ている医薬 品 口医療機器 が
日本 で使用 で きな い状況であるいわゆ る 「ドラ ッグ ・ラグ」 「デバ イス ・ラグ」
が 問題 とな つてい る。
こ うした問題に取 り組むため、政府 では 「
革新的医薬品 口医療機器創出のた
めの 5か 年戦略」 (平成 19(2007)年
)、 「
新たな治験活性化 5カ 年計画」
(平成 19(2007)年
成 20(2008)年
)、「
医療機器 の審査迅速化アクシ ョンプ ログラム」(平
)に 基 づ き医薬 品 口医療機器 の早期開発 ・承認 に向けた
取組 が行われ、審査期間の短縮等が図 られてきている。
また、欧米では使用が認め られ てい るが 、国内 では承認 され て いな い医薬品
や適応 (未承認薬 ・適応外薬)に 係 る要望の公 募 を実施 し、「医療 上の必要性の
高 い未承認薬 ・適応外薬検討会議Jの 中で、医療上の必要性 を判断 し、企業ヘ
の開発要請 や開発企業の募集 を行 う取組 が 平成 21(2009)年
よ り進め ら
れている。
具体的 には、学会や患者団体等 か ら平成 21(2009)年
当時、未承認薬
のみ な らず 、適応外薬について も多 くの要望が 提出 され、その うち医療 上の必
要性の高 い未承認薬 ・適応外薬について 、承認 に 向けた取組 が進 め られて いる。
しか しなが ら、国際水準の質の高 い臨床研究 を行 うため の基盤整 備 が十 分 で
ないほか 、 がんの 集学的治療開発 を推進す るための研究者主導臨床試験 を実施
す る基盤 も不十分 で ある。特 に希少 がん 口小児がんに ついては 患者 の数 が少な
く治験が難 しいため ドラ ッグ ・ラグの更なる拡大 が 懸念 され てお り、一層の取
組が求め られて い る。
(取り組む べ き施策)
質の高い臨床研究を推進するため、国際水準の臨床研究の実施や研究者主導
治験の中心的役割を担う臨床研究中核病院 (仮称)を 整備していくほか、弓│き
続き研究者やCRC(臨 床研究コーディネーター)等 の人材育成に努める。
16
とい う。)は 、引 き
独 立 行政法 人医薬品医療機器総合機構 (以下 「PMDA」
大学 ・ナ
続 き薬事戦略相談事 業 を継続す るな ど体制 を強 化 しつつ 、 PMDAと
口
シ ョナルセ ンター 等 の人材交流 を進 め、先端 的な創薬 医療機器等 の開発 に対
応できる審査 員の育成 を進 めてい く。
未承認薬 ・適応外薬 の開発 を促進す るため、引 き続き、「医療 上の必要性 の高
い未 承認薬 口適応外薬検討 会議」 を定期 的に開催 し、欧米等 で承認等 され て い
るが 国内 で未 承認 ・適応外 の医薬品等 で あ つて医療上必要性 が高 い と認 め られ
るものについて 、関係企業 に治験実施等 の開発 を要請す る取組 を行 う。また、
こ う した要請 に対 して企業 が治験 に取 り組 め るよ う、企業治験 を促進す るた め
の方策 を、既存 の取組の継 続 も含 めて検討す る。未承認薬 のみな らず適応外薬
も含め、米国等 の承認 の状 況を把握するための取組 に着手す る。
「医療 上の必要性 の 高 い未 承認薬 ・適応外薬検討会議」 の 中で 、医療 上の必
要性 が 高 いと判断 された にもかかわ らず、長期間治験が見込まれない抗 がん剤
につい ても、保険外併用療養費制度 の先進 医療 の運用を見直 し、先進医療の迅
速 か つ適切な実施 に ついて取 り組 んでい く。
なお、がん を含 め 、致死的な疾患等 で他 の治 療法がない場合に、未承認薬 や
適応外薬 を医療現 場 でよ り使 いやす くす るため の方策について は、現行制度 の
基本的な考 え方や患者 の安全性の確保 とい つた様 々な観点や課題 を踏 まえつつ 、
従前 か らの議論 を継続す る。
自
希少疾病用医薬 品 ・医療機器 につ いて 、専 門的な指導 助言体制 を有す る独
立 行政法 人医薬基盤研究所 を活用す るな ど、よ り重点的な開発支援 を進 め るた
めの具体 的な対策 を検討す る。
臨床研究 や治験 を進 めるためには患者 の参加が不可欠 で ある ことか ら、国や
口
研究機関等 は、国民や患者 の 目線 に立 らて 、臨床研究 治験 に対す る普及啓発
・
を進 め 、患者 に対 して臨床研究 治験 に関す る適切な情報提供 に努 める。
(個別 目標)
口
医薬 品 口医療機器 の早期開発 承認等 に向 けて、臨床研究中核病院 (仮称)
の整備 、 PMDAの
充実、未承認薬 口適応外薬 の治験の推進、先進医療 の迅速
かつ適切な実施等 の取組 を一層強 化 し、患者 を含 めた国民の視 点に立 って、有
17
効 で安全な医薬品 ・医療機器 を迅速 に提供す るための取組 を着実に実施す る こ
とを目標 とする。
(6) そ
の他
〈
希少がん 〉
(現状)
希少 がんについては 、様 々な希少がんが含 まれ る小児 がん をは じめ、様 々 な
臓器 に発生 す る肉1重、 口腔 がん 、成人 T細 胞 白血 病 (以下 「ATL」
とい う。)
な ど、数 多 くの種 類 が存在す るが、それ ぞれ の 患者 の数が少な く、専門 とす る
医師や施設 も少な い ことか ら、診療 ガイ ドライ ンの整備や有効な診断 ・治療法
を開発 し実用化す る ことが難 しく、現状を示すデー タや医療機関に関す る情報
も少な い。
(取り組むべ き施 策)
患者 が安心 して適切 な医療 を受 けられ るよ う、専 門家による集学的医療 の提
供 な どによる適切 な標準的治療の提供体制 、情報の集約 口発信、相談支援 、研
究 開発等 の あ り方 につ いて、希少がんが数 多 く存在する小児 がん 対策の進捗等
も参考に しなが ら検討す る。
(個別 目標)
中間評価 に向 けて、希少がんについて検討す る場 を設置 し、臨 床研究体制 の
整備 とともに個 々の希少がんに見合 った診療体制のあ り方を検討す る。
(病理診断〉
(現状)
病理診断医 に つ いて は、 これ まで拠点病院 では、病理 ・細胞診断の提供体制
の整 備 を行 つて きたが 、依然 として病理診断医の 不足が深刻な状況にある。
(取り組むべ き施策)
若手病理診断医の育成 をは じめ、細胞検査 士 等の病理関連業務 を専門 とす る
臨床検査技師の適正配置 な どを行 い、さらに病理診断 を補助す る新たな支援の
あ り方や病理診断 システムや情報技術の導入 、中央病理診断な どの連携体制 の
構築な どについ て検討 し、よ り安全で質の高 い病理診断や細胞診断の均 てん 化
に取 り組む。
(個別 目標)
18
3年 以内 に 、拠点病院 な どで、病理診断 の現状 を調査 し、がん診療 の病理診
断体制 のあ り方などについて検討す る。
(リハ ビ リテー シ ヨン)
(現状)
リハ ビリテー シ ヨンにつ いては 、治療 の影響 か ら患者 の味下 や呼吸運動な ど
の 日常生活動作 に障害 が生 じる ことが あ り、また、がん患者 の 病状 の進行に伴
い、次第 に 日常生活動作 に次第 に障害 を来 し、著 しく生活の質が悪化す る こと
ー
が しば しば見 られ る ことか ら、がん領域での リハ ビリテ シ ヨンの重要性が指
摘 され ている。
(取り組むべ き施策)
がん患者の生活 の質 の維持向上 を 目的 と して、運動機能 の改 善 や生活機能 の
ー
低下予 防 に資す るよ う、がん患者 に対す る質の高 い リハ ビリテ シ ヨンについ
て積極 的に取 り組む。
(個別 目標)
ー
拠点 病院な どで、がんの リハ ビリテ シ ヨンに関わ る医療従事者 に対 して質
の高 い研修 を実施 し、その育成に取 り組む。
2.が
んに関する相談支援 と情報提供
(現状)
医療技術 の進歩や情報端末 の多様 化 に伴 い多 くの情報 が あふれ る中、患者 や
その家族 が 医療機関 や治療 の選 択 に迷 う場面 も多 くな つている ことか ら、 これ
ー
まで拠 点病院 を中心 に相 談支援 セ ンタ が 設置 され、患者 とその家族 のがんに
対する不安 や疑間に対応 してきた。
ー
また 、国 立がん研究セ ンタ では 、様 々ながんに関連す る情報 の収集、分析 、
発信、 さらに相談員の研修 や各種 がん に関す る小冊子 の作成配布等、相談支援
と情報提供 の中核的な組織 として活動 を行 つて きた。 さらに、学会 、医療機関、
患者団体、企業等 を中心 と して、がん患者サ ロンや患者 と同 じよ うな経験 を持
つ者 に よる支援 (ピア ロサ ポー ト)な どの相談支援や情報提供 に係 る取組 も広
が りつつ ある。
しか しなが ら、患者 とその家族 の ニー ズが 多様 化 している中、相談支援 セ ン
ター の実績 や体制 に差がみ られ 、 こ う した差が相談支援 や情報提供 の質にも影
19
響 していることが懸念 されている。また、相談 に対応可能な人員が限 られ る中、
最新 の情報 を正確 に提 供 し、精 神心理的 にも患者 とその家族 を支 える ことので
きる体制の構築などの課題が指摘 され ている。
(取り組むべ き施策)
国 ・地方公共団体 ・拠 点病院等の各 レベルで どの よ うな情報提供 と相談支援
をす ることが適切か明 確 に し、学会 、医療機関、患者 団体、企業等 の力 も導入
したよ り効率的 口効果的な体制構築 を進 める。
拠点病院は、相談支援セ ンター の人員確 保、院内 ・院外の広報 、相談支援セ
ンター 間 の情報共有や協 力体制の構築、相談者 か らフィー ドバ ックを得 るな ど
の取組 を実施す るよう努め、国はこうした取組 を支援す る。
拠点病院は、相談支援 セ ンター と院内診療科 との連 携 を図 り、特 に精神心理
的苦痛 を持 つ患者 とその家 族 に対 して専門家による診療 を適切な時期 に提供す
るよう努める。
がん患者の不安や悩み を軽減す るた めには、がん を経験 した者 もがん患者 に
対す る相談支援に参加す る ことが必要である ことか ら、国と地方公共団体等は、
ビア ロサポー トを推進す るための研修 を実施す るな ど、がん患者 ・経験者 との
協働 を進 め、 ビア ロサポー トをさらに充実す るよ う努め る。
国立がん研究セ ンター は、相談 員 に対す る研修 の 充実や情報提供 ・相談支援
等 を行 うとともに、希少 がんや全国の医療機 関の 状況等 について もよ り分か り
やす く情報提供 を行 い、全国の中核的機能 を担 う。
PMDAは
、関係機 関 と協 力 し、副作用 の情報 収集 3評 価 と患者へ の情報提
供 を行 う。
(個別 目標)
患者 とその家族のニー ズが 多様化 して いる中、地方 公共団体、学会、医療機
関、患者 団体等 との連 携 の下 、患者 とその家族 の悩みや不安を汲み上 げ、がん
の治療や副作用 口合併症 に関す る情報 も含めて必要 とす る最新の情報 を正 しく
提供 し、きめ細やかに対応す る ことで、患者 とその家族 にとってよ り活用 しや
す い相談支援体制 を早期 に実現する ことを目標 とす る。
20
3. が
ん登 録
(現状)
がんの罹患数や罹患率、 生存率、治療効果 の 把握な ど、がん 対策 の基礎 とな
るデー タ を得 る ことによ り、 エ ビデ ンスに基 づいたがん 対策や質 の高 いがん 医
療 を実施す るため、また、国民や患者へ の情報提供 を通 じてがんに対す る理解
を深 めるためにもがん登録 は必須である。
地域 がん 登録は健康増 進法 (平成 14年 法律第 103号 )第 16条 に基 づ き
1月 現在 、 45道 府 県で実施 され、平成 24(201
平成 24(2012)年
2)年 度中 に全都道府県が 実施す る予定 とな っている。また、地域 がん登録 ヘ
の積極 的な協 力と院内がん 登録 の実施 は拠 点病院 の指定要件 で あ り、拠点病院
で全 国の 約 6割 の患者 をカバー して い ると推定 されて いる。平成 23(201
1)年 5月 、国立がん研究 セ ンター が拠 点病院 の院内がん登 録情報 を初 めて公
開 した。
35
地域 がん登録 の取組 は徐 々に拡大 し、登録 数 も平成 19(2007)年
59万 件 へ と順調に増加 して い るが、医療機
万件か ら平成 22(2010)年
関 に届 出の義務はな く、職 員も不足 している等の理由か ら院内がん登 録 の整 備
が 不十分 で ある こと、現在 の制 度 の中で、患者の予後情報 を得 る ことは困難 又
はその作業が過剰 な負担 とな つている こと、地域 がん登録 は各都道府 県の事業
で あるた め、デー タの収集 、予後調 査の方法 、人員、個 人情報保護 の取 扱 いな
どの点でば らつ きがみ られ る ことな どが課題 と してあげ られ る。 さ らに、国の
ー
役割 について も不明確 で あ り、 こ う した理 由か ら、地域 がん 登録デ タの精度
が 不十分 で あ り、デー タの活用 (国民へ の還元)が 進 んでいないとの指摘 が あ
る。
(取り組むべ き施策)
法的位置付 けの検討 も含 めて、効率的な予後調査体制 を構築 し、地域 がん登
録 の精度 を向上 させ る。ま た、地域がん登録 を促進す るための方策 を、既存 の
取組の継続 も含 めて検討す る。
国、地方 公共団体、医療機関等 は、地域がん登録の意 義 と内容 に つ いて周知
ー
を図 る とともに、将来的 には検診 に関す るデ タや学会 による臓器 がん登録等
と組み合わせ る ことによつて更 に詳細 にがん に関する現状 を分析 して い くこと
を検討す る。
,枷
国立がん研究セ ンター は、拠点病院等へ の研修、デー タの解析 ・発信 、地域 ロ
院 内がん登録 の標準化へ の取組等 を引き続 き実施 し、各医療機関 は院 内がん登
録 に必要 な人材 を確保するよう努 める。
(個別 目標)
5年 以内に、法的位置付 けの検討 も含め、効率的な予後調査 体制 の構築や院
内がん登 録を実施する医療機関数 の増 加 を通 じて、がん登録の精度 を向上 させ
る ことを目標 とす る。
また、患者の個人情報の保護 を徹底 した上で、全 てのがん 患者 を登録 し、予
後調査 を行 うことによ り、正確ながんの罹患数や罹患率、生存 率 、治療効果等
を把握 し、国民、患者、医療従事者 、行政担当者、研究者等 が 活用 しやす いが
ん登録 を実現す る ことを目標 とす る。
4.が んの予防
(現状)
がんの原因は、喫煙 (受動喫煙 を含む)、食生活、運動等の生活習慣 、ウイル
スや細菌 へ の感染な ど様 々なものが ある。特に、喫煙 が肺 がん をは じめ とす る
種 々のがんの原因 となっていることは 、科学的根拠 をも って示 され ている。
たば こ対策については、 「21世 紀 に おける国民健康 づ くり運 動」 や健 康増
進法に基 づ く受動喫煙対策 を行 つて きたが、平成 17(2005)年
に rたば
この規制 に関す る世界保健機関枠組条約」が発効 した ことか ら、 日本 でも、同
条約 の締約国 と して、たば こ製品 へ の注意文言の表示強化、広告 規制 の強化、
禁煙治療 の保険適用、公共の場は原則 と して全面禁煙であるべ き旨の通知の発
出等対策 を行 つて きた。また、平成 22(2010)年
10月 には 、国民 の健
康 の観点 か ら、たば この消費 を抑制す るとい う考 え方の下、 1本 あた り3.5
円のたば こ税率 の引上 げを行 つた 。
こ うした取組 によ り、成人の喫 煙率 は、 24.1%(平
年)か ら 19.5%(平
成 19(2007)
成 22(2010)年
男性 の喫煙率は、 32.2%(平
と依然高 い水準 である。
)と 減少 した ところであるが 、
成 22(2010)年
)と 諸外 国 と比較す る
また、成人の喫煙者 の うち、禁煙 を希望 している者は、 28,9%(平
9(2007)年
)か ら 37.6%(平
成 22(2010)年
る。
22
成1
)と 増 加 してい
成
受動喫煙 の機会 を有す る者の割合 については、行政機関は 16.9%(平
)と な
成 20(2008)年
20(2008)年
)、医療機関は 13.3%(平
全面禁煙」又 は 「
喫煙室
っている。一方、職場 の受動喫煙の状況 については、「
を設 けそれ以外 を禁煙 」のいずれかの措置 を講 じて いる事業所 の割合 が 64%、
)と さ
成 23(2011)年
職場 で受動喫煙 を受 けている労働者 が 44%(平
れ、職場 の受動喫煙 に対す る取組が遅れ ている。また、家庭 で 日常的 に受動喫
)、飲食店 で
成 22(2010)年
煙の機会 を有す る者 の 割合 は 10.7%(平
受動喫煙 の機会 を有す る者 の割合は 50.1%(平
な つている。
成 22(2010)年
)と
また、ウイルスや細 菌 へ の感 染 は、男性では喫煙 に次 いで 2番 目、女性 では
最 もがんの原因 と して寄 与 が高 い因子 とされ ている。例 えば、子宮頸 がんの発
がん と関連す る ヒ トパ ピ ロー マ ウイルス (以下 「HPV」 とい う。)、 肝 がん
と関連する肝炎ウイルス、ATLと 関連する ヒ トT細 胞 白血病 ウイルス 1型 (以
ー ロピロ リな
下 「HTL∨ -1」 とい う。)、 胃がん と関連す るヘ リコバ クタ
クチ ン接種 の推進 、
どが ある。 この対策 と して、子宮頸 がん予防 (HPV)ワ
感染予防対策等 を実施 している。
肝炎ウイルス検査体制 の整備 、 HTLV-1の
がん と関連す る生活習慣等 については、 「21世 紀 に お ける国民健康 づ くり
運動」等 で普及 口啓発等 を行 つて きたが 、多量 に飲酒する人の割合や野菜 の摂
取量に変化 が見 られず 、果物類 を摂取 している人の割合 が低下 しているな ど、
普及啓発 が不十分 な部分 が ある。
(取り組むべ き施 策)
たば こ対策 につ いて は、喫煙率 の低下 と受動喫煙の防止 を達成す るための施
口
策等 をよ リー 層充実 させ る。具体的 には、様 々 な企業 団体 と連携 した喫煙が
一
与 える健康 へ の悪影響 に 関す る意識 向上のための普及啓発活動 の 層の推進 の
他、禁煙希望者 に対す る禁煙支援 を図 るとともに、受動喫煙 の防止については、
受
に閣議 決 定 された 「
新成長戦略」の工程 表 の中で、 「
平成 22(2010)年
動喫煙 のない職場 の 実現 」 が 目標 と して掲 げ られて いることを踏 まえ、特 に職
場 の対策 を強化す る。また、家庭 における受動喫煙の機会 を低下 させ るに当た
っては、妊産婦の 喫煙 をな くす ことを含 め 、受動喫煙防止 を推進す るための普
及啓発活動 を進 め る。
感染 に起因す るがん へ の対策の うち、HPVに ついては、子宮頸 がん予防 (H
PV)ワ クチンの普及啓発 、 ワクチ ンの安定供給 に努 める とともにワクチ ン接
種 の方法等 の あ り方について検討 を行 う。また、引き続 き子宮頸 が ん検診 につ
いて も充実 を図 る。肝炎ウイル ス につ いては 、肝炎ウイルス検査体制 の 充実や
普及啓発 を通 じて、肝炎の早期発見 ・早期治療 につ なげる ことに よ り、肝がん
の発症予防 に努 め る。また、 B型 肝炎ウイルス ワクチ ンの接種 の方法等 の あ り
方 について検討 を行 う。 HTL∨ -1に ついては、感染予防対策等 に引 き続 き
取 り組む。ヘ リコバ クター ・ピロ リについては、除菌の有用性 について 内外の
知見をもとに検討す る。
その他 の生活習慣等 については、「
飲酒量の低減」、「定期的な運動の継続」、
「
適切な体重の維 持」、 「
野菜 ・果物摂取量 の増加」、 「
食塩摂取量 の減少」
等 の 日本人に推奨 できるがん 予防法について、効果的に普及啓発等 を行 う。
(個別 目標)
喫煙率 につ いては 、平成 34(2022)年
る ことによ り成人喫煙率 を 12%と
度までに、禁煙希望者 が禁煙す
する ことと、未成年者の喫煙 をな くす こと
を目標 とす る。 さ らに、受動喫煙については、行政機関及び医療機関は平成 3
4(2022)年
度 までに受動喫煙 の機会 を有する者の割合 を 0%、 職場 につ
いては、事業者 が 「
全面禁煙 」又は 「
喫煙室 を設 けそれ以外 を禁煙」 のいずれ
かの措置 を講 じる ことに よ り、平成 32(2020)年
までに 、受動喫煙 の無
い職場 を実現す る ことを目標 とする。また、家庭、飲食店については、喫煙率
の低下を前提 に 、受動喫煙 の機会 を有す る者の割合 を半減する ことによ り、平
成 34(2022)年
度 までに家庭は 3%、 飲食店は 15%と
す る ことを目標
とする。
また、感染に起 因す るがん への対策を推進す る ことによ り、がん を予防す る
ことを目標 とす る。
ハ イ リス ク飲酒者の減少 」、 「
さらに、生活習 慣改善 に ついては、 「
運動習
慣者 の増加」、 「野菜 と果物の摂取量の増加」、 「
塩分摂取量の減少」等 を目
標 とす る。
5.が んの早期発 見
(現状)
がん検診は健 康増進法 に基づ く市町村 (特別区を含む。以下同 じ。)の 事業
として行われている。
′
国は、平成 2 3 ( 2 0 1 1 ) 年
度 までにがん検診受診率 を 5 0 % 以 上 にす る
こ とを目標 に掲 げ、がん検診無料 クー ボ ンと検診手帳の配布や、企業 との 連携
ー
促進 、受診率 向上のキヤンペ ン等 の取組 を行 つて きた。また、がん検診 の有
効性 や精度管理について も検討会 を開催す る等、科学的根拠 に基 づ くがん検診
を推進 して きた。 さらに、地方 公共団体で も、普及啓発 活動 や現場の工 夫 によ
り受診率 向上のための取組 を実施 して きた。
口
しか しなが ら、がん検診の受診率は、子宮頸 がん 手Lがん検診 で近年上昇 し、
べ
年代 によ つては 40%を 超 えているが 、依然 と して諸外国に比 て低 く、20%
か ら 30%程 度 で ある。 この理 由 と してがん検診へ のアクセスが悪 い、普及啓
発 が不十分で ある こと等 が 指摘 され 、ま た、厚生労働省研究班 によると対象者
全 員 に受診勧奨を している市町村は約半数 に留ま つている。
また、科学的根拠 に基 づ くがん検診 の 実施 について も十分 でな く、国の指針
以外のがん種 の検診 を実施 して い る市町村 と国の指針以外 の検診項 目を実施 し
超 えている。ま た、精度管理 を適切 に
ている市町村の数 はそれぞれ 1000を
実施 して いる市町村数 は徐 々に増加 して い るが 、依然 と して少な い。
さらに 、現状、がん検診 を受 けた者 の 40%か ら 50%程 度 が 職域 で受 けて
い るほか 、個人 でがん検診 を受 ける者 も いる。 しか しなが ら、職域等 のがん検
診 の 受診 率や精度管理につ いては定期 的に把握す る仕組 みがない ことも課題 と
な つている。
(取り組 むべ き施策)
市町村 によるが ん検診 に加 えて、職域 のがん検診や、個 人で受診す るがん検
診 、 さらに、がん種 によつては医療や定期健診 の中でがん検診 の検査項 目が実
施 され て い る ことについて 、そ の実態 の よ り正確な分析 を行 う。
がん検診 の項 目について 、国内外 の知 見 を収集 し、科学的根拠 の あるがん検
診 の 方法等 について検討 を行 う。都道府 県 は市町村 が科学的根拠 に基 づ くがん
検診 を実施す るよ う、引 き続 き助言 を行 い、市町村 は これ を実施す るよ う努 め
る。 さらに、職域 のがん検 診 について も科学的根拠 のあるがん検診 の実施 を促
す よ う普及啓発 を行 う。
一
都道府 県は、生活習慣病検診等管理指導協議会 の 層 の活用 を図 る等によ り、
がん検診 の実施方法や精度管理の向上に向けた取組 を検討す る。
精度管 理 の一環 として、検診実施機 関 では、受診者 へ 分 か りやす くがん検診
を説明するなど、受診者の不安を軽減す るよう努め る。
受診率向上施策に ついては、 これ までの施策の効果 を検証 した上 で、検診受
診の手続 きの簡便化、効果的な受診勧奨方法 の 開発 、職域のがん検診 との連 携
など、よ り効率的 ・効果的な施策を検討す る。
がん検診 の意 義、がんの 死亡率 を下 げるため政策 と して行 う対策型検診 と人
間 ドックな どの任意型検診 との違 いや 、がん検診 で必ず がん を見 つ け られ るわ
けではない ことやがんがな くてもがん検診 の結果が 「陽性」 となる場合 もある
などがん検診の欠点についても理解 を得 られ るよ う普及啓発活動 を進 める。
( 個別 目裸)
5 年 以内に、全ての市町村が、精 度管理 口事業評価 を実施す るとともに、科
学的根拠 に基 づ くがん検 診 を実施す る ことを自標 とす る。
がん検診 の受診率については、5 年 以内に 5 0 % ( 胃 、肺、大腸 は当面 4 0 % )
を達 成する ことを目標 とす る。 日標値 については 、中間評価 を踏ま え必要な見
直 しを行 う。また、健康増進法に基 づ くがん検診 では、年齢制限 の上 限 を設 け
ず、ある一定年齢以上の者 を対象 と しているが、受診率 の算定 に当た っては、
海外諸国 との比較 等 も踏 まえ、 4 0 歳 か ら 6 9 歳 ( 子宮頸がんは 2 0 歳 か ら 6
9 歳 ) ま で を対象 とす る。
がん検診 の項 目や方法 については 、国内外の知見 を収集 して検討 し、科 学的
根拠 の あるがん検診の実施 を目標 とする。
6 . が ん研究
( 現状)
日本 のがん研究 は、平成 1 6 ( 2 0 0 4 ) 年
度 に策定 され た 「
第 3 次 対 がん
1 0 か 年総合戦略」 を基軸 と して、戦略的に推進 され るとともに、 これまでの
基本計画で掲 げられた、難治性がんの克服や患者の Q O L 向
上に資す る研究 な
ど臨 床的 に重要性の高 い研究や、がん 医療の均てん化 など政策的に必要性の高
い研究に重点的に取 り組ん できている。
また、国内のがん研究 に対す る公的支援 は、厚 生 労働省、文部科学省、経済
産業省など複数の関係省庁 によ り実施 され、内閣府 の 総合科学技術会議 と内閣
官房医療イ ノベー シ ョン推進室 によって各省庁 に よるがん研究事業の企画立案
か ら実施状況までの評価や 予算 の重点化が行われ 、省庁間の一 定 の連携 が図 ら
れ るとともに、がん研究の 推進体制 や実施基盤 に 多様性 をもた らしている。
しか し、依然 と して、多 くのがん種でその本態には未 だ解明 され ていない部
分 も多 く、がんの予防や根 治、治療 に伴 う副作 用の軽減等 を 目指 した基礎研究
をさらに推進す る必要 が ある。 また、近年は、国際的 に進 め られ ているがん ワ
クチ ン開発等 の免疫療法 をは じめ、日本発 のがん治療薬 や医療機器 の開発 の遅
れ が 指摘 され、特 に難治性 がんや小児がん を含 めた希少がん については、創薬
や機器開発 をは じめ と して、有効な診断 口治療法 を早期 に開発 し、実用化す る
こ とが求め られ ている。
また、基礎研究 、臨床研究、 公衆衛生研究等 、全 ての研究分野でその特性 に
適 した研究期間の設定や研究費 の適正配分が行われ てな く、研究 に関わ る専門
の人材育成等 を含 めた継続 的な支援体制が十分に整備 され ていないことが、質
の高 い研究 の推進の障害 となつて いる。
さ らに、各省庁 による領域毎のがん研究 の企画 ・設定 と省庁間連携、国 内の
ー
がん研 究 の実施状 況の全貌 の把握 と更なる戦略 的 ロ 体 的 な推進 が求め られ て
いZ 5 。
この他、全てのがん研究に関 して、その明確な目標や方向性が患者や国民に
対 して適切に伝えられてな く、その進捗状況を的確に把握 し評価するため体制
も不十分である。
(取り組むべき施策)
ドラッグ ・ラグ とデバイス ・ラグの解消の加速に向け、より質の高い臨床試
口
験 の 実施 を目指 し、がんの臨床試験を統合 調 整す る体制や枠組み を整備す る。
また、 日本発 の革新的な医薬 品 ・医療機器 を創 出するた め、がん免疫療法 の
がん ワクチ ンや抗体薬 の有 用性 を踏 まえた創薬研究 をは じめ、国際水準 に準拠
in―
human試 験 (医薬品や医療機器を初 めて ヒ トに使用す る試
した上で、first―
験 を い う。)、未承認薬 な どを用 いた研究者主導臨床試験 を実施す るための基盤
整備 と研究施設内の薬事支援部 門の強化 を推進す る。
よ り効率的な適 応拡大試験 な どの推進のため、平成 24(2012)年
り臨床試験グルー プの基盤整備 に対する支援 を図る。
固形 がんに対す る革新的外科治療
度よ
口放射線治療 の実現 、新 たな医療機器導入
と効 果的な集学的治療法開発のため、中心 とな つて臨床試験 に取 り組む施設 を
整備 し、集学的治療の臨床試験に対する支援 を強化する。
がんの特性 の理 解 とそれに基 づ く革新的がん診断 ・
治療法の創 出に向け、先端
ー
的生命科学 をは じめ とす る優 良な医療 シ ズ ( 研究開発に関す る新 たな発想や
技術な どをい う。) を 生み出すがんの基礎研究 への支援 を一層強化す るとともに、
その基礎研究 で得 られた成果 を臨床試験等へ つ なげるための橋 渡 し研究な どヘ
の支援の拡充 を図 る。
限 られた研究資 源 を有効 に活用す るため、公的なバ イオバ ンクの構築や解析
研究拠点等の研究基盤の整備 と情 報 の共有 を促進す る ことに よ り、 日本人 のが
んゲ ノム解析 を推進す る。
国内の優れ た最 先端技術 を応用 した次世代の革新的医療機器開発 を促進す る。
また、実際 に一 定数 のがん患者に対 して高度標準化治療 を実施 して い る施設 に
医療 機器開発 プラ ッ トフォー ム を構築 し、それ を活用 した効率的な臨床試験 の
推進 に対 して継続 的に支援す る。
がんの 予防方法 の確立に向けて 、大規模な公衆衛生研究や予防研究が効率的
に実施 され る体制 を整備 し、放射線 ・化学物質等の健康影 響 、予防介入効果、
検診有効性等の評価のための大規模疫学研究 を戦略的 に推進す る とともに、公
衆衛生研究の更な る推進のため、個 人情報保 護 とのバ ランス を保 ちつつ 、がん
に関す る情報や行政資料 を利用す るための枠組み を整備する。
社会でのがん研究推進全般に関す る課題 を解決す るため、研究成果に対す る
透 明性 の高 い評価制度 を確立 日維持するとともに、がん研究全般 の実施状況 と
そ の成果 を国民 に積極的 に公 開す る ことに よ り、がん研究に対す る国民やがん
患者の理解の深化 を図 り、がん 患者 が主体的 に臨床研究 に参画 しやす い環境 を
整備する。
がん 登録の更な る充実 を通 じて、がん政策科学 へ の エ ビデ ンスの提供 を推進
す るとともに 、 予 防 ・検診 口診断 ガイ ドライ ンの作成や、がん 予防 の実践 、が
ん 検診の精度管理 、がん 医療の質評価、患者の経済的負担や就労等 に関す る政
策研究 に対 して効果的な研究 費配分 を行 う。
若手研究者 ( リサー チ ロレジデ ン ト等) や 研究専門職の人材 をは じめ とす る
がん研究 に関す る人材 の戦略的育成 や、被験者保護 に配慮 しつつ倫理指針 の改
定を行 う とともに、研究 と倫理審査等 の円滑な運用 に向けた取組 を行 う。
