ふくい経済トピックス(将来人口編) 3 月 末 、地 元 新 聞 の 見 出 し で 、福 井 県 の 人 口 が「 633 千 人 に 」と い う 見 通 し を 伝 え る 記 事 が躍りました。その基になったのが、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の 地 域 別 将 来 人 口 推 計 」 結 果 で す 。 5 年 毎 の 国 勢 調 査 結 果 を 踏 ま え 、 30 年 間 の 人 口 変 化 を 予 測 す る も の で 、都 道 府 県 だ け で な く 市 町 村 別 に 2040 年 ま で の 5 歳 階 級 別 推 計 結 果 が 先 日 報 告されています。 今回は、この将来人口推計から市場の変化について考えてみます。 〈 日 本 の 人 口 は 16% 減 に 〉 ま ず 、日 本 全 体 の 動 き を 見 て み ま し ょ う 。日 本 の 年 齢 別 人 口 構 成 を 見 る と 、2010 年 に「 60 ~ 64 歳 」 の 団 塊 世 代 、「 35~ 39 歳 」 の 団 塊 ジ ュ ニ ア 世 代 が 他 の 年 代 に 比 べ 特 に 多 い こ と が 特徴で、今後の人口構成の中で大きな位置を占めていきます。 グ ラ フ 1 は 、 年 齢 別 の 2010 年 人 口 と 今 回 の 推 計 に よ る 2040 年 の 人 口 を 比 較 し た も の で す 。 日 本 全 体 の 人 口 で は 1 億 728 万 人 と 、 16% の 減 少 に な っ て い ま す が 、 年 齢 別 に み て い く と 40 歳 未 満 の 年 代 で は 35% 程 度 減 少 し て い ま す 。 (グラフ1)年齢(5歳階級)別全国人口の変化(2010-2040) 0 0~4歳 5~9歳 10~14歳 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 (千人) 12,000 2010年 2040年 15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85~89歳 90歳以上 一 方 で 、 こ の 30 年 間 で 団 塊 世 代 は 90 代 に 、 団 塊 ジ ュ ニ ア 世 代 は 65 歳 を 超 え 、 65 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 が 3 割 以 上 増 加 し 、日 本 全 体 の 36.1% を 占 め る「 超 高 齢 社 会 」と な り ま す 。 日本全体では、①ゆるやかな人口減少、②子供の減少、③働く世代の減少、④高年齢者 の 増 加( 特 に 、80 歳 以 上 の 増 加 )と い っ た 変 化 が 起 こ っ て い き ま す の で 、こ の 変 化 の ス ピ ードと消費への影響を先取りした企業の対応が必要になります。 〈対象市場の拡大を〉 この推計では、各都道府県や市町村の人口変化の予測も行っていますが、これによると 福 井 県 の 2040 年 の 人 口 は 633 千 人 と 推 計 さ れ 、 2010 年 よ り 21.5% 減 少 す る 結 果 と な っ て います。 グラフ 2 のように福井県の年齢別人口構成をみると、全国とほぼ同じカーブを描いてい ま す が 、 福 井 県 で は 2010 年 に 「 20~ 24 歳 」 が 極 端 に 低 く な っ て い る こ と が わ か り ま す 。 これは、大学進学などで若者が県外に移動している現状を示していますが、この年代の人 口減は将来生まれる子供の減少につながるので若年層の人口減に大きな影響を及ぼします。 一 方 で 、65 歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 の 増 加 は 16.9% と 全 国 に 比 べ れ ば 低 い の で す が 、こ れ は 福井県が既に「高齢社会」に入っているということを示しています。 (グラフ2)年齢(5歳階級)別福井県人口の変化(2010-2040) 0 20,000 40,000 60,000 (人) 80,000 0~4歳 5~9歳 10~14歳 15~19歳 20~24歳 2010年 2040年 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85~89歳 90歳以上 ち な み に 、 2010 年 と 比 較 し た 2040 年 の 県 内 各 市 別 の 人 口 減 少 率 を 見 る と 、 最 も 大 き い の が 大 野 市( △ 39.1% )で 、勝 山 市( △ 34.1% )、あ わ ら 市( 29.8% )小 浜 市( 25.4% )の 順 に 続 き 、 福 井 市 で も △ 18.9% と な っ て い き ま す 。 2010 年 か ら 5 年 毎 の 年 齢 別 人 口 の 変 化 を 示 し た の が 表 1 で 、そ の 変 化 ス ピ ー ド を 考 え る と、早急に自社のビジネス対象を広げる取り組みが必要であることがわかるのではないで しょうか。 (表 1)福 井 県 の年 齢 (5歳 階 級 )別 人 口 推 移 男女計 総数 2010 年 2015 年 2020 年 (人 ) 2025 年 2030 年 2035 年 2040 年 806,314 784,800 759,770 731,030 700,185 667,529 633,236 0~ 4 歳 34,688 32,014 27,984 25,368 24,091 23,044 21,753 5~ 9 歳 37,120 34,270 31,672 27,704 25,119 23,855 22,819 10~ 14 歳 40,561 36,772 33,980 31,431 27,495 24,933 23,681 15~ 19 歳 38,916 38,137 35,208 32,556 30,120 26,358 23,903 20~ 24 歳 35,671 34,782 35,599 32,902 30,427 28,147 24,624 25~ 29 歳 41,202 36,432 35,678 36,533 33,814 31,300 28,959 30~ 34 歳 48,370 40,647 36,190 35,490 36,337 33,645 31,149 35~ 39 歳 55,992 47,401 40,032 35,685 34,995 35,825 33,174 40~ 44 歳 49,057 55,039 46,717 39,496 35,213 34,529 35,353 45~ 49 歳 49,915 48,379 54,354 46,150 39,031 34,803 34,128 50~ 54 歳 50,432 49,161 47,709 53,614 45,534 38,522 34,359 55~ 59 歳 56,740 49,515 48,308 46,944 52,757 44,814 37,938 60~ 64 歳 64,422 55,295 48,281 47,190 45,936 51,623 43,873 65~ 69 歳 50,457 62,069 53,299 46,623 45,649 44,507 50,030 70~ 74 歳 43,891 47,734 58,867 50,597 44,364 43,550 42,573 75~ 79 歳 42,555 40,012 43,662 54,147 46,604 41,027 40,437 80~ 84 歳 34,640 35,884 34,142 37,474 46,916 40,477 35,885 85~ 89 歳 19,947 25,287 26,837 25,978 28,802 36,654 31,758 90 歳 以 上 11,738 15,970 21,251 25,148 26,981 29,916 36,840 た だ し 、こ の 将 来 人 口 推 計 は 、 「 地 方 か ら 大 都 市 へ の 人 口 移 動 は 縮 小 す る 」こ と を 前 提 に 計算しています。東京など大都市でも、同じように労働力人口の減少が起こりますので、 現在のような若年人口の大都市流入が続けば、地方都市の人口減少は更に加速することも 頭に入れておかなくてはいけません。 〈働く世代は3割減に〉 「 福 井 県 の 人 口 は 21% 減 に 」と 紹 介 し ま し た が 、最 も 重 要 な 変 化 は 、グ ラ フ 3 の よ う に 、 働 い て 収 入 を 稼 ぐ「 20~ 64 歳 」の 人 口 が 3 分 の 2 に な る と い う こ と で す 。端 的 に 説 明 す る と、年金収入などを除いて、福井県内で消費に使われるお金が 「3 割以上減る」と見なけ ればならず、価格競争で戦える限度を超える変化が起こるということです。 これは、人口の変化以上に消費スタイルの変化をもたらします。より目先の必要なもの に、より効率的な(費用と効用のバランスがよい)ものに絞った消費に変化していくので はないでしょうか。 (グラフ3)福井県の年齢(5歳階級)別人口推移 0 (人) 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 2010年 151,285 2015年 141,193 2020年 128,844 2025年 117,059 2030年 106,825 2035年 98,190 2040年 92,156 451,801 203,228 416,651 238,058 374,004 333,208 303,557 784,800 226,956 392,868 354,044 806,314 759,779 239,967 239,316 236,131 237,523 731,030 700,185 667,529 633,236 0~19歳 20~64歳 65歳以上 一方で、既に消費は刺激があるもの、感性が合うものにしか反応しなくなっていますの で、新たな生活スタイルの提案が必要になっています。 しばらくは、徐々に売上減となっていくだけですが、ある日突然大きな変化が現れるこ とを考えて経営を進める必要があるでしょう。 このような変化を前向きに受け止め、新市場として他の年齢層へ、県外市場へ、場合に よっては海外市場にも目を向け、また新分野などへも足がかりを作っていく必要があるの ではないでしょうか。 〈福井商工会議所所報 平 成 25 年 5 月 号 掲 載 〉
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