( 個別 目標)
度 に終 了
第 3 次 対 がん 1 0 か 年総合戦略」 が 平成 2 5 ( 2 0 1 3 ) 年
国は、 「
す る ことか ら、 2 年 以内に、国内外のがん研究 の推進状 況を俯磁 し、がん研究
の課題 を克服 し、企画 立案の段階か ら基礎研究 、臨床研究、公衆衛 生学的研究、
一
政策研究等 のがん研 究分野 に対 して関係省庁 が連 携 して戦略的か つ 体的 に推
進す るため、今後 の あるべ き方 向性 と具体的な研究事項等 を明示す る新 た な総
合的ながん研究戦略 を策定す る ことを目標 とす る。
また、新たながん診断 口治療法や がん予防方法な ど、がん患者の視点 に立 っ
て実用化 を目指 した研究 を効率的 に推進す るた め 、がん患者の参画 な どを図 り、
関係省庁 の連携や研究者間 の連携 を促進す る機能 を持 つた体制 を整備 し、有効
で安全ながん 医療 をがん患者 を含 めた国民に速や かに提供す る ことを目標 とす
る。
7. rl、
児 がん
( 現状 )
「
がん 」は小児 の病死原因 の第 1位 で ある。小児 がんは、成人のがん と異 な
り生活習慣 と関係 な く、乳幼児 か ら思春期、若年成 人まで幅広 い年齢 に発症 し、
希少 で 多種 多様 ながん種 か らなる。
一方、小児 がんの年間患者の数 は 2000人
と少な いが 、小
度 と推定 され 、医療機関 によつては少な い経験
か ら 2500人
児がん を扱 う施設 は約 200程
の中で医療が行われ て いる可 能性 が あ り、小児 がん患者 が必ず しも適切 な医療
を受 けられていな いことが懸念 され て い る。
また、強力な治療 による合併症 に加 え、成長発達期の治療 によ り、治癒 した
後 も発育 ・発達障害、 内分泌障害、臓器障 害 、性腺障害、高次 脳機能障害 、二
・
次 がんな どの問題 が あ り、診断後 、長期 にわ た ちて 日常生活や就学 就労 に支
障 を来す こ ともあるた め、患者の教育や 自立 と患者 を支 える家族 に向けた長期
的な支援や配慮 が必要 である。
さらに、現状 を示すデー タも限 られ 、治療や医療機関に関す る情報 が 少な く、
心理社会 的な問題 へ の対応 を含 めた相談支援体制や、セカン ドオ ピニオ ンの体
制 も不十分 で あ る。
(取 り組むべ き施策)
小児がん拠 点病院 (仮称)を 指定 し、専門家 による集学的医療の提供 (緩和
ケアを含む)、患者 とその家族 に対す る心理社会的な支援、適切な療育 ・教育環
境 の提供、小児 がんに携わ る医師等 に対 す る研修の実施、セカン ドオ ピニオ ン
の体制整備 、患者 とその家族 、医療従事者 に対する相談支援等の体制 を整備す
る。
小児がん拠 点病院 を整備 したのち、小児 がん拠点病院 は、地域性 も踏ま えて、
患者 が速 やか に適切な治療 が 受 け られ るよ う、地域の医療機関等 との役割分担
と連携 を進 め る。また、患者が、発育時期 を可能な限 り慣れ親 しんだ地域 に留
ま り、他の子 どもたちと同 じ生活 ・教育環境 の 中で 医療や支援 を受 け られ るよ
うな環境 を整備す る。
小児がん経験者 が安心 して暮 らせ るよ う、地域の中 で患者 とその家族 の不安
や治療による合併症、二 次がんな どに対応で きる長期 フォ ロー ア ップの体制 と
ともに、小児がん経験者 の 自立に向けた心理社会的な支援についても検討する。
小児がんに関す る情報の集約 口発信 、診療実績な どのデー タベー スの 構築、
コー ルセ ンター 等 によ る相談支援 、全国 の小 児がん関連施設 に対す る診療 、連
携、臨床試験 の支 援等 の機能 を担 う中核的な機関の あ り方につ いて検討 し整備
を開始す る。
(個別 目標)
小児がん患者 とその家族が安心 して適切 な医療や支援を受 けられ るよ うな環
境 の整備 を目指 し、 5年 以内に、小児がん拠 点病院 を整備 し、小児がんの 中核
的な機関の整備 を開始す る ことを目標 とす る。
8.が
んの教育 ・普及啓発
(現状)
健康 については子 どもの頃か ら教育す る こ とが重要 であ り、学校 で も健 康 の
保持増進 と疾病の予防 といつた観点か ら、がんの予 防 も含めた健康教育 に取 り
組 んでい る。 しか し、がん その ものやがん 患者 に対す る理解 を深める教 育 は不
十分 で あると指摘 されて い る。
がん検診 50%
また、患者 を含 めた国民 に対す るがんの普及啓発は、例えば 「
ー
集中キ ヤンペー ン」 の 開催、国立がん 研究 セ ンタ や拠 点病院等 の 医療機関 を
ー
中心 と した情報提供や相談支援 、民間 を中心 としたキヤンペ ン、患者支援、
がん検診 の普及啓発 や市 民公開講座な ど様 々な形 で行われ ている。 しか し、い
ら 30%程
度 で あるな どがんに対す る正 しい
まだがん検診 の受診率 は 20%か
理解が必ず しも進んで いな い。
さらに、職域 でのがんの普及啓発、 がん 患者 へ の理解 、がんの 薬 が 開発 され
るまでの過程 や治験 に対す る理解、様 々な情報端末 を通 じて発信 され る情報 に
よる混乱等新たなニー ズや問題 も明 らかにな りつつ ある。
(取 り組むべ き施策)
健康教育全体 の 中で 「がん 」教育 をどの ようにす るべ きか検 討す る。
地域性 を踏 まえて、がん患者 とその家族 、がんの経験者 、がん 医療 の専門家、
教育委員会 をは じめ とす る教育関係者 、国、地方公共団体等 が協 力 して、対象
がん 」教育 の試行的取組や副読本 の作成
者 ごとに指導 内容 ・方法 を工 夫 した 「
を進 めて い くとともに 、国は民間団体等 によつて実施 され ている教育活動 を支
援する。
国民へ の普及啓発 について 、国や地方 公共団体は引き続 き、検診や緩和 ケア
な どの普 及啓発活動 を進 め る とともに、民間団体 によつて実施 され ている普及
啓発活動 を支援す る。
患者 とその家族 に対 しても、国や地方 公共団体は引き続 き、拠 点病院等医療
機関 の相談支援 口情報提供機能 を強化す るとともに、民間 団体 に よ つて実施 さ
れて いる相談支援 口情報提供活動を支援す る。
(個別 目標)
子 どもに対 しては、健康 と命の大切 さに ついて学び、 自 らの健 康 を適切 に管
理 し、がん に対す る正 しい知識 とがん患者 に対す る正 しい認識 を持 つ よ う教育
す る こ とを目指 し、 5年 以内に、学校 での教育 の あ り方 を含 め 、健康教育全体
の中で 「がん 」教 育を どの よ うにす るべ きか検討 し、検討結果 に基 づ く教育活
動 の実施 を目標 とす る6
国民に対 しては、がん予 防 や早期発見に つ なが る行動変容 を促 し、 自分や身
近な人 ががんに罹患 して もそれ を正 しく理 解 し、向か い合 うた め、がんの普及
啓発活動 をさ らに進める ことを目標 とす る。
31
患者 に対 しては、がん を正 しく理解 し向き合 うた め 、患者 が 自分の病状、治
療等 を学ぶ ことのできる環境 を整備す る。患者の家族 について も、患者の病状
を正 しく理 解 し、患者 の心の 変化、患者 を支える方法 などに加 え、患者の家族
自身 も心身のケアが必 要 で ある ことを学ぶ ことので きる環境 を整備す る ことを
目標 とする。
9。 がん患者 の就労 を含 めた社会的な問題
(現状)
毎年 20歳 か ら 64歳 までの約 22万 人ががん に罹 患 し、約 7万 人ががんで
死 亡 してい る一方 、がん 医療の進歩 とともに、 日本 の全がんの 5年 相対生存率
は 57%で あ り、がん 患者 日経験者 の中にも長期生存 し、社会 で活躍 している
者 も多 い。
一 方、がん患者 ・経験者 とその家 の には
族 中
就労 を含めた社会 的な問題 に直
面 している者 も多 い。例 えば、厚生労働省研究班 によると、がんに罹患 した勤
労者 の 30%が
依願退職 し、 4%が 解雇 された と報告 されている。 こ う した こ
とか ら、就 労可能 ながん 患者 日経験者 さえも、復職 、継続就労 、新規就労す る
ことが 困難な場合がある と想定 され る。
また、拠点病院 の相談支援セ ンター で も、就労 、経済面、家族のサポー トに
し
関す る ことな ど、医療 のみ な らず社会的な問題に関す る相談 も多い。 か しな
が ら、必ず しも相談員 が 就労に関す る知識や情報 を十分 に持 ち合わせて いると
は限 らず、適切な相談支 援や情報提供 が行われていな いことが懸念 され る。
(取り組むべ き施策)
がん以外の 患者 へ も配慮 しつつ 、がん患者 日経験者 の就労 に関す るニー ズや
課題 を明 らかに した上 で 、職場で のがんの正 しい知識 の普及 、事業者 ・がん 患
者やその家族 日経験者 に対す る情報提供 口相談支援体 制のあ り方等 を検討 し、
検討結果 に基 づいた取組 を実施す る。
働 くことが可能か つ働 く意欲 の あるがん患者が働 けるよ う、医療従事者、産
業医、事業者等 との情報 共有や連携 の下 、 プライバ シー保護 に も配慮 しつつ 、
治療 と職業生 活の両立 を支援す るための仕組み につ いて検討 し、検討結 果 に基
づ き試行的取組 を実施す る。
がん 患者 も含めた患者 の 長期的な経済負担の軽減 策 については 、引き続 き検
討 を進 め る。
医療機 関 は、医療従事者 に とつて過度な業務負担 とな らな いよ う健康確保 を
図 つた上で、患者 が働 きなが ら治療 を受 けられ るように配慮す るよう努 める こ
とが望 ま しい。
事業者 は、がん患者 が働 きなが ら治療や療養 で きる環境 の整備、 さらに家族
ががん になつた場合 でも働 き続 け られ るよ うな配慮 に努め る ことが望ま しい。
また、職場や採用選考時 にがん患者 日経験者 が差別を受 ける ことのないよ う十
分 に留意す る必要 が ある。
( 個別 目標)
ー
がん患者 日経験者 の就労 に関す るニ ズや課題 を 3 年 以内 に明 らか に した 上
日
で 、国 、地方公共団体 、関係者等 が 協力 して、がんやがん患者 経験者 に対す
る理解 を進 め、が ん 患者 ・経験者 とその家族等 の仕事 と治療 の両立を支援す る
ことを通 じて、抱 えている不安の軽減 を図 り、がんにな つて も安心 して働 き暮
らせ る社会 の構築を 目標 とす る。
5 が ん対策 を総合的 か つ計画的 に推進するた めに必要 な│
1. 関
係者等 の連 携協 力の 更 なる強 化
がん対策の推進 に当た つては 、国、地方公共団体 と関係者等 が 、適切な役割
一
分担 の下、相互 の連携 を図 りつつ 体 となつて努力 して い くことが重要 である。
2.都
道府県による都道府 県計画 の策定
度 か らの新
都道府県では、基本計画 を基本 と して、平成 25(2013)年
たな医療計画等 との調和 を図 り、 がん患者 に対す るがん 医療 の提供 の状況等 を
ベ
踏 まえ、地域 の特性 に応 じた 自主的 か つ主体的な施策 も盛 り込み つつ 、なる
都道府 県計画」 とい う。)の 見
く早期 に 「
都道府 県がん対策推進計画」 (以下 「
直 しを行 うことが望ま しい。
なお、見直 しの際 には、都 道府 県のがん対策推進協議会等 へ のがん患者等 の
参画 をは じめ として、関係者 等の意見 の把握 に努 め、がん対策の課題を抽出 し、
そ の解決 に向けた 目標 の設定及 び施策 の明示、進捗状況 の評価等 を実施 し、必
要 が ある ときは、都道府県計画 を変更す るよ うに努める。また、国は、都道府
県のがん対策の状況 を定期的に把握 し、都道府県間の情報共有等の促進 を行 う。
都道府県計画 の作成に当た って 、国は、都道府県計画の作成の手法等 の重要
な技術的事項 を助言 し、都道府県は これ を踏ま えて作成するよ う努める。
3. 関
係者等の意見の把握
がん 対策 を実効 あるもの と して総合的に展開 してい くため、国 と地方公共団
体 は、関係者 等 の意 見 の把握 に努 め、がん 対策に反映 させてい くことが極 めて
重要 で ある。
4. が
ん患者 を含 めた国民等 の努力
がん 対策は、 がん患者 を含 めた 国民 を中心 と して展開 され るものであるが、
がん 患者 を含めた国民は、その恩恵 を受 けるだ けでな く、主体 的か つ積極 的に
活動す る必要が ある。また、企業等には、国民のがん予防行動 を推進す るため
の積極的な支援 口協力が望まれ る。
なお、がん 患者 を含 めた国民 には、基本法第 6条 の とお り、がんに関す る正
しい知識 を持ち、 がんの予防 に必要な注意 を払 い、必要 に応 じがん検診 を受 け
るよ う努め る こ との他 、少な くとも以下の努 力が望まれ る。
● が
ん 医療 はがん 患者やその 家族 と医療 従事者 との よ り良 い人間関係 を
基盤 として成 り立 ってい る ことを踏まえ、医療従事者 のみ な らず、がん患
者 や その家族 も医療従事者 との信頼関係 を構築す る こ とがで きるよ う努
めること。
● が
ん患者 が適切な医療 を受けるためには、セカン ドオ ピニオ ンに関す る
情報 の提示等 を含むがんに関する十分な説明、相談支援 と情報提供 等 が重
要 で あるが 、がん患者やそ の家族 も病態や治療内容等 について理解す るよ
う努 め る こ と。
● が ん患者 を含 めた国民 の視点に立 ったがん 対策 を実現す るため、がん患
者 を含めた国民や患者団体 も、国、地方公共団体、関係者等 と協 力 し、都
道府 県のがん 対策推進協議会等のがん対策 を議論 じ決 定す る過程 に参加
し、がん 医療やがん患者 とその家族 に対す る支援 を向上 させ るとい う自覚
を持 つて活動す るよう努めること。
34
● 治 験 を含む臨床試験 を円滑 に実行す るため には、がん患者の協 力が不可
欠であ り、理解 を得 るための普及啓発 は重要であるが 、がん患者 を含めた
国民 も、がん に関す る治験 と臨床試験 の意 義 を理 解す るよう努 めること。
5.必
要 な財政措置 の 実施 と予算の効率化
・重点化
基本計画 による取組 を総合 的か つ計画的 に推進 し、全体 目標 を津 成す るため
には、がん対策 を推 進す る体制 を適切 に評価す るよ うな きめ細 やかな措置 を講
じるな ど、各取組 の 着実 な実施 に向け必要 な財政措置 を行 つてい くことが重要
である。
一方 で、近年の厳 しい財政事情 の下では、限 られ た予算 を最 大限有効 に活用
する ことによ り、がん対策による成果 を収 めてい くとい う視点が必要 となる。
このため、よ り効率的 に予算 の活用 を図 る観 点 か ら、選択 と集中の強化、各
施策の重複排除 と関係府省間 の連携 強 化 を図 る とともに、官民の役割 と費用負
担の分担 を図る。
6. 目
標 の達成状 況の把握 とがん対策 を評価 す る指標 の策定
基本計画 に定 める 目標 につ いては 、適時 、その達成状況について調査 を行 い 、
その結 果をイ ンター ネ ッ トの利用そ の他適切 な方法 によ り公表す る。また、 が
ん対策の評価 に資す る、医療 やサ ー ビスの質 も含 めた分か りやす い指標 の策定
について必要な検討 を行 い、施策 の進 捗管理 と必要 な見直 しを行 う。
なお、国 は基本計画 に基 づ くがん対策の進捗 状況 について 3年 を目途 に中間
評価 を行 う。 この 際 、個 々の取 り組 むべ き施策 が個別 目標 の達成に向けて どれ
だけの効果 をもた ら しているか 、ま た、施策全体 と して効果 を発揮 しているか
とい う観点 か ら評価 を行 い、その評価結果 を踏 ま え、課題 を抽出 し、必要に応
じて施策に反映す る。また、協議会 は、がん対策 の進捗状況 を適 宜把握 し、施
策 の推進 に資す るよ う必要 な提言 を行 うとともに、必要 に応 じて専門委員会等
の積極的な活 用 を行 うこととする。
35
7.基
本計画 の見直 し
基本法第 9条 第 7項 では、 「
政府は、がん 医療 に関す る状況の変化 を勘案 し、
及びがん対策 の 効果に関す る評価 を踏 まえ、少な くとも 5年 ごとに、基本計画
に検討 を加 え、必要が あると認めるときには、これ を変更 しなければな らない」
と定 め られている。計画期間 が終了す る前 で あ つて も、がんに関す る状況の変
化、がん対策 の進捗状況 と評価 を踏まえ、必要があるときは、これ を変更する。
36
│
国立がん研究センターがん対策情報センター
平成 26年 (2014)3月
巻頭言
平成 18年 6月 がん対策基本法が成 立 し、翌平成 19年 4月 よ り施行 され、わが 国 のがん
「
対策 は新 たな局面 を迎 えた。平成 19年 6月 には、国全 体 のがん対策 の計画 となる がん対
がん対策推進基本計画」にお いて
策推進 基本計画」が、策定 され閣議決 定 を受 けた。 この 「
は 、希少 がんについて触れ られて い なか つたが 、がん対策推進協議会 での議論 を経 て 、平成
希少 がんは。数 多
がん対策推進基本計画」においては、「
24年 6月 に策定 された第 二期 の 「
くの種類 が存在す るが、それぞれ の患者 の数 が少 な く、専門 とす る医師や施設 も少 ない こ と
か ら、診療 ガイ ドライ ンの整備や有効 な診断 ・治療法 を開発 し実用化す る ことが難 しく、現
状 を示すデ ー タや 医療機 関 に関す る情報 も少 な い 現状 を踏 まえ、患者 が安心 して適切 な医
療 を受 け られ ることをめ ざして 、希少 がんについて検討す る場を設置 し、臨床研究体制 の整
備 とともに個 々の希少 がんに見合 つた診療体制 の あ り方 を検討す る こ とを個別 目標 とす る」
とされ てい る。
一
がん対策推進 基本計画」 に基 づい た希少がん に対する取 り組 み の つ として、平
この 「
ー
希少 がん対策推進事業」が がん対
国 立がん研 究セ ンタ 委託事業」にお いて 、「
成 25年 度 「
希少 がん対策推進事業」
策 情報 セ ン ター を実施 主体 として設 定 された。本報告書 は、この 「
希少 がん対 策 ワー クシ
の 一 環 として、全国 の希少 がん 医療 に携 わ る医療者 ・研 究者 による 「
ョ ップ」にお ける議論 を中心 に とりま とめた もので あ る。希少 に関す る現時点 の整理 をめ ざ
した も ので あるが、これで 、希少 がん の課題 が解 決 したのではな く、希少 がん対 策 を考 える
第 一 歩 とな るもの と考 える。
本報告書 をき つか け とな り、わが国 の希少 がん対策 の検討 を進み、 さらに、希少 がん対
策 が推進 され、希少 がん患者 が安 心 して 医療 を受 け られ る社会 の構築 につ なが るこ とを願
つ て い る。
国 立がん研 究 セ ンタ
ー が ん対策情報 セ ンター
セ ンター長 若 尾 文彦
ワークショップ報告書の構成について
希少 がん対策 ワー クシ ョップは平成 26年 2月 16日 、東京 で各分野 の演者 12名 を含 む
全国 の希少 がんに関 心のあ る医療従事者 67名 の参加 を得て行 われた。本報告書 は、希少 が
ん対 策 ワー クシ ョ ップにおける、各演者 の講演 、お よびそれに続 くデ ィス カ ッシ ョンを、運
営事務 局 でま とめた もの である。
各演者 の講演 につい ては内容 をポイ ン ト別 に整理 して総括の上 、 キー とな るス ライ ド上
の 図表 を抽出 してカロえた。作成 は ワー クシ ョップ運営事務局 で行 い、各演者 の確認 を頂 いた。
デ ィス カ ッシ ョンは運営事務局 の判断 で トピ ック別 に整理 して総括 した 。 一 部 内容 の補足
のため に加 筆 した ところ もある。そ の た め各講演、デ ィス カ ッシ ョンに含 まれてい るアイデ
アのオ リジナ リテ ィは演者 と参加者 に、表現、編集 の ま とめ方 に関す る責任 はワー クシ ョッ
プ運 営事務局に帰属す る。
また ワー クシ ョ ップに先 立 ち、特 に希 少 がんの集約化 に 関す る海外 の 事例 を集 めるため
に文献 を収集す る とともに、そ の著者 に対 して各国で集約化 を進 める仕 組 み を電子 メー ル
で 問 い合 わせた。その結果、イ ギ リス 、 プランス、イ タ リアの著者 よ り返信 があ り、それ ら
をも とに事務局 で要 旨をま とめた。 時 間 の制約 な どの関係 で これ らの内 容 を裏付 ける文書
の調査 な どが不十分であ ることか ら、未完成 の参考資料 と考 えて頂 きた い 。ワー クシ ョップ
後 には 、参加者 に希少 がんの 定義 と集約 化 に 関す るワー クシ ョップにつ い てのア ンケ ー ト
行 い意見 を伺 った。 そ の ま とめも巻 末 に添付 す る。
厚 生 労働省委託事業 「
希少 がん対策推進事業」は国立がん研究 セ ンター がん対策情報 セ ン
ター を中心 として担 当 し、 ワー クシ ョ ップに関 してはがん政策科学研 究部 が運 営事務局 と
な つたが 、平成 25年 12月 には、国立がん研 究セ ンター の 中央病院、東病院 に希少 がん対
策 室 (希少 がんセ ン ター )が 設 立 され 、希少 がんが 国 立がん研究 セ ン ター の 中で も一 つ の重
点課題 として決定 づ け られた時期 で もあ つた。そ の 中で 、室長の川井章先 生 をは じめ とす る、
希少 がん 対策室 の皆様方 には方 向性 を検討す る会 で、今 回 の章 立て とな つ た 「
定義」「
診療」
ー
「
研 究」 「
情報提供 」 の整理 を ご検討 頂 い た り、ワ クシ ョップ の lヶ 月前 に行 われた 国 立
がん研 究 セ ン ター 内のプ レ ・ワー クシ ョ ップに ご発表頂 いた り、さらに ワー クシ ョップの 当
日の講演 、議論 にお い て も多大な ご協力 を頂 い た。 この場 を借 りて事務 局 か ら、厚 く御礼 を
申 し上 げたい。
希少がん対策 ワー クシ ョップ運営事務局 東 尚 弘
(国立がん研究セ ンター がん対策情報センターがん政策科学研究部/
中央病院希少 がん対策 室 )
希少 がん対策 ワー クショップ報告書
目次
1.は じめ に
pl
2.希 少 が ん の 疫 学 と定 義
東 尚 弘
2‐
2 地 域 がん登録か らみた疫学
ー
国 立がん研究セ ンタ
ー
国 立がん研 究セ ン タ
2‐
3 院 内がん登録か らみた疫学
東京大学公衆衛 生学
中村 文 明
1 希 少がん定義 の現状
2‐
柴 田亜希 子
4 デ ィスカ ッシ ョン
2‐
p4
p6
p9
p10
3.希 少 が ん の 臨床
1 希 少がん (肉腫)の 診療実態 が ん研有明病院
3‐
松本誠
一
p12
2 希 少がん (悪性脳腫瘍)の 集約化
3‐
国立がん研究 セ ン タ
3 施 設集約化 のデ ー タ
3‐
ー
東京大学公衆衛 生学
成 田善孝
p15
中村文明
p20
4 デ ィスカ ッシ ョン
3‐
p22
4.研 究 開発
1 基 礎研究 か ら臨床 へ 望む こと 国 立がん研究セ ンター
4‐
4‐
2 希 少がん治療薬 開発 の問題点 ノ ーベルファー マ
近藤 格
p27
塩村 仁
p32
野 中孝浩
p37
福 田治彦
p39
4‐
3 希 少疾病用医薬品開発 に対す る取 り組み
4‐
4 臨 床試験 のデザイ ン
医薬 品医療機器 総合機構
ー
国 立がん研究セ ン タ
5 デ ィスカ ッシ ョン
4‐
p42
5。 希 少 が ん 情 報 提 供
1 情 報提供活動
5‐
5‐
2 情 報 を探す 。相談支援
東京大学医科学 研 究所
佐賀県医療 セ ン ター好生 館
内丸 薫
p46
大石美穂
p49
櫻井雅代
p51
ー
3 情 報 を探す 。がん情報サー ビスサポー トセンタ
5‐
国立がん研究セ ンター
4 デ ィスカ ッシ ョン
5‐
6.ま とめ と今 後 の 方 向性
p53
p55
巻末資料
巻末資料 1: 院 内がん登録 を使 つたがん種別の頻度
巻末資料 2:各 国の診療 の集約化対策
巻末資料 3:参 加者ア ンケー ト結果
巻末資料 4: 国 立がん研究セ ンター希少がん対策室発足時ア ンケー トの論点 のま とめ
1。 は じめに
がん対策推 進基本計画 が平成 24年 6月 に改訂 とな り、希少 がん対策 を行 つてい くことが
べ
新 たな記述 と して追加 された 1。しか し、そ の 目標 は取 り組む き施策 の検討 で あ り、そ の
ための場 を設 置す る と書 いて あるに とどま り、それ以 上の具体策 に関す る記述 はない 。そ こ
ー
ー
一
で 、今 回は そ の よ うな検討 の第 歩 と して 関 心の あ る現場 の方 々 でブ レ ンス ト ミン グ
を行 うた めの ワー クシ ヨツプを企画 した。
一
希少 がんは様 々 な種類 が 千差 万別 なた め 律 には論ず る ことはできない とい う意見 もあ
るか もしれ な い。 しか し、そ の 中か ら共通点 を見 い だ して対策 をたて る ことで 、うま く制度
へ
が組 み 立て られ る こ とにつ なが る。個別 のが ん種 か ら学び全体 を考 える こ と 方 向性 が 向
ー
希少 がん」 とい うテ マ で話 し
か うのが 日標 にな る。そ のため診療 科 を限定 せ ず に大 き く 「
合 うことで見 えて くるもの もあるはず である。
この ワー ク シ ヨップの後 の行程 は未 定 であ る。厚 生労働省か らの委託事業 で はあ るもの
の特 に何 か の 結論 を依頼 され たわけ で はな い 。何 をすれ ば良い のか も現時点 では誰 に もわ
かって い ない のが正 直な状況 である。しか し、逆 に考 える と参加者が 自由 に意 見 をい うこと
ー
でそ こか ら今 後 の行程 を提案 して行 けれ ば この ワ クシ ョップは成功 とい える。
<用 語 の 確 認 >
検討 を始 める上で 、 まず以下 の用語 について 整理確認 が必 要 と考 え られ る。
① 希少が ん vs難 治 がん
ー
「
希少 がん」とい つた時にそ の定義 が定ま ってい るわけではな く、それ も この ワ クシ ョ
一
希少」 と称す るため、数 が少 ない ことは最低条件 とい
ップの課題 の つ とい る。 しか し、 「
る。混同 しや す い の は難治がん であ る。希少 がんは数 が少 ないた めに治療 法が十分 に開発 さ
れず難治 がん とな る ことが多 い とい るが、逆 に必 ず難治 なわけではない。また、難治 がんは
ー
必ず しも希少 なわ けではない ことか らこれ らは区別 して考 える必要が ある。 この ワ クシ
難治 がん」とい う単語
ョップは混 舌Lを避 け るために、この二つ の概 念 は区別 し、基本的に 「
は使 わない。
② がん種 の 区分 につい て
数 に着 日 した 希少性 を論 じ始 める と、がん を どの よ うに区分す るかで数 が 変 わ る こ とが
考 え られ る。最近 は遺伝子 を含む分子学的検 査 が広 く普及 してい るため、トリプルネ ガテ ィ
性肺 がん といつた もの は、平Lがん、肺 がん とい う数 の多 いがんであつて
も数 は少 な い とい うことにな る。それ は確 か に希少 か も しれないが 、診療科 が数 の多 いがん
ブ乎Lがん、ALK陽
と異 な らず、治療 の場 に患者 が困 る こ とはな い 、な ど、もともと部位 的にも希少 な骨 肉腫や
ー
脳腫瘍 な ど とは様相 が異 なる ことが 多 い と考 え られ るため、 この ワ クシ ヨ ップの議論 か
らは除外 して考 える。もちろん このワー クシ ョップで論 じられて い るこ とや結 論 が 、これ ら
の特殊 な遺伝子型 のがん にあてはま る こ とはあるか も しれ ないが、あ くまで議論 の整理 と
して今 回は触れない。
③ 「希少」 なのか 「
稀少」 なのか
希少 がん とい う時 に二種類 の漢字があるた め、何 か違 いが あるのか と気 になる人 もい る。
これ は、ただ 「
稀」とい う文字 が常用漢字 では な いた め、通常 の公の文書では常用漢宇た る
「
希」 力`
使 われ る とい うに過 ぎない。本報告書 で も特 に 固有名詞な どの特別 な場合 を除 き
「
希」 を用い る。
④ 有病率 と罹患率
有病率 と罹患率 は明確 に区別 す る必要 があ る。有病 率 はある一時点 で患者 さんが何人 い
るのか 、もしくは人 口の 中で患者 さんは何%な のか とい う、横断的な数値 を指す 。一 方罹患
率 は、 時 間 の幅 があって例 えば 1年 間 とい う時間 で人 口あた り患者が何人発生す るかで あ
る。罹患率は一部 には発 生率 ともいわれ る。難病対策 にお ける希少性や希少疾病用医薬 品 の
文脈 では有病率 で全 国 に患者数 5万 人 な どと有病率 が用 い られ るの に対 し、 がんの数 を数
える場合 には 10万 人 あた り年間発生 6人 とい つた よ うに、罹患率が使 われ ることが多 く混
乱 の元 となってい る。
⑤ がん登録 の種類
がんの発 生 を数 える、希少性 を論ず る、また既存 のがんデ ー タベ ー ス とい っ た時にはがん
登録 が話題 になるこ とが多 い。ただ し、実はがん登録 には 3種 類、地域 がん登 録 2、院内 が
ん登録 3、臓器 がん登録 4が ある。臨床 の現場 でな じみが深 いの は臓器 がん登録 で、 これ は
臓器別 に各学会 が独 自に項 目を決 めて運営 してい る。 臨床専 門家 の 関 心 に基 づい てデ ー タ
が集 め られ るために臨床 的な詳細 なデ ー タが集 め られ る傾 向がある し、治療法 に術式や化
学療法 の レジ メ ン な どの詳細情報が集 め られ る。 一 方地域 がん登録 は都道府 県が運営 して
い るもので 、そ の地域 で発 生 したがんを届 け出て数 を数 えるのが基本 になる。しか し、協力
は病 院 に任 されて い るこ と、県 に運 営 の余力 が あるか とい つた ことに地 域差 があるこ とか
ら、数年前までは全 部 の県 では行 われ て こなか った。 しか し、昨年 12月 にがん登録推進法
が成 立 したので 5、予定通 りい けば 2016年 症例 か ら全 国 がん登録 と名称 が変 わ り、病院 は
がんの届 け出義務 を負 うことになる。院 内がん登録 はがん診療連携拠点病院 において 、全 が
ん共通 の項 目で全受診 がん のデ ー タを登録 す るこ とが 指定要件 であるた め 、準義務 として
行 われ てい る とみなす こ とができる。病院 で集 め られ るので 、初回治療や 一 定 のステ ー ジ情
報 な どが集 め られ てい るが、全 がん共通項 目で あ り臓器 ご とに特徴的 な項 目について は収
集 され ていない。それぞれ特徴 があるので これ らは区別 して考 える必 要 があ る。「
がん登 録」
とい つ た時 には気 をつ け て考 えた方が混 乱 が な くて良 い 。
引用 文献
生 労働省 . が ん 対 策 推 進 基 本 計 画 .
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参
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2. 疫学 と定義
2‐
1.希 少 がん定義 の現状
国立がん研 究 セ ン ター がん対策情報 セ ンター がん政策科学研 究部
東 尚 弘
希少 がんの定義 は これまでわが 国 にお いて はな され て こな か つた 。 がん対策推進基本計
画 にお いて は 、 「
様 々 な希少 がんが含 まれ る小児 がん を始 め、様 々 な臓 器 に発生 す る肉腫、
日腔 がん 、成人 T細 胞 白血病な ど」と例 示 されてい るの みで あ り、定 義や範 囲 は明示 されて
い ない 。そ こでまず定義か ら考 える必要 がある。定義 を考えるためには定義 の 目的 の明確化
が必 要 であるが 、 これ はおそ らく、 「
数 が少 ないが故 に、患者 が受 ける医療 が他 のがん よ り
も不利 な状況 が発生 してお り、それ を是正す るため」といって それ ほ ど問題 は無い と思 われ
る。では、どの よ うな不利 な状況 があるのか、とい うこ とを考 えなけれ ばな らないが 、それ
が本 ワー クシ ョップでは、 「
診断治療 」 「
研究開発」 「
情報提供」 にあ る と考 えてそれぞれ検
討 してい る。おそ らくそれ らの問題 を踏 まえて希少性 の程度 を (年間発 生率が どの程度以下
の もの をい うか)な どの定義 の問題 に戻 つて くるのが 良 い と予想す る。 ここでは、海外 の定
義 と国 内 の類似 の定義 として難病 を取 り上 げる。
<海 外 で の 定 義 >
希少 がんの定義 を決 めるのには何 よ りもどの程度希 であるかが一 つ のポ イ ン トにな るが、
最近 の RARECAREの
定義では年間の発生率 が人 口 10万 人 あた り 6例 未満 とされ てい る
1。他 に も、Rare Cancer Europeでは、有病率 0.05%、 アメ リカ の Ottce ofRare Diseases
Researchで は総患者数 が 20万 人以下 と定義 されてお り 2、これは総 人 口で割 る と有病率
0.07%に 相 当す る。 これ らの有病率 をがんにあてはめる と、人 口 10万 人 あた り6例 の発生
率 とほぼ同 じとなってい る 3。
数 の 基準 に加 えて、他 の要素 も考慮す るこ とも対策 をたて る対処 と して考 えた場合 には
重要 で ある。 そ のため 、Ottce Of Rare Diseases Researchで
は有病 率 が定 義 に満 たな くて
も新 薬 開発 が 市 場 で 見 合 わ な い 場 合 に は 希 少 とみ なす と され て お り 4、 EurOpean
CommissiOn on Pubhc Healthで は 「
希少 であるこ とに加 えて致命 的 もしくは慢性的障害
をもた らす疾患」 5を 希少疾患 としてそ の 中で の悪性腫瘍が希少 がん とい うことになる。
<難 病 と の 対 比 >
わが 国 の難病対策 は 、 がんや 神経疾 患 な どの別 に対策 の枠組 み が あ るもの を除外 して制
度 が構築 され てい るため、希少 がんは難 病対策 の枠組み に入 つて こな い が 、概念的 に類似点
も多 い 。難病 の定義 の ために 4つ の要素、 「
希少性」、 「
原因不明」、 「
効果 的 な治療法が未確
立 」、「
生活面 に対す る長 期 の支障」が判断 の基準 としてお り、これ らを元 に厚 生労働省 で 具
体的 に難病 を指定す る制度 を とつてい る 6 。これ らの要素 は希少 がん の定義 を考 える上で参
考 になる と期待 できる。
2Ⅲ
2.地 域 がん登録 か らみた疫学
国 立がん研究 セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん統計研 究部診療実態調査室
柴 田 亜 希子
がん対策推進基本計画 の 中で、希少 がんに つい ては 「
希少 がんについ ては、様 々 な希少 が
んが含 まれ る小児 がんをは じめ、様 々 な臓器 に発 生す る肉腫 、日腔がん、成人 T細 胞 自血病
ATL」 とい う。)な ど、数多 くの種類 が存在す る。」 といつた記載 が あるが 7、そ こ
(以下 「
で具体的に挙 げ られて い るがん以外 は、 「
な ど、数多 くの種類 が存在す る」 とま とめ られ て
お り、具体的 に希少 がんには どのよ うな がん種 が含 まれ るのか 明確 な定義 が され ていない。
そ のため、疫 学デ ー タを用 い て この 「
な ど」に該 当す るがん種 には どの よ うな ものが含 まれ
るのか、検討 してい く必要 がある。ここでは 、欧米 で使用 されて い る既存 の希少 が んの定義
を紹介 した後 、地域 がん登録 を用 いた 日本 の疫 学デ ー タを示す 。
<海 外 の 希 少 が ん の 定 義 >
疫学 において疾病頻度 をみ る指標 は、罹患数 (罹患率)、有病数 (有病率)、生存 率な どが
あ り、それ ぞれ定義 が異なる。罹患数 はそ の病気 に初 めてかかった人 の数 を とらえて い くこ
とであ り、有病数 は今現在 そ の病気 を持 って い る人 の数 を とらえてい くことで あ る。生 存率
は病気 にかか った人 の 中で生存 してい る人 とい うこ とになる。指標 を考 える際 には 、数字 が
どのよ うな定義 に基 づい て数 えられた もの な のか 注意 して 見 てい く必要がある。
希 少がんの定義 に関す る論 文は少な く、先 ほ どの RARECAREの
報告 8と ァ メ リカか ら
の もの 9が 主 な報告 にな ってい る。RARECAREで
は、腫瘍 内科医、病理学者 、疫学者 と、
患者 団体 に よる コ ンセ ンサ ス グル ー プ を設置 し、希少 がんの定義に関す る協議 の 末、ヨー ロ
ッパ における希少 がんの定義 をま とめた。そ の結果、彼 らは 1年 間で 10万 人 中 6人 未満 の
発 生 率 のが ん を希少 がん と定義 した。 一 方 ア メ リカ では、2007年 に National Cancer
lnstitute(NCI)で 希少 がんのワー クシ ョ ップが 開催 され、希少がんを 1年 間 で 10万 人 中
15人 未満 の発 生率のがん と定義 した。そ の後 、研究者 が、そ のワー クシ ョップの 定義 に基
づいて 、 アメ リカ の人 口の約 10%を カバ ー す る地域がん登録 の SEERの デ ー タを も とに、
がんの局在 と組 織型 ごとに罹患率を算 出 し、 どのがんが 1年 間 で人 口 10万 人 中 15人 未満
の新発 生か を明 らかに した。彼 らの解析 では 、 20歳 未満 の 患者 、すな わち小 児 がん患者 が
除 かれ てい る。
部位 と大 まかな組 織型 に よる分類で罹患率 を計算 したア メ リカ の研 究 に対 し、 ヨー ロ ッ
パ の RARACAREで
は分類 を妥 当な ものにす るために多大 な努力を払 つた上で実 際 の デ ー
タに適用 され た。まず ヨー ロ ッパ では有識者 と患 者団体 らによる検討 を経て 、臨床 状況 に見
の 3つ に 分類 し、
合 った腫瘍群 の分類表 を作成 した。具体的 には 、全 てのがん を大 。中 ・月ヽ
「
専門医療機 関 へ の紹介 の 目安 となるよ うな腫瘍群」として大まかながんの分類 を大分類 と
し、「
治療や方針 決 定お よび研究 で 関連性 の ある腫瘍群」として中分類 を定 義 した。次 に ICD‐
0‐3の 分類 を小分類 とし、大 。中分類 に割 り振 る作業 を行 つた。最終的 にこの方法で合計
587種 類 の ICD‐0‐3が 小分類 に、 199が 中分類 に 、59が 大分類 へ と分類 された。 この分類
∼
を、 ヨー ロ ッパ 89の 地域 がん登録 の うち、64の 地域が ん登録 か らの 1995年 2002年 の
400万 人 の罹患デ ー タに適用 し、それぞれ の分類 の罹患率 が計算 され た。希少 がん は臨床 的
に意味 の ある中分類 と大分類 で定義 され てい る。検討 の末、最終 的 に 190種 類 のがんが希
少 がん と定義 され た。 そ の うち、大分類 の レベ ル で希少 である と定義 された ものが 9つ あ
り、中分類 で希少 だ とされた ものが 181種 類 あ つた。希少 がん とされたが ん全 ての罹患率
希少 がんは (全体 とし
を合計す る と、全体 の罹患率 の 22%を 占めてお り、 この論文で は 「
て)そ れ ほ ど希 で はない 」 と結論 づ けてい る 3。
いずれ の報告 で も、腫瘍 を数 える部位 (局在 )や 組織型 の単位 としては、国際疾病分類 腫
瘍学第 3版 (ICD‐0‐3)に お ける腫瘍学分類 を用 いてお り、これ は本 邦 の 地域 がん登録や院
内がん登録 に も用 い られてい る。
表 1 希 少 が んの定義 に関す る先行研 究
EU in 2010 KRARECARE)
US in 2007
Reference
Gatta,G,2011
Greenlee,R,2010
Consensus
Oncologists, Pathologists,
Workshopin 2007 sponsoredbY
Cancer epidemiologists,Patients
NCI
advocacygroups
Indicator
Incidence
Incidence
Threshold
h annualincidence
h annualincidence
/Burden
く 6/100,000
<15/100,000
Definition
Original combinations of site
By sites
/Group
and morphology
By histologic groups
Sourceof
Population‐BasedCancer
SEER(10%of PBCRs)
Cancer
Registries eBcRs)
(>=20 years olめ
Incidence
<地 域 が ん 登 録 の 検 討 結 果 >
RARECAREの
報告 と同 じ解析 を、 日本 の地域 がん登録を用 いて検討 した。33の 地域が
∼
ー
ん登録か ら、人 口の約 10%に 該当す る 12地 域 のデ タ、10年 間分 (1998年 2007年 )
一
を用いた。人 口約 10%の デー タを 10年 間分使用 したことで、おお よそ 日本 の人 口と同 の
1億 2,000万人 ほ どの母集団 となつた。がん患者 の数 は約 63万 であ つた。
10万 人年 あた りの罹患率 と新規 のがん罹患数 の関係 をみると、罹患率 が 6人 (/10万人年)
の ところで罹患数 が明 らか に変化 してい る ことが わか った。RARECAREの
論文 では 、当初
罹患率が 10万 人年 あた り 3を 希少 がんの間値 と考 えて い た よ うだが 、対策 が必 要なが ん種
を考 えた際 に含 めるべ きがん種が入 らない とい う意見 があ り、6を 閾値 に変更 した経緯 があ
る。この よ うに、純粋 な統 計学的な定義 づ けではな く、日本 で も同様 に、数値 だけの定義 で
はな く、対策 が必 要 ながん種 につい て 関係者 と十分 に相談 した上で定義 をす るのが 良 いの
ではないだ ろ うか。
年齢階級別 のがんの罹患率 を希少がん とそれ 以外 で比 較す る と、30歳 未満 では希少 がん
の罹患率 がそれ 以外 の罹患率 よ りも多 くな り、30歳 以 上では希少 がん以外 のがんが メ ジ ャ
ー ながん となって い る。RARECAREの
中で も、ほ とん どの希少 がんが小児 がんだ といわれ
てい るが 8、同様 の結果 となった。
EUと
配付資料 の表 3に 、
日本 の比較 を示す。解析 の結果、RARECAREで
は大分類 9つ 、
中分類 181の 合計 190の がん種 が希少 がんに該 当 していたのに対 し、 日本 では大 分類 10
つ 、中分類 180の 合 計 190の がん種 が罹患率 6人 (ノ
10万 人年)未 満 のがん種 に該 当 した。
希少 がんの割合 が RARECAREで
は全てのがん種 に対 し 22%だ ったの に対 して、本邦 では
15%で あ つた。そ の理 由 として断定的な ことはいないが 、日本 では ヨー ロ ッパ と比 べ て 胃が
ん とか肺 がんな どの 罹患数 が 多 く、相対的 に希少 がんの割合 が小 さくなってい るためだ と
考 え られ る。 日本 で は希 だ が 、 ヨー ロ ッパ で は希 で は な い が ん種 には Invas市e lobular
carcinomaな どがあ っ た。 逆 に ヨー ロ ッパ では希 で 、 日本 では希ではな い ものに関 しては
HepatOcenular carcinomaやCarcinOmas ofthyroid glandな
どがあ った。
ま とめ として 、ヨー ロ ッパ では希少 がんの定義 を決 め る際、様 々な専門家や関係者 に よる
デ ィスカ ッシ ョンの 末、疫 学デ ー タを用いて希少 がんを定義 した。ここでは、日本 の地 域 が
ん登録 を用 い た疫学デ ー タを RARECAREに
沿 つて分類 し、希少 がんに該 当す るがん種 を
算定 した。このワー クシ ョ ップで希少 がん の定義 を考 えるにあた り、該 当 したがん種 につい
てその妥 当性 を ステ ー クホル ダー 間 で検討 しては ど うだ ろ うか。 日本 での希少 がんの 定義
とは どうあるべ きか、議論す る足掛 か りになれば良い と思 う:
編集者注 :結果 につ いて は報告書 当時論文提 出中であ り、報告書 に含 め られ ませ んで した。
2‐
3.院 内がん登録 か らみた疫学
東京大学 大学院医学系研 究科公衆衛 生学分野
中村 文 明
<院 内 が ん 登 録 とは >
点病院 か ら集 ま って くる院内 がん登録 のデ
が ん診療連 携 拠′
ー タを使 つて 、地域 がん登録
と同 じよ うな解析 を した。配付資料 の巻末資料 1が 解析 の結果 で ある。院 内が ん登 録 は、平
成 26年 2月 現在 全 国 で 397施 設 が 指 定 を受 けてい るがん診療連携拠 点病院 にがんで受診
した全 患者 のデ ー タを集 めた もので あ る。 がん診療連携拠 点病院 に受診 しなか つたがんの
デ ー タは無 いが 、全 ての都道府 県 か ら集 め られてお り、割合に しておお よそ全国 の 60%∼
点病院 は基礎研修 を
70%ぐ らい をカバ ー して い る と考 え られ て い る。また、がん診療連携拠 ′
受 けた がん登録 実務担 当者 を雇用す る こ とが要件 で定 め られてお り、
一 定 のデ ー タの 質 が
担保 で き る とい う状況 になって い る。
<院 内 がん登録 で の検討結果 >
今回の解析 には 2008年 ∼2011年 の院内がん登録を使い、登録された病院で初回治療を
受けた者 のみを対象 とした。診断のみやセカン ドオピニオ ンのみの症例、また再発を含む初
論文 8に習つて除外 して
回治療開始後は除外 し、良性腫瘍 と上皮内がんも RARECNEの
いる。
小分類Cayer 3)としてい る
中分類Cayer 2)、
分類 を大分類 (Layer l)、
が、巻末資料 1の 表 1は 大分類 を発生率順 に、推定罹患率 の少ない順 か ら多い順 に並べ て
ある。表 2は 、大分類 中分類 を部位順 に頭 の上の方か ら順番に並べてある。推定罹患率は、
ー
全がんに対す る拠点病院 の登録割合 (毎年 60%∼ 70%)ヽから予想 され る人 ロカバ 割合 に
よつて値 を推定 (つま リカバー率で割 り算)し たもの、粗罹患率 とい うのは、仮 に拠点病院
RARECAREは
が 100%の がんをカバー していた場合 の罹患率 となってい る。
推定罹患率 に関 しては、全てのがん種 で同 じ 60%∼ 70%と い う値 を使 つてあるので、特
に発生率 の低 い ものでは拠点病院 のカバ ー割合 はこれ よりも高 い と考 え られ るため、地域
がん登録で推定 したよりもおそ らく高 い値 が出ている。 しかしなが ら、表 1の 頻度 の順位
に関 しては、地域がん登録で見たもの と大差ない。この順番 からどのあた りを上 限 として希
少がん と呼べ るのかが検討可能 である。
9
2‐
4 . デ ィスカ ッション
患者数 の把握 とい う意味では、地域 がん登録 がその 目的には適 してい る。しか し現在 の地
域 がん登録 は病理情報がある程度信頼 で きる県 のデ ー タ しか使 うことがで きない た め、 47
都 道府県中、 12県 しか ない。 また 、大規模人 口の県はほ とん ど含 まれ てい ない とい う限界
が ある。
年齢補 正について もいつてい ない た め、「日本全体 と対象 県 の Rare Cancerの罹患 の リス
クは 同 じである」 とい う前提 での値 となってい る。 これ は RARECAREで
行 われ た先行検
討 に習 った形であ り 8、ョー ロ ッパ の 21地 域 の分析 で今回使 ってい る全て の ヨー ロ ッパ の
地域 、北欧 の ノル ウェー 、スペ イ ンで は全 く違 う希少 がんの罹患率や発 生率 を持 ってい るこ
とも考 え られ るが補 正な どは行 わず 、対象 とな ったがん登録で ヨー ロ ッパ 全体 を代表 でき
る と仮 定 してい る。数 の少 ないがんの疫学 では、発 生率 を他集 団 と比 較す る前に、発 生数 そ
の ものが 関心事であるため、まず は年齢 調整罹患率 ではな く、実数や粗 罹患率で評価す る方
針 とした。
院内 がん登録 では 、大都市 も地方都 市 のデ ー タ も全て入 つてい るが、がん診療連 携拠点病
院 のみ のデ ー タであ り、また近年 まで全 部 の拠点病院がデ ー タを出せ てい るわけで もない
の で 、これ もあ くまで推測値 とい うこ とになる。 しか し、発生率 の順位 は地域 がん登録 の結
果 と大 きな差 がないため、 二つのデ ー タでかな り近 い ものが 出た とい う結果 になつてい る。
10
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θ′Ith″
o武s_」an‐Feb
3。 希少 がんの臨床
l。 希少 がん (肉腫)の 診療実態
3Ⅲ
がん研有明病院整形外科
松本 誠 一
希少 がん としての肉腫 は集約化す る必要があるか とい うことが命題 になってい るが、希
少がんだ か らとい う理由のみで症例 を集約化 してセ ンター化す るべ きではない。集約化 と
い うのは あくまで も治療効果を向上 させ ることが 目的であ り、集約化す べ き治療 が標準化
されれば、もはや集約化 は不要だか らである。そ の観点か ら希少 がんの定義を考 えると、希
少がんとは広義 には 「
組織型、発生部位、年齢 な どに基づいた頻度 の低 い悪性腫瘍」と定義
され るの に対 し、狭 義には 「
治療効率を上げるために集約化す べ き悪性腫瘍」と定義できる
のではないか。
AllisOn et al.に
よる骨肉腫のメタアナ リシス によると 1970年 代 に抗 がん剤治療 が始まっ
てか ら肉腫の予後 は飛躍的 に改善 した 1。しか し 80年 代 に入 り有効な抗 がん剤 が 出きつて
しまって以来、新 しい抗 がん剤 が登場 しないため治療成績は完全に壁にぶつかって、ここ lo
数年 は停滞 してい る。1980年 代 よ り現在 までの約 30年 間は整形外科医による拡大手術療
法などの技術向上があ り肉腫診療が支えられてきたものの、新薬 がなければこれ 以上 5年
生存率を向上 させ る ことは困難である。 肉腫 は疾患単位 として発症 年齢や発 生部位 に特徴
がある他、血 行性 に転移 をしやすい、融合遺伝子 を示す一群 があるな どの臨床的特徴がある
ことか ら、今後は肉腫 の診療を集約化 させ る ことで新薬 の開発 を促進 させ ることが重要な
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蝸 螂 瓢 蝸 鍋 蝸 価 蝸 鵬 脇 噺 8曇
課題である。
D― de
5-year overall sunrival of OsteosarcomaQ7,227patients, 1910 - 2000s)
(Allison et aL.2Ol2Sarcomar)
12
しか しなが ら、 日本 の肉腫患者は全国 の施設 に非常に分散 してい る。 2010年 の全国骨軟
が その
部腫瘍登録 (日本整形外科学会)で は全国 55施 設 で 168例 の骨肉腫が登録 された 、
2。登録件数 が最 も多 かった施設は
中で 3例 以下 の登録を した施設は全体 の 70%も 占めた
13例 登録が 1施 設 にとどま り、逆 に 1例 のみ の登録 であつた施設 は 18施 設 も存在 した。
つま り、肉腫 の診療は全国様 々な施設で行 われ、大部分 が 1年 に数例 しか診療 してい ない
・
・
。
施設 で治療 されてい る。肉腫治療 には、腫瘍内科、整形 消化器 頭頚部 泌尿器外科、小
肉
児科 と様 々 な診療科 が携 わるので、集約的治療 により治療効果 の向上を期待 しうるため、
腫診療 を集約化 し、統括す る組織 が必要 と考 えられる。
全 国 骨腫瘍 登録 2010年 度版
施
登録数
13
9
8
4・
7
3例 以下
設数
1
1
3
10
4例
40〔 70%) 1例
合 計 16●
55
以_L:15施 設
:18施設
全 国骨軟部 腫瘍登録 によると、整形 外科 医 が 日常的 に診療す る悪性 腫瘍 の過 半数 は転移
2。
の 60%の 診療 を
性 の骨腫瘍 で あ り、肉腫 は数例あるかな いか程度 である 逆 に肉腫全体 約
の腫
整形外科 医 が薬物療法 と外科療法 の 両方 を行 つてい る。 そ の よ うな状況 では 肉腫 専門
のた め に も肉腫診療
瘍 内科 医 が 育 たない とい う問題 も指摘 され て お り、腫瘍 内科 医 の 育成
の集約化 は必要 である。
`
A腫 診療 を集約 化するためには _1大 がん による転移性腫瘍 の診療 と肉腫 の診療 を明確 に
一 のがん診療連携拠
分 けるのが 良い。つま り、5大 がんによる病的骨折、脊椎転移な どは 般
い
点病院 で診療 し、肉腫は肉腫 の診療 を統括 して行える肉腫 の拠点病院 で診療 を行 う、と う
や
形 で棲み分けを行 うのである。がん診療連携拠点病院 では、転移性骨腫瘍 による病的骨折
・BP製 剤)、
・
脊椎転移 な どに対 し、放射線治療、手術療法、薬物療法 (抗がん剤 分子標 的薬
ー
に
運動療法 を行 い、肉腫拠点施設では強力な外科チ ムによる高 リス ク手術や、腫瘍内科医
ー
よる最先端分 子標的治療 を行 う他、詳細 な臨床デ タ と手術材料 を使用 しての基礎的研究
や専門医 の育成 を担 うことになる。 この よ うな肉腫拠点施設 を設置す る ことで集学的治療
を患者 に提供 できるだけではな く、治験 にお ける症例集積 が効率化 され、新薬開発 が進むも
の と考 える。
13
登録による骨腫瘍の頻度
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1 ) 肉 腫 : 肉 腫 の 拠点病院での 診療
2 ) 5 大 がんによる運動 器症状( 病的骨折、青椎転移) :
がん 拠 点病院での 診療
肉腫と5大がんを明確に分1ナ
て考える必要がある.
14
■
3‐
2.希 少 がん (悪性脳腫瘍)の 集約化
ー
国立がん研究セ ンタ 中央病院脳脊髄腫瘍科
成田 善 孝
原発性脳 腫瘍は、良性 ・悪性合わせて約 150種 類 ある、院内がん登録 と地域 がん登録 の
デー タを元に推測す ると、原発性脳腫瘍 の発 生は全 国 で年間 2万 人 ほ どと推測 され る。そ
の中で、希少 がん対策 として重点を置 くべ き脳腫瘍 には、次 のよ うな要素が考えられ る。
① 国 内年間発 生数 がおよそ300以上 (超希少 ではないが希)
② 5年 生存率が70%ま たは20年生存率 が30%以 下 (予後 が悪い)
③ 発 達障害 ・認知機能障害 ・治療に伴 う QOLの 低下な ど治療上問題 をかかえる腫
瘍
① に関 しては、希ながんの 中で も非常 に希なもの、超希少 なが んは含 めず、ある程度症例
数 のある希少 がんに対 して対策をたてるべ きとい うことである。年間の国内発症 が 50症
ー
例未満 の脳腫瘍 はた くさん存在す るが、 これ らはまず がん登録 によるデ タの収集 を行
い、研究 レベルで調 査 を行 うことが優先 され る。現時点 では希少がん対策 として重点 を置
くべ き脳腫瘍 ではない。
② に関 しては、10年 生 存率 が 9割 もあるようなものや、Grade Iのような良性 の腫瘍は重
点的な対策 の対象 としては優先度 が下 がるため、対策 が必要な希少がんの枠組み か ら外 し
て考える。
③関 しては、② とは逆であるが、予後が良くて も小児脳 腫瘍 のよ うに、二次 がんの発 生や
認知機能障害を残すような腫瘍も焦点を当てる必要があるとい う意味である。
これ らの条件 を満 たす よ うな原発性脳腫瘍 を、頻度 の 多い 25の 原肇性脳腫瘍 よ り探 し
てみると、神経膠腫 全体 (膠芽腫、星細胞腫 ・乏突 起星細胞腫な ど)と 中枢神経系 リンパ
腫が、脳腫瘍 の 中で もまず は希少がん対策 として重点 を置 くべ き脳腫瘍 の要素 に該 当す
る。
15
重 点をおくべ き脳腫蕩
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え昴 瘍
(脳腫瘍全国集計調査報告 20143ょ り)
<悪 性 脳 腫 瘍 診 療 の 問題 点 >
悪性脳腫瘍は、摘出度 (残存腫瘍)と 予後が相関す ることが指摘 されてい るため、機能
を損な うことな く摘出度 を上げることが重要である。そのためには、ナ ビゲー シ ョン、電
気生理学的モニ タ リング、覚醒下手術、蛍光診断、術中 MRI(国 内 14カ 所)、病理診断な
どの高度な技術、専門知識、医療機器が必要である。 しか し日本 の悪性脳腫瘍 の症例はこ
の ような技術がそろってい ない施設にも非常に分散化 している。 ある脳腫瘍治療薬 の処方
状況をみ ると、悪性神経膠腫の手術 で使用す る薬剤は 330カ 所 で処方 され、標準薬物治療
薬 である抗がん剤 は 1,550カ所で処方 されてい る。全国 300程 度 (日本脳腫瘍学会 の会員
数 か ら推定)の グ リオーマ専門家 が存在する中、330施 設で手術療法が実施 され、1550施
設 で薬物療法 が実施 されてい るよ うな状況である。現にグ リオーマ の治療件数 が年間数件
(1-2件 )と い う施設 も国内に多数存在す る。
症例が分散 している理 由は、悪性脳腫瘍 の場合、腫瘍 の増大 により神経症状が急速に悪
化する ことがあるため、治療を待 つてい られないことが挙げ られ える。例 えば膠芽腫 で
は、不可逆的な神経学的脱落症状を防 ぐために 2週 間以内に治療 を要す るケー スが半数を
占める。 さらに、脳腫瘍 は手術 な どの診療報酬が高いこ とか ら病院経営上 の理由か ら積極
的に悪性脳腫瘍 の手術を行 う施設 も多いのが現状 である。
そのため、患者 は自分 の脳腫瘍について正 しい情報 を入手す る前に受診 した病院で治療
が開始 されて しま うことが多 く、病理医が存在 しない施設で腫瘍摘出が行われて しま うこ
16
ー ー
ともよくある。少ない症例が分散 してい る ことで、メ カ による積極的な治療薬 の開発
が行われず、医師主導 の臨床試験 もなかなか進まない とい う問題 もある。JCOG(日 本臨
床腫瘍研究 グルー プ)で 実施 された過去 の膠芽腫 の臨床試験 では、 1施 設 について lヶ 月
は
あた りの平均症例登録数 を計算す ると、」COG0305試 験 (ACNU vsACNUIPCZ)で
は 0.18症例 と、患者 の リクルー トに
0.13症例、JCOG0911試 験 (TMZ vsTMZ+IFN)で
4.症 例 の分散は以上の
非常 に時間がかか り、なかなか臨床試験が進 まないことがわかる
弊害があ り悪性脳腫瘍 の集約化 は必須であると考 える。
<悪 性脳 腫 瘍 の 集 約 化 >
悪性脳腫瘍 を集約化する ことのメ リッ ト、デメ リッ トをそれぞれ考 える。 わが国におい
ヘ
ては、脳腫瘍にお いては集約化 によ り、5年 生存率 の向上、長期予後 の改善な ど、患者
直接的 なメ リッ トについて検証 されてい ない。 アメ リカでは、成人脳腫瘍 にお いて、high
v011lme center(症
例数 の多 い施設)の 方が手術関連死は低 く、 自宅退院 できなか つた率
も低い とい うエ ビデ ンスや 5、小児脳腫瘍 において high vol―e centerの方が手術関連死
6。その
亡率や合併率が低 かつたとい う報告な ど集約化 を指示す るエ ビデ ンスが存在す る
一方 で、 ノル ウェー の小児悪性脳腫瘍 の研究 では low voll17ne Centerの
方が high volllme
ne
良かつた とい う研究結果 もあ り 7、high vol‐
centerと比べ て患者 の予後 (生存率)力 `
centerへ症例を集約化する ことで本 当に長期 生存が改善す るか どうか とい うことに関 して
は、結論が出てい ない。
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(Barker et al.,Nell,o Onco1 20055)
17
しか し、術 中 MRIや 、覚醒下手術、電気生理学的 モ ニ タ リングな どを行 うことがで き
る施設 に希少 がんや難治がん患者 が集 ま る体制が整備 されれ ば、患者 は実績 の ある施設 で
集学的治療 を受 ける ことがで き、 自分 の病気 につい て も情報 を得やす くなる。症例 が 多 く
集 ま る こ とで医療 ス タ ッフの習熟度 の 向上 も期待 でき、臨床試験 も迅速 に行 うことがで き
るよ うにな る。患者 の リクル ー トも容易 にな リコス ト削減 も期待できる。 これ は新薬開発
の促進 につ なが る重要な集約化 のメ リッ トで ある。 バ イ オバ ン クを使 つた基礎研究 の推進
とい うの も極 めて重要 で、現時点で集約化 による生 存率 の向上 とい う明確 な エ ビデ ンスが
存在 しない 中、本 当の意味 での集約化 の メ リッ トとい うの は、新 しい治療法 を開発す るた
めではないか と考 える。
そ の一 方 で 、集約化す るこ とで患者 に よつて は医療機 関へ のアクセスが悪 くな り、通院
や見舞 いが負担 になることが懸念 され る。 また、集約化 した場合、地域 医療機 関や かか り
つ け医 との連 携 が うま くい かない可能性 があ り、そ の場合 は地域連携 を円滑 に進 める コー
デ ィネ ー ター の よ うな存在 が必 要 にな るか も しれ ない。 さらに集約化 に よ リー般診療施設
で脳 腫瘍 の症例 を経験す る機 会 が減 る可能性 があ り、専門医取得 の際に問題 となる可能性
も考慮 しない とい けない。そ して何 よ り重要 な問題 はキャパ シテ ィー の 問題 。麻酔科、手
術 室 のキ ャパ シテ ィー に制限があ り、現時点 では集約化 されて も必ず患者 を受 け入れ るこ
とがで き る体制が整 ってい ない ため、集約化 の際 には受 け入れ病院 のキ ャパ シテ ィー の 問
題 を解決 しなけれ ばな らない。
集約化 のデ メ リッ ト
集約 化 の メ リッ ト
1.
つろ 05 ´仕
5.
症例 の集 ま りに くい希少 がん 。難治
が んに対す る集 学的治療
患者 自身 が情報 を得やす くなる
医療 ス タ ッフの習熟度 の 向上
新 規薬物療法 の 臨床試験 を迅速 に行
う
質 の高 い情報収集 , 研 究 の活性化
( バイ オバ ン ク)
1.患 者 にとってアクセ スが遠 くなる
2.患 者 。専門医 。かか りつ け医の連携
が うまくいかない可能性
3.集 約施設 の受け入れ体制 (キャパ シ
テ ィー )
4 . 施 設 による偏 り ( ロー カルル ー ル )
5 , 一 般診療施設で の経験 と教育の機 会
がな くなる
<集 約 化 の 方 法 >
集約化 の方法 としては、現在 397施 設 のがん診療連携拠点病院では症例が分散 しす ぎて
しま うため、人 口 100万 ∼200万 人に 1施 設 ほどと考 え、拠点病院 100施設程度 に絞 る、
あるいは大学病院 。都道府県 がんセンター等 に集約化す ることを提案 したい。例 えば 自施
設で 自信 を持 って診療できる疾患を、実績 と共に提示 してもら うような 自己申告制 (手挙
18
希少 がん拠点病 院」 といつた よ うな認 定 をす る。 そ の
げ式) を 用 い 、そ の よ うな施設 に 「
よ うな認 定制度 に よ り、 どの施設 へ い けば集 学的治療 を受 けるこ とができるか患者 に とつ
一
エ
て もわ か りやす くな るのではないか と思 う。 方 で 、集約化 による予後改善 の決定的 な
ビデ ンスが 存在 しな いため、患者 に集約化 の有用性 とメ リッ トを提示 してい くことは忘れ
てはな らな い。
19
3‐
3.施 設集約化 のデー タ
東京大学大学院医学系研 究科公衆衛生学分野
中村 文 明
2008年 ∼ 2011年 4年 間 の院内が ん登録全国デ ー タを用 い初発未治療 で登録 された症例
を対象 に して 、欧州 の希少 がんサーベ イ ラ ンスCRARECARE)8で 用 い られ て い る大分類
lLayer l)ごとに、診療実績施設数 と 1施 設 あた りの最大症例数 と最小症例数 を算定 した。
そ の結果 が巻 末資料 1.表
1(院 内がん登録 を使 ったがん種別 の頻度)で あ る。例 えば軟
部内腫 は全 国 388施 設 で診療 されてお り、4年 間 の最大症例数 が 322例 の施設 か ら、4年
間で 1例 のみ の施設 までば らつ きがあ り、施設 ごとの診療症例数 に大 きな幅が存在 した。
推定罹患率 は実際 に登録 され た症例 数 にカバ ー率か ら逆算 して全 国 の罹患数 を測定 して
い る。 院 内がん登録 の症例カバ ー率は 60%∼ 70%と されてい るが、60%と すれ ば例 え
ば、6人 の登録 があつた らおそ らく全 国 で本 当は 10人 発 生 していただ ろ うといった形 で逆
算 してい る。 ただ し、 カバ ー率 は全てのがんを統合 して計算 されてい るので 、通常のがん
は、拠 点病院 を受診 しない こと も多 く、希少 がんは大病院 を受診す る傾 向 にある とすれ
ば、希少 がんは全て一度 が拠点 病院 を受診 してい るとい う可能性 も考 え られ るので 、逆算
す る前 の数 を使 った罹患率 も提示 してい る。 おそ らく真 の値 はその間 にあ る。
推定罹患率 と診療実績 の ある施設数 の 関係 をプ ロ ッ トした ところ、推 定罹患率が 3以 上
のがん に関 しては、 ほ とん ど全 ての拠 点病院 (つま り 390施 設以 上)で 登録 されて い るこ
とか ら、 ほ とん ど施設 の集約化 が され て い な い状況 と考 え られた。 しか し、骨 肉腫、網膜
芽細胞腫 に関 しては予想 よ り少 ない施設 が診療 してお り、何 らかの集約化 の傾 向がある と
考 え られ た。
橿
目
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壼
ぬ
8
20
このデ ー タはがん診療連携拠 点病院 の み のデ
ー タであるため、全 国 の拠 点病院以外 の施
設 か ら拠 点病院 には集約化 され てい る可能性 はあるが、少 な くとも 400以 下 の施設 に集約
され てい る とい う状況 ではない と考 え られ る。
グラフか らは本邦 の希少 がんの診療 は推 定罹患率 が 1(/10万 人年)を超 える と約 300施 設
にな る こ とか ら、 がん診 療連携 拠点病院 間 では希少が んの診療 に関す る集 約化 は行 われ て
い ないのが 現状 と考 えられ る。今後 、診療施設 の集約化 をす るので あれ ば、患者 に とつての
メ リッ トとデ メ リッ トを十分 に議論す る必 要 があ る。集約化に よ り患者 の 医療 ア クセ スが
悪化 し、患者 の費用負 担は増 える、とい うのが集約化 の大 きなデ メ リッ トとして海外 の研究
で報告 され てい る 9。それ に対 し、全 ての希少 がんについて実際 に集約化 を行 つた ことに よ
り患者 の 長期予後 が 改善す るか とい うこ とは特 に結論 が出てい ない し、 わが国 にお いては
研 究 も足 りない 。食 道がんやす い臓 がんな どの侵 襲性 の高 い悪性腫瘍手術 に関 しては年 間
10,11、
こ
症例数 が 多 い施設 ほ ど補正術死 率 が低 い とい うエ ビデ ンスは多数報告 され てい るが
れ らの よ うな集約化 のエ ビデ ンスのほ とん どはア ウ トカ ム が短期的 なも ので あ つた り、観
察研 究 で あ つた りす るた め、重症度や施設 間 の違 い な どが十分 に調整 され てい ない 可能性
がある。 この よ うに患者 に とつて最 も重要 な長期予後 に関 して エ ビデ ンスが ない 中 で集約
を行 う場 合 、病院間 の連携 の強化や 、患者負 担 の軽減 な どに十分配慮す る必要 がある と考 え
る。
21
4 . デ ィスカッション
3口
<集 約 化 の エ ビデ ン ス >
'
日本 にお ける集約化 のエ ビデ ンス に関 しては、がん登録 の予後追跡調査 の結果 が 出れ ば
ボ リュー ム ごとの生 存率 の違 い をある程度算 出できる可能性 はある。 しか し、大きな研究
機関 では 、合併症 がない患者 を多 く診療 して い る可能性 もあ り、そ の よ うな施設 は他施設
に比 べ 、治療成績 が 良 くみ える とい うことがある。統計的な リス ク調整 も万能 ではな くて
もともとの患者状態 の差 を十分 に調整 で きるか どうかの問題 もあるので 、施設 のボ リュー
ム別 に患者 の 予後 に関す るエ ビデ ンス を出す際には注意が必要 である。 さらに、難易度 の
高い外科手術 になる と、あ る施設 に一 度集約 され 、薬物療法 は他施設 の腫瘍 内科 医 の所 ヘ
い く例 も多 くあると、連携 の ために集約 化 が見 えて こない とい うこともあるため、 がん登
録 のデ ー タの みでは真 の集約化 の状況 を把握す ることに注意 が必要で ある。
海外 の状況 は興味のある ところである。 な かなか系統的な資料 が存在 しない ため、実際
の ところを知 ろ うと集約化 に 関す る論文 の著者 に各 国 の集約化 の現状 を限定的ではあるが
問い合 わせ た ところ、イ ギ リス とイ タ リア とフ ランス よ り返 答 があ り、以下 の様 であつ
た。
■ イ ギ リス (回答 は婦人科 医)
強制的集約化 : 有
1999年 に集約化 が義務化、そ の後徐 々 に厳格化 され ている。婦人科 がん治療 を許
可 され ていない病院 は患 者 に対 して 「
専門家 の不在 」 を開示 し、 がんセ ンター に紹
介 を しな くてはい けな い。緩和治療 しか選択肢 の な い 時 が唯 一 の例外 ではあるが 、
中央 の多職種 カ ンフ ァ レンス で治療経過 の 同意 が得 られ るこ とが必要である。 これ
に従 わな い場合 は懲戒処 分や、患者 に損害が及んだ時 には GMC(General Meと cal
CouncD12の 査察や訴訟 の対象 となる。
集約化 にお ける問題 点 ・利 点 :
・ 当 初 は特 に年 長 の婦 人科医 の反対 があつた。
O 臨 床試験や社会 的 ・精神 的サポー トヘ の適切 なア クセスヘ とつ なが る。
・ プ ライ マ リケア医 の疑診症例 に対す る紹介 閾値 を下げ、初期診 断 の遅れ を減 ら
す こ とにつ なが る。
■ フ ラ ンス
強制 的集 約 化 : 無
集 約 化 が 強制 で は な い ものの 、 国 全 体 で 23の がん 種 ごとで 、希少 が ん に対す る
national cli」
cal expert center(ネ
ある。 これ らのセ ンター が 中心
ッ トワー ク)力`
となって、国家 レベルで臨床医の間での調整 が行われ 、それぞれ の地域 における
22
の連携 の も と治療が行 われ る。 また病理 では
expert centerでlocal cancer teamと
c al networkが 4つ あ り、必要 に応 じて
独 立 した枠組 み として national patholo単
国家 レベ ル で病理 の再診 断 が行 われ る。expert centerの主導 の もと referral
RCP(コ ンサルテ ー シ ョンに よるキャ ンサ ー ボ ー ドのよ うな もの)が地域 お よび国家
レベ ルで (主に ウェブ上 のカ ンフ ァ レンス)行 われ、患者 の ケー ス につい て議論 が
の治療方針 レビュ
volllme centerで
され る。例 えばサル コー マ に関 しては、high・
ー お よび キャ ンサ ー ボー ドでの患者 レビュー が義務化 されて い る。 (90%の 患者 が
既 にカバ ー されてい る)。今後 は患者紹介 シ ス テ ムの義務化 が計画 中。
点 ・禾U点 :
集約化 における問題 ′
・ 生 検 をせ ず に腫瘤 を先 に切除 して しまってか ら、診断 され る症例 における診
断 の遅れ について は解決で きない。
・ 方 針 レビュー に関 わる コス トがかか る。
・ 方 針 レビュー で初診 の病理 医 が間違 い の指摘 をされ る可能性 へ の抵抗感
・ 医 師 の 間 での、初 回手術前 に患者 を他人 に見せ る こ とへ の抵抗感
■ イ タ リア (サル コー マ)
強制的集約化 : 無
希少 がん患者 は Lgh・volume centerに紹介 され ることが多 いが 、義務化 は され
てお らず 、 それ以外 の病院 で もどんな疾患で も治療す る こ とが可能。ただ し希少 が
ん ネ ッ トワー ク存在 し、 紹介 システムや患者 が よ り自宅 か ら近 い場所 で治療 を受 け
られ るよ うな支援 の役割 を果た して い る。
<集 約 化 の 方 法 >
一
者 の意見 の 致 があ ったが、
集約化 の方法 につ い ては、容 易 ではない とい うことで参カロ
大筋以下 の様 な議論 の流れであ つた。 まず 、集約化実現す るた めには、既存 の 医師 の コ ミ
ュニテ ィを尊重す る必要がある。診療科や がん種 に よ り、既にそ の 中である程度お互 いの
ー
顔 が 見 えるプ ロフェ ッシ ョナル コ ミュニテ ィが存在 して い るた め、そ のネ ッ トワ ク の 中
で集約化 を しな い と、外部 か ら集約化 を強要 され る と感 じ、大 きな反発 を受 ける可能性 が
高 い。特 に外科系 の診療科 では 、珍 しい症例 を執刀 してみたい とい う風土 もあ り、強制 的
に これ を排除す るのはいたず らに反発 を招 く。 ここは、顔 が見 える コ ミュニテ ィの 中で 患
者 のために適切 な体制 は どの よ うな姿 な のか とい う検討 を当事者 にいって もらい 、顔 の見
えるネ ッ トワー クを作 ってい く ことが最 も実行可能性 が高 い方法 である。
沖縄県 では 5大 がん と子宮 が んに関 してはあ る程度 の集約化 が実 現 してい る との紹介 が
参加者 か らあつた。沖縄 では現在 5大 がん と子宮がんでは、手術療法 は十数施設 に、化学
ー ー
療 法 は二 十数 施設 に集約化 され てい る。それ を実現 させ るために、 まずキ パ ソン とな
る よ うな当事者 の先 生方 10人 程度 が集合 し、 5回 程度集約化 の是非 を議論す る場 を設 け
全体 の ために この方 が
た。す る と会合 を重 ね る うちに、それぞれ の事情 を飲 み込 んで 、 「
23
いい 」 といった形 で集約化 に合意 が進 む よ うにな った とい う。沖縄 の集約化 は義務 ではな
く、強制力 もない。 しか し、患者 、 ソー シ ャル ワー カー 、医療従事者 にホー ムペ ー ジや ハ
ン ドブ ックな どを通 して説明を続 ける中で 、徐 々 に集約化 されてきてい る。
<集 約 化 の 課 題 >
小児 では全 国 15の 拠点病院で小児腫瘍 を集約化す る試みがある 13。これ は各地方 に一
つ とい う考 えでで きたもの と考 え られ るが、参加者 か らは この考え方 は必 ず しも機能す る
とは限 らない とい う意見 が 聞かれ た。 そ の理 由は、例 えば東北では小 児拠点 は 1施 設、仙
台 に指定 されて い るが、確 かに直線距離 で は仙 台 に近 くて も、交通 の便 か らす る と東京 に
出 る方 が時 間 と労力 がかか らない 地 域 が 多 く存在す るか らである。 中国地方 も同様 な地域
が 多 い。 しか し、距離 が遠 くなる と旅 費 がかか るの も事実であ り、 どの よ うに して 患者 が
通院す るのか 、そ の旅費は誰が負担す るのか とい う問題 も重大 である。集約化 とい う時 に
はそ の よ うな点 の改善 が現実 には問題 にな る と考 え られ る。
他県や遠 く離れた地域 に移動す る必要 が あ る場合 、行政側 で旅 費 の サポー トをす ること
も検討 しな けれ ばな らない とい う意見 もあ つた。イ タ リアでは肉腫 の診療 は 4施 設 ほ どに
集約化 され てい るが、交通費 の公 的補助 が存在す る とい う。 これは、交通費 を出 した上で
集約化す る方が、分散 して しま うよ りも希少 がん診療全体 として コス トは抑 え られ る とい
う判断 で交通費 の補助が されてい るた めで ある。 国内で も診療 のた めに交通費 を支給す る
例 もあ り、例 えば佐賀県 で も県 の重粒 子線 セ ン ター ヘ 来 る患者 さん の旅費 の補助 をす る制
度 が存在す る 14。
わが 国 の診療 にお いて 、網膜芽細胞腫 の よ うに、全国で 3施 設程度 に集約化 されてい る
がん種 も存在す る。 この よ うながんでは例 えば北海道か らでも東京まで数 日の入院 のため
に移動 し、化学療法 を受 け北海道 へ 戻 つてい くこ とになる。 このよ うに全 国 に数施設 に集
約化 され 、そ こでではない と診 療 を受 け られ な い となる と、東京、大阪 、名 古屋 な どであ
れ ば通 える とい う患者 の声 も間 く。
緊急 で対応 しな ければな らない 要素 を持 つ がんの診断治療 を どの よ うに集約化す るか 、
も重要 な課題 である。例 えば脳 外科病理 の 診 断 に 関 しては専門性が高 くなれ ば高 くなるほ
ど正確 な診断がで きる病理 医が少 ない 。しか し、一 方で緊急 で手術 を しない とい ない場合 も
存在す る。そ のため 、がん以外 を専門 として い る脳外科 医に緊急 を要す る手術 が入 つた場合、
す ぐに相談 で きるよ うな システムやネ ッ トワー クが存在 しない と集約化 は実現 で きない 。
長期 の フォ ロー ア ップや ター ミナル の 患者 さん を地域 で受 け入れて も ら う場合、地域 の
医療施設 との連 携 が重要 となるが 、現在 の連携 パ ス は術 後 のフォ ロー ア ップのパ スが メイ
ンで 、診療 の連携、診療 のネ ッ トワー クを支 えるよ うなパスが少 ない。 これ では連携 が う
ま くいかず に患者 さんが困 る。何 らか の工 夫 を して現在 よ りも地域 との診療連携 を強化す
る必要 があ る。
集約化 に よ リア ウ トカ ムの 向上 、 ひいて は国の全 体的な経済的な意味で の貢献 が あれ
24
ば、集約化 は良 い とい う意 見 に反対す る人 はあま りい な いも しか し、現時点 ではキャパ シ
テ ィー の問題 がある との指摘 もあ つた。現在 の診療体制 の ままで集約化 を推 し進 めるよ う
な ことがある と日常診 療 をまわせ ない と思 う。既 にあ る参加者 の施設では肉腫手術 は 2ヶ
月 の待 ち時間 が あ り、病理 医 も 1名 とい う状態 である。 このよ うな限界 の 中で患者 が増 え
て も受 け入れ られ るのか は難 しく、角早決 のためには行政側 か ら何 らかのイ ンセ ンテ ィブが
なければ不可能 との声 も間 かれ た。集約化 を した後 にそ の集約化 した施 設 の医療従事者 が
バ ー ンア ウ トした ら、そ の集約化 した拠点が崩れ、 日本全体で希少 がんの診療が止ま る と
い う話 にな りかねない 。集 約化 も慎重 に行 う必 要 があ る。
25
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26
4。 研究技術開発
1.基 礎研 究か ら臨床へ望む こと
4‐
ー
ー
国 立がん研 究 セ ン タ 研究所創 薬 プ ロテ オ ム研究分野
近藤 格
セ ン ター の
我 々 は臨床 に役 立つ 成果 をめ ざしてが ん の研 究 を行 つている。国 立がん研 究
え とい うこ とで
研究環境 の 特徴 は質 の高 い 臨床 情報 が付加 され た臨床検体 がた くさん使 る
の 開発 を行 ってい る 1。私 自身 は基礎 の研 究
ー
あ り、 この研究環 境 を活か してバ イオマ カ
スの 手法 の 開発や応
ロ
者 であ り、特 定 のがんについ て の専門家 で はな く、新 しいプ テ オ ミク
め
医の
用 を得 意 と してい る。臨床 の場 で起 き て い る問題 に即 した研 究 を行 うた には臨床
の 臨床 医 を研究 室 に迎
方 々 との共 同研 究 が必要である との認識 か ら、過 去 14年 間 に 27名
の
えて研 究 を進 めてきた。そ の 中では肉腫 を専門 とす る医師が最 も多 く、結果的 に肉腫 研究
によ り注力 す ることにな つたし本 国は肉腫 にお ける網羅的 な発現解析 の研究例 を紹介
礎研 究者 が臨床 の方に期待す る ことについ てお話 しす る。
まず 、バ イ オ マ ー カ
し、基
の 開発 に関す る二つ の実例 を挙 げる。
① 骨 肉腫 の術 前化学療 法 の効果 を予測す る診 断技術
に良 く効
が
骨 肉腫 の 治療成績 は化学療法 の導入 に よ り著 しく向上 し、術 前化学療法 非 常
一
い
いた症例 の 術後 5年 生 存率 は 8割 にも及 ぶ よ うに な った。 方 、術前化 学療法 が効かな
に奏効性
の
症例 につい ては術後 5年 生存率 は 3-4割 に と どま つてい る。現在 ところ治療前
一
に効果 を
を予測す る手段 はない ため、画 的な治療 を行 わ ざるを得 ない状況 である。治療前
めのバ
予測 して治療 法 をよ り最適化す る診断技術 を開発す るた めに、奏効性 を予測す るた
イ オマ ー カ ー を探索 した。
RNAを
化学療 法施行前 の生検 サ ンプル を用 いて micro‐
RNAが
抗性 を示 した症例 で治療前 か ら発現 が 高 い micro‐
網羅的 に調 べ 、後 の化学療法 に抵
存在す る ことがわか つた。生物学
RNAは 確 か
的 な意義 に ついて培養細胞 を用 いて様 々 な角度 か ら検討 した結果 、ある micro‐
の 20症
に化 学療法剤 へ の抵抗性 に機能 的 に寄与す る こ とがわか った。 さらに過 去 12年 分
・
い
例 で術前化 学療法 前 のパ ラ フィ ン標本 を用 いて 検 証実験 を行 うと、極 めて高 感度 特異度
RNAは
で もつて奏 効 ・非奏効 の 区別 が可能だ つた 。 この よ うな micrO‐
で ある。
望 なバ イオ マ ー カ
奏効性 予測診断 の有
が少
基礎 実験 は順調 にい つたのだが、肉腫 の研究成果 の実用化は非 常に困難 であ る。症例
の 金す ら
な く事業化 に よる利益 がほ とん ど見込 めな い こ ともあ り、特許 を出願す るた め 資
ー シスメ ック ス とい う検 査
調 達 が 困難 な こ とが多 い。幸運 な ことに、国 立 がん研 究 セ ンタ が
27
会社 と包括的共同研究 を行 つ てい くタイ ミン グに本件 が重 な り、共同研究 の第 1弾 として
この骨 肉腫 のバ イオ マ ー カ ー を事業化 しよ うとい うことに な った。多 くの新 聞で報道 され 、
患者家族か ら問 い合わせ を受 けるな ど注 目されて い る。ここ 1∼2年 で 臨床検査 として実用
化す る こ とを 目標 として共 同研究 を進 めて い る。
② 消化管間質腫 瘍 の予後予測
消化管間質腫瘍 (GIST)は 消化管に発生す る最 も頻度 が 高 い 内腫 である。 ほ とん どの症
kit遺伝子 または血小板 由来増殖因子受容体 α (PDGFRA)
イ マ チ ニ ブが標的 とす る c‐
例 で、
遺伝子 に変異 があ り、イ マ チ ニ ブが抗腫瘍効果 があ るこ とがわかった。GISTは 、イ マ チ ニ
ブが術後 の再発 を抑制す る固形 がん として注 目され てい る 2。しか し、イ マ チ ニ ブは非常 に
高価 (注 :2013年 現在 、先発 品薬価 100mg錠 で 27490円 、後発品薬価 18424円 。 4錠 毎
日が標準用量)で あ り、服 用 を中止す る と再発 す ること、一 定 の変異 タイ プでは 2倍 用量が
効果的 で あるな どの報告 もあ り 3、高額 な医療費 が問題 とな つてい る。 一 方で、GIST症 例
の 6害1は術後 に再発 しな い こ ともわかってお り 4,5、
術後 の再発 ・非再発 を予測 で きればイ
マ チ ニ ブの適応 を最適化 で きる。病理学的に著 しく悪 性度 が 高 い症例 につ いて は、再発 が予
測 され ることか ら術後 にイ マ チ ニ ブが処 方 されてい る。一 方 、病理学的 に低 リス ク群や 中間
リス ク群 に分類 された症例 につい ては、再発 を予測す る手段 は今の ところ存在 しない。そ こ
で 、再発 ・非再発 を予測す る診断技術 を開発す るためにバ イオ マー カー探索 を行 った。
補助療法 を施行 しなかつた GIST症 例 を対象 として 、手術時 に得 られ た原発腫瘍組織 を
用 いてプ ロテオ ー ム解析 を行 つた。完全切 除術 を施行 して 1年 以内 に再発 した症 例 と、2年
以 上の観 察期 間中に無再発 であつた症例 のプ ロテオ ー ム を比較す る と、 フェチ ン とい うタ
ンパ クが無再発症例 で高発 現 であつた 6。フェチ ンは もとも と先天性難 聴 の研究 で発 見 され
た タ ンパ ク質 で (後に難聴 と無関係 であることが判 明)、胎児 の蝸牛神経 で 高発現す るタ ン
パ クである。我 々 の研究以前 はがん との 関係 は報告 されて い なか つた。検証実験 のた めに国
立がん研究 セ ン ター を含む 4つ の病院 の合計 400例 以 上 において免 疫染 色 した ところ、 フ
ェチン陽性症例 では 9割 以 上が術後 5年 間に再発 しなかつた こと、逆 に陰性症例 では 6割
が再発 していた こ とがわか った。多変量解析 も行 い 、フェチ ンは独立 した再発 ・予後因子 で
あ る ことを確認 した。前述 の よ うに病理 学的観察か ら GISTは 、高 。中 ・低 リス クに分類 さ
れ るが、層別化 して もフェチ ンの発現 の有無は術後 の再発 と強 く関連 して い た 7。他 の研 究
グル ー プ も追試 に よって同 じ結 果 を報告 してい る 8。検 査用 に我 々が作製 したモ ノク ロナ ー
ル 抗体 を 9、 どこの病 院 で も免疫染色で きるよ うに医学生物学研究所 よ り市販化 した 7。国
立 がん研 究 セ ン ター東病院 が 中心 となって い る臨床試 験 で はフ ェチ ンの測 定 を予定 してお
り、臨床実用化 に向けた さらに検証が進 む と考 え られ る。
免疫染色によるフェチンの検証実験
高発現するユ圭 確認
無再発計
上段: 予後良好群{ 2 年以上の経過観察中に無再発)
下段 : 予後不良群 ( 1 年以内再発)
(Suehnra et al Chn Cancer Res 20086)
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<臨 床 と基 礎 との 連 携 >
今までの研究を通 じて感 じることは、基礎研究者 と臨床医 の相 互理解 の重要性 である。基
一
礎研究者 はともする と個人的な興味を追求 しがちである。また、 般 に基礎研究者は、がん
患者 が どのよ うに治療 され ていて臨床 で何が問題になつてい る のか を知 る機会はほ とん ど
なく、その種 の研究テーマ が存在す ることす ら知 らない。培養 したがん細胞が死んだ、ある
29
い は動物 のがん が小 さくな つた 、とい うことで満足 して い ることも多 い の 方 、臨床 医は最
先端 の基礎研 究 の可能性 と限界 を理解 してい る こ とは希 である。 目の 前 の問題 を基礎研 究
で解 決 可能 な形 に分 解 した り、臨床 の課題 を基礎研究者 に うま く伝 えた りできな い こ とが
多 い 。臨床 と基礎 の双方向 の理解 が 、臨床応用 を指向す る基礎研究には必要である。そのた
めには 、臨床 医で あつて も基礎研 究がある程度わかる、基礎 の研 究者 で あ って も論文 レベ ル
な ら臨床 の こともわかる、とい う人材 が必 要 である。 これ まで 27名 の 医師 と一緒 に研 究 を
し、お互 いの分野 の論文 を定期的 に一 緒 に読んだ り、学会 に出てみた りとい うこ とを して き
たが 、日々 のや りと りを通 じて双方 向に理解 が進む ことを実感 してい る。今後 も今 の よ うな
方針 を継続 してい きた い。 基礎研 究者 が診断や治療ができるよ うにな るこ とはな い と思 う
が、 逆 に臨床 の 医師 が 3∼ 4年 研 究 に集 中す る とかな り高 い レベル の基礎研 究がで きる と
思 う。 そ うい う臨床 医 を増やす ことが 医学 の発展 には必要である。
国 立 がん研究セ ン ター のバ イオ バ ン クには肉腫 の臨床検体がた くさん保 管 され てい るが、
検体
一 つ 一 つ の量 には限 りが ある
。肉腫 の研究 が盛んにな ることは喜 ば しいのだが 、も とも
と検体 の数や量 が少 な いので 、皆 がバ イオバ ン クの試料 を使 い 始 め る と試 料 はす ぐに枯渇
して しま う。何 か しらの工夫 が必 要 である。例 えば、網羅的な解析 のデ ー タについて は 、 ど
こかの研 究機 関 が 一 括 してデ ー タを採 取 して公 開す る ことで 、実験 の無駄 な重 複 を避 ける
こ とができる。また、検体 か ら細胞 株 を作 って培養す る ことで有限 の資源 を無限 の資源 に変
換す ることも可能 である。現状 では 肉腫 の培養細胞 は極 めて限 られてお り、これ か ら取 り組
む べ き課題 で ある。ここで 問題 にな るのは、細胞株 の樹 立 には膨大な手 間や コス トがかか り
成功率 も低 い 一 方 で 、細胞株 を樹 立 しただ けでは良い論文にな らない とい うことである。業
績 を絶 えず求 め られ る基礎研究者 が取 り組むには リス クが高 く、競争的資金 も得 られず、モ
チ ベ ー シ ョン も一 般 にはわかない 。平成 26年 度 は国 立がん研究 セ ン ター のがん研究開発費
の サ ポ ー トを得 て 、希少 がん の網羅的解析デ ー タ の採取 と培養 細胞株 の樹 立 に着 手す る こ
とがで きる ことになった。 しか し 1年 では とて も完結 しない仕事な ので 、複数年度 。長期間
にわた り、安定 して この よ うな研 究基盤 の構築 に取 り組 める仕組み が必 要 である。
国 立がん研 究 セ ンター だけでは、肉腫 の多 くの組織型 を広 く網羅 で きな い し、検体 の数 も
足 りない。本 日ご紹介 した骨 肉腫 の研究で も、過去 12年 分 の症例 を見て も治療 内容 で層別
化す る と検証実験 に使 えるサ ンプル はたかだか 20例 分 しかなかつた。 GISTで は 400症 例
以 上 の検証実験 を行 うの に 7年 もかか つた。 一 つ 一 つ 共同研究 を立 ち上 げて い くと検証実
験 だ けで 10年 近 い年月 がかか る とい うこ とである。臨床検体 を有 効 に使 うため の連携 は、
希少 がんでは と りわ け重要 で ある。病院 をつ な ぐ共同研究 のネ ッ トワー クを構築す るのは
基礎研 究者 よ りも臨床 医、病理医 の方 が適任 だろ う。臨床 医、病理医 の 方 々 には、希少 な検
体 を有 効 に活用 す るための全国組 織 を作 ってい きた い。
以 上 、臨床 の先 生方 には、基礎研究 に参加 して基礎研究 に臨床 のアイデ アを持 ち込んで頂
きた い し、全国 レベ ル で検体 を共有 でき る仕組み を構築 して頂 きたい。それが肉腫 の研究 を
発展 させ るために必要不可欠 である。同様 の ことは、悪性脳腫瘍 な ど他 の希少 がん の研 究 に
30
ついて もあてはまるだろう。
肝 ヨ﹁ I 刊
バイオバン釧羽□目日閣謝冊剤祠働M」 圏田請 ヽ 謡
31
:
4Ⅲ
2.希 少 がん治療薬開発 の問題点
ノーベル ファーマ株式会社
塩村 仁
<ノ ー ベ ル フ ァ ー マ 社 とは >
ノーベルフ ァー マでは 「
必要なのに顧み られない医薬品の提供を通 して、医療 に貢献す る」
ことを使命 と考え、2003年 に会社を創設 し、昨年 10周 年 を迎えた 10。私たちの会社 の行
動基準は、 「
判断 に迷った ら、患者 さんの利益 を優先す る」 ことで、 これ を非常に大切に し
ている。開発 あるい は承継 した薬剤 は月経困難症、ウィル ソン病、てんかん重積状態、サイ
トメガ ロウイルスの網膜炎、特殊ながん、未熟児 の医薬品、悪性神経膠腫 の治療薬、悪性胸
水再貯留抑制薬な どのア ンメ ッ トメデ ィカル ニー ズの製品である。実は ほとん どの薬 が赤
字なのが実情である。
<オ ー フ ァ ン薬 開発 の 実 態 >
オー ファン薬」の指定を受けると開発補助金 をは じめとし
希少疾患用医薬 品、いわ ゆる 「
て、試験 。研究に関す る指導 。助言が受け られ る、税制 の優遇措置、優先審査、再審査期間
の延長な どが得 られ る。再審査期間の延長 とい うのは、具体的には独 占的販売期間 が通 常 の
医薬品が 8年 の ところを 10年 まで延長 され るとい うことである。オー フ ァン薬 に指定 され
るためには、患者数 5万 人 がまず条件になる。人 口 1億 人 として、有病率でい うと 0.05%。
また、必要性が高 い、つ ま り治療法がな くて、死亡あるい は重篤な後遺症 が生ず る可能性が
高いこ とも条件である。 さらに、開発可能性が高 い とい うことが要求 され る。 これ は、治験
が実施 されてい るとい うこととほぼ同義 ととらえ られてい る。逆にい うと治験 が 開始 され
ないこ とには、オー ファンの指定が得 られない とい うことになる。
オー フ ァン薬 の開発では、大学や研究機 関 との提携 をす ることも頻繁にある。ここでは研
究機 関が独 自に研究費 を取 リー緒 に開発 の手伝 い をさせて頂 くとい うのが主であ る。数 の
多 いがん に対 して主な製薬企 業 が資金 も出 して手続 きも全て行 うとい う状況 とは様 相 が異
なる。
わが国 におけるオー ファン薬 の指定の平成 5年 ∼25年 の実績 を次ペ ー ジ表に示す。上位
に来 るのはグラクソ ・ス ミス クライン、ノバルテ ィス といった欧米の外資であ り、国内企業
は血液製剤 を扱 う関係か ら田辺 三菱 が入 ってお り、その次 はノーベルフ ァーマ が 8位 とな
つてい る。我 々の よ うな小 さな新興 の会社で もオ ー ファン薬 の開発実績 となる とこの よ う
な位置 を占めてい る。最 も希少疾患対象薬は様 々 な援助が得 られるのでア メ リカな どでは
バ イオベ ンチ ャー が参入 しやす い分野であるが、 日本で少 ないのは原因を検討す る必要が
あるかもしれない。
また下図か らわかる様 に助成金が厚生 労働省や経済産業省か らかな りの額が補助 され る。
32
これ らの助成金 があるか ら希少疾患 でも開発が成 り立つ。科研費 な ど厚労省 の助成 は基本
的に全額補助 であることが多いが、経産省 はマ ッチ ングファン ドとい う仕組み で、会社が出
す資金に定比率で 同額 とか 2倍 額な どの補助が出る。2倍 額 出れ ば開発経費 が 3分 の 1と
なる。
オーフアン指定
NEDO助 成金の例 佃R>∞ )
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饉
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当社負担 約 1」朧 円
拿 澤 取 り空 ■ を拝 う離
型 ミオバ チ ー 雌
菫 と して日発中
33
$pharma
<薬 価 決 定 の 問題 点 >
開発 が終わってか ら実際 に市場 に出る時には薬価 を決 めな ければな らない。薬価 は認可の
'そ
最終段階、内定がお りた段階で厚 生 労働省 との交渉 で決まる。 の際に基準 となるのは類似
した薬効のある薬物の薬価 である。 しか し、オー ファン薬な どは、当然類似 した薬剤 がな く
原価計算方式 となることが多 い。この場合、何 が原価に含まれ るのか は明瞭ではないため交
渉は困難 となる。以前は緩や かに算定 されていたのが段 々厳 しくなって きてい る。厚労省 が
医薬品の購入 をいわば独 占して い るため、弱小企業にとっては交渉力 もない。薬 九層倍 とい
う言葉 があり、これは薬 を原価 の 9倍 の値段 で売 つて暴利 をむ さばってい るとい う慣用句
である。ここで念頭 に置 いてい る原価は製造 コス トを指 してい ると思われ るが、実際には開
発 コス トもあ り、失敗 した薬 の開発 コス トや適正使用 のための情報伝達 コス ト、さらに市販
後安全性確保 に関わる コス トもある。それ らを積み上げると決 して不当な値段 がつ けられ
ているわけではない。
市販後安全性確保 につい て、 オー フ ァン薬な どについては全症例についてデー タを集 め
ることが要求 され、脳腫瘍薬 の ギ リアデル も全症例 のデー タを集 めている。デー タ収集につ
いて も病院 との契約で支払 いが 生ず るし、不明点 の照会な どの作業 も含 めるとこれが コス
トとなる。総合す ると、年商 5億 円以下の医薬品は赤字になつて しま う。
¨
薬 の原価構 成
1 製 造 コスト
2 開 発 コスト( 失敗含む)
3 適 正 使用情報伝達 ( 販売) コスト
4 市 販4麦
安 全性調査 ( P M S ) コスト
5 管 理 コスト
6 利 益
年商5億 円以下では赤字
この年商を考える際には当然 、薬価 に投与 日数 をかけ算 した ものが売 り上げになるわけ
だが、投与 日数 をかけ算 とい うのがなかなか直感的に理解 され ない。例 えば,悪 性神経膠腫
の医 薬品の代表例 にテモ ダールが あ り、薬価 4万 円。また当社 の開発 したギ リアデルは薬
価 120万 円強がある。 どち らが高い薬 かを考えると、後者 とい う印象になる。実際にはテ
モ ダール は 100日 間使 うのが標準 のため一人の患者 さんに 400万 円の薬剤費 がかかる。一
方ギ リアデルは、
手術時に脳 内に埋め込んで使 うた め一人に使 うのは基本 1度 だけである。
前者 の方が薬剤費 は圧倒的にかかるのは一 目瞭然である。が、1度 に 120万 円とい うのが車
一台を埋め込むのか、手術 の手技料が数十万なのにそれ よりも の
薬 方が高価なのか、といっ
34
ー
た感 覚的 な議論が本 当にな されて しま う。結果 、テモ ダ ルの売 り上 げは 100億 、 ギ リア
デル の売 り上げは総患者数 の半分 に使 われ てい る と推 定す るが 13億 とい うこ とになる。投
与期 間 は短 い 方 が患 者 のた めには良 い はず な のに、薬価 を決める上 で標 準投 与 日数 とい う
変数 が考慮 されがた い た めに、薬価 では評価 されない ことになつて しま う。
<希 少 が ん の 開 発 の 課 題 >
希少 がんに限 らず、がんの薬 の開発 で 特徴 的なの は、有害事象 の頻度 が非常 に多 い とい う
こ とが挙 げ られ る。 因果 関係 の有無 に 関 わ らず全部収集す るこ とが要求 され処理 を しない
とい けない 。また、薬 の他 の 、手術 、放射線 な どの既存治療 が通 常 は存在す る ことも特徴的
であ る。既存治療 が存在す る とい うこ とは、新薬 の 開発 はそれを十分 に上回 つた結果 を出 さ
な けれ ばな らない。また上回 る差 が数 ヶ月 の寿命延長 、多少 の QOLの 改善 では社会的 に意
味 を問 われ ることになる。
新薬 の 開発 にお いて、二重盲検試 験 で差 を出す とい うのが医薬品 の評価 の原則 だが、症例
数 が少 な い と、十分 な検 出力 が得 られ な いので 国際共 同試験が必要 とい うことにな る。しか
し、国際 共 同試験 では、各国 で標準療法 が共通ではな い こ とがある。上述 の脳腫瘍治療薬 な
どは海外 では行 われ ていない こ とも多 く、そ うす る と比較対象 とな る標 準 が バ ラバ ラ とな
って しま い 、容易 にはできな い。ま た、各 国 にお ける、承認や算定 され る薬価 の見通 しな ど
が異 な る とや る気 も異な って くる。 例 えば、脳外科領域 で 、Toca511と い う薬物 があるが、
これ は CDと い う酵素遺伝子 を レ トロ ウイ ル ス に載せ て脳 に注入す る。 CDは 脳 血 液 関門
FCを
B rttn Barrier)を通過 し髄液移行性 の 良い抗真菌薬 である 5‐
(Blood‐
FUに 変換
5‐
す る ので 、 この抗真菌薬 を投与す る と脳 内で抗 がん剤 に変化 して効果 が あ る とい うもので
あ る。海 外 では注 目され てい るが、脳 内 に生 きた ウイルスを注入 す る抵抗感や厳 しい市販後
調査 が要求 され るこ と予想 され る こ と、また、薬価 をアメ リカ の薬価 か らの見通 しで 1000
万 円 として、 日本 の患者数 で 売 り上 げ算 定す る と 110億 円だが 、500万 円 とす る と 55億 、
先 ほ どのギ リアデ ル のよ うに 120万 円 とす る と 13億 にな って しま う。そ うす る とむ しろ赤
字 リス クの方 が見 えて くる。
。
また、薬 品 を開発 して、少 な くとも半年 ぐらい は全 ての症例で処方 され た病 院 医師 を追
跡 しなけれ ばな らな い。例 えば、先 ほ どの脳腫瘍治療薬 であるギ リアデ ルで も昨年 の発売後
ー
注意深 く観 察 して いたが 、大学病院 や 地域 のがんセ ンタ だけではな く 200床 以下 の病院
での ご使用 が結構 ある こ とが判 明 した。これ らの全ての病院 にお い て 、我 々 の社員 が先 生方
ー
に使 用方法 を示 して情報提供 を行 うとともに、各病院 と市販後 の安 全性 デ タ提供 の契約
ー
を して い る。薬 は開発 して認 可 を取 つて 売 つ た ら終 わ りではな くそ の後 の フォ ロ な どに
コ
も コス トがかか る。希少 がん の場合 には予想 よ りも使用施設 が分散 して い るこ とも ス ト
増 につ なが る。
35
<研 究 開発 に 関 わ る 医師や 政府 に望 む こ と >
医師に望む ことは 3点 :①PrOofofConcept (POC)を
とること、②結果 を一流 ジ ャー
ナル に発表すること、③患者の悉皆 レジス トリー を作 ること、である。POCは プラセボ対
象 で臨床試験 を行 えば、エ ン ドポイン トを数多 くでもかまわない。また最終的 に統計的有意
差を追求す る必要はな く、まずは有効性 を示唆す る方向に結果が出ていれば十分である。そ
うすれば、その後 の検証試験がスター トでき、開発 を引き受ける会社 も出て くる。また用量
を変わた試験を して もらえると用量反応性 を推定できるので 尚良い。患者悉皆 レジス トリ
ー は希少 がんの時には非常に重要。これは治験 の被験者候補 の 同定につ ながるし、非介入 の
自然経過 のデー タがそ こで とらえられれば、臨床試験でた とえ対象者数が足 りずに RCTが
できない場合 で も ヒス トリカル コン トロール として使 える。
政府 に望む ことは臨床試験に対す る予算 の増額 と、薬価算定に技術革新 の評価 をきちん
とす る ことである。薬価 の算定は政府 にい る医師が大 き く関与す る仕事でもあるが、開発 コ
ス トや投与 日数な ども考慮に入れた算定を期待 したい。
少がん治療薬開発の難
◆既存治療への上乗せ効果
◆治療効果の医学 ・
社会学的意味 (認口
1、椰 鋤飾詢
・ex.2カ月¨
>希 少疾病であるための期しさ l・
◆低たヽ
事業性 売上高(<躊 円?)・
◆診断の鯛
◆臨床評価の難し気対象患者わずか⇒比較試験 輸
36
4‐
3.希 少疾病用医薬 品開発に対す る取 り組み
日本 医薬 品医療機器総合機 構審査第 五部
野中 孝浩
<制 度 か らみ た 希 少 疾 患 用 医 薬 品 開 発 支 援 >
希少疾 患 に対す る医薬 品 開発 は患者数 が少 ない こ とか らも開発 を行 うイ ンセ ンテ ィブが
小 さく、そ のままではなか なか進 まない。そ こで 平成 5年 に薬事法 の改正が行われ、希少疾
病用医薬 品や医療機器 の試 験 。研究 を促す ための特別 な支援措置等 を講 じることにな つた 。
一
「
希少疾病用医薬 品」とは法的 には薬事法第 七十 七 条 の二 第 項 の規定 による指定 を受 けた
医薬品 とい うことで、厚 生 労働大臣か ら指定 を受 けた医薬 品 を希少疾病用 医薬 品 と呼ぶ。
そ の用途 に係 る対象 の数 が、本 邦 にお いて厚生労働省令 で定め る
指定 の条件 は 、同条 に 「
。
人数 に達 しない こと (政令 では 5万 人)。申請 に係 る医薬 品 医療機器 について製造販売 の
承認 が与 え られ る と した な らば、そ の用途 に関 し特 に優 れ た使用価値 を有す ることとな る
もの」とされて い る。この よ うな条件 を満 た して希少疾病 用 医薬 品 と認 め られれ ば、製薬企
業 に対す る助成金 の 交付 や税制 上 の措置 に よ り優遇 をは か るとい うこ とが定め られ てい る。
開発 の 可能性 」が挙 げ られ る。規定 上
希少疾病用医薬 品 の指 定 につ いて特徴的 な こ とに 「
は「
対象疾病 に対 して当該 医薬 品等 を使用す る理論的根拠 がある とともに、そ の開発 に係 る
計画 が妥 当である と認 め られ る こと」とされ、原則 として臨床試験 、臨床 開発 が進 め られ て
い るものに指定 な され る とい うことが多 い。
行 う業務 は製 薬 企業 と厚 生労働省 の 間 にた つて 申請 内容 の科学的妥 当性 につい
相談 ・指導 」
をす るこ とにある。希少 がんに関連す る支 援 として は大 き く分 けて、 「
PMDAの
て議論
相談 。指導 」 については、薬事戦略相
に関す るもの と 「
優先審査 」 に関す るものがある。 「
談 とい うシー ズ発見 か ら承認 審 査 に向け、 どの よ うな POC試 験 をすれ ば良いか 、臨床試験
の計画 をた てた ら良い のか とい つた 、具体 的相談 ・指導助 言 を行 うもの を例 に とると、こ こ
で希少疾患分野 もがん分野 も優先分野 に指定 され て い る。これ らの分野 では 、相談手数料 も
希少疾病用 医薬 品に指定 され た医薬 品では費用 が減額 され 、 また相談受付 のタイ ミン グ も
通常は月 1度 の み の 申 し込 み である ところを、随時受付 となる。 23年 7月 か ら 25年 8月
までのデ ー タで、 103件 中、22件 が希少疾病用 医薬 品 とな つてい る。
「
優先審 査」では、審査順位 が優 先 され 、また 日標審 査 期 間 も短縮 されてい る。通常承認
申請がな されてか ら 12ヶ 月 で承認す る こ とが 目標 とな つ て い る ところを、希少疾病用医薬
ー
品 の場合 には、9ヶ 月 を ス ケ ジュ ル とす るものである。 さらに再審査期間 の延長 もあ り、
後発 品が出 るまで独 占的 に販 売 できる期 間 が通常 は 8年 の ところ 10年 になる。
11では、通
抗悪性腫 瘍薬 の 臨床評価方法 に 関す るガイ ドライ ン」
さらに審査 の面 か ら、 「
常 の患者数 が多 いがん種 を対象 とした抗悪性腫瘍薬 では、延命 効果等 の 明確 な臨床 的有 用
べ
性 の検証 が必須 とされて い るが、IH 4)「臨床 開発計画 を立案す るために従 う き指針 につ
37
いて」とい う章 で、希少疾病用医薬品に該 当す る疾患 の場合 は、収集 可能 な症例数 を用 い て
臨床試験 を行 うことが可能であるとされてお り、柔軟 な対応 に道 を開 い てい る。
<希 少 が ん 治 療 薬 の 実 例 に 見 る希 少 疾 病 用 医 薬 品 承 認 審 査 >
一 つ 日は、パ ゾパニ ブは悪性
軟部腫瘍 の治療薬 である。承認 申請 自体 には 国 内第 I相 試
験 、海外 の 第 H相 試 験 、 日本 を含 む 国際共 同試 験 の第 HI相 試 験 が使 われ た例 です。
Progression‐
free sur宙
v alが 主要 評価項 目とされ、プラセボ群 に対す るパ ゾパ ニ ブ群 のハ ザ
ー ド比は 0.35で あ り、第 III相試験 の結果 をも とに
現在臨床 の現場で使 われ て い る。一方、
モガム リズマ ブは CCR4陽 性 の成人 T細 胞性 自血 病 (ATL)に 対す る治療薬 で ある。 これ
は、承認 申請 時点にお い て 国 内で実施 され た第 I相 試験 16例 、第 Ⅱ 相試験 28例 、合 わせ
て も 44例 の試 験成績 をもとに承認 申請 がな され 、奏効率 の結果 をも とに承認 された。 この
よ うに希少 がん に対 しては柔軟 な審 査 も可能 であ り、個別 に相 談 しなが ら進 めてい く。
<今 後 の 方 向 性 >
平成 25年 6月 に閣議決 定 された 日本再興 戦略 と関係 閣僚 に よる 「
健康 。医療戦略」12で
は、難病や希少疾病用治療薬 につい ては、希少疾病用 医薬品指定 の早期化や審査 ガイ ドライ
ンの整備 、PMDAの
相談体制 の充実等、実用化 を迅速 に進 めるための取 り組 み を推進す る
とい うこ とが記載 されてい る 12。
また 、オー フ ァンワー キンググル ー プ とい うものが PMDA内 にあ り、希少疾病用医薬 品
の開発振興 な ど、部横断的 に議論 し様 々 な取 り組み を行 つてい る。現在 までの活動 としては、
海 外 の 規制 当局 間 で もオ ー フ ァ ン制度 に つ い て は若 干違 い が あ る の で 、 欧 州 医薬 品調
cines Agentt EMA)13と ォー フ ァ ン指定 の情報交換 ・議論 を し、主要文
(EllrOpean Meと
書 の翻訳 、 国際希少 疾 患 医薬 品会議 (International Conference on Rare Diseases and
Orphan Drugs)14に 参加す るな ど、規市1当局間で統 一 した考 え方で進 め られ るよ うな調整
等 を行 つてい る。
38
4‐
4.臨 床試験のデザイン
ー
国 立がん研 究 セ ンター他施設 臨床試験支援 セ ンタ
福 田 治彦
誤解 があると議論 の混乱 の元 とな るので まず、3点 の確認 が必要 と思 う。
1′点目は、 「
探索的」研究 を区別 して考 えるこ とである。検証的研究 は
検証的」研 究 と 「
べ
標準治療 を決め るものであ り、探索的研 究 は次 の 試験で検 証す る き有望 な治療 を決 め る
な どの研 究 であ る。検証的研究 は通常十分 なサ ンプル サイ ズの ラ ンダ ム化第 III相試 験 で あ
り、探索的研究 はそれ以外 の全ての研究があてはま る。検証的研 究 で得 られたエ ビデ ンスは
一
般診療 に適用す べ きものであ るが、探索的研 究 の結果 は適用す べ きではない。この 区別 が
まず重要 である。
科 学的証拠 に
2点 日は標準治療 についてであ る。」COGの 基本 規約 15では、標準治療 を 「
一
基 づい て患者 に 第 選択 として推奨す べ き治療 」 と定義 してい る。標準治療 の科 学 的根拠
(エ ビデ ンス)に は レベ ル があ って 、JCOGで
は、最 上位 レベ ル はメタアナ リシスではな
く、結論 の 同 じ複数 の ラ ンダ ム化 第 Ⅲ相試験 である と考 えている。次 が結論 の異 な る他 の第
IH相 試験がない場合 の 1つ の第 HI相 試 験、そ の次 は結論 が異 な る他 の試験が あ る場合 の
自施設で行 つた試験 の結果 と続 く。これ は 自施設 で 治療す る場合 には、他 の場所 での試験結
果 よ りも自施設 の試験結果 の方 が 当然 あてはま りは良い と考え られ るた めであ る。 さらに
続 いて 、非 ラ ン ダ ム化 比較試験 や海外 の み で行 われ た第 Ⅲ相試験、コ ミュニ テ ィで の コンセ
ンサ ス と続 く。この よ うなエ ビデ ンス レベ ル の 区別 が有用 なのは、新 しい臨床試 験 が計画 さ
れた時 に対照群 が受 けるべ き治療 を決 める際で あ る。誤 解 があるのは、ラ ンダム化比較 試験
の結果 の み がエ ビデ ンスで あ り、それ が無 けれ ば標 準治療 がない 、だか ら何 を して も良い 、
試験参加 患者 には best proven methodを提供す べ し」 とい う倫
とい う思考 だが 、 それ は 「
理原則 に反す るた め倫理的 でな く、最低 限、コ ミュニテ ィにおける標準治療 を議論 して決 め
てか ら治療 開発 を行 わなけれ ばな らない。
3点 目は結果 に基 づ く判断である。製造販売承認 の ため の判断 と、標準治療 を決 めるた め
の判 断は異 な って 然 るべ きである。前者 は治療 オ プシ ョン として世 に出 るこ とを認 め る と
い うものであ り、後者 は第 一推奨 の治療 を決 め るもので あ る。販売承認 のための 治験 であれ
ー ー
ば、標 準薬 と新薬 を比較 していて も、治療 が無 効 にな つた らク ロス オ バ を認 め る ことは
ー ー
valで は新
許容 され て良い 。病状悪化後 の ク ロス オ バ が 多 い と、Progressionttee sur宙
薬 が優位 になるが、結果的 な全生存期 間は重 な つて しま うことも しば しば実際 に起 きる。こ
の よ うな試験結果 が得 られ た新 薬 は、選択肢 の
一 つ として世 に 出す ことは適切 で あ り得 る
ため薬事承認 では認 め られて良 いが 、標準薬 として の第
一 選択 にはな り得 ない 。全 生存期 間
が重 な ってい るので あれ ば、 「
従来 の標 準薬 を先 に使 つて も新薬 を先 に使 つて も良 い 」 が結
f ree survlvalと Overa■
論 で あ るべ き だ か らで あ る。 これ らを無視 して Progression‐
39
survivalのどち らを使 うべ きか とい う議論がな され るが、それ は意味がな く、目的 に よつて
分 けて考 える必要が ある。
関連 して、統計学的有意差 の有無 を判断す る上での α、6の 水準 で ある。 αエ ラー とは、
真実 は差 が無い ものが差 があ る とされ る状況であ るため、本 当は効果 が 無 い ものが 売 られ
ることになる。 これ は国民、世 の 中 の損失である。 一 方 、6エ ラー は真実 は差(効果)があ る
の に、それ を見過 ご している状況 であ り、生産者 (製薬企業)に とって本来売れ るものが売
れ ない とい う生産者 の損失 となる。 そ う考 えると、αエ ラニ の水準は 「
世 の 中が決 める」 も
の 、6エ ラー の水準 は生産者 (研究実施者側)が 決 め る と良 い ことに な る。
以 上を踏 まえた上 で 、希少 がんの臨床試験 を考 える。まずは、精度 を犠牲 にす るアプ ロー
チ と犠牲に しないアプ ロー チがある。精度 を犠牲 に しないアプ ロー チ とは、被験者数 を増や
す とい うことであ り、例 えば単純 には参加施設 を増やす ことが考 え られ る。」COGの グル
ー プでは希少 がんの グル ー プは現在 17∼20施 設 ぐらいが参加 してい るが これ をも つ と
増や
して 、
例 えばがん診 療連携拠点病院全部 (370強 )に参加 して も らうことな どが考 え られ る。
しか し、多施設共同研 究 グル ー プの組織化 とい うのは簡 単 ではない。一 定 の経験 を踏 まな い
と健全 な議論ができない ことも多 い し、施設 も 50ぐ らい を超 えると管理が行 き届 かな くな
")が
り、会議 に来 なか った り患者登録 を しなかった りす る施設 (いわゆる“
幽霊 部員
必ず 出
て くる。そ のため 、施設 は広 げれ ば良 い とい うもので もない。
そ うす ると現実的 には 、精度 を犠牲 にす るアプ ロー チ も採 らぎるを得 ない ことに な る。そ
の一 つ が α レベル を緩 めるとい うことである。 α レベ ル は通 常は 0.05が 慣例 となってい る
が 、 これは 20回 に 1度 の間違 い を許容す るとい うこ とである。 これ を緩 めて例 えば 0.1と
す ることは、10回 に 1度 、間違 って効果 の無 い薬 (治療)が 効果 がある と判断 され る とい
うことで あ り、規制 当局や世 の 中、そ の領域 の医師 の コ ミュニテ ィが許 容 して くれれ ばそれ
は可能である。
一 方で、ベ イ ズ流 の
統計手法 を用 いて 、つ ま り事前 情報 を入れてサ ンプル サイ ズの小 ささ
を補 うとい うアプ ロー チ もある。しか しベ イ ズ流 の手法では、結論 の正 しさが事前情報 に左
右 され るため、そ の 点 である意味精度 を犠牲 に してい る とい 、aを 緩 めることと本質的 には
変 わ らない。 ベ イ ズ 流手法 を用 いれ ば常に精度 を犠牲 にす るこ とな く被 験者数 を減 らす こ
とができると考 えるのは正 しい とはい ない。 FDAは
、医療機器 の試験 につい てベ イ ズ 流手
法 を用 い る こ とを容 認す るガイ ダ ンス を発行 してい るが 、逆 にそれ以外 の試験 での使 用 を
容認 してい るわけで はないので 、検証的研究 にお け るベ イ ズ流手法 は定 着 してい る とは い
な い。医療機器 におい ては、効果 の推定値 の事前分布 を割 と正 しく設 定す ることがで き る と
考 え られ るため、FDAも 容認 してい るわけだが、薬物 一 般 について それがあてはま る とは
限 らない。
の希少 が んに対す る試験 の実例 をい くつ か挙 げる。 一つ は骨 肉腫 の術前化 学療
法 (メ トトレキサ ー ト、ア ドリアマ イ シン、シスプ ラチ ン)を 行 い 、効果 が不十分 な例 をラ
JCOGで
ン ダ ム化 してイ フォス フ ァマ イ ドを加 えるか ど うか をラ ン ダム化す る RCT(JCOG0905)
40
である。計画では 200例 を 6年 で登録するが、基本的 に小児 の 患者 が多いので、二次 がん
も重要 であ り、 二次 がん もイベ ン トに含 め る無病生存期 間 (Diseasetee s― val)を
primary endpointとして 10年 間追跡す る。3年 無病生存割合 を標準治療群 で 50%、 検出
すべ き上乗せ効果 を 15%、 検出力 70%、 片側 Q10%と してサ ンプルサイ ズを算定 した。
も う一 つ は、過 去 の 患者集 団 を対 照 と した 、 上 咽頭 が ん に対 す る IMRTの 試 験
(JCOG1015)で ある。国内年開発症数 が 500例 ぐらい とされ る希少がんであるた め、予
定登録数 75名 の単アー ムの試験で、過去 の通常照射 の 3年 生存割合 か ら、JCOG1015に 登
録 された患者 のステー ジ分布で重み付け平均を求めた 3年 生存割合 を算出 し、それ よ りも
JCOG1015に 登録 されて IMRTを 受けた患者群 の 3年 生存率が勝 っていれば効果がある と
した。このよ うな単アー ムの試験 のデザイ ンも考えられ る。
判断す るとい う decision ruleと
ー
以上のよ うに、希少がんの臨床試験 は Qエ ラ の許容値 を上 げることが最 も妥当である
し、健全な議論 ができると思 う。患者数 が少ない以上、何 かを犠牲 に しなければならないが、
αを緩 める方法 の最大 のメ リッ トは何を犠牲に してい るのかが明確 である点である。逆にベ
イ ズ流手法だ と何 をどれだけ犠牲に しているかがほ とん どの研 究者や社会 には理解できな
い とい うのが最大 の欠点であり、同 じように精度 を犠牲にせ ぎるを得ないのであれば、万人
にわか りやす いシンプルな手法を用い ることが優先 され るべ き と JCOGは 考える。また、
ー
過去の対照群 のデ タが しつか りしていれば、単群 の試験 でも妥 当な結論 を得 ることがで
きると考 えられ る」
41
4‐
5 。 デ イスカ ッション
<研 究開発 >
基礎研 究 を支 え るためには、有 限 の検体 を有効 に使 うた めにバ イ オ細胞 バ ン クを構築す
ることの必 要性 は多 くの人 が認 め る ところである。しか し問題 は、それが科学的 に新 しい こ
とではないため論文 にな らず 、個人 にそれ を行 う動機付 けがない こ とであ る。現在 、個 々の
基礎研究者 は 自分 の興味 を元 に して研究 をす るのが基本で ある し、 また最近 は研 究者 も任
期付 が多 くて競争 に生 き残 るた めには 良い雑誌 に論文 を書 かない とい けな い。 そ の状況下
で論文 にな らない仕 事 をす る こ とは 自殺行為 ともい る。また、研究費 もデ ー タベ ー スのため
には とりづ らい 。 国 立がん研 究 セ ンター では内部資金 でその よ うな公益 のた めに研 究費 が
お りる可能性 はある。企業 と協力 して事 業 として行 うことも考 えられ るが、培養 の成功率 も
考 えるとひ とつの細胞株 が 高価 にな つて しま うので現実的 ではない。誰 がや るのか 、どの よ
うな動機付 けが可能 なのか とい った ところについて は今 後 も検討 が必 要である。
<薬 価算定 に費用対効果分析 は有用 か >
薬価 を正 しく算 定す るために、昨今議論 が盛んな医療 技術評価、費用対効果分析 が使 える
か ど うか との質問 が あつたが 、演者 か らは否定的 な意見が聞かれた。技術 が既 にあ つて どち
らが比較 的優位 で あ るか とい う比較 は費用対効果 で可能で あるが、 絶対値 として薬価 を算
定す るた めには、高価 を金銭換算 す るこ とが困難 である、算定 のた めの前提 が複雑 で、現実
を反 映 しない 可能性 が高 い ことか ら、弊害 が多 い と予想 された。また同時 に薬価破壊 呈 され
るこ とか ら試行錯 誤 が可 能 であ り最初 は高 めにつ けてお いて 、利益 が大 きす ぎるよ うであ
れ ば下げ こ とも現 実 に行 われ てお りそれ も考 えて薬価 を考 えて 良い か も しれ な い 、 とい う
意見 が聞 かれ た。
<希 少がん臨床試 験 にお ける妥協点 >
aレ ベ ル をゆ るめる とい う考 え方 を採用 して検証的 な臨床試験 を行 ってい るグル ー プは
まだ無い 。しか しこれ は慣用 が どの よ うにな つてい る とい うこ とよ りも、社会 として過誤 の
リス クが どこまで受 け入れ られ るかが基準 となるべ きであ りその コ ンセ ンサ ス が得 られ る
一 方的 に決 めるこ とで はな
かを探 っていか なけれ ばな らない 。 また、 これ は PMDAが
く、
社会 が決 めることであ り、それ を医師、研 究者 が リー ドしてい く必 要 が あ る。PⅣDAは そ
の よ うな意見 を見 なが ら判 断 を して い くのが本筋 とい る。
ベ イ ズ統計学 に 関す る欠点は、何 よ りもわか りづ らい とい うこ とである。わか りづ らい こ
とは正 しい判 断 を してい るよ うに ごまか され て しま うリス クがある とい うことで あ る。そ
うな らな い よ うに知識 を普及す るこ とも重要 であ るが、そ うでない わか りやす い 方法で も
同 じ レベ ル の精度 の 妥協 で あるな らばわか りやす い方が良いだ ろ う。
42
<国 際共同試 験 での 日本人割合 >
国際 共同試 験 のエ ビデ ンス を もつて薬剤 承認 が得 られ るかについて 、具体的 に何 %以 上
日本 人 が含 まれ て い れ ばそ の試 験 の結果 で承 認 が取れ るのか とい う質問 が 出 され た。 しか
し、 これ は基本 的 に 日本人 に使 う薬 として承認す るの に説得力 の ある有効性 と安全性 がデ
ー タで示 され る と判断 されれ ば承認 され る とい う考 え方 であ り、 PMDAの 野 中氏か らは個
一
別薬剤 の事情 に よるため単純 な回答 はで きな い とい う回答 であ つた。 しか し 方 でそ の判
断 は研 究者 が考 えて薬事承認 の仮定 にお いて そ の考 えを主張す べ き問題 であ り規制 当局 に
お伺 い をたて る問題 ではな い との意見 も見 られ た。
一 定 の経験 のある研 究者 の 中 で明確 な
ライ ンが ない こ ととい うの は、規制 当局 に とつて もライ ンがない こ となのだか ら何 が適切
か を考 える姿勢 を研究者 が 捨 てない ことが重要 である。
<集 約化 は必 要 か >
研 究開発 に つい て も臨床試験 の参加施設 が 多 くな る と管理が不可能 にな る とい うこ とは 、
一
ある程度 の集約化 が必要 になる。しか し、 方 で臨床試験 を中央施設 に集 めて しま うと、患
者 に とつて不便 にな るばか りでな く、患者 が地元 に帰 って しま った 時 に必然 的 に遠方 に帰
る とい うこ とで現実的 に追跡不 可能 とな る リス クが増す。 そ のため集約化 とい え つて も管
理 と追跡 のバ ラ ンス を とつた施 設数 へ の集約 を考 えな い とい けない 。 それが地域 ブ ロ ック
な のか 、都道府県 な のかについては、引き続 き検討 の余地 がある。
どの施設 を核 として集約 化す るかは大 きな問題 であ る。希少 がん の場合 には大学病 院 の
参加 施設 が多 い 。 関連病院 が歴 史的 に存在す る ので 患者 を紹介 して もらって集 め る こ とが
容易 な体制 にな ってい る。都道府県 のがん診療連携拠 点病院を中心 に臨床試 験 を拠 点化 し
よ う とす る動 きもあるが 、都 道府 県拠点 は大学病院ではない こともあ り、数 の多 いがんの 臨
床試 験 と違 つて 、希少 がん について は少 し別 個 に考 えた方 が良 い。
<そ の他 >
医師 が学位 取得 の た めに 中途 半端 に基礎研 究 を して い る現実 は集約化 が進 まな い
一 因か
も しれ ない との意見 もあ つた。皆 がそれぞれ の大学で少 しだけ基礎研 究 を して もそれ が臨
一
床 の発展 につ なが る こ とはまず無 いが 、 方 で研 究す る こ とに よつて希少 がん をある程度
は知 る機会が でき、ま た、少 し知識 のある珍 しい症例 の診療 が面 白い と思 つて しま う。そ う
す る と希少 がん患者 が来た時 に専門施設 に送 らず に 自分で治療 も した くな る。 この よ うな
構造 は、皆 に とつて良 くな いので 、近藤先生 の研 究室 の よ うな場所 で臨床 に役 に立 つ基礎研
究 をす る体制 を整備 して 、興味 のあ る臨床 家 はそ の よ うな臨床 に貢献 で きる研 究室 で基礎
研 究 を行 うこ とで有効 に資源 を使 うことを考 えた方 が良い と考 え られ る。最 近 の 臨床 医は
専門 医指 向 で基礎研 究 をか じることは しな い傾 向にあるのでそ の状態 は 自然解 消す るのか
も しれ ない。
43
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45
5.希 少 がん情報提供
5‐
1.情 報提供活動
(HTLV・1感 染症 ノ
成 人 T細 胞 自血 病 (ATL)の 場 合)
東京大学医科学研究所付属病 院
内丸 薫
成人 T細 胞 白血病 (ATL)に つ いて は、悪性腫瘍 としての希少がんの側 面 とともに HTLV
感 染症 としての側 面 があ り、総合 的 な対策 が とられてきた 1。そ の一 つ が情報提供 であ りこ
こではそ の情報提供活動 の現状 につい て紹介す る。2007年 の調査 では HTLV‐1(ヒ トT細
胞 自血病 ウイルス 1型 )感 染者 は推定全国で 108万 人 、だいたい全 人 日の 1%ぐ らいが感 染
者 と考 え られてい る 2。母乳 を介 した母子感染 (キャ リア の約 6割 )、夫婦間感染 の二つ の
感染経路 が存在す るが 、 の ちに説 明す る ATLに つい ては夫婦間感染者 か らの発症 はない と
考 え られ てお り、母子感染 を防 げば良い とされてい る。HTい た1感 染 はほ とん どのケー ス は
無症侯性 キ ャ リアで ある。関連 した疾 患 として成人 T細 胞 自血 病 (ATL)と 神経疾患で あ
る HTLV‐1関 連 脊 髄症 (HAM)が
40名
率 5%)、 30‐
あ り、それぞれ年 間 1100名 (キャ リア全体 の生 涯発 症
(生涯発症率 0.3%)程 度 の新規発症 がある。ATLは
60年 程度 か けて
HTLV‐1キ ャ リア→ 慢性型 (無治療経過観 察)→ 急性転化 し、アグ レ ッシブ タイプになる と
化 学療法 ・造血幹細胞移植 を含 めた治療 が必 要 になるが 、生存期間は中央値 13ヶ 月 、 3年
生 存率 24%と 予後不 良な疾患であ る。
以前は感染者 の半数以上が九州 沖縄 地方 に在住 し HTLV‐1感 染は 「
地域 の問題 」 であっ
たが 、大都市へ の人 口流入 に伴 つて 2007年 の実態調査 では大都市圏 にキ ャ リアの分布 が 拡
散 してお り、全国的な問題 になって きた。加 えて HAMの
患者会 が厚労省 に働 きか け、2011
年 か ら国 の HTLV‐1総 合対策 が策 定 され た とい う経緯 が あ り、2011年 に厚労科研 「
HTLV‐
1キ ャ リア ATL患 者 に対す る相談 機能 の強化 と正 しい知 識 の普及 と促進 」研究班 が設置 さ
れ 、相談体制 の実態調査 と情報提供 の ウェブサイ トの運営やそ の方向性 へ の提言 、普及程 度
の検証 を行 つてい る 1。
HTLV‐1総 合対策 の重点施策 の 一 つ は母子感染 を防 ぐ ことである。このため に全国一 律 で
妊婦 に HTLV‐1抗 体 をチ ェ ック してお り、保健 所 が保健指導 の役割 を担 ってい る。 しか し
実際 の ところは 4分 の 3の 保健所 が 「
事実 上 キ ャ リアか らの相談はゼ ロ」とい うのが 実情 で
あ り、また 「
実際 の相談 が 来た時 に二 次相談 がで きるよ うな専門医 。医療機 関 の情報 がほ し
い 」 と回答 してい る。 (次ペ ー ジ 図)
また医療機 関 で あるがん診療連 携拠 点病院 の相談支援 セ ン ター での実態調査 で も 9害 1
が ATL患 者 か らの相談 をほ とん ど受 けていない と回答 し、今後 の取 り組みの上 で 「
専 門医 ・
専門医療機 関の情報 がほ しい 」とい う同様 の回答 が得 られ てい る。この よ うに体制整備 はま
46
ー
だまだ これ か らであるのが実情 である。 (次ペ ジ図)
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47
その他には研究班や厚労省 の HTLV‐1に 関す る情報提供 ウェブサイ ト1、紙媒体などのツ
ール、全国の血液 内科、その他イベ ン トで情報提供 している。 さらに、HAM患 者 に対す る
HAMね
情報提供 としては、患者登録システム 「
う と」 でネ ッ トワー ク化 し 3、患者 に対 し
て情報発信 している。
これ らのホー ムペ ー ジのアクセス解析や患者会連携 による意識調査 を した ところ、情報
を求めてホー ムペ ー ジにアクセスするのは特に non‐
endemic areaの
大都市で高 い ことが判
endemic area大都市 が情報提供 の焦点である
明 し、いわゆる endemic area以上に、ncln‐
と考えられた。 しか し、意識調査においては、しか し診断時に 「どこかに相談にいきたい と
思 つた」が 「どこにい けばいいのかわか らずに困つた」と回答す る人が 6割 以上存在 し、保
健所に相談にい く人はわずか 3%で あ り、また相談支援 センター で ATLの 情報提供 をして
い ることを知 つてい る人 も、相談支援 センター があるとい うことも知 らない人が大多数で
ある。また、医療機 関情報、新規治療に関す る情報 な どのニー ズが大きいことがわかった。
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一
一
つま り相談 ・情報 に関す るニー ズに対 して、存在 が周知 されてい ない ことによ り保健所や
相談支援 センター の利用 が少ない とい う実態が推 定 され る。今後情報提供体制 を均てん化
してい くためには標 準的なキャ リア対応 モデル を作 る必要があ り、都道府県単位 で組織的
体制を整 える、医療者側 にも Q&A集 な どの手引きや マニュアル を準備す る、キャ リア外来
で相談 され ることをま とめて一次対応す る施設 の人 向けの講習会 を開催 してい くな どの体
制 の整備 と周知が必要であ り、また現実的な課題 としては研究 としてではな く行政 の事業
として続けてい く必要 がある。
48
502.情 報 を探す ・相談支援
佐賀県医療 センター好生館
大石 美穂
医療 ソー シャル ワーカーは相談支援 セ ンターで、生活 の支援、家族や こころの支え、理解
の支 えとなるよ うな相談体制 をめざして い る。好 生館 は総合病院であ り 4、がん専門病院 で
はない ことか ら総合相談の中ではがんの相談は平均 32%と なつている。ATLに ついて も相
談支援 セ ンター で対応す ることになつてい る ことか ら少 し過 去の相談 を調 べ た ところ、母
乳に関す るものな どの比較的回答が容易 なものか ら、デ ー タを求められた り、他 の疾患を持
つてい るけれ ども大丈夫か といつた医療 に近 い相談 があった りしてなかなか千差万別であ
できれば近 くで受診 したいので ATL
る。集約化 とい うことが話題になつていたが、時に 「
の診断 と治療 ができる専門医がいるか」とい う相談 もある。しか し、これは専門医の リス ト
な どは学会 の資料な どか ら知ることはできて も、主治医 との関係 に悪い影 響 を与えないよ
うに常 々気 をつ けなければならず、相談者 の主治医 の方針や現在 の関係 が不明だ と苦労す
る こともある。 当院 へ転院 の受け入れ な どの相談 について は医師 と相談 しなが ら対応 して
い る。
好生館 では医師等 か ら相談支援 のオー ダー が来 た場合、充実 した地域医療福祉連携 をは
かるために、相談支援センターや院内の多職種t地 域 の ク リニ ックや訪問看護や行政 など
を交 えた症 例検討会 も行 つている。実際 に情報提供 を している中では、希少 がん患者 で他
の慢性疾患 の合併 があつた り、社会適応 上 の困難 があった りす ると、希少がんの一般的な
内容 のみを伝 えることでは対応できず、相 当な相談対応 ス キルが必要である。
課 題
49
今後 の課題 としては 、主治 医 との信頼 関係 を損 ねない よ うに配慮 あ る相 談対応 の質 を担
保 しつつ 、マニュアル 化 された Q 鳳 集や 医療機 関 ・専門医 の情報提供 につ いては対応 のガ
イ ドライ ンや 一 覧表 な どのツー ルががん 種別 にあれ ば有 効 である。地理 的 に集約化 が難 し
い ところでは、拠点病院で治療 を しつつ 、専門医 の近 医がい るのが理想 で あ る と思 う。
50
5・
3 . 情 報 を探す ・がん情報サー ビスサ ポー トセンター
ー
国立がん研究センター がん対策情報セ ンタ
櫻井 雅代
がん情報 サー ビスサポー トセ ンターでは、がん専門相談員の教育 を受 けた 医療福祉等 の
一
専門職 が全 国 律 の電話料金 であるナ ビダイヤルで対応 し、治療や療養 の相談を受 けてが
ー
ん情報 の案内 をした り、全国 のがん診療連携拠点病院や がん相談支援セ ンタ を案 内 した
りしてい る 5。
全体 の相談件数 は月に 130件 ∼ 160件 であ り、希少 がんに関す る相談は、全体 の相談 の
約 7%(2日 に 1回 くらい)程 度である。希少がんの相談内容 は、がんの治療、臨床試験、
精神的苦痛な ど多岐にわた り、全 がん種 と比 べ診
医療機関の紹介、症状緩和 の方法、不安 ・
療実績 とセ カ ン ドオ ピニオ ン先 の紹介 を希望す る相談が多 い傾向であつた (具体的な相談
例は 「
希少 がん相談 の現状 1・ 2」 を参照)。また 、患者本人ではなく家族 か ら寄せ られ る
ー
相談 も多い傾向にあつた。相談者 は、既 にイ ンタ ネ ッ トな どで入手可能な情報は収集済み
ー
で あ り、さらに詳細な情報 を得たい と希望 していた。 さらに、希少がんに関す るネ ッ トワ
紹介状 は書 くので、病院を自分 で探す よ うに」
クを持たない医師 にかか つている患者 が、 「
といわれ、困つてい るとい う状況を紹介 した。電話相談には即応性 が要求 され る。そ のため、
希少 がんに関す る信頼できる情報 の収集、整理を してい くことが課題 である。
ー
希少 がんに関 しては、医師 の方 も限 られたネ ッ トワ クの中で専門医がわか らない場合
が多いの も自然な ことであ り、情報 を得 る体制を構築す ることが重要 である。がん対策情報
セ ンターでは、院内がん登録 を情報源 とし、情報提供 に同意をしてい る拠点病院 の 中で、直
近 3年 間で登録患者数 が 5名 以上ある施設名を提供す るとい う体制を整備 中である。今後
ー
は、相談者 の同意 を得た上で紹介可能 な施設 のがん相談支援セ ンタ と連携 をとるな どし
て、希少 がん診療施設 に関す る情報提供体制 につい て経験 を蓄積 しているところである。
Eυ
薔性■饉■ 息子 主 治医が 「初めての嵯例でこれから治薇法を者えます」
●A●m
家
族として困惑
本人 ● OEEを
得意としてし
EEが 再度増大.こ れ以上、手衝はできないと.
主治医という主治医がいない。
主治医は幅 の症口静少ない.
症日の多い病院を知りたい.
この疾患の側子作成の計回はあるか.
疾患は
治晨方法、患者の心僣えを知りたい.
セカンドオピニオン先のA病 院の紹介で、B大 学で治層
胸朦、膵などに■籠.そ 03度 翼なる診督科で治彙.
52
5 ‐4 . デ
<HTLV対
ィ ス カ ッシ ョン
策 か ら学 ぶ こ と >
HTLVに 関 しては、キャリア対策 も重要 である。無症状で特に健康 に影響 がない人 々に対
して啓発 を行 うのは、興味を引き起 こす ことか ら始 めない とならないが、興味 が無い人には
シンポジ ウム をしても参加す るとは思えない。 これは研究班での今後 の課題 とされ ている。
ATL以 外 の希少 がんについてはあま りそ のよ うなキ ャリアが、 とい うこ とは珍 しいかもし
れない。HTLVの もう一つの特徴は、疾患 ががんだけでな く神経疾患もあ り、眼科疾患 もあ
り、感染防止 には妊婦へ のアプ ローチが必要であるなど、とても多 くの分野 の専門家 が関わ
らな くてはな らない。情報 を関係者 の 間でシ ェアす るとい うことの重要性 はここでは認識
されてい るので、今後のいろいろな対策 に関す るモデルになるかもしれない。
<国 立 が ん研 究 セ ン タ ー の 電 話 窓 口 >
ー
ー
ー
国立がん研究セ ンターの中では、がん情報サ ビスサポ トセ ンタ 以外 にも希少 がんホ
ッ トライ ン とい うものを設 けてお り、こち らも専任 の看護師が対応するよ うに してい る。支
ー
援 内容 につい ては重なることも多いので はないか と予想す るが、おそ らくがん情報サ ビ
スサ ポー トセ ンター は全国向けであるのに対 して 、希少 がんホ ッ トライ ンは国立がん研究
セ ンターヘ受診す る希望がある場合 に使 つて もらうようにすれば良い。しか し、患者 さんの
側 か ら見 る とわか りづ らい こともあるだろ うか ら、その交通整理を しつつ 連携 も密 に とる
ことで患者 さんが困ることが ないよ うに しない とい けない。
<全 国 的 な受 診 先 サ ポ 早 卜に つ い て >
対応 できる専門医 の情報問い合 わせに対応できるよう、各希少 がんにつ き全国で 10名 ぐ
らいず つ 学会等 か らリス トア ップ して もらうと役 立つ。 さらにその下にそ の希少 がんにつ
いて詳 しい相談支援員 を養成す るな ど体制 を整 えると窓 日の対応 が しやす い と思 う。地理
によらない疾患別 のバーチャル特区を作 つて、公的研究費 の優先的配分、未承認薬、患者負
ー
担 の軽減等優遇扱 い をす ることで集約化 がはかるのでは ないか。希少 がん もエ ン ドステ
ジは 5大 がん と変わ らないので、集約化 は 「
集約化す ることで治療効果 を上げ られ る時期
ー
にとにか く集約化す る」ことが必要である。地域 の医療機 関が診療サポ トを専門医療機関
か ら受 け られ るよ うに、集約化 と反対 のベ ク トル を充実 させ ることも必要だ と思 う。治療 の
ー
面では必要 な くて も、研究開発 のブ レイ クスル のために集約化 が必要な側面 もある (例え
ば骨 肉腫 な どは治療方法が標準化 され てお り治療 としては各大学病院 レベ ルで対応 できる
ため、集約化 の必要がない と考えられて いたために、新 しい薬物 の研究開発 な どの点で進歩
がない とい う現状 がある)。都道府県診療拠点病院協議会 と学会 とが同意 の もとに中心 とな
って話 し合 えば集約化 の話 がまとま りやす いのではないか、な どの意見 が 出た。
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6.ま
とめと今後 の方向性
ー
ー
国立がん研究セ ンタ がん対策情報セ ンタ がん政策科学研究部
東 尚弘
各分野 の演者 の発表や参加者 の活発な議論 によ り様 々な論点が抽出 され、そ の うちのい
くつ かに関 しては課題解決に向けた提案がなされた。以下 に各分野 の要点をま とめる。
ま とめ
(1)定 義
ー
希少性 の基準 に関 しては特 に ワ クシ ヨップ内での合意 をめ ざ した議論 は困難 と考 え ら
ー
れ たため、ア ンケ ー トで意 見 の 明確化 をはかる としたが、ア ンケ トの結果 はおおむね欧州
RARECAREの
基準 (年間 10万 人 あた り6例 未満)が 最多 であ り特 に別 の基 準 を設 けなけ
れ ばな らない とい う意見 は強 くな い よ うに思 われ た。
一
しか し、一 方、希少性 だけ で制度 的な対策 の対象 としなけれ ばな らない ことも意見 は 致
して い た。他 の条件 について それぞれ の重要性 について は、治療 法 が未 確 立であることが最
も重視 され る ことが 多 く、次 に診 断 困難 、生命予後 の要素 が続 く形 とな つ た。数 が極 めて少
べ
な い希少 がんにつ いて 、 あ る程 度 の数 がある希少 がん と別 に扱 う きで はないか とい う意
見 もあ つたが 、 どの よ うに扱 うか につい ては時間 の 関係 もあ り議論 は十分 でない 印象 もあ
り、今後 引き続 き検討す る必 要 がある。
特 に対策 の対象 とす る希少 が んについて は、代表 的希少 がんで 、何 か例 を とつて集約化 な
一
どの対応 を進 めてみ るのが良 いか も しれ ない、とい う提案 も聞 かれた。難病 の よ うに 定 の
基 準 を元 に 「
対策対象希少 がん 」 を個別 に指定す る方法 も検討 に値す るか も しれ な い。
(2)診 療 の現状 と集約化
<全 般 >
一
集約化 が不 十分 である とい う認識 は 致 してお り、集 約化 に対 す る反対意見 は少 ない。し
か し、どの程度 まで集約化す るか については今後 の検討 に残 され てい る。患者 のア クセスの
問題や 臨床試験 の追跡や参 加 の確保 に鑑 みて各地域 には診療可能 な施設 があつ た方 が良 い
だ ろ うとい う意見 が ワー ク シ ョ ップでは指摘 され た。ま た、集約化 は診 断直後 で動 ける患者
へ 対応 としては良いが 、そ うで な い 患者 もい るこ とか ら地域 ヘ ノウハ ウを広 めるベ ク トル
・
も確保す べ き とい う意見 が聞かれ 、集約化 均 てん化す べ き、それぞれ の事項 の整理 が必要
で ある。 この よ うな議論 を受 け、集約化程度 に関す る回答 は非 常 に多彩 であ つた。
55
<集 約化 の方法 >
どの よ うに集約化す るか も課題 である。
・ 医 師 の コ ミュニテ ィの 中で 自発的 に集約化 の方法 を探 る必要がある こと、
・ 大 学病院 を中心 とした方が、拠 点病 院 を中心 とす るよ りも現実的で ある こ と
に とい う議論 が な され、 この 点につい ては意 見 の一 致 があるよ うに見受 け られた。
医療 コ ミュニ テ ィヘ のアプ ロー チ としては 、
・ 各 学会 へ のアプ ロー チ
・ が ん診療連 携 拠点病 院 へ のアプ ロー チ
を両方使 つてい く こ とが 、う ま くい くか も しれないので今後検討す る。
おそ らく沖縄で集 約化 を達 成す るためにキーパ ー ソンが何度 も集 まって検 討 した とい う
ことを考 える と、時 間 はかか る と考 え られ るが このプ ロセス は重要であろ う。また、施 設 ヘ
の質 問紙調査 な どに よ り自発 的 に受 け入れ る希少 がん を挙 げて もらっ てそれ を公表す る こ
とも方法 として提案 された。
<集 約化 の効果 に関す る検 証 の必要性 >
集約化 をすれ ば治療成績 、予後が良 くな る といつたエ ビデ ンスが ない ことは問題 である。
簡単 にできる研究で はないが 、横断研究 に始 ま り、施策が行 われれば、集約化 前後で の影響
の検証 とい うよ うに、段階的 に進 めるこ とを考 えるのが 良いだ ろ う。今後 、全 国 がん登 録 の
開始、整備 に伴 い そ の よ うな研究 も可能 にな ると期待 され る。
(3)研 究開発
<基 礎研究 >
基礎研 究で は臨床 家 と基 礎研究者 の交流 の重要性 につい ては意見が 一 致 して い るが、一
方で臨床家 が どこで も基礎研 究 に触れれ ば良い とい うものでは な く臨床 に貢献す る研 究室
にい くこ とが重要 との指摘 もあ つた。
組織検体 をそ の まま 蓄積 して も資源 は有 限 なままであるの で培養 細胞 とす るこ とで無限
に使 える資源 に転 換 で きるこ とが提言 され たが、基礎研 究者 にそれ を管理す るメ リッ トが
薄 い 懸念 が示 され た。全 国 の 臨床家 の協力 とともに、そ の メ リッ トに関す る検討 も必要であ
る。
<製 薬 企 業 >
製薬 企業 に よる研 究 開発 は 、補助金 は手 厚 い が 、開発後 に も コス トが続 く こ と、薬価算定
で現実的 に コス トの回収 が 可能 な薬価 がつ くか ど うかの懸念 が示 され た。 これ らの 見通 し
がない こ とには、企 業側 に参入 す るのは抵抗感 が残 る可能性 が 高い。薬価 は定期的 に改定 さ
56
れ るこ とか らとりあ えず 、最初 は高 くつ け るの も イ ンセ ンテ ィブになるのでは な い か とい
う意見 も間 かれ た
<薬 事承認 >
薬事承認 につ いて は、希少疾病 に 関 しては、助言 そ の他 の優遇措置 がある ことに加 え、ヒ
ス トリカ ル コ ン トロー ル や国際共同研究 をもつて承認 の検討 がで きるよ う柔軟 な対応 を し
べ
てい る。しか し、一 律 の基準 をもつて 国際共 同研 究 に何 %日 本人 が入 つてい る き とい つた
ことを決 めるの は難 しく、個別 に相談が必要で あ る。また、研究者側 で も行政 にお伺 い をた
て るだけでな く、 自ら何 が妥当 なのか を考 えて いか なけれ ばな らない とい う指摘 もあ つた。
<臨 床試 験 のデザイ ン>
臨床試験 のデ ザイ ンにお ける希少 がん に 関す る特徴 としては、症例数 がなかなか集 ま り
一
づ らい とい うこ とか ら、一 定 の精度 を犠牲 に しなけれ ばな らない とされた。そ の つ として、
α レベ ル を 0.05で はな く 0.1とすれ ば良 ぃ との提 案 がな された。 ベ イ ズ統計 を使 つて研 究
外 か ら情報 を入れ る とい う手法 に関 して は 、そ の 情報 の確 か らしさが不 明瞭 であ る との懸
念 が示 され た。
(4)患 者情報提供
関す る情報提供活動 は先行 して い る。しか し、制度的 にそ の 中核 として位置 づ け
ー
られて い る保健所 とがん診療連携拠 点病院 の相談支援 セ ンタ は、認知 が十分 ではな く、よ
HTLVに
り広 い 広報 が必要 と考 え られた。また、そ の よ うな検 証 は継続的に行 い 、施策 の軌道修 正 も
必要であ る。
相談支援 セ ンター にお ける相談 は、様 々 なものが持 ち込まれ るが 、何 よ りも気 を遣 うのが
主治医 との 関係 に悪 い影響 を与 えな い こ とであ る、集約化 も良いが、近所 に主治医が い る と
い うことも非常 に重要 と思われ る。
今後 の方向性
希少 がん対策推進事業」は平成 25年 度 の単年 で終了であ
厚生労働省委託 事業 としての 「
る。今後、どの よ うな主体 が 中心 となつて どのよ うに希少がん対策を進 めてい くのかはまだ
ー
ー
はっき りとした ものは定まつていないが、国立がん研究センタ がん対策情報セ ンタ で
は、 ここで得 られ た意見を元に今後 のがん対策 に 関連 して情報収集 と発信 を行 つてい く予
定である。特 に集約化 の 関連事項 については、何 らかの形 でがん診療連携拠点病院や各学会
と協働 して情報収集 。発信 し、希少 がん患者 の役 に立つ よ うに貢献 してい く。その他 の施策
の遂行や検証研究 については、本報告書 を手がか りとし、それぞれ厚 生労働省 をは じめ とす
るがん対策関係各者 、研究者や研究機関 との連携 によ り解決をめざしてい くことになろ う。
57
巻末資料
巻末資料 1: 院 内がん登録を使 ったがん種別 の頻度
巻末資料 2: 各 国 の診療 の集約化対策
巻末資料 3: 参 加 者 アンケー ト結果
巻末資料 4: 国 立がん研究センター希少 がん対策室発足時ア ンケー トの論点のま とめ
巻末資料 1 院 内がん登録を使 つたがん種別 の頻度
類Layorl(大分類) による全国推定罹患率
表 1.院 内がん登録件数を用いて推定したRareCare分
をしたもののみ、上皮内癌は除 く)
早
τ
旱
事
質
::"製
肇
詈
9量
::勢
晉
馨
]]管
::景
:県
:1醸
彗
諄
騰
雪
碁
晃
:[亀
ζ
:胆
推定罹患率
(1/10万人年)
部位、組織名
1
未梢神経 ヽ脳神 経 、自律神 経のグリオ ー マ
2
中耳の上皮性腫瘍
3
カポジ 肉腫
__
_
_
4
胎 盤 の トロホ フ フ ス ト1
5
鶴織球 、樹状細胞性月
8
9
―施設あた 一施設 あた
りの
りの
診療実績施
最大症例数 最小症例数
設数
(人)
(人)
1
52
0.03
0.03
0.03
34
4〔
5
7
4
__
5
0.17
0.25
0.26
0.28
41
性膜外胚細胞腫瘍
42
会茎の上皮性腫瘍
2G
gF単の非上皮性腫瘍
子官の上皮間葉系 の混 合性腫層
0.30
0.33
0.39
0.46
24
_型
江門の上皮性腫瘍
12
骨 肉腫
44
鼻咽頭の上皮性腫瘍
胸腺の上皮性腫瘍
│の上皮性腫瘍
228
242
377
0.07
0.12
37
胎 芽桂 腫 蕩
0.59
0.59
0.11
0.21
0.25
0.3
0.38
3,
皮膚付属器腫 瘍
1
1
1
1
1520
1938
1
1
1947
1
328
317
326
355
322
1
1
1
1
1
の上皮性腫瘍
―
1、
陽 の 卜慮棒 臓瘍
0.98
1.13
9
支膚メラノーマ
36
0.63
0.72
1.37
大唾液腺の上皮性腫瘍
骨舶 増殖性腫 瘍
中咽頭の上皮性腫瘍
中枢神経のグリオーマ
骨髄異形成症候群
56
49
_
51
1経 内分泌/1E胞
腫瘍
急性骨髄性 白血病
軟部内腫
2.47
2.62
2.97
4フ
__
腎孟 、尿管、尿道 の上2 枠 腫喜
卵巣 、卵管 の上皮性腫:
口腔 、口唇 の上 皮性1
下咽頭、喉頭 の上皮性腫瘍
31
3.80
4.64
6.06
7.42
1 子宮頸部の上皮性腫瘍
子宮体部の上皮性腫瘍
21
四
の癖
1.08
1.58
1.58
5555
8100
8118
1.69
1.91
8661
3.16
3.60
55
督臓の上皮性腫瘍
_
勝洸 の上皮性腫瘍
_
_
E嚢 、肝外胆管の上皮性腫瘍
1置腸の上皮性腫瘍
1
膵 臓 の上皮晦
全道 の上皮性腫 瘍
1肝臓 ヽ肝 内胆管の上皮性腫瘍
リンパ 性腫瘍
9.90
14.25
二
11846
12487
15198
394
386
378
5.83
28283
29850
390
6.34
9.12
11
14
10352
347
395
347
21.90
31752
31779
32481
25.74
1
_ 1(
41.55
26.62
131866
136369
瑞 の 「膚 性 臓 瘍
1
57.54
67.14
42.98
189014
220156
266
418
433
639
1184
402
400
72060
122352
結腸の上皮性腫瘍
胃の上皮性腫 瘍
399
398
404
14.07
23.89
1
202
213
810
71722
乳房の上皮性 腫瘍
21
1
565
46732
48022
21.94
37.12
40.17
5Z
前立腺の上皮性腫瘍
1
349
352
26891
27254
9.69
32
1
1
5.32
3C
_
1
344
19884
24363
8.19
39
1
305
367
2.44
2.97
3.88
4.76
48
皮膚の上皮性 腫瘍
3226
3964
4509
精 薬 、精 巣 上
内今 淋 岬
1
1
0.57
4ロ
1
225
248
1
2368
2454
0.72
1
9
216
2292
41
悪性中皮腫
563
0.16
0.17
0.18
0.19
_■
2:
]IsT
1
1
3〔
気管の上皮性 腫瘍
16
末梢神経 脳神 経 、自律神経 、傍神経節 の非グリオ ー マ
眼と付属器の上皮性腫癌
50
中枢 神経ヽ松果 体の非グリオー マ
骨腋塁形成/骨髄増殖性疾患
58
粘膜 のメラノーマ
1
1
0.04
ぶどう膜のメラノーマ
1
1
74
0.02
6
7
粗罹患率
(1/10万人年)
杵
轍
ω
) を 使用 した
人 口はH22国勢調査 (128,057,352人
Layorl(大 分類)の み表示。青い数字はTable2のLayerlの順序番号 に相応。
404
1
2
1
1605
3429
1593
1
2474
3301
1
巻末資料 1 院 内がん登録 を使 つたがん種別 の頻度
表 2.院 内がん登録件 数 を用いて推定 したRareCare分
類Layerl,2(大 分類、お よび 中分類)に よる全国推定罹患率
RareCareの
分類 を院内がん登録 に適応。
患者数は2008年∼2011年の院内がん登録 の患者数 (登録施設で初回治療 を した もののみ、上皮内癌は除 く)
推定罹患率は各年 の拠点病院登録割合か ら全国の患者数 を推計 して計算。粗罹患率 はすべ ての患者 が拠点病院 を受診 した と場合の罹患率。
人 口はH22国勢調査 (128,057,352人
) を 使用 した
茶文字 はLayerl(大 分類)、 黒字 はLayer2(中 分類)に 相応す る
O.44
4 下 咽頭 、喉頭 の上 皮性腫瘍
7.42
75
o.37
1947
0.33
く0.01
1699
3
286
3
0.24
274
1432
24363
1223
1
38
373
583
291
4 24
344
13913
1
361
258
2.47
1.58
8100
349
2.40
1.54
7876
342
235
腔 、 日唇 の 上 皮 性 腫 瘍
606
19884
373
418
道 の 上 皮 性 腫 瘍
Squamous cell carcinoma wlth variants of oesophagus
Adenocarcinoma、 Mth variants of oesophagus
Saiivary giand type tumours of oesophagu(
Und:fferen■ated carc:noma of oesophagu3
Adenocarcinoma with variants of stomach
squamous cell carcinoma with variants of stomach
Salivary gland-type tumours of stomach
910
0.41
0.01
0.01
41.55
2662
136369
0.63
220156
217221
330
5
3226
0.60
001
く
404
1593
26.04
0.01
912
384
3096
19
1
1
1
406
1
185
21
1
404
1184
1
404
354
34
1138
45
1
1
2
1
62
5
404
404
192
4
56
3301
3296
8
2
1
11
11
1
1
1
382
19
56
1
1
1
17
133383
46732
4
。
4
9
5
45746
67
0
404
4
6 一。
3
4
.
14.25
13.95
0.02
46589
2075
36
71
240
363
50249
42.98
4241
0.06
く0.01
O.94
O.01
4
上皮性腫 瘍
Adenocarcinoma with variants of rectum
Squamous cell carcinoma with variants of rectum
Basaloid carcinoma of rectum
14.18
O.63
0.01
0.02
2
“0
。
Adenocarcinoma with variants of colon
cell carcinoma with varianG of colon
9.31
98
19187
378
0.07
15.29
0・
intestine
Adenocarcinoma with variants of sma‖
intestine
Squannous ce‖carcinoma with variants of sma‖
1 0 結 腸 の上 皮性腫瘍
375
67.14
66.24
0.10
く0 . 0 1
の 上 皮 性 腫 瘍
9小 腸 の上皮性腫瘍
3.88
5.34
O.12
Squamous ce‖ carcinoma with variants ofiip
8 胃
2 72
咽 頭 の 上 皮 性 腫 瘍
Squamous ce‖ carcinoma w■ h variants of oropharynx
Squamous cell carcinoma with variants of oral cavity
7食
1
1
344
s q u a m o u s c e ‖c a r c i n o m a w i t h v a r i a n t s o f : a r y n x
6 口
1
1
20
Squamouscell carcinomawith variantsof hypopharynx
5 中
66
1
1
0.28
4.76
1
344
3
4509
,
1
1
1
1
︲
0.88
3
6
o.52
0く.01
1.37
5
038
。
7
0.01
5
唾 液 腺 の 上 皮 性 腫 瘍
Epithelia:tumour6 0f m可Or Sa:ivary g:ands
SJ市 ary ghnd type tumoutt of head and neck
く
0.59
6
6
o.ol
2639
8
8
3 大
く
咽 頭 の 上 皮 性 腫 瘍
Squamous ce‖ carcinoma輌 th variants of nasopharynx
Papi:lary adenocarcinoma of nasOpharynx
1
9
。
3
:ntes■naltype adenocarcinoma of nasal cavity and sinuses
2 鼻
7
︲
3
Lymphoepithelial carcinoma of nasal cavity and sinuses
Undifferentiated carcinoma of nasal cavity and sinuses
2 1 2
5 0・0
.
.
0 ● 0
lL@w
Sguamous call carcinoma with variants of nasal cavity and sinuses
あた り
ヘ
(ノ
、
)
2910
7
5
0
Fl:evlLt
9 0
2
8. 8.劇 0.
0 0 ● 0
+\
りω
推定罹患率
1572
8
17
1
544
8
540
8
一施 設 あた り
Tumour
12肛 門の上皮性腫瘍
0.46
Squamous ce‖ carcinoma with variants of ana:cana:
Adenocarcinoma With variants of anal cana1
Pagetis disease of anai canal
13膵
く
臓 の 上 皮 性 腫 瘍
14.61
9.38
Adenocarcinoma wlth va‖antrs of pancreas
Squamous ce‖ carcinoma with variants oF pancreas
Acinar ce‖carcinoma of pancreas
Mucinous cystadenocarcinoma of pancreas
intraducta:papi:lary mucinous carcinoma invasive of pancreas
So‖d pseudopapi::ary carcinoma of pancreas
Serous cystadenocarcinoma oF pancreas
s of pancreas
Carcinoma mh osteociast‐ :ike giant ce‖
48022
404
639
8.62
O.02
0 06
03
O・
O.30
O.01
0.01
く
く 001
14肝 臓 、肝 内胆管 の上皮性腫 瘍
く
0・
002
0 03
005
0.03
178
O.02
腺 の 上 皮 性 腫 瘍
Ma:ignantthymoma
Squamous ce‖ carcinoma ofthymus
__u.υ
66
Undifferentiated carcinoma of thymus
Lymphoepithelialcarcinomaof thymus
u.uZ
h va‖ants ol‖lyinus
19乳 房 の上 皮性腫瘍
1nvasive ductal carcinoma of breast
invasive:obular carcinoma of breast
Mammary Paget's disease of bttast
11.96
28.36
o9o
O.03
7.86
3.19
O■7
049
4
0.04
68
0・
40.17
2574
u.υ
7.67
18.20
O.57
0.02
5.03
2.04
0.04
032
u.U●
0.03
0.44
2246
031
0.09
O.0l
<0.01
0'01
<O'01
1
15
18
1
1
404
3429
22.75
1.03
0.05
608
1
5
1
7
1
3
44
1
1
2
1
1
1
2
404
1
964
403
365
2335
47
54
2
883
48
363
34
45
99
5
3
76
4
32481
1
404
403
23403
134
404
106
82
16
63
16
2
377
1
4
1
4
1
1
1
1
3
1
189014
39267
93210
2927
107
25780
10475
228
1621
[,o
145
328
49
1591
450
26
I
:
0.01
0.02
35.51
1.60
O.08
71722
62910
3371
5
0.48
O.14
131866
117
74
260
25
3
5
97
0.02
く0.01
54
3690
57.54
Squamous ce‖ carcinoma with variants o『:ung
Adenocarcinoma with variants oflung
Large ce‖carcinoma ofiung
We‖ difFerentiaded endocrine carcinoma of hng
Poor!y differentiated endocrine carcinoma oflung
Bronchio:o‐aiveoiar carcinoma of:ung
Salivary gland type tumours oflung
Sarcomatoid carcinoma ofiung
Undifferentiated carcinomaofl■ ■■
186
88
990
27
3
6
4.57
0.03
119
001
26
403
54
6.34
0.02
く001
17肺 の上皮性腫瘍
2
69
0.46
01
0.01
0.02
713
0.04
Squamous ce‖ carcinoma with variants oftrachea
Adenocarcinoma with variants oftrachea
S a i 市a r y g i a n d t y p e t u m o u r s o f t r a c h e a
235
322
1
28348
14.00
12.28
0.66
99o
16気 管 の上皮性腫瘍
358
525
946
12
13___
5.53
0.01
0.04
0.02
019
01
0・
く001
く0.01
O.71
and EBT
ga‖
Adenocarcinoma面 th variants of biadder
Squamous ce‖ carcinoma of ga‖bladder anl EB:、
1520
3
0 01
15胆 嚢、肝外胆管 の上皮性腫瘍
Adenocarcinoma w■
0.10
0.18
0.01
21.90
1921
102
Hopatoce‖ ular carcinoma of Liver and iBT
Choiangiocarcinoma oflBT
Adenocarcinoma wlth var:ants of:iver and:BT
ver and:BT
Undifferentiated carcinoma of‖
Squamous ce‖ carcinoma w■h var:ants of::ver and iBT
B‖e duct cystadenocarcinoma oflBT
18胸
0.30
0.16
0.29
001
404
403
403
350
78
400
370
142
コ
90
303
υ
116536
5270
258
1
35
8
‐
__
1
1
287
206
45
13
48
403
373
148
1
1
2
1
25
8
51
1
2474
476
1569
66
4
476
250
5
92
9
1
1
3
1
3105
4
Tumour
types
breast
Metaplastic carcinoma of breast
Salivary gland type tumoura of breast
Epithelialtumour of rna:e breast
推 定罹患率
/10万
2.04
0.16
0.04
o.25
20子 官体部 の上皮性腫瘍
8.29
Adenoid cystic carcinoma of corpus uteri
Transitional ce‖carcinoma of corpus ute‖
官 頸 部 の 上 皮 性 腫 瘍
8.19
6.21
1.57
O.01
3.98
1.o1
0.01
UndifFerentiated carcinoma oF cervix uteri
22子
0.39
官 の 上 皮 間葉 系 の 混 合 性 腫 瘍
2 3 卵 巣 、 卵 管 の上 皮 性 腫 瘍
24卵
345
074
127
O.19
0.33
巣 の 非 上 皮 性 腫 瘍
C e r m c e l i t u m o u r oo「
vary
0.06
0.02
0.09
007
陰 、腟 の 上 皮 性 腫 瘍
0.70
0.45
Squamous cell carcinoma with varianta of vulva and vagina
Adenocarcinoma with variants of vulva and vagina
Paget's disease ofvulva and vagina
Undifrerentated carcinoma of vulva and vagina
111
O.03
0.02
27前
立 腺 の 上 皮 性 腫 瘍
37.12
3597
0.01
0.04
0.03
2389
23.14
001
o03
0.02
1.21
く0.01
0.36
0.80
001
く0 . 0 1
く0 . 0 1
0.77
く001
0.23
0.51
く0.01
く0.01
く0.01
Sa‖vary giand type tumours of prostate
28精 巣、精巣 上体 の腫瘍
Adenocarcinoma with variants of paratestis
Germ cell non seminomatous tumours of testis
Germ cell seminomatous tumouls of testia
Spermatocytic semi noma
Teratoma with malignant transfomation
Sex cord tumours of testis
29陰 茎 の上 皮性腫瘍
Squamous ce‖ carcinoma with variants of penis
Adenocarcinoma with va‖ ants oF penis
212
74
231
110
303
23
1
1
1
8
1
317
37
285
112
189
2
1
23
4
10
1
74
1
1
1
1
7
1
7
1
400
1605
400
30
137
85
1
13
8
10
73
118538
1
1
21
163
79
209
122352
1
1
350
189
o.02
1
1
72
2292
167
602
2
1
1
40
343
lo89
0.03
0.12
く 0.01
1
4
378
347
1
343
92
266
308
102
436
0.05
0.18
く001
1
l
565
289
386
2419
4174
638
1
383
1287
11311
1
1
381
342
40
15198
1
1
582
1
l
26891
1
1
590
3
20388
5150
48
1489
0.03
378
88
1
l
0.29
盤 の ト ロ ホ プ ラ ス ト性 腫 瘍
Choriocarcinoma of placenta
173
20
5
23
377
0.45
26胎
Adenocarcinoma with variants of prostate
Squamous cell carcinoma with variants of prostate
Infiltrating duct carcinoma of prostate
Transitional cell carcinoma of prostate
27254
0.21
0.09
0.03
0.13
O.11
Mixed epitheliaumesenchymaltumours of ovary
Sex cord tumours of ovary
Malignanulmmature teratomas of ovary
25外
2.21
0.47
081
0.12
388
227
81
312
26845
113
1
l
0.25
2.97
Adenocarcinoma wlth variants of ovary
Muclnous adenocarcinoma of ovary
CI●
ar ce‖
adenocarcinoma of ovary
Adenocarcinoma面 th variants of fa‖
opian tube
6708
535
124
836
5.32
5.24
0.02
く 0.01
く o ol
5.25
Squamous cell carcinoma with variants of cervix uteil
Adenocarcinoma with variants of cervix uteri
一 施設 あた りの最大 一 施設 あた りの
4年 登録数
010
0.02
o.16
817
0.03
く0.01
く001
Adenocarcinoma with variants of corpus uteri
Squamous cell carcinoma with variant6 of corpus uteri
21子
粗罹患率
(1/1ol
2
1511
29
98
58
1
2
5
8
1
1
1
0
3964
3
1168
2612
25
5
3
367
3
51
1
314
357
20
5
3
1
1
21
30
3
1
1
1
1
1
1
1
030
0.19
991
23
1
021
0.07
0.14
005
701
241
9
19
1
1
た り
Tumour
30腎 lF2の上 反 性 順 湯
!;ffi;1.;-i;;i"#:;fficdr
c.ll c.Ehod
s{umou.
slth r4rdb
tp. orH.h.v
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433
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Ad.r@irm.
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Ad.ndEincfl
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73
1
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06
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tEr.lt oMl 6ll dEhotu or bt ddt
*
Mesotheliomaof pleuraand pedcardium
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friliiliXiililiii,l"Ll'.'.liiiliilli-"'.'"
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3 6 皮 膚 メラ ノ マ
3 7 粘 膜 のメ ラノー マ
ーー ー
ー
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ー
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ー
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ー
ー
ー
ー
ー
ー
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ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
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三
L_____―
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―
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―
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―
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0.25
・
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■73
Basal ce‖
carcinoma of skin
三
二
ニ
ニ
―
_______―
―
―
―
―
―
o.11
O.04
C.06
O.04
001
く0.01
Neurobiastoma and gangiioneurobiastoma
Nephrob:astoma
Retinoblastoma
Hepatob:astoma
Pu:monary b:astoma
Extragonada:ma:ignanVimmature teratomas
[鶏
葛
11[=:]:
E l l : : l:i[:器
43軟 部内腫
sOftussue sarcoma Of head and neck
Softtissue sarcoma of:imbs☆
Soft tssue sarcoma Of 3upettcialtrunk姜
Softtissue sarcoma of mediastinum★
Softtissue sarcoma of heart★
こ
2
う
360
022
l.03
030
0.04
002
57
4
―
―
―
―
3709
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
305
―
―
―
―
1
1:
―
―
―
―
―
248
:
86
1
26
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・
・
く
27
11
830
摯
__`」
41胎 芽性腫瘍
1
285
294
242
3709
0.16
239
1
"
0.72
0.72
1.13
1
3
tlt
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ffi
399
390
34
0ol
iri
Squamous ceff carcinoma with variants of bfaddeI
Adenocarcinomawith variantsof bladder
s.ltv.d gl.d tyF hlnoun olbltdd*
ffi
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‐
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31752
28381
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n●
●
variants
with
Renal
cell carcinoma
007
0.02
0.04
0.03
く 0.01
0.01
0・ 16
2.31
014
0.66
0.19
003
0.02
」
と L_
322
67
1
847
129
53
365
115
199
129
19
19
10
40
6
930
96
63
51
70
19
1
216
152
97
二
9
ギ ::与 208
11846
736
3395
990
138
81
219
263
249
106
62
1
1 ′
1
1
1
1
1
1
30
1
7
27
388
1
1
19
169
36
4
4
322
1
1
1
1
1
1
Tumour
Softtissue sarcoma of breast・
Soft tissue sarcoma of uterus *
Otlrer soft tissue sarcomas of genitourinary tract
Soft tissue sarcoma of viscera *
Soft tissue sarcoma of parat€stis *
Soft tissue sarcoma of retroperitoneum and peritoneum *
Soft tisaue sarcoma of pelvis *
Soft tissue sarcomaof skin *
Soft tissue sarcoma of paraorbit*
Soft tissue sarcoma of brain and other parts of nervous system *
t includesall the entitieslistedfor the softtissueof the Headand Neck
Embryonal rhabdomyosarcoma of soft tissue
Alveolar rhabdomyosarcomaof soft tissue
44骨
推 定罹患率
(1/10万人年)
0.10
0.39
0.10
0.16
0.02
0.36
く0.01
031
く0.01
0.12
Ewing's family tumours of soft,ssue
003
003
O.06
肉腫
059
Osteogenic sarcoma
Chondrogenicsarcomag
Notochordal sarcomas, chordoma
Vascular sarcomas
Ewing's family of tumours
Epithelialtumours, adamantinoma
Other high grade sarcomas (fibrosarcoma, malignant fibrous histiocytoma)
020
0.16
0.04
001
0.04
く0.01
0.03
45 GIST
4 6 カ ボ ジ 肉腫
0.72
47神 経 内分泌細胞腫瘍
Well differentiated endocrine tumoura, carcinoid
Well differentiated endocrine tumours, atypical carcinoid
Poorly differentiatedendocrinecarcinoma(lung small cell carcinoma and skin excluded)
Mixed endocrine-exocrine
carcinoma
Endocrine carcinoma of thyroid gland
Well differentiated not functioning endocrine carcinoma of pancreas and digestive tract
Wefl differentiated functioning ondocrine carcinoma of pancreas and digestive tract
Endocrinecarcinomaof skin
4 8 内 分泌臓器 の癌
49中
50中
Carc:nomas of pituitary g:and
Carcinomas ofthyro:d giand
Carcinomas of parathyroid giand
Carcinoma of adrena:g:and
ー マ
枢 神 経 の グ リオ
Astroc、西c tumours of CNS
Oligodendrog‖aitumours of CNS
Ependyma:tumours of CNS
ー マ
枢 神 経 、 松 果 体 の グ リオ
Embryonal tumours of CNS
Choroid Piexus carcinoma of CNS
51悪 性髄膜腫
粗
(1/10万
罹患率
人年)
0.06
0.25
0.06
0.10
0.o1
0.23
く0.01
0.20
く0.01
008
0.02
0.02
0.04
0.38
4年
(人
登録数
診
療実績
)
施
設数
318
173
1295
309
328
173
528
245
65
59
1189
296
10
10
1003
257
8
8
401
165
0
111
63
97
50
192
98
1938
013
523
117
22
146
12
1o3
2.97
1.91
9766
0.50
002
0.32
0.01
0.33
001
0.07
121
0.01
007
O,Oz
0.11
862
0.03
8.38
001
O.08
005
2.47
1.58
2.14
0.21
O.11
1.38
0.14
0.07
0.12
007
011
く0.01
0.07
く 0.01
0.04
0.03
イ
19
1
12
1
1
30
1
130
19
69
21
1
9
2
1
1
67
12
53
6
1
1
6
1
1
326
89
0.51
8
76
120
0.46
0.02
002
011
188
施設 あた りの最大 一 施 設 あた りの
例数 (人) 最
小症例数 (人)
9
1
18
1
7
1
9
1
3
1
62
1
1
1
27
1
1
1
11
1
214
667
010
002
く001
0.03
く001
0.02
一
症
1648
63
1668
71
358
6194
60
356
47
15
213
314
344
59
32
1
3
164
1
13
164
389
52
175
1
1
2
1
9
1
810
8
800
2
7
399
50
399
39
161
8118
1
63
28283
93
27513
43
268
7047
704
1
395
352
1
1
1
1
1
188
349
1
147
177
367
1
31
1
143
377
17
144
1
15
365
1
15
7
145
6
93
2
1
1
6
1
52末 梢神 経、脳神経 、 自律神経 の グ リオ ー マ
01
0・
0.01
登録致
)
4年
(人
粗
罹患率
(1/10万
人年)
推定罹患率
(1/10万人年)
Tumour
26
21
一 施設 あた りの最大 一 施設あた りの
小症例数 (人)
例数 (人) 最
症
療実績
設数
診
施
3
1
→
Embryonaitumours of craniai and peripherai nerves,autonomic nerVOus system
P a r a g “町‖a n a
u.u1
0・
54リ ンパ性腫瘍
21.94
1407
C:assica:Hodgkin iymphoma
Hodgkin:ymphoma nodularlymphocyte predOminance
Composte Hodgkin and Non Hodgkin lymphoma
:ymphob:astic lymphOma
Precursor EVT:ymphobiastic ieukaenlia′
Non Hodgkin Mature T ce‖and NKte‖ neoplasms
Non Hod9kin,Mature B ce‖ :ymphoma
55急
3.16
性 骨 髄 性 白血 病
AML w■ h recurrent genetic abnormalities
AML NOS(FAB or WHO type)
AML with mye:odysplasia‐reiated changes p:us RAEB=T
Therapy‐re:ated myeloid neop:asms
0ther AML
Myeioid sarcoma
O.05
0.01
72060
10352
347
0.86
055
電
______―
―
―
―
一
―
一
一
―
―
―
―
―
―
一
―
一
―
―
―
―――一―Ш笙コ凶塑型」些里些型堂壁 Other
57骨 髄 異 形 成 症 候 群
58骨 髄 異 形 成 /骨 髄 増 殖 性 疾 患
Chronic myelomonocytic
Juvenile myelomonocytic
2.62
017
―
一
―
―
O.13
1.69
8661
0.11
563
leukemia NOS
leukemia
Atypica:chronic myeioid:eukemia BCRJABL negative
59組 織球 、樹状細胞性 腫瘍
O.01
0・
53952
―
―
―
一
14
3485
8036
638
―
―
―
一
―
―
―
―
―
一
一
1695
0.95
0.05
036
018
く0.01
061
0.04
0.23
0.12
く001
009
一
一
一
一
―
一
一
280
0・
002
47
1
二
生
_____―
―
―
―
―
15
14
一
491
30
42
128
―
―
一
―
―
―
―
―
―
1
1
一
一
―
一
―
―
―
―
一
―
T一
3144
180
1179
597
9
o.10
o.o1
01
1
1
121
3
339
137
326
101
216
1
56
8
47
146
9
170
347
04
1
1
1
160
95
303
55
5555
446
0.15
0.01
2
59
118
1
445
216
4996
65
0
1.08
13
1
1
1
009
0.04
0.98
0.01
―
1
46
4
298
373
76
1.68
7
340
105
0.33
310
107
1
2598
139
く 001
0.68
1.57
400
1
0.52
56骨 髄増殖性腫瘍
Chronic myeloidleukemia
lulyelosclerosiswith myeloid metaplasia
Essential thrombocythemia
Polycythemia vera
Mast cell tumour
003
3
1
0.51
2831
O.14
06
O・
1.52
002
一
182
40
801
く001
190
、
Biaslc Pia3maCytoid dendttcctt neoぃ
402
l.06
2 45
10.53
16 41
2.02
0.01
79
O・
O.04
0.04
υ:
46
225
215
24
32
1
22
1
1
18
202
1
_
1
_
12
1
12
3
3
1
1
1
一
巻末資料 2:各 国 の診療 の集約化対策
希少がんに関する各国の診療体制 (個人へのメールによる情報収集)
イ タ リア (サル コー マ )
イ ギ リス (婦人 科 がん )
No
強制 的集約化 の
有無 ・仕組 み
1999年に集約化 が義務化 、そ の後徐 々 希少 がん患者 はhigh―
volume
に厳格 化 され てい る。婦人科 がん治療 centerに紹介 され るこ とが 多 い
を許 可 され て い な い 病院 は患者 に対 し が、義務化 は され てお らず 、そ
て 「
専門家 の不在 」 を開示 し、 がんセ れ以外 の病院 で も どんな疾 患 で
ン ター に紹 介 を しな くては い けな い。 も治療す るこ とが可 能。 ただ し
一
緩和治療 しか選択肢 のない ときが唯
希少 がんネ ッ トワー クが、紹介
の例外 で はあるが 、 中央 の 多職種 カ ン シス テ ムや患者 が よ り自宅か ら
フ ァ レンス で治療 経過 の 同意 が得 られ 近 い 場所 で治療 を受 け られ るよ
るこ とが必要 で あ る。
うな支援 の役割 を果 た してい
これ に従 わな い 場合 は懲戒処分や 、患 る。
者 に損 害 が及 んだ ときにはGMC(General
Medical COuncil)の
査察や訴訟 の対象
とな る。
の婦 人
集約化 における
問題点 ・利点
医 の反 対 が あ つ
た。
臨床試 験や社会 的 ・精神 的サ ポー トヘ
の適切 なア クセ スヘ とつ なが る。
プ ライ マ リケ ア 医 の疑診症例 に対す る
紹介 閾値 を下 げ、初期診 断 の遅れ を減
らす こ とにつ なが る。
フ ラ ンス
No
た だ し 国 全 体 で 2 3 のが ん 種 ご とで 、希 少 が
んに対す るnatiOnal clinical expert
center(ネ ッ トワー ク)が あ る。 これ らが
中心 とな つて 、国家 レベ ル で臨床 医 の コー
デ ィネイ トが行 われ 、それぞれ の地域 の
e x p e r t c e n t e rlで
o c a l c a n c e r t e aの
mと
連
の
が
と治療
われ
る。 また病理 で は独
携 も
行
立 した枠組 み としてn a t i o n a l p a t h 0 1 0 g i c a l
n e t w o r k が4 つ あ り、必 要 に応 じて 国家 レベ
ル で病理再診 断 が行 われ る。 e x p e r t c e n t e r
の 主 導 の も とR e f e r r a l R C P ( コ
ンサル テ ー
ー
ー
シ ョンに よるキ ャ ンサ ボ ドの よ うな も
の) が地域 お よび 国家 レベ ル で ( 主に ウェ ブ
カ ンフ ァ レンス) 行 われ 、患者 の ケ ー ス に
つい て議論 が され る。
volume
例 えばサル コー マ に関 して はヾH i g h ―
c e n t e r での治療方針 レビュー お よび キャ ン
サ ー ボ ー ドでの患者 レビュー が義務化 され
てい る。 ( 9 0 % の 患者 がす でにカバ ‐ され
てい る) 。 今後 は患者紹介 シ ス テ ムの義務
化 が 計画 中。
生 検 をせず に腫 瘤 を先 に切 除 して しま つて
か ら、診 断 され る症例 にお け る診 断 の 遅れ
方金十レビュー に 関 わ る コス ト。
方針 レビュー で 初診 の病理 医 が 間違 い の指
摘 を され る可能性 へ の抵抗感。
医師 の 間 での 、初 回手術 前 に患者 を他 人 に
見 せ るこ とへ の抵抗感。
巻末資料 3:参 加者 アンケー ト結果
ー ト集 計 結 果
ー
希 少 が ん 対 策 ワ ク シ ヨ ップ参 加 者 ア ン ケ
2014年 2月 16日 開催
ー
希少 が ん対策 ワ クシ ョ ップ参加者 67名 に配布 し、36名 か ら回答 を得 た (回収率
53.7%)。
1。 「
希少 がん」 の条件
「
希少 がん」を決 める際 の患者数 の条件 として罹患率 (人口 10万 当た り 1年 間 に新
5名
1 0名 程度 (5名、13.9%)、
規診 断 され る患者数)が 、6名 程度 (15名、41,7%)│、
程度 (4名、 11.1%)と 多かつた。
16
14
12
10
人
8
6
4
2
0
3名 銘
5名
6名
10名 20名 未回答 その他
患者数 (人口10万当た り)
2。 希少 が ん の対策 を考 える際 の重要 な要 素
希少 がん の対策 を考 える際 には、治療が未確 立で ある こ と、診 断 が困難 であ る こ
と、生命予後 がわ るい ことが重 要 と回答 した者 が多 くな つていた。
治療 の未確 立
診断 困難
生命 予後が わ るい
特 に稀 である
患者 の年齢 が比較的若 い
臨床試験 の論文 が少 な い
0
■5重 要 性 高 い
5
10
■4 口 3 口 2 口
15
20
1 重要性 低 い
25
□未 回答
3.特 に対策が必要 と考 え られ る希少 がん (回答 として 1人 当た り最大 5つ まで)
回答者 の診療科 にお い て 、特 に対 策 が必 要 と考 えられ る希少 がん としては、下記
の 52種 が上げ られ た。 (敢えて微 妙 に違 うだけの もの もそ の ままに してあ ります)
平滑筋 肉腫
後腹膜腫瘍 (肉腫)
子宮 肉腫
子官癌 内腫
血 管 肉腫
口腔 肉腫 (口腔粘膜悪性黒色腫 、顎骨
骨 肉腫 )
悪性骨腫瘍
骨 肉腫
骨軟部 内腫 (腫瘍)
ユ ー イ ング肉腫
(原発性)脳 腫瘍
神経膠腫 ・膠芽腫
脳 リンパ 腫
眼内 リンパ 腫
中枢神経原発悪性 リンパ 腫 ・中枢神経
リンパ 腫
網膜芽細胞腫
眼省 (涙腺 )腫 瘍
甲状腺 がん
胸腺 がん
メ ラノー マ (ぶ どう膜 ・鼻腔等含 む)
中皮腫 ・悪性 中皮腫
腹膜 中皮腫
Merkel糸田月
包癌
希少がん
人 数
肉腫
軟部 内腫 (腫瘍)
横紋筋 肉腫
人 数
希少 がん
有棘細胞癌
皮膚付属器癌
口腔癌 (舌、歯 肉、 日腔 底)
唾液腺癌 (耳下腺、顎下腺、小唾液
腺)
大唾液腺 の上皮性腫瘍
歯原性癌 (エナ メル上 皮 、歯原性線維
肉腫)
外陰癌
腔癌
骨髄異形成症候群
慢性 リンパ性 白血病
成人 T細 胞 白血病
ラングル ハ ンス細胞組織球症
形質細胞様樹状細胞性腫 瘍
神経 内分泌腫瘍
膵臓以外 の NET s(神 経 内分泌腫瘍)
小細胞癌 (肺以外)
嗅神経芽細胞腫
鼻腔 ・副鼻腔 の上皮性腫瘍
乳房外 Paget病
虫垂癌 ・肛 門管癌
小腸癌
GIST
難治性 良性腫瘍
小児がん全体
未分化癌
原発不 明癌
4.設 問 3で 対策 が必要 と考 えられ る希少がんの診療 の集約化 の必要性
設問 3で 特に対策 が必要 と考 え られ る希少がんの診療 の集約化 につい て、ほとん どの
回答者 が集約化す る こ とが必要 と捉 えていた (30名、83.3%)。
種類 によると回答 した者
は、4名 (11.1%)お り、子宮肉腫、鼻腔 メラノーマの診療 を集約化すべ きとしていた。
■ は セ`
口いいえ
□種類 による
日未回答
はい」又 は 「
種類 による」と答えた方)の 全 国 での集
集約化 が必要な場合 (設間 4で 「
約化 の程度
集約化 が必要または種類 によつて必 要 と回答 した 34名 の うち、集約化 の程度 (全国
の施設数)の 回答 の最 も多数 の回答 (最頻値)は 、病理診断が 6∼10以 下 11名 、手術
が 31∼50以 下 7名 、化学療法 が 31∼50以 下及び 51∼100以下がそれぞれ 6名 、放射線
治療 が 51∼100以 下 8名 であつた。 また、これ ら以外に臨床試験 の実施 を全国 10施 設
程度 に集約化す るべ きとの意見 があつた。
放射線治療
化学療法
手術
病理診断
0
■1
5
10
= 25
15
■2 ∼ 5 以 下
□2 1 ∼3 0 以下 口 3 1 ∼5 0 以下
口6 ∼ 1 0 以 下
30 - ―
●11∼20以 下
口5 1 ∼ 1 0 0 以 下 口101∼ 200以 下
日2 0 1 ∼5 0 0 以下 口すべ きでない 口未 回答
■そ の 他
―
集約化 を推進す る方法案 としては、下記の よ うな意 見 が あつた。
方法
学会主導
イ ンセ ンテ ィブ
の設定
各 医療機 関で の
対応 可能な希少
癌 の提示
施設 ・ス タ ッフ
の資格認定
症例数
自己推薦
その他
具体的意見
対応学会が主体性 をもつて決 め る
関連学会 のがん専門医、指 定研修施設 の w e b 上での公 表 と情報 の提 供 を
行う
学会 内で W G な どを作 る
希少 がん ごとの診療 ・治療ネ ッ トワー クをつ くり、 グル ー プに対 して 、
診療 のイ ンセ ンテ ィブを与 えるこ とで、集約化 が促進 され る
イ ンセ ンテ ィブの設定、病院 ア クセ ス の助成 、広報
ス タ ッフ不足、施設 のキ ャパ シテ ィ不足、イ ンセ ンテ ィブ をつ ける
診断 した ら本部 に連絡 し、 しか るべ き施設 に紹介。
各施設 か らの 申告 による希少 がん拠 点の設定、重点的 に取 り組む癌 の公
表、キャ ンペ ー ン等
テ レパ ソロジー 、化学療法 は治験や 臨床試験 を扱 う施設 を絞 り込み 、そ
れ を周知す る
対応可能 な医療機 関 の 開示
広報 の徹底
コーデ ィネ ー トの養成、施設 ・ス タ ッフの資格認定
施設 ・ス タ ッフの規定を決 め、 申請 して もらい承認 ・定期的な見直 し。
集約化施設 での実施 には追加 の保険点数 を与 える。紹介施設 にも紹 介料
を与 えるな ど保険上のメ リッ ト
取扱 い症例数 の多 い施設 に集約 す る。登録デ ー タの活用。病理診 断 の難
しいケー ス を コンサル トできる体制。診療科 の連携。放射線治療施設 を
中心に
症例数 を示す 、治験施設 を集約 す る
関わ つてい る医師 が集約化す る施設 を決 める
リス ク とベ ネ フ ィ ッ トか らベ ネ フ ィ ッ トを洗 い 出 して集約化 に対す る啓
発 をすす め、 立候補す る
各病院か らの 自己推薦
デ ー タの集約化、国際共 同研究 に参加 す る仕組みが必要、高度治療 の集
約化
各都道府県 に少 な くとも 1 ∼2 、が ん診 療連携拠点病院 を集約施設 に して
ほ しυヽ
w e b に よる コ ンサル テー シ ョン
6.集 約化 が必 要 でない場合 (設問 4で 「
いいえ」又 は 「
種類 による」 と答 えた方 )、集約
化以外 に必要 と考 えられ る対策
集約化以外 の対策
集約化す るので あれ ば、適切 な時期 に治療 してい く
医師 の教育
セ ン ター病院 を設 定 し、そ こで方針決 定等 の振 り分 け を行 い 、 どこで も治療 して よい ・臨床
試験 にエ ン トリー ・集学的治療 、 とわける司令塔 が全 国で 10施 設程度 あるとよい
現在 の病院 ・ス タ ッ フ ・予算 な どでは、物理 的 に無理 。
整形外科 の 肉腫 に関 しては、すでにがんセ ンター 、大学病院 に集約が進 んでい る。」COG,
」MOGで 連携 できてい る。 問題 は整形外科以外 の 肉腫。 グル ー プ を作 る ことが必 要。
治療方針 の周知徹底 、 ガイ ドライ ンの作成
都道府 県で 1つ は必 要。 がんセ ンター での研修。
ー
巻末資料 4:国 立がん研究センター希少 がん対策 室発足時アンケ トの論点ま とめ
ー
。
国 立 が ん研 究 セ ン タ 中央 病 院 東 病 院
ー ト調 査
ー
希 少 が ん対 策 室 (希少 が んセ ン タ )ア ン ケ
ー
ー
国立がん研究セ ンタ で平成 25年 12月 に発足 した希少 がんセンタ の関係者 に対 し、
センター長 より、希少がんにおける課題 を探 る目的 で、
① 希少 がんの診療 ・研究 ・臨床開発 の上で最 も大きな問題 (obstacle)は何 か。
② そ の解決 のためにどのよ うな方策 がのぞま しいか。
とい うアンケー ト調 査が実施 された。
ア ンケー トはメールにて、2013年 12月 6日 ∼ 12月 12日 に実施 され、19名 (医師 16名 、
研究者 2名 、作業療法± 1名 )よ り返答があつた。挙げ られた意見に関 して トピックごとに
い くつかの意見を抽 出し、課題毎に整理 した。希少 がん対策 を考 える上で、日々希少 がん患
者 の診療 にあた る医療従事者 か らの意見が集約 されてお り、貴重な基礎資料 となるため掲
載す る。
<希 少 が ん の 定 義 に 関 して >
現状希少 がんの定義がはつき りしていない。肺癌や乳 がんな ど5大 がんでも、遺伝子な
どによる分類 が進み、個別 のサブタイプが希少 がんの よ うに扱 われ ることがあるが、 しか
し、 (回答者 の)私見 ではそれ らはあくまで平Lがんや肺がんであ り、希少 がん と定義するの
が適切か どうかは検討 の余地 がある。 い くらサブタイプの分類 が進んだ としても、それ ら
のメジャー ながんは、肺 がんや乎Lがん として の大 きな枠組みで臨床試験が実施 され、薬剤
供給 が されやす いか らである。更に、数 は少ないが治療法 が確 立 されてい るものについて
も希少 がんに含 めるべ きか どうかは人によつて意見 が分 かれると思 う。 もつ とも対策が必
要な希少 がんに焦点を当てるため、治療方針 が確立 していない希ながん種 であると定義 さ
れ るべ きではないだろ うか。
<基 礎 研 究 にお け る課 題 >
希少 がんは希少 ゆえにサ ンプル その ものが少な く、臨床検体 の量に限界 があることか
ら、基礎研究を行 うこと、そ して研究結果 の Validationを行 うことが難 しい。 そのた
め、腫瘍組織 に関 しては、細胞株、ゼ ノグラフ ト株 などを作製す ることで無限に供給 でき
る研究 リソー ス を作る必要 がある。肉腫 については細胞株 が公的バ ンクにまった くない組
織型 が多 くあ り、新たな樹 立が必要 とな つてい る。検体が希少 であるため、全国のバイオ
バ ンクの検体をバ ーチャルに連結 ・集約化 させ、海外 の研究機関 との連携 も強化す る必要
'
がある。
<新 薬 開発 の 課 題 >
EBMの 論理や開発 プ ロセス (および承認 プ ロセス)は 5大 がんや conlmon diseaseな
どを
対象 としてい るため、症例数が少ない希少がんの新薬開発 には非常 に時 間がかかる。新薬
開発 においては小数例で もエ ビデ ンス として認 められ るよ うな study designや統計解析
方法開発す るなど、患者数 が多 い病気 とは根本的にアプ ローチ の仕方 を変える必要がある
ので はないだろ うか。
脳外科 では、悪性脳腫瘍 の手術は緊急で施行 され るものが多 く、診療報酬 が高いこ とか
ら腫瘍専門ではない施設で治療が開始 されてしま うことが多 い。そのこ とで症例が分散
し、新薬開発 において患者 の リクルー トが困難になつてい る。
構造的に症例が分散 しやす いのは婦人科領域 で もある。子宮筋腫や子官腺筋症 といった
良性疾患 と思 つて手術 してみた ら肉腫 と診断 された、 とい うケースが多 い。術前診断が難
しいためではあるが、そのまま経過観察/化 学療法施行 の後、再発 した時点で初めて紹介
されて くるとい うこ とが多 い。 これは初回治療 の時点での臨床デー タの収集が不十分 にな
ることにもつ なが り、国内 のデー タベ ー ス を構築す るの も困難 である。
希少 がんでは、診療 だけでな く研究 において も病理診断 の精度 も重要な課題 とな ってい
る。特に肉腫 の病理診断は特殊で、この 20年 組織型 の見直 しが繰 り返 し行 われてきた。
そのため、5年 、 10年 前 の 肉腫 に対す る薬物奏功性 の研究結果 は参考程度 の情報ばか りと
なつてい る。研究において は病理診断 の確認 が実施 され る必要があ り、正確 な診断に基づ
いた薬物奏功 の生物学的プ ロフ ァイ リングを行 い、その情報 の集積 を続 け、デー タベ ース
を構築す るこ とが必要である6
<希 少 が ん 診 療 の 課 題 >
希少 がんはエ ビデ ンスが乏 しい ことか ら標準薬物療法やガイ ドライ ンの整備が十分では
なく、施設間で診療内容 にば らつ きが存在す る。更に、再発 を 3回 も繰 り返す とレジメン
が枯渇 して しま うよ うな こともあ り、治療 の余地がない状況 になることがある。海外 で使
用 されている薬剤 が国内で使用 できない場合、保険適応外 の薬剤 の使用 をどう提供す るの
か とい う問題 も未解決である。分子標的薬 な どは高価 であることか ら、適応外薬品 として
の使用 もできず、医師主導治験 を行 うにして も、未承認 の高価 な薬剤 は研究費で購入する
のは不可能であ り、試験設定でも使用す ることが困難な状況 となっている。
更に希少 がんは集学的治療 を要す るが、希少がん診療 の臨床的知識や経験は各医師や各
診療科で蓄積 されて しまい 、診療科間や医師間でその共有 が円滑に行 われてい ない現状が
ある。患者数が少ない希少 がんでは、知識や技術 の共有 のための医療従事者 の交流や、多
職種カ ンファ レンス を重点的に行 うべ きではないだろ うか。
小児 の希少 がんにおいては長期 フォ ロー ア ップ も問題 とな つてい る。小児 の希少 がんに
ー
関す る疫学研究 も少 ないた め、長期 フオ ロ に関 しては、臨床科 ではな く疫学研究 セ ン タ
ー な どとチ ー ム としてサバ イ バ ー コホ ー トの維持 が望まれ る。
<専 門家 育 成 にお け る課 題 >
例 えば小児がんの場合、造血器 か ら固形腫瘍、脳腫瘍 と幅広い疾患群 であるため、診
療 ・研究 。開発 いずれ において も成人に比べ専門的 な人材が乏 しい状況 がある。眼科 な ど
疾患を中心に診療す る医療機関が多 く、希少 がんを
では、診療報酬が高 くより conlIIlonな
診 るイ ンセンテ ィブが低 い ことか ら、専門家不足 となつている。皮膚科 で も生死に関わる
悪性腫瘍に興味を持つ皮膚科医が少ない傾 向にあ るため、真のスペ シャ リス トが少ない状
況である。 そのため、地域 を代表す る基幹病院、中心施設であつて も診療 レベル に施設間
の格差 が大 きく、診療 が均てん化 されていない。
放射線治療科 な どの臓器横断的な診療科 において も同様 の問題 が存在す る。希少 がんに
対す る治療経験を積む機会 が少ないため、治療内容や その経過 を含 めた情報 の集積 と整備
を行 い 、エ ビデ ンス を共有 してい く必要がある。
ー
希少 がんに対す る外科治療 の意義 。手術方針 の確定」をサポ トす る
外科 において も 「
エ ビデ ンスが不足 しているため、手術症例 のデー タベ ー ス化 と治療成績 な ど、診療科 の枠
組み を超 えデー タを集積 し、治療統計 を出す必要 がある。
治療 だ けでなく診断において もこれは問題 である。病理診断にお ける専門性、制度 の問
題 は先述 の通 りであるが、放射線診断 について も肉腫 (or肉腫 を疑 う)診 断ので きる医
師 の養成 が必要である。例 えば婦人科領域 では先述 の通 り、筋腫 との診断で治療 を進 めて
ー
肉腫疑い ま
しま うことが多 くある。 これを少 しでも減 らす には画像診断の レポ トでの 「
す」 とい う警告 が重要 と考 えられ る。実際に当院 で初回か ら手術できた患者 さん の多 くは
「
MRIを 撮 った ら肉腫疑い とされた」 といつて紹介 され るパター ンが多い。
<情 報 提 供 にお け る課 題 >
希少 がんにおいては、 めず らしい病気 をどこで診 断 して、 どこで治療 を受け られ るかそ
の情報 を患者 さんが簡単に得 られ るよ うに、そ して得 られた情報通 りの治療 を受 け られ る
環境整備 が必要 とされてい る。施設によ り、できる治療 とできない治療 があ り、新薬開発
とい う面 で も他施設 で行われて い る治験情報を知 らない場合、円滑 に患者の紹介が されな
い ことがある。 自施設 で治療 が行 えない際 には、す ぐに治療で きる施設 を紹介す る体制 が
必要 とされてい る。
稀 ながんは病理診断 が難 しく、時 に専門医 の 間で も意見が異 な る場合 がある。 そ のた
め 、 臨床 医か ら治療 の 内容 も含 めた相談 ができる病理相談外来 を展 開す るのは希少 がん患
者 に とつて は ニー ズ が 高 いので はない だ ろ うか。
また、数の集ま らない希少がんは患者会を作ることが難 しく、患者 さん達が孤独に不安
よ うなインターネ ッ トのサ
を抱えている状況があるため、アメリカのPatient Like Meの
― ビス が あれ ば、ネ ッ ト上な どで希望す る患者 さん をマ ッチす るこ とで
、患者会 を形成す
る ことも可能 だ。 同 じ境遇や同 じ障害 を持 つ 患者同意が出会 い 、相談 で きる環境 が整備 さ
れ るこ とが期待 され る。
ー
希少 がん対策 ワー クシ ョップ ・報告書作成 グル プ
東 尚 弘
国
立 がん研究 セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん政策科学研究部
岩本 桃 子
国
立 がん研究 セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん政策科学研究部
奥山 絢 子
国
立 がん研 究セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん政策科学研究部
神谷 泉
国
立 がん研究セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん政策科学研究部
今埜 薫
国
立が ん研究 セ ンター がん対策情報 セ ン ター がん政策科学研究部
塚 田 庸 一郎
中村 文 明
東
東
ー
邦大 学医療 セ ンタ 大森病院放射線 科/
ー
国 立がん研究 セ ンター がん対策 情報 セ ンタ がん政策科学研 究部
京 大学医学系研究科公衆衛 生学/
ー
国 立 がん研 究 セ ン ター がん対策情報 セ ンタ がん政策科学研究部
平成 26年 3月 26日 発行
ー
ー
発行 :独 立行政 法人 国 立がん研究 セ ンタ がん対策 情報 セ ンタ がん政策科学研 究部
0045 東 京都 中央 区築地 5-1-1
〒104‐
TEL:(03)3542‐ 2511(4代)FAX:(03)5565‐
2322